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【発明の名称】 誘導加熱調理器
【発明者】 【氏名】福本 明美

【氏名】田中 郁子

【要約】 【課題】容器載置部または調理容器の複数の検知温度に基づいて調理容器に入った被加熱物の温度を推定し、被加熱物に適した加熱を行う誘導加熱調理器を提供すること。

【構成】被加熱物1の入った加熱容器2と、容器載置部3と、誘導加熱コイル4と、第1の温度検知手段6と、第2の温度検知手段7と、制御手段8を備え、第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7の温度差から調理容器2の発熱特性を推定し、誘導加熱コイル4の通電を制御するので、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を入れた調理容器と、前記調理容器を載置する容器載置部と、前記容器載置部の下側に位置し前記調理容器を加熱する誘導加熱コイルを有する誘導加熱手段と、前記誘導加熱手段の加熱出力を制御する制御手段と、前記誘導加熱手段に対面する前記容器載置部または前記調理容器の複数の温度を検知する温度検知手段を備え、前記制御手段は、前記温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差に基づいて前記調理容器の発熱特性を推定し、前記誘導加熱手段を制御する誘導加熱調理器。
【請求項2】
温度検知手段の少なくとも一つは、前記誘導加熱コイルに対面しない前記調理容器または前記容器載置部の温度を検知する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記誘導加熱コイルは多重巻きコイル構成とし、温度検知手段の少なくとも一つは、前記多重巻きコイルのすきまに対面する前記調理容器または前記容器載置部の温度を検知する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
制御手段は、前記温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値より大きいときは、前記調理容器の温度ムラを緩和するために前記誘導加熱手段への通電を減少させるか断続的に通電する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
制御手段は、前記温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値以下のときは、前記誘導加熱手段への通電電力を加熱初期よりも低下させつつ通電を継続する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
制御手段は、前記温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値より大きいときは、前記最低温度を前記調理容器内の前記被加熱物の温度とし、前記被加熱物の温度に基づいて前記誘導加熱手段への通電電力を制御する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項7】
制御手段は、前記温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値以下のときは、前記温度差に第1の係数をかけて前記調理容器内の前記被加熱物の温度を推定し、前記被加熱物の温度に基づいて前記誘導加熱手段への通電電力を制御する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項8】
制御手段は、前記温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値より大きいときは、前記最低温度を前記調理容器内の前記被加熱物の温度とし、前記被加熱物の温度に基づいて前記誘導加熱手段への通電時間を制御する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱コイルを有する誘導加熱手段を用いて、被加熱物の入った調理容器を加熱する誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導加熱調理器は、調理容器である鍋の種類や鍋温度の判定方法には、温度検出手段の検出温度が所定値(150℃)になった時点で加熱出力3kW(または2kW)から1.6kWに低下させ、その時の検出温度の変化率が所定値以下(90秒間に3℃以上の低下)であることを判断し、多層構造の調理容器か否かを判定する方法(例えば、特許文献1参照)や、複数の温度検出部を内部加熱コイルの中心部と外部加熱コイルと内部加熱コイルの間に設置し、検出温度のうち最高温度に基づき鍋温度を判定する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2003−272823号公報
【特許文献2】特開2006−12606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載の従来の構成では、鍋の置かれ方、鍋の形状あるいは鍋内に入れた被加熱物の量や種類の影響を受け、変化率3%の基準では誤検知を生じる場合がある。また、前記特許文献2に記載の前記従来の構成では、最高温度信号のみで鍋温度の検知は鍋の置かれ方による誤検知を解消できないし、調理容器内の被加熱物の温度を推定することは難しいという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、容器載置部または調理容器の複数の検知温度に基づいて調理容器に入った被加熱物の温度を推定し、被加熱物に適した加熱を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘電加熱調理器は、誘導加熱手段に対面する容器載置部または調理容器の複数の温度を検知し、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差に基づいて調理容器の発熱特性を推定し、誘導加熱手段を制御するものである。
【0006】
これによって、調理容器の発熱特性から調理容器の種類を判定するとともに、調理容器に入った被加熱物の温度を推定し、被加熱物に適した加熱を行うこととなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の誘導加熱調理器は、調理容器の発熱特性から調理容器の種類を判定するとともに、調理容器に入った被加熱物の温度を推定し、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、誘導加熱手段に対面する容器載置部または調理容器の複数の温度を検知し、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差に基づいて調理容器の発熱特性を推定し、誘導加熱手段を制御するものである。
【0009】
これにより、調理容器に入った被加熱物の温度を推定し、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0010】
第2の発明は、特に第1の発明の温度検知手段の少なくとも1つは、誘導加熱コイルに対面しない調理容器または容器載置部の温度を検知するものである。
【0011】
これにより、誘導加熱コイルによる発熱部分とは異なる低温領域の温度を確実に測定することができ、被加熱物の温度を高い精度で推定することができる。
【0012】
第3の発明は、特に第1の発明の誘導加熱コイルは多重巻きコイル構成とし、温度検知手段の少なくとも一つは、前記多重巻きコイルのすきまに対面する調理容器または容器載置部の温度を検知するものである。
【0013】
これにより、誘導加熱コイルにより発熱した調理容器または容器載置部の高温領域の温度を確実に測定することができ、被加熱物の温度を高い精度で推定することができる。
【0014】
第4の発明は、特に第1の発明の制御手段は、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値より大きいときは、調理容器の温度ムラを緩和するために誘導加熱手段への通電を減少させるか断続的に通電するものである。
【0015】
これにより、誘導加熱コイルの加熱特性に影響されずに被加熱物の温度を上昇させ、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0016】
第5の発明は、特に第1の発明の制御手段は、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値以下のときは、誘導加熱手段への通電電力を加熱初期よりも低下させつつ通電を継続するものである。
【0017】
これにより、加熱容器の材質を判定するための時間が不要となり、加熱時間を短縮させつつ被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0018】
第6の発明は、特に第1の発明の制御手段は、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値より大きいときは、最低温度を調理容器内の被加熱物の温度とし、被加熱物の温度に基づいて誘導加熱手段への通電電力を制御するものである。
【0019】
これにより、加熱容器の中の被加熱物の温度を高い精度で推定でき、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0020】
第7の発明は、特に第1の発明の制御手段は、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値以下のときは、温度差に第1の係数をかけて調理容器内の被加熱物の温度を推定し、被加熱物の温度に基づいて誘導加熱手段への通電電力を制御するものである。
【0021】
これにより、加熱容器の中の被加熱物の温度を高い精度で推定でき、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0022】
第8の発明は、特に第1の発明の制御手段は、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差が所定値より大きいときは、最低温度を調理容器内の被加熱物の温度とし、被加熱物の温度に基づいて前記誘導加熱手段への通電時間を制御するものである。
【0023】
これにより、誘導加熱コイルの加熱特性に影響されずに被加熱物の温度を上昇させ、被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱調理器の概略図、図2は同誘導加熱調理器の要部拡大図を示すものである。
【0026】
図1、2において、誘導加熱調理器には、被加熱物1の入った調理容器2が容器載置部3に載置され、加熱調理が行われる。容器載置部3の下側には調理容器2を加熱する誘導加熱コイル4が配設される。誘導加熱コイル4は、同心円の誘導加熱コイル(外)4a、誘導加熱コイル(内)4bから構成される。インバーター回路5は誘導加熱コイル4に高周波電流を供給する。誘導加熱コイル4のすきまに対面する位置に設けられた第1の温度検知手段6および誘導加熱コイル4に対面しない位置に設けられた第2の温度検知手段7は、それぞれ調理容器2または容器載置部3の温度を測定する。本実施の形態では、第1の温度検知手段6は誘導加熱コイル(外)4aと誘導加熱コイル(内)4bの間に配設し、第2の温度検知手段7は誘導加熱コイル(内)4b中心部に配設した。第1の温度検知手段6、第2の温度検知手段7は、サーミスタや各種金属抵抗体、熱電対あるいは調理容器の温度を測定する赤外線センサや光センサなどから構成される。
【0027】
第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7の検知信号は、制御手段8に送られる。制御手段8は、第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7の検知信号の差に基づき、インバーター回路5から誘導加熱コイル4への入力電力を制御する。
【0028】
演算手段9は、被加熱物1の温度や量、各種条件に適した加熱条件を記憶したり、第1の温度検知手段6、第2の温度検知手段7の検知信号から、被加熱物1や調理容器2の温度を推定する。また、誘導加熱コイル4への入力電力や、通電時間を計測する。
【0029】
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0030】
まず、操作部(図示していない)などから加熱開始の信号が制御手段8に送られると、制御手段8は誘導加熱コイル4への通電を開始する。演算手段9は、誘導加熱コイル4への通電開始と同時に、誘導加熱コイル4への入力電力および通電時間の計測を開始する。誘導加熱コイル4に高周波電流が流れると、磁力線が発生し、その磁力線によって調理容器2の底にうず電流が発生する。そのうず電流によって調理容器4底自体が発熱する。
【0031】
第1の温度検知手段6、第2の温度検知手段7は、通電開始から調理容器2底あるいは容器載置部3の温度を検知する。調理容器2の底面において、誘導加熱コイル4のすきまに対面した部分は発熱が大きく、誘導加熱コイル4の略中央に対面する部分は発熱が小さい。このため、調理容器2底面には温度ムラが生じるので、検出温度情報から被加熱物温度を単純に推定することは難しいが、これを解決したのが本発明である。
【0032】
このことより、調理容器2の底面あるいは容器載置部3は、誘導加熱コイル(内)4bの中心部に接した部分は最低温度となり、誘導加熱コイル(外)4aと誘導加熱コイル(内)4bの間に接した部分は最高温度となる。
【0033】
次に、誘導加熱コイル4と調理容器2との発熱特性の関係について説明する。一般に、複数の金属を張り合わせた多層金属を使用した調理容器(以後、多層調理容器とする)は、一種類の金属を使用した調理容器(以後、単層調理容器とする)よりも調理容器2の底厚さ方向への熱伝導が悪い。多層金属の一例としては、誘導加熱しやすいが熱伝導の悪い金属(例えば、ステンレスなど)と誘導加熱しにくいが熱伝導の良い金属(例えば、アルミニウムなど)を張り合わせる例がある。熱伝導の良い金属を張り合わせることで、調理容器2の平面方向の熱伝導が良くなり、結果的に調理容器2の底面の温度ムラは低減する。
【0034】
一方、誘導加熱しやすい金属のみを用いた単層調理容器を誘導加熱した場合は、調理容器2の平面的な熱伝導が悪く、誘導加熱コイル4への通電を継続すると調理容器2の底面の温度ムラが増大することがある。
【0035】
このことより、第1の温度検知手段6は、誘導加熱コイル4に対面した調理容器2あるいは容器載置部3の最高温度を検知し、第2の温度検知手段7は誘導加熱コイル4に対面しない調理容器2あるいは容器載置部3の最低温度の温度を検知する。
【0036】
演算手段9は、所定時間が経過すると第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7で検知された調理容器2底の温度差を演算する。温度差を演算するタイミング(所定時間)は、誘導加熱コイル4への入力電力に応じて可変する。
【0037】
第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7の温度差が所定値より大きい場合は、制御手段8は、調理容器2の材質は底面に温度ムラのできやすい単層調理容器と判断する。一方、第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7の温度差が所定値以下の場合は、制御手段8は、調理容器2の材質は熱伝導が良く底面に温度ムラができにくい多層調理容器と判断する。
【0038】
単層調理容器では、底面の温度ムラができやすいため調理容器2あるいは容器載置部3の最低温度、つまり第2の温度検知手段7の温度を調理容器2内の被加熱物の温度として取り扱うことができる。一方、多層調理容器では、底面の温度ムラができにくいため調理容器2あるいは容器載置部3の温度をそのまま被加熱物の温度として取り扱うことができない。そのため、第1の温度検知手段6と第2の温度検知手段7の温度に所定の係数をかけて被加熱物の温度を推定する。
【0039】
調理容器2が単層調理容器であると判断した場合は、制御手段8は調理容器2の温度ムラを解消するために、誘導加熱コイル4への通電を減少させるか一旦停止する。操作部から事前に入力した設定温度より第1の温度検知手段6の検知温度(最高温度)が低温の場合は、調理容器2内の温度はさらに低温の状態にあると判断できる。そのため、制御手段8は再度誘導加熱コイル4への通電を開始し、断続的に通電しながら設定温度を維持する。
【0040】
また、制御手段8は調理容器2が単層調理容器の場合は、温度ムラを抑えながら加熱を維持するために、誘導加熱コイル4への通電時間や入力電力を多層調理容器よりも短くする、または減少させる。
【0041】
一方、調理容器2が多層調理容器であると判断した場合は、制御手段8は、調理容器2が温度ムラが生じにくいと判断し、誘導加熱コイル4への通電電力を加熱初期よりも低下させつつ通電を継続するか、断続的に通電する。このとき、通電時間は単層調理容器の場合よりも長くすることができる。
【0042】
演算手段9は、設定温度を維持しながら所定時間が経過したことを演算すると、制御手段8へ信号を送る。制御手段8は、演算手段9からの信号を受信後、誘導加熱コイル4への通電を停止し加熱を終了する。なお、使用者が途中で加熱を終了することも可能である。
【0043】
以上のように本実施の形態によれば、誘導加熱コイル4に対面する容器載置部または調理容器の複数の温度を検知し、温度検知手段が検知した最高温度と最低温度との差に基づいて調理容器の発熱特性を推定し、誘導加熱コイルの通電を制御するので被加熱物に適した加熱を行うことができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、被加熱物は液状に近い状態、例えば油やシチューなどの温度を高精度に検出できるので、揚げ物調理や煮込みなどには高い利便性を提供できる。
【0045】
また、本実施の形態では誘導加熱コイルは2重としたが、それ以上の多重巻き構成としてもかまわない。また、第1の温度検知手段6は、誘導加熱コイル(外)4a、誘導加熱コイル(内)4bの間であれば、2つ以上設置してもかまわない。ただし、この場合も複数の温度検知手段が検知した最高温度と最低温度とに基づいて調理容器ならびに調理容器内の被加熱物温度を推定する。同心円上に複数の温度検知手段を設けることで調理容器の置かれ方の影響を解消できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係わる誘導加熱調理器は、複数の温度検知手段の配設位置と温度検知手段の検知信号に基づいて誘導加熱コイルを制御することができるので、ビルトイン型、あるいは据置型、卓上型の誘導加熱調理器や電磁調理器に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の概略図
【図2】同誘導加熱調理器の要部拡大図
【符号の説明】
【0048】
1 被加熱物
2 加熱容器
3 容器載置部
4 誘導加熱コイル
4a 誘導加熱コイル(外)
4b 誘導加熱コイル(内)
6 第1の温度検知手段
7 第2の温度検知手段
8 制御手段
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−4354(P2008−4354A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172136(P2006−172136)