| 【発明の名称】 |
デバイス、薄膜形成方法及びデバイスの製造方法並びに電子機器 |
| 【発明者】 |
【氏名】三橋 悦央
【氏名】茅野 祐治
|
| 【要約】 |
【課題】親液性を有するバンク層の外部に薄膜が形成されることを防止すると共に、基板上に形成された複数の薄膜を所望の厚さで均一に形成したデバイス、薄膜形成方法及びデバイスの製造方法並びに電子機器を提供すること。
【構成】基板2と、基板2上に設けられて基板2を区画する開口が形成された隔壁41と、基板2上のうち隔壁41で区画された領域内に設けられ、基板2上に形成される正孔注入層63と発光層64とを有する発光機能層61を備え、隔壁は、親液層51、53と撥液層52、54とを交互に積層すると共に、最上段が撥液層54であり、開口51a〜54aが平面視で互いに一致し、正孔注入層63の上面が親液層51の上面と一致すると共に、発光層64の上面が親液層53の上面と一致する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板と、該基板上に設けられて該基板を区画する開口が形成された隔壁と、 前記基板上のうち前記隔壁で区画された領域内に設けられ、前記基板上に形成される第1薄膜と該第1薄膜上に形成される第2薄膜とを有する多層膜とを備えるデバイスであって、 前記隔壁は、親液層と該親液層よりも撥液性の高い撥液層とを交互に複数積層して構成されると共に最上段が該撥液層であり、前記親液層の開口と前記撥液層の開口とが平面視で互いに一致し、 前記第1薄膜の上面が一の前記親液層の上面と一致すると共に、前記第2薄膜の上面が前記一の親液層の上段に設けられた二の前記親液層の上面と一致することを特徴とするデバイス。 【請求項2】 前記複数の撥液層のうち少なくとも1層が、フッ素化されたフッ素系樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。 【請求項3】 前記基板の上面に形成された画素電極と、前記多層膜を介して前記画素電極と対向配置された対向電極とを備え、 前記多層膜が、発光機能層であることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。 【請求項4】 前記第1薄膜が、正孔注入層であると共に、 前記第2薄膜が、発光層であることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。 【請求項5】 基板上に、該基板を区画する開口が設けられた隔壁を形成する隔壁形成工程と、 前記基板上のうち前記隔壁で区画された領域内に、前記基板上に形成される第1薄膜と該第1薄膜上に形成される第2薄膜とを有する多層膜を形成する多層膜形成工程とを備える薄膜形成方法であって、 前記隔壁形成工程で、薄膜形成材料液に対して親液性を有する親液層と該親液層よりも前記薄膜形成材料液に対して撥液性の高い撥液層とを最上層が該撥液層となるように交互に複数積層すると共に、前記親液層の開口と前記撥液層の開口とを平面視で互いに一致させることで前記隔壁を形成し、 前記多層膜形成工程が、前記第1薄膜の上面を一の前記親液層の上面と一致させる第1薄膜形成工程と、前記第2薄膜の上面を前記一の親液層の上段に設けられた二の前記親液層の上面と一致させる第2薄膜形成工程とを備えることを特徴とする薄膜形成方法。 【請求項6】 前記最上段の撥液層が、感光性材料で構成され、 前記隔壁形成工程が、前記基板上に前記親液層及び前記撥液層を形成するバンク層形成工程と、前記最上段の撥液層を露光現像して該撥液層に前記開口を形成する露光現像工程と、前記最上段の撥液層をマスクとして前記親液層及び他の前記撥液層に前記開口を形成する開口形成工程とを備えることを特徴とする請求項5に記載の薄膜形成方法。 【請求項7】 前記隔壁形成工程が、前記基板上に前記親液層及び前記撥液層を形成するバンク層形成工程と、前記最上段の撥液層上に感光性材料で構成されて前記開口と対応する位置に開口を有するレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層をマスクとして前記親液層及び前記撥液層に前記開口を形成する開口形成工程とを備えることを特徴とする請求項5または6に記載の薄膜形成方法。 【請求項8】 前記開口形成工程で、ドライエッチング法を用いることを特徴とする請求項6または7に記載の薄膜形成方法。 【請求項9】 前記第1及び第2薄膜を、液滴吐出法を用いて形成することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。 【請求項10】 請求項5から9のいずれか1項に記載の薄膜形成方法によって複数の薄膜を形成することを特徴とするデバイスの製造方法。 【請求項11】 請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイスを備えることを特徴とする電子機器。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば有機EL素子の発光機能層を有するデバイス、薄膜形成方法及びデバイスの製造方法並びに電子機器に関する。 【背景技術】 【0002】 電界発光を利用した有機EL(Electroluminescence)装置は、自己発光であることから視認性が高い上に薄くて軽く、かつ耐衝撃性に優れていることなどから近年広く注目されている。 この有機EL装置は、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称する)が形成されたガラス基板などの透明基板上に、ITO(Indium Tin Oxide)や酸化スズ(SnO2)などの透光性導電材料からなる陽極と、ポリチオフェン誘導体のドーピング体からなる正孔注入層と、ポリフルオレンなどの発光物質からなる発光層と、カルシウム(Ca)などの低仕事関数を有する金属材料や金属化合物からなる陰極とを順次積層した構成となっている。 【0003】 これらの有機薄膜の材料として低分子系の材料を用いる場合には、蒸着法による成膜が一般的である。しかし、蒸着法では大面積に均一に成膜することが困難である。また、高額な真空装置が必要となることや材料使用効率が極めて低いことから、低コスト化を図ることが困難である。 そこで、有機薄膜の材料として高分子材料を用い、スピンコート法やディップ法、インクジェット法などの液相法によって有機薄膜を形成する方法が広く利用されている。 【0004】 インクジェット法によって正孔注入層及び発光層を形成する場合、まず、画素電極を区画するようにして二酸化珪素(SiO2)や二酸化チタン(TiO2)などの無機材料からなる無機物バンク層を形成する。そして、無機物バンク層上にアクリル樹脂やポリイミド樹脂からなる有機物バンク層を形成する。その後、無機物バンク層の側壁面及び画素電極の電極面に正孔注入層を構成する正孔注入層形成材料を含有する機能液に対する親液処理を施し、有機物バンク層の内壁及びその上面に撥液処理を施す。そして、このように形成された無機物バンク層及び有機物バンク層で区画された領域である画素領域内に、上記機能液を滴下してこれを乾燥させることで正孔注入層を形成し、この正孔注入層上に発光層を積層する(例えば、特許文献1参照)。 ここで、フォトリソグラフィ法による精度を考慮して、無機物バンク層の周縁からある程度の間隔をあけて無機物バンク層上に有機物バンク層を形成している。そのため、無機物バンク層の周縁部には、有機物バンク層の側面から突出する突出部が形成されることとなる。 【特許文献1】特開2003−282244号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記従来の有機EL装置においても、以下の課題が残されている。すなわち、上記従来の有機EL装置では、無機物バンク層の突出部上にも親液処理が施されていることから、正孔注入層形成材料を含有する機能液を滴下、乾燥すると、突出部上にも正孔注入層が形成されることがある。そして、例えばポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のような正孔注入層が導電性材料である場合、電流が突出部上の正孔注入層中を流れることで、無機物バンク層によって区画された画素領域の外部で発光するという問題がある。 また、正孔注入層が突出部上にも形成されることから、画素領域における正孔注入層及び発光層の層厚が所望の厚さで均一に形成されないことがある。さらに、発光層形成材料を含有する機能液が有機物バンク層で区画された領域内に滴下されるので、機能液の付着領域が安定せず、発光層の厚さが均一にならないことがある。このため、画素領域内での発光輝度及び発光寿命にバラツキが生じるという問題がある。 【0006】 本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、親液性を有するバンク層の外部に薄膜が形成されることを防止すると共に、基板上に形成された複数の薄膜を所望の厚さで均一に形成したデバイス、薄膜形成方法及びデバイスの製造方法並びに電子機器を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかるデバイスは、基板と、該基板上に設けられて該基板を区画する開口が形成された隔壁と、前記基板上のうち前記隔壁で区画された領域内に設けられ、前記基板上に形成される第1薄膜と該第1薄膜上に形成される第2薄膜とを有する多層膜とを備えるデバイスであって、前記隔壁は、親液層と該親液層よりも撥液性の高い撥液層とを交互に複数積層して構成されると共に最上段が該撥液層であり、前記親液層の開口と前記撥液層の開口とが平面視で互いに一致し、前記第1薄膜の上面が一の前記親液層の上面と一致すると共に、前記第2薄膜の上面が前記一の親液層の上段に設けられた二の前記親液層の上面と一致することを特徴とする。 【0008】 また、本発明にかかる薄膜形成方法は、基板上に、該基板を区画する開口が設けられた隔壁を形成する隔壁形成工程と、前記基板上のうち前記隔壁で区画された領域内に、前記基板上に形成される第1薄膜と該第1薄膜上に形成される第2薄膜とを有する多層膜を形成する多層膜形成工程とを備える薄膜形成方法であって、前記隔壁形成工程で、薄膜形成材料液に対して親液性を有する親液層と該親液層よりも前記薄膜形成材料液に対して撥液性の高い撥液層とを最上層が該撥液層となるように交互に複数積層すると共に、前記親液層の開口と前記撥液層の開口とを平面視で互いに一致させることで前記隔壁を形成し、前記多層膜形成工程が、前記第1薄膜の上面を一の前記親液層の上面と一致させる第1薄膜形成工程と、前記第2薄膜の上面を前記一の親液層の上段に設けられた二の前記親液層の上面と一致させる第2薄膜形成工程とを備えることを特徴とする。 【0009】 この発明では、一の親液層とこの上面に形成された撥液層との境界にピニングポイントが形成され、第1薄膜の上面と一の親液層の上面とを一致させることで、第1薄膜を所望の膜厚で均一に形成できる。また、二の親液層とこの上面に形成された撥液層との境界にピニングポイントが形成され、第2薄膜の上面と二の親液層の上面とを一致させることで、第2薄膜を所望の膜厚で均一に形成できる。そして、親液層の開口と撥液層の開口とを一致させることで、第1及び第2薄膜が隔壁で区画された領域の外に形成されることを防止できる。 すなわち、隔壁の開口内に薄膜形成材料液を流し込むと、薄膜形成材料液が開口領域における親液層の内周壁に濡れ広がる。ここで、薄膜形成材料液の液滴の周縁部は、親液層とこの親液層の上面に形成された撥液層との境界に接触する。そして、親液層上に開口が一致する撥液層が形成されているため、薄膜形成材料液が親液層上まで濡れ広がることがない。 この状態で液滴を乾燥させていくと、液滴の周縁部では中心部と比較して乾燥の進行が速いことから、液滴の周縁部において溶質である薄膜形成材料の濃度がまず飽和濃度に達する。このため、液滴の周縁部が接触している親液層と撥液層との境界において薄膜形成材料が局所的に析出され始める。これにより、析出した薄膜形成材料によって液滴の周縁部がピン止めされたような状態となり、その後の乾燥過程における液滴の外径の収縮が抑制される。なお、以下の説明において、この現象、すなわち、液滴の周縁部に析出した溶質である薄膜形成材料によって乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される現象を「ピニング」と呼ぶ。また、隔壁のうち液滴の薄膜形成材料が析出される部分を「ピニングポイント」と呼ぶ。これにより、親液層と撥液層との境界の位置及び薄膜形成材料液の液量を調整することで、所望の膜厚を有する第1及び第2薄膜をそれぞれ均一に形成できる。 また、隔壁の最上層に撥液層が設けられているので、薄膜形成材料液が隔壁上で乾燥して薄膜材料液が析出されることを防止できる。 したがって、隔壁の外部に第1及び第2薄膜が形成されることを防止すると共に、第1及び第2薄膜をそれぞれ所望の膜厚で均一に形成できる。 なお、本発明において、親液層の開口と撥液層の開口とが一致するとは、互いの開口が平面視で一致する場合に限らず、製造誤差などで若干ずれる場合も含まれる。ここで、親液層の開口と撥液層の開口との平面視におけるズレは、0.5μm以下であることが好ましい。さらに、薄膜の上面と親液層の上面とが一致するとは、互いの上面が一致する場合に限らず、製造誤差などで若干ずれる場合も含まれる。 ここで、親液層は液滴との接触角度が18度以下であることが好ましく、撥液層は液滴の接触角度が55度以上であることが好ましい。 【0010】 また、本発明のデバイスは、前記複数の撥液層のうち少なくとも1層が、フッ素化されたフッ素系樹脂材料で構成されていることが好ましい。 この発明では、撥液層に第1薄膜や第2薄膜を構成する薄膜形成材料を含有する薄膜形成材料液への高い撥液性を具備させることができる。 【0011】 また、本発明のデバイスは、前記基板の上面に形成された画素電極と、前記多層膜を介して前記画素電極と対向配置された対向電極とを備え、前記多層膜が、発光機能層であることとしてもよい。 この発明では、第1及び第2薄膜をそれぞれ所望の層厚で均一に形成することで、発光機能層における輝度ムラを防止して発光寿命の均一化が図れると共に、等価的に画素径が増大することを回避できる。 【0012】 また、本発明のデバイスは、前記第1薄膜が、正孔注入層であると共に、前記第2薄膜が、発光層であることとしてもよい。 この発明では、正孔注入層が親液バンクの開口領域の外部に形成されることを防止することで、隔壁で区画された画素領域の外部における発光を防止できる。したがって、等価的に画素径が増大することを回避できる。 【0013】 また、本発明の薄膜形成方法は、前記最上段の撥液層が、感光性材料で構成され、前記隔壁形成工程が、前記基板上に前記親液層及び前記撥液層を形成するバンク層形成工程と、前記最上段の撥液層を露光現像して該撥液層に前記開口を形成する露光現像工程と、前記最上段の撥液層をマスクとして前記親液層及び他の前記撥液層に前記開口を形成する開口形成工程とを備えることが好ましい。 この発明では、開口が形成された撥液層をマスクとして親液層に開口を形成するので、撥液層に形成された開口の縁部と親液層に形成された開口の縁部とをより確実に一致させることができる。ここで、撥液層を感光性材料で形成しているので、露光現像工程において撥液層に開口を容易に形成することができる。したがって、薄膜形成工程までの工程数を短縮化できる。 【0014】 また、本発明の薄膜形成方法は、前記隔壁形成工程が、前記基板上に前記親液層及び前記撥液層を形成するバンク層形成工程と、前記最上段の撥液層上に感光性材料で構成されて前記開口と対応する位置に開口を有するレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層をマスクとして前記親液層及び前記撥液層に前記開口を形成する開口形成工程とを備えることが好ましい。 この発明では、開口が形成されたレジスト層をマスクとして撥液層及び親液層にそれぞれ開口を形成するので、撥液層に形成された開口の縁部と親液層に形成された開口の縁部とをより確実に一致させることができる。ここで、撥液層及び親液層に開口を形成するときに開口が形成されたレジスト層をマスクとしているので、開口形成工程において撥液層のうち開口を形成しない領域がレジスト層で被覆される。これにより、開口の形成時に撥液層の撥液性が低下することを抑制できる。 【0015】 また、本発明の薄膜形成方法は、前記開口形成工程で、ドライエッチング法を用いることが好ましい。 この発明では、垂直性の高いエッチングを行うことができるドライエッチング法を用いることで、撥液層に形成された開口の縁部と親液層に形成された開口の縁部とをより確実に一致させることができる。 【0016】 また、本発明の薄膜形成方法は、前記第1及び第2薄膜を、液滴吐出法を用いて形成することが好ましい。 この発明では、液滴吐出法によって第1及び第2薄膜を選択的に形成することができる。これにより、薄膜形成材料の無駄を抑制でき、低コスト化が図れる。 【0017】 また、本発明のデバイスの製造方法は、上記記載の薄膜形成方法によって薄膜を形成する工程を備えることを特徴とする。 この発明では、上述と同様に、薄膜が隔壁で区画される開口領域の外部に形成されることを防止する共に、薄膜を所望の厚さで均一に形成できる。 【0018】 また、本発明の電子機器は、上記記載のデバイスを備えることを特徴とする。 この発明では、上述と同様に、第1及び第2薄膜が隔壁で区画される開口領域の外部に形成されることを防止する共に、薄膜を所望の厚さで均一に形成できる。ここで、薄膜が発光機能層を形成する機能層を構成することで、等価的に画素径が増大することを防止し、発光のクロストークや発光にじみを回避できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下、本発明による薄膜形成方法、デバイス、薄膜形成方法及びデバイスの製造方法並びに電子機器の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。ここで、図1は有機EL装置の平面図、図2は有機EL装置の表示領域における部分断面図、図3は有機EL装置の等価回路図である。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。 【0020】 (有機EL装置) 本実施形態における有機EL装置(デバイス)1は、図1から図3に示すように、基板2と、基板2上に配置された発光素子部3と、発光素子部3上に配置された封止部4とを備えている。 基板2は、基板本体11と、基板本体11上に形成された回路素子部12とを備えている。また、基板2の中央には、表示領域13(図1中の一点鎖線で囲まれた領域)が区画されている。この表示領域13は、マトリックス状に配列された有機EL素子によって構成されている。 【0021】 基板本体11は、例えばガラスなどの透光性材料で構成されており、平面視でほぼ矩形状となっている。 回路素子部12は、図2に示すように、基板本体11上に形成されて透光性材料で構成された層間絶縁膜15、16を備えている。そして、回路素子部12は、図1から図3に示すように、層間絶縁膜15、16の上下に適宜形成された、走査線21やデータ線22、電源線23、保持容量24、スイッチング用のTFT素子25、駆動用のTFT素子26及び画素電極27を備えている。そして、回路素子部12のうち平面視で表示領域13の周辺領域である非表示領域には、シフトレジスタやレベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチなどを備えるデータ線側駆動回路28と、シフトレジスタ及びレベルシフタなどを備える走査線側駆動回路29と、製造途中や出荷時における有機EL装置1の品質や欠陥の検査に用いられる検査回路30とが設けられている。 【0022】 走査線21は、図3に示すように、複数平行に形成されており、走査線側駆動回路29に接続されている。また、データ線22は、走査線21と交差する方向に複数平行に形成されており、データ線側駆動回路28に接続されている。そして、電源線23は、データ線22と並列に延在するように形成されている。 これら走査線21及びデータ線22によって区画された領域によってマトリックス状に配列された複数の画素領域が形成される。そして、この画素領域のそれぞれには、保持容量24、スイッチング用のTFT素子25、駆動用のTFT素子26及び画素電極27が設けられている。 【0023】 TFT素子25は、そのゲート電極に走査線21を介して走査信号が供給される構成となっている。また、保持容量24は、TFT素子25を介してデータ線から供給される画素信号を保持する構成となっている。そして、TFT素子26は、そのゲート電極に保持容量24によって保持された画素信号が供給される構成となっている。 【0024】 画素電極27は、層間絶縁膜16上に形成され、TFT素子26を介して電源線23と電気的に接続したときに電源線23から駆動電流が与えられる構成となっており、陽極として機能する。そして、画素電極27は、図2に示すように、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透光性導電材料によって構成されている。ここで、画素電極27の膜厚は、例えば50〜200nmであることが好ましく、150nmであることが特に好ましい。 また、画素電極27の上面は、後述する正孔注入層形成材料液72に対して親液性を有している。なお、本発明において、親液性とは、液滴との接触角度が18度以下の状態を示している。 【0025】 また、回路素子部12には、図1に示すように、上述した走査線側駆動回路29に接続される駆動回路用制御信号配線31及び駆動回路用電源配線32と、後述する対向電極62に接続される対向電極用配線33とが形成されている。 そして、これら駆動回路用制御信号配線31、駆動回路用電源配線32及び対向電極用配線33は、基板2上に配置されたフレキシブル基板35の配線36に接続されている。このフレキシブル基板35の配線36は、一端が駆動回路37に接続されている。 【0026】 また、基板2の上面のうち画像表示領域と対応する領域であって平面視で上述した走査線21、データ線22、電源線23及びTFT素子25、26と重なる領域には、画素電極27の周縁部と重なるように隔壁41が形成されている。 この隔壁41は、層間絶縁膜16上に2段設けられた第1及び第2バンク体42、43で構成されている。 第1バンク体42は、層間絶縁膜16上に形成されて上記正孔注入層形成材料液72に対して親液性を示す第1親液層(一の親液層)51と、第1親液層51上に形成されて第1親液層51よりも正孔注入層形成材料液72に対して高い撥液性を示す第1撥液層(一の撥液層)52とで構成されている。 また、第2バンク体43は、第1バンク体42上に形成されて後述する発光層形成材料液73に対して親液性を示す第2親液層(二の親液層)53と、第2親液層53上に形成されて第2親液層53よりも発光層形成材料液73に対して高い撥液性を示す第2撥液層(二の撥液層)54とで構成されている。なお、本発明において、撥液性とは、液滴との接触角度が55度以上の状態を示している。 【0027】 第1及び第2親液層51、53は、例えばSiO2や窒化珪素(SiN)などの無機材料によって構成されている。そして、第1及び第2親液層51、53には、平面視で画素電極27の少なくとも一部と対応する領域に開口51a、53aが形成されている。ここで、第1親液層51の層厚は例えば50nmとなっており、第2親液層53の層厚は例えば80nmとなっている。 【0028】 第1及び第2撥液層52、54は、例えばアクリルやポリイミド、エポキシなどのような有機材料をフッ素化したフッ素系樹脂材料によって構成されている。そして、第1及び第2撥液層52、54には、平面視で画素電極27の少なくとも一部と対応する領域に開口52a、54aが形成されている。ここで、第1撥液層52の層厚は例えば10nmとなっており、第2撥液層54の層厚は例えば500nmとなっている。この開口52a、54aは、平面視で開口51a、53aとほぼ一致するように形成されている。すなわち、開口52a〜54aは、それぞれの縁部が平面視でほぼ重なっている。 このとき、フッ素系樹脂材料は、樹脂材料にフッ素原子が少なくとも5重量%以上含まれているものである。ここで、フッ素原子の含有量は、10重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましい。 【0029】 発光素子部3は、基板2上にマトリクス状に配置された複数の有機EL素子によって形成されており、上述した画素電極27と、画素電極27上に形成された発光機能層(多層膜)61と、発光機能層61を介して画素電極27と対向配置された対向電極62とによって構成されている。 発光機能層61は、隔壁41によって区画された領域であって画素電極27を区画する開口52a〜54a内に形成されており、正孔注入層(第1薄膜)63及び発光層(第2薄膜)64を備えている。 【0030】 正孔注入層63は、正孔注入層形成材料で構成された薄膜であって、第1親液層51に設けられた開口51aの内部に形成されている。そして、正孔注入層63の上面は、第1親液層51と第1撥液層52との境界と一致している。 また、正孔注入層63の層厚は、第1親液層51の層厚と同様に、例えば50nmとなっている。ここで、正孔注入層形成材料としては、例えばPEDOTなどのポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)などの混合物(PEDOT/PSS)が挙げられる。 【0031】 発光層64は、発光層形成材料で構成された薄膜であって、第1撥液層52に設けられた開口52a及び第2親液層53に設けられた開口53aの内部であって正孔注入層63を被覆するように形成されている。そして、発光層64の上面は、第1撥液層52と第2親液層53との境界と一致している。 また、発光層64の層厚は、第1撥液層52の層厚と第2親液層53の層厚との和と同様に、例えば90nmとなっている。そして、発光層64は、赤色(図1に示すR)に発光する赤色発光層、緑色(図1に示すG)に発光する緑色発光層及び青色(図1に示すB)に発光する青色発光層の3種類を有しており、図1に示すように、各発光層がストライプ状に配置されている。ここで、発光層形成材料としては、ポリフルオレン(PF)誘導体やポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリパラフェニレン(PPP)誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)誘導体などのポリシラン系などの高分子有機材料が挙げられる。 【0032】 対向電極62は、発光機能層61及び隔壁41の上面に形成されており、陰極として機能する。また、対向電極62は、例えばカルシウム(Ca)などのような低仕事関数を有する金属材料で構成された金属層とアルミニウム(Al)で構成された反射層とをこの順で積層した構成となっている。Caで構成される金属層の層厚は、例えば2〜20nmであることが好ましく、10nm程度であることがより好ましい。また、Alで構成される反射層の層厚は、例えば100〜1000nmであることが好ましく、200nm程度であることがより好ましい。 なお、反射層は、Alに限らず、銀(Ag)で構成されてもよく、Agで構成される層とAlで構成される層とを積層した構成としてもよい。また、上記金属層と発光機能層61との間には、発光層64を構成する発光層形成材料を効率よく発光させることを目的として例えばフッ化リチウム(LiF)などで構成された層を設けてもよい。 【0033】 封止部4は、図1に示すように、対向電極用配線33を覆うように設けられており、対向電極62や発光層64に対する水や酸素の浸入を防止し、対向電極62及び発光層64の酸化を防止するものである。そして、封止部4は、発光素子部3上に配置された封止樹脂(図示略)とこの封止樹脂上に接合された封止基板(図示略)とで構成されている。 この封止樹脂は、例えば対向電極62上に塗布された熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂で構成される。ここで、封止樹脂としては、硬化時にガスや溶媒などが発生しないものが好ましい。また、上記封止基板は、上記封止樹脂を保護するものであって、例えばガラス板や金属板、樹脂板などで構成されている。 【0034】 (有機EL装置の製造方法) 次に、上述した構成の有機EL装置の製造方法について、図4から図7を参照しながら説明する。ここで、図4から図7は、有機EL装置の製造工程を示す断面図である。なお、以下の説明では、本発明が発光素子部3の形成工程に特徴を有しているため、発光素子部3の形成工程について主に説明する。 【0035】 本実施形態における有機EL装置の製造方法では、まずガラスなどの透光性材料からなる基板本体11上に周知の方法により回路素子部12を形成する(図4(a))。これにより、上面に画素電極27が設けられた基板2が形成される。 【0036】 そして、隔壁形成工程を行う。この隔壁形成工程は、バンク層形成工程と、レジスト層形成工程と、露光現像工程と開口形成工程とを備えている。 バンク層形成工程では、上面に画素電極27が形成された基板2の上面の全面に、スパッタ法などを用いて上述した無機材料からなる第1親液層51を形成する(図4(b))。そして、第1親液層51の上面の全面に、スピンコート法などを用いて上述したフッ素系樹脂材料である有機材料を塗布し、これを乾燥させることで第1撥液層52を形成する(図4(c))。さらに、第1撥液層52の上面の全面に、上述と同様に、スパッタ法などを用いて第2親液層53を形成する(図4(d))。その上、第2親液層53の上面の全面に、上述と同様に、スピンコート法などを用いて第2撥液層54を形成する(図5(a))。 【0037】 次に、レジスト層形成工程を行う。ここでは、第2撥液層54の上面の全面に、スピンコート法などを用いて感光性材料を塗布し、これを乾燥させることでレジスト層71を形成する。そして、マスク(図示略)を用いたフォトリソグラフィ技術により、レジスト層71のうち第1及び第2親液層51、53の開口51a、53aと第1及び第2撥液層52、54の開口52a、54aと対応する位置に開口71aを形成する(図5(b))。 【0038】 続いて、開口形成工程を行う。ここでは、開口71aが形成されたレジスト層71をマスクとしたドライエッチング法を用いて、第2撥液層54をエッチングして開口54aを形成する(図5(c))。ここで、第2撥液層54をエッチングするときに使用するエッチングガスとしては、酸素(O2)にテトラフルオロメタン(CF4)を添加したものが挙げられる。このとき、第2撥液層54上にレジスト層71が形成されていることから、エッチング時に第2撥液層54が劣化することを防止して、第2撥液層54の撥液性が維持される。 【0039】 そして、開レジスト層71をマスクとしたドライエッチング法を用いて、第2親液層53をエッチングして開口53aを形成する(図5(d))。ここで、第2親液層53をエッチングするときに使用するエッチングガスとしては、CF4が挙げられる。このとき、直進性に優れるドライエッチング法を用いて第2親液層53に開口53aを形成するので、エッチング後の開口53aの縁部が開口54aの縁部よりも平面視で大きくなるアンダーカットが発生しにくくなる。このようにして、第2親液層53及び第2撥液層54のそれぞれに、平面視で互いの縁部が一致する開口53a、54aを設ける。これにより、第2バンク体43を形成する。 【0040】 さらに、上述と同様に、レジスト層71をマスクとして、第1撥液層52をエッチングして開口52aを形成し(図6(a))、第1親液層51をエッチングして開口51aを形成する(図6(b))。このようにして、第1親液層51及び第1撥液層52のそれぞれに、平面視で互いの縁部が一致する開口51a、52aを形成する。したがって、開口51a、52aは、平面視で互いの縁部が一致することとなる。これにより、第2バンク体43を形成する。この後、第2撥液層54上に残存しているレジスト層71を除去する(図6(c))。これにより、開口51a、52aを有する第1バンク体42を形成する。 以上のようにして、隔壁形成工程を行う。このようにして形成された開口51a、53aの内周壁は、第1及び第2親液層51、53が露出していることから、親液性を有している。また、開口52a、54aの内周壁は、第1及び第2撥液層52、54が露出していることから、撥液性を有している。ここで、第1及び第2親液層51、53としてSiNを用いた場合には、ドライエッチング法によるエッチングレートが大きいため、開口形成工程の短縮化が図れる。なお、開口51a〜54aの縁部が平面視で互いに一致するとは、製造誤差などで若干ずれる場合も含まれる。 【0041】 次に、発光機能層形成工程(多層膜形成工程)を行う。この発光機能層形成工程は、正孔注入層形成工程(第1薄膜形成工程)と発光層形成工程(第2薄膜形成工程)とで構成されている。 まず、正孔注入層形成工程を行う。ここでは、PEDOT/PSS(PEDOT:PSS=1:6または1:20)の混合物からなる正孔注入層形成材料を水に分散させた水分散液にジエチレングリコールなどの有機溶媒を添加した正孔注入層形成材料液(薄膜形成材料液)72を、インクジェット法を用いて第1親液層51によって区画された領域内に滴下する(図6(d))。このとき滴下される正孔注入層形成材料液72の量は、後述する乾燥処理を経て形成される正孔注入層63の上面が第1親液層51の上面と一致する量となっている。 【0042】 ここで、第1親液層53上には、正孔注入層形成材料液72に対して撥液性を有する第2撥液層54が形成されている。そのため、正孔注入層形成材料液72の液滴が開口51a内に滴下されずに第2撥液層54上に滴下された場合であっても、液滴がはじかれて開口51a内に流れ込む。このとき、第2撥液層52の正孔注入層形成材料液72の液滴との接触角度が55度以上なので、液滴を確実にはじいて開口51a内に流し込むことができる。また、第1親液層51の正孔注入層形成材料液72の液滴との接触角度が18度以下なので、正孔注入層形成材料液72が開口51a内で確実に保持される。 そして、正孔注入層形成材料液72の液滴は、第1親液層51の開口51aにおける内周壁に沿って濡れ広がり、その周縁部が第1親液層51と第1撥液層52との境界に接触する。 【0043】 この後、滴下した正孔注入層形成材料液72に乾燥処理を施して内部の溶媒を蒸発させる。すなわち、滴下した正孔注入層形成材料液72を真空乾燥した後、大気圧中において例えば200℃の温度で10分間乾燥させる。この乾燥処理により、正孔注入層63が形成される(図7(a))。ここで、正孔注入層形成材料液72の液滴は、その周縁部が第1親液層51と第1撥液層52との境界に接触しているため、乾燥過程においてこの境界をピニングポイントとして周縁から乾燥する。そして、正孔注入層形成材料液72中の溶媒が蒸発することで上述した正孔注入層形成材料が析出されて、その上面が第1親液層51の上面と一致する正孔注入層63が形成される。このとき、正孔注入層63の周縁が第1親液層51と第1撥液層52との境界でピニングされるため、各正孔注入層63の層厚が均一になる。 【0044】 続いて、発光層形成工程を行う。ここでは、上述した正孔注入層形成工程と同様に、上述した高分子有機材料からなる発光層形成材料を芳香族系炭化水素溶媒で溶解させた発光層形成材料液73を、インクジェット法を用いて隔壁41によって区画された領域内に滴下する(図7(b))。このとき滴下される発光層形成材料液73の量は、後述する乾燥処理を経て形成される発光層64の上面が第2親液層53の上面と一致する量となっている。ここで、第2親液層53の上面に第2撥液層54が形成されているため、上述と同様に、確実に開口52a、53a内に発光層形成材料液73を流し込むことができる。また、第2親液層53の上面に第2撥液層54が形成されているため、発光層形成材料液73が開口52a、53a内で確実に保持される。 そして、発光層形成材料液73の液滴は、その周縁部が第2親液層53と第2撥液層54との境界に接触する。 【0045】 この後、滴下した発光層形成材料液73に乾燥処理を施して内部の溶媒を蒸発させる。すなわち、滴下した発光層形成材料液73を真空乾燥した後、アルゴン(Ar)や窒素(N2)などの不活性ガス雰囲気中において例えば130℃の温度で60分間アニールする。これにより、発光層64が形成される(図7(c))。ここで、発光層形成材料液73の液滴は、その周縁部が第2親液層53及び第2撥液層54の境界に接触しているため、上述と同様に、乾燥工程においてこの境界をピニングポイントとして周縁から乾燥する。そして、その上面が第2親液層53の上面と一致する発光層64が形成される。このとき、発光層64の周縁が第2親液層53と第2撥液層54との境界でピニングされるため、各発光層64の層厚が均一になる。 【0046】 次に、発光機能層61及び隔壁41上の全面に、真空蒸着法を用いてCaからなる金属層とAlからなる反射層とを形成し、これらのバンク体から構成される対向電極62を形成する(図7(d))。以上のようにして、画素電極27、発光機能層61及び対向電極62で構成される発光素子部3を形成する。 その後、対向電極62上に上記封止樹脂及び上記封止基板を積層して封止部4を形成し、対向電極62や発光層64を封止する。ここで、封止部4による封止は、N2やArなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。以上のようにして、有機EL装置1を製造する。 【0047】 (電子機器) このようにして製造された有機EL装置1は、例えば図8に示すような携帯電話機100に設けられる。ここで、図8は、携帯電話機100の概略斜視図である。 この携帯電話機100は、ヒンジ101を中心として折り畳み可能な第1筐体102及び第2筐体103を備えている。そして、第1筐体102には、有機EL装置1で構成された表示部104と複数の操作ボタン105と受話口106とアンテナ107とが設けられている。また、第2筐体103には、送話口108が設けられている。 【0048】 以上のように、本実施形態における有機EL装置1、薄膜形成方法、有機EL装置の製造方法並びに携帯電話機100によれば、隔壁41上に正孔注入層63や発光層64が形成されることを防止して画素領域の外部における発光を回避できると共に、正孔注入層63及び発光層64をそれぞれ所望の層厚で均一に形成できる。これにより、等価的に画素径が増大することを防止して発光のクロストークや発光にじみの発生を抑制すると共に、画素領域内における均一な発光が得られる。また、各画素における発光寿命のバラツキが抑制される。 ここで、第1及び第2撥液層52、54をフッ素系樹脂材料で構成することで、高い撥液性を具備させることができる。 また、隔壁形成工程において、第2撥液層54上にレジスト層71を形成するので、エッチングによって開口51a〜54aを形成する際、第2撥液層54の劣化を防止して第2撥液層54の撥液性が維持される。また、垂直性の高いドライエッチング法を用いることで、開口51a〜54aのそれぞれの縁部をより確実に一致させることができる。 また、発光機能層61を液滴吐出法によって、画素開口内だけに選択的に形成できるので、正孔注入層形成材料や発光層形成材料に無駄が無く、コストダウンを図ることができる。 【0049】 なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。 例えば、上記実施形態ではレジスト層をマスクとしたドライエッチング法によって第2撥液層に開口を形成しているが、第2撥液層を感光性樹脂材料で構成してフォトリソグラフィ技術によって第2撥液層に開口を形成する構成としてもよい。この場合、第2撥液層上にレジスト層を形成することと比較して、レジスト層を形成する必要がないため、隔壁形成工程の短縮化が図れる。また、このほか、あらかじめ開口が設けられた第2撥液層を形成するなど、他の方法によって第2撥液層に開口を形成してもよい。 また、第1及び第2親液層や第1及び第2撥液層に対してドライエッチング法を用いて開口を形成しているが、第1及び第2親液層や第1及び第2撥液層のそれぞれの開口が平面視で一致すれば、例えばフッ酸系水溶液をエッチャントとして用いたウェットエッチング法など他の方法を用いて形成してもよい。 【0050】 また、親液層と液滴との接触角度は、撥液層と液滴との接触角度よりも小さければよく、18度以下に限られない。同様に、撥液層と液滴との接触角度は、親液層と液滴との接触角度よりも大きければよく、55度以上に限られない。 また、親液層は、全体として撥液層よりも親液性が高ければよく、異なる材料を複数層に積層した構成としてもよい。同様に、撥液層も、全体として親液層よりも撥液性が高ければよく、異なる材料を複数層に積層した構成としてもよい。 また、親液層及び撥液層は、複数層ずつ交互に積層されていればよく、3層ずつ以上積層してもよい。ここで、例えば第1から第3親液層と第1から第3撥液層とを交互に積層した場合には、正孔注入層の上面を第2親液層の上面と一致するように形成して発光層を第3親液層の上面と一致するように形成してもよい。 また、撥液層をフッ素系樹脂材料で構成しているが、正孔注入層形成材料液に対して親液層よりも高い撥液性を有していれば、他の材料で構成してもよい。 また、正孔注入層及び発光層をインクジェット法を用いて形成しているが、ピニングを利用して所望の層厚で均一に形成することができれば、他の方法を用いて形成してもよい。 【0051】 また、開口形成工程の後、開口が形成された撥液層及び親液層に対して、親液処理と撥液処理とのいずれか一方あるいは双方を施してもよい。 親液処理とは、大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするプラズマ処理を施すことであり、親液層及び画素電極の表面を活性化させることで親液層及び画素電極の表面の親液性を高める。これにより、親液層と撥液層との正孔注入層形成材料液に対する親液性の差が大きくなる。そして、薄膜形成材料液が親液層の開口領域内で濡れ広がり易くなり、親液層と撥液層との境界をより確実にピニングポイントとすることができる。以上より、親液層と撥液層との境界をピニングポイントとした正孔注入層及び発光層の平坦化及び層厚の均一化がより容易となる。 また、撥液処理とは、大気雰囲気中で例えばCF4などのフルオロカーボン系のガスのようなフッ化系化合物ガスを処理ガスとするプラズマ処理プラズマ処理を施すことであり、撥液層の表面を活性化させることで撥液層の表面の撥液性を高める。これにより、上述と同様に親液層と撥液層との正孔注入層形成材料液に対する親液性の差が大きくなり、親液層と撥液層との境界をピニングポイントとした正孔注入層の平坦化及び層厚の均一化がより容易となる。 【0052】 また、発光機能層が正孔注入層及び発光層で構成されているが、発光層のみで構成されてもよく、発光層と対向電極との間に電子注入層や電子輸送層、正孔阻止層を積層した構成としてもよい。この電子注入層や電子輸送層は、対向電極から電子を画素電極の方向へ進めて電子を通す機能を有している。また、正孔阻止層は、正孔が対向電極の方向へ進行することを防止する機能を有している。同様に、発光層と画素電極との間に電子阻止層を積層した構成としてもよい。この電子阻止層は、電子が画素電極の方向へ進行することを防止する機能を有している。また、発光機能層が正孔注入層を有しているが、正孔注入層に代えて正孔注入輸送層または正孔輸送層を有する構成としてもよい。ここで、このような構成の発光機能層では、少なくとも画素電極上に形成される最下層と、この最下層の上面に形成される層とを上述した薄膜形成方法によって形成する。 【0053】 また、基板本体に透光性部材を用いると共に対向電極に反射層を用いたボトムエミッション型の有機EL装置について説明したが、トップエミッション型の有機EL装置であってもよい。 また、有機EL装置の製造方法について説明したが、本願の薄膜形成方法を用いて形成された薄膜を有していれば、有機EL装置に限らず、プリンタの露光ヘッドなど、他のデバイスに適用してもよい。ここで、プリンタの露光ヘッドに本発明の有機EL装置を適用した場合には、画素領域外における発光を防止しているので、印刷画質を向上させることができる。 また、有機EL装置を携帯電話機に適用しているが、携帯電話機に限らず、ノート型パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末機)、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、カーナビゲーション装置、デジタルビデオカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ページャ、電子手帳、電卓、電子ブックやプロジェクタ、ワードプロセッサ、テレビ電話機、POS端末、タッチパネルを備える機器、照明装置などのような他の電子機器に適用してもよい。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】本発明の一実施形態における有機EL装置を示す平面図である。 【図2】図1の部分断面図である。 【図3】図1の等価回路図である。 【図4】一実施形態における有機EL装置の製造工程を示す断面図である。 【図5】同じく、有機EL装置の製造工程を示す断面図である。 【図6】同じく、有機EL装置の製造工程を示す断面図である。 【図7】同じく、有機EL装置の製造工程を示す断面図である。 【図8】図1の有機EL装置を備える携帯電話機を示す斜視図である。 【符号の説明】 【0055】 1 有機EL装置(デバイス)、2 基板、27 画素電極、41 隔壁、51 第1親液層(一の親液層)、52 第1撥液層(一の撥液層)、53 第2親液層(二の親液層)、54 第2撥液層(二の撥液層)、61 発光機能層(多層膜)、62 対向電極、63 正孔注入層(第1薄膜)、64 発光層(第2薄膜)、100 携帯電話機(電子機器)
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年6月22日(2006.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107836 【弁理士】 【氏名又は名称】西 和哉
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100101465 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 正和
|
| 【公開番号】 |
特開2008−4376(P2008−4376A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月10日(2008.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2006−172543(P2006−172543) |
|