| 【発明の名称】 |
有機ELディスプレイ |
| 【発明者】 |
【氏名】丹波 泰之
【氏名】田中 正行
【氏名】馬場 英年
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、金属膜が金属酸化膜の放出する酸素を吸収することにより、信頼性を向上させることが可能な有機ELディスプレイ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【構成】素子基板1と、前記素子基板1上に形成された有機EL素子2と、前記素子基板1上に対して対向配置された封止基板3と、前記素子基板1と前記封止基板3との間に介在され、前記有機EL素子2を取り囲むように形成されたシール材4と、前記素子基板1と対向する前記封止基板3の対向面に形成され、前記素子基板1、前記封止基板3及び前記シール材4で形成される空間内の水分を吸収するための吸湿体5と、を備え、前記吸湿体5は、光透過性の金属酸化膜7と光透過性の金属膜8とを積層した構造を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 素子基板と、 前記素子基板上に形成された有機EL素子と、 前記素子基板上に、該素子基板に対して対向するように配置された封止基板と、 前記素子基板と前記封止基板との間に介在され、前記有機EL素子を取り囲むように形成されたシール材と、 前記素子基板と対向する前記封止基板の対向面に形成され、前記素子基板、前記封止基板及び前記シール材で形成される空間内の水分を吸収するための吸湿体と、 を備え、 前記吸湿体は、光透過性の金属酸化膜と光透過性の金属膜とを積層した構造を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。 【請求項2】 前記金属膜は、前記金属酸化膜に対して前記素子基板側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイ。 【請求項3】 前記金属膜は、前記金属酸化膜の端部側面を露出するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の有機ELディスプレイ。 【請求項4】 前記有機EL素子は、前記素子基板上にマトリックス状に複数配列されており、 前記素子基板上には、前記マトリックス状に配列された複数の有機EL素子を取り囲むように形成された隔壁を備え、 前記吸湿体は、前記隔壁に接するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の有機ELディスプレイ。 【請求項5】 前記隔壁を構成する材料は、樹脂材料を主成分とすることを特徴とする請求項4に記載の有機ELディスプレイ。 【請求項6】 素子基板と、 前記素子基板上に形成された有機EL素子と、 前記有機EL素子上に形成された光透過性の保護膜と、 前記保護膜上に形成され、外部の水分を吸収するための吸湿体と、 を備え、 前記吸湿体は、光透過性の金属膜と光透過性の金属酸化膜とを積層した構造を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。 【請求項7】 前記金属膜は、前記金属酸化膜に対して前記素子基板側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の有機ELディスプレイ。 【請求項8】 前記有機EL素子は、前記素子基板上にマトリックス状に複数配列されており、 前記吸湿体は、前記複数の有機EL素子の配列領域の直上に配置され、 平面視において前記吸湿体の形成領域は、前記配列領域よりも広く、該配列領域を含んで設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の有機ELディスプレイ。 【請求項9】 前記金属膜及び前記金属酸化膜を構成する金属は、同質の金属材料を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の有機ELディスプレイ。 【請求項10】 前記金属膜及び前記金属酸化膜を構成する金属は、アルカリ土類金属を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の有機ELディスプレイ。 【請求項11】 前記金属膜の厚みは、1nm〜100nmであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の有機ELディスプレイ。 【請求項12】 前記金属膜及び前記金属酸化膜は、前記保護膜上に金属材料層を被着し、該金属材料層の一部を酸化処理することで形成されることを特徴とする請求項6に記載の有機ELディスプレイ。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、有機ELディスプレイに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、ディスプレイとして有機EL素子を用いた有機ELディスプレイが注目されている。 【0003】 かかる有機ELディスプレイに用いられる有機EL素子は、有機材料から構成されており、外気に触れると酸化して劣化が起きると考えられている。そこで、図5に示すように、有機EL素子上には、有機材料を外気から保護するため水・酸素を吸収する吸湿膜が形成されている(例えば、特許文献1)。この吸湿膜はアルカリ土類金属の酸化物により形成されている。 【特許文献1】特開2005−71639号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、吸湿膜を構成するアルカリ土類金属酸化物は、酸素が過剰に存在すれば過酸化物となって酸素を放出する虞がある。酸素が放出され、放出された酸素と有機EL素子の有機材料とが化合すると、有機EL素子自体が酸化して劣化する等、信頼性の面で問題が生じる。 【0005】 本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであって、信頼性を向上させることが可能な有機ELディスプレイを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題を解決するために、本発明の有機ELディスプレイにおいては、素子基板と、前記素子基板上に形成された有機EL素子と、前記素子基板上に、該素子基板に対して対向するように配置された封止基板と、前記素子基板と前記封止基板との間に介在され、前記有機EL素子を取り囲むように形成されたシール材と、前記素子基板と対向する前記封止基板の対向面に形成され、前記素子基板、前記封止基板及び前記シール材で形成される空間内の水分を吸収するための吸湿体と、を備え、前記吸湿体は、光透過性の金属酸化膜と光透過性の金属膜とを積層した構造を有することを特徴とする。 【0007】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜は、前記金属酸化膜に対して前記素子基板側に配置されていることを特徴とする。 【0008】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜は、前記金属酸化膜の端部側面を露出するように形成されていることを特徴とする。 【0009】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記有機EL素子は、前記素子基板上にマトリックス状に複数配列されており、前記素子基板上には、前記マトリックス状に配列された複数の有機EL素子を取り囲むように形成された隔壁を備え、前記吸湿体は、前記隔壁に接するように形成されていることを特徴とする。 【0010】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記隔壁を構成する材料は、樹脂材料を主成分とすることを特徴とする。 【0011】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、素子基板と、前記素子基板上に形成された有機EL素子と、前記有機EL素子上に形成された光透過性の保護膜と、前記保護膜上に形成され、外部の水分を吸収するための吸湿体と、を備え、前記吸湿体は、光透過性の金属膜と光透過性の金属酸化膜とを積層した構造を有することを特徴とする。 【0012】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜は、前記金属酸化膜に対して前記素子基板側に配置されていることを特徴とする。 【0013】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記有機EL素子は、前記素子基板上にマトリックス状に複数配列されており、前記吸湿体は、前記複数の有機EL素子の配列領域の直上に配置され、平面視において前記吸湿体の形成領域は、前記配列領域よりも広く、該配列領域を含んで設けられていることを特徴とする。 【0014】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜及び前記金属酸化膜を構成する金属は、同質の金属材料を主成分とすることを特徴とする。 【0015】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜及び前記金属酸化膜を構成する金属は、アルカリ土類金属を主成分とすることを特徴とする。 【0016】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜の厚みは、1nm〜100nmであることを特徴とする。 【0017】 また、本発明の有機ELディスプレイにおいては、前記金属膜及び前記金属酸化膜は、前記保護膜上に金属材料層を被着し、該金属材料層の表面を酸化処理することで形成されることを特徴とする。 【発明の効果】 【0018】 本発明によれば、有機EL素子上に、アルカリ土類金属膜とアルカリ土類金属酸化膜からなる吸湿体を設け、アルカリ土類金属酸化膜が放出する酸素をアルカリ土類金属膜が吸収することで、有機EL素子の劣化を抑制することができ、有機ELディスプレイの信頼性の向上に寄与することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下に、本発明にかかる有機ELディスプレイ及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。 【0020】 <有機ELディスプレイ> 本発明の有機ELディスプレイの実施の形態の一例について、図1(a)に平面図を、図1(b)に図1(a)のA−A’部分の断面図を示す。 【0021】 図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る有機ELディスプレイは、平板状の素子基板1と、素子基板1上にマトリックス状に配列された有機EL素子2と、素子基板1上に、素子基板1に対して対向するように配置された封止基板3と、素子基板1と封止基板3との間に介在され、有機EL素子2の配列領域を取り囲むように形成されたシール材4と、素子基板1と対向する封止基板3の対向面Sに形成され、素子基板1、封止基板3及びシール材4で形成される空間内の水分を吸収するための吸湿体5とを含んで構成されている。なお、素子基板1上には、各々の有機EL素子2を取り囲むように隔壁6が形成されている。 【0022】 素子基板1としては、例えば、透明性のプラスチックやガラスを用いることができる。本実施の形態の一例にかかる有機ELディスプレイは、有機EL素子2から発せられた光が封止基板3を通過して進行する、所謂トップエミッション構造であるため、素子基板1は透明性の基板でなくても良い。なお、有機EL素子2が形成される素子基板1上には、絶縁膜で被覆された薄膜トランジスタ、電気配線からなる駆動回路等が形成されている。 【0023】 有機EL素子2の基本構造は、有機発光層2aが上下方向から下部電極層2cと上部電極層2bとに挟まれた構造である。なお、有機発光層2aは、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等の複数層で構成される場合が多い。かかる有機発光層2aは、一般的に有機材料から形成されており、両電極層2b、2cから印加される電流に基づき発光する。 【0024】 有機EL素子2は、例えば蒸着法やCVD法を用いることにより形成することができる。下部電極層2bとしては、例えば、白金、金、銅、パラジウム、イリジウム、アルミニウム、酸化ニッケル、酸化チタン等を用いることができる。また、上部電極層2cとしては、例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、銀、ストロンチウム、ITO、IZO等を用いることができる。なお、かかる上部電極層2cは、トップエミッション構造を採用する場合、透明又は半透明の材料から構成されており、有機発光層2aが発する光を透過する機能を有している。なお、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、銀、ストロンチウム等の基本的には光透過化の有さない材料は、その厚みを、100nm以下とすることで光を透過させることができる。 【0025】 封止基板3は、有機EL素子2を外気から封止する機能を有している。トップエミッション構造を採用する場合は、透明性の基板であって、例えばプラスチック、ガラスから形成されている。 【0026】 シール材4は、素子基板1と封止基板3とを接合する機能を有している。シール材4としては、例えば、光硬化性又は熱硬化性のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂等を用いることができる。これにより、有機EL素子2は、素子基板1と封止基板3とシール材4とにより外気から遮断する形で封止される。 【0027】 なお、有機EL素子2の封止は、真空中または不活性ガス中で行なう。不活性ガスとしては、例えば窒素ガスやアルゴンガスを用いる。不活性ガス中で封止を行なうのは、有機EL素子2が酸素や水分で劣化するため、封止する際に有機ELディスプレイ内に酸素や水分が入るのを防止するためである。 【0028】 封止基板3の対向面Sに被着する吸湿体5は、酸素・水を吸収するものであって、光透過性の金属酸化膜7と、光透過性の金属膜8とを積層した構造を有している。 【0029】 金属酸化膜7は、素子基板1と対向する封止基板3の対向面Sに形成されており、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物を用いることができる。金属酸化膜7は、例えば蒸着法やスパッタリング法によって、カルシウムを昇華しながら酸素を供給し、反応性蒸着又は反応性スパッタ等の反応成膜を行うことで1〜500nmの範囲で形成する。 【0030】 金属膜8は、対向面S上に形成した金属酸化膜7上に積層されており、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることができる。金属膜8は、金属酸化膜7上に、例えば蒸着法やスパッタリング法によって、カルシウムを昇華して1〜100nmの範囲で形成する。金属膜8の厚みを、この範囲とすることで、有機EL素子2が発する光が十分に金属膜8を透過することができる。 【0031】 金属膜8は、金属酸化膜7の表面を被覆するように形成することで、下記で説明するように金属酸化膜7が放出する酸素を吸収することができる。その結果、有機EL素子2と放出された酸素が反応して上部電極層2c及び下部電極層2bが酸化したり、有機発光層2aが劣化したりする等の問題を抑制することができる。 【0032】 金属酸化膜7が酸素を放出するのは、酸素を供給しながら金属酸化膜7を形成する反応成膜を行なうことで、金属酸化膜7の一部に酸素が過剰に存在する場合と、金属酸化膜7が外部からの酸素・水分を吸収し、金属酸化膜7内に過剰に酸素が存在する場合等に想定される。金属酸化膜7に酸素が過剰に存在すると、金属酸化膜7が分子状態としてより安定な一酸化物となる過程において、酸素を放出するものと考えられる。 【0033】 金属膜8は、金属酸化膜7の端部側面を露出するように形成することが望ましい。かかる金属酸化膜7の端部側面を露出することで、金属酸化膜7が有機ELディスプレイに外部から衝撃が加わり有機EL素子2の封止が破れたとしても、外部から侵入する酸素・水分を吸収することができ、有機ELディスプレイの輝度の低下を抑制することができる。 【0034】 また、図1(a)に示すように、吸湿体5の形成領域F1は、有機EL素子2の配列領域F2よりも広く、配列領域F2を含んで設けることで、金属膜8を金属酸化膜7と有機EL素子2との間に介在するように配置することができ、金属酸化膜7から有機EL素子2に向かって放出された酸素を有機EL素子2に到達する前に的確に捕捉することができる。その結果、有機EL素子2の劣化を低減することができる。また、このように吸湿体5を設けたことで、金属酸化膜7から放出された酸素の進行方向がいかようであっても、金属膜8で酸素を捕捉することができるため、各々の有機EL素子2の劣化を略均一にすることができ、有機ELディスプレイの輝度むらを低減することができる。 【0035】 本発明の有機ELディスプレイは、上記したように金属酸化膜7と有機EL素子2との間に金属膜8を形成することで、金属酸化膜7が放出する酸素を金属膜8で吸収し、金属酸化膜7が放出する酸素と有機EL素子2とが化合して、有機EL素子2が劣化するのを抑制することができ、ディスプレイとしての信頼性を向上させることができる。 【0036】 また、隔壁6は、複数の有機EL素子2を仕切るためのものであって、例えば、素子基板1上にCVD法によって成膜し、ウエットエッチング処理することで下部より上部の方が広い略逆テーパー状に成形することができる。隔壁6としては、外部からの衝撃の観点から、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いることができる。 【0037】 樹脂材料は、水分を吸収し易い性質を有している。樹脂材料を主成分とする隔壁6は、ウエットエッチング処理等を行なって成形する際に、隔壁6の表面ないし内部に水分が付着することがある。水分を有する隔壁6の近傍に有機EL素子2を形成すると、有機EL素子2が隔壁6の水分によって劣化する虞がある。そこで、図2に示すように、吸湿体5における金属膜8は、隔壁6の上面と少なくとも一部接するように形成することで、隔壁6が有する水分を吸収することができ、隔壁6を介して有機EL素子2に水分が浸入するのを抑制することができる。その結果、有機EL素子2の劣化を防止することができ、有機ELディスプレイの信頼性を向上することができる。なお、素子基板1上に形成するシール材3の上下の厚みを調えることで、素子基板1と封止基板3との距離を調整することができ、金属膜8と隔壁6とを接触するように形成することができる。 【0038】 また、図2に示すように、隔壁6の上面と吸湿体5とを接触させると、隔壁6が吸湿体5から応力を受ける。隔壁6は、吸湿体5から応力を受けると、隔壁6の上下の厚みが短くなり、隣接する有機EL素子2に向かって広がる。かかる有機EL素子2の端部は、隔壁6から受ける応力が原因で、歪みが生じ、素子基板1から剥離したりする等の問題が生じる虞がある。ここで、隔壁6に吸湿体5が接触する前の隔壁6の上下の厚みをL1とし、隔壁6に吸湿体5が接触して外形が変化した後の隔壁6の上下の厚みをL2とし、L1とL2との差をL3とする。そこで、隔壁6が吸湿体5から受ける応力は、0≦L3≦0.3μmの範囲となる力とする。その結果、隔壁6に吸湿体5が接触しても、有機EL素子2に歪みが生じるのを防止することができる。 【0039】 また、金属膜8及び金属酸化膜7を構成する金属は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の同質の金属材料を主成分とすることで、金属膜8と金属酸化膜7との界面の密着性を良好に維持することができ、金属膜8と金属酸化膜7との剥離を防止し、有機ELディスプレイの信頼性を向上することができる。 【0040】 更に、金属膜8及び金属酸化膜7を構成する金属は、アルカリ土類金属を主成分とすることで、吸湿体5の透明性を高めることができ、有機EL素子2が発する光を封止基板3外に取り出す取出効率を上げて、有機EL素子2から発せられる光を有効活用することができる。なお、ここで主成分とは、金属膜8及び金属酸化膜7を構成する複数の物質のうち最も多く含まれる金属材料をいう。 【0041】 <有機ELディスプレイの変形例> 以下では、上述の実施形態に係る有機ELディスプレイの変形例及びその製造方法について記載する。なお、上述の図1に示す構成や製造方法については、同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる箇所について説明する。 【0042】 本変形例においては、図3に示すように、吸湿体5´は素子基板1側に形成されている。 【0043】 有機EL素子2上に、例えばCVD法によって有機EL素子2を保護するための保護膜9が形成されている。保護膜9は、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素等の無機材料からなり、酸素・水分が有機EL素子2に浸入するのを抑止する障壁としての機能を有している。なお、保護膜9は、有機EL素子2の表面全体を被覆するように形成されている。 【0044】 吸湿膜5´は、保護膜9上に、例えば蒸着法やCVD法を用いることにより形成することができる。次に、金属膜8´を保護膜9上に、上述した方法及び材料を使用することで、保護膜9の表面全体を被覆するように形成する。更に、金属酸化膜7´を金属膜8´上に、上述した方法及び材料を使用して形成する。 【0045】 従来図6に示すように、保護膜9に有機EL素子2の上面まで、酸素が進入することが可能なピンホールが形成されていた場合、保護膜9上に金属酸化膜7´を直接形成すると、金属酸化膜7´が放出する酸素が上記ピンホールを介して有機EL素子2と化合し、有機EL素子2を劣化させる虞がある。 【0046】 そこで、保護膜9上に金属膜8´を形成し、その上面に金属酸化膜7´を形成したことで、放出された酸素を金属膜8´が吸収し、酸素がピンホールを介して有機EL素子2まで到達するのを抑制することができ、有機ELディスプレイの信頼性を向上させることができる。 【0047】 なお、保護膜9上に、例えば蒸着法によって金属材料層を被着し、その後、金属材料層の表面を酸化処理することで、金属材料層の表面に金属酸化膜7´を形成することができる。この場合、保護膜9上に形成する吸湿体5´の製造方法において、金属膜8を形成してから金属酸化膜7を別途成膜するのに比べて、成膜プロセスを一層分省略することができるため、効率良く有機ELディスプレイを製造することができる。 【0048】 なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更・改良が可能であることはいうまでもない。 【実施例】 【0049】 本発明の有機ELディスプレイの輝度の経時変化について以下に説明する。 【0050】 ここでは、図1に示す有機ELディスプレイ(実施例1)と、実施例から金属膜8のみを除いた有機ELディスプレイ(比較例1)との輝度の経時変化について比較検討を行なった。 【0051】 実施例1における吸湿体5の構成は、金属酸化膜7として60nmの厚みの酸化カルシウム、金属膜8として5nmの厚みのカルシウムである。 【0052】 次に、図4に示すように、実施例1の輝度の経時変化(T1)と、比較例1の輝度の経時変化(T2)について輝度保持率Bと経過時間Tのシミュレーション結果について説明する。ここで、輝度保持率Bとは、当初の発光輝度に対する計測時の発光輝度の割合である。なお、輝度の計測条件として、有機EL素子に流す電流は10.8mAとし、定電流駆動で計測した。 【0053】 図3に示すように、実施例1は、1000時間経過したとき輝度保持率Bは約66%で、2000時間経過したとき輝度保持率は約55%である。比較例1は、1000時間経過したとき輝度保持率は約55%で、2000時間経過したとき輝度保持率は約40%である。この結果より、吸湿体5を有する有機ELディスプレイは、輝度寿命が延びたことが分かる。その原因は、金属膜8が金属酸化膜7の放出する酸素を吸収したものと推定され、有機EL素子2が劣化するのを抑制したものと考えられる。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】本発明の有機ELディスプレイの一例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’部分の断面図である。 【図2】本発明の有機ELディスプレイの一例を示した断面図である。 【図3】本発明の有機ELディスプレイの一例を示した断面図である。 【図4】本発明の有機ELディスプレイの輝度と経時変化を示すシミュレーション結果である。 【図5】従来の有機ELディスプレイの一例を示した断面図である。 【図6】従来の有機ELディスプレイの一例を示した断面図である。 【符号の説明】 【0055】 1 素子基板 2 有機EL素子 2a 有機発光層 2b 下部電極層 2c 上部電極層 3 封止基板 4 シール材 5 吸湿体 6 隔壁 7 金属酸化膜 8 金属膜 9 保護膜 S 対向面 F1 形成領域 F2 配列領域
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006633 【氏名又は名称】京セラ株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年6月28日(2006.6.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−10262(P2008−10262A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−178212(P2006−178212) |
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