トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 電磁調理器用ガラストッププレート及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 雅人

【要約】 【課題】基板ガラス本来の強度を失うことなく、艶のないマットの表現が可能な電磁調理器用ガラストッププレートを提供すること。

【構成】透明低膨張ガラスからなる基板ガラス2の裏面22に、ガラス組成物からなるマット装飾用ガラス3を1層又は複数層積層し、さらに、光沢層あるいは遮光層4を1層又は複数層積層してなる。基板ガラス2は、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であり、マット装飾用ガラス3は、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)である。ガラス組成物は、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明低膨張ガラスからなる基板ガラスの裏面に、ガラス組成物からなるマット装飾用ガラスを1層又は複数層積層し、さらに、光沢層あるいは遮光層を1層又は複数層積層してなり、
上記基板ガラスは、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であり、
上記マット装飾用ガラスは、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項2】
請求項1において、上記ガラス組成物は、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有することを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記マット装飾用ガラスは、無機顔料を80wt%以下含有することを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記マット装飾用ガラスは、任意のパターンを形成するように積層されていることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記光沢層は、パール調材料とガラス組成物とからなるパール調絵具からなることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記光沢層は、パール調材料と、シリコーンレジンあるいはシリカ質ゾルとからなるパール調絵具からなることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記遮光層は、ラスター彩からなることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記遮光層は、無機顔料とガラス組成物とからなることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、上記基板ガラスは、β−石英固溶体やβ−スポジューメンを主結晶とする透明低膨張結晶化ガラス板であることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、電磁調理器用ガラストッププレートの調理面側の一部あるいは全面にガラス組成物からなる調理面装飾用ガラスが形成されていることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレート。
【請求項11】
透明低膨張ガラスからなる基板ガラスの裏面に、マット装飾用ガラスを1層又は複数層積層し、さらに、光沢層あるいは遮光層を1層又は複数層積層して電磁調理器用ガラストッププレートを製造する方法であって、
β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有するガラス組成物に有機樹脂を加えたペーストを、上記基板ガラスの裏面に塗布し、
700〜900℃の範囲で熱処理を行うことによりマット装飾用ガラスを形成し、
その後、上記光沢層又は遮光層を形成するためのペーストをさらに上記基板ガラスの裏面に塗布して熱処理することにより上記光沢層又は遮光層を形成することを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレートの製造方法。
【請求項12】
請求項11において、上記ガラス組成物は、−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)の線熱膨張係数を有する低膨張ガラスであることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器の上部に配置する調理器用のガラストッププレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁調理器やガス調理器などの調理器の上部には、ガラス板よりなる調理器用トッププレートが設置されている。この調理器用トッププレートには、鍋などの被加熱物が設置され、該被加熱物は調理器内部の加熱装置により加熱調理できる。特に、電磁調理器は、安全性が高いため、近年ますますその需要が増加する傾向にあり、それに伴い調理器用トッププレートの需要も増大している。
【0003】
このような調理器用トッププレートとしては、その意匠性を高めるために、基板ガラスに色彩を装飾する技術(特許文献1、2)が報告されている。
上記特許文献1に記載の技術は、内部構造物の隠蔽性を鑑みた場合、ラスター色の濃淡の色調変化が表現できるにとどまっていた。また、ラスター色で色調変化を実施するには、ラスター絵具を積層する必要があり、透光ガラス板本来の強度を損なうおそれがあった。また、艶なし(マット)・艶あり(ブライト)という表現はラスターの性質上困難であった。
【0004】
また、上記特許文献2に記載の技術は、パール調材料とシリコーンレジンまたは、シリカ質ゾルとからなるパール調絵具を透光性低膨張ガラスセラミックスへ絵付けするものである。しかしながら、パール調絵具と遮光層での表現では、ブライトは表現できるが、マットの表現をすることができなかった。
そのため、艶のないマットな表現をすることができる装飾技術の確立が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開平3−065532号公報
【特許文献2】特開2001−213642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、基板ガラス本来の強度を失うことなく、艶のないマットの表現が可能な電磁調理器用ガラストッププレートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、透明低膨張ガラスからなる基板ガラスの裏面に、ガラス組成物からなるマット装飾用ガラスを1層又は複数層積層し、さらに、光沢層あるいは遮光層を1層又は複数層積層してなり、
上記基板ガラスは、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であり、
上記マット装飾用ガラスは、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であることを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレートにある(請求項1)。
【0008】
上記電磁調理器用ガラストッププレートは、上述したように、上記基板ガラスの裏面に、上記マット装飾用ガラスを1層又は複数層積層し、さらに、光沢層あるいは遮光層を1層又は複数層積層してある。即ち、上記基板ガラスと、光沢層あるいは遮光層との間に上記マット装飾用ガラスが存在することで、上記電磁調理器用ガラストッププレートは、艶のないマットな表現をすることが可能となった。
【0009】
また、上記基板ガラスは、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であり、上記マット装飾用ガラスは、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)である。
このように、上記基板ガラスと、上記マット装飾用ガラスの線熱膨張係数の差が小さいため、基板ガラスとマット装飾用ガラスとの熱膨張差に起因するクラックの発生を軽減することができ、基板ガラス本来の強度を失うことがない。そのため、本発明の電磁調理器用ガラストッププレートは、基板ガラス本来の強度を失うことなく、艶のないマットの表現が可能であるという優れた効果を得ることができた。
【0010】
第2の発明は、透明低膨張ガラスからなる基板ガラスの裏面に、マット装飾用ガラスを1層又は複数層積層し、さらに、光沢層あるいは遮光層を1層又は複数層積層して電磁調理器用ガラストッププレートを製造する方法であって、
β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有するガラス組成物に有機樹脂を加えたペーストを、上記基板ガラスの裏面に塗布し、
700〜900℃の範囲で熱処理を行うことによりマット装飾用ガラスを形成し、
その後、上記光沢層又は遮光層を形成するためのペーストをさらに上記基板ガラスの裏面に塗布して熱処理することにより上記光沢層又は遮光層を形成することを特徴とする電磁調理器用ガラストッププレートの製造方法にある(請求項11)。
【0011】
本発明の電磁調理器用ガラストッププレートの製造方法は、上述したように、基板ガラスの裏面に、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有するガラス組成物に有機樹脂を加えたペーストを塗布し、700〜900℃で熱処理することによりマット装飾用ガラスを形成する。
【0012】
そして、上記光沢層又は遮光層を形成するためのペーストを、さらに上記基板ガラスの裏面に塗布して熱処理することにより、光沢層あるいは遮光層を1層又は複数層積層する。これにより、基板ガラス本来の強度を失うことなく、マット調の電磁調理器用ガラストッププレートを得ることができる。
【0013】
上記マット装飾層の形成は、ガラス組成物を含有するペースト状にするため、例えば、スクリーン印刷法等の成膜性に優れた塗布方法を行うことができる。
また、上記有機樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、アルキッド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
また、上記ペーストは、必要に応じて有機溶剤を含有しても良い。
【0014】
また、上記光沢層又は遮光層の形成は、公知の様々な方法で行うことができる。上記遮光層は、例えば、ラスターペーストや、ガラス組成物と無機顔料とからなるペーストを塗布し、熱処理することで形成することができる。また、上記光沢層は、例えば、パール調材料とガラス組成物とからなるペーストや、パール調材料と、シリコーンレジンあるいはシリカ質ゾルとからなるペーストを塗布し、熱処理することで形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明の電磁調理器用ガラストッププレートは、上述したごとく、上記基板ガラスの線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)の範囲から外れる場合には、調理用ガラストッププレートに用いる基板ガラスとして適していないという問題がある。
また、上記マット装飾用ガラスが、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)の範囲から外れる場合には、上記基板ガラスの線熱膨張係数との差が生じ、それが原因となり、クラックが発生し、電磁調理器用ガラストッププレートの強度劣化が生じるという問題がある。
【0016】
本発明の上記ガラス組成物は、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有することが好ましい(請求項2)。
【0017】
上記ガラス組成物は、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有するため、上記のごとく、熱膨張率が小さくなる。そのため、上記ガラス組成物をマット装飾用ガラスに採用することによって、基板ガラス本来の強度を失うことがないという優れた効果を得ることができる。
【0018】
また、上記マット装飾用ガラスは、無機顔料を80wt%以下含有することが好ましい(請求項3)。
この場合には、基板ガラス本来の強度を低下させることなく、上記マット装飾用ガラスを任意の色で表現することができ、意匠性を向上することができる。
また、上記無機顔料を80wt%を超えて含有する場合には、基板ガラスとの密着性が悪くなるおそれがあり、光沢層や遮光層を積層する際、マット装飾用ガラスの一部が欠落するおそれがある。
【0019】
上記無機顔料をとしては、例えば、白色無機顔料、黒色無機顔料、灰色無機顔料、黄色無機顔料、茶色無機顔料、緑色無機顔料、青色無機顔料、桃色無機顔料等がある。
具体的には、上記白色無機顔料としては、例えば、TiO2、ZrO2、ZrSiO4、Al23、3Al23−2SiO2、Li2O・Al23・8SiO2等が挙げられる。
【0020】
また、上記黒色無機顔料としては、例えば、Cr−Fe系酸化物、Co−Mn−Cr−Fe系酸化物、Co−Ni−Cr−Fe系酸化物、Co−Ni−Cr−Fe−Mn系酸化物等が挙げられる。
また、上記灰色無機顔料としては、例えば、Sn−Sb系酸化物、Sn−Sb−V系酸化物等が挙げられる。
【0021】
また、上記黄色無機顔料としては、例えば、Sn−V系酸化物、Zr−V系酸化物、Zr−Si−Pr系酸化物、Ti−Cr−Sb系酸化物等が挙げられる。
また、上記茶色無機顔料としては、例えば、Zn−Al−Cr−Fe系酸化物、Zn−Mn−Al−Cr−Fe系酸化物等が挙げられる。
【0022】
また、緑色無機顔料としては、例えば、Ca−Cr−Si系酸化物、Cr−Al系酸化物、Co−Zn−Al−Cr系酸化物、Zr−Si−Pr−V系酸化物等が挙げられる。
また、上記青色粉末としては、例えば、Co−Al−Zn系酸化物、Co−Al系酸化物、Zr−Si系酸化物等が挙げられる。
また、上記桃色無機顔料としては、例えば、Mn−Al系酸化物、Ca−Sn−Si−Cr系酸化物、Sn−Cr系酸化物、Zr−Si−Fe系酸化物等が挙げられる。
これらの顔料は、所望の色を得るように任意の割合で混合することが可能である。
【0023】
また、上記マット装飾用ガラスは、任意のパターンを形成するように積層されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記マット装飾用ガラスが積層されている部分では艶のないマットの表現となり、その他の部分は艶のあるブライトの表現をすることができるため、意匠性に優れたものとなる。
上記パターンとしては、例えば、ドット状、ライン状、ある面積をもったベタ等があり、グラデーション表現などの手法を取り入れることも可能である。
【0024】
また、上記光沢層は、パール調材料とガラス組成物とからなるパール調絵具からなることが好ましい(請求項5)。
この場合には、基板ガラスの本来の強度を低下させることなく、意匠性を向上することができる。
【0025】
また、上記パール調材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等により、無機顔料を被覆したものを用いることが好ましい。
また、光沢層は、パール調材料とガラスとの合計含有量を100wt%とした場合、無機顔料を外掛け20wt%以下含有しても良い。
【0026】
また、上記光沢層用のガラス組成物としては、上記マット装飾用ガラスに用いるガラス組成物と同様のものを採用することが好ましい。
【0027】
また、上記光沢層は、パール調材料と、シリコーンレジンあるいはシリカ質ゾルとからなるパール調絵具からなることが好ましい(請求項6)。
この場合には、基板ガラスの本来の強度を低下させることなく、意匠性を向上することができる。
上記パール調材料としては、上述したパール調材料が挙げられる。
【0028】
上記シリコーンレジンは、シロキサン結合を主骨格とする有機珪素化合物の重合体である。
また、シリカ質ゾルとしては、例えば、エチルシリケート等を加水分解して得られるシリカゾル、コロイド状シリカゾル等を用いることができる。
【0029】
また、上記光沢層は、パール調材料とシリコーンレジンあるいはシリカ質ゾルとの合計含有量を100wt%とした場合、無機顔料を外掛け20wt%以下の範囲で含有しても良い。
【0030】
また、上記遮光層は、ラスター彩からなることが好ましい(請求項7)。
上記ラスター彩としては、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ru、Bi、Sn、Ni、Fe、Cr、Ti、Ca、Si、Ba、Sr、Mg、Ag、Zr、In、Mn等の有機金属化合物の希釈溶液が挙げられる。これら有機金属化合物希釈溶液は任意の割合で複数混合することができる。
【0031】
また、上記遮光層は、無機顔料とガラス組成物とからなることが好ましい(請求項8)。
この場合には、基板ガラスの本来の強度を低下させることなく意匠性を向上することができる。
【0032】
上記無機顔料としては、上述した無機顔料を用いることができる。
また、上記遮光層用のガラス組成物としては、上記マット装飾用ガラスに用いるガラス組成物と同様のものを採用することが好ましい。
【0033】
また、上記基板ガラスは、β−石英固溶体やβ−スポジューメンを主結晶とする透明低膨張結晶化ガラス板であることが好ましい(請求項9)。
上記β−石英固溶体又はβ−スポジューメンを主結晶とする透明低膨張結晶化ガラス板は、特に電磁調理器用ガラストッププレートの基板ガラスとして適している。
【0034】
また、電磁調理器用ガラストッププレートの調理面側の一部あるいは全面にガラス組成物からなる調理面装飾用ガラスが形成されていることが好ましい(請求項10)。
この場合には、基板ガラス本来の強度を低下させることなく、意匠性を高めることができるという効果を得ることができる。
【0035】
また、上記調理面装飾用ガラス用のガラス組成物としては、上記マット装飾用ガラスに用いるガラス組成物と同様のものを用いることが好ましい。より具体的な組成は、線熱膨張係数が−10〜50×10-7/℃(30〜500℃)となるよう調整することが好ましい。
また、上記装飾層は無機顔料を30wt%以下含有していても良い。
【0036】
また、本発明の電磁調理器用ガラストッププレートは、上記光沢層あるいは遮光層の表面に接着剤を用いて温度センサーを接着させる場合がある。この場合には、接着剤が塗布される場所にさらに、ガラス層あるいは、耐熱樹脂を形成させても良い。
上記ガラス層は、無機顔料を10wt%以下含有しても良く、また、上記耐熱樹脂は、無機顔料を50wt%以下含有しても良い。
【0037】
また、上記ガラス層は、上記マット装飾用ガラスに用いるガラス組成物と同様のものからなることが好ましい。該ガラス組成物のより具体的な組成は、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上を含有し、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)となるよう調整することが好ましい。
また、上記耐熱樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0038】
また、電磁調理器用ガラストッププレートの表面あるいは裏面の少なくとも一方に、導電層を形成していることが好ましい。
この場合には、上記電磁調理器用ガラストッププレートの調理面上で主な操作を可能とすることができる。
【0039】
上記導電層は、例えば、カーボンペースト、無鉛はんだ、Au、Pt、Pdのうち少なくとも一種類を含むラスターペースト、Ag、Au、Pt、Pd等の貴金属粉末とガラスフラックス粉末をアクリル系樹脂、アミド系樹脂、アルキッド系樹脂、セルロース系樹脂で混錬したペースト、Ag、Au、Pt、Pd等の貴金属粉末をシリコン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド等の樹脂と混錬したペースト、Zn−Sn金属系ペースト、及びIn−Sn金属系ペースト等をスクリーン印刷法などによって塗布し、焼付けによって形成することができる。
【0040】
また、調理面側から操作上の注意事項(取り扱い説明)が表示されるよう、上記電磁調理器用ガラストッププレートの一部分に遮光層や光沢層を形成しないか、もしくは、遮光層や光沢層の厚さを薄くするあるいは、遮光層、光沢層の代わりに、透明な耐熱樹脂やガラス層を形成しても良い。
この場合には、印加される電力量を表示するインジケーター調理面から明瞭に認識できる。その他、機能に対応して遮光性の調整を実施しても良い。
【0041】
第2の発明の電磁調理器用ガラストッププレートの製造方法は、上述したように、基板ガラスの裏面に、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有するガラス組成物を塗布し、700〜900℃の範囲で熱処理を行うことにより、マット装飾用ガラスを形成する。
【0042】
700℃未満で熱処理を行った場合には、上記ガラス組成物が溶け難く、マット装飾用ガラスが欠落するおそれがあり、一方、900℃を超えて熱処理を行った場合には、上記基板ガラスが白濁するという問題がある。
【0043】
また、上記ガラス組成物は、−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)の線熱膨張係数を有する低膨張ガラスであることが好ましい(請求項12)。
【0044】
この場合には、基板ガラスとマット装飾用ガラスとの線熱膨張係数差が小さくなる。そのため、緻密な皮膜であっても、表面からの加重に対して、強度劣化を抑制することができる電磁調理器用ガラストッププレートを製造することができる。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
本例は、本発明の電磁調理器用ガラストッププレートにかかる実施例について図1を用いて説明する。
本例は、透明低膨張ガラスからなる基板ガラス2の裏面22に、ガラス組成物からなるマット装飾用ガラス3を1層又は複数層積層し、さらに、遮光層4を1層積層してなる。
上記基板ガラス2は、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)であり、上記マット装飾用ガラス3は、β−石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、コーディエライト等の低膨張結晶を少なくとも1種以上含有し、線熱膨張係数が−10〜30×10-7/℃(30〜500℃)である。
以下、これを詳説する。
【0046】
本例の電磁調理器用ガラストッププレート1の製造方法について説明する。まず、SiO2、Al23、B23、Li2OをSiO2:56.5wt%、Al23:21.5wt%、B23:13wt%、Li2O:9wt%の混合比で含有するガラス組成物を作製した。
【0047】
ここで、得られたガラス組成物は、β−スポジューメンを含有し、線熱膨張係数が15×10-7/℃(30〜500℃)の低膨張ガラスとなった。
【0048】
上記ガラス組成物100重量部と、有機樹脂100重量部とを混錬してガラスペーストを作製した。そして、基板ガラス2の裏面22全体に、上記ガラスペーストを、ステンレス#400メッシュを用いてスクリーン印刷法によって塗布し、850℃で熱処理として焼付けを行い、線熱膨張係数が15×10-7/℃(30〜500℃)のマット装飾用ガラス3を形成した。
上記有機樹脂としては、アクリル系樹脂を用い、上記基板ガラス2としては、主結晶がβ−石英固溶体であり、線熱膨張係数が−5×10-7/℃(30〜500℃)である、商品名ネオセラムN−0を用いた。
【0049】
次いで、ステンレス#250メッシュを用いて、上記マット装飾用ガラス3の表面に、黒色のラスターペーストを塗布した。これを850℃にて再度焼付けし、遮光層4を形成した。ラスターペーストとしては、市販の黒色ラスターペーストを用いた。
これにより、黒色で艶のない黒色マットの電磁調理器用ガラストッププレート1を得ることができた。
【0050】
(実施例2)
本例は、図2に示すごとく、実施例1におけるマット装飾用ガラス3を任意のパターンで積層した例である。
その他は、実施例1と同様である。
本例のマット装飾用ガラス102は、基板ガラス2の裏面22に、実施例1と同様のガラスペーストを任意のパターンで、ステンレス#400メッシュを用いてスクリーン印刷法によって塗布し、850℃で焼付けすることで、線熱膨張係数が15×10-7/℃(30〜500℃)のマット装飾用ガラス3を形成した。
【0051】
これにより、マット装飾用ガラス3上は黒色マット、他の部位は、艶のある黒色ブライトの電磁調理器用ガラストッププレート102を得ることができた。
【0052】
(実施例3)
本例は、図3に示すごとく、実施例2における遮光層4を光沢層5に変更した例である。その他は、実施例2と同様である。
具体的には、パール調材料51として、エンゲルハード製マグナパール#3000を使用し、このパール調材料5重量部と、ガラス粉末15重量部と、有機溶剤76重量部と、有機樹脂4重量部とを混錬してペースト状のパール調絵具を調整した。
上記マット装飾用ガラス3を形成した面に、上記パール調絵具をステンレス#250メッシュを用いて、スクリーン印刷法によって塗布し、850℃で熱処理として焼付けを行い、光沢層5を形成した。
【0053】
上記有機溶剤としては、ブチルセルソルブを用い、上記有機樹脂としては、増粘用のエチルセルロースを用いた。
これにより、マット装飾用ガラス3上はパール調マット、他の部位は、パール調ブライトの電磁調理器用ガラストッププレート103を得ることができた。
【0054】
(実施例4)
本例は、図4に示すごとく、実施例2の基板ガラス2と遮光層4との間に光沢層5を形成した例である。
その他は実施例2と同様である。
【0055】
具体的には、パール調材料51として、エンゲルハード製マグナパール#3000を使用し、このパール調材料5重量部と、ガラス粉末15重量部と、有機溶剤76重量部と、有機樹脂4重量部とを混錬してペースト状のパール調絵具を調整した。
上記マット装飾用ガラス3を形成した面に、上記パール調絵具をステンレス#250メッシュを用いて、スクリーン印刷法によって塗布し、850℃で熱処理として焼付けを行い、光沢層5を形成した。
上記有機溶剤としては、ブチルセルソルブを用い、上記有機樹脂としては、増粘用のエチルセルロースを用いた。
【0056】
次いで、黒色のラスターペーストを、ステンレス#250メッシュを用いて、スクリーン印刷法によって、上記光沢層5の表面に塗布した。これを、850℃で再度焼付けして遮光層4を形成した。ラスターペーストとしては、市販の黒色ラスターペーストを用いた。
これにより、マット装飾層3上はシルバーグレーのパール調マット、他の部位は、シルバーグレーのパール調ブライトの電磁調理器用ガラストッププレート104を得た。
【0057】
(実施例5)
本例は、図5に示すごとく、実施例4の遮光層4を遮光層6に変更した例である。その他は実施例4と同様である。
本例における遮光層6は、パール調材料20重量部と、無機顔料20重量部(そのうち、白色無機顔料18重量部、黒色無機顔料2重量部)と、ガラス組成物60重量部と、有機樹脂100重量部とを混錬し、ペースト状の遮光材料を調整した。この遮光材料をステンレス#250メッシュを用いて、スクリーン印刷法によって、上記光沢層5の表面に塗布した。これを、850℃で再度焼付けして遮光層6を形成した。
【0058】
上記パール調材料51としては、エンゲルハード製マグナパール#3000を用い、無機顔料61としては、白色無機顔料であるTiO2粉末、及び黒色無機材料であるFe−Cr−Co系酸化物を用い、上記有機樹脂としては、アクリル系樹脂を用いた。
これにより、マット装飾層上3はシルバーグレーのパール調マット、他の部位は、シルバーグレーのパール調ブライトの電磁調理器用ガラストッププレート105を得た。
【0059】
(実施例6)
本例は、実施例4における光沢層5を変更した例である。その他は実施例4と同様である。
具体的には、パール調材料として、エンゲルハード製マグナパール#3000を使用し、このパール調材料5重量部と、シリコーンレジン(有機溶剤50重量部含有)15重量部と、有機溶剤76重量部と、有機樹脂4重量部とを混錬してペースト状のパール調絵具を調整した。
【0060】
実施例4と同様にマット装飾用ガラスを形成した面に、上記パール調絵具をステンレス#250メッシュを用いて、スクリーン印刷法によって塗布し、850℃で熱処理として焼付けを行い、パール調材料とシリコーンレジンとからなる光沢層を形成した。
【0061】
上記有機溶剤としては、ブチルセルソルブを用い、上記有機樹脂としては、増粘用のエチルセルロースを用いた。
これにより、マット装飾層上はシルバーグレーのパール調マット、他の部位は、シルバーグレーのパール調ブライトの電磁調理器用ガラストッププレートを得た。
【0062】
(実施例7)
本例は、実施例5の光沢層を変更した例である。その他は実施例5と同様である。
具体的には、パール調材料として、エンゲルハード製マグナパール#3000を使用し、このパール調材料5重量部と、シリコーンレジン(有機溶剤50重量部含有)15重量部と、有機溶剤76重量部と、有機樹脂4重量部とを混錬してペースト状のパール調絵具を調整した。
【0063】
実施例5と同様にマット装飾用ガラスを形成した面に、上記パール調絵具をステンレス#250メッシュを用いて、スクリーン印刷法によって塗布し、850℃で熱処理として焼付けを行い、パール調材料とシリコーンレジンとからなる光沢層を形成した。
【0064】
上記有機溶剤としては、ブチルセルソルブを用い、上記有機樹脂としては、増粘用のエチルセルロースを用いた。
これにより、マット装飾層上はシルバーグレーのパール調マット、他の部位は、シルバーグレーのパール調ブライトの電磁調理器用ガラストッププレートを得た。
【0065】
(比較例1)
本例は、実施例1のマット装飾用ガラスを変更した例である。
具体的には、混合比がSiO2:65wt%、Al23:5wt%、B23:25wt%、Li2O:1wt%、Na2O:2wt%、K2O:2wt%のガラス組成物を作製した。
【0066】
得られたガラス組成物は、線熱膨張係数は40×10-7/℃(30〜500℃)であった。
このガラス組成物と、実施例1と同様の基板ガラス、有機樹脂、及びラスターペーストを用いて、実施例1と同様の方法で電磁調理器用ガラストッププレートを作製した。
【0067】
<評価>
本例では、上記実施例1〜実施例7、及び比較例1で作製した電磁調理器用ガラストッププレートについて、衝撃試験を行い、強度を評価した。
衝撃試験は、電磁調理器用ガラストッププレートとして使用した場合に、その上に鍋などが落下したことを想定して行った。
【0068】
試験方法は、上記実施例1〜実施例7、及び比較例1で作製した電磁調理器用ガラストッププレートについて、厚み4mm、400mm×550mm角の大きさのプレート(試料E1〜試料E7、及び試料C1)を用意し、角4箇所を20mm角チップで支持し固定した。
【0069】
その後、上記プレートに500gの硬球を落下させ、基板ガラスと装飾用ガラスの状態を観察し、強度を評価した。また、落下の高さは、50mmから開始し、400mmまで、50m毎高くしていく。
評価結果は表1に示す。○を合格、×を不合格とする。
また、400mmで合格の場合には、実用上問題ない強度ということができる。
【0070】
(評価基準)
○:クラックや割れが発生しない場合
×:クラックや割れが発生した場合
【0071】
【表1】


【0072】
表1に示すごとく、本発明の実施例である試料E1〜試料E7は、衝撃試験において良好な結果を示した。これより、基板ガラス本来の強度を失うことなく、マット調の電磁調理器用ガラストッププレートが得られた。
【0073】
また、表1より知られるごとく、本発明の比較例としての試料C1は、マット装飾用ガラスの線熱膨張係数が、本発明の上限を上回る。そのため、基板ガラスと裏面装飾用ガラスとの熱膨張差が大きくなるため、高さ300mmからの落下でクラックや割れが発生し、不合格であった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1における、電磁調理器用ガラストッププレートを示す説明図。
【図2】実施例2における、電磁調理器用ガラストッププレートを示す説明図。
【図3】実施例3における、電磁調理器用ガラストッププレートを示す説明図。
【図4】実施例4における、電磁調理器用ガラストッププレートを示す説明図。
【図5】実施例5における、電磁調理器用ガラストッププレートを示す説明図。
【符号の説明】
【0075】
1 電磁調理器用ガラストッププレート
2 基板ガラス
22 裏面
3 マット装飾用ガラス
4 遮光層
【出願人】 【識別番号】000244305
【氏名又は名称】鳴海製陶株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰

【識別番号】100110700
【弁理士】
【氏名又は名称】岩倉 民芳

【識別番号】100130155
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥起


【公開番号】 特開2008−16318(P2008−16318A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186491(P2006−186491)