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【発明の名称】 フィルタ制御装置およびプログラム
【発明者】 【氏名】寺田 光太郎

【氏名】岡林 昌明

【要約】 【課題】回転方向に加えて軸方向の動き(押込状態)を検出できるノブを用いて、デジタルミキサの複数のパラメータを一のノブで調節しようとする。ここで、ユーザが押込状態の操作を誤ったときに、パラメータの意図せぬ変更が起こりにくくする。

【構成】周波数特性を調整しようとするバンドに対して、バンドパスフィルタまたはローパスフィルタなどのフィルタタイプを選択できる。ここで、バンドパスフィルタが選択されているとき、Q値ノブ202は、通常は、押し込まれているか否かにかかわらず、該バンドパスフィルタのQ値を調節する。しかし、Q値が極値(最大値)に達した後にQ値ノブ202を押し込んで計回りに回転させると、フィルタタイプがローパスフィルタに変更される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に対して、Q値およびゲインのパラメータを有するバンドパスフィルタ、Q値のパラメータを有せずゲインのパラメータを有するシェルビングフィルタ、Q値のパラメータもゲインのパラメータも有しないハイパスフィルタ、または、Q値のパラメータもゲインのパラメータも有しないローパスフィルタのうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路を制御するフィルタ制御装置であって、
回転軸を中心とした回転操作の操作量と、回転軸に沿った方向の押込状態の有無とを検出可能なQ値ノブ操作子と、
回転軸を中心とした回転操作の操作量を検出可能なゲインノブ操作子と、
前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれずに回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第1のQ値調整手段と、
前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が所定の許容範囲内のQ値に対応する場合には、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第2のQ値調整手段と、
前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が前記許容範囲から外れている場合には、前記フィルタタイプを前記シェルビングフィルタ、前記ハイパスフィルタまたは前記ローパスフィルタに切り替える第1のタイプ切替手段と、
前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタ以外のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ所定方向に回転操作されると、前記フィルタタイプを前記バンドパスフィルタに切り替える第2のタイプ切替手段と、
前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタまたは前記シェルビングフィルタであって前記ゲインノブ操作子が回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記ゲインを設定するゲイン調整手段と、
前記フィルタタイプが前記ハイパスフィルタまたは前記ローパスフィルタであって前記ゲインノブ操作子が回転操作されると、該回転操作の方向に応じて前記フィルタ回路のオン/オフ状態を切り替えるオン/オフ状態切替手段と
を有することを特徴とするフィルタ制御装置。
【請求項2】
入力信号に対して、Q値のパラメータを有する第1のタイプまたはQ値のパラメータを有しない第2のタイプのうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路を制御するフィルタ制御装置であって、
回転軸を中心とした回転操作の操作量と、回転軸に沿った方向の押込状態の有無とを検出可能なQ値ノブ操作子と、
前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれずに回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第1のQ値調整手段と、
前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が所定の許容範囲内のQ値に対応する場合には、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第2のQ値調整手段と、
前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が前記許容範囲から外れている場合には、前記フィルタタイプを前記第2のタイプに切り替える第1のタイプ切替手段と、
前記フィルタタイプが前記第2のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ所定方向に回転操作されると、前記フィルタタイプを第1のタイプに切り替える第2のタイプ切替手段と、
を有することを特徴とするフィルタ制御装置。
【請求項3】
前記第1のタイプは、バンドパスフィルタであり、前記第2のタイプはハイパスフィルタ、ローパスフィルタまたはシェルビングフィルタであることを特徴とする請求項2記載のフィルタ制御装置。
【請求項4】
前記フィルタタイプとして前記第1のタイプが選択されると、前記Q値ノブ操作子を表すQ値ノブ画像の画像とともに設定されたQ値を表示する一方、前記フィルタタイプとして前記第2のタイプが選択されると、前記Q値ノブ画像を非表示状態にする表示手段
をさらに有することを特徴とする請求項2記載のフィルタ制御装置。
【請求項5】
入力信号に対して、ゲインのパラメータを有する第Aのタイプまたはゲインのパラメータを有しない第Bのタイプのうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路を制御するフィルタ制御装置であって、
回転軸を中心とした回転操作の操作量を検出可能なゲインノブ操作子と、
前記フィルタタイプが前記第Aのタイプであって前記ゲインノブ操作子が回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記ゲインを設定するゲイン調整手段と、
前記フィルタタイプが前記第Bのタイプであって前記ゲインノブ操作子が回転操作されると、該回転操作の方向に応じて前記フィルタ回路のオン/オフ状態を切り替えるオン/オフ状態切替手段と
を有することを特徴とするフィルタ制御装置。
【請求項6】
前記第Aのタイプは、バンドパスフィルタまたはシェルビングフィルタであり、前記第Bのタイプはハイパスフィルタまたはローパスフィルタであることを特徴とする請求項5記載のフィルタ制御装置。
【請求項7】
前記ゲインノブ操作子を表すゲインノブ画像を表示するとともに、前記フィルタタイプとして前記第Aのタイプが選択されると、前記ゲインノブ画像に沿って前記ゲインを表す数値を表示する一方、、前記フィルタタイプとして前記第Bのタイプが選択されると、前記ゲインノブ画像に沿って前記フィルタ回路のオン/オフ状態を表示する表示手段
をさらに有することを特徴とする請求項5記載のフィルタ制御装置。
【請求項8】
入力信号に対して、Q値のパラメータを有する第1のタイプまたはQ値のパラメータを有しない第2のタイプのうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路を処理装置に制御させるプログラムであって、
回転軸を中心とした回転操作の操作量と、回転軸に沿った方向の押込状態の有無とを検出可能なQ値ノブ操作子の操作を検出する過程と、
前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれずに回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第1のQ値調整過程と、
前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が所定の許容範囲内のQ値に対応する場合には、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第2のQ値調整過程と、
前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が前記許容範囲から外れている場合には、前記フィルタタイプを前記第2のタイプに切り替える第1のタイプ切替過程と、
前記フィルタタイプが前記第2のタイプであって前記Q値ノブ操作子が押し込まれつつ所定方向に回転操作されると、前記フィルタタイプを第1のタイプに切り替える第2のタイプ切替過程と
を前記処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
入力信号に対して、ゲインのパラメータを有する第Aのタイプまたはゲインのパラメータを有しない第Bのタイプのうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路を処理装置に制御させるプログラムであって、
回転軸を中心とした回転操作の操作量を検出可能なゲインノブ操作子の操作を検出する過程と、
前記フィルタタイプが前記第Aのタイプであって前記ゲインノブ操作子が回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記ゲインを設定するゲイン調整過程と、
前記フィルタタイプが前記第Bのタイプであって前記ゲインノブ操作子が回転操作されると、該回転操作の方向に応じて前記フィルタ回路のオン/オフ状態を切り替えるオン/オフ状態切替過程と
を前記処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルミキサに用いて好適なフィルタ制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルミキサにおいては、各入出力チャンネルの周波数特性を調節するため、ハイパスフィルタやパラメトリックイコライザ等が設けられている。これらイコライザ等のオン/オフ状態および特性を設定するため、デジタルミキサのパネル上には多数のスイッチやノブ等が設けられている。ここで、デジタルミキサのコストダウンを図り、パネルサイズを小型化させる要望は従来から存在していた。特に、業務用のデジタルミキサはコンサートホールなどの客席に設置されることが多く、デジタルミキサが大型化するほど客席数が削られるため、パネルサイズを小型化する要望が特に高かった。このため、従来より、パネルサイズの小型化のために様々な工夫がなされてきた。
【0003】
例えば、特許文献1(該文献の図7および段落0035)においては、「1個」のノブ操作子を、フィルタの中心周波数の調整と、Q値の調整とに兼用する技術が開示されている。すなわち、このノブ操作子は、回転方向のみならず軸方向の動きも検出できるように構成されており、ノブ操作子を押し込みながら回転させるとQ値が調整され、押し込まずに回転させると中心周波数が調整されるようになっている。これにより、Q値用および中心周波数用の「2個」のノブ操作子を設ける場合と比較すると、小型化とコストダウンとを図ることができる。なお、このようなノブ操作子自体の具体的構成は、例えば特許文献2に開示されている。
【0004】
また、非特許文献1においても、「1個」のノブ操作子を、フィルタの中心周波数の調整と、Q値の調整とに兼用する技術が開示されている。この技術によれば、ユーザがノブ操作子を押下する毎に、調整対象が「中心周波数」および「Q値」に交互に切り替わる。そして、現在の調整対象を明示するために、ノブ操作子の近傍に「中心周波数」および「Q値」に対応する「2個」のLEDが設けられ、現在の調整対象に対応するLEDのみが点灯状態にされる。また、これらLEDの近傍には、「FREQUENCY」および「Q」の文字がそれぞれ印刷されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−102098号公報
【特許文献2】特開2000−260609号公報
【非特許文献1】「DM2000取扱説明書」 ヤマハ株式会社,平成14年2月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術において、ユーザがQ値を調節しようとして、ノブ操作子を押し込んで回転させたとする。この場合、押し込みの深さが足りなければ「押し込んでいない」ものと看做され、ユーザの意図に反してフィルタの中心周波数が変更されてしまう。逆に、ユーザが中心周波数を変更しようとしてノブ操作子を回転させる際、指に力が入ってノブ操作子を押し込んでしまった場合には、やはりユーザの意図に反してQ値が変更されてしまう。
【0007】
このように、「押込状態」について操作ミスが生じ、ユーザの意図に反してパラメータが変更された場合には、音声信号の音質が不適切なものになり、特にコンサートの本番中であれば、重大な問題が生じる。また、誤って調節してしまったパラメータを元の適切な状態に回復するためには、実際に放音されている音を聞きながらそのパラメータを再度調節する必要が生じ、非常に手間がかかるという問題があった。
【0008】
また、非特許文献1の技術においては、ユーザがノブ操作子を押下する毎にその調整対象が切り替わるため、ノブ操作子の物理的状態(押し込まれているか否か)のみによって調整対象を特定することができない。従って、上述したようにノブ操作子の近傍にLEDなどの表示器を設け、各LEDに対応する機能を文字などによって示す必要がある。かかる構成では、「2個」のノブ操作子を設ける場合と比較すると、確かにコストダウンは図ることができるが、パネルサイズの小型化を図ることは困難である。
【0009】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ノブ操作子に対して複数の機能を付与することによってパネルサイズの小型化とコストダウンとを共に達成できるとともに、押込状態について操作ミスが生じた場合であってもその影響をきわめて小さくすることができるフィルタ制御装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載のフィルタ制御装置にあっては、入力信号に対して、Q値およびゲインのパラメータを有するバンドパスフィルタ、Q値のパラメータを有せずゲインのパラメータを有するシェルビングフィルタ、Q値のパラメータもゲインのパラメータも有しないハイパスフィルタ、または、Q値のパラメータもゲインのパラメータも有しないローパスフィルタのうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路(152)を制御するフィルタ制御装置であって、回転軸を中心とした回転操作の操作量と、回転軸に沿った方向の押込状態の有無とを検出可能なQ値ノブ操作子(202)と、回転軸を中心とした回転操作の操作量を検出可能なゲインノブ操作子(206)と、前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれずに回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第1のQ値調整手段(SP40)と、前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が所定の許容範囲内のQ値に対応する場合には、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第2のQ値調整手段(SP50)と、前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が前記許容範囲から外れている場合には、前記フィルタタイプを前記シェルビングフィルタ、前記ハイパスフィルタまたは前記ローパスフィルタに切り替える第1のタイプ切替手段(SP52)と、前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタ以外のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ所定方向に回転操作されると、前記フィルタタイプを前記バンドパスフィルタに切り替える第2のタイプ切替手段(SP46)と、前記フィルタタイプが前記バンドパスフィルタまたは前記シェルビングフィルタであって前記ゲインノブ操作子(206)が回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記ゲインを設定するゲイン調整手段(SP76)と、前記フィルタタイプが前記ハイパスフィルタまたは前記ローパスフィルタであって前記ゲインノブ操作子(206)が回転操作されると、該回転操作の方向に応じて前記フィルタ回路(152)のオン/オフ状態を切り替えるオン/オフ状態切替手段(SP78)とを有することを特徴とする。
また、請求項2記載のフィルタ制御装置にあっては、入力信号に対して、Q値のパラメータを有する第1のタイプ(バンドパスフィルタ)またはQ値のパラメータを有しない第2のタイプ(ハイパス/ローパスフィルタ、シェルビングフィルタ)のうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路(152)を制御するフィルタ制御装置であって、回転軸を中心とした回転操作の操作量と、回転軸に沿った方向の押込状態の有無とを検出可能なQ値ノブ操作子(202)と、前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれずに回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第1のQ値調整手段(SP40)と、前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が所定の許容範囲内のQ値に対応する場合には、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第2のQ値調整手段(SP50)と、前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が前記許容範囲から外れている場合には、前記フィルタタイプを前記第2のタイプに切り替える第1のタイプ切替手段(SP52)と、前記フィルタタイプが前記第2のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ所定方向に回転操作されると、前記フィルタタイプを第1のタイプに切り替える第2のタイプ切替手段(SP46)と、を有することを特徴とする。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項2記載のフィルタ制御装置において、前記第1のタイプは、バンドパスフィルタであり、前記第2のタイプはハイパスフィルタ、ローパスフィルタまたはシェルビングフィルタであることを特徴とする。
さらに、請求項4記載の構成にあっては、請求項2記載のフィルタ制御装置において、前記フィルタタイプとして前記第1のタイプが選択されると、前記Q値ノブ操作子を表すQ値ノブ画像(232,242)の画像とともに設定されたQ値を表示する一方、前記フィルタタイプとして前記第2のタイプが選択されると、前記Q値ノブ画像(232,242)を非表示状態にする表示手段(14)をさらに有することを特徴とする。
また、請求項5記載のフィルタ制御装置にあっては、入力信号に対して、ゲインのパラメータを有する第Aのタイプ(バンドパスフィルタ、シェルビングフィルタ)またはゲインのパラメータを有しない第Bのタイプ(ハイパス/ローパスフィルタ)のうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路(152)を制御するフィルタ制御装置であって、回転軸を中心とした回転操作の操作量を検出可能なゲインノブ操作子(206)と、前記フィルタタイプが前記第Aのタイプであって前記ゲインノブ操作子(206)が回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記ゲインを設定するゲイン調整手段(SP76)と、前記フィルタタイプが前記第Bのタイプであって前記ゲインノブ操作子(206)が回転操作されると、該回転操作の方向に応じて前記フィルタ回路(152)のオン/オフ状態を切り替えるオン/オフ状態切替手段(SP78)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項6記載の構成にあっては、請求項5記載のフィルタ制御装置において、前記第Aのタイプは、バンドパスフィルタまたはシェルビングフィルタであり、前記第Bのタイプはハイパスフィルタまたはローパスフィルタであることを特徴とする。
さらに、請求項7記載の構成にあっては、請求項5記載のフィルタ制御装置において、前記ゲインノブ操作子(206)を表すゲインノブ画像(226)を表示するとともに、前記フィルタタイプとして前記第Aのタイプが選択されると、前記ゲインノブ画像(226)に沿って前記ゲインを表す数値を表示する一方、、前記フィルタタイプとして前記第Bのタイプが選択されると、前記ゲインノブ画像(226)に沿って前記フィルタ回路(152)のオン/オフ状態を表示する表示手段(14)をさらに有することを特徴とする。
また、請求項8記載のプログラムにあっては、入力信号に対して、Q値のパラメータを有する第1のタイプ(バンドパスフィルタ)またはQ値のパラメータを有しない第2のタイプ(ハイパス/ローパスフィルタ、シェルビングフィルタ)のうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路(152)を処理装置(18)に制御させるプログラムであって、回転軸を中心とした回転操作の操作量と、回転軸に沿った方向の押込状態の有無とを検出可能なQ値ノブ操作子(202)の操作を検出する過程と、前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれずに回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第1のQ値調整過程(SP40)と、前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が所定の許容範囲内のQ値に対応する場合には、該回転操作の操作量に応じて前記Q値を設定する第2のQ値調整過程(SP50)と、前記フィルタタイプが前記第1のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ回転操作され、かつ、該回転操作に基づいて決定された新たなQ値が前記許容範囲から外れている場合には、前記フィルタタイプを前記第2のタイプに切り替える第1のタイプ切替過程(SP52)と、前記フィルタタイプが前記第2のタイプであって前記Q値ノブ操作子(202)が押し込まれつつ所定方向に回転操作されると、前記フィルタタイプを第1のタイプに切り替える第2のタイプ切替過程(SP46)とを前記処理装置(18)に実行させることを特徴とする。
また、請求項9記載のプログラムにあっては、入力信号に対して、ゲインのパラメータを有する第Aのタイプ(バンドパスフィルタ、シェルビングフィルタ)またはゲインのパラメータを有しない第Bのタイプ(ハイパス/ローパスフィルタ)のうち何れかのフィルタタイプによるフィルタリング処理を行い出力するフィルタ回路(152)を処理装置(18)に制御させるプログラムであって、回転軸を中心とした回転操作の操作量を検出可能なゲインノブ操作子(206)の操作を検出する過程と、前記フィルタタイプが前記第Aのタイプであって前記ゲインノブ操作子(206)が回転操作されると、該回転操作の操作量に応じて前記ゲインを設定するゲイン調整過程(SP76)と、前記フィルタタイプが前記第Bのタイプであって前記ゲインノブ操作子(206)が回転操作されると、該回転操作の方向に応じて前記フィルタ回路(152)のオン/オフ状態を切り替えるオン/オフ状態切替過程(SP78)とを前記処理装置(18)に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明にあっては、通常の操作状態においては、ノブ操作子を押し込んだ場合と押し込んでいない場合とで動作に差異が生じる場合は少なく、ある特殊な条件下でのみ動作に差異が生じるようにしたため、押込状態について操作ミスが生じた場合であってもその影響をきわめて小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.実施例のハードウエア構成
次に、本発明の一実施例のデジタルミキサ1のハードウエア構成を図1を参照し説明する。図1において4は電動フェーダ群であり、操作者の操作に基づいて各入出力チャンネルの信号レベルを調節する。さらに、電動フェーダ群4は、バスライン12を介して操作コマンドが供給されると、その操作位置が自動設定されるように構成されている。
【0013】
2はスイッチ群であり、各種のスイッチおよびLEDキーから構成され、LEDキーに内蔵されたLEDの点滅状態はバスライン12を介して設定される。6は回転ノブ群であり、様々なパラメータ値を設定する回転ノブから構成されている。そして、これら回転ノブの操作量はバスライン12を介して出力される。8は波形I/O部であり、アナログ音声信号またはデジタル音声信号を入出力する。本実施例においては、各種音声信号のミキシング処理・効果処理等は全てデジタル処理により実行される。しかし、外部から入力される音声信号および外部に出力すべき音声信号はデジタル、アナログ信号の双方が考えられる。このため、波形I/O部8においては、アナログ信号とデジタル信号間の変換、複数種類のデジタル信号相互間の変換等の処理が行われる。
【0014】
次に、10は信号処理部であり、一群のDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)によって構成されている。信号処理部10は、波形I/O部8を介して供給されたデジタル音声信号に対してミキシング処理や効果処理を施し、その結果を波形I/O部8に出力する。14は大型表示器であり、例えば「1024×768」程度の解像度を有するフラットパネルディスプレイによって構成されている。15は入力装置であり、操作パネル上の各種操作子、キーボードおよびマウス等から構成され、大型表示器14上のカーソル移動や該大型表示器14に表示されたボタンのオンオフ操作等を行う。16はその他I/O部であり、各種の外部機器との間でタイムコードその他の情報を入出力する。18はCPUであり、後述する制御プログラムに基づいて、バスライン12を介して各部を制御する。20はフラッシュメモリであり、その内部のプログラム領域には上記制御プログラムが記憶されている。22はRAMであり、CPU18のワークメモリとして使用される。
【0015】
2.ミキシングアルゴリズム構成
次に、信号処理部10等において実現されるアルゴリズムの内容を図2を参照し説明する。なお、当該アルゴリズムは信号処理部10に設定されるプログラムによって実現されるものであり、該プログラムは、CPU18の制御の下、フラッシュメモリ20等から信号処理部10にロードされる。図2において102はアナログ入力部であり、マイクレベルまたはラインレベルのアナログ音声信号を受信すると、これをデジタル音声信号に変換し、信号処理部10に供給する。
【0016】
104はデジタル入力部であり、デジタル音声信号を受信すると、これを信号処理部10内部のフォーマットに変換する。128はアナログ出力部であり、信号処理部10から供給されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し外部に出力する。130はデジタル出力部であり、信号処理部10から供給された内部フォーマットのデジタル音声信号を所定フォーマット(AES/EBU,ADAT,TASCAM等)のデジタル音声信号に変換し出力する。
【0017】
以上述べた構成は、信号処理部10とは別体のハードウエアである波形I/O部8およびここに介挿される各種カードにより実現されているが、上記以外の構成は信号処理部10において動作するプログラムによって実現されている。112は入力チャンネル調整部であり、操作パネルの電動フェーダおよび操作子の操作に基づいて、最大「48」チャンネルの入力チャンネルに対して音量・音質等の調整を行う。
【0018】
110はステレオ入力チャンネル調整部であり、最大4チャンネルのステレオ入力チャンネルに対して音量・音質等の調整を行う。なお、「1」系統のステレオの音声信号は左右「2」系統の音声信号から構成されていることとする。108は入力パッチ部であり、入力部102,104等の複数の入力ポートから供給されたデジタル音声信号を、ステレオ入力チャンネル調整部110および入力チャンネル調整部112の任意の入力チャンネルに割り当てる。
【0019】
116はMIXバス群であり、「12」系統のMIXバスから構成されている。各MIXバスにおいては、各入力チャンネルおよび各ステレオ入力チャンネル(以下、「入力チャンネル等」という)のデジタル音声信号のうち当該MIXバスに供給されたものがミキシングされる。各入力チャンネル等においては、音声信号をMIXバスに供給するか否かを各MIXバス毎に設定することができ、供給する場合には各MIXバスに対するセンドレベルやフェードモード(プリフェード/ポストフェード)等も系統毎に独立して設定することができる。118はステレオバスであり、「1」系統のステレオバスから構成されている。ステレオバスの構成は上記MIXバスと同様である。
【0020】
120はステレオ出力チャンネル部であり、該ステレオバスにおけるミキシング結果のレベル調節および音質調節を行なう。122はMIX出力チャンネル部であり、上記各MIXバスにおけるミキシング結果のレベル調節および音質調節を行なう。126は出力パッチ部であり、ステレオ出力チャンネル部120およびMIX出力チャンネル部122の出力信号を、各出力部128,130の任意のユニットに割り当てる。
【0021】
次に、入力チャンネル調整部112、ステレオ出力チャンネル部120およびMIX出力チャンネル部122におけるアルゴリズム構成の詳細を図3を参照し説明する。図において112−nは第n入力チャンネル調整部であり、第n入力チャンネル(1≦n≦48)における音質・音量調整を行う。また、122−mは第mMIX出力チャンネル部であり、第mMIX出力チャンネル(1≦m≦12)における音質・音量調整を行う。第n入力チャンネル調整部112−nの内部において150はアッテネータであり、入力信号を減衰させる。151はハイパスフィルタであり、入力信号の低周波成分を減衰する。このハイパスフィルタ151は、主としてマイク入力に対して音の濁りを防止するために用いられるものであり、カットオフ周波数が「100Hz」前後に設定される。このハイパスフィルタ151はオフ状態に設定することができ、オフ状態に設定されるとその周波数特性がフラットになる。
【0022】
152は「4」バンドのパラメトリックイコライザであり、入力信号の音質調整を行う。すなわち、これら「4」バンドは、HIGH(高音),HIGH_MID(中高音),LOW_MID(中低音),LOW(低音)であり、HIGHバンドに対しては、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタまたはシェルビングフィルタのうち何れかが適用され、LOWバンドに対してはバンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはシェルビングフィルタのうち何れかが適用される。また、HIGH_MIDバンドおよびLOW_MIDバンドに対しては、バンドパスフィルタが適用される。パラメトリックイコライザ152においては、これら各バンドに設定されたパラメータに基づいて、各バンド毎に周波数特性の調整が行われる。
【0023】
153はコンプレッサであり、入力信号のダイナミクスを圧縮する。154はチャンネル遅延部であり、必要に応じて入力信号を遅延させる。155は音量調整部であり、第n入力チャンネルの音声信号のゲインを調節する。156はオンオフ切換部であり、第n入力チャンネル全体のオンオフを切り換える。
【0024】
162−1〜162−12は信号切換部であり、第n入力チャンネルから「12」系統のMIXバスに各々出力され得る音声信号をフェードモードに応じて切り換える。すなわち、フェードモードが「プリフェード」に設定されると、チャンネル遅延部154の出力信号が選択され、「ポストフェード」に設定されるとオンオフ切換部156の出力信号が選択される。164−1〜164−12はセンドレベル調節部であり、各MIXバスに出力する信号のゲインすなわちセンドレベルを調節する。166−1〜166−12はセンドオンオフ切換部であり、各MIXバスに対する音声信号供給のオン/オフ状態を設定する。158はステレオセンドオンオフ切換部であり、第n入力チャンネルの音声信号をステレオバス118に供給するか否かを切り換える。160はPAN設定部であり、該音声信号をステレオバス118に供給する際の左右の音量バランスを設定する。
【0025】
次に、ステレオ出力チャンネル部120の内部において170は「4」バンドのパラメトリックイコライザであり、該ステレオ出力チャンネルの音質調整を行う。171はコンプレッサであり、音声信号のダイナミクスを圧縮する。172−L,Rは音量調整部であり、ステレオ出力チャンネルの左右の出力ゲインを調節する。174−L,Rはオンオフ切換部であり、ステレオ出力チャンネルの左右のオン/オフ状態を切り換える。176−L,Rはチャンネル遅延部であり、ステレオ出力チャンネルの音声信号を必要に応じて遅延する。
【0026】
次に、第mMIX出力チャンネル部122−mの内部において180は「4」バンドのパラメトリックイコライザであり、該MIX出力チャンネルの音質調整を行う。181はコンプレッサであり、音声信号のダイナミクスを圧縮する。182は音量調整部であり、第mMIX出力チャンネルの出力ゲインを調節する。184はオンオフ切換部であり、第mMIX出力チャンネルのオン/オフ状態を切り換える。186はチャンネル遅延部であり、該出力チャンネルの音声信号を必要に応じて遅延する。
【0027】
3.ユーザインタフェース
ユーザは、上述した各入力チャンネルおよびMIX出力チャンネルのうち任意の一チャンネルを詳細なパラメータを設定するためのチャンネルとして選択することができる。この選択されたチャンネルを「選択チャンネル」という。デジタルミキサの操作パネルには、選択チャンネルの各種パラメータを設定するための「選択チャンネル部」が設けられている。その選択チャンネル部の要部の平面図を図4に示す。
【0028】
図4において200はHPFノブであり、選択チャンネルのハイパスフィルタ151(図3参照)のカットオフ周波数を設定する。また、選択チャンネルのパラメトリックイコライザ152,170,または180のパラメータの調整を行うためには、HIGH,HIGH_MID,LOW_MID,LOWバンドのうち何れか一のバンドを選択する必要がある。208〜214はバンド選択キーであり、押下される毎に、これら「4」バンドのうち対応するバンドを択一的に選択する。選択されたバンドを「調整対象バンド」という。バンド選択キー208〜214にはLEDが内蔵されており、調整対象バンドに係るLEDのみが点灯状態になる。
【0029】
202はQ値ノブであり、調整対象バンドのQ値の調節等を行う。204は周波数ノブであり、バンドパスフィルタにおいては中心周波数、ハイパス/ローパスフィルタにおいてはカットオフ周波数、シェルビングフィルタにおいてはシェルビング周波数を調節する。なお、以下の説明においては、これら中心周波数、カットオフ周波数およびシェルビング周波数を総称して「フィルタ周波数」という。206はゲインノブであり、調整対象バンドのゲイン等を調節する。216はカーソルボタンであり、大型表示器14に表示されたカーソルを上下左右に移動させるものである。また、217はENTERボタンであり、カーソル位置におけるパラメータのオン/オフ切換等を行う。また、以下の説明において「ハイパス/ローパスフィルタ」とは、LOWバンドにおいては「ハイパスフィルタ」を意味し、HIGHバンドにおいては「ローパスフィルタ」を意味する。
【0030】
また、ユーザが、何れかのバンド選択キー208〜214を押下すると、大型表示器14には、主要パラメータ設定画面が表示される。ここで、主要パラメータ設定画面とは、選択チャンネルに係るアッテネータ、ハイパスフィルタ、パラメトリックイコライザ、コンプレッサおよびチャンネル遅延部等のパラメータのうち、変更される頻度の高いパラメータの表示・設定を行う画面である。主要パラメータ設定画面のうち、選択チャンネルのハイパスフィルタおよびパラメトリックイコライザの設定に係る部分、すなわちHPF・PEQ概要設定部220の表示例を図5(a)に示す。
【0031】
図5(a)において、221はバンド名表示部であり、LOW,LOW_MID(L_MID),HIGH_MID(H_MID),HIGHバンドの各名称を表す文字列を表示する。これらの文字列のうち、現在選択されている調整対象バンドに係る文字列の部分には、カーソル258が表示される。このカーソル258の位置は、バンド選択キー208〜214に応じて移動する他、カーソルボタン216の操作によっても移動し、移動先のバンドが調整対象バンドとして選択される。
【0032】
232,242はQ値ノブ画像であり、LOW_MIDおよびHIGH_MIDバンドのQ値を、その数値データとともに表示する。224,234,244,254は周波数ノブ画像であり、各バンドのフィルタ周波数をその数値データとともに表示する。また、226,236,246,256はゲインノブ画像であり、各バンドのゲインをその数値データとともに表示する。260は周波数特性グラフ表示部であり、各バンドにおける周波数特性の設定状態に基づく、全体の周波数特性をグラフとして表示する。
【0033】
また、図5(a)の例においては、HIGHおよびLOWバンドのフィルタタイプとして「シェルビングフィルタ」が選択されていることとする。シェルビングフィルタにおいては、「Q値」なるパラメータは存在しないため、HIGHおよびLOWバンドにおいては、Q値ノブ画像は表示されていない。しかし、HIGHまたはLOWバンドにおいてバンドパスフィルタのフィルタタイプが選択された場合には、図中の破線222,252に示す箇所にQ値ノブ画像が表示される。また、259はHPFノブ画像であり、選択チャンネルのハイパスフィルタ151のカットオフ周波数をその数値データとともに表示する。
【0034】
また、ユーザが所定の操作を行うと、選択チャンネルのハイパスフィルタおよびパラメトリックイコライザの設定を専門に行うための画面、すなわち図5(b)に示すHPF・PEQ詳細設定画面300が表示される。図5(b)において、264はHPFノブ画像であり、上述したHPFノブ画像259と同様に、選択チャンネルのハイパスフィルタ151のカットオフ周波数をその数値データとともに表示する。266はHPFオン/オフボタンであり、当該ボタンがカーソル位置にあるときにENTERボタン217が押下されると、ハイパスフィルタのオン/オフ状態がトグルで切り替えられる。
【0035】
268はPEQオン/オフボタンであり、選択チャンネルにおけるパラメトリックイコライザ152,170,180のオン/オフ状態を切り替える。ここで、パラメトリックイコライザがオフ状態に設定されると、その周波数特性はフラットになる。277はシェルビングフィルタ選択ボタン、278はハイパスフィルタ選択ボタンであり、LOWバンドのフィルタタイプがバンドパスフィルタではない場合のフィルタタイプを選択する。
【0036】
すなわち、ボタン277,278はその一方のみをオン状態に設定することができる。そして、フィルタタイプを「バンドパスフィルタ以外のタイプ」に設定する操作が行われると(詳細は後述する)、シェルビングフィルタ選択ボタン277がオン状態であればLOWバンドのフィルタタイプはシェルビングフィルタになり、ハイパスフィルタ選択ボタン278がオン状態であればLOWバンドのフィルタタイプはハイパスフィルタになる。なお、ボタン277,278の双方がオフ状態になると、LOWバンドのフィルタタイプはバンドパスフィルタになる。
【0037】
同様に、307はシェルビングフィルタ選択ボタン、308はローパスフィルタ選択ボタンであり、「バンドパスフィルタ以外のタイプ」が指定されたときのHIGHバンドのフィルタタイプを選択する。すなわち、かかる場合は、シェルビングフィルタ選択ボタン307がオン状態であればHIGHバンドのフィルタタイプはシェルビングフィルタになり、ハイパスフィルタ選択ボタン278がオン状態であればHIGHバンドのフィルタタイプはハイパスフィルタになる。
【0038】
272,282,292,302はQ値ノブ画像、274,284,294,304は周波数ノブ画像、276,286,296,306はゲインノブ画像であり、HPF・PEQ概要設定部220における各ノブ画像224〜256と同様に、各バンドのQ値、フィルタ周波数およびゲインを数値データとともに表示する。但し、フィルタタイプがバンドパスフィルタ以外であるときは、図5(a)の場合と同様にQ値ノブ画像272,302は表示されない。図5(b)の例においては、HIGHおよびLOWバンドのフィルタタイプとしてバンドパスフィルタが選択されており、Q値ノブ画像272,302が表示されている点で図5(a)のものとは異なる。262は周波数特性グラフ表示部であり、周波数特性グラフ表示部260と同様に、各バンドにおける周波数特性の設定状態に基づく、全体の周波数特性をグラフとして表示する。
【0039】
以上のように、HPF・PEQ詳細設定画面300においては、HPF・PEQ概要設定部220において設定可能なパラメータが全て設定できるとともに、HPFオン/オフボタン266を用いてハイパスフィルタのオン/オフ状態を設定でき、ボタン277,278,307,308を用いてHIGHおよびLOWバンドのフィルタタイプが設定できるなど、さらに豊富なパラメータを設定できることが解る。但し、HPF・PEQ詳細設定画面300を大型表示器14に表示させるためには、大型表示器14におけるメニュー階層をより深く辿ってゆく等の手間も必要である。
【0040】
4.ノブ操作子の構成
次に、図4におけるノブ操作子200〜206の詳細構成を図6を参照し説明する。これらのノブ操作子は無限回転型である。すなわち、回転方向については「絶対位置」を示す信号は出力されず、時計回りまたは反時計回りに所定角度以上回動される毎に、その回転角に応じた操作量が出力される。操作量が出力されると、対応するルーチン(詳細は後述する)が起動され、現在のパラメータの値に対して変更が加えられる。
【0041】
ノブ操作子200〜206を構成するノブ操作子ユニット30は、円柱状の操作子であるノブ31と、ノブ31に固定された軸32とを有し、軸32を回転軸としてこれを中心にノブ31を回転させる回転操作が可能である。また、ノブ31を押し込むことにより、軸32に沿った方向の移動操作も可能である。図6では、(a)に、ノブ31を押し込まない状態を、(b)に、ノブ31を押し込んだ状態を示している。なお、回転操作は、ノブ31を押し込んだ状態でも押し込まない状態でも、同じように行うことができる。
【0042】
さらに、ノブ操作子ユニット30には、バネ等による付勢部材39が設けられ、ノブ31から手を離した状態、すなわち移動操作がユーザによって意図的に行われていない状態では、ノブ31の軸方向の位置は、押し込まない状態の位置に戻るようにしている。そこで、この位置を、「基準位置」と呼ぶことにする。
【0043】
また、ノブ操作子ユニット30には、その回転操作を検出する手段とし、軸32を支えると共にその回転に伴って回転する2対のローラー33,34が設けられている。そして、そのローラーの1つについて、回転量及び回転方向を示す信号を回転操作検出部35に入力することにより、ノブ31に回転操作があった場合に、回転操作検出部35において、その回転量及び回転方向を検出できるようにしている。さらに、回転操作時に、操作の1単位とする所定回転角毎に、操作者が軽い抵抗感を感じるようにする手段を設け、抵抗感の回数で、操作量を認識できるようにしても良い。
【0044】
また、移動操作を検出する手段としては、接触センサ36,37及び、軸32に固定した係止部材38が設けられている。また、これらの位置関係は、ノブ31が基準位置にある場合には、係止部材38が上側の接触センサ36に接触し、つまみ32が押し込まれた場合には係止部材38が下側の接触センサ37に接触するように設定されている。そして、接触センサ36,37による係止部材38の接触有無の検出信号が軸方向操作検出部40に入力され、軸方向操作検出部40において、ノブ31が基準位置にあるか押し込まれた位置にあるか(又はその中間か)が検出され、これに基づいて、移動操作が行われているか否かが判定される。
【0045】
なお、回転操作検出部35と軸方向操作検出部40は、本実施例においてはCPU11の一機能として実現されているが、別体の検出回路15によって構成してもよい。また、以上の構成はあくまでも一例であり、回転軸を中心とした回転操作と、回転軸に沿った方向の移動操作とが可能であり、これらの操作を検出する機能と、操作が行われない場合には回転軸方向の位置が所定の基準位置に戻る機能とを実現できれば、どのような構成でも構わない。
【0046】
5.実施例の動作
5.1.HPFノブ操作イベント
HPFノブ200の操作イベントが発生すると、図7に示すHPFノブ操作イベントルーチンが起動される。図において処理がステップSP2に進むと、HPFノブ200が押込状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると処理はステップSP4に進み、選択チャンネルのハイパスフィルタ151のカットオフ周波数が、操作量に相当する差分だけ増減され、本ルーチンの処理が終了する。
【0047】
但し、ハイパスフィルタ151のカットオフ周波数は、所定の最低周波数から最高周波数までの範囲内において設定可能になっている。現在のカットオフ周波数に対して操作量に相当する差分を増減した結果が最低周波数未満になると、カットオフ周波数は最低周波数に留められ、また、差分を増減した結果が最高周波数を超えると、カットオフ周波数は最高周波数に留められる。
【0048】
一方、HPFノブ200が押込状態であれば処理はステップSP6に進み、選択チャンネルのハイパスフィルタ151が現在オフ状態に設定されているか否かが判定される。オフ状態であれば「YES」と判定され処理はステップSP16に進む。ここでは、オン状態への切り替え方向(時計回り)にHPFノブ200が操作されたか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、本ルーチンの処理は直ちに終了する。すなわち、選択チャンネルのハイパスフィルタ151がオフ状態であれば、HPFノブ200を押下しつつ反時計回りに回転させたとしても、実質的な処理は行われないことになる。
【0049】
一方、オン状態への切り替え方向(時計回り)にHPFノブ200が操作された場合は、処理はステップSP18に進み、選択チャンネルのハイパスフィルタ151がオン状態に設定される。次に、処理がステップSP20に進むと、大型表示器14上の画像がオン状態のものに切り替えられる。その詳細を図5(a),(b)を再び参照し説明する。これらの図においては、HPFノブ画像259,264の下方に「80.0」という数値データが表示されている。この数値データは、選択チャンネルのハイパスフィルタがオン状態であって、そのカットオフ周波数が「80.0Hz」であることを表している。一方、ハイパスフィルタ151がオフ状態に設定されていると、HPFノブ画像259,264の下方には、「OFF」という文字列が表示される。ステップSP18においては、後者の表示(OFF)が前者の表示(数値)に切り替えられる。
【0050】
次に、処理がステップSP22に進むと、選択チャンネルのハイパスフィルタ151のカットオフ周波数が操作量に相当する差分だけ増加される。但し、この場合では元々のカットオフ周波数が最低周波数であったものとみなされ、カットオフ周波数は最低周波数に対して操作量に相当する差分を加えた値になる。
【0051】
また、選択チャンネルのハイパスフィルタ151がオン状態に設定されていれば、ステップSP6において「NO」と判定され、処理はステップSP8に進む。ここでは、現在のハイパスフィルタ151のカットオフ周波数と、操作量に相当する差分との合計が最低周波数以上に留まっているか否かが判定される。ここで、「YES」と判定されると処理はステップSP10に進み、上述したステップSP4と同様に、ハイパスフィルタ151のカットオフ周波数が操作量に相当する差分だけ増減される。換言すれば、ハイパスフィルタ151がオン状態であれば、現在のカットオフ周波数に対して操作量に相当する差分を増減した結果が最低周波数未満にならない限り、押込状態であるか否かにかかわらず処理内容は同様のものになる。
【0052】
一方、現在のハイパスフィルタ151のカットオフ周波数と、操作量に相当する差分との合計が最低周波数未満になると、ステップSP8において「NO」と判定され、処理はステップSP12に進む。ここでは、ハイパスフィルタ151がオフ状態に設定される。次に、処理がステップSP14に進むと、大型表示器14の画像がオフ状態のものに切り替えられる。すなわち、カットオフ周波数の数値表示が文字列「OFF」に変更される。
【0053】
5.2.PEQ・Q値ノブ操作イベント
また、Q値ノブ202の操作イベントが発生すると、図8に示すPEQ・Q値ノブ操作イベントルーチンが起動される。図において処理がステップSP32に進むと、現在の調整対象バンドは、フィルタタイプを切り替え可能なバンドすなわちHIGHまたはLOWバンドであるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP34に進む。ここでは、現在の調整対象バンド(HIGH_MIDまたはLOW_MIDバンドのうち何れか)のバンドパスフィルタのQ値が、操作量に相当する差分だけ増減され、本ルーチンの処理が終了する。かかる場合には、Q値ノブ202が押込状態であるか否かは関知されない。但し、このQ値は所定の最小値から最大値までの範囲内において設定可能になっている。現在のQ値に対して操作量に相当する差分を増減した結果が最小値未満になると、Q値は「0」に留められ、また、差分を増減した結果が最大値を超えると、Q値は最大値に留められる。
【0054】
一方、調整対象バンドとしてHIGHまたはLOWバンドが選択されていた場合には、ステップSP32において「YES」と判定され、処理はステップSP36に進む。ここでは、Q値ノブ202が押込状態であるか否かが判定される。ステップSP36において「NO」と判定されると、処理はステップSP38に進み、調整対象バンドのフィルタタイプとして、「バンドパスフィルタ」が選択されているか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP40に進み、上記ステップSP34と同様に、現在の調整対象バンド(HIGHまたはLOWバンド)のバンドパスフィルタのQ値が、最小値から所定の最大値までの範囲内において操作量に相当する差分だけ増減され、本ルーチンの処理が終了する。
【0055】
一方、フィルタタイプが「バンドパスフィルタ」でなければ、ステップSP38において「NO」と判定され、実質的な処理が行われることなく本ルーチンの処理が終了する。フィルタタイプが「バンドパスフィルタ」でなければ、フィルタタイプは「ハイパスフィルタ」、「ローパスフィルタ」または「シェルビングフィルタ」のうち何れかである。これらのフィルタタイプにおいては、「Q値」なるパラメータは存在しないため、Q値ノブ202が押し込まれることなく操作されたとしても、その操作が一切無視されることになる。
【0056】
また、Q値ノブ202が押込状態であれば、ステップSP36において「YES」と判定され、処理はステップSP42に進む。ここでは、調整対象バンドのフィルタタイプがバンドパスフィルタ以外のタイプであるか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP44に進む。ここでは、操作方向が「切り替え方向」であるか否かが判定される。ここで、「切り替え方向」とは、現在のフィルタタイプがシェルビングフィルタであれば「反時計回り」であり、現在のフィルタタイプがハイパス/ローパスフィルタであれば「時計回り」である。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP46に進み、調整対象バンドのフィルタタイプが「バンドパスフィルタ」に切り替えられる。なお、上述したボタン277,278,307,308(図5(b)参照)もここで全てオフ状態に切り替えられる。一方、操作方向が切り替え方向ではなかった場合は「NO」と判定され、実質的な処理が行われることなく本ルーチンが終了する。
【0057】
また、調整対象バンドのフィルタタイプが「バンドパスフィルタ」であった場合には、ステップSP42において「NO」と判定され、処理はステップSP48に進む。ここでは、現在のQ値に対して操作量に相当する差分を加算した加算結果が極値を超えていない状態、すなわち最小値以上であって最大値以下の範囲であるか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP50に進み、上記ステップSP34と同様に、現在の調整対象バンドのバンドパスフィルタのQ値が、操作量に相当する差分だけ増減され、本ルーチンの処理が終了する。
【0058】
また、現在のQ値に対して操作量に相当する差分を加算した加算結果が極値を超えている場合、すなわち最小値未満であるか最大値を超えた値である場合は処理はステップSP52に進み、フィルタタイプが切り替えられる。なお、切り替えられる先のフィルタタイプは、「最小値未満」になった場合はハイパス/ローパスフィルタ(LOWバンドにおいてはハイパスフィルタ、HIGHバンドにおいてはローパスフィルタ)であり、「最大値を超えた」場合はシェルビングフィルタである。なお、上述したボタン277,278,307,308(図5(b)参照)のオン/オフ状態もこの新たなフィルタタイプに応じて切り替えられる。次に、処理がステップSP54に進むと、切り替えられた後のフィルタタイプがハイパス/ローパスフィルタであるか否かが判定される。
【0059】
ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP56に進み、ゲインノブ206の機能が「フィルタのオン/オフ状態切替」の機能に変更される。次に、処理がステップSP58に進むと、ゲインノブ画像226,256,276または306の表示がオン/オフ表示に切り替えられる。図5(a),(b)においては、これらのゲインノブ画像の下方には、「0.0」あるいは「+8.0」という数値データが表示されている。この数値データは、フィルタゲインをdB単位で表示したものである。しかし、ハイパス/ローパスフィルタには、「ゲイン」なるパラメータが存在しないため、ステップSP56においては、この数値の部分がフィルタのオン/オフ状態を表す「ON」または「OFF」の文字列に変更される。
【0060】
次に、処理がステップSP60に進むと、調整対象バンドのQ値ノブ画像およびその下方の数値表示が消去される。なお、対応するQ値ノブ画像が消去されたとしても、上述したようにQ値ノブ202に対する操作は依然として有効であり、Q値ノブ202が押し込まれた状態で切り替え方向(反時計回り)に回動されると、調整対象バンドのフィルタタイプが「バンドパスフィルタ」に切り替えられる(ステップSP44,SP46)。
【0061】
また、ステップSP52において切り替えられた後のフィルタタイプが「シェルビングフィルタ」であった場合には、上記ステップSP54において「NO」と判定される。かかる場合には、ステップSP56,SP58がスキップされた後にステップSP60が実行され、Q値ノブ画像等が消去される。シェルビングフィルタにおいては、「ゲイン」なるパラメータは依然として有効であるため、ゲインノブに係る機能および表示状態は、フィルタタイプがバンドパスフィルタであった時と同様の状態に留められる。
【0062】
5.3.PEQ・ゲインノブ操作イベント
また、ゲインノブ206の操作イベントが発生すると、図9に示すPEQ・ゲインノブ操作イベントルーチンが起動される。図において処理がステップSP72に進むと、現在の調整対象バンドは、フィルタタイプを切り替え可能なバンドすなわちHIGHまたはLOWバンドであるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP76に進む。ここでは、現在の調整対象バンド(HIGH_MIDまたはLOW_MIDバンドのうち何れか)のバンドパスフィルタのゲインが操作量に相当する差分だけ増減され、本ルーチンの処理が終了する。但し、バンドパスフィルタのゲインは所定の最低値から最高値までの範囲内において設定可能になっている。現在のゲインに対して操作量に相当する差分を増減した結果が最低値未満になると、ゲインは最低値に留められ、また、差分を増減した結果が最高値を超えると、ゲインは最高値に留められる。
【0063】
一方、調整対象バンドとしてHIGHまたはLOWバンドが選択されていた場合には、ステップSP72において「YES」と判定され、処理はステップSP74に進む。ここでは、ゲインノブ206の機能が「フィルタのオン/オフ状態切替」であるか否かが判定される。フィルタタイプが「バンドパスフィルタ」または「シェルビングフィルタ」である場合には、ゲインノブ206の機能は「フィルタのオン/オフ状態切替」ではないため「NO」と判定され、処理はステップSP76に進み、上述したように最低値から最高値までの範囲内においてバンドパスフィルタまたはシェルビングフィルタのゲインが操作量に相当する差分だけ増減され、本ルーチンの処理が終了する。
【0064】
一方、先にステップSP56において説明したように、フィルタタイプがハイパス/ローパスフィルタである場合には、ゲインノブ206の機能は「フィルタのオン/オフ状態切替」に設定されている。かかる場合には、ステップSP74において「YES」と判定され、処理はステップSP76に進む。ここでは、操作方向が切り替え方向であるか否かが判定される。ここで、ゲインノブ206の機能が「フィルタのオン/オフ状態切替」に設定されているとき、ゲインノブ206を時計回りに回すとフィルタがオン状態に設定され、反時計回りに回すとフィルタがオフ状態に設定されることとしている。
【0065】
従って、現在、調整対象バンドのフィルタが「オン状態」であれば、切り替え方向は「反時計回り」になり、フィルタが「オフ状態」であれば、切り替え方向は「時計回り」になる。ステップSP76において「YES」と判定されると、処理はステップSP78に進み、フィルタのオン/オフ状態が反転するように切り替えられる。一方、ステップSP76において「NO」と判定されると、特に実質的な処理が行われることなく本ルーチンが終了する。
【0066】
6.実施例の効果
(1)本実施例において、HPFノブ200を押し込んで反時計回りに回転させると、ハイパスフィルタ151のカットオフ周波数が徐々に低くなり(ステップSP10)、カットオフ周波数が最低周波数に達した後もHPFノブ200を押込状態のままさらに反時計回りに回転させると、ハイパスフィルタ151がオフ状態になる(ステップSP12)。ここで、ユーザがハイパスフィルタ151をオフ状態にすることを意図してHPFノブ200を押し込みつつ反時計回りに回転させようとしたが、押し込みの深さが足りなかったため、「押し込んでいない」ものと看做された場合を想定してみる。
【0067】
かかる場合は、カットオフ周波数が最低周波数に達するが、ハイパスフィルタ151自体はオン状態に保たれる。しかし、ハイパスフィルタ151をオン状態にしつつそのカットオフ周波数を最低周波数にした場合と、ハイパスフィルタ151をオフ状態にした場合とでは、聴感上の音質の違いは小さな場合が多く、放音される音声に対する影響を小さなものに留めることができる。さらに、ユーザは、誤操作に気付いた際には、HPFノブ200を再び押し込み、HPFノブ200を反時計回りに若干回転させるだけで意図した状態(オフ状態)にハイパスフィルタ151を設定でき、誤操作による影響をきわめて小さくすることができる。
【0068】
また、ユーザがハイパスフィルタ151をオン状態に保ちつつそのカットオフ周波数を最低周波数付近で調節している際に、誤ってHPFノブ200を押し込んでしまうと、ユーザの意図に反してハイパスフィルタ151がオフ状態にされる可能性も考えられる。しかし、上述したように、カットオフ周波数が最低周波数付近では、ハイパスフィルタ151のオン/オフ状態による聴感上の音質の違いは小さな場合が多いから、やはり誤操作による影響をきわめて小さくすることができる。
【0069】
(2)また、本実施例においては、調整対象バンドのフィルタタイプが「バンドパスフィルタ」であるときにQ値ノブ202を押し込んで回転させると、フィルタのQ値が徐々に変化し、やがてQ値が極値を超えると、フィルタタイプが「ハイパス/ローパスフィルタ」または「シェルビングフィルタ」に切り替えられる(ステップSP48,SP52)。かかる場合には、フィルタタイプの切替えの前後において音質が相当に変化する場合も多い。
【0070】
しかし、本実施例においては、現在のQ値に対して操作量に相当する差分を加算した加算結果が極値(Q値の最大値または最小値)を超えたときにフィルタタイプを切り替えるようにしたため、誤操作によってユーザの意に反してフィルタタイプが切り替えられることは極めて稀である。一般的に、パラメトリックイコライザは、あるチャンネルの音声信号の全体の周波数特性を調整するために用いられるものであるから、Q値は中間的な値に設定されることが多い。従って、通常の使用状態(Q値が中間的な値である状態)においてQ値を調整しているとき、誤ってQ値ノブ202を押し込んで回転させてしまったとしても、ユーザの意に反してフィルタタイプが切り替えられることは無い。
【0071】
また、フィルタタイプが「ハイパス/ローパスフィルタ」または「シェルビングフィルタ」であるとき、Q値ノブ202を押し込みつつ、切り替え方向に回転させると、フィルタタイプが「バンドパスフィルタ」に切り替えられる(SP42〜SP46)。すなわち、Q値ノブ202に対して、「押し込む」および「回転させる」という二つの操作が行われたときに、フィルタタイプが切り替えられる。ここで、上述したように、ハイパス/ローパスフィルタまたはシェルビングフィルタにおいては、「Q値」なるパラメータは存在しないため、意図的にQ値ノブ202が操作される場合とは、フィルタタイプを切り替える場合しか存在しない。
【0072】
また、ユーザが誤ってQ値ノブ202を操作した場合においても、「押し込む」および「回転させる」という二つの操作を誤って行う場合は、きわめて稀であると考えられる。このように、フィルタタイプが「ハイパス/ローパスフィルタ」または「シェルビングフィルタ」であるとき、誤操作によってユーザの意に反してフィルタタイプが切り替えられることは極めて稀である。このように、本実施例によれば、様々な誤操作によってユーザの意に反してパラメータが変更されてしまう危険性をきわめて小さくすることができる。
【0073】
7.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記実施例においては、CPU18上で動作するプログラムによってハイパスフィルタ151およびパラメトリックイコライザ152,170,180の各種パラメータの設定を行ったが、これらのプログラムのみをCD−ROM、メモリカード等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。
【0074】
(2)また、上記実施例においては、パラメトリックイコライザ152,170,180のHIGHまたはLOWバンドのフィルタタイプがハイパス/ローパスフィルタであるとき、ゲインノブ206を用いてオン/オフ状態を切り替えた。しかし、ハイパスフィルタ151と同様に、周波数ノブ204を用いてハイパス/ローパスフィルタのオン/オフ状態を制御してもよい。
【0075】
まず、LOWバンドについてフィルタタイプが「ハイパスフィルタ」である場合には、HPFノブ200の操作イベントに対する処理(図7)と全く同様の処理を周波数ノブ204の操作に対して実行するとよい。すなわち、周波数ノブ204が押し込まれずに操作された場合はカットオフ周波数の調整のみ行い(SP4)、周波数ノブ204が押込状態で反時計回りに回動され、現在のカットオフ周波数に対して操作量に相当する差分を増減した結果が最低周波数未満になると、フィルタをオフ状態に設定し(SP12)、フィルタがオフ状態であるときに周波数ノブ204が押込状態で時計回りに操作されると該フィルタをオン状態に設定するとよい(SP16)。
【0076】
但し、HIGHバンドについてフィルタタイプが「ローパスフィルタ」である場合には、図7の場合とは、オン/オフ状態を切り替える回転方向を逆にすると好適である。まず、周波数ノブ204が押し込まれずに操作された場合は、図7のステップSP4と同様にカットオフ周波数の調整のみが行なわれる。また、周波数ノブ204が押込状態で時計回りに回動され、現在のカットオフ周波数に対して操作量に相当する差分を増減した結果が最高周波数を超えると、ローパスフィルタがオフ状態に設定される。これは、ローパスフィルタにあっては、カットオフ周波数が高いほど、フィルタのオン/オフ切り替えによる音質の変化が少なくなるからである。また、フィルタがオフ状態であるときに周波数ノブ204が押込状態で反時計回りに操作されると該フィルタがオン状態に設定される。
【0077】
(3)また、上記実施例においては、現在のQ値に対してQ値ノブ202の操作量に相当する差分を加算した加算結果が極値を超えたときにフィルタタイプを切り替えるようにしたが、本発明はこれに限られるわけではない。例えば、現在のQ値に対してQ値ノブ202の操作量に相当する差分を加算した加算結果が最大値を超えた場合にのみフィルタタイプをバンドパスフィルタ以外のタイプに切り替えるようにし、切替え先のフィルタタイプ(シェルビングフィルタまたはハイパス/ローパスフィルタ)は、予めモード設定によって決定できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施例のデジタルミキサのブロック図である。
【図2】該デジタルミキサのアルゴリズムの全体ブロック図である。
【図3】該アルゴリズムの要部のブロック図である。
【図4】デジタルミキサの操作パネルの要部の平面図である。
【図5】大型表示器14における表示例を示す図である。
【図6】ノブ操作子ユニット30の構造図である。
【図7】HPFノブ操作イベントルーチンのフローチャートである。
【図8】PEQ・Q値ノブ操作イベントルーチンのフローチャートである。
【図9】PEQ・ゲインノブ操作イベントルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
2:スイッチ群、4:電動フェーダ群、6:回転ノブ群、8:波形I/O部、10:信号処理部、12:バスライン、14:大型表示器(表示手段)、16:その他I/O部、18:CPU(処理装置)、20:フラッシュメモリ、22:RAM、30:ノブ操作子ユニット、31:ノブ、32:軸、35:回転操作検出部、36,37:接触センサ、38:係止部材、39:付勢部材、40:軸方向操作検出部、102:アナログ入力部、104:デジタル入力部、108:入力パッチ部、110:ステレオ入力チャンネル調整部、112:入力チャンネル調整部、112−n:第n入力チャンネル調整部、116:MIXバス群、118:ステレオバス、120:ステレオ出力チャンネル部、122:MIX出力チャンネル部、122−m:第mMIX出力チャンネル部、126:出力パッチ部、128:アナログ出力部、130:デジタル出力部、150:アッテネータ、151:ハイパスフィルタ、152,170,180:パラメトリックイコライザ、154:チャンネル遅延部、155:音量調整部、156:オンオフ切換部、158:ステレオセンドオンオフ切換部、160:PAN設定部、162−1〜162−12:信号切換部、164−1〜164−12:センドレベル調節部、166−1〜166−12:センドオンオフ切換部、171:コンプレッサ、172−L,R:音量調整部、174−L,R:オンオフ切換部、176−L,R:チャンネル遅延部、200:HPFノブ、202:Q値ノブ、204:周波数ノブ、206:ゲインノブ、208〜214:バンド選択キー、216:カーソルボタン、217:ENTERボタン、220:HPF・PEQ概要設定部、221:バンド名表示部、224,234,244,254:周波数ノブ画像、226,236,246,256:ゲインノブ画像、232,242:Q値ノブ画像、258:カーソル、259,264:HPFノブ画像、260:周波数特性グラフ表示部、262:周波数特性グラフ表示部、266:HPFオン/オフボタン、268:PEQオン/オフボタン、272,282,292,302:Q値ノブ画像、274,284,294,304:周波数ノブ画像、276,286,296,306:ゲインノブ画像、277:シェルビングフィルタ選択ボタン、278:ハイパスフィルタ選択ボタン、300:HPF・PEQ詳細設定画面、307:シェルビングフィルタ選択ボタン、308:ローパスフィルタ選択ボタン。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100104798
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 智典


【公開番号】 特開2008−67040(P2008−67040A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242554(P2006−242554)