| 【発明の名称】 |
音声調整装置、方法及びプログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】波多野 渉
|
| 【要約】 |
【課題】他のチャンネルとは異質なセンター成分による影響を抑制する音声調整の技術を提供する。
【構成】入力部10が、センターチャンネルと、L及びRを含む複数のチャンネルの音源を受け入れ(入力処理)、打消し手段20が、入力部10で受け入れた各チャンネルのうち、前記センターチャンネルの音源との同位相成分を、そのまま又はレベル調整後、減算や反転後加算などで前記L及び前記Rから打ち消す(打消し処理)。リンク手段30が、前記打消し手段を経た前記L及びRを含む各チャンネルをそれぞれのダイナミクスに応じて相互にリンクさせ制御用のキー信号として出力し(リンク処理)、出力部40が、リンク手段30から出力される前記キー信号に基いて、前記各チャンネルの音源を処理して出力する(出力処理)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センターチャンネルと、L及びRを含む複数のチャンネルの音源を受け入れる入力部と、 前記入力部で受け入れた各チャンネルのうち、前記センターチャンネルの音源との同位相成分を前記L及び前記Rから打ち消す打消し手段と、 前記打消し手段を経た前記L及びRを含む各チャンネルをそれぞれのダイナミクスに応じて相互にリンクさせ制御用のキー信号として出力するリンク手段と、 前記リンク手段から出力される前記キー信号に基いて、前記各チャンネルの音源を処理して出力する出力部と、 を有することを特徴とする音声調整装置。 【請求項2】 デジタルオーディオの5.1チャンネルサラウンド音響を再生する請求項1記載の音声調整装置において、 サラウンドモードに設定されたチャンネル又はバスのうち、前記リンク手段におけるリンクの対象とする音源の組合せについて、受け付ける操作に応じて任意のパターンを選択するリンク選択手段 を有することを特徴とする音声調整装置。 【請求項3】 前記リンク選択手段は、前記リンク手段による前記リンクを、受け付ける操作に応じて前記センターチャンネルだけOFFするように構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の音声調整装置。 【請求項4】 各チャンネルの音源の入力部と、前処理用の打消し手段と、各チャンネルをリンクさせるリンク手段と、前記リンクに基き各チャンネルの音源を処理して出力する出力部と、を有する音声調整装置を用いる音声調整方法において、 前記入力部により、センターチャンネルと、L及びRを含む複数のチャンネルの音源を受け入れる、入力処理と、 前記打消し手段により、前記入力部で受け入れた各チャンネルのうち、前記センターチャンネルの音源との同位相成分を前記L及び前記Rから打ち消す、打消し処理と、 前記リンク手段により、前記打消し処理を経た前記L及びRを含む各チャンネルをそれぞれのダイナミクスに応じて相互にリンクさせ制御用のキー信号として出力する、リンク処理と、 前記出力部により、前記リンク手段から出力される前記キー信号に基いて、前記各チャンネルの音源を処理して出力する出力処理と、 を含むことを特徴とする音声調整方法。 【請求項5】 デジタルオーディオの5.1チャンネルサラウンド音響を再生する請求項4記載の音声調整方法において、 サラウンドモードに設定されたチャンネル又はバスのうち、前記リンク処理におけるリンクの対象とする音源の組合せについて、受け付ける操作に応じて任意のパターンを選択するリンク選択処理 を含むことを特徴とする音声調整方法。 【請求項6】 前記リンク選択処理は、前記リンク処理による前記リンクを、受け付ける操作に応じて前記センターチャンネルだけOFFすることを特徴とする請求項4又は5記載の音声調整方法。 【請求項7】 音声調整装置の演算制御部を制御することにより、各チャンネルの音源の入力部と、前処理用の打消し手段と、各チャンネルをリンクさせるリンク手段と、前記リンクに基き各チャンネルの音源を処理して出力する出力部と、を実現する音声調整プログラムにおいて、 そのプログラムは前記演算制御部を制御することにより、 前記入力部により、センターチャンネルと、L及びRを含む複数のチャンネルの音源を受け入れる、入力処理と、 前記打消し手段により、前記入力部で受け入れた各チャンネルのうち、前記センターチャンネルの音源との同位相成分を前記L及び前記Rから打ち消す、打消し処理と、 前記リンク手段により、前記打消し処理を経た前記L及びRを含む各チャンネルをそれぞれのダイナミクスに応じて相互にリンクさせ制御用のキー信号として出力する、リンク処理と、 前記出力部により、前記リンク手段から出力される前記キー信号に基いて、前記各チャンネルの音源を処理して出力する出力処理と、 を実行させることを特徴とする音声調整プログラム。 【請求項8】 前記音声調整装置の前記演算制御部を制御することにより、デジタルオーディオの5.1チャンネルサラウンド音響を再生させる請求項7記載の音声調整プログラムにおいて、 そのプログラムは前記演算制御部を制御することにより、 サラウンドモードに設定されたチャンネル又はバスのうち、前記リンク処理におけるリンクの対象とする音源の組合せについて、ユーザから受け付ける操作に応じて任意のパターンを選択するリンク選択処理 を実行させることを特徴とする音声調整プログラム。 【請求項9】 そのプログラムは前記演算制御部を制御することにより、 前記リンク選択処理において、前記リンク処理による前記リンクを、ユーザから受け付ける操作に応じて前記センターチャンネルだけOFFすることを特徴とする請求項7又は8記載の音声調整プログラム。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、サラウンド音声を処理する技術の改良に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、映像や音声の作品や機器の一般化に伴い、いわゆるサラウンド音響技術の普及発達が著しい(例えば、特許文献1参照)。いわゆる5.1chはその典型で、サラウンドチャンネルすなわちL(正面左),R(正面右),C(正面センター),LFE(重低音用サブウーファー),Ls(リア左),Rs(リア右)の各チャンネルの音源とそれぞれのスピーカーにより、立体音響すなわち立体的な音像定位を実現するものである。 【0003】 このような立体音響は、各チャンネルにおける音の大小比とその変化で実現されるが、放送局の送信機保護や制作されたプログラムのレベルクリップによる品質劣化防止のため、出力信号の最終段にはダイナミクスと呼ばれるダイナミックレンジ調整機能が組み込まれている。また、ダイナミクスを使用する時、各チャンネルの音がばらばらにキー信号を作成すると全体としてのバランスが崩れて、制作者の意図しないものが出来上がってしまう。このような現象を防止するため、各チャンネルのキー信号のバランスを取り同じレベルのキー信号を各チャンネルにかけるようにしている。これをリンク機能と呼ぶ。 【0004】 音声リンク機能の一例として、例えば音声調整卓では、各チャンネルの音源レベルなどのダイナミクスのうち、比などの効果が最大のものを他のチャンネルにも乗じて、全体のレベルを調整していた。また、このようにリンクするチャンネルの組み合わせを、グループなどの形で選択できる例も知られている。また、ステレオの素材の場合は強制的にL,Rをリンクさせてバランスをとっている。 【特許文献1】特開2006−94131 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、一般に、サラウンドチャンネルにおけるセンター成分は、アナウンサーによるコメントなどで、他のチャンネルの効果音などとは無相関な全く異質の音源である場合が多い。そして、このような音源と他のチャンネルを、音声リンク機能の同じグループで使用すると全体の音像に悪影響を与える問題があった。 【0006】 また、ステレオ放送との互換性確保や5.1chを持たない再生装置などのため、センターのコメント等の音源をダイバージェンス機能などでLとRのチャンネルに分けて送出する場合もある。このような場合、センターのダイナミクス効果が波及してLとRの音が不自然になり、単に音声リンク機能の組合せを変えるだけでは所望の音声が得られない問題もあった。 【0007】 本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、他のチャンネルとは異質なセンター成分による影響を抑制する音声調整の技術を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記の目的をふまえ、本発明の一態様は、音声調整装置において、センターチャンネルと、L及びRを含む複数のチャンネルの音源を受け入れる入力部と、前記入力部で受け入れた各チャンネルのうち、前記センターチャンネルの音源との同位相成分を前記L及び前記Rから打ち消す打消し手段と、前記打消し手段を経た前記L及びRを含む各チャンネルをそれぞれのダイナミクスに応じて相互にリンクさせ制御用のキー信号として出力するリンク手段と、前記リンク手段から出力される前記キー信号に基いて、前記各チャンネルの音源を処理して出力する出力部と、を有することを特徴とする。 【0009】 このように、センターチャンネルと同相の成分を任意のレベルで、減算や反転後加算などによりL,Rチャンネルから打ち消したものをダイナミクスのキー信号として用いることにより、内容が異質で他と無相関なセンター成分による影響を他のチャンネルで抑制でき、ダイナミクスの誤動作を防いで鮮明な音像定位による高品位なサラウンドの番組制作が可能となる。 【0010】 本発明の他の態様は、さらに、デジタルオーディオの5.1チャンネルサラウンド音響を再生する上記態様において、サラウンドモードに設定されたチャンネル又はバスのうち、前記リンク手段におけるリンクの対象とする音源の組合せについて、受け付ける操作に応じて任意のパターンを選択するリンク選択手段を有することを特徴とする。 【0011】 このように、5.1チャンネルデジタルサラウンドにおいて、リンクの対象とする音源の組合せを、操作により任意のパターンで選択可能とすることにより、目的や事情に合わせた最適な音響効果を容易に実現可能となる。 【0012】 本発明の他の態様は、さらに、上記いずれかの態様において、前記リンク選択手段は、前記リンク手段による前記リンクを、受け付ける操作に応じて前記センターチャンネルだけOFFするように構成されたことを特徴とする。 【0013】 このように、センターチャンネルをその内容に応じて、リンクから除外するか否かを自由に選択可能とすることにより、作品やシーンに応じた最適な音響効果を容易に実現可能となる。 【0014】 なお、以上の各態様は、方法及びプログラムについても同様である。 【発明の効果】 【0015】 以上のように、本発明によれば、他のチャンネルとは異質なセンター成分による影響を抑制する音声調整の技術を提供することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図を参照して説明する。なお、背景技術や課題での説明と共通の前提事項は適宜省略する。 【0017】 〔1.構成〕 本実施形態は、デジタルオーディオの5.1チャンネルサラウンド音響を処理し再生する音声調整装置であり、以下「本装置」と呼ぶ。本装置は、図1の構成図に示すように、音源の入力部10と、入力音源を前処理する打消し手段20と、前処理後の各チャンネルを相互にリンクさせるリンク手段30と、前記リンクの結果に応じて各チャンネルの音源を処理して出力する出力部40と、前記リンクの対象音源の組合せパターンを選択するリンク選択手段35と、を有する。 【0018】 これら各要素は、後述するような機能作用を実現実行する処理手段であり、各機能のうち音響等の情報処理に係る部分は、DSPなど特定機能のチップ類やコンピュータプログラムなどで適宜置換え実現してもよい。 【0019】 〔2.基本的作用効果〕 上記のように構成された本実施形態では、入力部10が、センターチャンネルと、L及びRを含む複数のチャンネルの音源を受け入れ(入力処理)、打消し手段20が、前処理として、入力部10で受け入れた各チャンネルのうち、前記センターチャンネルの音源との同位相成分を、そのまま又はレベル調整後、減算や反転後加算などで前記L及び前記Rから打ち消す(打消し処理)。レベル調整の方法としては、ユーザがパラメータとして設定したり、パンポットのダイバージェンス機能に連動させたり、自動的に入力信号のCとL,Rの相関性を調べてレベル調整をするなどがある。 【0020】 そして、リンク手段30が、前記打消し手段を経た前記L及びRを含む各チャンネルをそれぞれのダイナミクスに応じて相互にリンクさせ制御用のキー信号として出力し(リンク処理)、出力部40が、リンク手段30から出力される前記キー信号に基いて、前記各チャンネルの音源を処理して出力する(出力処理)。 【0021】 リンクの具体的内容は、リンクを行うチャンネルの内で効果を最大にするチャンネルのキー信号をリンクを行う全てのチャンネルのキー信号とすることである。 【0022】 このように、センターチャンネルと同相の成分を任意のレベルで、減算や反転後加算などによりL,Rチャンネルから打ち消したものをダイナミクスのキー信号として用いることにより、内容が異質で他と無相関なセンター成分による影響を他のチャンネルで抑制でき、ダイナミクスの誤動作を防いで鮮明な音像定位による高品位なサラウンドの番組制作が可能となる。 【0023】 〔3.リンクパターンの選択〕 また、リンク選択手段35が、サラウンドモードに設定されたチャンネル又はバスのうち、リンク手段30におけるリンクの対象とする音源の組合せについて、ユーザから操作スイッチなどで受け付ける操作に応じて任意のパターンを選択する(リンク選択処理)。このように、5.1チャンネルデジタルサラウンドにおいて、リンクの対象とする音源の組合せを、操作により任意のパターンで選択可能とすることにより、目的や事情に合わせた最適な音響効果を容易に実現可能となる。 【0024】 〔4.センターチャンネルの除外〕 また、リンク選択手段35は、ユーザから操作スイッチなどで受け付ける操作に応じ、リンク手段30による前記リンクをセンターチャンネルだけOFFする。このように、センターチャンネルをその内容に応じて、リンクから除外するか否かを自由に選択可能とすることにより、作品やシーンに応じた最適な音響効果を容易に実現可能となる。 【0025】 〔5.リンクパターンの例〕 上記のように選択する各チャンネルについて、それぞれのダイナミクスに基くリンク(ダイナミクスリンク)のパターンを、図2以降に例示する。例えば、図2は、LFE(重低音用サブウーファー)以外の全チャンネルをリンクさせる例である。 【0026】 また、図3は、LFE以外の各チャンネルのうち、前方のL(正面左),R(正面右),C(正面センター)を一つのリンク、後方のLs(リア左),Rs(リア右)は別のリンクとした例で、コンサートなどでC(センター)もL,Rと同様な音を収録しており、センターのみコメントなど別音声が入らない場合に適する。 【0027】 また、図4は、LFEとCをそれぞれ独立させ、それ以外のL,R,Ls,Rsを一つのリンクとした例、図5は、LFEとC以外の各チャンネルのうち、LとRを一つのリンク、LsとRsを別のリンクとした例である。 【0028】 以上のように、本発明によれば、他のチャンネルとは異質なセンター成分による影響を抑制する音声調整の技術を提供することが可能となるので、放送局などのユーザが高品位なサラウンド音響番組を自由かつ効率的に制作容易になる。 【図面の簡単な説明】 【0029】 【図1】本発明の実施形態の構成を示す図。 【図2】本発明の実施形態におけるリンクの一例を示す概念図。 【図3】本発明の実施形態におけるリンクの一例を示す概念図。 【図4】本発明の実施形態におけるリンクの一例を示す概念図。 【図5】本発明の実施形態におけるリンクの一例を示す概念図。 【符号の説明】 【0030】 10…入力部 20…打消し手段 30…リンク手段 35…リンク選択手段 40…出力部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】390005223 【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
|
| 【出願日】 |
平成18年8月29日(2006.8.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081961 【弁理士】 【氏名又は名称】木内 光春
|
| 【公開番号】 |
特開2008−60632(P2008−60632A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−231598(P2006−231598) |
|