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【発明の名称】 加熱調理器
【発明者】 【氏名】野田 臣光

【氏名】古田 和浩

【要約】 【課題】加熱手段を駆動する周波数変換回路と補助電源としての二次電池を充電する回路とを備える場合に、回路構成を小規模にできる加熱調理器を提供する。

【構成】電子レンジ1に、補助電源として使用される二次電池34を備え、インバータ回路47により生成される高周波電流の出力先を、スイッチ54を介してマグネトロン11の駆動回路52と、二次電池34の充電回路36とに切換える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を整流し、電源周波数を変換して出力する周波数変換回路と、
加熱室内にマイクロ波を送出するマグネトロンと、
このマグネトロンを駆動する駆動回路と、
補助電源として使用される二次電池と、
この二次電池に充電を行うための充電回路と、
前記周波数変換回路の出力先を、前記駆動回路側と前記充電回路側とを接続する接続手段とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
商用交流電源を整流し、電源周波数を変換して出力する周波数変換回路と、
前記周波数が変換された電源が供給され、誘導加熱を行なう加熱コイルと、
補助電源として使用される二次電池と、
この二次電池に充電を行うための充電回路と、
前記周波数変換回路の出力先を、前記加熱コイル側と前記充電回路側とに接続する接続手段とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
前記二次電池からの電力供給先を選択するための選択手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記選択手段として、周波数変換回路の入力側において、前記二次電池より供給される電源を、商用交流電源を整流した直流電源に対して並列又は直列に接続するための接続手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記二次電池に対して充電を行う場合に、商用交流電源の電流波形を正弦波状に制御する電流制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記電流制御手段を、アクティブフィルタにより構成したことを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記充電回路に、リーケージトランス,整流素子及びコンデンサからなる両波倍電圧回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、商用交流電源の周波数を変換する周波数変換回路と、マグネトロン又は誘導加熱コイルのような加熱手段と、補助電源として使用される二次電池とを備えてなる加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、100Vの商用交流電源を用いる場合、その電源供給能力を増大させるため二次電池を補助電源として使用し、調理時間の短縮化を図った加熱調理器としては、例えば特許文献1〜3に開示されているものがある。
【特許文献1】特開2001−267058号公報
【特許文献2】特開平6−20773号公報
【特許文献3】特開平7−235372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、何れも二次電池に対して充電を行うための回路を、インバータのような周波数変換回路とは独立に構成している。そのため、充電電流が二次電池より放電される電流と同程度の比較的大きな電流となる場合には、電流容量が大きな回路が必要となり、コストアップを招くことになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱手段を駆動するための周波数変換回路と、補助電源として使用される二次電池を充電する回路とを備える場合に、回路構成を小規模にすることができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1記載の加熱調理器は、商用交流電源を整流し、電源周波数を変換して出力する周波数変換回路と、加熱室内にマイクロ波を送出するマグネトロンと、このマグネトロンを駆動する駆動回路と、補助電源として使用される二次電池と、この二次電池に充電を行うための充電回路と、前記周波数変換回路の出力先を、前記駆動回路側と前記充電回路側とに接続する接続手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2記載の加熱調理器は、商用交流電源を整流し、電源周波数を変換して出力する周波数変換回路と、前記周波数が変換された電源が供給され、誘導加熱を行なう加熱コイルと、補助電源として使用される二次電池と、この二次電池に充電を行うための充電回路と、前記周波数変換回路の出力先を、前記加熱コイル側と前記充電回路側とに接続する接続手段とを備えたことを特徴とする。
斯様に構成すれば、マグネトロンの駆動回路(請求項1)、又は加熱コイル(請求項2)に対して高周波電流を供給する回路と、二次電池に充電を行うための回路の一部とを、1つの周波数変換回路で構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の加熱調理器によれば、補助電源として二次電池を使用し、より高出力で加熱を行なう構成を採用した場合でも回路規模の増大が抑制されるので、加熱調理器全体を小型にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図8を参照して説明する。図4乃至図6はオーブン機能付き電子レンジの構成を示すもので、縦断側面図並びに扉を開放,閉鎖した状態の正面図である。電子レンジ(加熱調理器)1は、前面を開放した矩形状の外箱2内に、同じく前面を開放した矩形状の内箱(筺体)3を固定して構成されている。内箱3の内部は加熱室4とされ、この加熱室4の前面開口部は、上下に回動する扉5によって開閉されるようになっている。
【0007】
扉5の前面部には、上部に手掛け部6が設けられ、下部に複数の操作部7および表示部(表示手段)8を有する操作パネル9が設けられている。操作部7は、加熱調理の調理モードや調理時間などを設定するためのものであり、また、表示部8は、選択された調理モードや調理時間などを表示するためのものである。このように操作パネル9を扉5の下部に設けることにより、操作パネル9を外箱2に扉5の右横に位置して設ける構成とは異なり、外箱2と内箱3との間の横方向隙間を小さくすることができて、外箱2を横方向に小型化することができる。
【0008】
電子レンジ1本体内の背部には、外箱2と内箱3との間に位置する機械室10が形成されており、この機械室10の下部には、マグネトロン11の他、図示はしないがマグネトロン11の電源装置、マグネトロン11や電源装置を冷却する冷却ファン装置などが配設されている。マグネトロン11はマイクロ波を発生するもので、発生したマイクロ波は、内箱3の下面に配設された導波管12を通して内箱3の底部に形成された励振口13から加熱室4内に供給されるようになっている。
【0009】
内箱3の底部内側には段部14が形成され、この段部14にガラス板或はセラミックス板から形成された底板15が載置されている。この底板15は、実質的に加熱室4の底面を構成するもので、この底板15の下方の空間には、励振口13から供給された高周波を反射撹拌するための回転アンテナ16が配設されている。また、底板15の下方の空間には、回転アンテナ16を取り巻くようにしてシースヒータなどからなる下ヒータ(電熱加熱手段)17が配設されていると共に、内箱3の上部には、面状ヒータなどからなる上ヒータ(電熱加熱手段)18が配設されている。これらの上下ヒータ17,18は、オーブンヒータとして機能する。
【0010】
一方、内箱3の背面には、熱風発生装置19のケーシング20が固定されており、このケーシング20内には、ファンモータ21によって駆動される遠心型のファン22および熱風用ヒータ23が配設されている。そして、加熱室4の後面である内箱3の後面壁には、ファン22の中心側に対応位置して多数の小孔からなる吸気口24が形成されていると共に、吸気口24の上下両側部分に位置して同じく多数の小孔からなる吐気口25が形成されている。
【0011】
上記の熱風発生装置19において、ファン22が回転すると、加熱室4内の空気が吸気口24からケーシング20内に吸引され、そして熱風用ヒータ23により加熱されて上下の吐気口25から加熱室4内に吐出される。このような熱風の循環によって加熱室4内が加熱されてオーブン調理が行われるようになっている。オーブン調理では、加熱室4内にオーブン調理皿を上下2段に配置することができるようになっているが、上記のように上下の吐気口25から同等量の熱風が供給されることによって、上下に配置されたオーブン調理皿上の食品が共に良好に調理することができる。
【0012】
さて、前記内箱3は鉄板などの金属板製のもので、前面部の矩形状のフランジ板26、上面板27、後面板28、左側板29、右側板30および底面板31からなる。そのうち、上面板27および後面板28は、一枚の板材をほぼL字形に折曲して形成されている。そして、これらの板26〜31は互いに溶接などによって接合され、前面部のフランジ板26が外箱2に溶接などによって接合されている。
【0013】
斯かる内箱3の上部の稜角部のうち上部後側の稜角部、換言すれば、一枚の板から形成された上面板27および後面板28の境界部は、後側に向って下降する傾斜面32に形成されている。そして、その傾斜面32の横(左右)方向中央部には、図示しない赤外線検知用の窓が開口形成されており、その窓に望むようにして赤外線センサ(温度検知手段)33が配置されている。
【0014】
また、図4に示すように、機械室10には、リチウムイオン電池からなる二次電池34と、その二次電池34に対して100Vの商用交流電源(図示せず)より充電を行うための充電回路36とが配置されている。リチウムイオン電池は、ニッカド電池のようなメモリー効果が発生することがないので、放電途中から充電を行っても満充電状態にすることができる。
二次電池34は、端子電圧が例えば33V程度となるように設定され、図7に示すように12分程度で満充電することが可能であり、また、図8に示すように、5C以上で放電させた場合でも放電容量が大きく低下しないように構成されている(例えば、特開2004−296255号公報参照)。そして、二次電池34は、電子レンジ1背面側のバッテリカバーBCを取外すことで、交換可能となるように構成されている。
【0015】
図1は、電子レンジ1の電気回路構成を示すものである。商用交流電源(以下、単に商用電源と称す)に接続される電源プラグ40には、一方に電源スイッチ41,電流変成器42を介してダイオードブリッジからなる全波整流回路43の交流入力端子が接続されている。全波整流回路43の直流出力端子にはコンデンサ44が並列に接続されており、これらが直流電源回路45を構成している。尚、コンデンサ44の容量は、力率を向上させる目的で、商用交流電源を完全に平滑するのを回避するよう、一般的な平滑コンデンサよりは小さくなるように設定されている。
また、全波整流回路43の交流入力端子には、一方側にヒータ制御スイッチ46を介してファンモータ21及び熱風用ヒータ23の並列回路が接続されている。即ち、電源スイッチ41がONされた状態で、ヒータ制御スイッチ46がオンされると、ファンモータ21及び熱風用ヒータ23に対して商用電源が通電されるようになっている。
【0016】
直流電源回路45の直流電源ライン45a、45bには、インバータ回路(周波数変換回路)47が接続されている。このインバータ回路47は、次のように構成されている。直流電源ライン45a、45b間には、スイッチング素子例えばIGBT48、49が直列に接続されており、これらに対してはフリーホイールダイオードD1、D2が逆並列に接続されている。更に、直流電源ライン45a、45bには、共振コンデンサ50、51が直列に接続されている。即ち、インバータ回路47は、ハーフブリッジ型で構成されている。
【0017】
マグネトロン11の駆動回路52を構成している高周波トランス53の一次コイル53aにおいて、一方の端子はコンデンサ50、51の共通接続点に接続され、他方の端子は、例えばリレースイッチで構成される切換えスイッチ(接続手段,切換え手段)54の固定接点aに接続されている。そして、切換えスイッチ54の可動接点cは、IGBT48,49の共通接続点に接続されている。
【0018】
高周波トランス53の二次側には、二次コイル53bとフィラメントコイル53cとが設けられており、二次コイル53bには、ダイオード55及びコンデンサ56の直列回路が接続され、コンデンサ56とフィラメントコイル53cの一端側との間にはコンデンサ57が接続されている。また、フィラメントコイル53cの一端側とダイオード55のアノードとの間にはダイオード58が接続されており、これらは両波倍電圧回路を構成している。
ダイオード55のカソードは、マグネトロン11の陽極に接続されていると共にアースされており、フィラメントコイル53cの両端子は、マグネトロン11の陰極(フィラメント兼用)の両端子に接続されている。駆動回路52は、例えば、4kV程度の直流電源をマグネトロン11の陽極に供給すると共に、陰極にも電源を供給する。
【0019】
また、切換えスイッチ54の固定接点bとコンデンサ50、51の共通接続点との間には、トランス59の一次コイル59aが接続されている。そして、トランス59の二次コイル59b側には、ダイオード(整流素子)60、コンデンサ61及び62、ダイオード(整流素子)63によって上記と同様の両波倍電圧回路が構成されており、以上が二次電池34の充電回路36を構成している。即ち、コンデンサ61及び62の直列回路には二次電池34が並列に接続されていると共に、ヒータ制御用のスイッチ65(選択手段)及び上ヒータ18の直列回路が並列に接続されている。
尚、下ヒータ17については、具体的には図示しないが、熱風用ヒータ23と同様にして商用電源が直接供給されるようになっている。
【0020】
ここで、図2にはトランス53,59の巻線構成を示す。これらのトランス53,59は、夫々の鉄心53d,59cにおいて、一次側と二次側との磁気結合が疎となるように、所謂リーケージトランスとして構成されている。従って、一次側,二次側の間には漏れ磁束が発生することで、図3に等価回路を示すように、一次側,二次側の各巻線には、等価インダクタンス53e,53f,53g,59d,59eが生成されている。
【0021】
再び、図1を参照する。二次電池34の正側端子は、制御回路66の入力端子に接続されており、二次電池34の端子電圧は、制御回路66によりモニタされるようになっている。制御回路66は、マイクロコンピュータを主体として構成され、図示はしないが、CPU、ROM、RAM等を備えている。制御回路66には、スイッチアレイで構成されている操作部7より、充電開始,調理開始,調理時間や調理温度などを設定するための操作信号が与えられる。
そして、制御回路66は、サーミスタ67によって加熱室4内部の温度(庫内温度)を検知し、インバータ回路47のIGBT48、49(ゲート:ア,イ)をオンオフ制御すると共に各スイッチ46,54,65を制御することで、各種の加熱調理を実行させるようになっている。また、制御回路66は、電子レンジ1の設定内容や調理時間経過,加熱室4の庫内温度などの動作状態や、二次電池34の充電状態などを表示部8に表示させる。
【0022】
次に、本実施例の作用について図9乃至図12を参照して説明する。図9は、電子レンジ1の加熱室4を予熱した後、ヒータ加熱により調理を行なう場合の庫内温度変化を示すタイミングチャートである。ユーザが予熱を開始させると、制御部7は熱風用ヒータ23に通電すると共に、二次電池34より電力供給される上ヒータ18にも通電して加熱室4の予熱を行い、庫内温度を急上昇させる。そして、庫内温度が設定温度(例えば、250度)に達すると、制御部7は予熱行程が終了したことを表示部8に表示させる。
【0023】
すると、ユーザは扉5を開放して食品などを加熱室4に収容してから加熱調理を開始させるが、この間に、庫内温度は急激に低下する。そこで、本実施例では、加熱調理の開始直後も同様に、熱風用ヒータ23,上ヒータ18を同時に通電し、低下した庫内温度を急上昇させる。
【0024】
この場合、電子レンジ1の定格消費電力が例えば1500Wであったしても、二次電池34を併用することで、それ以上の出力で加熱を行なうことが可能となっている。例えば、33Vで4.5Ahの定格電流放電容量の場合、10Cで放電させれば6分間1485Wの電力が供給でき、合計で約3kWの加熱ができる。尚、図8に示す性能の二次電池を3ユニット使用すれば、4.5Ahの電流放電が可能となる。
【0025】
そして、庫内温度が再び設定温度に達すると、上ヒータ18に対する通電を停止し、以降は熱風用ヒータ23だけに対して間歇的に通電を行い、設定温度を一定に維持することで加熱調理を行なう。即ち、調理中に庫内の温度を設定温度に維持するには、被加熱物Fに対する熱量の供給と、加熱室4外への熱リークを補うだけで良いので、熱風用ヒータ23だけの加熱で十分に行うことができる。従って、繰り返しオーブン調理を行なう場合でも、小容量の二次電池34を有効に活用することができる。
例えば、電圧100V,電流容量15Aの商用電源により出力1500Wで熱風用ヒータ23だけで予熱を行うと、庫内温度が250度に達するには約12分を要する場合、本実施例のように上ヒータ18も併用すると、約5分で250度に達するようになる。
【0026】
また、図9には、二次電池34に対して充電を行う期間も併せて示している。この場合、制御回路66は、スイッチ54の可動接点cを固定接点b側に切換えて、インバータ回路47を介した電力の出力先を充電回路36にしておく。充電は、(1)予熱が終了して電子レンジ1の扉5が開放され、加熱室4に食品が収納された後扉5が閉鎖され、上ヒータ18による加熱調理が開始されるまでの間、(2)/(3)加熱調理中に、温度制御のため上ヒータ18,熱風用ヒータ23の通電が停止されている間に行われる。そして、図9では、(3)の充電期間中に二次電池34が満充電状態となったため、その時点で充電を停止させたことを示している。
【0027】
即ち、二次電池34は、図7に示したように急速充電が可能な特性を備えているため、図9に示すように極めて短い時間であってもある程度の充電を行うことが可能となっている。例えば、(1)の期間が1分程度であっても、その間の充電(100V×15A×1分)によって上ヒータ18を1分間,1500Wで動作させることができる。また、急速充電が可能な二次電池34は内部抵抗が小さいので、充放電時の損失も小さくなり効率が良好となる。加えて、発熱量も小さいので、周囲温度が高くなる機械室10に配置して使用することができる。
【0028】
ここで、マグネトロン11によりマイクロ波加熱を行う場合、制御回路66は、スイッチ54の可動接点cを固定接点a側に切換え、インバータ回路47の出力先を駆動回路52にしてマグネトロン11を駆動する。図11には、マグネトロン11の電圧−電流特性を示すが、マグネトロン11は、磁界の作用により一定電圧(eth),例えば4kVまでは内部インピーダンスが高く陽極電流(Ib)が流れにくいが、上記の一定電圧を超えると内部インピーダンスが低くなり、陽極電流が流れるようになる。この特性は4kVの電池に類似したものであり、等価回路は図12に示すようになる。
【0029】
以上のような特性のため、マグネトロン11を駆動する際にインバータ回路47におけるIGBT48,49の導通時間を固定してスイッチングを行うと、商用電源の電圧波形に対応した電流波形(正弦波)にならず、高調波が含まれた歪波形となって力率が低下する。この場合、商用電源が他の電気機器にも供給されていると、その機器に対しても悪影響を及ぼすことになり、また、電源コンセントにおいて制限されている電流容量を有効に使用できなくなってしまう。
【0030】
この問題を解決するには、商用電源の瞬時値が低い期間はIGBT48,49の導通時間を長くし、瞬時値が高い期間は上記導通時間を短くする制御を行うことで、入力電流波形を正弦波に近付け、波形歪及び力率の改善を図ることができる(例えば、特開昭62−100173号公報参照)。この制御の有無による電流波形の変化を図10に示す。
【0031】
そして、インバータ回路(電流制御手段)47より充電回路36を介して二次電池34に充電を行う場合にも、上記と同様の制御を行うことで同様の効果を得ることができる。また、制御回路(電流制御手段)66が電流変成器42により入力電流値をモニタしながら充電を行うことで、許容電流15Aを超えないように制御することができる。更に、制御回路66は、端子電圧EBをモニタして二次電池34の充電状態や残存容量を把握できるので、過充電を防止することも可能であり、また、それらの状態を表示部8に表示させてユーザに報知することもできる。
【0032】
また、トランス53及び59をリーケージトランスとして構成したので、インバータ回路47を動作させた場合、トランス53及び59の一次側の等価インダクタンスとコンデンサ50,51との共振作用により、出力電流のゼロクロス点でIGBT48,49をスイッチングさせることができ、スイッチング損失の低減を図ることができる。
また、充電回路36を両波倍電圧回路として構成しているので、トランス59の二次側の等価インダクタンスとコンデンサ61,62との共振作用も発生する。従って、トランス59の二次側電圧の瞬時値の2倍が、二次電池34の端子電圧EBより低くなる期間であっても、充電回路36の出力電圧を端子電圧EBよりも高くすることができ、充電が可能となる。更に、コンデンサ61,62には、二次電池34に内部短絡などが発生した場合に電流を制限する効果もある。
【0033】
以上のように本実施例によれば、電子レンジ1に、補助電源として使用される二次電池34を備え、インバータ回路47により生成される高周波電流の出力先を、スイッチ54を介してマグネトロン11の駆動回路52と、二次電池34の充電回路36とに接続するように切換える構成とした。従って、二次電池34を併用することで高出力加熱を行なう構成を採用した場合でも回路規模の増大を抑制することができ、電子レンジ1全体を小型にすることができる。
【0034】
また、制御回路66は、二次電池34に対して充電を行う場合に、商用電源の電流波形が正弦波状となるように制御するので、商用電源を同時に他の家電機器などが使用している場合に、それらに対して悪影響を及ぼすことを回避できる。加えて、電子レンジ1の力率を向上させることができる。更に、充電回路36に、リーケージトランス59,ダイオード60及び63,コンデンサ62及び63からなる両波倍電圧回路を備えたので、二次電池34を効率的に充電することができる。
【0035】
(第2実施例)
図13は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例の電子レンジ71では、直流電源ライン45a、45bの間に分圧抵抗72a,72bの直列回路が接続されており、それらの共通接続点は制御回路66の入力端子に接続されている。また、直流電源ライン45bにおけるインバータ回路47の手前には、例えばリレースイッチで構成される切換スイッチ(接続手段,選択手段)73が、固定接点a,可動接点cを接続して挿入されている。
【0036】
そして、二次電池34に接続されていたスイッチ65及び上ヒータ18は削除されており、二次電池34の正側端子は、ダイオード74を介して直流電源ライン45bに接続され、負側端子は切換スイッチ73の固定接点bに接続されている。尚、上ヒータ18については、具体的には図示しないが、熱風用ヒータ23等と同様にして商用電源が直接供給されるようになっている。切換スイッチ73の制御は、制御回路66によって行われる。
【0037】
次に、第2実施例の作用について説明する。第2実施例の構成では、制御回路66がスイッチ73の可動接点cを固定接点a側に切換えれば、インバータ回路47には、直流電源回路45の出力電圧のみが供給される。そして、スイッチ73の可動接点cを固定接点b側に切換えれば、インバータ回路47には、直流電源回路45の出力電圧に、二次電池34の出力電圧が直列に接続されて印加される(EAC+EB)。また、この場合も、商用電源の電圧レベルに応じてIGBT48,49の導通時間を制御することで、電流歪を低減して力率を「1」に近づけることができる。
【0038】
以上のようにして、直流電源回路45の出力に二次電池34を直列接続することができるのは、二次電池34が商用電源と同程度の電流を流すことができるからである。尚、特許文献1に開示されているのは、商用電源に基づく直流電源出力と二次電池とを並列に接続する構成である。従って、前者の電源電圧の瞬時値が後者の端子電圧よりも低い場合は前者の電源側からの電力供給は行われず電流は流れない。その結果、商用電源電流波形は高調波成分を含んだ歪波となってしまい、力率も悪化する。
【0039】
また、第2実施例では、制御回路66が分圧抵抗72a,72bを介して直流電圧EACをモニタするので、商用電源の供給が停止したことも検知できる。従って、直流電源回路45だけを使用している状態で電源供給の停止を検知した場合、スイッチ73の可動接点cを固定接点b側に切換えれば、インバータ回路47に二次電池34より電力を供給することができる。
【0040】
そして、短時間の停電や、配電盤のブレーカが作動した状態から、商用電源が復旧したことを検知すれば、再びスイッチ73の可動接点cを固定接点a側に切換えて、直流電源回路45より電力を供給することができる。この場合、ユーザがその他の家電機器のオンオフ状態をチェックすることを想定し、一定時間(例えば、2分程度)の経過を待ってから電力供給を再開させるのが好ましい。
以上のように第2実施例によれば、インバータ回路47の入力側において、二次電池34より供給される電源を、直流電源回路45の出力に対して直列に接続するためのスイッチ73を備えたので、より高い出力でマイクロ波加熱を行なうことができる。
【0041】
(第3実施例)
図14は、本発明を誘導加熱調理器に適用した場合の第3実施例を示すものであり、第1実施例と異なる部分について説明する。第3実施例の誘導加熱調理器75では、マグネトロン11及びその駆動回路52に替えて、加熱コイル76が配置されている。即ち、加熱コイル76の一端は、切換スイッチ54の固定接点aに接続されており、他端は、コンデンサ50,51の共通接続点に接続されている。
【0042】
また、ファンモータ21,熱風用ヒータ23,ヒータ制御スイッチ46,上ヒータ18,ヒータ制御用スイッチ65(並びに下ヒータ17)は削除されている。そして、二次電池34の正側端子は、スイッチ77及びダイオード74の直列回路を介して電源ライン45a(ウ)に接続されており、二次電池34の負側端子は電源ライン45b(エ)に接続されている。スイッチ77の制御は、制御回路66に換わる制御回路78によって行われる。また、誘導加熱調理器75は、本体に対して電源プラグ40を着脱可能とするためのマグネットプラグ79を備えている。
【0043】
次に、第3実施例の作用について説明する。制御回路78は、インバータ回路47を制御して加熱コイル76に高周波電流を供給し、磁性体の鍋80を誘導加熱して調理を行なう。また、二次電池34に対する充電は、第1実施例と同様にして行う。そして、スイッチ77を閉じることで、直流電源回路45に二次電池34が並列に接続可能となっている。従って、マグネットプラグ79を取外すことで電源プラグ40を介した商用電源の供給を受けない場合でも、二次電池34をインバータ回路47の駆動電源とすることが可能となっている。
また、商用電源の供給を受けている場合でも、直流電源回路45に二次電池34を並列に接続することで、電源供給能力を高めて加熱調理を行なうことも可能である。
【0044】
以上のように第3実施例によれば、誘導加熱調理器75に補助電源として使用される二次電池34を備え、インバータ回路47により生成される高周波電流の出力先を、スイッチ54を介して加熱コイル76と充電回路36とに切換えるように構成した。従って、二次電池34を併用することでより高出力で加熱を行なう構成を採用した場合でも回路規模の増大が抑制されるので、誘導加熱調理器75の全体を小型にすることができる。
【0045】
(第4実施例)
図15は本発明の第4実施例を示すものであり、第3実施例と異なる部分について説明する。第4実施例の誘導加熱調理器81は、直流電源回路45の内部において、全波整流回路43とコンデンサ44との間に、アクティブフィルタ(電流制御手段)82を備えたものである。このアクティブフィルタ82は、電源ライン45aに挿入されたリアクタ83及びダイオード84の直列回路と、両者の共通接続点と電源ライン45bとの間に接続されるIGBT85とで構成されている。IGBT85は、制御回路(電流制御手段)78によって制御される。また、電源ライン45a,45b間には、第2実施例と同様の分圧抵抗72a,72bが配置されている。
【0046】
次に、第4実施例の作用について説明する。第3実施例の誘導加熱調理器75では、直流電源回路45に二次電池34を並列接続し、電源供給能力を高めて加熱調理を行なう場合、直流電源回路45の出力電圧EACが二次電池34の端子電圧EBよりも低い期間は、商用電源からの電流が流れなくなる。その結果、商用電源電流波形は高調波成分を含んで歪んだ波形となり、力率も悪くなってしまう。
【0047】
そこで、第4実施例では、制御回路78が出力電圧EACをモニタすることで、出力電圧EACが二次電池34の端子電圧EBよりも低い場合にアクティブフィルタ82のIGBT85をオンして、リアクタ83に商用電源から電流を流して電気エネルギーを蓄えさせる。一方、出力電圧EACが端子電圧EBよりも高くなった場合はIGBT85をオフして、リアクタ83からダイオード84を介して遅れ電流を流すようにする。即ち、アクティブフィルタ82は、電流波形を能動的に変化させて高調波成分を除去するローパスフィルタとして機能する。
このように動作させる結果、商用電源電流をインバータ回路47に連続的に供給することができるので、電流波形を正弦波に近づけて力率を「1」に近づけることができる。
【0048】
(第5実施例)
図16は本発明の第5実施例を示すものである。第5実施例は、第2実施例の電子レンジ71の構成を誘導加熱調理器86に適用したものであり、誘導加熱調理器86について、第2実施例と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(第6実施例)
図17は本発明の第6実施例を示すものである。第5実施例は、第1実施例の電子レンジ1におけるインバータ回路47を、共振コンデンサ87及びIGBT88の直列回路で構成されるインバータ回路(周波数変換回路)89に置き換えたもので、両者の共通接続点は、スイッチ54の可動接点cに接続されている。また、充電回路36は、インダクタ90およびダイオード91の直列回路よりなる充電回路92に置き換えられており、インダクタ90側はスイッチの固定接点bに、ダイオード91のカソードは電源ライン45aに接続されている。
そして、二次電池34は、ダイオード91に並列に接続され、二次電池34の負側端子は、スイッチ93及び逆方向のダイオード94を介して電源ライン45bに接続されている。以上が、電子レンジ95を構成している。
【0050】
次に、第6実施例の作用について説明する。スイッチ54の可動接点cを固定接点a側にしてスイッチ93をオフにした場合、インバータ回路89には直流電源回路45のみから電力が供給され、加熱コイル76に高周波電流が供給される。そして、この状態からスイッチ93をオンにすると、直流電源回路45の出力に二次電池34が並列に接続されて、インバータ回路89に電力を供給するようになる。
【0051】
尚、この場合、直流電源回路45の出力電圧は、前述したようにコンデンサ44の容量が小さく非平滑整流状態となっているので、二次電池34の端子電圧よりも低くなる期間と高くなる期間とがある。従って、前者の期間は二次電池34から、後者の期間は直流電源回路45から電力を供給することになる。そして、ダイオード94は、後者の期間に直流電源回路45からの電力が二次電池34側に流入するのを防止している。
更に、上記状態からスイッチ54の可動接点cを固定接点b側に切換えると、インバータ回路89の出力端子は充電回路92に接続され、二次電池34を充電するための電力を供給する。
以上のように構成される第6実施例によれば、充電回路92の構成を簡単にすることができる。
【0052】
(第7実施例)
図18は本発明の第7実施例を示すものである。第7実施例は、第6実施例の構成を、誘導加熱調理器96に適用したものであり、加熱コイル76の他端側は、二次電池34の正側端子に直結されている。以上のように構成された第7実施例によれば、誘導加熱調理器96について、第6実施例と同様の効果が得られる。
【0053】
(第8実施例)
図19は、本発明の第8実施例を示すものであり、例えば、第1実施例における充電回路36を構成している両波倍電圧回路を、半波倍電圧回路に置き換えたものを部分図として示す。即ち、トランス59の二次コイル59bには、コンデンサ97及びダイオード98の直列回路が接続されており、以上が充電回路99を構成している。そして、ダイオード98の両端に、二次電池34が接続されている。以上のように構成される第8実施例によれば、充電回路99をより少ない部品で構成することができる。
【0054】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
充電電流の監視は、トランス59の2次側で行っても良い。
例えば、第1,第2実施例の構成を組み合わせて、二次電池34からの電力供給先を、スイッチ65,73により上ヒータ18とインバータ回路47とに選択するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明をオーブン機能付き電子レンジに適用した場合の第1実施例であり、電子レンジの電気回路構成を示す図
【図2】(a)は駆動回路、(b)は充電回路に夫々使用されるトランスの巻線構成を示す図
【図3】図2に示す各トランスの等価回路図
【図4】電子レンジの縦断側面図
【図5】電子レンジ扉を開放した状態の正面図
【図6】電子レンジ扉を閉鎖した状態の正面図
【図7】二次電池の充電特性を示す図
【図8】二次電池の放電レートを示す図
【図9】加熱室を予熱した後、ヒータ加熱調理を行なう場合の庫内温度変化を示すタイミングチャート
【図10】二次電池の充電制御を行う場合の、商用電源の電流波形を示す図
【図11】マグネトロンの電圧−電流特性図
【図12】マグネトロンの等価回路図
【図13】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図14】本発明を誘導加熱調理器に適用した場合の第3実施例を示す図1相当図
【図15】本発明の第4実施例を示す図14相当図
【図16】本発明の第5実施例を示す図14相当図
【図17】本発明の第6実施例を示す図1相当図
【図18】本発明の第7実施例を示す図14相当図
【図19】本発明の第8実施例を示す図1の一部相当図
【符号の説明】
【0056】
図面中、1は電子レンジ(加熱調理器)、11はマグネトロン、34は二次電池、36は充電回路(両波倍電圧回路)、47はインバータ回路(周波数変換回路)、52は駆動回路、53はトランス(リーケージトランス)、54は切換えスイッチ(接続手段,切換え手段)、59はトランス(リーケージトランス)、60はダイオード(整流素子)、61及び62はコンデンサ、63はダイオード(整流素子)、65はスイッチ(選択手段)、66は制御回路(電流制御手段)、71は電子レンジ(加熱調理器)、73は切換スイッチ(接続手段,選択手段)、75は誘導加熱調理器、76は加熱コイル、77はスイッチ(選択手段)、81は誘導加熱調理器、82はアクティブフィルタ(電流制御手段)、78は制御回路(電流制御手段)、86は誘導加熱調理器、89はインバータ回路(周波数変換回路)、92は充電回路、96は誘導加熱調理、99は充電回路を示す。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】502285664
【氏名又は名称】東芝コンシューママーケティング株式会社
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝家電製造株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100071135
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強


【公開番号】 特開2008−4416(P2008−4416A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173646(P2006−173646)