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【発明の名称】 スタナン気体供給システム
【発明者】 【氏名】樽谷 浩平

【要約】 【課題】極端紫外光放射源にスタナン気体を安定した流量で供給することが可能なスタナン気体供給システムを提供する。

【構成】極端紫外光放射源にスタナン気体を供給するスタナン気体供給システムであって、前記極紫外光放射源に配管を通して接続され、スタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容される密閉容器と、前記密閉容器を−60℃より低温に冷却するための冷却手段と、前記配管に介装される低圧マスフローコントローラと、前記密閉容器と前記低圧マスフローコントローラの間に位置する前記配管部分に取り付けられ、その配管部分でのスタナン気体の圧力を検出する圧力検出器と、前記圧力検出器での圧力検出値に基づいて前記冷却手段による前記密閉容器の冷却度合を制御するための制御手段を具備したことを特徴とするスタナン気体供給システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外光放射源にスタナン気体を供給するスタナン気体供給システムであって、
前記極紫外光放射源に配管を通して接続され、スタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容される密閉容器;
前記密閉容器を−60℃より低温に冷却するための冷却手段;
前記配管に介装される低圧マスフローコントローラ;
前記密閉容器と前記低圧マスフローコントローラの間に位置する前記配管部分に取り付けられ、その配管部分でのスタナン気体の圧力を検出する圧力検出器;および
前記圧力検出器での圧力検出値に基づいて前記冷却手段による前記密閉容器の冷却度合を制御するための制御手段;
を具備したことを特徴とするスタナン気体供給システム。
【請求項2】
前記低圧マスフローコントローラは、前記スタナン気体を50〜300Torrの圧力範囲で流量制御可能なものであることを特徴とする請求項1記載のスタナン気体供給システム。
【請求項3】
前記冷却手段は、冷媒が循環される循環配管と、この循環配管に冷媒の流れ方向に介装された圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を有し、蒸発器が前記密閉容器を捲回する前記循環配管の捲回部である冷凍機からなることを特徴とする請求項1記載のスタナン気体供給システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記密閉容器を収納する筐体と、この筐体内に前記冷凍機での前記密閉容器の冷却温度より高い温度の気体を供給する加温気体供給配管と、この配管に介装された制御バルブとを有する加温気体供給系;および
前記圧力検出器からの圧力検出値の信号が入力され、この入力信号に基づいて前記加温気体供給系の制御バルブの開度を調節する制御器;
を備えることを特徴とする請求項3記載のスタナン気体供給システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記圧力検出器からの圧力検出値の信号が入力され、この入力信号に基づいて前記冷凍機の圧縮機による冷媒の圧縮度合を調節する制御器を備えることを特徴とする請求項3記載のスタナン気体供給システム。
【請求項6】
前記冷却手段は、−60℃以下の冷却液体の供給源と、この供給源に接続され、前記密閉容器の捲回部を有する冷却液体供給配管と、この配管に介装された制御バルブとを備える冷却液体供給系であることを特徴とする請求項1記載のスタナン気体供給システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記圧力検出器からの圧力検出値の信号が入力され、この入力信号に基づいて前記冷却液体供給系の制御バルブの開度を調節する制御器を備えることを特徴とする請求項6記載のスタナン気体供給システム。
【請求項8】
前記−60℃以下の冷却液体は、液体窒素、液体ヘリウム、液体アルゴンおよび液体二酸化炭素から選ばれる低温液化ガスであることを特徴とする請求項6記載のスタナン気体供給システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、極端紫外光放射源にスタナン(モノスタナン[SnH4])気体を供給するスタナン気体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スタナン(モノスタナン[SnH4])気体は、半導体装置の製造工程において極端紫外光を放射してリソグラフィーを行う露光装置の極端紫外光放射源のガス成分として注目されている(特許文献1参照)。このような極端紫外光放射源へのスタナン気体の適用において、放射源から極端紫外光を安定して放射するにはスタナン気体を極端紫外光放射源に安定した流量で供給することが必要である。
【0003】
しかしながら、スタナンは非常に不安定(例えば室温下で急速に分解する)、高い毒性を有するため、取り扱いが非常に困難である。
【0004】
このようなことから特許文献2には、スタナンを容器内に充填し、その容器温度を−150℃〜−50℃に保持することによりスタナンを安定的貯蔵することを可能にしたスタナンの安定化方法が開示されている。しかしながら、この特許文献2には容器内に充填したスタナンを気体状態で安定した流量にて供給する技術に関しては何ら記載されていない。
【特許文献1】特開2004−279246
【特許文献2】特開昭60−42203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、極端紫外光放射源にスタナン気体を安定した流量で供給することが可能なスタナン気体供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、極端紫外光放射源にスタナン気体を供給するスタナン気体供給システムであって、
前記極紫外光放射源に配管を通して接続され、スタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容される密閉容器;
前記密閉容器を−60℃より低温に冷却するための冷却手段;
前記配管に介装される低圧マスフローコントローラ;
前記密閉容器と前記低圧マスフローコントローラの間に位置する前記配管部分に取り付けられ、その配管部分でのスタナン気体の圧力を検出する圧力検出器;および
前記圧力検出器での圧力検出値に基づいて前記冷却手段による前記密閉容器の冷却度合を制御するための制御手段;
を具備したことを特徴とするスタナン気体供給システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、極端紫外光放射源にスタナン気体を安定した流量で供給でき、前記放射源から極端紫外光を安定して放射することを可能にしたスタナン気体供給システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るスタナン気体供給システムを図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るスタナン気体供給システムを示す概略図である。
【0010】
スタナン(モノスタナン[SnH4])液体およびスタナン(モノスタナン[SnH4])気体の混合物が収容される密閉容器、例えばボンベ1は、上部が開放した内側筐体2内に収納されている。この内側筐体2は、上部に排気管3を有する外側筐体4内に収納されている。前記ボンベ1には、極端紫外光放射源41にスタナン気体を供給するスタナン気体供給ラインL1が接続されている。外側筐体4の外部に位置する前記供給ラインL1部分には、前記ボンベ1側から50〜300Torrの圧力レンジで流量制御可能な低圧マスフローコントロ−ラLMSFCおよび開閉バルブV1が介装されている。前記ボンベ1と前記低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの間に位置し、かつ前記外側筐体4内に位置する前記供給ラインL1部分には、この供給ラインL1を流通するスタナン気体の圧力を検出する圧力検出器5が設けられている。
【0011】
ボンベ1を−60℃より低温に冷却するための冷却手段である冷凍装置11は、前記外側筐体4および内側筐体2を貫通し、その貫通部において前記ボンベ1を捲回して蒸発器として機能する捲回部12を有する冷媒の循環ラインL2を備えている。この循環ラインL2には、前記捲回部12側から冷媒の流れ方向に圧縮機13、凝縮器14および膨張弁15が順次介装されている。このような冷凍装置11は、蒸発器として機能する前記捲回部12でボンベ1内のスタナンを一定温度に冷却する。
【0012】
冷凍機11によるボンベ1の冷却温度より高い加温用気体(例えば室温空気)供給系21は、前記外側筐体4を貫通して内側筐体2に挿入された室温空気を供給する室温空気供給ラインL3を備えている。前記外側筐体4内に位置する前記室温空気供給ラインL3部分には、後述する制御器からの制御信号により全閉および開度調節がなされる制御バルブVc1が介装されている。このような室温空気供給系21は、制御バルブVc1の開度調節によって、ボンベ1が収納された内側筐体2への室温空気の供給量が制御され、その室温空気の供給量に応じてボンベ1内のスタナンを加温する。なお、加温用気体は空気に限らず、窒素、またはアルゴンのような希ガスを用いることができる。
【0013】
制御器6は、前記外側筐体4内に配置され、前記圧力検出器3から圧力検出値の信号が入力される。この制御器6は、入力された圧力検出値の信号を設定圧力(例えば50〜300Torr)と比較する。圧力検出値の信号が設定圧力を外れると、その比較結果が制御信号として前記室温空気供給系21の制御バルブVc1に出力してその開度を調節する。すなわち、加温用気体(例えば室温空気)の筐体2への供給停止、および供給量の制御がなされる。
【0014】
このような制御器6および室温空気供給系21により制御手段を構成している。
【0015】
このような第1実施形態に係るスタナン気体供給システムに用いるスタナン気体は、前述したように分解性が高い気体であることから、低温(例えば−60℃以下)にして分解、過度な分解の進行による爆発を回避している。また、スタナン液体の温度とスタナン気体の圧力とは、指数関数的に比例する関係を有する。すなわち、スタナンの液体および気体が収納されるボンベ1において、ボンベ1内のスタナン液体の温度が下がると、このボンベ1から供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力も低下する。ボンベ1内のスタナン液体の温度が上がると、このボンベ1から供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力も上昇する。さらに、本発明者らはスタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容されるボンベ1において、前記冷凍装置11によりボンベ1内のスタナンを一定温度に冷却する際、その冷却に加えてスタナン液体が気化するときに発生する気化熱によるスタナンの冷却が起こり、供給ラインL1に供給、流通させるスタナン気体の圧力が低下することを究明した。
【0016】
一方、気体の流量制御をなすマスフローコントロ−ラは一般的に大気圧(760Torr)より高圧側の気体の流量制御が容易であるものの、低圧側の気体に対しては低圧マスフローコントロ−ラを用いて対応している。しかしながら、低温(例えば−60℃以下)で扱うスタナン気体の供給システムでは低圧マスフローコントロ−ラを使用しても、ボンベ1内のスタナン液体の温度低下、それに伴う供給ラインL1に供給されるスタナン気体圧力の低減によって低圧マスフローコントロ−ラの流量制御可能な圧力レンジを下回ることが起こる。
【0017】
このように供給するスタナン気体の圧力が変動する(特に圧力が下がる)スタナン気体供給システムにおいて、前記圧力検出器5と制御手段(制御器6および制御バルブVc1を有する室温空気供給系21から構成)とでボンベ1(主にスタナン液体)の温度制御、すなわちボンベ1から供給するスタナン気体の圧力制御を行うことによって、スタナン気体供給ラインL1に供給され、流通するスタナン気体の圧力を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な圧力レンジ、例えば50〜300Torr内にでき、供給ラインL1を流通するスタナン気体を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで所期流量に正確に調節して極端紫外線放射源41に供給することができる。
【0018】
このような制御系を有する第1実施形態に係る図1に示す構成のスタナン気体供給システムの動作を以下に具体的に説明する。
【0019】
予め冷却(例えば−80℃)されたスタナン液体およびスタナン気体の混合物を収容したボンベ1を筐体2内にセットする。直ちに、冷凍機11の冷凍サイクルによりボンベ1を−60℃より低温(例えば−80℃)に冷却する。すなわち、冷凍機11の圧縮機13を駆動して循環ラインL2の冷媒を圧縮する。圧縮された高圧の冷媒は、循環ラインL2を通して凝縮器14に導入され、ここで熱交換されて凝縮され、液化される。液化冷媒は、循環ラインL2を通して膨張弁15に導かれ、ここで膨張して下流側の蒸発器である循環捲回部12で気化され易いように圧力が下げられる。圧力が下げられた液化冷媒は、蒸発器である循環ラインL2の捲回部12で気化され、その気化熱でボンベ1を冷却する。このような冷凍機11の冷媒による冷凍サイクルによりボンベ1内のスタナン液体およびスタナン気体の混合物を−60℃より低温(例えば−80℃)に冷却し、極端紫外線放射源41へのスタナン気体の供給準備が完了する。
【0020】
ボンベ1のバルブおよびスタナン気体供給ラインL1の開閉バルブV1を開き、スタナン気体を供給ラインL1を通して極端紫外線放射源41に供給する。このとき、供給ラインL1を流通するスタナン気体の圧力が圧力検出器5で検出される。この圧力検出値の信号が制御器6の設定圧力(例えば50〜300Torr)範囲内である場合には、制御器6から室温空気供給系21の制御バルブVc1への制御信号が出力されることなく、つまりスタナン気体の供給源であるボンベ1の冷却制御がなされることなく、スタナン気体が供給ラインL1を通して極端紫外線放射源41に供給される。すなわち、スタナン気体は供給ラインL1に介装された50〜300Torrの圧力レンジで流量制御可能な低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給される。この状態で、極端紫外線放射源41を作動することにより放射源41から極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0021】
前記圧力検出器5から制御器6に出力される圧力検出値の信号が設定圧力(例えば50〜300Torr)を外れる、例えば前述したボンベ1でのスタナン液体の気化に伴う冷却により圧力検出器5から設定圧力の下限未満の検出信号が制御器6に出力されると、制御器6から制御信号が室温空気供給系21の制御バルブVc1に出力され、この制御信号に応じた制御バルブVc1の開度調節がなされる。制御バルブVc1の開度調節により室温空気が室温空気供給ラインL3を通して内側筐体2内に供給され、ボンベ1(主にスタナン液体)が加温される。ボンベ1の加温によって、前述したスタナン液体の温度とスタナン気体の圧力との指数関数的な比例関係からスタナン気体供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力が上昇し、前記制御器4の設定圧力、つまり低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な50〜300Torrの圧力レンジに制御される。その結果、スタナン気体は供給ラインL1に介装された低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給され、極端紫外線放射源41から継続して極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0022】
一方、圧力検出器5から制御器6に出力される圧力検出値の信号が設定圧力(例えば50〜300Torr)の上限を超えると、制御器6を通して室温空気供給系21の制御バルブVc1を閉じる信号が出力され、室温空気供給ラインL3から内側筐体2内への室温空気の供給が停止される。すなわち、冷凍機11によるボンベ1(主にスタナン液体)の冷却がなされる。ボンベ1の冷却によって、前述したスタナン液体の温度とスタナン気体の圧力との指数関数的な比例関係からスタナン気体供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力が下がり、前記制御器4の設定圧力、つまり低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な50〜300Torrの圧力レンジに制御される。その結果、スタナン気体は供給ラインL1に介装された低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給され、極端紫外線放射源41から継続して極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0023】
したがって、第1実施形態によれば分解のない安定した温度まで冷却されたスタナン気体を極端紫外線放射源41に供給するスタナン気体供給システムにおいて、圧力検出器5と制御手段(制御器6および制御バルブVc1を有する室温空気供給系21から構成)とでボンベ1(主にスタナン液体)の温度制御、すなわちボンベ1から供給するスタナン気体の圧力制御を行うことによって、スタナン気体供給ラインL1に供給され、流通するスタナン気体の圧力を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な圧力レンジ、例えば50〜300Torr内にできるため、供給ラインL1を流通するスタナン気体を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで所期流量に正確に調節して極端紫外線放射源41に供給することができる。その結果、ボンベ1からスタナン気体を供給ラインL1を通して極端紫外線放射源41に供給する間、放射源41から極端紫外線を安定的に放射することができる。
【0024】
事実、流量制御可能な圧力レンジが50〜300Torrの低圧マスフローコントロ−ラLMSFCをスタナン気体供給ラインL1に介装し、設定圧力を50〜300Torrにした制御器6を組み込んだ図1に示すスタナン気体供給システムにおいて、圧力検出器5と制御手段(制御器6および制御バルブVc1を有する室温空気供給系21から構成)とによって冷凍機11で−80℃に定冷却されたボンベ1の温度制御を80分間、その後制御を10分間解除した。このときの供給ラインL1を流通するスタナン気体の圧力および低圧マスフローコントロ−ラLMSFCによるスタナン気体の流量を測定した。その結果を図2に示す。なお、スタナン気体の圧力および流量は電圧換算値とした。
【0025】
図2から明らかなように前記圧力検出器5と制御手段とによるボンベ1(主にスタナン液体)の温度制御によって、供給ラインL1を流通するスタナン気体の圧力を狭いレンジに制御でき、低圧マスフローコントロ−ラLMSFCによるスタナン気体の流量に一定にできることがわかる。
【0026】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係るスタナン気体供給システムを示す概略図である。なお、図3において第1実施形態で説明した図1と同様な部材は同符号を付して説明を省力する。
【0027】
第2実施形態に係るスタナン気体供給システムは、制御器6が冷凍機11の圧縮機13に接続されている。この圧縮機13は、前記制御器6からの制御信号により循環ラインL2を循環する冷媒の圧縮度合が調節される。このような圧縮機13による圧縮度合の調節によって、蒸発器である循環ラインL2の捲回部12でのボンベ1内のスタナンの冷却が制御される。
【0028】
このような図3に示す構成によれば、スタナン気体の極端紫外線放射源41への供給、放射源41からの極端紫外線の放射を行う間、圧力検出器5から制御器6に出力される圧力検出値の信号がその設定圧力(例えば50〜300Torr)を外れる、例えば前述したスタナン液体のボンベ1での気化に伴う冷却により圧力検出器5から設定圧力の下限未満の検出信号が制御器6に出力されると、制御器6から制御信号が冷凍機11の圧縮機13に出力され、この制御信号に応じて圧縮機13の圧縮度合が低減される。このため、前述した冷凍サイクルでのボンベ1の冷却温度(主にスタナン液体の冷却温度)が上がる。ボンベ1の冷却温度が上がることによって、前述したスタナン液体の温度とスタナン気体の圧力との指数関数的な比例関係からスタナン気体供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力が上昇し、前記制御器4の設定圧力、つまり低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な50〜300Torrの圧力レンジに制御される。その結果、スタナン気体は供給ラインL1に介装された低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給され、極端紫外線放射源41から継続して極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0029】
一方、圧力検出器5から制御器6に出力される圧力検出値の信号が設定圧力(例えば50〜300Torr)の上限を超えると、制御器6を通して圧縮機13にその圧縮度合を増加させる(冷媒温度を下げる)制御信号が出力され、循環ラインL2の捲回部12によるボンベ1(主にスタナン液体)の冷却温度を下げる。ボンベ1の冷却温度が下がることによって、前述したスタナン液体の温度とスタナン気体の圧力との指数関数的な比例関係からスタナン気体供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力が下がり、前記制御器6の設定圧力、つまり低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な50〜300Torrの圧力レンジに制御される。その結果、スタナン気体は供給ラインL1に介装された低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給され、極端紫外線放射源41から継続して極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0030】
したがって、第2実施形態によれば分解のない安定した温度まで冷却されたスタナン気体および液体を極端紫外線放射源41に供給するスタナン気体供給システムにおいて、圧力検出器5と制御手段(制御器6および冷凍機11の圧縮機13)とでボンベ1(主にスタナン液体)の温度制御、すなわちボンベ1から供給するスタナン気体の圧力制御を行うことによって、スタナン気体供給ラインL1に供給され、流通するスタナン気体の圧力を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な圧力レンジ、例えば50〜300Torr内にできるため、供給ラインL1を流通するスタナン気体を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで所期流量に正確に調節して極端紫外線放射源41に供給することができる。その結果、ボンベ1からスタナン気体を供給ラインL1を通して極端紫外線放射源41に供給する間、放射源41から極端紫外線を安定的に放射することができる。
【0031】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係るスタナン気体供給システムを示す概略図である。なお、図4において第1実施形態で説明した図1と同様な部材は同符号を付して説明を省力する。
【0032】
冷却手段である液体窒素供給系31は、液体窒素ボンベ32を備えている。液体窒素供給ラインL4は、この液体窒素ボンベ32に一端が接続され、他端が外側筐体4および内側筐体2を貫通し、その内側筐体2の貫通部においてスタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容されるボンベ1を捲回して冷却する冷却捲回部33を有する。液体窒素供給ラインL4には、制御器6からの制御信号により開度調節がなされる制御バルブVc2が介装されている。液体窒素供給系31は、制御バルブVc2の開度調節によって、液体窒素供給ラインL4への液体窒素の供給量が調節され、供給ラインL4の冷却捲回部33でのボンベ1内のスタナンの冷却が制御される。
【0033】
このような図4に示す構成によれば、スタナン気体の極端紫外線放射源41への供給、放射源41からの極端紫外線の放射を行う間、圧力検出器5から制御器6に出力される圧力検出値の信号がその設定圧力(例えば50〜300Torr)を外れる、例えば前述したボンベ1でのスタナン液体の気化に伴う冷却により圧力検出器5から設定圧力の下限未満の検出信号が制御器6に出力されると、制御器6から制御信号が液体窒素供給系31の制御バルブVc2に出力され、この制御信号に応じて制御バルブVc2の開度が低減される。このため、前述した液体窒素ボンベ32から供給ラインL4を通して冷却捲回部33に供給される液体窒素量が減少してボンベ1(主にスタナン液体)の冷却温度が上がる。ボンベ1の冷却温度が上がることによって、前述したスタナン液体の温度とスタナン気体の圧力との指数関数的な比例関係からスタナン気体供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力が上昇し、前記制御器6の設定圧力、つまり低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な50〜300Torrの圧力レンジに制御される。その結果、スタナン気体は供給ラインL1に介装された低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給され、極端紫外線放射源41から継続して極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0034】
一方、圧力検出器5から制御器6に出力される圧力検出値の信号が設定圧力(例えば50〜300Torr)の上限を超えると、制御器6を通して液体窒素供給系31の制御バルブVc2にその開度を増加させる(液体窒素の供給量を増大させる)制御信号が出力され、液体窒素供給ラインL4の冷却捲回部33によるボンベ1(主にスタナン液体)の冷却温度を下げる。ボンベ1の冷却温度が下がることによって、前述したスタナン液体の温度とスタナン気体の圧力との指数関数的な比例関係からスタナン気体供給ラインL1に供給されるスタナン気体の圧力が下がり、前記制御器4の設定圧力、つまり低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な50〜300Torrの圧力レンジに制御される。その結果、スタナン気体は供給ラインL1に介装された低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで正確に流量調節されて極端紫外線放射源41に供給され、極端紫外線放射源41から継続して極端紫外線を安定的に放射することが可能になる。
【0035】
したがって、第3実施形態によれば分解のない安定した温度まで冷却されたスタナン気体を極端紫外線放射源41に供給するスタナン気体供給システムにおいて、圧力検出器5と制御手段(制御器5および液体窒素供給系31の制御バルブVc2)とでボンベ1(主にスタナン液体)の温度制御、すなわちスタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容されるボンベ1から供給するスタナン気体の圧力制御を行うことによって、第1実施形態で説明したようにスタナン気体供給ラインL1に供給され、流通するスタナン気体の圧力を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCの流量制御可能な圧力レンジ、例えば50〜300Torr内にできるため、供給ラインL1を流通するスタナン気体を低圧マスフローコントロ−ラLMSFCで所期流量に正確に調節して極端紫外線放射源41に供給することができ、ボンベ1からスタナン気体を供給ラインL1を通して極端紫外線放射源41に供給する間、放射源41から極端紫外線を安定的に放射することができる。
【0036】
なお、第3実施形態ではスタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容されるボンベ1の冷却を液体窒素ボンベ32からの液体窒素により行ったが、液体窒素ボンベの代わりに液体ヘリウム、液体アルゴン、液体二酸化炭素等の低温液化ガスを収容した密閉容器(例えばボンベ)を用い、液体ヘリウム液体アルゴン、液体二酸化炭素等の低温液化ガスで前記ボンベ1内のスタナンを冷却してもよい。
【0037】
また、第1〜第3の実施形態では低圧マスフローコントロ−ラとして流量制御可能な圧力レンジが50〜300Torrのものを用いたが、この圧力レンジより低圧力で流量制御可能な低圧マスフローコントロ−ラを用いてもよい。
【0038】
さらに、第1〜第3の実施形態において低圧マスフローコントロ−ラLMSFCと開閉バルブV1の間のスタナン気体供給ラインL1部分から開閉バルブを有する排気ラインを分岐し、スタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容されるボンベ1からのスタナン気体の供給初期において、そのスタナン気体の供給圧力が所期の値に安定するまでの間、この排気ラインを通してスタナンを排気してもよい。すなわち、スタナン気体の供給圧力が所期の値から外れる間はスタナン気体を極端紫外線放射源41に供給せず、その供給圧力が安定したときに、スタナン気体を極端紫外線放射源41に供給し、放射源41の作動、極端紫外線の放射を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1実施形態に係るスタナン気体供給システムを示す概略図。
【図2】ボンベ1の温度制御を80分間、その後制御を10分間解除したときの供給ラインL1を流通するスタナン気体の圧力および低圧マスフローコントロ−ラLMSFCによるスタナン気体の流速を示す図。
【図3】第2実施形態に係るスタナン気体供給システムを示す概略図。
【図4】第3実施形態に係るスタナン気体供給システムを示す概略図。
【符号の説明】
【0040】
1…スタナン液体およびスタナン気体の混合物が収容されるボンベ、2、4…筐体、5…圧力検出器、6…制御器、11…冷凍機、12…捲回部(蒸発器)、13…圧縮機、21…室温空気供給系、31…液体窒素供給系、32…液体窒素ボンベ、41…極端紫外線放射源、L1,L3,L4…供給ライン、L2…冷媒循環ライン、LMSFC…低圧マスフローコントローラ、Vc1,Vc2…制御バルブ。
【出願人】 【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久

【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2008−47426(P2008−47426A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222191(P2006−222191)