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【発明の名称】 音響再生装置及びその制御方法
【発明者】 【氏名】船越 正伸

【要約】 【課題】コンテンツを再生しながら、厳密な音場補正を行うことができる音響再生装置及びその制御方法を提供する。

【構成】複数のスピーカを接続して音響を再生する音響再生装置において、複数のスピーカの各々から発音させた可聴音をマイクロフォンで検出することにより、各スピーカとマイクロフォンとの距離が測定される。また、複数のスピーカの各々とマイクロフォンとの距離が、可聴音以外の信号を用いて測定される。これら2通りの測定による測定結果に基づいて、可聴音以外の信号を用いた測定で得られる距離を可聴音を用いた測定で得られる距離に変換するための補正値が各スピーカ毎に算出され、記憶される。こうして補正値が記憶された後、可聴音以外の信号を用いて新たに測定された距離を、記憶された補正値により補正し、この補正された距離が各スピーカへの音響信号の調整に利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカを接続して音響を再生する音響再生装置であって、
前記複数のスピーカの各々から発音させた可聴音をマイクロフォンで検出することにより、各スピーカと前記マイクロフォンとの距離を測定する第1測定手段と、
前記複数のスピーカの各々と前記マイクロフォンとの距離を、可聴音以外の信号を用いて測定する第2測定手段と、
前記第1測定手段と前記第2測定手段による測定結果に基づいて、前記第2測定手段で得られる距離を前記第1測定手段で測定した場合の距離に変換するための補正値を各スピーカ毎に算出して記憶する算出手段と、
前記算出手段により補正値を記憶した後、前記第2測定手段により新たに測定された距離を前記補正値により補正し、補正された距離に基づいて各スピーカへの音響信号を調整する調整手段とを備えることを特徴とする音響再生装置。
【請求項2】
前記第2測定手段は、
特定の位置に配置された少なくとも3つの受信器と、
前記複数のスピーカと前記マイクロフォンの各々に設けられた送信器とを備え、
前記送信器より送信された可聴音以外の信号を前記受信器により受信したタイミングに基づいて前記複数のスピーカの各々と前記マイクロフォンとの相対位置を算出し、算出された相対位置に基づいて各スピーカと前記マイクロフォンとの距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項3】
前記受信器は、映像を表示するディスプレイの四隅に配置されることを特徴とする請求項2に記載の音響再生装置。
【請求項4】
前記第2測定手段にける可聴音以外の信号は、超音波もしくは赤外線のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の音響再生装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記補正された距離に基づいて、各スピーカから発音される音響信号の遅延補正及び/又は出力音圧レベル補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項6】
前記第2測定手段と前記調整手段は、音響再生動作中においても動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の音響再生装置。
【請求項7】
複数のスピーカを接続して音響を再生する音響再生装置の制御方法であって、
前記複数のスピーカの各々から発音させた可聴音をマイクロフォンで検出することにより、各スピーカと前記マイクロフォンとの距離を測定する第1測定処理を実行する第1測定工程と、
前記複数のスピーカの各々と前記マイクロフォンとの距離を、可聴音以外の信号を用いて測定する第2測定処理を実行する第2測定工程と、
前記第1測定工程と前記第2測定工程による測定結果に基づいて、前記第2測定処理を実行して得られる距離を、前記可聴音を用いて測定した場合の距離に変換するための補正値を各スピーカ毎に算出して記憶する算出工程と、
前記算出工程により補正値を記憶した後、前記第2測定処理を実行して新たに測定した距離を前記補正値により補正し、補正された距離に基づいて各スピーカへの音響信号を調整する調整工程とを備えることを特徴とする音響再生装置の制御方法。
【請求項8】
前記第2測定工程では、
前記複数のスピーカと前記マイクロフォンの各々に設けられた送信器より可聴音以外の信号を送信し、
該送信された信号を特定の位置に配置された少なくとも3つの受信器により受信し、
前記少なくとも3つの受信器のそれぞれにより信号を受信したタイミングに基づいて前記複数のスピーカの各々と前記マイクロフォンとの相対位置を算出し、
算出された相対位置に基づいて各スピーカと前記マイクロフォンとの距離を測定することを特徴とする請求項7に記載の音響再生装置の制御方法。
【請求項9】
前記受信器が、映像を表示するディスプレイの四隅に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の音響再生装置の制御方法。
【請求項10】
前記第2測定工程にける可聴音以外の信号は、超音波もしくは赤外線のいずれかであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の音響再生装置の制御方法。
【請求項11】
前記調整工程は、前記補正された距離に基づいて、各スピーカから発音される音響信号の遅延補正及び/又は出力音圧レベル補正を行うことを特徴とする請求項7に記載の音響再生装置の制御方法。
【請求項12】
前記第2測定工程と前記調整工程は、音響再生動作中においても動作可能であることを特徴とする請求項7に記載の音響再生装置の制御方法。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれかに記載の音響再生装置の制御方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の制御プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂ホームシアター装置のようなマルチチャンネル音響コンテンツのための音響再生装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVDやデジタル放送などの、マルチチャンネル音響が伴うデジタル映像コンテンツが普及している。そして、このようなデジタル映像コンテンツの普及により、家庭内で高精細な映像とともにサラウンド音響を再生することができる再生装置も普及してきている。サラウンド音響を再生する装置としては、2チャンネルのステレオ音響再生装置と同様な2本のスピーカのみで仮想サラウンド再生を行うものも存在する。しかしながら、通常は、例えば5.1ch〜7.1chの音声チャンネルを個別に再生するために、低域再生用のサブウーファを含めて6本から8本程度のスピーカを備えている。
【0003】
様々な家庭内の聴取環境において、このような音響再生装置によってデジタルメディアに付随する高音質なサラウンド音響を忠実に再生するためには、複数スピーカの配置や音量バランスを含めた微調整が必要となる。しかしながら、このような微調整を一般的なユーザが手動で行うことは極めて困難であり、スピーカの数が増えるほど困難な作業となる。以上のような課題に対して、聴取点において最適な音場再生が行われるように、自動的に音場補正を行う機能が備わっている音響再生装置が提案されている。一般的な音場補正においては、以下のような補正が行われる。
・同時に再生するべき各チャンネルの音響信号が聴取点に到達する時間を一致させるように補正する遅延補正。
・各スピーカが出力する音響信号の聴取点における音圧レベルを一致させる音圧レベル補正。
・音響再生装置が設置される部屋そのものの特性や状態、また、各スピーカの設置状況等によって影響される周波数特性の変化を補正する周波数特性補正。
【0004】
上記の補正の中でも特に遅延補正は重要である。聴取点での到達時間や位相のずれが生じると、再生音場において音源の定位ずれやエコーなどが生じてしまい、聴感上好ましくない結果となってしまうからである。
【特許文献1】特開2005−236502号公報
【特許文献2】特開平6−233397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題を解決するために、従来技術では、聴取点に測定用のマイクロフォンを設置して、各スピーカからテスト信号を発音することによって各スピーカからの音響信号の遅延時間を計ることにより、遅延時間の補正を行う手法が存在する。
【0006】
特許文献1で開示されている音響再生装置は、トリガ信号と同時に測定対象のスピーカからテスト音響信号を発音させ、聴取位置に設置した複数のマイクロフォンで収音し、収音された複数の信号の遅延時間を測定する。そして、各スピーカの位置を検知し、検知された位置に基づいて音場補正を行う。しかしながら、このような可聴域の音響信号を用いた位置測定を行うためには、測定可能な音圧レベルで実際の音を測定対象スピーカから発音する必要がある。そのため、測定中は無機質な音響信号を発生させることになり、ユーザにうるさく感じられてしまう。また、コンテンツ再生中に位置測定が行えないため、コンテンツ再生中に試聴位置が変わった場合には、正しい音響再生が行えないという課題がある。
【0007】
そこで、その他の従来技術では、超音波や赤外線等の、音響信号以外の検知手段を用いて聴取点とスピーカ間の距離を測定し、それに基づいて遅延補正を行う手法が提案されている。
【0008】
特許文献2では、各スピーカに超音波発信器を付加し、操作指示用のリモコンに超音波受信用のマイクロフォンを付加し、各スピーカの超音波発信器から発信された超音波をリモコンに設けられたマイクロフォンで受信する。そして、超音波受信の遅延時間を測定することによって各スピーカから聴取位置までの距離を測定し、音場補正を行う。この場合は、可聴域の音響信号を発音する必要がないため、コンテンツを再生しながら音場補正を行うことが可能である。また、人には聴こえない超音波を計測手段として用いるので、計測中にユーザに苦痛を強いることもない。
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示されている技術では、超音波発信器とウーファーやツィータなど音を出力する部分との位置が異なるため、音響信号の遅延時間が超音波では正確には測定できない。また、超音波による計測では、発音するスピーカ自体が原因となる遅延を測定できないため、スピーカによる遅延を含めた遅延補正は不可能である。そのために、厳密な音場補正を行えないという課題が生じていた。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、コンテンツを再生しながら、厳密な音場補正を行うことができる音響再生装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による音響再生装置は以下の構成を備える。即ち、
複数のスピーカを接続して音響を再生する音響再生装置であって、
前記複数のスピーカの各々から発音させた可聴音をマイクロフォンで検出することにより、各スピーカと前記マイクロフォンとの距離を測定する第1測定手段と、
前記複数のスピーカの各々と前記マイクロフォンとの距離を、可聴音以外の信号を用いて測定する第2測定手段と、
前記第1測定手段と前記第2測定手段による測定結果に基づいて、前記第2測定手段で得られる距離を前記第1測定手段で測定した場合の距離に変換するための補正値を各スピーカ毎に算出して記憶する算出手段と、
前記算出手段により補正値を記憶した後、前記第2測定手段により新たに測定された距離を前記補正値により補正し、補正された距離に基づいて各スピーカへの音響信号を調整する調整手段とを備える。
【0012】
また、上記の目的を達成するための本発明の他の態様による音響再生装置の制御方法は、
複数のスピーカを接続して音響を再生する音響再生装置の制御方法であって、
前記複数のスピーカの各々から発音させた可聴音をマイクロフォンで検出することにより、各スピーカと前記マイクロフォンとの距離を測定する第1測定処理を実行する第1測定工程と、
前記複数のスピーカの各々と前記マイクロフォンとの距離を、可聴音以外の信号を用いて測定する第2測定処理を実行する第2測定工程と、
前記第1測定工程と前記第2測定工程による測定結果に基づいて、前記第2測定処理を実行して得られる距離を、前記可聴音を用いて測定した場合の距離に変換するための補正値を各スピーカ毎に算出して記憶する算出工程と、
前記算出工程により補正値を記憶した後、前記第2測定処理を実行して新たに測定した距離を前記補正値により補正し、補正された距離に基づいて各スピーカへの音響信号を調整する調整工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンテンツを再生しながら、厳密な音場補正を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における音響再生装置の一構成例を示す図である。なお、図1において各構成要素の接続線は図面を簡単化するために明示していないが、各構成要素は適宜有線もしくは無線で接続されているものとする。尚、各構成要素の接続関係は適宜後述する。また、第1実施形態においては、5.1ch音響を再生する構成を示すが、この構成に後部スピーカなどを加えた6.1ch、7.1ch、9.1ch音響等を再生する構成にも本発明は同様に実施することができる。
【0016】
図1の構成において、1はディスプレイであり、音響コントローラ3から送信される映像やガイダンス用のGUIを適宜表示する。尚、音響コントローラ3は音響再生装置としての機能の他、テレビチューナやDVDプレーヤとしての機能を有するものとする。2は超音波受信器であり、ディスプレイ1の四隅の各々に設置されている。超音波受信器2は、超音波発信器5から送出される超音波を受信して、電気信号に変換し、音響コントローラ3に送信する。3は音響コントローラであり、図1の全ての構成要素と接続されている。音響コントローラ3は、各構成要素に適宜制御信号を送信し、超音波受信器2やマイクロフォン7からの電気信号を適宜解析して各構成要素の座標を算出する。本例では、スピーカ6やサブウーファ4、マイクロフォン7の座標を算出する。そして、これらの算出結果に基づいて、音響コントローラ3は音場補正等の処理を行い、音響信号を各スピーカ6やサブウーファ5に適宜出力する。
【0017】
4はサブウーファであり、音響コントローラ3から送信される低域音響信号を音に変換して出力する。5は超音波発信器であり、音響コントローラ3から送信される制御信号に応じて超音波を発信する。6はスピーカであり、各々に割り当てられた音響信号チャンネルに従って、音響コントローラ3から送信される音響信号を音に変換して出力する。7はマイクロフォンであり、聴取位置に設置され、聴取位置における音響信号を電気信号に変換して音響コントローラ3へ出力する。尚、本明細書において、「音響再生装置内の全てのスピーカ」或いは単に「全てのスピーカ」といった場合は、スピーカ6の全てとサブウーファ4が含まれるものとする。
【0018】
図2は、図1に示した音響コントローラ3の構成を説明するブロック図である。図2の構成には、ディスプレイ1、超音波受信器2、音響コントローラ3(点線で囲まれた部分)、サブウーファ4、超音波発信器5、スピーカ6、マイクロフォン7が含まれており、これらの各構成は上述したとおりである。
【0019】
11はDSP(Digital Signal Processor)であり、圧縮もしくは非圧縮のマルチチャンネルオーディオ入力信号を受け取って、適宜デコード、チャンネル分離処理を行う。そして、適宜イコライジングや残響音の付加、ホール音響処理などの各種音響処理を行った後、音響信号をC,L,R,SL,SR,LFEの各音響チャンネル別に出力する。12はシステム制御器であり、入力されたユーザコマンドに従って、音響コントローラ3の内部にある構成要素全体を適宜制御して、各種処理を実行する。なお、図2において、システム制御器12と音響コントローラ3内部の構成要素間に存在する制御線は図面の簡単化のために省略されているが、システム制御器12は音響コントローラ3内部の全ての構成要素とバス等の制御線によって接続されている。
【0020】
13はトリガ発信器であり、超音波発信器2に超音波の発信や停止を指示するトリガ信号を送信する。尚、トリガ発信器13は、複数の超音波発信器2から一つを選択して駆動させることができる。このような選択的な駆動は、トリガ発信器13から各超音波発信器に信号線が別々に接続された形態や、超音波発信器を選択するための選択信号線とトリガ信号を伝送するためのトリガ信号線を有する形態等により実現できる。14は遅延器であり、入力された音響信号を設定された時間分遅らせて出力する。15は音圧レベル補正器であり、入力された音響信号の音圧レベルを設定された制御量に従って変化させて出力する。16はアンプであり、入力された音響信号を適宜増幅して接続されているスピーカ6やサブウーファ4に出力する。
【0021】
17は遅延補正値算出器であり、距離補正値算出器20が出力する聴取距離に基づいて各チャンネルの遅延補正値を算出し、制御信号として遅延器14へ出力する。18は音圧補正値算出器であり、距離補正値算出器20が出力する聴取距離に基づいて各チャンネルの音圧補正値を算出し、制御信号として音圧レベル補正器15へ出力する。19はテスト信号発生器であり、テスト用の可聴域の音響信号を発生させてアンプ16に出力する。また、音響信号を出力すると同時にトリガ信号を信号解析器24に送信する。
【0022】
20は距離補正値算出器であり、超音波距離算出器21が出力する超音波による聴取距離の測定値と、可聴音距離算出器23が出力する可聴音による聴取距離の測定値との差分を計算し、これを距離補正値として保持する。21は超音波距離算出器であり、座標算出器22から送信される座標から聴取位置と各スピーカとの距離を算出する。22は座標算出器であり、超音波受信器2によって送信される信号を解析し、トリガ発信器13から送信されるトリガ信号と各超音波受信器2が超音波を検出するまでの遅延時間を測定することにより、スピーカやマイクロフォンの相対座標を算出する。尚、厳密には、座標算出器22で算出される座標は各超音波発信器2の座標であり、超音波距離算出器21で算出される距離は、各スピーカに付加された超音波発信器2とマイクロフォン7に付加された超音波発信器2との距離である。
【0023】
23は可聴音距離算出器であり、信号解析器24から送信される遅延時間から可聴音に基づいて聴取距離を算出する。24は信号解析器であり、ADコンバータ25から送信されるデジタル音響信号を解析し、テスト信号発生器19から送信されるトリガ信号から音響がマイクロフォン7によって検知されるまでの遅延時間を算出する。25はADコンバータであり、マイクロフォン7から送信されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0024】
上記構成による音響再生装置における各種処理動作を、フローチャートを用いて以下に説明する。尚、第1実施形態において可聴音信号以外を用いた距離測定手段として超音波を利用しているが、赤外線や光などのその他の手段を用いても同様に実施することができる。また、図3〜図10のフローチャートにより示される処理は、制御器12、DSP11、17〜25で示される各部との協働により実現されるものである。
【0025】
図3は、第1実施形態の音響再生装置の動作全体を示すフローチャートである。第1実施形態における音響再生装置は電源をONにすることによって処理動作を開始する。
【0026】
まず、ステップS1では、全ての処理に先立ち、音響コントローラ3(システム制御器12)によって各部の初期化が行なわれる。この初期化によって、音響コントローラ3に接続されているスピーカ6、サブウーファ4、超音波発信器2、超音波受信器2、マイクロフォン7の検知が行われ、接続されているこれらの構成要素情報がシステム制御器12中のメモリに記録される。このとき、超音波発信器2とスピーカ6などの構成要素の組み合わせも同時に検知され、この情報もシステム制御器12内のメモリに記録される。このような接続検知機能は当分野において公知であるため、詳細な説明は行わない。
【0027】
次に、ステップS2において、システム制御器12は、ユーザ操作により入力されたユーザコマンドを受け付ける。この処理で受け付けたユーザコマンドはシステム制御器12内のメモリに一時的に記憶される。ステップS3において、システム制御器12は、ステップS2で受け付けたユーザコマンドが電源OFFを指示するかどうかを判定する。ユーザコマンドが電源OFFを指示すると判定された場合はステップS8へ進む。それ以外のコマンドであると判定された場合はステップS4へ進む。
【0028】
ユーザコマンドが電源OFF以外であった場合、ステップS4において、システム制御器12は、更にステップS2で受け付けたユーザコマンドが「音場補正」「再生」「その他」のいずれであるかを判定する。ユーザコマンドが音場補正であると判定された場合は、ステップS5へ進む。ユーザコマンドが再生であると判定された場合はステップS6へ進む。ユーザコマンドが音場補正でも再生でもない場合は、「その他」のコマンドであるとしてステップS7へ進む。
【0029】
ステップS5において、システム制御器12は、第1実施形態における音場補正動作を実行する。この音場補正の処理の詳細は図4を用いて後述する。尚、ステップS5では、音場補正に関わる一連の処理動作の起動を行い、起動を終えると、処理はステップS2へ戻る。ステップS6では、システム制御器12が、第1実施形態における再生動作を実行する。この再生動作の処理の詳細は図10を用いて後述する。尚、ステップS6も、再生動作の一連の処理動作の起動を行うものであり、起動を終えると、処理はステップS2へ戻る。ステップS7は、イコライジングや音響ホールシミュレーションの設定などを指示するその他のコマンドに対する動作の処理である。これらの処理は当技術分野において一般的であり、公知であるので詳細は記述しない。尚、ステップS7においても、必要な一連の処理動作の起動が行われ、起動を終えると、処理はステップS2へ戻る。
【0030】
ステップS8において、システム制御器12は、第1実施形態の音響再生装置の電源を切るために、その時点で実行中の処理の中断を行い、再起動後にも利用する距離補正値などの情報を不揮発性のメモリに格納する。ステップS8の処理を終えると、システム制御器12は音響再生装置の電源をOFFする。
【0031】
以上説明したように、第1実施形態における音響再生装置は、ユーザコマンドに依存して、音場補正処理(ステップS5)と、再生処理(ステップS6)と、その他の処理(ステップS7)を同時に(並列的に)実行することが可能である。
【0032】
図4は、第1実施形態の音響再生装置におけるS5の音場補正動作を説明するフローチャートである。
【0033】
ユーザコマンドによって音場補正の指示がシステム制御器12に送信されると、システム制御器12は第1実施形態における各構成要素を制御して、以下の処理動作を行う。音場補正処理は、例えば、リモコン(不図示)からの音場補正を指示する操作入力に応じて実行される。尚、音場補正処理の実行中に音場補正の指示が入力された場合、その指示入力は無視される。或いは、所定の時間間隔で、自動的に音場補正処理が実行されるようにしてもよい。
【0034】
まず、ステップS11において、超音波距離算出器21は、超音波によって各スピーカ6と聴取位置間の距離を測定する。このステップS11の処理の詳細は図5を用いて後述する。次に、ステップS12において、システム制御器12は、現在処理中の音場補正処理が最初の音場補正処理であるかどうかを判定する。最初の音場補正処理であると判定された場合はステップS13へ進む。また、2回目以降の音場補正処理であると判定された場合はステップS15へ進む。尚、最初の音場補正処理であるか否かは、工場出荷時或いは補正値のリセット操作時においてリセットされ、後述の距離補正値算出処理(S14)においてセットされるフラグを参照することで判定することができる。
【0035】
ステップS13において、システム制御器12は、テスト信号発生器19が発生したテスト音響信号を各スピーカから出力させる。可聴音距離算出器23は、聴取位置に設置されたマイクロフォン7によって収音され、ADコンバータ25によりデジタルに変換された信号を解析して、各スピーカ(スピーカ6、サブウーファ4)と聴取位置(マイクロフォン7)間の距離を測定する。この処理の詳細は図6を用いて後述する。次に、ステップS14において、距離補正値算出器20は、超音波を用いて測定した距離を補正するための距離補正値を各スピーカについて算出する。この処理の詳細は図7を用いて後述する。
【0036】
一方、ステップS12において2回目以降の補正処理であると判定された場合、ステップS15において、システム制御器12は、超音波による測定距離と距離補正値から各スピーカ6と聴取位置との間の距離を算出する。この処理の詳細は図8を用いて後述する。
【0037】
ステップS16において、システム制御器12は、各スピーカと聴取位置との間の距離によって、各スピーカに出力する信号の遅延補正値と音圧レベル補正値を算出し、これらを遅延器14及び音圧レベル補正器15に適用する。この処理の詳細は図9を用いて後述する。こうして、音場補正処理を終了する。
【0038】
以上説明したように、第1実施形態の構成における音場補正処理では、最初の音場補正処理においてのみ可聴音による距離測定を行い、2度目以降の音場補正処理では、テスト用の音響信号をスピーカから発音する必要がない。そのため、最初の音場補正動作を除けば、通常の音響再生動作を行いながら同時に動作させることができる。
【0039】
図5は、第1実施形態の音響再生装置における超音波による距離算出処理(ステップS11)を示すフローチャートである。
【0040】
ステップS21において、システム制御器12は、自身のメモリ中に記録されている構成要素情報が示す全ての構成要素(本例では全てのスピーカ及びマイクロフォン)に対して位置計測が終了したかどうかを判定する。この判定の結果、位置計測が終了していない構成要素がある場合はステップS22へ進む。全ての構成要素の位置計測が終了した場合は、ステップS28へ進む。
【0041】
ステップS22において、システム制御器12は、メモリ中に記録されている構成要素の情報から、まだ位置計測が終了していない構成要素のうちの一つを選択する。次に、ステップS23において、システム制御器12は、ステップS22で選択した構成要素に付随する超音波発信器2にトリガ発信器13からトリガ信号を送信することにより、該当する超音波発信器2に超音波パルス信号を発信させる。発信された超音波パルス信号は、4個の超音波受信器2により受信される。このとき、トリガ発信器13から座標算出器22にも同時にトリガ信号が送信される。
【0042】
ステップS24において、座標算出器22は、ステップS23で受信した4つの超音波信号を解析することによって、トリガ発信器13から送信されたトリガ信号に対する遅延時間を4つの受信信号の各々に対して決定する。ステップS25において、座標算出器22は、ステップS24で決定した4つの遅延時間のうち、遅延時間が短い方から3つを選択する。このとき、選択された3つの遅延時間に対応する3つの超音波受信器2の配置位置(ディスプレイの右上隅など)も遅延時間とともに選択される。ステップS26において、座標算出器22は、ステップS25で選択した3つの遅延時間に基づいて、選択された遅延時間を持つ信号を受信した超音波受信器2と距離計測対象となっている超音波発信器5との距離を音速から算出する。ステップS27において、座標算出器22は、ステップS26で求めた3つの距離と、各受信器間の距離に基づいて、この時点で計測対象となっている超音波発信器5の3次元座標を算出する。
【0043】
例えば、図27に示すように、第1実施形態における3次元座標軸の原点をディスプレイ1の表示面の中央とし、表示面をXY平面とし、左から右にX軸、下から上にY軸、表示面と垂直に奥から表示方向にZ軸をとる。ディスプレイ1の横と縦のサイズはL1、L2であり、ディスプレイ1の右下方に配置された超音波発信器5と、左下隅、右下隅、右上隅の超音波受信器2との距離を各々l1、l2、l3とする。超音波発信器5の座標を(x, y, z)とすると、三平方の定理より次の数式が成り立つ。
【0044】
【数1】


【0045】
これらの数式を連立方程式として整理すると、以下のように座標(x, y, z)の各要素が求められる。
【0046】
【数2】


【0047】
このようにして算出された各構成要素(スピーカ6、サブウーファ4、マイクロフォン7)座標は、システム制御器12に登録されている構成要素の情報に従って、座標算出器22の内部に記録される。なお、第1実施形態において、各受信器間の距離、すなわち、ディスプレイ2の縦横のサイズは、予め座標算出器22の内部に登録されている。
【0048】
以上のようにして、全ての構成要素について位置の計測を完了すると、処理はステップS21からステップS28に進む。ステップS28において、超音波距離算出器21は、座標算出器22に記録された各構成要素の座標に基づいて、各スピーカとマイクロフォン7との距離を算出し、算出された距離(超音波による測定距離)を内部のメモリに記録する。ここで、マイクロフォン7は聴取位置に配置されており、上記処理により、聴取位置と各スピーカとの超音波による測定距離が算出され、記録されることになる。
【0049】
図6は、第1実施形態の音響再生装置における可聴音を用いた距離算出処理(ステップS13)を詳細に説明するフローチャートである。
【0050】
可聴音を用いた距離算出を行うために、音響再生中であればその動作を停止する必要がある。そこで、ステップS31において、システム制御器12は、再生処理を停止する制御信号を音響コントローラ3内部の各要素に発信することにより、音響再生処理を停止する。次に、ステップS32において、システム制御器12は、システム制御器12中の構成要素情報に登録されている全てのスピーカ(サブウーファ4とスピーカ6)に対して、可聴音による距離測定が終了したかどうかを判定する。距離測定をまだ行っていないスピーカがあると判定された場合は、ステップS33へ進む。また、全てのスピーカに対して可聴音による距離測定を終了したと判定された場合は、可聴音による距離測定処理を終了する。
【0051】
ステップS33において、システム制御器12は、メモリに記録されている構成要素の情報から、次の計測対象となるスピーカを選択する。そして、ステップS34において、システム制御器12は、ステップS33で選択されたスピーカに接続されているアンプ16に対して、テスト信号発生器19で発生させた可聴パルス信号を出力する。このとき同時にテスト信号発生器19はトリガ信号を信号解析器24に出力する。アンプ16は可聴パルス信号を増幅して選択されたスピーカに出力し、スピーカによって可聴パルス信号が音に変換されて出力される。試聴位置に設置されたマイクロフォン7はこの音を受音し、電気信号(アナログ音響信号)に変換してADコンバータ25に出力する。ADコンバータ25は受信したアナログ音響信号をデジタル音響信号に変換して信号解析器24に送出する。信号解析器24はトリガ信号を受信した時間を基準にして時間計測を開始する。
【0052】
ステップS35において、信号解析器24は、受信したデジタル音響信号を解析し、反射の影響を排除してピーク検出を行い、テスト信号発生器19からトリガ信号が送信されてきた時間からの遅延時間を決定し、可聴音距離算出器23へ出力する。ステップS36において、可聴音距離算出器23は、ステップS35で得られた遅延時間と音速に基づいて、選択されたスピーカとマイクロフォン7との間の距離を算出する。ステップS37において、可聴音距離算出器23は、ステップS36で算出した距離を距離補正値算出器20に出力する。距離補正値算出器20は、受信した距離を可聴音による測定距離として内部メモリに記録する。
【0053】
以上のように、システム制御器12は、音響再生装置内の全てのスピーカに対して繰り返し計測を行うように各部を制御し、全てのスピーカの各々に関して聴取位置(マイクロフォン7の位置)からの距離を求め、距離補正算出器20の内部メモリに格納する。
【0054】
図7は、第1実施形態の音響再生装置における距離補正値算出処理(ステップS14)を説明するフローチャートである。
【0055】
ステップS41において、システム制御器12は、システム制御器12中の構成要素情報に登録されている全てのスピーカに対して、距離補正値を算出したかどうかを判定する。距離補正値を算出していないスピーカがあると判定された場合は、ステップS42へ進む。一方、全てのスピーカの距離補正値が算出されていると判定された場合は、距離補正値算出処理を終了する。
【0056】
ステップS42において、システム制御器12は、次の距離補正値を算出すべきスピーカを選択する。ステップS43において、距離補正値算出器20は、ステップS42で選択されたスピーカに対して、ステップS37で距離補正値算出器20に保存された聴取位置までの距離(可聴音による測定結果)から、超音波距離算出器21に保存されている聴取位置までの距離(超音波による測定結果)を減算する。そして、この減算結果をそれぞれのスピーカの距離補正値として距離補正値算出器20の内部メモリに記録する。全てのスピーカについて上記ステップS42,S43が繰り返される。こうして、スピーカ毎に、超音波距離算出器21により得られる距離を可聴音を用いて測定した場合の距離に変換する補正値が保持されることになる。
【0057】
図8は、第1実施形態の音響再生装置における聴取距離算出処理(ステップS15)を説明するフローチャートである。
【0058】
ステップS51において、システム制御器12は、システム制御器12中の構成要素情報に登録されている全てのスピーカに対して、聴取距離を算出したかどうかを判定する。聴取距離を算出していないスピーカがあると判定された場合はステップS52へ進む。全てのスピーカの聴取距離が算出されていると判定された場合は、聴取距離算出処理を終了する。
【0059】
ステップS52において、システム制御器12は、次の聴取距離を算出するスピーカを選択する。ステップS53において、距離補正値算出器20は、ステップS52で選択されたスピーカに対応して超音波距離算出器21に保存されている超音波距離に、当該選択されたスピーカに関連して距離補正値算出器20に保存されている距離補正値を加算する。そして、この加算結果を、当該選択されたスピーカから聴取位置までの可聴音による測定距離として記録する。
【0060】
図9は、第1実施形態の音響再生装置における遅延、音圧レベル補正処理(ステップS16)を説明するフローチャートである。
【0061】
ステップS61において、システム制御器12は、システム制御器12中の構成要素情報に登録されている全てのスピーカに対して、遅延、音圧レベル補正値を設定したかどうかを判定する。遅延、音圧レベル補正値を設定していないスピーカがあると判定された場合は、ステップS62へ進む。一方、全てのスピーカの遅延、音圧レベル補正値が設定されたと判定された場合は、遅延、音圧レベル補正処理を終了する。
【0062】
ステップS62において、システム制御器12は、遅延、音圧レベル補正を行う次のスピーカを選択する。ステップS63において、システム制御器12は、距離補正値算出器20に保存されている各スピーカと聴取位置との距離をまとめて遅延補正値算出器17と音圧補正値算出器18に出力する。距離補正値算出器20から出力される距離は、ステップS14から当該処理が実行された場合は可聴音距離算出器23によりえられた可聴音による測定距離となる。一方、ステップS15から本処理が実行された場合は、超音波距離算出器21によって得られた超音波による測定距離を、上記距離補正値によって補正して得られた距離となる。
【0063】
ステップS64において、遅延補正値算出器17は、距離補正値算出器20から送信された各スピーカと聴取位置との距離に基づいて、選択されたスピーカに対応する音響信号チャンネルの遅延量を算出し、各チャンネルの遅延制御を行う遅延器14に各々送信する。第1実施形態において、この計算は、例えば、最も聴取位置からの距離が長いスピーカの距離を基準とし、この距離と選択されたスピーカと聴取位置の距離との差分を取り、その差分分の遅延量を音速によって求める。即ち、基準となる距離がa(cm)、遅延補正対象のスピーカの距離がb(cm)であって、常温における音速を340(m/sec)とすると、遅延量t(sec)は次式によって求められる。
【0064】
【数3】


【0065】
ステップS65において、遅延補正値算出器17は、ステップS64において算出した遅延量を対応する遅延器14の内部メモリに保存する。
【0066】
次に、ステップS66において、音圧補正値算出器18は、距離補正値算出器20から送信された各スピーカの距離に基づいて、選択されたスピーカに対応する音響信号チャンネルの音圧レベル補正値を算出する。そして、当該チャンネルの音圧レベル制御を行う音圧レベル補正器15に送信する。第1実施形態において、この計算は、例えば、最も聴取位置からの距離が短いスピーカの距離を基準とし、この距離に対する各スピーカと聴取位置間の距離の比率によって音圧レベルの補正値(増幅量)を求める。即ち、基準となる距離をa(cm)、音圧レベル補正値を求める音響チャンネルを再生するスピーカの聴取位置からの距離をb(cm)とすると、音圧レベル補正値P(dB)は例えば次式によって求められる。
【0067】
【数4】


【0068】
次に、ステップS67において、音圧補正算出器18は、ステップS66で算出した音圧レベル補正値を対応する音圧レベル補正器15の内部メモリに保存する。
【0069】
図10は、第1実施形態の音響再生装置における再生処理(ステップS6)を説明するフローチャートである。
【0070】
ステップS71において、システム制御器12は、DSP11に入力されるオーディオ信号が終了しているかどうかを判定する。入力オーディオ信号が終了していない場合は、ステップS72へ進む。一方、入力オーディオ信号が終了している場合は、当該再生処理を終了する。
【0071】
ステップS72において、DSP11は、入力された非圧縮、もしくは圧縮されたマルチチャンネルオーディオ入力信号を必要に応じてデコードし、各音響チャンネル信号に分離する。なお、再生する音響データが非圧縮のPCMフォーマット等の場合、この処理を行う必要はない。次に、ステップS73において、DSP11は、ステップS72で分離した各音響チャンネル信号に対して、イコライジングやホールシミュレーション等の、いわゆる音響処理を施す。このような音響処理は、この種の音響再生装置において一般的であるため、詳細な説明を省略する。
【0072】
次に、ステップS74において、DSP11は、ステップS72で分離した音響チャンネルフォーマットに対してチャンネル処理を施す。即ち、音響チャンネルフォーマットに対して、システム制御器12の構成要素情報に登録されているスピーカの構成に応じたチャンネルアップ、ミックス処理を必要に応じて行う。その後、チャンネル処理が施された各チャンネル信号を、各々のチャンネルの遅延器14へ送出する。このような処理はこの種の音響再生装置において一般的であるため、詳細な説明を省略する。
【0073】
ステップS75において、各チャンネルの遅延器14は、受信したモノラル音響信号にメモリ中に保存した遅延量の遅延処理を施した後、遅延されたモノラル音響信号を音圧レベル補正器15に送出する。この処理により、各チャンネルの音響信号を再生するスピーカと聴取位置間の距離に応じた遅延制御が行われ、聴取位置における音場の遅延補正が行われることになる。
【0074】
ステップ76において、各チャンネルの音圧レベル補正器15は、受信したモノラル音響信号に、メモリ中に保存してある減衰量の音圧レベル補正処理を施し、補正されたモノラル音響信号をアンプ16に送出する。この処理により、各チャンネルの音響信号を再生するスピーカと聴取位置間の距離に応じた音圧レベル制御が行われ、聴取位置における音場の音圧レベル補正が行われることになる。
【0075】
ステップS77において、各チャンネルのアンプ16は、受信したモノラル音響信号を一定の増幅率で増幅し、各チャンネルの再生を受け持つ各スピーカに送信する。なお、全ての音響チャンネルで同じ増幅率で増幅することは言うまでもない。サブウーファ4と各スピーカ6は、受信した電気音響信号を音に変換して出力する。処理を終えると、ステップS71へ戻る。
【0076】
以上の処理により、第1実施形態の構成による音響再生装置において、各スピーカと聴取位置間の距離に応じて厳密な音場補正が行われたマルチチャンネル音響が再生される。
【0077】
以上説明したように、第1実施形態における音響再生装置は、初期設定時に音響信号によって各スピーカと聴取位置間の距離測定を行い、超音波を用いて測定した各スピーカと聴取位置間の距離との差分を計算して各々補正値として記録しておく。これにより、初期設定以降は音響信号以外の信号による測定値に補正値を加算することによって、可聴音を発音せずに各スピーカと聴取位置との間の厳密な距離を得ることができる。さらに、第1実施形態の音響再生装置は、1回目の音場補正を除き、スピーカからテスト信号を発音することなく、厳密な音場補正を行うことができる。また、通常の音響再生中においても同時に音場補正を行うことが可能になる。
【0078】
尚、第1実施形態の構成において、音響コントローラとディスプレイは別の筐体として実施しているが、音響コントローラをディスプレイの内部構成要素として実施することもできる。
【0079】
<第2実施形態>
本発明は汎用的なコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ(以下、PC))上で動作するソフトウェアプログラムとして実施することも可能である。第2実施形態では、PCによって音場補正を実現する構成を説明する。
【0080】
図11は第2実施形態による音響再生装置の構成例を示す図である。図11に示される構成において、100はCPUであり、音響処理のための演算、論理判断等を行ない、バス102を介して、バス102に接続された各構成要素を制御する。101はメモリであり、CPU100によって実行される基本I/Oプログラムや、CPU100により添付のフローチャートを参照して後述される各種処理を実現するためのプログラムコード、プログラム実行時に必要なデータなどを格納する。102はバスであり、CPU100が制御対象とする構成要素を指示するためのアドレス信号や、CPU100が制御対象とする各構成要素のコントロール信号を転送する。また、各構成機器相互間のデータ転送もバス102を介して行われる。103は操作入力部であり、ユーザからの、装置の起動、各種設定や再生音響データの指定、音場補正等の指示を受け付ける。104は外部記憶装置であり、データやプログラム等を記憶する。データやプログラム等は必要に応じて保管され、また、保管されたデータやプログラムは必要に応じてメモリ101にロードされる。
【0081】
105はオーディオインタフェースであり、スピーカやマイクロフォンなどの音響入出力機器を接続し、音響信号の入出力を行う。また、第2実施形態において、各音響入出力機器に付加されている超音波発信器112に対して超音波発信を指示するトリガ信号の送信も行う。106はメディアドライブであり、記録媒体に記録されているプログラムやデータ、デジタル音響信号等を読み取り、読み取った情報を本音響再生装置にロードする。また、メディアドライブ106は、外部記憶部104に蓄えられた各種データや実行プログラムを、記録媒体に書き込むこともできる。107は超音波受信器用インタフェースであり、超音波受信器115を接続し、超音波受信器115で受信した超音波信号を入力する。
【0082】
108はディスプレイであり、再生時に映像を表示する。また、設定操作や音場補正を行う場合に、ユーザにガイダンス用のGUIを表示する。なお、第2実施形態におけるディスプレイの四隅には第1実施形態と同様に超音波受信器115が配置される。109は通信インタフェースであり、通信網に接続されている。第2実施形態による音響再生装置は、通信インタフェース109及び通信網を介して外部機器と通信し、データやプログラムを送受信することができる。110は通信網であり、LAN、公衆回線、無線回線、放送電波などで構成されている。
【0083】
111はスピーカであり、送信された音響信号を実際の音に変換して出力する。なお、第2実施形態におけるスピーカ111は全てパワーアンプ内蔵型のアクティブスピーカであるとする。112は超音波発信器であり、オーディオインタフェース105からトリガ信号を受信することにより超音波パルスを発信する。第2実施形態において、超音波発信器112はスピーカ111の各々とサブウーファ113及びマイクロフォン114に付加される。113はサブウーファであり、送信された低域音響信号を音に変換して出力する。114はマイクロフォンであり、収音した音を電気信号に変換して送信する。115は超音波受信器であり、受信した超音波を電気信号に変換して送信する。
【0084】
以上のような構成を有する第2実施形態の音響再生装置は、操作入力部103からの各種の入力に応じて作動する。操作入力部103から何らかの操作入力が供給されると、インタラプト信号がCPU100に送られる。これによりCPU100はメモリ101内に記憶してある各種の制御信号を読み出し、それらの制御信号に従って、各種の制御を実行する。
【0085】
本実施形態の装置は、基本I/Oプログラム、OS,および本音響処理プログラムをCPU100が実行することによって動作する。基本I/Oプログラムはメモリ101中に書き込まれており、OSは外部記憶装置104に書き込まれている。そして、本装置の電源がONにされると、基本I/Oプログラム中のIPL(イニシャルプログラムローディング)機能により外部記憶部104からOSがメモリ101に読み込まれ、OSの動作が開始される。尚、本音響処理プログラムは、図17に示される音響処理手順のフローチャートをCPU100により実行させるべくプログラムコード化されたものである。
【0086】
図12は、本音響処理プログラムおよび関連データを記録媒体に記録したときの内容構成を示す図である。第2実施形態において、音響処理プログラムおよび関連データは記録媒体に記録されている。図12に示したように、記録媒体の先頭領域には、この記録媒体のディレクトリ情報が記録されている。そして、ディレクトリ情報の後に、本音響処理プログラムや音響処理関連データ等のコンテンツがファイルとして記録されている。
【0087】
図13は本音響再生装置に、本音響処理プログラムを導入する様子を示す模式図である。記録媒体110に記録された音響処理プログラムおよび関連データは、図13に示したようにメディアドライブ106を通じて本装置にロードすることができる。即ち、記録媒体110をメディアドライブ106にセットすると、OS及び基本I/Oプログラムの制御のもとに本音響処理プログラムおよび関連データが記録媒体から読み出され、外部記憶部104に格納される。その後、再起動時にこれらの情報がメモリ101にロードされて動作可能となる。
【0088】
図14は、本音響処理プログラムがメモリ101にロードされ、PCにより実行可能となった状態のメモリマップを示す。このとき、メモリ101のワークエリアには、初期計測済みフラグ143、座標テーブル142、スピーカテーブル141が格納されている。これらのうち、初期計測済みフラグ143は本音響処理プログラムが最初に起動された時には0が設定され、後述する音場補正処理において、初期計測を終えた時点で1が設定される。そして、当該音響処理プログラムの終了時に、メモリ101上のスピーカテーブル141、座標テーブル142、初期計測済みフラグ143の値が外部記憶装置104のデータ領域に保存され、再起動時にこれら保存された値がメモリ101に読み出される。
【0089】
図15は、本音響処理プログラムにおける座標テーブル142の一構成例を示す図である。図15に示した構成において、座標テーブル142は、「構成要素」、「構成要素ID」、「位置変更フラグ」、「座標」のデータ項目を有する。「構成要素」は、第2実施形態の音響再生装置が有する構成要素のうち、超音波によって位置を測定する構成要素の名前である。ここにリストアップされている構成要素には超音波発信器が付加されている。また、「構成要素ID」は各構成要素を識別するための番号である。また、「位置変更フラグ」は、超音波による位置計測の結果、元の位置から移動しているかどうかを示すフラグである。本実施形態では、「位置変更フラグ」が0の場合は元の位置から移動していないことを示し、「位置変更フラグ」が1の場合は元の位置から移動していることを示す。図15に示された構成例では、マイクロフォンのみ元の位置から移動していることが示されている。また、「座標」は、超音波によって測定された距離に基づいて算出された相対座標を示している。
【0090】
図16は、第2実施形態の音響処理プログラムにおけるスピーカテーブル141のデータ構成例を示す図である。図16に示すように、スピーカテーブル141は、「スピーカ」、「構成要素ID」、「計算対象フラグ」、「超音波距離」、「可聴音距離」、「距離補正値」、「遅延補正値」、「音圧レベル補正値」のデータ項目を有する。「スピーカ」は第2実施形態における音響再生装置を構成するスピーカの名前である。また、「構成要素ID」は、構成要素を識別するための番号であり、座標テーブル142における「構成要素ID」と全く同じものである。また、「計算対象フラグ」は、遅延補正値や音圧レベル補正値を計算する必要があるかどうかを示すフラグである。第2実施形態では、「計算対象フラグ」が0の場合は計算の必要がないことを示し、「計算対象フラグ」が1の場合は計算の必要があることを示す。図16の例では、全てのスピーカに対して補正値の計算の必要があることが示されている。
【0091】
また、「超音波距離」は、各スピーカと聴取位置との間の距離を超音波計測によって求めた結果(距離)を格納する。「可聴音距離」は、各スピーカと聴取位置との間の距離を可聴音計測によって求めた結果(距離)を格納する。「距離補正値」は、超音波計測によって求めた距離を補正するための値を格納する。「遅延補正値」は、各スピーカと聴取位置との間の距離に基づいて遅延補正を行うための値を格納する。また、「音圧レベル補正値」は、各スピーカと聴取位置との間の距離に基づいて音圧レベル補正を行う値を格納する。以下、本実施形態においてCPU100で実行される音響処理を図17〜図26のフローに従って説明する。
【0092】
図17は、第2実施形態による音響処理を説明するフローチャートである。まず、ステップS101において、ユーザの操作入力部103に対する操作によって入力されるコマンドを受け付ける。そして、ステップS102において、CPU100は、ステップS101で入力されたユーザコマンドを判定する。この判定の結果、ユーザコマンドが音場補正の場合はステップS103へ処理が進む。また、ユーザコマンドが再生操作の場合はステップS104へ処理が進む。更に、ユーザコマンドが設定であった場合は、ステップS105へ処理が進む。
【0093】
ステップS103では、CPU100が各スピーカと聴取位置間の距離を測定し、その測定結果に基づいて音場補正を行う。この処理の詳細は図18を用いて後述する。尚、ステップS103では音場補正処理の起動のみを行い、処理の終了を待たずにステップS101へ処理が戻される。
【0094】
ステップS104では、CPU100が再生、早送り、巻き戻し、スロー再生等の再生操作処理を行う。この再生操作処理の詳細は図25を用いて後述する。尚、ステップS104では再生操作処理の起動のみを行い、当該処理の終了を待たずに、ステップS101へ処理が戻される。
【0095】
ステップS105では、CPU100が、再生モードの指定や、イコライジング指定等の処理を行う各種設定処理を行う。このような設定処理は当分野において一般的であり、公知であるため、詳細な説明はしない。尚、ステップS105では処理の起動のみを行い、当該処理の終了を待たずに、ステップS101へ処理が戻される。
【0096】
以上のように、第2実施形態における音響処理では、ステップS103、S104、S105の処理中においてもステップS101によるユーザコマンド入力処理を行うことができる。このため、ステップS103、S104、S105の各処理をユーザコマンド入力に依存して同時(並列的に)に実行、処理することが可能である。
【0097】
図18は、第2実施形態による音場補正処理(ステップS103)を示すフローチャートである。
【0098】
ステップS111において、CPU100は、超音波による測定を行い、メモリ101上の座標テーブル142に登録されている構成要素の位置座標を検出し、座標テーブル142の座標値を更新する。このとき、座標値が変化した構成要素の位置変更フラグが「1」に設定される。この処理の詳細は図19を用いて後述する。ステップS111の位置検出処理を終えると、処理はステップS112へ進む。ステップS112において、CPU100は、メモリ101上のワークエリアに格納されている初期計測済みフラグ143が1であるかどうかを確認する。初期計測済みフラグ143が0である場合は、ステップS113へ進み、初期計測済みフラグ143が1の場合は、ステップS118へ進む。
【0099】
ステップS113において、CPU100は、メモリ101上のスピーカテーブル141における全ての要素の計算対象フラグを1に設定する。この処理により、後続する処理において、全てのスピーカに対して音場補正が行われることになる。次に、ステップS114において、CPU100は、座標テーブル142に保存されている各構成要素の座標に基づいて、計算対象フラグが1に設定されている各スピーカと聴取位置(マイクロフォンの位置)との間の距離を算出する。この処理の詳細は図20を用いて後述する。尚、ステップS114では、全てのスピーカの計算対象フラグが1となっているので、全てのスピーカについて聴取位置との距離(超音波距離)が算出されることになる。
【0100】
次にステップS115において、CPU100は、テスト音響信号を各スピーカから出力することによって、各スピーカと聴取位置との間の距離を可聴音により計測する。この処理の詳細は図21を用いて後述する。そして、ステップS116において、CPU100は、スピーカテーブル141に格納すべき距離補正値を算出する。この処理の詳細は図22を用いて後述する。次に、ステップS117において、CPU100は、メモリ101上の初期計測済みフラグ143に1を設定し、ステップS120に処理を進める。
【0101】
一方、ステップS112において初期計測済みフラグ143が1であった場合、処理はステップS118へ進む。ステップS118においてCPU100は、座標テーブル142に保存されている位置変更フラグを参照して、スピーカテーブル141に保存されている計算対象フラグを設定する。より具体的に説明すると、まずスピーカテーブル141の計算対象フラグを全て0に設定する。そして、座標テーブル142においてマイクロフォンの位置変更フラグが1の場合は、スピーカテーブル141の全てのスピーカに対して計算対象フラグを1に設定する。聴取位置が変更したため、全てのスピーカと聴取位置との距離を計測しなおす必要があるからである。また、座標テーブル142において位置変更フラグが1となっているスピーカが存在する場合は、スピーカテーブル141において、当該スピーカに対応する計算対象フラグを1に設定する。即ち、スピーカテーブル141において、座標テーブル142で位置変更フラグが1のスピーカの構成要素IDと同一の構成要素IDの計算対象フラグを1に設定する。こうして、聴取位置との距離が変更されたスピーカに対してのみ、計算フラグが1に設定される。
【0102】
ステップS119において、CPU100は、座標テーブル142に保存されている各構成要素の座標に基づいて、計算対象フラグが1に設定されている各スピーカと聴取位置(マイクロフォン7の位置)との間の距離を算出する。尚、ステップS119の処理は、ステップS114の処理と同様に図20により後述する。そして、ステップS120において、スピーカテーブル141において計算対象フラグが1となっている構成要素(スピーカ)の聴取距離を算出する。この処理の詳細は図23を用いて後述する。
【0103】
ステップS121において、CPU100は、メモリ101上のスピーカテーブル141において、計算対象フラグが1であるスピーカに対して、遅延補正値と音圧レベル補正値を計算する。この処理の詳細は図24を参照して後述する。処理を終えると、音場補正処理を終了する。
【0104】
以上のように、第2実施形態による音場補正処理では、最初に音場補正処理を行った時にのみ可聴音による計測が行われ、以降は初期計測済みフラグ143が1になるため、超音波による計測のみが行われることになる。
【0105】
図19は、第2実施形態における超音波による位置検出処理(S111)を説明するフローチャートである。
【0106】
ステップS130において、CPU100は、座標テーブル142の全ての位置変更フラグを0にする。次に、ステップS131において、CPU100は、座標テーブル142に登録されている全ての構成要素に対して位置検出が終了しているかどうかを判定する。全ての計測対象について位置検出が終了していないと判定された場合、処理はステップS132へ進む。全ての計測対象について位置検出が終了していると判定された場合は、超音波による位置検出処理を終了する。
【0107】
ステップS132において、CPU100は、座標テーブル142において、次の計測対象となる構成要素を選択する。この処理は、現在処理中の構成要素IDをインクリメントすることで実現される。そして、ステップS133において、CPU100は、現在処理中の構成要素に付加されている超音波発信器112に対してトリガ信号を送信し、超音波パルスを発信させる。このとき、同時に超音波受信機用インタフェース107にも当該トリガ信号を送信することにより、全ての超音波受信器115を受信状態にする。
【0108】
次に、ステップS134において、全ての超音波受信器115によって受信された超音波信号を解析し、それぞれの超音波受信器115における、トリガ信号から超音波の受信までの遅延時間を算出する。そして、ステップS135において、CPU100は、ステップS134で算出した遅延時間の短い方から3つを選択し、それぞれの信号を受信した超音波受信器115を確認する。ステップS136において、CPU100は、ステップS135で選択した3つの遅延時間から、各超音波受信器115と現在の計測対象の構成要素に付加されている超音波発信器の距離を算出する。ステップS137において、CPU100は、ステップS136で得られた3つの距離と、ディスプレイの縦横のサイズから、計測対象の構成要素の相対座標を算出する。この計算は第1実施形態のステップS27と同様であり、計測対象の構成要素の相対座標は上記の式(1)、(2)により求められる。
【0109】
ステップS138において、CPU100は、ステップS137で得られた相対座標が、座標テーブル142に格納されている座標と同じかどうかを判定する。ステップS137で得られた座標が座標テーブル142に格納されている座標と異なる場合は、処理はステップS139へ進む。一方、ステップS137で得られた座標が座標テーブル142に格納されている座標と同じである場合は、処理をステップS131へ戻す。尚、格納されている座標と同じかどうかではなくある程度幅を持たせて近いかどうかを判定してもよい。
【0110】
ステップS139において、CPU100は、ステップS137で算出した座標を、座標テーブル142の計測対象となっている構成要素の「座標」として格納する。そして、ステップS140において、CPU100は、座標テーブル142の現在計測対象となっている構成要素に対応する「位置変更フラグ」を1にする。そして、処理をステップS131へ戻す。
【0111】
図20は、第2実施形態における超音波による距離算出処理(S114)を説明するフローチャートである。
【0112】
ステップS141において、CPU100は、スピーカテーブル141において計算対象フラグが1となっている全てのスピーカについて超音波距離を算出したかどうかを判定する。計算対象フラグが1となっているスピーカ(以下、計算対象のスピーカ)であって距離算出が終了していないスピーカが有る場合は、ステップS142へ進む。全ての計算対象のスピーカの距離算出が終了した場合は、超音波による距離算出処理を終了する。
【0113】
ステップS142において、CPU100は、スピーカテーブル141において、次の計算対象のスピーカを選択する。そして、ステップS143において、CPU100は、計算対象のスピーカと、聴取位置との距離を算出する。例えば、CPU100は、計算対象のスピーカの構成要素IDによって座標テーブル142を検索し、当該スピーカの座標を求め、また、座標テーブル142からマイクロフォン7の座標を求める。そして、これら2つの座標から三平方の定理により両者の距離を算出する。尚、座標テーブル142から取得されるこれらの2つの座標は超音波計測によって求めたものであるので、この処理で求めた距離は超音波によって測定された距離(超音波距離)となる。ステップS144において、CPU100は、ステップS143で算出した距離を、当該計測対象のスピーカの「超音波距離」としてスピーカテーブル141に保存する。
【0114】
図21は、第2実施形態における可聴音による距離測定処理(S115)を説明するフローチャートである。
【0115】
ステップS151において、CPU100は、現在音響再生が行われていれば、その再生を停止する。この結果、各スピーカは音響出力をしていない状態になる。次に、ステップS152において、スピーカテーブル141に登録されている全てのスピーカについて可聴音による計測が終了したかどうかを判定する。全てのスピーカについて計測が終了していないと判定された場合は、ステップS153へ進む。全てのスピーカについて計測が終了したと判定された場合は、可聴音による距離測定処理を終了する。
【0116】
ステップS153において、CPU100は、スピーカテーブル141において次のスピーカを計測対象として選択する。そして、ステップS154において、CPU100は、ステップS153で選択したスピーカに対して、可聴音によるテスト信号を出力するとともに、時間計測を開始する。マイクロフォン114は、聴取位置に設置されており、ステップS154で出力したスピーカからの音を電気信号に変換する。ステップS155において、CPU100は、マイクロフォン114で得られた電気信号を解析し、テスト信号の出力からマイクロフォン114へ可聴音が到達するまでの遅延時間を算出する。ステップS156において、CPU100は、ステップS155で算出した遅延時間に基づいて、測定対象のスピーカとマイクロフォン114との間の距離を算出する。そして、ステップS157において、CPU100は、ステップS156で算出した聴取距離を、スピーカテーブル141における測定対象のスピーカの可聴音距離として格納する。
【0117】
図22は第2実施形態による距離補正値算出処理(S116)を説明するフローチャートである。
【0118】
ステップS161において、CPU100は、スピーカテーブル141に登録されている全てのスピーカに関して距離補正値を算出したかどうかを判定する。全てのスピーカに関する距離補正値の算出が終了していない場合、処理はステップS162へ進む。一方、全てのスピーカに関して距離補正値の算出が終了した場合は、距離補正値算出処理を終了する。
【0119】
ステップS162において、CPU100は、スピーカテーブル141における次のスピーカを算出対象として選択する。そして、ステップS163において、CPU100は、算出対象となっているスピーカに関して、スピーカテーブル141に登録されている可聴音距離から超音波距離を減算する。ステップS164において、CPU100は、ステップS163で求めた差分値を算出対象となっているスピーカの距離補正値としてスピーカテーブル141に格納する。
【0120】
図23は、第2実施形態による聴取距離算出処理(S119)を説明するフローチャートである。
【0121】
ステップS171において、CPU100は、スピーカテーブル141において、計算対象フラグが1となっている全てのスピーカの聴取距離を算出したかどうかを判定する。計算対象フラグが1となっている全てのスピーカについて計算対象の算出が終了していない場合はステップS172へ進む。一方、計算対象フラグが1となっている全てのスピーカについて計算対象の算出が終了している場合は、聴取距離算出処理を終了する。
【0122】
ステップS172において、CPU100は、スピーカテーブル141において計算対象フラグが1になっている、次のスピーカを計算対象のスピーカとして選択する。ステップS173において、CPU100は、ステップS172で選択したスピーカに関して、スピーカテーブル141に記録されている超音波距離にスピーカテーブル141に記録されている距離補正値を加算する。そして、ステップS174において、CPU100は、ステップS173の計算結果を、ステップS172で選択したスピーカの可聴音距離としてスピーカテーブル141に格納する。
【0123】
図24は、第2実施形態における遅延、音圧レベル補正処理(S120)を説明するフローチャートである。
【0124】
ステップS181において、CPU100は、スピーカテーブル141において計算対象フラグが1となっている全てのスピーカに対する遅延、音圧レベル補正値の算出が終了したかどうかを判定する。計算対象フラグが1となっている全てのスピーカについて処理が終了していない場合、処理はステップS182に進む。一方、計算対象フラグが1となっている全てのスピーカについて処理が終了した場合は、遅延、音圧レベル補正処理を終了する。
【0125】
ステップS182において、CPU100は、スピーカテーブル141において、計算対象フラグが1になっている次のスピーカを選択する。ステップS183において、CPU100は、ステップS182で選択したスピーカの可聴音距離をスピーカテーブル141より取得する。次に、ステップS184において、CPU100は、ステップS183で取得した可聴音距離から遅延補正値を算出する。第1実施形態と同様に、式(3)を用いて遅延補正値が算出される。ステップS185において、CPU100は、ステップS184で算出した遅延補正値を、選択したスピーカの遅延補正値としてスピーカテーブル141に格納する。
【0126】
次に、ステップS186において、CPU100は、ステップS183で取得した可聴音距離より、音圧レベル補正値を算出する。第1実施形態と同様に、式(4)により音圧レベル補正値が算出される。ステップS187において、CPU100は、ステップS186で算出した音圧レベル補正値を、選択したスピーカの音圧レベル補正値としてスピーカテーブル141に格納する。
【0127】
ステップS188において、CPU100は、スピーカテーブル141における選択したスピーカの計算対象フラグを0にする。そして、ステップS181に処理を戻す。
【0128】
以上説明したように、第2実施形態における遅延、音圧レベル補正処理では、計算対象フラグが1になっているスピーカに関してのみ遅延補正処理や音圧レベル補正処理が実行される。このため、補正値の変更が必要なものだけの処理を行えばよいため、迅速に音場補正結果を再生音場に反映させることができる。
【0129】
図25は、第2実施形態における再生操作処理(S104)を説明するフローチャートである。ステップS191において、CPU100は、ステップS101において入力されたコマンドを再度判定する。コマンドが再生と判定された場合、処理はステップS192へ進み、コマンドが停止と判定された場合、処理はステップS193へ進む。また、コマンドが早送り、巻き戻し、スローなどの特殊再生と判定された場合、処理はステップS194へ進む。
【0130】
ステップS192において、CPU100は、第2実施形態の音響再生装置に格納されている音響データ、もしくは、送信、入力される音響データを再生する。この処理の詳細は図26を用いて後述する。ステップS192では、処理の起動のみが行われる。即ち、処理の終了を待たずにステップS101に処理が戻される。ステップS193において、CPU100は、第2実施形態の音響再生装置が音響データの再生中であればその再生を停止する。この処理は当該分野において一般的であるため、ここでは詳述しない。また、ステップS194において、CPU100は、早送り、巻き戻し、スロー再生などの特殊再生を行う。このような処理は当該分野において一般的であるため、ここでは詳述しない。ステップS193、S194においてそれぞれの処理を終えると、再生操作処理は終了し、ステップS101の処理が戻る。
【0131】
図26は、第2実施形態における再生処理(S192)を説明するフローチャートである。
【0132】
ステップS201において、CPU100は、ステップS101の再生コマンド入力によって指定された音響データをメモリ101上のワークエリアにロードする。尚、再生する音響データは、外部記憶104に格納されているオーディオファイルでも良いし、メディアドライブ106から読み出したデジタル音響信号でも良いし、通信網110を通じて本実施形態の音響再生装置に送信されるデジタル音響信号でも良い。
【0133】
ステップS202において、CPU100は、ステップS201でロードした音響データが終了したかどうかを判定する。この判定は、予め埋め込まれている音響データの終了点を表すコード、もしくはマークまで再生が行われたかで判定する。音響データが終了していない場合は、処理がステップS203へ進み、音響データが全て終了した場合は、再生処理が終了する。
【0134】
ステップS203において、CPU100は、再生する音響データの次のフレームを必要に応じてデコードし、各音響チャンネル信号に分離する。なお、再生する音響データが非圧縮のPCMフォーマット等の場合、この処理を行う必要はない。次に、ステップS204において、CPU100は、ステップS203で分離した各音響チャンネル信号に対して、イコライジングやホールシミュレーションなどの、周知の音響処理を施す。ステップS205において、CPU100は、ステップS203で分離した音響チャンネルフォーマットを、スピーカテーブル141に登録されているスピーカのチャンネルフォーマットに合わせて変換する。この処理はこの種の音響再生装置において一般的であるため、詳述しない。
【0135】
ステップS206において、CPU100は、スピーカテーブル141に保存されている各スピーカの遅延補正量に従って、各スピーカに出力する音響チャンネル信号の遅延補正を行う。更に、ステップS207において、CPU100は、スピーカテーブル141に保存されている各スピーカの音圧レベル補正量に従って、各スピーカに出力する音響チャンネル信号の音圧レベル補正を行う。そして、ステップS208において、ステップS203〜S207までの処理を経た各音響チャンネル信号を、オーディオインタフェース105を介して、それぞれ対応するスピーカ111もしくはサブウーファ113に出力される。第2実施形態における音響再生装置では、各音響チャンネル信号はスピーカ111もしくはサブウーファ113に内蔵されるアンプによって増幅された後に、実際の音響として各スピーカより出力される。
【0136】
以上説明したように、第2実施形態における音響処理では、最初に音響信号によって各スピーカと聴取位置間の距離測定を一度だけ行い、超音波を用いて測定した各スピーカと聴取位置間の距離との差分を計算して各々補正値として記録しておく。このため、以降は超音波による測定だけで、記録した補正値を測定値より求めた距離に加算することによって、可聴音を発音せずに各スピーカと聴取位置との間の厳密な距離を得ることができる。更に、この補正された距離に基づいて各スピーカから発音される音響信号の遅延補正、または出力音圧レベル補正を行うので、2回目以降の音場補正においてはスピーカからテスト信号を発音することなく厳密な音場補正を行うことができる。また、コンテンツ再生中においても音場補正を行うことが可能になる。
【0137】
<その他の実施形態>
尚、上記第1及び第2上述の実施形態では、ユーザが本発明の音響再生装置に対して音場補正を指示することによって、音場補正動作もしくは音場補正処理が行われるが、最初の音場補正動作を初期設定時に自動的に行われるようにすることもできる。
【0138】
尚、上記第1及び第2実施形態の最初の音場補正処理において、可聴音による測定(ステップS13、S111)と超音波による測定(ステップS11、S115)を別々のタイミングで実行するが、これらを同時に行うようにしてもよい。このようにすれば、可聴音と超音波による測定においてマイクロフォン7が同じ場所に存在し手いることをより確実にすることができ、補正値を精度よく求めることができる。
また、超音波受信器の配置位置は、ディスプレイの四隅としたが、これに限られるものではない。例えば、建物の壁など、スピーカやマイクロフォンの移動によって移動しないように固定されていればよい。また、超音波受信器の数も、4つに限られるものではなく、3つ以上であればよい。
【0139】
以上、実施形態を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0140】
尚、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したプログラムである。
【0141】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0142】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0143】
プログラムを供給するための記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0144】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0145】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0146】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0147】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行なう。
【0148】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種種変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】実施形態による音響再生装置の構成例を示す図である。
【図2】第1実施形態における音響再生装置の構成例を示す図である。
【図3】第1実施形態における音響再生装置動作のフローチャートである。
【図4】第1実施形態における音場補正処理のフローチャートである。
【図5】第1実施形態における超音波による距離算出処理のフローチャートである。
【図6】第1実施形態における可聴音による距離算出処理のフローチャートである。
【図7】第1実施形態における距離補正値算出処理のフローチャートである。
【図8】第1実施形態における聴取距離算出処理のフローチャートである。
【図9】第1実施形態における遅延、音圧レベル補正処理のフローチャートである。
【図10】第1実施形態における再生処理のフローチャートである。
【図11】第2実施形態における音響再生装置の構成例を示す図である。
【図12】第2実施形態における音響処理プログラムを格納した記憶媒体の内容構成を示す図である。
【図13】第2実施形態における音響処理をPCに導入する模式図である。
【図14】第2実施形態におけるメモリマップ構成図である。
【図15】第2実施形態における座標テーブル構成図である。
【図16】第2実施形態におけるスピーカテーブル構成図である。
【図17】第2実施形態における音響処理のフローチャートである。
【図18】第2実施形態における音場補正処理のフローチャートである。
【図19】第2実施形態における超音波による位置検出処理のフローチャートである。
【図20】第2実施形態における超音波による距離算出処理のフローチャートである。
【図21】第2実施形態における可聴音による距離測定処理のフローチャートである。
【図22】第2実施形態における距離補正値算出処理のフローチャートである。
【図23】第2実施形態における聴取距離算出処理のフローチャートである。
【図24】第2実施形態における遅延、音圧レベル補正処理のフローチャートである。
【図25】第2実施形態における再生操作処理のフローチャートである。
【図26】第2実施形態における再生処理のフローチャートである。
【図27】第2実施形態における超音波による距離算出原理を説明する図である。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二


【公開番号】 特開2008−61137(P2008−61137A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−238174(P2006−238174)