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【発明の名称】 コンデンサマイクロホンユニットおよびコンデンサマイクロホン
【発明者】 【氏名】秋野 裕

【要約】 【課題】安定した高い性能が得られるコンデンサマイクロホンユニットおよびコンデンサマイクロホンに関する。

【構成】振動板と、この振動板が固着された振動板保持体と、上記振動板に隙間をおいて対向配置され上記振動板との間でコンデンサを構成する固定極と、インピーダンス変換器を配置したプリント基板と、これらの部材が組み込まれたユニットケースとを有してなり、上記振動板、振動板保持体、上記固定極を含む内部構成部材と上記プリント基板との間に、弾力性のある導電性の付勢材が介在する構成されているコンデンサマイクロホンユニットによる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板と、この振動板が固着された振動板保持体と、上記振動板に隙間をおいて対向配置され上記振動板との間でコンデンサを構成する固定極と、インピーダンス変換器を配置したプリント基板と、これらの部材が組み込まれたユニットケースとを有してなり、
上記振動板、振動板保持体、上記固定極を含む内部構成部材と上記プリント基板との間に、弾力性のある導電性の付勢材が介在していることを特徴とするコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項2】
ユニットケースは有底の筒状の部材で、ユニットケースの開放端部が折り曲げられることによりプリント基板が上記折り曲げ部で押されて内部構成部材が位置決めされている請求項1記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項3】
ユニットケースの内周面には絶縁性の第一リングと、この第一リングの内周面には導電性の第二リングが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項4】
上記ユニットケースの開放終端部付近において、
上記第一リングの内周の終端面を切削して形成した段部と、
上記第二リングの終端面をユニットケースの内周側に折曲げて形成した折曲げ部とを有し、
上記段部と上記折曲げ部に上記付勢材が接触するよう配置されていることを特徴とする請求項3に記載のコンデンサマイクロホンユニット。
【請求項5】
コンデンサマイクロホンユニットがマイクロホンケース内に組み込まれてなるコンデンサマイクロホンであって、コンデンサマイクロホンユニットは請求項1ないし7のいずれかに記載のコンデンサマイクロホンユニットであるコンデンサマイクロホン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、振動雑音を防止するための工夫を施したコンデンサマイクロホンユニットおよびコンデンサマイクロホンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンデンサマイクロホンユニットの従来例を図3、図4に示す。図3、図4において、符号1はコンデンサマイクロホンユニットのケースすなわちユニットケースを示している。ユニットケース1は有底の円筒形をしており、底部に相当する部分が前側になっていて、この底部にはコンデンサマイクロホンユニット内部に音声を導き入れるための孔1aが形成されている。ユニットケース1内には、このユニットケース1の底部に最も近い位置にリング状の振動板保持体2を配置し、外周縁部が上記振動板保持体2の一端面に接着などによって固着されたダイヤフラム状の振動板3が配置されている。
【0003】
上記振動板3に対し、スペーサ4の介在のもとに固定極5が対向して配置されている。スペーサ4は薄い樹脂からなるリング状の部材で、振動板3の後端面(図3において下端面)の外周縁部に密着している。振動板3と固定極5の間にはスペーサ4の厚さに相当する隙間ができている。固定極5は、金属製の円板を基材とし、その少なくとも一面側例えば振動板3との対向面側にエレクトレット板が貼り付けられて、エレクトレットボードを構成している。振動板3と固定極5とで一種のコンデンサを構成していて、上記孔1aから導き入れられる音声にしたがって振動板3が振動するのに伴い、上記コンデンサの静電容量が変化し、静電容量の変化が音声信号として出力されるようになっている。
【0004】
上記ユニットケース1内には、固定極5の径方向の寸法を規定する絶縁材料で構成された絶縁スリーブ6が配置されている。絶縁スリーブ6の内周面に内接して、導電材料で構成された導電スリーブ7が配置されている。導電スリーブ7の後端面部は円板状のプリント基板8上に形成されている回路パターン8a(図4参照)に接触し、プリント基板8の後端面周縁部には、ユニットケース1の開放端縁部の折り返し部10が当たっている。この折り返し部10がプリント基板8を前方(図3において上方)に向かって押すことで生じる押し圧力によって、導電スリーブ7が上方に押され、さらにスペーサ4を介して振動板保持体4がユニットケース1の底面に押し付けられ、これらの部材がユニットケース1内にそれぞれ位置決めされて固定されている。導電スリーブ7は、固定極5とプリント基板8を電気的に接続している。
【0005】
上記プリント回路基板8には、インピーダンス変換器を構成する電界効果型トランジスタ(以下「FET」という)9が配置されている。FET9の端子の一部はプリント回路基板8の所定の回路パターン8aに半田付け等によって接続されている。
【0006】
以上説明したユニットにおいて、上記の各部材がユニットケース1内に固定されるように圧力を加える働きをする折り返し部10は、カシメ工程によってユニットケース1の後端縁部を塑性変形して生成される。このような構造を有するユニットは多数知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−354592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のユニットケース1は、通常、プレス加工によって生成される。従って、カシメ工程に至る前の状態において、その高さにはバラツキが生じている。そのため、カシメ工程によって生成される折り返し部10による上方への押し圧力が、均一に加わることが難しく、ユニットケース内の部材の位置決めにもバラツキが生じやすい。部材の位置にバラツキが生じると、固定極5や振動板3を固定する力(押し圧力)にもバラツキが生じることになり、特に、振動板3を固定する振動板保持体2の内周部と外周部に加わる内部応力によって、振動板保持体2が変形することがある。振動板保持体2が変形すると、振動板3の張力は変化してしまう。とりわけ、振動板保持体3の外周部に強い応力が加わると、振動板3の張力の変化が大きくなり、結果的に、ユニットの感度や周波数応答に性能のバラツキが生じることになる。
【0009】
また、上記絶縁スリーブ6は、固定極5や導電スリーブ7が偏心することを防止する役割を果たすが、この絶縁スリーブ6と固定極5及び導電スリーブ7の嵌合度合いが弱い場合には、ユニットに振動が加わると、容易に動いてしまい異音の発生要因となる。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、振動板保持体の内周部と外周部に加わる内部応力による振動板の張力変化を防ぎ、また、ユニットに振動が加わっても異音が発生することを防ぐことができるコンデンサマイクロホンユニットおよびコンデンサマイクロホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コンデンサマイクロホンユニットにおいて、振動板と、この振動板が固着された振動板保持体と、上記振動板に隙間をおいて対向配置され上記振動板との間でコンデンサを構成する固定極と、インピーダンス変換器を配置したプリント基板と、これらの部材が組み込まれたユニットケースとを有してなり、上記振動板、振動板保持体、上記固定極を含む内部構成部材と上記プリント基板との間に、弾力性のある導電性の付勢材が介在していることを主な特徴とする
【0012】
また、本発明は、上記コンデンサマイクロホンユニットにおいて、ユニットケースは有底の筒状の部材で、開放端部が折り曲げられることによりプリント基板が上記折り曲げ部で押されることにより内部構成部材が位置決めされていることを特徴とする
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、振動板保持材の内周面に加わる固定用の圧力を、外周面に加わる応力よりも大きくすることができ、また、内部構成部材の嵌合度合いが弱くでも、確実に位置決めすることが可能となるので、振動などの外力による異音の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかるマイクロホンユニットの実施形態について、図を用いて説明する。なお、図3、図4に示す従来例の構成と同じ構成部分には同じ符号を付し、重複した説明はできるだけ避けることにする。図1は本発明に係るマイクロホンユニットの実施例を示す断面図である。図1において、絶縁スリーブ6および及び導電スリーブ7と、プリント基板8との間に、環状の導電リング11が配置されている。この導電リング11は弾力性のある導電ゴムなどを素材とするものであって、ユニットケース1の折り返し部10による下方からの圧力を受けて、絶縁スリーブ6及び導電スリーブ7に圧力を伝える。絶縁スリーブ6は、これを第一リングとし、導電スリーブは、これを第二リングとする。
【0015】
導電リング11は、下端面がプリント基板8上の回路パターン8aに接触し、上端面が導電スリーブに接触して固定極5とプリント基板8を電気的に接続している。
【0016】
導電スリーブ7は、導電リング11により確実に接触するように、その最下端部をユニット内部方向に略直角に折曲げてなる折曲げ部7aを有している。また、絶縁スリーブ6は、導電リングの位置決めを確実にするために、その最下端部の内周面を外周方向に向かって切削することにより、段部6aが形成されている。この段部6aに上記導電リング11の外周側の角部が落ち込んで接している。
【0017】
上記折曲げ部7aが導電リング11に接触する面積をSb、上記段部6aの周方向の面が導電リング11に接触する面積をSsとした場合に、Sb>Ssの関係になるようにそれぞれの寸法を決定する。これによって、折り返し部10による押し圧力と導電リング11の弾力による上方への圧力であって、絶縁スリーブ6を介した圧力をFs、導電スリーブ7を介した圧力をFbとした場合、その関係は、Fs<Fbの関係になる。
【0018】
従って、導電スリーブ7を固定極5を介して振動板保持体2に加わる下方向からの圧力は、絶縁スリーブ6を介して振動板保持体2に加わる下方向からの圧力に比べると大きくなる。つまり、折り返し部10の押し圧力によって、振動板保持体2の外周面に応力が加わることになっても、振動板保持体2の内周面の圧力の方が高いため、内部応力による振動板保持体2の内周面の変形を防止することが可能となり、振動板2の張力変化を防止することができる。
【0019】
また、絶縁スリーブ6に対しても導電リング11の弾力を介した圧力がより確実にかかることになるので、ユニットが振動した場合に生じる異音の発生を防ぐことが可能となる。
【0020】
上記のように、ユニット内部の部材をより確実に、且つ、バランス良く固定するために、プリント基板8との接触面に導電リング11を設けたことによって、振動板の張力変化による性能劣化を防止することができ、さらに、振動などによって内部部材が動くころによって生じていた異音の発生を防ぐことが可能となる。
【0021】
以上説明した実施例に係るコンデンサマイクロホンユニットは、これをマイクロホンケースに組み込むことにより、コンデンサマイクロホンを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るコンデンサマイクロホンユニットの実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るコンデンサマイクロホンユニット内部の回路基板の例を示す平面図である。
【図3】従来の、コンデンサマイクロホンユニットの実施例を示す縦断面図である。
【図4】従来の、コンデンサマイクロホンユニット内部の回路基板の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ユニットケース
2 振動板保持体
3 振動板
4 スペーサ
5 固定極
6 絶縁スリーブ
6a 切り欠け部
7 導電スリーブ
7a 折り返し部
8 プリント基板
9 FET
10 折り返し部
11 導電リング
【出願人】 【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
【出願日】 平成18年9月8日(2006.9.8)
【代理人】 【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫


【公開番号】 特開2008−67128(P2008−67128A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243646(P2006−243646)