トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 有機電界発光素子及びその製造方法、並びに、有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法
【発明者】 【氏名】石井 徹

【氏名】奥田 大輔

【氏名】西野 洋平

【氏名】今井 彰

【氏名】尾崎 忠義

【氏名】廣瀬 英一

【氏名】関 三枝子

【氏名】堀場 幸治

【氏名】阿形 岳

【氏名】真下 清和

【氏名】佐藤 克洋

【氏名】米山 博人

【要約】 【課題】確実に発光素子が優れた素子を得ることが可能な有機電界発光素子の製造方法、及びそれにより得られる有機電界発光素子を提供すること。確実に輝度、及び輝度発光効率に優れた素子を得ることが可能となる、有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法を提供すること。

【構成】有機化合物及び脂肪族ケトン溶剤を含む有機化合物層塗布液を用い、有機化合物層を形成する工程を有し、前記脂肪族ケトン溶剤は、ケトン系不純物成分の含有量が0.01重量%以下である、ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法である。脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が所定の値以下か否か判定する工程を有することを特徴とする有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物及び脂肪族ケトン溶剤を含む有機化合物層塗布液を用い、有機化合物層を形成する工程を有し、
前記脂肪族ケトン溶剤は、ケトン系不純物成分の含有量が0.01重量%以下である、
ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記脂肪族ケトン溶剤の主成分が、シクロペンタノンであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記ケトン系不純物成分は、前記脂肪族ケトン溶剤の主成分よりも炭素数が1以上多いものであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記ケトン系不純物成分は、シクロヘキサノン、及び2−メチル−2−ペンテノンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項5】
予め使用する脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が0.01重量%以下か否か判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機電界発光素子の製造方法により得られることを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項7】
脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が所定の値以下か否か判定する工程を有することを特徴とする有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子の製造方法及びその方法を用いて製造されたに有機電界発光素子に関するものである。また、有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子(以下、「EL素子」という)は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。上記EL素子としては、現在は無機螢光体を用いたものが主流であるが、200V以上の交流電圧が駆動に必要なため、製造コストが高く、また輝度が不十分等の問題点を有している。
【0003】
一方、有機化合物を用いたEL素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まったが、単結晶の場合、膜厚が1mm程度と厚く、100V以上の駆動電圧が必要であった。そのため、蒸着法による薄膜化が試みられているが(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この方法で得られた薄膜は、駆動電圧が30Vと未だ高く、また、膜中における電子・正孔キャリアの密度が低く、キャリアの再結合によるフォトンの生成確率が低いため十分な輝度が得られなかった。
【0004】
ところが近年、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ螢光性有機低分子化合物との薄膜を、真空蒸着法により順次積層した機能分離型のEL素子において、10V程度の低駆動電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られるものが報告されており(例えば、非特許文献2参照)、以来、積層型のEL素子の研究・開発が活発に行われている。これら積層型のEL素子においては、正孔と電子とが、電極から電荷輸送性の有機化合物からなる電荷輸送層を介して正孔と電子とのキャリアバランスを保ちながら螢光性有機化合物からなる発光層に注入され、発光層中に閉じ込められた前記正孔と電子とが再結合することにより高輝度の発光を実現している。
【0005】
しかしながら、このタイプのEL素子では、実用化に向けて以下のような大きく3つの課題が示されている。
(1)素子が数mA/cmという高い電流密度で駆動されることから、大量のジュール熱が発生する。このため、蒸着によりアモルファス状態で製膜された正孔輸送性低分子化合物や螢光性有機低分子化合物が次第に結晶化して、最後には融解し、輝度の低下や絶縁破壊が生じるという現象が多く見られ、その結果、素子の寿命が低下するという問題を有している。
【0006】
(2)素子の作製において、低分子有機化合物を複数の蒸着工程において膜厚が0.1μm以下の薄膜を形成していくため、ピンホールを生じ易く、十分な性能を得るためには厳しく管理された条件下で膜厚の制御を行うことが必要である。従って、生産性が低くかつ大面積化が難しいという問題がある。
【0007】
(3)発光材料で利用されているのは、励起一重項状態からの発光、すなわち蛍光である。ところが、発光層中で正孔と電子とが再結合して生成する励起一重項状態と励起三重項状態の励起子の生成比が量子力学に基づくスピン統計則から1:3であることから、有機EL素子における発光の内部量子効率は理論的には25%が上限とされている。
【0008】
前記(1)に示す課題の解決のためには、正孔輸送材料として安定なアモルファスガラス状態が得られる、スターバーストアミンを用いたり、ポリフォスファゼンの側鎖にトリフェニルアミンを導入したポリマーを用いたりしたEL素子が報告されている(例えば、非特許文献3、4参照)。
【0009】
しかし、これら単独では正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルに起因するエネルギー障壁が存在するため、陽極からの正孔注入性あるいは発光層への正孔注入性を満足することができない。また、前者のスターバーストアミンの場合には、溶解性が小さいために精製が難しく、純度を上げることが困難であることや、後者のポリマーの場合には、高い電流密度が得られず十分な輝度が得られてない等の問題も存在する。
【0010】
また、前記(2)に示す課題の解決のためには、工程を短縮できる単層構造のEL素子について研究・開発が進められ、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の導電性高分子を用いたり、正孔輸送性ポリビニルカルバゾール中に電子輸送材料と螢光色素とを混入した素子が提案されているが(例えば、非特許文献5、6参照)、未だ輝度、発光効率等が有機低分子化合物を用いた積層型EL素子には及ばない。
【0011】
さらに、作製法においては、製造の簡略化、加工性、大面積化、コスト等の観点から、湿式による塗布方式が望ましく、キャステイング法によっても素子が得られることが報告されている(例えば、非特許文献7、8参照)。しかし、電荷輸送材料の溶剤や樹脂に対する溶解性や相溶性が悪いため結晶化しやすい等の問題があったため、電荷輸送性高分子の塗布により電荷輸送層を形成し有機EL素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
たが、湿式による塗布方式では塗布液に用いられる溶媒が大気中に放出される可能性が高く、環境汚染の原因を取らぬよう十分な対策が必要となる。特に、フロン等を含むハロゲン系の溶剤を使用することは避けることが好ましく、最近では適当な沸点、粘度を有し、かつ溶解力の高い溶媒として脂肪族ケトン系溶剤が注目されており、特にシクロヘプタノンは溶解性に優れ、塗布法に好適な沸点を有する非ハロゲン系芳香族系溶媒として有用な溶剤である。
【非特許文献1】Thin Solid Films,Vol.94,171(1982)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.,Vol.51,913(1987)
【非特許文献3】第40回応用物理学関係連合講演会予稿集,30a−SZK−14(1993)
【非特許文献4】第42回高分子討論会予稿集,20J21(1993)
【非特許文献5】Nature,Vol.357,477(1992)
【非特許文献6】第38回応用物理学関係連合講演会予稿集,31p−G−12(1991)
【非特許文献7】第50回応用物理学会学術講演予稿集,29p−ZP−5(1989)
【非特許文献8】第51回応用物理学会学術講演予稿集,28a−PB−7(1990)
【非特許文献9】Nature,Vol.395,151(1998)
【非特許文献10】Appl.Phys.Lett.,Vol.75,4(1999)
【特許文献1】国際公開00/70655パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、ケトン系の溶剤を用いて有機電界素子を作製しようとすると、純度99.9%を越える高純度の溶剤ロットを用いても、溶剤メーカー、ロットの違いにより輝度や輝度発光電流効率等が大きく異なり、時としてほとんど発光することがない素子が得られることも有るという問題点があり、実際に素子作製して評価して良好な結果が得られるまで蒸留法等による精製を繰り返す必要があり、使い勝手が悪く、また溶剤の精製という新たな工程が必要となるため、コスト面での不利があった。
【0014】
従って、本発明は、上記問題点に鑑み、確実に発光素子が優れた素子を得ることが可能な有機電界発光素子の製造方法、及びそれにより得られる有機電界発光素子を提供することを目的とする。また、本発明は、確実に輝度、及び輝度発光効率に優れた素子を得ることが可能となる、有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため脂肪族ケトン溶剤中の微量成分に関し鋭意検討した結果、溶剤ロットの純度そのものよりも、特定の微量成分の含有量が有機電界発光素子の発光特性に重大な影響を与えていることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、
【0016】
<1>
有機化合物及び脂肪族ケトン溶剤を含む有機化合物層塗布液を用い、有機化合物層を形成する工程を有し、
前記脂肪族ケトン溶剤は、ケトン系不純物成分の含有量が0.01重量%以下である、
ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【0017】
<2>
前記脂肪族ケトン溶剤の主成分が、シクロペンタノンであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【0018】
<3>
前記ケトン系不純物成分は、前記脂肪族ケトン溶剤の主成分よりも炭素数が1以上多いものであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【0019】
<4>
前記ケトン系不純物成分は、シクロヘキサノン、及び2−メチル−2−ペンテノンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
<5>
予め使用する脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が0.01重量%以下か否か判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【0020】
<6>
請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機電界発光素子の製造方法により得られることを特徴とする有機電界発光素子。
【0021】
<7>
脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が所定の値以下か否か判定する工程を有することを特徴とする有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、確実に発光素子が優れた素子を得ることが可能な有機電界発光素子の製造方法、及びそれにより得られる有機電界発光素子を提供することができる。また、本発明は、確実に輝度、及び輝度発光効率に優れた素子を得ることが可能となる、有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、有機化合物及び脂肪族ケトン溶剤を含む有機化合物層塗布液を用い、有機化合物層を形成する工程を有し、前記脂肪族ケトン溶剤は、ケトン系不純物成分の含有量が0.01重量%以下である、ことを特徴としている。
【0024】
本発明の有機電界発光素子の製造方法において、例えば、電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)、発光層、キャリア輸送能を有する発光層を、有機化合物(例えば、高分子化合物)により形成する場合、当該有機化合物を溶剤に溶解(或いは分散)させた有機化合物層用塗布液を用いて、当該塗布液を塗布することで有機化合物層を形成する。
【0025】
そして、この有機化合物層用塗布液の溶剤として、ケトン系不純物の含有量が所定値以下の脂肪族ケトン溶剤を適用する。このような脂肪族ケトン系溶剤を用いることで、確実に輝度、及び輝度発光効率に優れた素子を得ることが可能となる。
【0026】
ここで、脂肪族ケトン系溶剤のケトン系不純物が、ケトン系不純物が素子の性能に特に大きな影響を及ぼすかについては定かではないが、大きな双極子モーメントを有するケトン基が有機化合物層中に僅かでも残留することでキャリア輸送能が大きく悪化するためと考えられる。
【0027】
特に、脂肪族ケトン系溶剤には、主成分に対し炭素数が僅かに異なるだけのケトン系の物質が不純物として生成しやすく、かつ物質の物性が似通ったものであるため、精製工程で取り除かれる効率が精製時の室内温度、気圧等の外乱で大きく変動するため、製品としての溶剤の品質が一定し難いと推測できる。また、炭素数が僅かに大きなケトン系不純物では、分子量が大きく、相対的に沸点が高くなるため、キャリアの輸送性能に大きな影響を与えると予想される大きな双極子モーメントを有するケトン基が有機層中に残留しやすくなるためと考えられる。
【0028】
このような有機化合物層用塗布液は、少なくとも、目的に応じた有機化合物と、溶剤として脂肪族ケトン系溶剤と、を含んでいる。
【0029】
脂肪族ケトン系溶剤について説明する。脂肪族ケトン系溶剤には、主成分に対しケトン系不純物成分が、塗布液全体に対して0.01重量%であるが、好ましくは0.005重量%以下である。無論、当該ケトン系不純物成分の含有量は、「0重量%」であることが好ましいが、検出装置の検出限界以下であることが最もよい。
【0030】
ここで、ケトン系不純物成分の含有量を求めるには、次の方法により求めることが好ましい。例えば、質量分析器を検出器としたガスクロマトグラフィー装置、水素炎イオン化検出器などを用いて求めることができる。質量分析器を検出器としたガスクロマトグラフィー装置を用いると、特定のケトン系不純物成分のピークの特定、及びその含有量を同時に測定することができる。ただし、測定感度、ダイナミックレンジの点では水素炎イオン化検出器が優れており、ピークの同定には質量分析器を、定量には水素炎イオン化検出器を用いることがより好ましい。水素炎イオン化検出器は原理的に水を検出できないことからも、併用することは特に好ましい。なお、検出器からの出力をコンピュータに取り込み、各ピークの面積量の値をそのまま用いて含有量を求めることが現実的であり、また後述する判定工程に要する時間、コストを大幅に低減することができる。
【0031】
脂肪族ケトン系溶剤の主成分としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これら脂肪族ケトン系溶剤は、有機化合物の溶解性が高く、かつハロゲンを含まないという利点がある。脂肪族ケトン系溶剤は、沸点が適度であり、沸点が低すぎて塗布後のレベリングが十分でないうちに乾燥固化するため塗布欠陥が生じる、高すぎて乾燥工程が終了するまでに必要とする温度が高くなる、時間が長くなる等の不利を解消することができる。これら脂肪族ケトン系溶剤の中でも、シクロペンタノンは溶解性、乾燥に要する時間、温度の点で特に好適である。
【0032】
一方、脂肪族ケトン系溶剤のケトン系不純物成分としては、例えば、主成分よりも炭素数が1以上(上限は例えば3である。)多いものである成分が挙げられる。これらは、上述したように、例えば、不純物成分として生成し易く、キャリア輸送能に影響を与えやすいものである。
【0033】
特に好適であるシクロヘプタノンを例として詳しく述べると、ケトン系不純物成分としては例えばシクロヘキサノン、及び2−メチル−2−ペンテノンの少なくとも1種が挙げられる。いずれの物質も質量検出器、水素炎イオン化検出器で検出可能であり、質量検出器で測定されるフラグメンテーションパターンで容易に同定が可能である。
【0034】
次に、有機化合物について説明する。有機化合物は、形成する目的の機能層に応じたものが挙げられ、詳細は後述する。また、脂肪族ケトン系溶剤に対する有機化合物の含有量も、特に限定されず、形成する目的の機能層や塗布方法に応じて適宜選択することができる。
【0035】
本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、予め使用する脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が0.01重量%以下か否か判定する工程をさらに有することが好ましい。この判定工程は、通常、有機化合物層用塗布液のロット毎に不純物成分の含有量が異なる可能性があるため、含有量の測定はロット毎に行うことがよい。
【0036】
このような、脂肪族ケトン溶剤におけるケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が所定の値以下か否か判定する工程(有機電界発光素子作製用脂肪族ケトン溶剤の不純物含有量判定方法)を、製造過程に組み込むことで、実際に有機化合物用塗布液を調整し、素子を製造して性能評価を要することなく、予め有機化合物用塗布液の使用可否を判断できるため、歩留まりの向上、使用不能な塗布液の廃棄がなくなるなど、製造時のコストダウンのみならず、環境への負荷低減にも大きく寄与することが可能となる。
【0037】
ここで、上記判定工程で、ケトン系不純物成分の含有量を測定し、当該含有量が所定の値以下であると判定した場合、後工程(有機化合層用塗布液調整・塗布)にそのまま使用する。一方、当該含有量が所定の値を超えたと判定した場合、その塗布液のロットの使用を取りやめるか、もしくは蒸留法等により精製を試み、再度、不純物成分の含有量を測定して、所定の値以下であるか否かを再判定する。
【0038】
以下、図面を参照しつつ、本発明の有機EL素子の構成、及びその製造方法についてより詳細に説明する。
【0039】
図1〜図4は、本発明の有機EL素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1〜図4において、同様の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
【0040】
図1に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、発光層4、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図2に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5及び背面電極7を順次積層してなる。図3に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4及び背面電極7を順次積層してなる。図4に示す有機EL素子は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、キャリア輸送能を有する発光層6及び背面電極7を順次積層してなる。なお、これらの層以外にも必要に応じて正孔注入層、電子注入層などが設けられる。
【0041】
透明絶縁体基板1は、発光を取り出すため透明なものが好ましく、ガラス、プラスチックフィルム等が用いられる。また、透明電極2は、透明絶縁体基板と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが好ましく、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の酸化膜、及び蒸着あるいはスパッタされた金、白金、パラジウム等が好ましく用いられる。
【0042】
電子輸送層5には、電荷輸送性材料が用いられる。電荷輸送性材料としては、アルミ、ベリリウム等の金属のピリジノキノリノ錯体、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。これらを用いる場合は蒸着法で設けられるのが一般的である。また、電荷輸送性材料としては、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類等の高分子化合物も挙げられる。このような高分子化合物を用いる場合、湿式塗布法(上記有機化合物塗布工程)を用いることができる。但し、既に設けられている下層が溶剤により溶解しない場合に用いることが望ましい。
【0043】
なお、陰極からの電子注入性を改善することを目的として、電子輸送層5と背面電極7との間に前記電子注入層を形成する場合の材料としては、陰極から電子を注入する機能を有しているものであればよく、前記電子輸送材料と同様の材料を用いることができる。
【0044】
正孔輸送層3には、正孔輸送性材料が用いられる。このような正孔輸送材料としては、三級の芳香族アミンアミン骨格、カルバゾール骨格、スチルベン骨格、アリールヒドラゾン骨格等を繰り返し構造として主鎖中に含む高分子化合物、あるいは高分子主鎖にペンダントした高分子化合物が挙げられる。このような高分子化合物を用いる場合、湿式塗布法(上記有機化合物塗布工程)を用いることができる。但し、既に設けられている下層が溶剤により溶解しない場合に用いることが望ましい。
【0045】
なお、陽極からの正孔注入性を改善することを目的として、透明電極2と正孔輸送層3との間に前記正孔注入層を形成する場合の材料としては、陽極から正孔を注入する機能を有しているものであればよく、銅フタロシアニンの蒸着層などを用いることができるが、水系溶媒中に分散されたポリスチレンスルホン酸とポリ(2,3−ジオキシエチニルチオフェン)の混合物(通称PEDOT)は脂肪族ケトン系溶剤への溶解性が著しく低く、より好ましい。
【0046】
発光層4には、発光材料が用いられる。発光材料としては、例えば、アルミ、ベリリウム等の金属のピリジノキノリノ錯体が挙げられる。これらを用いる場合には蒸着法で設けることができる。また、発光材料としてはポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類等の発光性高分子化合物も挙げられる。このような高分子化合物を用いる場合、湿式塗布法(上記有機化合物塗布工程)を用いることができる。但し、既に設けられている下層が溶剤により溶解しない場合に用いることが望ましい。
【0047】
背面電極7には、真空蒸着可能で、電子注入を行うため仕事関数の小さな金属が使用されるが、特に好ましくはマグネシウム、アルミニウム、銀、インジウム及びこれらの合金である。また、背面電極7上には、さらに素子の水分や酸素による劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。
【0048】
具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Alなどの金属、MgO、SiO、TiO等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用できる。
【0049】
上記各層構成の有機電界発光素子の各層のうち、湿式塗布法(上記有機化合物層塗布工程)を用いて層を設ける場合は、スピンコーティング法、ディップ法、インクジェット法等を用いて製膜することによって形成するのが一般的である。
【0050】
なお、形成される正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5の膜厚は、各々0.1μm以下であることが好ましく、特に、0.03〜0.08μmの範囲であることが好ましい。また、キャリア輸送能を有する発光層6の膜厚は、0.03〜0.2μmの範囲程度が好ましい。また、前記正孔注入層、電子注入層を形成する場合の膜厚は、各々前記正孔輸送層3、電子輸送層5と同程度もしくは薄い膜厚であることが好ましい。
【0051】
また、本発明の有機電界発光素子は、一対の電極間に、例えば、4〜20Vで、電流密度が1〜200mA/cmの範囲の直流電圧を印加することによって、充分発光させることができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0053】
まず、有機電界発光素子の作製に用いる脂肪族ケトン系溶剤について示す。脂肪族ケトン系溶剤として使用したシクロペンタノンについて以下の5種類である。各シクロペンタノンの純度、及びケトン系不純物成分(主成分のシクロペンタノンよりも炭素数が1つ多いシクロヘキサノン、及び2つ多い2−メチル2−ペンテノン)の含有量(2種の総量)を以下に示す。なお、含有量の測定は、島津製作所製のガスクロマトグラフィー測定装置(GC−17A型、FID検出器使用)で得られたピーク面積からそのまま求めた値である。以下同様である。
【0054】
【表1】


【0055】
脂肪族ケトン系溶剤として使用したシクロヘキサノンは以下の2種類である。各シクロヘキサノンの純度、ケトン系不純物成分(主成分のシクロヘキサノンよりも炭素数が1つ多いシクロヘプタノン)の含有量を以下に示す。
【0056】
【表2】


【0057】
脂肪族ケトン系溶剤として使用したメチルエチルケトンは以下の2種類である。各メチルエチルケトンの純度、ケトン系不純物成分(主成分のメチルエチルケトンよりも炭素数が1つ多いジエチルケトン、2つ多いメチルプロピルケトン)の含有量を以下に示す。
【0058】
【表3】


【0059】
脂肪族ケトン系溶剤として使用したメチルイソブチルケトンは以下の2種類である。各メチルイソブチルケトンの純度、ケトン系不純物成分(主成分であるメチルイソブチルケトンの炭素数よりも1つ多いエチルイソブチルケトン及びノルマルプロピルイソブチルケトン)の含有量を以下に示す。
【0060】
【表4】


【0061】
[実施例1]
下記繰り返し構造(I−1)を有する電荷輸送性ポリエステル(スチレン換算重量平均分子量約120,000)の5質量%CPN−A溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコーティング法により膜厚約0.1μmの電荷輸送層を形成した。形成した膜が流動性をもたず、次工程へ搬送するに問題が無いことを確認できるまで放置した後、下記記例示化合物(I−2)を用い真空蒸着法により厚さが0.05μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(1.33×10−1Pa)でITO電極側をプラス、Mg−Ag背面電極をマイナスとして、5V印加時の輝度[cd/m]を測定した。結果を表5に示す。
【0062】
【化1】


【0063】
[実施例2]
CPN−AをCPN−Bに変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表5に示す。
【0064】
[実施例3]
CPN−AをCPN−Cに変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表5に示す。
【0065】
[比較例1]
CPN−AをCPN−Dに変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表5に示す。
【0066】
[比較例2]
CPN−AをCPN−Eに変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表5に示す。
【0067】
【表5】


【0068】
[実施例4]
下記繰り返し構造(I−3)を有する電荷輸送性ポリエステル(スチレン換算重量平均分子量約80,000)の5質量%CPN−A溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコーティング法により膜厚約0.1μmの電荷輸送層を形成した。形成した膜が流動性をもたず、次工程へ搬送するに問題が無いことを確認できるまで放置した後、下記記例示化合物(I−2)を用い真空蒸着法により厚さが0.05μmの電子輸送層を形成した。最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(1.33×10−1Pa)でITO電極側をプラス、Mg−Ag背面電極をマイナスとして、5V印加時の輝度[cd/m]及び1000cd/m発光時の輝度電流効率[cd/A]を測定した。結果を表6に示す。
【0069】
【化2】


【0070】
[実施例5]
CPN−AをCPN−Bに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表6に示す。
【0071】
[実施例6]
CPN−AをCPN−Cに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表6に示す。
【0072】
[比較例3]
CPN−AをCPN−Dに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表6に示す。
【0073】
[比較例4]
CPN−AをCPN−Eに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表6に示す。
【0074】
【表6】


【0075】
[実施例7]
下記繰り返し構造(I−4)を有する電荷輸送性ポリウレタン(スチレン換算重量平均分子量約120,000)の5質量%CPN−A溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。この溶液を用いて、2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に、スピンコーティング法により膜厚約0.1μmの電荷輸送層を形成した。形成した膜が流動性をもたず、次工程へ搬送するに問題が無いことを確認できるまで放置した後、下記繰り返し構造(I−5)を有するπ共役系ポリマー(スチレン換算重量平均分子量約65,000)の5質量%シクロヘキサノン溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した溶液を電荷輸送層上に発光材料として塗布して約0.1μmの発光層を形成した最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(1.33×10−1Pa)でITO電極側をプラス、Mg−Ag背面電極をマイナスとして、5V印加時の輝度[cd/m]及び1000cd/m発光時の輝度電流効率[cd/A]を測定した。結果を表7に示す。
【0076】
【化3】


【0077】
[実施例8]
CPN−AをCPN−Bに変えた以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表7に示す。
【0078】
[実施例9]
CPN−AをCPN−Cに変えた以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表7に示す。
【0079】
[比較例5]
CPN−AをCPN−Dに変えた以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表7に示す。
【0080】
[比較例6]
CPN−AをCPN−Eに変えた以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表7に示す。
【0081】
【表7】


【0082】
[実施例10]
バイトロン(Baytron)P(バイエル株式会社製、ポリエチレンジオキサイドチオフェンとポリスチレンスルホン酸とのポリマーの混合水分散液)をスピンコート法により2mm幅の短冊型ITO電極をエッチングにより形成したガラス基板上に塗布、加熱乾燥して膜厚が0.1μmの正孔注入層を形成した。この上に、下記繰り返し構造(I−6)を有する電荷輸送性ポリエ−テル(スチレン換算重量平均分子量約85,000)の5質量%トルエン溶液を調製し、0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した溶液を用いて、スピンコーティング法により膜厚約0.1μmの電荷輸送層を形成した。
形成した膜が流動性をもたず、次工程へ搬送するに問題が無いことを確認できるまで放置した後、下記繰り返し構造(I−7)を有するπ共役系ポリマー(スチレン換算重量平均分子量約49,000)の5質量%CHN−A溶液を0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した溶液を電荷輸送層上に発光材料として塗布して約0.1μmの発光層を形成した最後にMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。作製された有機EL素子の有効面積は0.04cmであった。
以上のように作製した有機EL素子を、真空中(1.33×10−1Pa)でITO電極側をプラス、Mg−Ag背面電極をマイナスとして、5V印加時の輝度[cd/m]及び1000cd/m発光時の輝度電流効率[cd/A]を測定した。結果を表8に示す。
【0083】
【化4】


【0084】
[実施例11]
CPN−AをCPN−Bに変えた以外は実施例10と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表8に示す。
【0085】
[実施例12]
CPN−AをCPN−Cに変えた以外は実施例10と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表8に示す。
【0086】
[比較例7]
CPN−AをCPN−Dに変えた以外は実施例10と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表8に示す。
【0087】
[比較例8]
CPN−AをCPN−Eに変えた以外は実施例10と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表8に示す。
【0088】
【表8】


【0089】
[実施例13]
CPN−AをCHN−Aに変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表9に示す。
【0090】
[比較例9]
CPN−AをCHN−Bに変えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表9に示す。
【0091】
【表9】


【0092】
[実施例14]
CPN−AをMEK−Aに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表10に示す。
【0093】
[比較例10]
CPN−AをMEK−Bに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表10に示す。
【0094】
【表10】


【0095】
[実施例15]
CPN−AをMIBKK−Aに変えた以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表11に示す。
【0096】
[比較例11]
CPN−AをMIBK−Bに変えた以外は実施例4と同様にして有機EL素子を作製、評価した。結果を表11に示す。
【0097】
【表11】


【0098】
ここで、表5乃至表11に挙げた各実施例及び比較例で得られた数値を、各表中の最大値を1としてグラフ化して整理したものを図5乃至図8に示す。横軸に溶剤の純度をとった図5及び図6からは、概ね純度の高い溶剤を使うことで良好な性能が得られるという傾向は見られるものの、安定した発光性能を有する素子を製造するための基準となる純度を特定することは不可能である。それに対し、特定の不純物成分の合計含有量を横軸にとった図7及び図8では、7本のグラフ線のバラツキが小さく、しかも右肩上がりになっており、安定した発光性能を有する素子を製造するための基準を定めることが可能であることが明白である。
【0099】
脂肪族ケトン系溶剤として使用したシクロペンタノンを例にとって、更に詳細に説明すると、純度99.93%の購入品CPN−D、純度99.97%の購入品CPN−Eを用いた場合、初期性能は低い傾向にあり、また素子構成の違いによるバラツキが大きい。これらを改善するには蒸留操作により純度を向上(CPN−A:99.93%→99.98%、CPN−B:99.94%→99.98%)する必要があるものの、購入品(純度99.96%)のCPN−Cをそのまま用いた場合の初期特性及び、素子構成の違いによるバラツキは蒸留精製処理を加えたものを上回る。よって、シクロヘプタノンの純度だけを指標として素子製造への適用可否を決定することができないことがわかる。
【0100】
これに対し、横軸に特定の不純物、シクロヘキサノンと2−メチル2−ペンテノンの合計含有量をとった図7及び図8では、初期性能及び素子構成によるバラツキは上記2成分の合計含有量が少ないほど、より好ましい結果が得られていることがわかる。詳細に見れば、合計含有量が0.014%では素子構成によっては良好な素子構成を示すものもあるもののバラツキが大きく、0.01%でバラツキが小さくなっていることが明瞭である。よって、上記2成分の合計含有量は検出不能が最も望ましいことは勿論であるが、0.01%以下であることが望ましく、素子構成によっては0.014%以下でも良好な初期特性を得ることが可能である。
【0101】
すなわち、本発明の有機電界発光素子の製造方法を適用することにより、地球環境にやさしい脱ハロゲン化溶媒である脂肪族ケトン系溶媒を用いて、確実に輝度、及び輝度発光効率に優れた素子を得ることが可能となることがわかる。
【0102】
さらに、素子作製/評価を行うことなく、かつ、蒸留等の大量のエネルギーを必要とする操作を加えることなく購入した溶剤をそのまま素子製造で使用することの可否を判断することが可能となり、不良塗布液の廃棄が不要となり、製造コストの低減、環境負荷の低減にも大きく寄与できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の他の一例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子の他の一例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の有機EL素子の他の一例を示す模式的断面図である。
【図5】実施例及び比較例で得られた溶剤の純度と輝度との関係を示す図である。
【図6】実施例及び比較例で得られた溶剤の純度と輝度電流効率との関係を示す図である。
【図7】実施例及び比較例で得られた溶剤の不純物合計濃度(含有量)と輝度との関係を示す図である。
【図8】実施例及び比較例で得られた溶剤の不純物合計濃度(含有量)と輝度電流効率との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 透明絶縁体基板
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 キャリア輸送能を有する発光層
7 背面電極
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−16297(P2008−16297A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185971(P2006−185971)