| 【発明の名称】 |
薄膜パターンの形成方法、有機ELディスプレイの製造方法及び有機ELディスプレイ |
| 【発明者】 |
【氏名】寺尾 豊
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| 【要約】 |
【課題】従来のリフトオフ法の有する種々の問題を解決した薄膜パターンの形成方法、該方法を利用した、安価で信頼性の高い有機ELディスプレイパネル及びその製造方法を提供する
【構成】表面にレジストパターンが形成された基板上に絶縁薄膜を形成する工程、 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上にレジストからなるパターンを形成する工程、 表面にレジストパターンが形成された基板上に絶縁薄膜を形成する工程、 レジストを溶剤で除去するとともに、レジスト上に形成された薄膜をリフトオフすることによって絶縁薄膜パターンを形成する工程を有し、前記レジストからなるパターンを形成する工程で形成されたレジストの頂部が基板に対して平行方向に突出したオーバーハング部を有し、前記絶縁薄膜パターンを形成する工程において、前記レジストのオーバーハング部の先端が基板に近づくように変形することを特徴とする薄膜パターンの形成方法。 【請求項2】 前記絶縁薄膜の中央部の厚さをt、変形後のオーバーハング部底部の基板からの高さをy′としたとき、 t≧y′≧0.5t であることを特徴とする請求項1記載の薄膜パターンの形成方法。 【請求項3】 前記レジストからなるパターンを形成する工程で形成されたレジストのオーバーハング部の長さをx、オーバーハング部先端底部の基板からの高さをy、としたとき、 10t≧x≧5.5t、2t≧y>t であることを特徴とする請求項2記載の薄膜パターンの形成方法。 【請求項4】 前記レジストが単層のレジストからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜パターンの形成方法。 【請求項5】 前記レジストが2種の樹脂材料の積層体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜パターンの形成方法。 【請求項6】 前記表面にレジストパターンが形成された基板上に絶縁薄膜を形成する工程における絶縁薄膜の形成がスパッタ法によることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜パターンの形成方法。 【請求項7】 前記表面にレジストパターンが形成された基板上に絶縁薄膜を形成する工程における絶縁薄膜の形成がイオンプレーティング法によることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜パターンの形成方法。 【請求項8】 基板上に少なくとも第1電極、絶縁薄膜、有機EL層及び第2電極を順次積層してなる有機ELディスプレイの製造方法であって、 (1)基板上に第1電極を形成する工程と、 (2)第1電極の形成された基板上に、前記第1電極上に開口部を有し、少なくとも第1電極端部を覆うように絶縁薄膜を形成する工程と、 (3)有機EL層を形成する工程と、 (4)第2電極を形成する工程と を有し、前記工程(2)における絶縁薄膜の形成が請求項1〜7のいずれか1項に記載の薄膜の形成方法であることを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。 【請求項9】 前記基板が、基板上に少なくともパターン化された色変換フィルタ層、平坦化層、及びパッシベーション層が形成された第1電極基板であることを特徴とする請求項8記載の有機ELディスプレイの製造方法。 【請求項10】 前記工程(4)の後に、少なくとも色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項8記載の有機ELディスプレイの製造方法。 【請求項11】 基板上に少なくとも第1電極、絶縁薄膜、有機EL層及び第2電極を順次積層してなり、前記絶縁薄膜が前記第1電極上に開口部を有し、少なくとも第1電極端部を覆うように形成された無機材料からなる薄膜であり、第1電極表面と絶縁膜の側面のなす角が1度以上5度未満であり、かつ、絶縁薄膜中央部の膜厚をtとしたとき、絶縁薄膜の開口部近傍における膜厚が0.9t以下である部分の幅が10t以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。 【請求項12】 前記基板が、基板上に少なくともパターン化された色変換フィルタ層、平坦化層、及びパッシベーション層が形成された第1電極基板であることを特徴とする請求項11記載の有機ELディスプレイ。 【請求項13】 前記第2電極側に少なくとも透明基板と色変換フィルタ層を含む色変換フィルタ基板を設けることを特徴とする請求項11記載の有機ELディスプレイ。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、リフトオフ法を用いた薄膜パターンの形成方法、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという。)ディスプレイの製造方法及び有機ELディスプレイに関する。 【背景技術】 【0002】 有機化合物のエレクトロルミネセンスを利用した有機ELディスプレイパネルの1つに、パッシブマトリクス(単純マトリクス)型ディスプレイパネルがある。パッシブマトリクス型ディスプレイパネルは、ラインパターンを有する複数の導電層からなる第1電極と、第1電極に直交するラインパターンを有する複数の導電層からなる第2電極と、両電極に挟持される有機発光層から構成される。第1電極と第2電極との交差領域の発光部を単位として1画素を形成し、画素を複数個配列することにより表示部が形成される。 【0003】 また、パッシブマトリクス型ディスプレイパネルでは、フルカラー表示を可能にするために、第1電極と透明基板との間に色変換フィルタが形成されている。 【0004】 上記の第1電極及び第2電極は各々ストライプ状にパターニングされ、各電極は縁部を有している。この縁部は電極形状が急激に変化している部分であり、電界の集中が起こりやすい部分である。この電界が集中する部分では、有機EL層が絶縁破壊を起こし、第1電極と第2電極の短絡(クロストーク)が生じる。その結果、短絡した第1電極または第2電極の部分のすべての画素が常時発光するなどの表示欠陥が生じる。 【0005】 第1電極と第2電極の短絡を防止する提案がある(例えば、特許文献1参照。)。 この提案では、複数の互いに対向する電極対とこの電極間に配置された有機EL層からなる電界発光素子であって、この有機EL層及び少なくとも一方の電極の間に挟まれ、かつ、電極の縁部に沿って延在する絶縁層を備えたものを開示している。この絶縁層により前記電極対間の漏洩電流を遮断している。 【0006】 また、有機EL層を形成する材料は水分に弱いため、ウエットプロセスであるフォトリソグラフ法により第2電極を形成することはできず、一般に、蒸着法により形成されている。このとき、第2電極と第1電極との間の絶縁性を確保するための絶縁膜を設けるとともに、ストライプ状の複数の第2電極間の絶縁性を確保するため、第2電極のストライプ長手方向と平行に延びる隔壁を設ける提案もある(例えば、特許文献2参照。)。 【0007】 図3は本発明のボトムエミッション型有機ELディスプレイの模式斜視図及び模式部分断面図を示すが、特許文献2で提案された有機ELディスプレイの構造も、基板上に形成された絶縁膜の材質あるいはさらにその形状細部を除けば同様の構造をしており、図3を援用して特許文献2記載の有機ELディスプレイを説明する。 【0008】 図3に示すように、カラーフィルタ及びそれを覆う平坦化膜を備えた基板101上に複数の第1電極が平行なストライプ状に形成され、第1電極102のストライプ長手方向と直交する方向及び隣接する第1電極間における第1電極のストライプ長手方向と平行な方向に伸びるように絶縁膜103が形成される。そして、第1電極のストライプ長手方向と直交する方向に伸びる絶縁膜103の上に逆テーパー状の隔壁104が形成された後、有機EL層105及び第2電極106が蒸着により形成されて、有機EL層105の上に形成された第2電極106同士や第2電極106と第1電極102との絶縁性を確保している。絶縁膜103や隔壁104はフォトレジスト樹脂で形成される。なお、図3(a)は基板101上に第1電極102、絶縁膜103及び隔壁104の形成が完了した状態の模式斜視図を示し、図3(b)、(c)は第2電極106の形成が完了した状態での部分模式断面図を示す。 【0009】 有機EL層105は非常に薄い薄膜として蒸着により第1電極102上に形成される。そのため、第1電極102上に微粒子が付着していると、有機EL層105が良好に形成されず、その部分の有機EL素子が不良となる。この微粒子等の付着は、ITO等の導電性透明材料で第1電極を形成する際や、その後の絶縁膜103及び隔壁104の形成時等に発生する可能性がある。そのため、最近では、有機EL層105の形成前にプラズマ処理あるいはUV/O3処理を行う工程が設けられている。 【0010】 絶縁膜の材料としてはポリイミド、ノボラック樹脂などの有機材料が用いられる。このような有機材料を用いることの利点は、十分な耐電圧を有する膜厚で絶縁膜をフォトリソグラフ法などを用いて簡便に形成できることにある。しかし、これらの材料は吸湿性が高いために、有機発光層の変質をもたらす水分が含有される可能性が高く、有機発光層を形成する前に十分に水分を除去しておく必要が生じる。 【0011】 ディスプレイとして高い信頼性が求められる場合、例えば車載用ディスプレイなどでは、有機ELディスプレイは、高温高湿下のような悪条件でも輝度の低下が小さいことが求められる。特に高温下での駆動では、有機材料からの水分の放出が温度上昇に伴って加速度的に増加し、有機EL層に拡散する。この水分の放出は有機EL層の変質を招き、発光面積を低下させる要因となる。 【0012】 また、有機材料からなる絶縁膜は、有機EL層形成前のプラズマ処理あるいはUV/O3処理工程において表面及び端部がエッチングされる場合がある。絶縁膜の表面や端部がエッチングされると、エッチングされた有機物が第1電極表面に再付着、汚染することにより、有機EL素子の性能を劣化させることがある。 【0013】 このような問題を解決する方法として、絶縁膜材料に無機材料を用いることが考えられる。このような方法の1つとして絶縁膜材料として酸化珪素や窒化珪素を用いる提案がある(例えば、特許文献3参照。)。これら無機材料を用いた場合の絶縁膜のパターニング方法としてはウエットエッチング及びドライエッチングが提案されているが、酸化珪素、窒化珪素をウエットエッチングで加工する場合、支持基板であるガラスも同時に侵食してしまい、ガラス基板が白濁するという問題が生じる。また、ドライエッチングには高価な真空装置を必要とし、製造コストが高くなるという問題がある。 【0014】 また、感光性無機レジストを使用して無機絶縁膜パターンを作製する提案がある(例えば、特許文献4参照。)。無機レジストは溶媒に水を用いており、膜中の水分を十分に除去するためには、200℃以上の高温でベーク処理を行う必要がある。このため、ディスプレイ用の支持基板として色変換フィルタ層が形成されているものを用いた場合には、色変換フィルタ内の色素がベーク時に熱分解して、色変換能を損なってしまう。また、無機レジストは残渣が残りやすい、十分な感度が得られていないなどの問題が残っており、まだ開発途上の材料である。 【0015】 一方、リフトオフ法を用いて無機絶縁膜のパターンを形成する提案がある(例えば、特許文献5参照。)。リフトオフ法を用いる場合、絶縁膜の成膜法として、真空加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法等の物理的気相堆積法を用いることができ、成膜速度、膜質の観点からは、イオンプレーティング法、マグネトロンスパッタ法を用いることが好ましく、これらの方法を用いることにより生産性、歩留まりの向上を図ることができる。 【0016】 しかし、これらの成膜法では、アルゴン、酸素、窒素等のガスを導入して放電させるために、成膜雰囲気の圧力が真空蒸着法に比べて高く、ソースやターゲットを飛び出した粒子はこれらのガスに衝突して散乱しながら基板に到達することになり、リフトオフレジストのオーバーハング部の下、あるいはアンダーカット領域へ成膜粒子が入り込むことになり、基板上からレジスト側壁にかけて連続膜となりやすい。連続膜が形成されると、リフトオフが困難になったり、また“バリ”と呼ばれる残渣物が残ったりするという問題が生じる。 【0017】 リフトオフ法に関するこのような問題を回避する方法として、リフトオフレジストの形状を、アンダーカット量をx、アンダーカットの高さをyとしたとき3y−2x+1≦0となるようにする提案がある(特許文献6参照。)。また、レジスト形状を制御する方法としてポリメチルグルタルイミド(PMGI)やポリイミド樹脂等を下層レジストとして、またこれらとは混合しないノボラック系樹脂を用いたレジストを上層として用いる2層レジストの提案(特許文献6、7、8参照。)、下層に水酸基及び/またはカルボキシル基を有するラジカル重合体とキノンジアジド基含有化合物からなる樹脂を用い、上層としてフェノール性水酸基を有するラジカル重合体とキノンジアジド基含有化合物からなる樹脂を用いる2層レジストの提案(特許文献9参照。)もある。 【0018】 また、スパッタ時のターゲット印加電力を100mW/m2以下、成膜圧力0.1Pa以下としたり、ターゲットと基板の間隔を150mm以上としたり、コリメータを設置したりする等の方法で成膜粒子の基板への入射角を制御する方法の提案もある(特許文献10参照。)。 【0019】 一方、リフトオフレジストパターンの形成、次いで金属薄膜を成膜した後に、レジストとレジスト上の金属膜を溶剤などでリフトオフする代わりに二酸化炭素のドライアイス粒子を高速で基板に吹き付けてレジストとその上に金属薄膜を吹き飛ばすことによってリフトオフする提案もある(特許文献11参照。)。 【0020】 【特許文献1】特許第2911552号公報 【特許文献2】特開平8−315981号公報 【特許文献3】特開平9−330792号公報 【特許文献4】特開2003−229251号公報 【特許文献5】特開2004−319143号公報 【特許文献6】特開平7−161711号公報 【特許文献7】特開平6−267843号公報 【特許文献8】特開平9−92605号公報 【特許文献9】特開2003−287905号公報 【特許文献10】特開2002−43248号公報 【特許文献11】特開2000−58546号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0021】 しかし、特許文献6のようにリフトオフレジストのオーバーハング量あるいはアンダーカット量を制御して成膜粒子のリフトオフレジスト側面への入り込みを抑制しようとすると、図6(b)、(c)に示すように、基板上に形成された薄膜パターンの端部で自然に形成されるテーパー分の幅が大きくなり、微細なパターンを所定の膜厚で形成することが困難になってしまうという問題が生じる。さらに具体的に述べると、線状パターンを形成するにあたり、リフトオフレジストのアンダーカット量(端面に垂直方向のアンダーカット部の幅)が5μm必要な場合では、テーパー部の幅は5μm以上となり、10μm以下の線幅のパターンを形成すると、線幅方向中央部に厚みが均一な平坦部が存在せず、線幅方向中央部が最も厚く、両側ともテーパー部のみからなる膜厚の不均一なパターンとなってしまう。有機ELディスプレイの第1電極上の絶縁膜としてこのような薄膜パターンを使用すると、図7に示すように、第1電極端部で絶縁膜の膜厚が薄くなり、絶縁破壊を起こすおそれがある。あるいは、膜厚の薄いテーパー部を画素の内側に形成することにより絶縁破壊を回避することができるが、絶縁膜の開口部、すなわち発光領域が狭くなり、有機ELディスプレイの発光輝度が低下するという問題を生じる。 【0022】 特許文献10に記載の方法では、成膜速度を犠牲にしており、生産性が落ちるという問題を抱えている。 【0023】 特許文献11に記載のリフトオフ方法は、“バリ”を除くには有効であるが、ドライアイスによって基板が冷却されるのを防ぐために、基板の加熱を必要とし、さらに乾燥雰囲気中での処理を必要とする。また、基板がガラス等の絶縁物である場合、CO2との摩擦により、巨大な静電気を生じ、基板が帯電、集塵してしまうという問題がある。これらの問題を解決するためのCO2ドライアイス処理装置は、高価なものとなってしまう。 【課題を解決するための手段】 【0024】 すなわち、本発明は、有機ELディスプレイの第1電極上の絶縁膜を無機材料で安価に形成する方法としてのリフトオフ法に存在する上記問題が存在する状況に鑑みなされたものであって、その目的は、安価で、上述の問題のないリフトオフ法による薄膜パターンの形成方法、その薄膜形成方法を利用した有機ELディスプレイの製造方法及び信頼性の高い有機ELディスプレイパネルを提供することにある。 【0025】 すなわち、本発明の薄膜パターンの形成方法は、基板上にレジストからなるパターンを形成する工程、 表面にレジストパターンが形成された基板上に絶縁薄膜を形成する工程、 レジストを溶剤で除去するとともに、レジスト上に形成された薄膜をリフトオフすることによって絶縁薄膜パターンを形成する工程を有し、前記レジストからなるパターンを形成する工程で形成されたレジストの頂部が基板に対して平行方向に突出したオーバーハング部を有し、前記絶縁薄膜パターンを形成する工程において、前記レジストのオーバーハング部の先端が基板に近づくように変形することを特徴とする。 【0026】 本発明の薄膜パターンの形成方法においては、前記絶縁薄膜の中央部の厚さをt、変形後のオーバーハング部底部の基板からの高さをy′としたとき、 t≧y′≧0.5t であることが好ましい。 【0027】 また、前記レジストからなるパターンを形成する工程で形成されたレジストのオーバーハング部の長さをx、オーバーハング部底部の基板からの高さをyとしたとき、 10t≧x≧5.5t、2t≧y>t であることがさらに好ましい。 【0028】 また、本発明の有機ELディスプレイの製造方法は、基板上に少なくとも第1電極、絶縁薄膜、有機EL層及び第2電極を順次積層してなる有機ELディスプレイの製造方法であって、 (1)基板上に第1電極を形成する工程と、 (2)第1電極の形成された基板上に、前記第1電極上に開口部を有し、少なくとも第1電極端部を覆うように絶縁薄膜を形成する工程と、 (3)有機EL層を形成する工程と、 (4)第2電極を形成する工程と を有し、前記工程(2)における絶縁薄膜の形成が上記の薄膜の形成方法であることを特徴とする。 【0029】 本発明の有機ELディスプレイは、基板上に少なくとも第1電極、絶縁薄膜、有機EL層及び第2電極を順次積層してなり、前記絶縁薄膜が前記第1電極上に開口部を有し、少なくとも第1電極端部を覆うように形成された無機材料からなる薄膜であり、絶縁薄膜中央部の膜厚をtとしたとき、絶縁薄膜の開口部近傍における膜厚が0.9t以下である部分の幅が10t以下であることを特徴とする。 【発明の効果】 【0030】 本発明の薄膜パターンの形成方法によれば、リフトオフ時の“バリ”の発生を抑制できるとともに、レジストによる遮蔽効果によって形成される薄膜端部のテーパー領域の幅も狭くすることができ、第1電極上の絶縁膜としてこのような薄膜パターンを使用すると、図7に示すような、第1電極端部で絶縁膜の膜厚が薄くなり、絶縁破壊を起こすおそれもなく、膜厚の薄いテーパー部を画素の内側に形成して、絶縁膜の開口部、すなわち発光領域を過度に狭くする必要のない微細なパターンを形成できる。 【0031】 また、前記薄膜パターン形成方法を用いて第1電極上の絶縁膜を形成する本発明の有機ELディスプレイの製造方法によれば、安価に無機絶縁薄膜を形成することができ、本発明の有機ELディスプレイは、有機ELディスプレイの非発光部分の拡大を抑え、かつ長時間安定に駆動することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0032】 以下に、適宜図面を参照しつつ本発明の絶縁薄膜パターンの形成方法、有機ELディスプレイ及びその製造方法を説明するが、図面に示される絶縁薄膜パターンの形成方法、有機ELディスプレイ及びその製造方法は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0033】 図1は、本発明の絶縁薄膜パターン形成方法による薄膜パターン形成工程を示す拡大概略断面図(ただし、均一倍率ではない)である。図1(a)は基板上にリフトオフレジストを形成した状態を示す図である。ここで、リフトオフレジストパターンは断面が図1(a)に見られるようなT字状になるようにレジストの頂部が基板に対して平行に突出したオーバーハング部を有するように形成する。このリフトオフレジストパターンはこのような形状になるように2種のレジストを積層して形成してもよく、単層でオーバーハング構造ができるレジストであれば、単層でリフトオフレジストパターンを形成してもよい。2種のレジストを積層する場合は、現像速度の異なる2種のフォトレジスト材料、または感光性がなくアルカリ現像液に可溶な樹脂とフォトレジストの積層体を用いることができ、レジスト形状の制御が容易となる。 【0034】 2層の場合は、まず、下層として、PMGI樹脂またはポリイミド樹脂を所定の膜厚になるように塗布、乾燥し、その上に下層材料と混合が生じないフォトレジストを積層し、所望の形状が得られるフォトマスクを用いて紫外光を照射する。ついで現像することによって、レジストパターンを得ると同時に、そのレジストパターンをマスクにして、現像液によって下層の樹脂をエッチングする。 【0035】 上層のレジストパターンの線幅よりも下層の樹脂パターンの線幅が細くなるように下層の樹脂をエッチングすることによりオーバーハング部を有する図1(a)の構造のレジストパターンを得ることができる。上層のレジストの溶解に用いられている溶剤に下層の樹脂が不溶であれば、上下層の混合は生じない。そのような上層のレジスト材料として、ノボラック系レジストあるいはアクリル系レジストを用いることができる。 【0036】 単層のレジストの場合はノボラック系の化学増幅レジストを用いることができる。 【0037】 この図1(a)に示すレジストパターンは、図1(b)に示すように後述の薄膜形成工程で形成された絶縁薄膜の中央部の厚さ(端部を除いた薄膜の平均厚さ)をt、図1(b)に示すように薄膜形成工程でリフトオフレジスト変形後のオーバーハング先端底部の基板からの高さをy′としたとき、 t≧y′≧0.5t であることが好ましい。 【0038】 y′が上記の範囲になると、薄膜のリフトオフレジストオーバーハング部の下へのもぐりこみを大幅に抑制でき、結果として、基板上の絶縁薄膜端部の膜厚の薄い部分を大幅に削減できるようになる。具体的には基板上の絶縁薄膜端部の、膜厚が0.9t以下の部分の幅が10t以下とすることができる。 【0039】 y′がtより大きいと、変形が不十分で薄膜のリフトオフレジストオーバーハング部の下へのもぐりこみが多くなって、レジスト側壁へ連続した膜が形成されて、バリが発生したり、膜厚が0.9t以下の部分の幅が広くなり、有機ELディスプレイに適用したとき、端部での絶縁破壊を生じやすくなったり、発光部面積を不要に狭くしたりするおそれがあり、y′が0.5tより小さいと、絶縁薄膜成膜中にレジストオーバーハング部が絶縁薄膜と接触し、リフトオフが困難になったり、絶縁薄膜との接触部でバリを形成してしまうおそれがある。 【0040】 y′を上記の範囲にするには、図1(a)に示すようにレジストからなるパターンを形成する工程で形成されたレジストのオーバーハング部の長さをx、オーバーハング部底部の基板からの高さをyとしたとき、 10t≧x≧5.5t、2t≧y>t とすることが好ましい。 【0041】 x、yをこのような範囲のものとすることにより、絶縁薄膜形成時にオーバーハング部が変形したときに上記の範囲のy′とすることができる。 【0042】 xが10tより大きいと、薄膜形成時の変形でリフトオフレジストのオーバーハング先端底部が基板に接触して、リフトオフレジスト除去時に、リフトオフレジスト及び薄膜の除去が不完全となり、所定の開口部が得られなくなるおそれがあり、また、リフトオフがうまくいったとしても、膜厚が0.9t以下の絶縁膜幅が広くなり、絶縁不良を起こすおそれがある。一方、xが5.5tより小さいと薄膜形成時のオーバーハング部の変形が不十分で薄膜のリフトオフレジストオーバーハング部の下へのもぐりこみが多くなって、レジスト側壁へ連続した膜が形成されて、バリが発生したり、有機ELディスプレイに適用したとき、端部での絶縁破壊を生じやすくなったり、発光部面積を不要に狭くしたりするおそれがあるので好ましくない。 【0043】 yが2tより大きいと薄膜形成時のオーバーハング部の変形後のy′をt以下とすることが困難となるおそれがあり、yがt以下であると、薄膜形成時の変形でリフトオフレジストのオーバーハング先端底部が基板に接触するおそれがある。 【0044】 後述のように、このリフトオフレジストパターン付き基板の上に絶縁薄膜を形成するが、この薄膜形成時のリフトオフレジストの変形量を制御するために、リフトオフレジストの現像後にポストベークを行うことが好ましい。ポストベークによってもリフトオフレジストが変形することがあるので、ポストベークの温度は90℃以上120℃未満で行うのが好ましい。ポストベーク温度が90℃未満では薄膜形成時のリフトオフレジストの変形量の調節が不十分となり、120℃を超えるとポストベーク時にレジストが大きく変形してしまい、リフトオフレジストとして機能しなくなるおそれがある。 【0045】 図1(a)に示す形状のリフトオフレジストパターン付き基板に、電気絶縁性を有する薄膜を形成する。この絶縁薄膜は、物理気相堆積法(PVD)で形成する。絶縁薄膜材料はPVDで薄膜形成でき、十分な絶縁耐圧を有する材料であればいずれも用いることができ、具体的には、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素や酸化チタン、酸化タンタル、窒化アルミニウム等を用いることができる。 【0046】 上記PVDとしては、スパッタ法またはイオンプレーティング法が好ましく用いられ、スパッタ法としてはマグネトロンスパッタ法が、成膜速度が高く、生産性に優れることからより好ましい。 【0047】 この絶縁薄膜形成の際、基板がプラズマに曝されたり、ソース加熱の輻射を受けて加熱されたりするが、この加熱と薄膜の形成によってリフトオフレジストのオーバーハング部の先端が基板に近づくように変形し、成膜後に図1(b)に示す断面構造となる。成膜時の基板の到達温度はレジストパターン形状変化を制御するために適切な範囲の温度とすることが好ましい。この好ましい温度は使用するレジスト材料の種類によって異なるが、2種のレジストでレジストパターンを形成する2層レジストで、上層にノボラック系レジストあるいはアクリル系レジストを用いる場合は、120〜150℃であることが望ましい。リフトオフ用のノボラック系化学増幅レジスト(例えば、日本ゼオン製ZPN1100、または信越化学製SIPR−9684)を用いた単層のレジストパターンの場合は、基板到達温度は100〜120℃であることが好ましい。 【0048】 成膜時の基板到達温度は、スパッタ法であれば、放電電力、基板搬送速度によって、また、イオンプレーティング法であれば、放電電力、ソース加熱温度、基板搬送速度によって制御することができる。 【0049】 こうして得られた、図1(b)に示すような基板を、レジスト可溶な溶剤を用いて剥離するとともに、レジスト上の薄膜をリフトオフすることによって、図1(c)に示す構造とする。このレジスト可溶な溶剤としては、例えばアセトン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)等の他、市販のレジスト剥離液、例えば、東京応化製 剥離液104、105、106、AZエレクトロニックマテリアルズ製 AZリムーバーシリーズ等も利用できる。 こうして得られた基板上の絶縁薄膜は、薄膜中央部の厚みをtとしたとき、周辺部の厚みが0.9t以下の部分の幅が10t以下となっており、絶縁耐圧の低い部分が少ない膜になっている。周辺部の厚みが0.9t以下の部分の幅が10t以下となっていると、ディスプレイの開口率が高くなるという特徴を有する。 【0050】 次に、本発明の有機ELディスプレイについて、図2から5を参照しながら説明する。 図2は、本発明の有機ELディスプレイ製造方法による、絶縁薄膜の形成工程を示す拡大概略断面図である。図3(a)は、本発明の有機ELディスプレイの概略部分斜視図、図3(b)、(c)は、本発明の有機ELディスプレイの1実施態様の構成を示す概略断面図である。図4は本発明の有機ELディスプレイの他の実施態様の構成を示す概略断面図である。図5(a)は第1電極上に形成したリフトオフレジストの断面SEM像、図5(b)は、絶縁薄膜形成後の第1電極、リフトオフレジスト、絶縁膜の断面SEM像である。 【0051】 まず、図3に示すような、ボトムエミッション型ELディスプレイにつき説明する。 第1電極は透明基板上に設けられるが、透明基板は、パターン化されて形成された色変換フィルタ層と、平坦化層と、パッシベーション層とを表面に有していることが好ましく、透明基板上に第1電極が形成されたとは、基板上にこの順に形成された色変換フィルタ層と、平坦化層と、パッシベーション層が形成されており、そのパッシベーション層の上に第1電極が形成されていることを意味する。なお、これらの図面では、第1電極、絶縁膜、有機EL層、第2電極、第2電極分離用隔壁以外の構成要素は図示せず、透明基板上に形成した色変換フィルタ層、及びこれらの層の上に設けられた平坦化のための高分子膜層や防湿のためのパッシベーション層などを一体的に「第1電極基板」と呼ぶことにする。 【0052】 色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層、色変換層、およびカラーフィルタ層と色変換層との積層体の総称である。 【0053】 色変換層は、有機EL層にて発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して、異なる波長の可視光へと波長分布変換を行う層である。 色変換層に使用される染料または顔料には有機蛍光色素がある。例えば、有機EL層から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、べ一シックバイオレット11、べーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−13−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。有機EL層から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、または、クマリン色素系染料であるべーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。 【0054】 また、上記有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。 【0055】 カラーフィルタ層は、当該技術において知られている任意の色素をマトリクス樹脂に分散した材料(たとえば、液晶ディスプレイ用カラーフィルタ材料)を用いて形成することができる。 【0056】 フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)変換フィルタ層、緑色(G)変換フィルタ層および赤色(R)変換フィルタ層を有することが望ましい。 【0057】 赤色変換フィルタ層は、赤色変換層と赤色カラーフィルタ層との積層体であることが好ましい。これは、光源として青色ないし青緑色領域の光を発光する有機EL層を用いる場合、有機EL層からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまうからである。赤色変換層によって青色ないし青緑色領域の光を赤色光へと波長分布変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。 【0058】 緑色変換フィルタ層は、緑色変換層と緑色カラーフィルタ層との積層体であることが好ましい。ただし、有機EL層が発する光が充分な強度の緑色成分を含有する場合、緑色カラーフィルタ層のみを用いてもよい。 【0059】 青色変換フィルタ層は、有機EL層が発する近紫外光または青緑色光の波長分布変換を行って青色光を出力する青色変換層と、青色カラーフィルタ層とを含んでもよい。ただし、有機EL層が青色から青緑色の光を発する場合、青色カラーフィルタ層のみを用いることが好ましい。 【0060】 有機EL層が白色発光する場合には、各色についてカラーフィルタ層のみを用いて所望の色を得ることができるが、各色変換層を用いることによりカラーフィルタ層のみの場合よりも高い効率で3原色の発光を得ることが可能となる。 【0061】 この色変換フィルタ層はパターン化されている。 ここで、色変換フィルタ層がパターン化されているとは、1つまたは複数の色変換フィルタ層が形成されており、該色変換フィルタ層のそれぞれが複数の部分に分割されていることを意味する。このようなパターンの一例としてラインパターンを挙げることができる。 【0062】 本発明において、平坦化層とは、透明支持基板上に設けられたパターン化された色変換フィルタ層のためにできた表面の凹凸を実質的に解消し平坦にするための層であり、当該技術に知られている任意の材料により形成することができる。好ましくは、ポリイミドまたはアクリル樹脂から形成される。 【0063】 パッシベーション層は、例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等の材料を使用できる。また、イミド変性シリコーン樹脂や、無機金属化合物(TiO、Al2O3、SiO2等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料などのポリマー材料も用いることができる。 【0064】 第1電極はラインパターンを有する複数の導電層からなり、導電層の各々は上述の第1電極基板の上に設けられた表示部と外部駆動回路との接続部及び引き出し部とから形成されている。第1電極の材料としてはITO、In−Zn酸化物、ATO等を用いることができ、特に、In−Zn酸化物は室温成膜により比較的低抵抗の膜が得られ、かつ、弱酸によるパターニングが可能となるので好ましい。パターニングは市販のフォトレジストを用いたウエットエッチングによって行うことができる。 【0065】 次にパターニングされた第1電極上に絶縁薄膜を形成する。絶縁薄膜は発光に必要な開口部を有する。本発明による絶縁薄膜の開口部の形成はリフトオフ法を用いるが、開口部における無機絶縁薄膜の除去に強酸あるいは強アルカリを用いる必要がなく、第1電極表面を粗くしない利点がある。 【0066】 まず、第1電極上の絶縁薄膜を形成しない領域にリフトオフレジストを形成し、次いで無機絶縁薄膜をスパッタ法、イオンプレーティング法等の物理気相堆積法(PVD)にて所望の膜厚に成膜し、最後に溶剤でレジストを剥離するとともにレジスト上の無機絶縁薄膜をリフトオフすることにより無機絶縁薄膜パターンを得る。 【0067】 リフトオフレジスト、無機絶縁膜の材質、形状は上述の薄膜パターンの形成方法で述べたとおりである。 【0068】 絶縁薄膜成膜前のx、yの値を10t≧x≧5.5t、2t≧y>tとすることにより、絶縁膜材料のリフトオフレジスト側面への回り込みを防止でき、絶縁薄膜成膜中に変形させ、成膜後のy′の値をt≧y′≧0.5tとすることにより、リストオフレジスト側壁への絶縁薄膜材料の堆積を防ぎ、第1電極上の無機絶縁薄膜の端部から中央部に向かうにつれて急激に膜厚が増大し、膜厚が0.9t以下の領域が端部から10t以内であるようにすることができる。 【0069】 図5(a)において図1のx、yに対応する値はそれぞれ2.4μm、0.60μmであり、図5(b)において、図1のt、y′に対応する値はそれぞれ0.33μm、0.18μmであり、x、y、y′とtの関係は上記範囲内に入っている。 【0070】 このようにして、図3(b)、(c)に示されるように、テーパー形状に加工された第1電極端部以外はほぼ均等な膜厚で無機絶縁薄膜を形成することが可能となる。 【0071】 第1電極上に形成した絶縁薄膜の上に隔壁が形成される。隔壁の間の第1電極の上には有機EL層が設けられる。有機EL層は、有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を含有する。 【0072】 すなわち、有機EL層は(A)有機発光層のみからなってもよく、第1電極側から、 (B)正孔注入層/有機発光層 (C)有機発光層/電子輸送層 (D)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層 (E)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層 (F)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層 の構成となっていてもよい。 【0073】 有機EL層の各層の材料は、公知のものが使用できる。青色から青緑色の発光を得るためには、有機発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。電子注入層としては、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物などの材料を用いることができる。また、電子輸送層としては、アルミキノリン錯体などの金属錯体とオキサジアゾール、トリアゾール系化合物等を用いることができる。また、正孔注入層としては、芳香族アミン化合物、スターバースト型アミンや、ベンジジン型アミンの多量体および銅フタロシアニン(CuPc)などを用いることができる。正孔輸送層としては、スターバースト型アミン、芳香族ジアミンなどを用いることができる。 【0074】 第2電極は、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属からなる電子注入性の金属、またはこれらのフッ化物等とその他の金属との合金や化合物などの材料を用い、有機EL層形成に続き、そのまま真空を破らずに加熱蒸着装置を用いて蒸着することにより得られる。 【0075】 以上述べた本発明の有機ELディスプレイの実施態様はボトムエミッション型の例であるが、本発明の他の実施態様として、トップエミッション型有機ELディスプレイもある。このトップエミッション型有機ELディスプレイは、基板上に第1電極、絶縁膜、有機EL層、第2電極が設けられており、第2電極側に、透明基板上に少なくとも色変換フィルタ層を設けた色変換フィルタ基板を設けてられている。色変換フィルタ層上にはパッシベーション層が設けられていることが好ましく、色変換フィルタ層とパッシベーション層の間にパッシベーション層のガスバリア性を損なわないように平坦化層を設けてもよい。第2電極はパッシベーション層の上に設けられる。 【0076】 第1電極は反射性であることが好ましく、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどの高反射率の金属、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどの高反射率のアモルファス合金、NiAlなどの高反射率の微結晶性合金をあげることができる。第1電極が電子輸送層と接する場合は、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属などの電子注入性の金属またはこれらとその他の金属との合金を電子輸送層の間に設けるのが好ましい。第1電極を電子注入性とした場合は、第2電極は正孔注入製とする必要があり、ITO、In−Zn酸化物、ATO等の透明電極材料を用いる以外は、ボトムエミッション型ディスプレイで用いたと同様の材料が用いられる。 【0077】 色変換フィルタを用いたトップエミッション型有機ELディスプレイは、第1の基板上に第1電極、絶縁薄膜、有機EL層、第2電極を順次形成し、一方で第2の基板(透明基板)上に色変換フィルタを形成して色変換フィルタ基板を作製する。そして、この色変換フィルタ基板は封止基板もかねている。貼り合わせ時には、第1電極パターンと色変換フィルタパターンが合うようにアライニングする必要がある。 【実施例】 【0078】 以下、本発明による有機ELディスプレイの作成例を、図面を参照しながら説明する。有機ELディスプレイは画素数160×120×RGB、画素ピッチ0.33mmで形成した。 【0079】 [青色フィルタの作製] 青色フィルタ材料(富士フィルムエレクトロニックマテリアルズ製;カラーモザイクCB−7001)を透明基板としてのコーニングガラス1737(50×50×1.1mm)上に、スピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ方によりパターニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの青色フィルタのラインパターンを得た。 【0080】 [緑色変換フィルタの作製] 蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部に溶解した。さらに光重合性樹脂「VPA100/P5」(商品名、新日鐵化成工業製)100重量部を加えて均一に溶解し、塗布液を得た。この塗布液を、青色フィルタのラインパターン形成済みである透明基板上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの緑色変換フィルタのラインパターンを得た。 【0081】 [赤色変換フィルタの作製] 蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部に溶解した。さらに光重合性樹脂「VPA100/P5」(商品名、新日鐵化成工業製)100重量部を加えて均一に溶解し、塗布液を得た。この塗布液を、青色フィルタ及び緑色変換フィルタのラインパターン形成済みである透明基板上にスピンコート法を用いて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、線幅0.1mm、ピッチ0.33mm、膜厚10μmの赤色変換フィルタのラインパターンを得た。 【0082】 [平坦化層の作製] こうして形成された色変換フィルタ層の上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯を照射してガラス基板上で膜厚8μmの平坦化層を形成した。このとき、色変換フィルタのパターンには変形がなく、かつ平坦化層の上面は平坦であった。 【0083】 [パッシベーション層の作製] ガスバリア層として、室温においてRFマグネトロンスパッタ法により、300nmのSiOx膜を形成した。ターゲットにはSiを用い、スパッタガスとしてArと酸素の混合ガスを用いた。 【0084】 [第1電極の形成] 第1電極として、In−Zn酸化物パターンを形成した。第1電極は外部駆動回路との接続部から表示パネル内中央までつながったパターンとして形成される。すなわち、室温において、DCマグネトロンスパッタ法により厚さ200nmのIn−Zn酸化物膜を形成した。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物ターゲットを用い、スパッタガスとしてArと酸素の混合ガスを用いた。次いで、フォトリソグラフによりレジストをパターニングした後、シュウ酸をエッチング液として用いてIn−Zn酸化物薄膜をパターニングして幅100μmのラインパターンを形成した。 【0085】 [絶縁膜の形成] 絶縁膜として、酸化珪素膜をリフトオフ法により形成した。リフトオフレジストの形成には、まず、PMGIをベースとする樹脂(マイクロケム製:LOR 3A)を第1電極が形成された基板全面に膜厚0.4μmとなるようにスピンコートし、ホットプレートにて100℃で5分間乾燥した。次いでノボラック系樹脂からなるポジ型フォトレジスト(東京応化製:TFR−1150)を膜厚1.2μmとなるようにスピンコートし、ホットプレートで110℃で90秒間乾燥した後、第1電極上の絶縁膜開口部及び外部駆動回路との接合部等の絶縁膜を形成しない領域を遮蔽するようなフォトマスクを介して高圧水銀ランプにより紫外光を照射し、次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)2.38%水溶液を用いて、フォトレジストの現像及びPMGI樹脂のエッチングを行って、図5(a)の断面形状(レジストのオーバーハング部の長さ2.4μm、オーバーハング部先端底部の基板からの高さ0.60μm)を有するリフトオフレジストを得た。 【0086】 その後、リフトオフレジストを形成した基板を、ホットプレートを用いて100℃で150秒間加熱した。その後、RFマグネトロンスパッタ法により、基板加熱なしで酸化珪素を厚み300nmとなるように成膜した。成膜中の基板到達温度は140℃であった。酸化珪素成膜時に図5(b)に示すようにオーバーハング部先端が垂れ下がるように変形して、オーバーハング部先端底部の基板からの高さが0.18μmとなった。次いで、レジスト剥離液(東京応化製:剥離液104)に酸化珪素を成膜した基板を浸漬することによって、リフトオフレジスト及びレジスト上の酸化珪素膜を除去し、第1電極上に開口部を有する絶縁膜が形成された基板を得た。絶縁膜の端部における270nm以下の厚みを有する部分の幅は約2.9μmであった。 【0087】 [隔壁の形成] 絶縁膜を形成した基板に、第1電極のラインと垂直に、第2電極同士を分離する隔壁を形成した。隔壁材料はノボラック系のネガ型化学増幅レジスト(日本ゼオン製:ZPN1168)を用い、スピンコート法で塗布、膜厚3.5μmのレジスト膜を形成し、ホットプレートを用いて110℃で90秒加熱した後、線幅20μm、ピッチ330μmのストライプパターンのフォトマスクを通して、高圧水銀灯により紫外光を照射した。次いでホットプレートを用いて110℃で60秒加熱後に、TMAH2.38%水溶液を用いて現像し、ホットプレートで180℃10分間加熱乾燥することにより隔壁を形成した。 【0088】 [有機EL素子の作製] 次いで、隔壁を形成した基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を、真空を破らずに順次成膜した成膜に際して、真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層としては、銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子輸送層は、アルミキレート(Alq)を20nm積層した。 【0089】 正孔注入層から電子輸送層までの成膜に引き続いて、真空を破らずに、電子注入層及び第2電極を抵抗加熱蒸着により成膜した。電子注入層には弗化リチウムを膜厚1nmで、第2電極材料はアルミニウムを膜厚200nmで成膜した。第2電極は前記隔壁によって、平行に並んだストライプ状に分離されていた。 【0090】 このように作製した有機ELディスプレイと従来の感光性樹脂を絶縁膜として用いた有機ELディスプレイを、115℃の高温槽内に500時間保持した後の発光写真を図8に示す。図8(a)は本発明による有機ELディスプレイの発光写真であり、図8(b)は従来の感光性樹脂を絶縁膜とした有機ELディスプレイの発光写真であるが、図8(a)では、図8(b)に見られるような、絶縁膜からの水分等の拡散による発光領域の低下は見られなかった。すなわち、図8(a)では画素間の幅が比較的狭くかつ均一であるのに対し、図8(b)では画素間の幅が広く、またその幅も均一ではなく幅の広いところ、さほど広くないところができている。この図8(a)に比べて、図8(b)の幅の広くなった部分は水分等の拡散により本来発光すべきであったのに発光できなくなった部分であり、絶縁膜からの水分等の拡散により発光領域が低下していることを示している。 【産業上の利用可能性】 【0091】 本発明の薄膜パターンの形成法によれば、形成される薄膜の端部のテーパー領域の幅が狭く、絶縁膜としてこの薄膜パターンを利用した有機ELディスプレイは絶縁破壊のおそれも少なく、かつ発光領域を過度に狭くすることがなく、本発明によれば高温環境での信頼性に優れ、駆動寿命の改善されたディスプレイを提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0092】 【図1】本発明のリフトオフ法による薄膜パターン形成工程を示す拡大断面図である。 【図2】本発明の有機ELディスプレイの製造方法による絶縁薄膜の形成工程を示す拡大概略断面図である。 【図3】本発明のボトムエミッション型有機ELディスプレイの概略部分斜視図及び概略断面図である。 【図4】本発明のトップエミッション型有機ELディスプレイの概略断面図である。 【図5】第1電極上に形成したリフトオフレジスト、及び絶縁薄膜形成後のリフトオフレジストと絶縁薄膜の断面SEM像を示す図である。 【図6】従来技術によるリフトオフ薄膜パターンの形成工程を示す拡大断面図である。 【図7】従来技術のリフトオフ法により形成された第1電極上の絶縁薄膜の形状を示す図である。 【図8】加熱保持後の有機ELディスプレイの発光写真であり、(a)は本発明による有機ELディスプレイ、(b)は感光性樹脂を絶縁膜材料とした有機ELディスプレイである。 【符号の説明】 【0093】 1:基板 2、112:リフトオフレジスト 3、103:絶縁薄膜 101:第1電極基板 102:第1電極 104:隔壁 105:有機EL層 106:第2電極 107:封止用基板 150:光
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005234 【氏名又は名称】富士電機ホールディングス株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月27日(2006.7.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077481 【弁理士】 【氏名又は名称】谷 義一
【識別番号】100088915 【弁理士】 【氏名又は名称】阿部 和夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−34198(P2008−34198A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−204892(P2006−204892) |
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