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【発明の名称】 マイクロ波加熱方法
【発明者】 【氏名】苔口 典之

【要約】 【課題】加熱温度制御性及び加熱均一性に優れ、膜均一性に優れた材料が得られるマイクロ波加熱方法を提供する。

【解決手段】マイクロ波吸収体とマイクロ波加熱停止剤とを含む材料にマイクロ波を照射し、該マイクロ波加熱停止剤の作用により、マイクロ波照射中の該材料のマイクロ波吸収を停止させることを特徴とするマイクロ波加熱方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波吸収体とマイクロ波加熱停止剤とを含む材料にマイクロ波を照射し、該マイクロ波加熱停止剤の作用により、マイクロ波照射中の該材料のマイクロ波吸収を停止させることを特徴とするマイクロ波加熱方法。
【請求項2】
前記マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、前記マイクロ波吸収体をマイクロ波非吸収体に変化させる作用を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱方法。
【請求項3】
前記マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、前記マイクロ波吸収体をマイクロ波反射体に変化させる作用を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱方法。
【請求項4】
前記マイクロ波加熱停止剤が、光還元剤を含むことを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波加熱方法。
【請求項5】
前記マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、マイクロ波反射体に変化して、前記マイクロ波吸収体へのマイクロ波到達を阻害する作用を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のマイクロ波加熱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波は、現在、周波数2.45GHzが一般家庭用の電子レンジに、照射均一性に優れた周波数28GHzがセラミックスの焼結等に用いられている。マイクロ波は磁界と電界を持つ電磁波であり、マイクロ波加熱とは、物質に電磁波が与えれた時に、導電損失、誘電損失、磁性損失によって熱損失が起こり発熱することを利用して行われる加熱方法とされている。導電損失としては導電体としてカーボンを用いた例が、誘電損失としては誘電体として水、アルミナ等を用いた例が、また、磁性損失としては磁性体としてフェライト等を用いた例が挙げられる。
【0003】
マイクロ波加熱は、電界分布が均一になる(均一加熱が可能になる)、誘電損率の温度依存性が小さい(熱暴走が防止できる)、加熱効率が高い(省エネルギー効果がある)、非熱的作用が大きい(低温焼結効果が高まる)、準光学的性質がある(電界分布制御ができる)等の効果を有しており、マイクロ波を選択的に吸収できる部分加熱ができたり、加熱対象を直接加熱できるので昇温や降温の時間が短縮できる利点がある。このような利点を生かして、マイクロ波加熱を電子部材の製造に用いることができることは広く知られている。例えば、透明導電膜を構成する導電性金属酸化物微粒子を含む塗布液を透明支持体上に塗布する工程、形成された塗布被膜にマイクロ波を照射する工程を含む透明導電膜の製造方法(特許文献1参照)、アモルファス半導体材料にマイクロ波を照射することにより、アモルファス半導体材料を結晶化させる半導体結晶化方法(特許文献2参照)、薄膜の表面に導電体を接触させた状態として、マイクロ波を照射して薄膜を加熱する薄膜マイクロ波加熱方法(特許文献3参照)が開示されている。しかしながら、いずれの特許文献も、マイクロ波吸収体が、常にマイクロ波加熱を行う系に存在しており、加熱時間制御は、マイクロ波の照射時間、マイクロ波照射の周波数、マイクロ波照射装置の反射制御にたよらざるを得なくなり、その結果、マイクロ波加熱の終了時間の制御が難しい、大面積過熱には大掛かりなマイクロ波照射装置が必要で、加熱の均一性の確保が難しいという課題がある。また、これらの特許文献には、本発明に係るマイクロ波加熱停止剤による非照射側材料からの温度制御の概念は開示されていない。
【特許文献1】特開2000−123658号公報
【特許文献2】特開2005−294744号公報
【特許文献3】特開2006−60064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、加熱均一性が向上したマイクロ波加熱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0006】
1.マイクロ波吸収体とマイクロ波加熱停止剤とを含む材料にマイクロ波を照射し、該マイクロ波加熱停止剤の作用により、マイクロ波照射中の該材料のマイクロ波吸収を停止させることを特徴とするマイクロ波加熱方法。
【0007】
2.前記マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、前記マイクロ波吸収体をマイクロ波非吸収体に変化させる作用を有することを特徴とする前記1に記載のマイクロ波加熱方法。
【0008】
3.前記マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、前記マイクロ波吸収体をマイクロ波反射体に変化させる作用を有することを特徴とする前記1に記載のマイクロ波加熱方法。
【0009】
4.前記マイクロ波加熱停止剤が、光還元剤を含むことを特徴とする前記3に記載のマイクロ波加熱方法。
【0010】
5.前記マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、マイクロ波反射体に変化して、前記マイクロ波吸収体へのマイクロ波到達を阻害する作用を有することを特徴とする前記1に記載のマイクロ波加熱方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、加熱温度制御性及び加熱均一性に優れ、膜均一性に優れた材料が得られるマイクロ波加熱方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、マイクロ波吸収体とマイクロ波加熱停止剤とを含む材料にマイクロ波を照射し、該マイクロ波加熱停止剤の作用により、マイクロ波照射中の該材料のマイクロ波吸収を停止させることを特徴とするマイクロ波加熱方法により、加熱均一性が向上したマイクロ波加熱方法を見出し、本発明に至った次第である。
【0014】
以下、本発明の詳細について、更に説明する。
【0015】
本発明に係る請求項1のマイクロ波加熱方法は、マイクロ波吸収体とマイクロ波加熱停止剤とを含む材料にマイクロ波を照射し、マイクロ波加熱停止剤の作用により、マイクロ波照射中においても該材料のマイクロ波吸収を停止させることを特徴とする。すなわち、マイクロ波加熱停止剤とマイクロ波吸収体とを同一材料に含有させることにより、材料内のマイクロ波吸収体の不均一が生じた場合に、その不均一が生じた部位に応じて加熱停止剤が作用し、結果として材料加熱の均一性が向上するものである。
【0016】
本発明でいうマイクロ波吸収体とは正負の極性双極子で、電界方向が1秒間に何百万回も極性が入れ替わる数〜数10MHzの高周波交流の電界中で、電界の反転に追従しようとする双極子の激しい運動による摩擦で発熱を生みだす特性を有しているものであり、例えば、マイクロ波加熱方法により形成した透明導電膜の焼結処理を施す場合、透明導電膜を形成する化合物として金属酸化物等、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化すず、Snドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化すず(ATO)、フッ素ドープ酸化すず(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛等、またはこれらの混合物を用い、それらを加熱して焼結処理が行われる。
【0017】
また、本発明でいうマイクロ波加熱停止剤とは、上記のマイクロ波吸収体へのマイクロ波の吸収を停止させる作用を有するものであり、好ましくは、以下に挙げる方法が挙げられる。マイクロ波加熱停止剤は、固体、ガス、溶液等のいかなる添加形態でもよいが、その中でも固体が好ましく、さらに、バインダー等で固定化して添加する方法がより好ましい。固体として添加する場合の好ましいマイクロ波加熱停止剤粒子の平均粒子径は、1nm〜700nmであり、さらに好ましくは、1nm〜50nmである。
【0018】
本発明に係る請求項2のマイクロ波加熱方法は、マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、マイクロ波吸収体をマイクロ波非吸収体に変化させる作用を有することを好ましい態様とする。本発明でいうマイクロ波吸収体をマイクロ波非吸収体に変化させるとは、例えば、マイクロ波吸収体が固体の場合は、ガス化、溶解、イオン化等により非吸収体に化学変化させる方法が挙げられる。例えば、マイクロ波吸収体が金属酸化物の場合は、マイクロ波加熱停止剤としてキレート剤等を用い、加熱に応じてキレート剤が拡散して金属酸化物を溶解させてマイクロ波吸収による加熱を停止させる方法等を挙げることができる。
【0019】
例えば、マイクロ波吸収体として金属酸化物、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化すず等を用い、マイクロ波加熱停止剤として、金属錯体形成能を有するピコリン酸、フェナントロリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)等のキレート剤を用いて、マイクロ加熱時に、金属酸化物を、それぞれのキレート剤−金属錯体、例えば、ピコリン酸−亜鉛錯体、EDTA−銅錯体等に変化させることで、マイクロ波吸収能を消失し、加熱を停止する方法である。金属酸化物を金属錯体にする場合の金属酸化物とキレート剤との添加量比は、該キレート剤と金属から形成される錯体のモル比を基準として、キレート剤を少なくとも1倍以上添加すればよく、好ましくは1倍〜10倍程度である。
【0020】
本発明に係る請求項3のマイクロ波加熱方法では、マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、マイクロ波吸収体をマイクロ波反射体に変化させる作用を有することを好ましい態様とする。本発明でいうマイクロ波吸収体をマイクロ波反射体に変化させるとは、例えば、マイクロ波吸収固体を、金属光沢面を有するマイクロ波反射体に変化させる場合が挙げられる。マイクロ波吸収固体が黒化した金属化合物の場合は、マイクロ波加熱防止剤として還元剤を作用させ、金属光沢のある金属に還元する方法を挙げることができる。還元剤を作用させるトリガーとして、マイクロ波加熱による熱以外に、光還元剤を好ましく用いることができる。熱以外に新たなトリガーを設けることにより、加熱停止の応答性と利便性がより向上する。
【0021】
例えば、マイクロ波吸収体として金属酸化物(例えば、酸化銅、酸化銀、酸化チタン、酸化亜鉛等)に、マイクロ波加熱停止剤として、還元剤(例えば、ヒドラジン、ヒドラジン塩、ボロハライド塩、次亜燐酸塩、次亜硫酸塩、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸塩、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素リチウム、ジボラン、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等)や、請求項4に係る発明で適用する光還元剤(例えば、アクリダン、フェロセン等)を作用させて、金属酸化物を、メタリックな表面を有する金属銅、金属銀、金属チタン、金属亜鉛に変化させることで、マイクロ波反射体(非マイクロ波吸収体)に変化させる方法である。マイクロ波加熱停止剤として、還元剤を用いる場合の還元剤の添加量は、マイクロ波吸収体の金属酸化物の金属原子の1倍モル以上が好ましく、より好ましくは1倍モル〜5倍モルである。
【0022】
本発明に係る請求項5のマイクロ波加熱方法では、マイクロ波加熱停止剤が、マイクロ波照射中に、マイクロ波反射体に変化して、マイクロ波吸収体へのマイクロ波到達を阻害する作用を有することが好ましい態様である。すなわち、マイクロ波吸収体を含む層の上に、マイクロ波加熱停止剤を含む層を別途設けて、マイクロ波到達を阻害する構成を挙げることができる。
【0023】
例えば、マイクロ波吸収体を含む下層を形成し、この下層の上部に、マイクロ波加熱停止剤として金属塩溶解物と還元剤とを含む上層を形成し、マイクロ波照射中に、マイクロ波が上層に照射されることにより、金属塩溶解物が還元されて、金属膜を形成してマイクロ波反射体(非マイクロ波吸収体)に変化させる方法である。
【0024】
本発明のマイクロ波加熱方法で適用可能なマイクロ波としては、300MHzから300GHzのマイクロ波を適宜選択して適用することが好ましいが、更には1〜100GHzの範囲のマイクロ波が好ましく、特には2.4GHz〜28GHzのマイクロ波が好ましいが、コスト面からは2.4GHzが好ましく、大面積均一性を得る観点からは28GHzが好ましい。照射時間は、例えば、500Wであれば、0.5分〜20分、1000Wであれば0.3分〜5分の照射で十分である。
【0025】
本発明のマイクロ波加熱方法は、短時間加熱であり、周辺材料に対するダメージが少ないことが特徴であり、従来は高温焼結ができなかった高分子フィルムを基材として有する材料に対して特に有効に用いることができる。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリイミド、アクリル、ポリカーボネート、ポルエチレンスルフォネート、トリアセテート、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0026】
本発明のマイクロ波加熱方法は、様々な分野への適用が可能あるが、その中でも、電子ペーパー用途等で用いられる電気化学表示素子の透明導電性電極、または半導体多孔質層、または白色散乱層を作製する場合に好ましく用いることができる。
【0027】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化、あるいは低価格化に伴い、従来、紙等への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大しており、その閲覧手段の1つとして、各種方式の電子ペーパーと称させる表示素子が知られている。それらの中で、電気化学表示素子は、白表示の高い反射率を有し、また同時に高コントラストを表示することが可能であり、ペーパーライクな表示が行える有力な技術手段とされている。
【0028】
この高反射率、高コントラストを実現する技術手段として、電極の光透過性、白表示に必要な白色散乱物はキー技術要素であり、素子の可撓性を見据えて、樹脂基板上に安価に、短時間でそれらの各機能層を製造する技術が求められている。本発明の方法を適用することにより、従来、加熱炉等で行っていた長時間プロセスが簡略化され、樹脂基板上への素子形成をより簡便に行うことができ、また部材の均質性も向上できる利点がある。
【0029】
本発明のマイクロ波加熱方法を好ましく適用できる透明導電性電極の形成には、金属酸化物を用いることが好ましく、これらを層として形成することが好ましい。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化すず、Snドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化すず(ATO)、フッ素ドープ酸化すず(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛等、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
本発明のマイクロ波加熱方法を好ましく適用できる半導体多孔質層の形成としては、上記金属酸化物の複数個の微粒子を結着または接触させることにより形成される。金属酸化物微粒子の平均粒子径は5nm〜10μmが好ましく、より好ましくは20nm〜1μmである。また、金属酸化物微粒子の比表面積は、簡易BET法で1×10-3〜1×1022/gであることが好ましく、より好ましくは1×10-2〜10m2/gである。また、金属酸化物微粒子の形状は、不定形、針状、球形など任意の形状のものが用いられる。半導体多孔質層の厚みは、1μm以上、5μm以下が好ましい。1μm以下では、表示素子のコントラストの低下を招き、また5μmを超える場合は、表示素子の解像度の低下を招き不利である。
【0031】
金属酸化物微粒子の形成または結着法としては、公知のゾルゲル法や焼結法を採用することができ、例えば、1)Journal of the Ceramic Society of Japan,102,2,p200(1994)、2)窯業協会誌90,4,p157、3)J.of Non−Cryst.Solids,82,400(1986)等に記載の方法が挙げられる。また、気相法により作製した酸化チタンデンドリマー粒子を溶液上に分散して基体上に塗布し、120〜150℃程度の温度で乾燥して溶媒を除去して多孔質電極を得る方法を用いることもできる。
【0032】
また、「透明導電膜の低抵抗・低温・大面積成膜技術」(2005年7月、株式会社技術協会刊 ISBN4−86104−078−7 C3058)に記載の化学溶液析出法等の低温プロセスを用いることにより、特に多孔質層が透明電極を介して画素回路の一部に接続されている場合は、画素回路へのダメージが少なく、画素回路が集積したディスプレイ表示において、画素間の表示バラつきを低減できる利点がある。
【0033】
金属酸化物微粒子は結着させた状態が好ましく、連続加重式表面性測定機(例えば、スクラッチ試験器)で0.1g以上、好ましくは1g以上の耐性を有する状態が好ましい。
【0034】
表示素子の白表示を可能とするために、対向電極間、または対向電極間の外側に白色散乱層を設けることができる。本発明のマイクロ波加熱方法を好ましく適用できる白色散乱層の形成では、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
【0035】
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
【0036】
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0037】
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
【0038】
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0039】
電気化学表示素子としては、エレクトロクロミック表示素子、エレクトロでポジション型表示素子等が挙げられる。具体的には、特開2006−39157号、同2006−30616号、同2006−71765号、同2006−106669号、特開2005−345613号、同2005−266652号、特表2004−509374号、特表2001−527226号、米国特許第2005/0128562号等に記載されている透明導電性電極、半導体多孔質層を挙げることができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0041】
実施例1
〔試料1aの作製:比較例〕
100μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、Snを10モル%含む酸化インジウム粒子45gとアクリル系樹脂5gとを100gのケトン系溶媒に分散した溶液を塗布し、溶媒を乾燥させ試料1aを得た。
【0042】
〔試料1bの作製:本発明〕
上記作製した試料1a上に、2gの酸化亜鉛、1gのポリキレングリコール系界面活性剤とを100gの水に分散させた水分散溶液を塗布し、水を乾燥させてた。次いで、アクリル系熱硬化樹脂を2μm塗布して乾燥後、さらにその上に、ピコリン酸を3質量%含む水溶液を塗布し、水を乾燥させて試料2を得た。
【0043】
〔評価〕
上記作製した試料1a、1bに対して、電子レンジ(東芝社製 東芝電子レンジERT−540F)を用いて3分間マイクロ波を照射した。その後、試料1a、1bとも水洗、乾燥した。得られた各試料に対して、三菱化学(株)製ORESTA−FPを用いて4探針法によって表面抵抗値を任意の5箇所測定し、(最大値−最小値)/平均値の100分率を計算して、ばらつきを評価した。試料1aのばらつきが7.2%に対して、試料1bのばらつきは3.5%であり、本発明の効果が確認できた。また、酸化亜鉛に代えて酸化銅、ピコリン酸に代えてフェナントロリンを用いても同様の効果が確認できた。
【0044】
実施例2
〔試料2の作製:本発明〕
実施例1に記載の試料1bの作製において、酸化亜鉛を酸化銀に、ピコリン酸を硫酸ヒドラジンにそれぞれ変更した以外は同様にして、試料2を得た。
【0045】
〔評価〕
実施例1と同様の方法で表面抵抗値のばらつき評価を行った結果、試料2のばらつきは2.9%であり本発明の効果が確認できた。また、酸化銀に代えて酸化銅を用いても同様の効果が確認できた。
【0046】
実施例3
〔試料3の作製:本発明〕
実施例1に記載の試料1bの作製において、ピコリン酸をアクリダンに変更した以外は同様にして、試料3を得た。
【0047】
〔評価〕
マイクロ波照射時に、170mW/cm2の紫外線を同時に照射した以外は実施例1と同様にして、表面抵抗値のばらつき評価を行った結果、試料1aのばらつきが7.1%に対して、試料3のばらつきは2.1%であり、本発明の効果が確認できた。
【0048】
実施例4
〔試料4の作製:本発明〕
実施例2に記載の試料2の作製において、酸化銀をトリフルオロメタンスルホン酸銀に変更した以外は同様にして、試料4を得た。
【0049】
〔評価〕
実施例1と同様の方法で表面抵抗値のばらつき評価を行った結果、試料4のばらつきは3.1%であり、本発明の効果が確認できた。
【0050】
実施例5
〔表示素子1の作製:比較例〕
厚さ1.5mmで2cm×2cmのガラス基板上に、ピッチ5mm、電極幅4mmの錫をドープした酸化インジウム膜(以下、ITO膜と略記する)を公知の方法に従って形成(電極1)し、このITO膜上に、テルピネオールに分散した酸化チタン(一次平均粒子径30nm)分散液を付与し、350℃で1時間加熱炉で焼成して、酸化チタン多孔質層(乾燥膜厚10μm)を形成し(電極2)、1−ホスホノプロピル−1′−メチル−4,4′−ビピリジニウム ジブロマイドを10mmol含むエタノール溶液に4時間浸漬して、その後エタノールを蒸発させた。これに、ガラス製スペーサ(平均粒子径:20μm)を介して電極1のITO膜が内側を向くように電極1を重ね合わせ、その間隙に、5mmolの過塩素酸リチウム、酸化チタン(平均一次粒径:0.34μm)を30質量%、ポリエチレングリコール(平均分子量50万)を4質量%含むγ−ブチロラクトン溶液を胆持させて、エレクトロクロミック表示素子である表示素子1を作製した。
【0051】
〔表示素子2の作製:本発明〕
表示素子1の作製に用いた電極1に2gの酸化亜鉛、1gのポリキレングリコール系界面活性剤とを100gの水に分散させた水分散溶液を塗布し、水分を乾燥させてた。次いで、アクリル系熱硬化樹脂を2μm塗布して乾燥後、さらにその上に、ピコリン酸を3質量%含む水溶液を塗布し、水分を乾燥させた。その後、実施例1に記載のマイクロ波を照射し、水洗乾燥して電極3を作製した。
【0052】
上記表示素子1の作製において、電極2を電極3に変更した以外は同様にして、表示素子2を作製した。
【0053】
〔表示素子の評価〕
上記作製した各表示素子について、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dのD65光源のエレクトロクロミック色素の1.5V500msecの電圧印加の着色状態の最大吸収波長における反射率を任意の場所に対して5点求め、反射率の(最大値−最小値)/平均値の100分率を計算してばらつきを評価した。表示素子1のばらつきが10.2%に対して、表示素子2のばらつきは4.2%であり、本発明の効果が確認できた。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年10月6日(2006.10.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−97862(P2008−97862A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−275007(P2006−275007)