| 【発明の名称】 |
有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 充典
【氏名】時任 静士
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| 【要約】 |
【課題】高品質の有機EL表示装置を容易に製造する有機EL表示装置の製造方法を提供する。
【構成】隔壁に囲まれた有機発光層と、当該有機発光層に電圧を印加する第1の電極および第2の電極とを含む画素を、複数有する有機EL表示装置の製造方法であって、基板上の前記第1の電極が露出するように前記隔壁を環状に形成する第1の工程と、前記隔壁の内部に前記有機発光層を形成する第2の工程と、前記有機発光層上に第2の電極を形成する第3の工程と、を有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 隔壁に囲まれた有機発光層と、当該有機発光層に電圧を印加する電極とを含む画素が、複数形成されてなる有機EL表示装置であって、 前記隔壁が環状に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。 【請求項2】 前記隔壁は有機材料を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の有機EL表示装置。 【請求項3】 複数の前記隔壁が、互いに離間して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の有機EL表示装置。 【請求項4】 複数の前記隔壁は、複数の前記画素にそれぞれ対応して格子状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の有機EL表示装置。 【請求項5】 前記電極は、前記有機発光層を挟んで対向する第1の電極と第2の電極とを含み、 前記第1の電極は前記画素を制御する素子に接続され、前記第2の電極は無機材料により覆われていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の有機EL表示装置。 【請求項6】 隔壁に囲まれた有機発光層と、当該有機発光層に電圧を印加する第1の電極および第2の電極とを含む画素を、複数有する有機EL表示装置の製造方法であって、 基板上の前記第1の電極が露出するように前記隔壁を環状に形成する第1の工程と、 前記隔壁の内部に前記有機発光層を形成する第2の工程と、 前記有機発光層上に第2の電極を形成する第3の工程と、を有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。 【請求項7】 前記第1の工程は、 前記第1の電極上に有機材料を含む溶液を供給する工程と、 供給された前記溶液を乾燥させる工程と、 前記溶液の乾燥後の残留物をエッチングして前記第1の電極を露出させる工程と、を含むことを特徴とする請求項6記載の有機EL表示装置の製造方法。 【請求項8】 前記溶液の供給はインクジェット法により行われることを特徴とする請求項7記載の有機EL表示装置の製造方法。 【請求項9】 前記第2の工程では、インクジェット法により前記有機発光層が前記第1の電極上に形成されることを特徴とする請求項8記載の有機EL表示装置の製造方法。 【請求項10】 前記第2の工程の前に、前記隔壁を撥液処理する工程をさらに有することを特徴とする請求項9記載の有機EL表示装置の製造方法。 【請求項11】 前記第2の工程の前に、前記第1の電極を親液処理する工程をさらに有することを特徴とする請求項9または10記載の有機EL表示装置の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、隔壁が形成された構造を有する有機EL素子および当該有機EL素子の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと表記)素子は、応答速度の早い自発光素子であり、材料を選択することで赤や緑や青、さらには白色の発光を得ることが可能であることからフルカラーの表示装置や照明器具としての応用が期待されている。 【0003】 上記の有機EL素子を製造する方法として、例えばインクジェット法を用いて有機EL層を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1〜特許文献3参照)。インクジェット法を用いて有機発光層を形成する場合には、例えば発光材料やその他の機能性材料を所定の溶媒に溶解又は分散して溶液の状態にし、当該溶液をインクジェット装置を用いて画素領域に滴下する。その後、溶媒の成分を除去することで、有機EL層を形成することができる。 【0004】 また、上記のインクジェット法により有機EL層を形成する場合には、例えば有機EL層を分離する隔壁を形成することで画素が分離されるように形成される(例えば特許文献4参照)。この場合、当該隔壁はインクジェット法により滴下される溶液が他の画素領域に進入することを抑制している。 【0005】 例えば上記の隔壁は、特許文献4に記載されたように、所定の有機材料よりなる膜の画素に対応する部分が、フォトリソグラフィ法によるパターンエッチングにより除去されることで形成される。 【特許文献1】特開平10−12377号公報 【特許文献2】特開平11−40358号公報 【特許文献3】特開平11−54270号公報 【特許文献4】特開2004−87509号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、上記の特許文献4に係る隔壁を形成する場合には、形成された膜のうちエッチングで除去されてしまう部分が多く、隔壁材料の利用効率が悪いという問題があった。 【0007】 また、上記の特許文献4に係る構造では、画素(発光領域)に対して画素分離のための隔壁が占める割合が大きいという問題があった。例えば、隔壁が占める面積(体積)が大きいと、特に隔壁が有機材料により形成される場合には、水分の吸着の影響が大きくなる懸念があった。 【0008】 一般的に有機EL層は水分によって容易に品質が劣化してしまう特性を有しているため、上記の隔壁に大量の水分が吸着されると、有機EL層の品質が劣化してしまう懸念が生じてしまう。 【0009】 そこで、本発明では上記の問題を解決した、新規で有用な有機EL表示装置、および有機EL表示装置の製造方法を提供することを統括的課題としている。 【0010】 本発明の具体的な課題は、品質劣化が少なく容易に製造可能な構造を有する有機EL表示装置と、品質劣化が少ない有機EL表示装置を容易に製造する有機EL表示装置の製造方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明の第1の観点では、上記の課題を、隔壁に囲まれた有機発光層と、当該有機発光層に電圧を印加する電極とを含む画素が、複数形成されてなる有機EL表示装置であって、前記隔壁が環状に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置により、解決する。 【0012】 本発明によれば、品質劣化が少なく容易に製造可能な構造を有する有機EL表示装置を提供することができる。 【0013】 また、前記隔壁は有機材料を主成分とすると、当該隔壁の形成が容易となる また、複数の前記隔壁が、互いに離間して形成されていると、当該隔壁が占める体積がより小さくなり、好適である。 【0014】 また、複数の前記隔壁は、複数の前記画素にそれぞれ対応して格子状に配列されるようにし、個々の画素に対応して当該隔壁が構成されることが好ましい。 【0015】 また、前記電極は、前記有機発光層を挟んで対向する第1の電極と第2の電極とを含み、前記第1の電極は前記画素を制御する素子に接続され、前記第2の電極は無機材料により覆われていると、安定で高品質を維持できる有機EL表示装置を構成することができる。 【0016】 また、本発明の第2の観点では、上記の課題を、隔壁に囲まれた有機発光層と、当該有機発光層に電圧を印加する第1の電極および第2の電極とを含む画素を、複数有する有機EL表示装置の製造方法であって、基板上の前記第1の電極が露出するように前記隔壁を環状に形成する第1の工程と、前記隔壁の内部に前記有機発光層を形成する第2の工程と、前記有機発光層上に第2の電極を形成する第3の工程と、を有することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法により、解決する。 【0017】 本発明によれば、品質劣化が少ない有機EL表示装置を容易に製造することが可能となる。 【0018】 また、前記第1の工程は、前記第1の電極上に有機材料を含む溶液を供給する工程と、供給された前記溶液を乾燥させる工程と、前記溶液の乾燥後の残留物をエッチングして前記第1の電極を露出させる工程と、を含むと、前記隔壁を容易に形成することができる。 【0019】 また、前記溶液の供給はインクジェット法により行われると、前記溶液の供給が容易となる。 【0020】 また、前記第2の工程では、インクジェット法により前記有機発光層が前記第1の電極上に形成されると、前記有機発光層の形成が容易となる。 【0021】 また、前記第2の工程の前に、前記隔壁を撥液処理する工程をさらに有すると、前記有機発光層の形成が容易となる。 【0022】 また、前記第2の工程の前に、前記第1の電極を親液処理する工程をさらに有すると、前記有機発光層の形成が容易となる。 【発明の効果】 【0023】 本発明によれば、品質劣化が少なく容易に製造可能な構造を有する有機EL表示装置と、品質劣化が少ない有機EL表示装置を容易に製造する有機EL表示装置の製造方法を提供することが可能になる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 本発明に係る有機EL表示装置は、隔壁に囲まれた有機発光層と、当該有機発光層に電圧を印加する電極とを含む画素が、複数形成されてなる有機EL表示装置であって、前記隔壁が環状に形成されていることを特徴としている。また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法では、前記隔壁が環状に形成されることを特徴としている。 【0025】 従来の有機EL表示装置では、画素を分離する隔壁の面積(体積)が大きく、有機発光層(有機EL層)が隔壁に吸着した水分の影響により劣化してしまう懸念が生じていた。 【0026】 一方で、本発明による有機EL表示装置では、画素を分離する隔壁が環状に形成されているため、隔壁の占める面積(体積)を小さくすることが可能になっている。このため、本発明による有機EL表示装置では、隔壁に吸着される水分量が抑制されることになり、水分によって品質低下を招きやすい有機発光層の品質低下が抑制され、高品質の有機EL表示装置を提供することが可能となっている。 【0027】 また、上記の環状の隔壁は、例えばインクジェット法などの方法により電極上に有機材料を含む溶液を供給し、さらに該溶液を乾燥・エッチングすることにより、容易に形成可能であることを本発明の発明者は見出した。例えば、有機材料を含む溶液をインクジェット法などの方法により電極上に滴下し、当該溶液を乾燥すると、滴下された溶液の中心部が凹状になるように前記有機材料を主成分とする残留物が形成される。 【0028】 この場合、当該残留物は、凹状の中心部に対して周縁部が高く盛り上がることになる。この後、中心部にわずかに残留した残留物をエッチングすることで、環状の隔壁を容易に形成することができる。 【0029】 上記の方法によれば、例えば従来のフォトリソグラフィ法とパターンエッチングを用いた方法に比べて隔壁の形成が容易となり、さらにエッチングにより除去される部分の体積が少なくなるために、隔壁を構成する材料の利用効率が良好となる。また、微細な環状の隔壁を、微細なマスクを形成すること無しに容易に形成することが可能であるため、隔壁を形成するための工程が単純となり、隔壁を形成するためのコストも低減される。 【0030】 次に、上記の有機EL表示装置の構成の例と、その製造方法の具体的な例について図面に基づき説明する。 【実施例1】 【0031】 図1は、実施例1による有機EL表示装置100を模式的に示した断面図である。図1を参照するに、本実施例による有機EL表示装置100は、例えば透明な基板101上に形成される。前記基板101上には、表示に係る個々の画素の表示動作を制御する制御素子102Aが形成され、該制御素子102Aを覆うように絶縁層102が形成されている。前記画素は、前記制御素子102Aと接続線(コンタクトプラグ)102Bで接続され、以下のように構成されている。 【0032】 まず、前記絶縁層102上には、画素ごとに個別に下部電極201が前記接続線102Bに接続されて形成され、複数の該下部電極201は絶縁層202により電気的に分離されている。さらに、前記下部電極201の周縁部上には、画素を分離する隔壁203が形成されている。 【0033】 また、前記隔壁203の内部の前記下部電極201上には、電圧が印加される(電子と正孔が注入される)ことで発光する有機発光層(有機EL層)204が形成されている。また、前記有機発光層204上には上部電極205が形成されるが、該上部電極205は、複数の画素(有機発光層)に共通となるように複数の有機発光層204を覆うようにして形成されている。さらに、前記上部電極205を覆うように、保護層206が形成されている。 【0034】 上記の本実施例による有機EL表示装置100においては、前記隔壁203が、前記下部電極201の周縁部に対応する位置に環状に形成されていることが特徴である。このため、従来の有機EL表示装置に比べて隔壁を構成する部分の体積が小さくなっている。 【0035】 例えば、有機EL表示装置の隔壁は、形成が容易となるために有機材料により形成されるが、この場合当該有機材料に吸着される水分が問題となる場合がある。有機発光層は一般的に水分により品質が劣化するため、従来の構造では、隔壁から脱離した水分によって有機発光層の品質が低下することが懸念されていた。そのため、上記の本実施例による構成においては、前記隔壁203は、個々の画素に対応して個々に離間して環状に形成されている。 【0036】 図2は、図1に示した有機EL表示装置100の平面図を模式的に示したものである。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、また、図1に示した前記保護層206、前記上部電極205、前記有機発光層204は図示を省略しており、前記下部電極201、前記絶縁層202、および前記隔壁204の位置関係が見やすいようにしている。 【0037】 図2を参照するに、先に説明したように前記隔壁203は、前記下部電極201の周縁部に対応した位置に環状に形成されている。また、前記隔壁203は、個々の前記下部電極201(個々の画素)に対応して独立に離間して形成されていることが特徴である。また、前記隔壁203は、画素の配列に対応して格子状に形成されている。 【0038】 このため、上記の隔壁203は従来の隔壁に比べて体積が小さく、吸着される水分量が抑制されるために有機発光層の品質が良好に保持される。また、上記の構成において、前記隔壁203の高さは0.5μm以上2μm以下、幅は5μm以上20μm以下となるように構成されると、良好に前記有機発光層204が形成されるために好ましい。 【0039】 また、上記の隔壁203は、以下に説明するように、例えばインクジェット法などの方法により前記下部電極201上に有機材料を含む溶液を供給し、さらに該溶液を乾燥・エッチングすることにより、容易に形成可能である。次に、上記の有機EL表示装置100の製造方法について、図3A〜図3Hに基づき説明する。ただし、以下の図中において先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。 【0040】 まず、図3Aに示す工程において、公知の方法を用いて以下の構造を形成する。まず、透明な前記基板101上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)よりなる前記制御素子102Aを形成し、該制御素子102Aを覆うように前記絶縁層102を形成する。さらに、前記制御素子102Aに接続される前記接続線102Bを前記絶縁層102に形成する。 【0041】 さらに、前記接続線102Bに接続される前記下部電極201と、複数の下部電極201を電気的に分離する前記絶縁層202を形成する。 【0042】 上記の構造において、例えば、基板の材料としては、ガラスなどの無機材料の他、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)などの各種プラスチックフィルム、さらに薄膜ステンレスなどを用いることが可能である。 【0043】 また、前記制御素子102Aとしては、例えば薄膜トランジスタ(TFT)が用いられるが、当該TFTを構成する半導体材料としては、アモルファスシリコン、ポリシリコン、有機材料などを用いることが可能である。また、前記下部電極201は、透明な(発光を透過する)材料により構成されることが好ましく、例えば前記下部電極201を構成する材料として、酸化インジウム化合物(ITO、IZOなど)を用いることができる。 【0044】 また、前記絶縁層102、202は、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiNx)などを用いて形成することが可能である。 【0045】 次に、図3Bに示す工程において、隔壁を構成する有機材料が溶解された溶液203Aを、前記下部電極201上に滴下して供給する。当該溶液203Aは、例えば半球状になって前記下部電極201を覆うように配置される。この場合、前記溶液203Aの滴下は、例えばインクジェット装置を用いたインクジェット法により行われると、微細な滴下のパターンを容易に形成することが可能であり、好ましい。 【0046】 また、上記の場合、前記溶液203Aには、隔壁を構成するための有機材料が0.1%〜10%の割合で含まれるようにされると、インクジェット法で良好な吐出を得ることが可能となり、好ましい。また、当該溶液の粘度は、1mPa・s乃至20mPa・sであり、表面張力が20dyne/cm乃至70dyne/cm程度であると、インクジェット法においてサテライトや飛行曲りが抑制され、高精度な吐出が可能となり好ましい。また、前記溶液203Aを構成する溶剤としては、一種類(含有率90%以上)であることが好ましく、該溶剤の蒸気圧は500Pa以下であると、後述する環状の構造を形成するために好適である。 【0047】 また、前記溶液203Aに含まれる(隔壁を構成する)有機材料は、光照射または加熱処理によって硬化し、後の工程において滴下される有機発光層を形成するための溶液の供給により溶解しない材料であることが好ましい。例えば、上記の光硬化性の材料としてフォトレジスト材料、オキセタン材料などを、熱硬化性の材料としては、ポリイミド前駆体などを用いることができる。 【0048】 次に、図3Cに示す工程において、前記下部電極201上の前記溶液203Aを乾燥させて溶剤を蒸発させることで、前記溶液203A中に添加された前記有機材料を主成分とする残留物によって、隔壁本体203Bを形成する。この場合、蒸気圧の非常に低い溶剤が90%以上含まれていることで、乾燥させて溶剤蒸発後は、前記隔壁本体203Bの中央部(図中領域A)は凹状となり、前記隔壁本体203Bの周縁部において盛り上がった形状となる。また、本工程において所定の光照射や加熱を行って、有機材料が効果する処理を行っても良い。 【0049】 また、必要に応じて、図3Dに示すように、溶液の滴下と乾燥を繰り返すことで、隔壁本体203Bの周縁部の高さを高くする処理を行っても良い。この場合、領域Aでは殆ど隔壁本体203Bの厚さは変化せず、おもに周縁部の高さが高くなる。また、先に説明した光照射や加熱による有機材料の硬化の処理は、本工程において隔壁本体を所望の高さに形成してから行っても良い。 【0050】 次に、図3Eに示す工程において、エッチング処理によって前記隔壁本体203Bの領域Aの有機材料を除去し、隔壁203を形成することができる。なお、本工程における平面図が、図2に対応している。 【0051】 次に、図3Fに示す工程において、まず、酸素プラズマ処理によって前記下部電極201の親液処理(表面エネルギーを大きくする処理)を行った後、フルオロカーボンを用いたプラズマ処理によって前記隔壁203の撥液処理(表面エネルギーを小さくする処理)を行う。また、前記下部電極201または前記隔壁203の表面状態に応じてこれらの表面処理は省略することが可能である。 【0052】 次に、有機EL材料を溶剤に溶解または分散して構成される溶液204Aを、前記隔壁203の内側の前記下部電極201上に、例えばインクジェット法により滴下して供給する。 【0053】 次に、図3Gに示す工程において、供給された前記溶液204Aに含まれる溶剤を乾燥させ、前記有機発光層204を形成する。また、前記有機発光層204は、実質的な発光が生じる発光層の単層構造か、または当該発光層に正孔輸送層を積層した積層構造としてもよく、さらに電子輸送層などの機能層を付加する構造としてもよい。 【0054】 例えば、発光層の材料には、PPV(ポリフェニレンビニレン)、PFO(ポリフルオロレン)、PPV(ポリビニルカルバゾール)のような高分子型の有機発光材料を用いることが可能である。また、これらの材料の中に発光色素を0.1〜20%添加してもよく、さらにこれらの発光色素が燐光材料であると発光効率が良好となって好適である。 【0055】 また、正孔注入層の材料としては、銅フタロシアニンやPEDT:PSS(バイエル社BAYTRON等)などを用いることができる。また、溶液204Aに用いられる溶剤としては、エタノール、メタノール、メトキシエタノールや、または、N−メチル−2−ピロリドンなどの極性溶剤を用いることができる。さらに、溶液204Aには、増粘剤や湿潤剤、酸化防止剤、レベリング剤などを添加しても良い。 【0056】 次に、図3Hに示す工程において、前記有機発光層204上に、前記上部電極205を形成する。前記上部電極205は、複数の画素(有機発光層204)に共通となるように複数の有機発光層204を覆うようにして形成さる。 【0057】 前記上部電極205を構成する材料としては、例えば、アルミニウムや金、マグネシウム−銀合金などを用いることが可能である。また、前記有機発光層204と前記上部電極205の間に、仕事関数の小さい金属または金属化合物よりなる層を0.1nm乃至20nmの厚さで形成すると、前記上部電極205から前記有機発光層204への電子の注入が容易となり、好ましい。上記の仕事関数の小さい金属層(金属化合物層)を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属であるLi、Na、K、Rb、Cs、アルカリ土類金属であるBe、Mg、Ca、Sr、Ba、およびこれらの化合物であるMgAg、MgO、LiF、LiO2、NaF、CsF、などを用いることができる。 【0058】 次に、前記上部電極205を覆うように絶縁材料よりなる保護層(封止層)206を形成する。前記保護層206は、酸素や水分から有機発光層を保護するために設けられる。前記保護層206は、例えばシリコン酸化層やシリコン窒化層などの酸素や水分を透過しにくい材料により構成される。また、前記保護層206は、これらの材料・方法に限定されず、例えばガラスやステンレスなどを接着剤によって前記上部電極205上に接着して形成してもよい。 【0059】 このようにして、図1で先に説明した有機EL表示装置100を製造することができる。下部電極201と上部電極205の間に電圧を印加することで有機発光層204が発光し、基板101を透過して光が外部に放出される。なお、上記で説明した材料は前記有機EL表示装置100を構成するための一例であり、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。 【0060】 上記の本実施例による製造方法によれば、例えば従来のパターンエッチングによって隔壁を形成する場合と比べて、前記隔壁を構成するための材料(前記溶液203Aに含まれる有機材料)の利用効率が良好となる効果を奏する。すなわち、図3Eに示した工程でエッチングされる有機材料は、前記下部電極201の中央部に残留した僅かな有機物層であり、除去される有機物の量が少ないことが特徴である。 【0061】 また、微細な環状の隔壁を、微細なマスクを形成すること無しに容易に形成することが可能であるため、隔壁を形成するための工程が単純となり、隔壁を形成するためのコストも低減される。例えば、従来のフォトリソグラフィ法を用いたパターンエッチングによれば、まず、隔壁を構成する膜を成膜する工程と、当該膜上にレジストを成膜する工程、該レジストを露光・現像してレジストのパターニングを行う工程、さらには、レジストのパターンをエッチングによって転写する工程を要しており、パターニングの工程が複雑となっていた。 【0062】 一方で、本実施例の場合には、溶液を滴下した後で乾燥し、微細なレジストパターンを形成すること無しに全体を軽微にエッチングすることで容易に環状の隔壁を形成している。このため、本実施例による方法では、従来に比べて隔壁を形成するためのコストが低減されるとともに隔壁を形成する効率、さらには有機EL表示装置を生産する効率が大幅に向上されている。 【0063】 また、先に説明したように、上記の構造においては、複数の前記隔壁203が、前記下部電極201の周縁部に対応する位置に環状に、画素ごとに独立して個別に形成されていることが特徴である。このため、従来の有機EL表示装置に比べて隔壁を構成する部分の体積が小さくなり、隔壁から脱離した水分によって有機発光層の品質が低下する影響が抑制されている。 【0064】 また、隔壁は、平面視した場合に略円形状であることに限定されず、例えば平面視した場合に略楕円形状となるように構成してもよい。 【0065】 図4は、先に説明した図2に示す有機EL表示装置の変形例である。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する。本図に示す場合、隔壁203aが、下部電極201aの周縁部に対応して、略楕円形状に形成されている。このように、隔壁の形状は様々に変形しても良い。 【0066】 例えば、上記の図4に示す隔壁を形成する場合には、溶液を複数回滴下する場合に、滴下する位置を変更して(平行移動して)行うようにすればよい。溶液の滴下の工程以外は、図3A〜図3Eに示した場合と同様にして有機EL表示装置を製造することが可能である。 【0067】 次に、上記の製造方法を用いて有機EL表示装置を製造し、表示を確認した例について説明する。 【0068】 まず、25mm×35mmのガラス基板上に、直径100μmのITO電極(下部電極201に相当)をパターニングして形成し、ITO電極の間にはSiNx(絶縁層202に相当)をITO電極と同じ厚さで形成した。次に、O2でITO電極の表面を洗浄した後、CF4プラズマでSiNx表面の表面張力を減少させる処理(親液処理)を行った(図3Aの工程に相当)。 【0069】 次に、隔壁を構成する有機材料として、ポリイミド(東レ製、トレニース)を用いて、当該有機材料を溶剤(N,N’−ジメチルホルムアミド)に溶解させて、粘度約5mPa・sの有機材料を含む溶液(溶液203Aに相当)を構成した。さらに当該溶液を、インクジェット装置を用いて前記ITO電極上に吐出(滴下)した(図3Bに示す工程に相当)。 【0070】 上記の吐出を9回繰り返した後、加熱処理を行って溶剤を除去するとともに、前記有機材料のプレベーキングを行った。(図3C〜図3Dに示す工程に相当)。 【0071】 次に、CF4プラズマでポリイミドをドライエッチングしてITO電極表面のポリイミドを除去し、ITO電極を露出させた。さらに残ったポリイミドを加熱して硬化させて隔壁を形成した(図3Eに示す工程に相当)。 【0072】 次に、O2プラズマ処理によるITO電極表面の親液処理と、CF4プラズマ処理による隔壁表面の撥液処理を連続的に行った。その後、正孔注入層を形成するために、N−メチル2−ピロリドン、水、エタノールを含む溶剤に、PEDT/PSSを溶解し、インクジェット法によりITO電極上に滴下した。さらに、発光層を形成するために、o−ジクロロベンゼンを含む溶剤にPVK、OXD−7、Ir(ppy)3を溶解し、インクジェット法により滴下した。また、溶剤は乾燥させることで除去した(図3F〜図3Gに示す工程に対応)。 【0073】 次に、真空蒸着法でBa(バリウム)とAl(アルミニウム)を積層し(上部電極205に相当)、最後にUV硬化接着剤を用いて基板状にガラスキャップを接着して封止した(図3Hに示す工程に相当)。 【0074】 上記の有機EL表示装置に電圧を印加したところ、ITO電極がパターニングされた領域において均一な緑色発光を確認することができた。 【0075】 また、上記に説明した有機EL表示装置、および有機EL表示装置の製造方法に係る発明は、表示装置に限定されず、有機EL素子を用いた発光装置、照明などにも適用することが可能である。 【0076】 以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。 【図面の簡単な説明】 【0077】 【図1】実施例1による有機EL表示装置を模式的に示す断面図である。 【図2】図1の有機EL表示装置の隔壁の構造を示す平面図である。 【図3A】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その1)である。 【図3B】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その2)である。 【図3C】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その3)である。 【図3D】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その4)である。 【図3E】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その5)である。 【図3F】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その6)である。 【図3G】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その7)である。 【図3H】図1の有機EL表示装置の製造方法を示す図(その8)である。 【図4】図1の有機EL表示装置の変形例を示す図である。 【符号の説明】 【0078】 100 有機EL表示装置 101 基板 102 絶縁層 102A 制御素子 102B 接続線 201,205 電極 202 絶縁層 203 隔壁 204 有機発光層 206 保護層
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004352 【氏名又は名称】日本放送協会
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| 【出願日】 |
平成18年6月20日(2006.6.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070150 【弁理士】 【氏名又は名称】伊東 忠彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−4290(P2008−4290A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月10日(2008.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2006−170210(P2006−170210) |
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