| 【発明の名称】 |
ヘッドホン |
| 【発明者】 |
【氏名】藤原 啓太郎
【氏名】投野 耕治
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| 【要約】 |
【課題】ドライブユニットを収納したハウジングに開口を形成するとともに、この開口をダイヤフラムで塞ぐようにし、オープンエア型と密閉型とに切換えて用いることができるようにしたヘッドホンにおいて、密閉型とするための開口を塞ぐ蓋とその開閉機構とを無くす。
【構成】ハウジング10の開口28の部分に取付けられているダイヤフラム30と接触および離間可能な制動部材37を設けるようにし、この制動部材37がダイヤフラム30から離間している場合にはオープンエア型として用いることができるようにするとともに、上記制振部材37をダイヤフラム30に接触させることによって、このダイヤフラム30を介して振動を伝達できないようにし、これによって密閉型として用いるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジング内にドライブユニットを配するようにしたヘッドホンにおいて、 前記ハウジングに開口を形成するとともに、該開口を塞ぐようにダイヤフラムを配し、 前記ダイヤフラムに対して接触および離間可能な制振部材を設け、前記制振部材を前記ダイヤフラムから離間させると前記ダイヤフラムを介して前記開口を通して前記ハウジングの内外での音の伝達が行なわれ、前記制振部材を前記ダイヤフラムに接触させると前記ダイヤフラムが制振されて該ダイヤフラムを介して音の伝達が行なわれないようにしたことを特徴とするヘッドホン。 【請求項2】 前記開口が前記ドライブユニットを取付けたバッフル板の背面側において前記ハウジングに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。 【請求項3】 前記ハウジングの開口に対応して該ハウジングの内側にリング状にリブが形成され、該リブに押えリングを介して前記ダイヤフラムが取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。 【請求項4】 前記ハウジングの開口に前記制振部材が摺動自在に取付けられ、該制振部材の摺動位置に応じて該制振部材が前記ダイヤフラムに対して接触状態と離間状態とに切換えられることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。 【請求項5】 前記制振部材がつまみと、該つまみに連結された押圧子とを備えるとともに、前記ダイヤフラムがそのほぼ中心部に偏平な凹部を有し、前記押圧子が前記凹部の中心にあるときは前記ダイヤフラムが振動可能で、前記押圧子が凹部の外周側に接触すると前記ダイヤフラムが制振されることを特徴とする請求項4に記載のヘッドホン。 【請求項6】 前記ハウジングの開口に前記制振部材が出没自在に設けられ、前記制振部材を押込むと前記ダイヤフラムと接触して該ダイヤフラムが制振され、前記制振部材の押込みを解除して復動させると前記ダイヤフラムが自由になることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。 【請求項7】 前記ハウジングの開口を塞ぐように複数のダイヤフラムを配し、前記制振部材の切換えに応じて、総てのダイヤフラムが制振された状態と、一部のダイヤフラムが制振された状態と、総てのダイヤフラムが自由な状態とに切換えられることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。 【請求項8】 前記ダイヤフラムが同心円状に複数の屈曲用エッジを備え、前記制振部材による接触位置が前記複数のエッジの内の最も中心側のエッジよりも中心側であるときには該ダイヤフラムが制振され、前記制振部材による接触位置が最も中心側のエッジよりも外周側であるときには、接触位置に最も近い中心側のエッジより内側の領域が自由な状態であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドホン。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は音声を再生するヘッドホンに係り、とくにハウジング内にドライブユニットを配するようにしたヘッドホンに関する。 【背景技術】 【0002】 外部に音が洩れないようにしながら音楽等を聴く場合に、従来よりヘッドホンが広く用いられている。このようなヘッドホンは、ハウジング内に小型のスピーカから成るドライブユニットを取付けるようにしたものであって、上記ドライブユニットの背面側を囲むように設けられるハウジングの構造によってオープンエア型と密閉型とに区別される。 【0003】 オープンエア型のヘッドホンは、ハウジングに開口が形成されており、このような開口によって外からの音がハウジング内に入ってくるようになっているヘッドホンである。これに対して密閉型のヘッドホンは、ドライブユニットを内部に収納しているハウジングが密閉されており、低音域まで特性が延び、高音と低音のバランスがよいという特徴を有している。 【0004】 ハウジングに開口が形成されている上述のようなオープンエア型のヘッドホンは、外部からの音が入ってきて爽やかな聴感になる。ところがオープンエア型の構造によると、とくに低音域の制動が不足し、低音の音圧が高くなり過ぎて高音と低音のバランスが悪化する傾向がある。 【0005】 これに対して密閉型のヘッドホンは、上記のような低音での制動不足を解消することができ、高音と低音のバランスが良好で、低音域まで特性が延びるという利点がある。ところがハウジングが密閉されているために、外部から音が入って来ず、爽やかな聴感を得ることができない。また密閉型のヘッドホンは、外部からの音が全く遮断されるために、安全性に問題を残す可能性がある。 【0006】 そこで本願発明者は、特開平6−113384号公報によって、ドライブユニットの背面側を囲むようにハウジングを設けたヘッドホンにおいて、上記ハウジングに開口を形成するとともに、この開口をダイヤフラムで塞ぐようにし、さらに必要に応じて上記開口に開閉自在に蓋を装着したヘッドホンを提案している。 【0007】 このようなヘッドホンによると、上記蓋を取外した場合には、開口を塞ぐように設けられているダイヤフラムが外来音、とくに高音域の外来音に対して透過性を有するとともに、このダイヤフラムがその共振周波数より低い音に対して抵抗になり、これによって低音域の音圧が必要以上に高くなるのを抑えるようにすることが可能になる。また上記開口を必要に応じて蓋で閉塞すると、ハウジングが密閉構造と等価になり、これによって密閉型のヘッドホンとして用いることが可能になり、再生音の漏洩を完全にシャッタアウトできるようになる。 【0008】 ところがハウジングに形成されている開口をダイヤフラムで覆うとともに、着脱可能に上記開口を蓋で閉塞するようにしたヘッドホンによると、上記蓋の開閉機構が必要になり、しかもこのような開閉機構は蓋の収納スペースを確保しなければならず、これによってハウジングの寸法が大きくなってしまう。このことは、ヘッドホンのコンパクト化を妨げることになる。 【特許文献1】特開平6−113384号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本願発明の課題は、オープンエア型のヘッドホンと密閉型のヘッドホンとに任意に切換えて使用することができるヘッドホンを提供することである。 【0010】 本願発明の別の課題は、爽やかな聴感を得ることができるとともに、低音域での制動不足を解消して高音と低音のバランスが悪化するのを防止し、オープンエア型と密閉型の両方の利点を兼備えたヘッドホンを提供することである。 【0011】 本願発明のさらに別の課題は、ハウジングに形成されている開口を開閉自在に覆うための蓋を用いることなく、しかもオープンエア型と密閉型とに切換えることができるようにしたヘッドホンを提供することである。 【0012】 本願発明のさらに別の課題は、ハウジングに形成されている開口を開閉自在に覆うための蓋とその開閉機構を無くすことによって、単純な構造とするとともに、よりコンパクトなヘッドホンを提供することである。 【0013】 本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。 【課題を解決するための手段】 【0014】 本願の主要な発明は、ハウジング内にドライブユニットを配するようにしたヘッドホンにおいて、 前記ハウジングに開口を形成するとともに、該開口を塞ぐようにダイヤフラムを配し、 前記ダイヤフラムに対して接触および離間可能な制振部材を設け、前記制振部材を前記ダイヤフラムから離間させると前記ダイヤフラムを介して前記開口を通して前記ハウジングの内外での音の伝達が行なわれ、前記制振部材を前記ダイヤフラムに接触させると前記ダイヤフラムが制振されて該ダイヤフラムを介して音の伝達が行なわれないようにしたことを特徴とするヘッドホンに関するものである。 【0015】 ここで、前記開口が前記ドライブユニットを取付けたバッフル板の背面側において前記ハウジングに形成されてよい。また前記ハウジングの開口に対応して該ハウジングの内側にリング状にリブが形成され、該リブに押えリングを介して前記ダイヤフラムが取付けられてよい。また前記ハウジングの開口に前記制振部材が摺動自在に取付けられ、該制振部材の摺動位置に応じて該制振部材が前記ダイヤフラムに対して接触状態と離間状態とに切換えられてよい。また前記制振部材がつまみと、該つまみに連結された押圧子とを備えるとともに、前記ダイヤフラムがそのほぼ中心部に偏平な凹部を有し、前記押圧子が前記凹部の中心にあるときは前記ダイヤフラムが振動可能で、前記押圧子が凹部の外周側に接触すると前記ダイヤフラムが制振されてよい。また前記ハウジングの開口に前記制振部材が出没自在に設けられ、前記制振部材を押込むと前記ダイヤフラムと接触して該ダイヤフラムが制振され、前記制振部材の押込みを解除して復動させると前記ダイヤフラムが自由になるようにしてよい。また前記ハウジングの開口を塞ぐように複数のダイヤフラムを配し、前記制振部材の切換えに応じて、総てのダイヤフラムが制振された状態と、一部のダイヤフラムが制振された状態と、総てのダイヤフラムが自由な状態とに切換えられてよい。また前記ダイヤフラムが同心円状に複数の屈曲用エッジを備え、前記制振部材による接触位置が前記複数のエッジの内の最も中心側のエッジよりも中心側であるときには該ダイヤフラムが制振され、前記制振部材による接触位置が最も中心側のエッジよりも外周側であるときには、接触位置に最も近い中心側のエッジより内側の領域が自由な状態であってよい。 【0016】 本願発明の好ましい態様は、ヘッドホンのドライブユニットの背面側を囲むようにハウジングを設け、このハウジングに開口を形成し、この開口をダイヤフラムで塞ぐようにしたヘッドホンにおいて、上記ダイヤフラムに固体物を接触させ、あるいはこの固体物から解放することによって、ダイヤフラムの振動を制御する機構を設けるようにしたものである。 【0017】 このような構造によると、例えばつまみを用いてその先端に設けられている固体物をダイヤフラムに接触、非接触させることで、ダイヤフラムで塞がれた開口に蓋を取付けた蓋の開閉機構と等価な作用効果を実現できる。しかもこの構造は、蓋の開閉機構よりもコンパクトな構造になるために、よりコンパクトなヘッドホンが提供できるようになる。 【発明の効果】 【0018】 本願の主要な発明は、ハウジング内にドライブユニットを配するようにしたヘッドホンにおいて、ハウジングに開口を形成するとともに、該開口を塞ぐようにダイヤフラムを配し、ダイヤフラムに対して接触および離間可能な制振部材を設け、制振部材をダイヤフラムから離間させるとダイヤフラムを介して開口を通してハウジングの内外での音の伝達が行なわれ、制振部材をダイヤフラムに接触させるとダイヤフラムが制振されて該ダイヤフラムを介して音の伝達が行なわれないようにしたものである。 【0019】 従ってこのようなヘッドホンによると、ダイヤフラムに対して接触および離間可能に設けられている制振部材をダイヤフラムから離間させることによって、上記ダイヤフラムを介して開口を通して外部から音が入ってくるようになり、これによって爽やかな聴感を得ることが可能になり、また低音域での制動不足を解消して高音と低音のバランスが悪化するのを防止できるようになる。これに対して上記制振部材をダイヤフラムに接触させると、ダイヤフラムが制振されてこのダイヤフラムを介して音の伝達が行なわれないようになり、高音と低音のバランスが良好で、低音域まで特性が延びる密閉型のヘッドホンとして用いることが可能になる。従ってこのような構成によると、とくに密閉型のヘッドホンとして用いるための開口を塞ぐ蓋を必要とせず、またその開閉機構も必要でなくなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1および図2は本願発明の一実施の形態を示すヘッドホンを示すものであって、このヘッドホンは左右一対のハウジング10を備えている。ハウジング10は内部が凹部になっている筐体である。そしてハウジング10はハンガ11によって回動可能に支持されている。ハンガ11には上方に延びるようにほぼU字状をなすスライドアーム12が設けられる。 【0021】 スライドアーム12はストッパ13に対して摺動可能に連結されている。そして左右のストッパ13がヘッドバンド14によって連結されるようになっている。そして一方の、例えば右方のハウジング10のハンガ11には、図2に示すようにコード15が引出されるようになっている。このコード15によって音声信号をハウジング10内のドライブユニットのボイスコイルに流すようにしている。 【0022】 次に図3によって、ハウジング10の内部の構造について説明する。ハウジング10の内部には、このハウジング10の前面側の開口を覆うようにバッフル板19が一体に、あるいは別部材によって取付けられており、このバッフル板19によってドライブユニット20が支持されるようになっている。なおここでドライブユニット20は、例えばドーム型のダイナミックスピーカから構成されている。そしてバッフル板19には音孔21が形成されるとともに、この音孔21を塞ぐように不織布22が取付けられている。またハウジング10の開口縁部にはイヤパッド23が取付けられるようになっている。イヤパッド23はカバー24によって覆われている。 【0023】 上記ドライブユニット20を収納したハウジング10の上記ドライブユニット20の背面側であってその上方位置には、縦長の比較的小さな開口28が形成されている。この開口28の内側には、とくに図3および図4に示すように、リング状リブ29が上記開口28の外周囲と対応する位置においてその反対側の内面に形成されている。そしてこのリング状リブ29によってダイヤフラム30が取付けられている。ダイヤフラム30は例えばポリプロピレン樹脂の成形体から構成され、その外周側の部分に固定リング31が取付けられている。そしてこの固定リング31によってダイヤフラム30の外周部を上記リング状リブ29の段部32に接着固定するようにしている。 【0024】 上記ハウジング10の開口28の内側には図4および図5に示すように、摺動板36が取付けられる。この摺動板36は、内側に突出するように押圧子37を一体に備えている。そして押圧子37を備える摺動板36がハウジング10の開口28の外側に配されるつまみ38と結合されるようになっている。すなわちつまみ38にはその下方に連結用突部39が形成され、この連結用突部39の中心部に形成された雌ねじ孔に、上記摺動板36のビス挿通孔を貫通するビス40が螺着されており、これによってつまみ38を摺動板36と結合している。さらにつまみ38の下面には位置決めピン41が形成され、この位置決めピン41が摺動板36の上面の小孔42に係合されており、これによってつまみ38と摺動板36の相対的な回転を防止している。 【0025】 このようにビス40によって摺動板36に連結されたつまみ38は、その外側部の段部43が開口28の周縁部に形成された摺動凹部44に受入れられ、これによってつまみ38と摺動板36とが上記開口28の長さ方向に摺動するようになっている。また上記摺動板36にはその側面側に弾性変形部45が連設され、この弾性変形部45の突部46がハウジング10の下面に形成されたリブ47の凹部48に受入れられるようになっており、これによってつまみ38と摺動板36の摺動位置のクリック構造を達成している。 【0026】 従って図5A、Bに示すように、ハウジング10の開口28の摺動凹部44内をつまみ38を摺動板36とともに摺動動作させることによって、摺動板36の下面に形成されている押圧子37が図5Aに示すようにダイヤフラム30のほぼ中央の位置と、このダイヤフラム30のほぼ中央に対して左方に偏倚した位置とに切換えることが可能になる。図5Aに示すようにつまみ38が右方にある場合であって、押圧子37がダイヤフラム30の中心部に位置する場合には、ダイヤフラム30の偏平な逆円錐台状の形状によって、この押圧子37がダイヤフラム30から離間する。従ってダイヤフラム30は自由な状態になり、押圧子37による制振が行なわれない。これに対してつまみ38を図5B示すように左方へ移動させると、押圧子37がダイヤフラム30の中心部に対して左へ移動し、このダイヤフラム30の左側の傾斜面に当接する。従ってダイヤフラム30は押圧子37と接触して制振が行なわれる。従って開口28からの外来音を上記ダイヤフラム30の振動を介在としてハウジング10の内部に伝達することができなくなる。すなわち押圧子37によるダイヤフラム30の制振動作は、ハウジング10の開口28に蓋をしたのと等価である。 【0027】 図1および図2に示すヘッドバンド14を用いてこのヘッドホンを頭部に装着するとともに、ハウジング10を左右の耳にそれぞれ当てがい、イヤパッド23が耳と接触するように装着する。そしてコード15を通してハウジング10のバッフル板19によって支持されているドライブユニット20のボイスコイルに電流を通ずることによって、ドライブユニット20が音声を再生する。従ってこのような音声を、このヘッドホンによって聴くことができる。 【0028】 そしてこのハウジング10の開口28を塞ぐように取付けられているダイヤフラム30を図5Aに示すように、押圧子37から離した状態にしておくと、オープンエア型のヘッドホンとして利用することができる。図6はこのようなオープンエア型のヘッドホンとして聴いた場合の外来音の伝達特性を示している。同図において鎖線で示す制振状態に比べて、実線で示す制振を解除した状態のヘッドホンは、とくにダイヤフラム30の共振周波数の近傍において制振状態に比べて高い外来音の伝達特性をもっている。ここではダイヤフラム30の振動特性を1〜2KHzの共振周波数に設定してあり、この周波数の近傍においては、ダイヤフラム30がコンダクティブな音響動作を行なって外来音の侵入を許容する。従ってこのようなヘッドホンによれば、とくに外来音の侵入を許容することによって、オープンエア型の特徴である爽やかな感じの聴感を得ることが可能になる。 【0029】 ダイヤフラム30はスティフネスとして作用し、低音域の周波数に対してはレジスティブな音響動作を行なう。すなわち低音域の音圧が上昇するのを抑えることになる。従って図7における実線で示すように、低音域での音圧が異常に上昇するのを抑えるようになり、高音域と低音域のバランスが良好になる。なおハウジング10に開口28を形成するとともに、ダイヤフラム30を取付けないと、同図において1点鎖線で示すような特性になり、低音域の音圧出力が高くなって高音域と低音域のバランスが悪化することになる。このような欠点は開口28にダイヤフラム30を取付けることによって解消され、密閉型と同じような周波数特性になる。これによって密閉型の特徴である低音域までの良好な特性を得ることが可能になる。 【0030】 しかもこのようなヘッドホンによると、上記開口28を閉じるための蓋を必要としなくなる。従ってこの蓋の開閉機構も必然的に不要になる。従ってこのような蓋や蓋の開閉機構を省略することができ、これによってヘッドホン、とくにそのハウジング10の構造を簡潔にし、部品点数を少くし、さらにはハウジング10の寸法を小さくすることができ、よりコンパクトなヘッドホンを提供することが可能になる。またつまみ38が摺動板36とともにビス40によって開口28の内外を連結するように取付けられているために、つまみ38が紛失することがない。従って従来のように、開口を閉塞する蓋が紛失する事故が防止される。 【0031】 図8は別の実施の形態を示している。この実施の形態は、上記開口28を閉じるための摺動自在なつまみ38と摺動板36との組合わせに代えて、ダイヤフラム30の軸線方向に移動自在な押釦構造を採用したものである。すなわちハウジング10の開口28を横切るようにアームから成る保持部53が連設され、この保持部53によって押釦54が摺動自在に保持されている。そして押釦54は復動用ばね55によって図8において上方に付勢されている。そして押釦54にはその先端側の部分に押圧子56が連設されている。 【0032】 以上のような構成において、保持部53に保持されている押釦54が図8Aに示すように、復動用ばね55によって復動されている状態では、押釦54の先端側の押圧子56がダイヤフラム30から離間している。従ってダイヤフラム30が自由な状態にあり、このダイヤフラム30が外来音を伝達するのが妨げられない。従って開口28を通して伝達された外来音が上記ダイヤフラム30の振動を介在として、ハウジング10内に伝達されることになり、これによって外来音の侵入を許容するオープンエア型のヘッドホンとして用いることが可能になる。 【0033】 これに対して図8Bに示すように、押釦54を復動用ばね55に抗して押圧し、この押釦54の先端部に設けられている押圧子56をダイヤフラム30の中心部に接触させると、ダイヤフラム30が制振される。従ってダイヤフラム30が振動できなくなり、開口28を通して入ってきた外来音をダイヤフラム30が遮断することになる。従ってこの場合には、密閉型のヘッドホンとして利用できるようになる。 【0034】 次にさらに別の実施の形態を図9によって説明する。この実施の形態は、ダイヤフラム30に代えて、一対のダイヤフラム61、62を設けたものである。ここでつまみ38が図9Aに復動された場合には、ダイヤフラム61の中心部が対応する押圧子37と一致している。これに対してダイヤフラム62の中心部は、対応する押圧子37に対して右方に偏倚した状態にある。 【0035】 従って図9Bに示すように、つまみ38を所定のストローク移動させると、ダイヤフラム62のみが対応する押圧子37によって制振され、もう一方のダイヤフラム61は対応する押圧子から離間した状態にある。従って一方のダイヤフラム61を通して外来音の侵入を許容しながら、他方のダイヤフラム62を制振することが可能になる。 【0036】 図9Cに示すように、つまみ38をさらに所定のストローク摺動させると、ダイヤフラム61、62がともに対応する押圧子と接触し、これによってこれらのダイヤフラム61、62がともに制振される。従ってこの場合には、開口28を通して外部から外来音が侵入することがなくなり、ハウジング10は密閉構造になる。すなわち開口28を蓋で閉じたのと等価になる。 【0037】 一方図9Aに示す位置につまみ38がある場合には、ダイヤフラム61、62はそれぞれ対応する押圧子37から離間した状態にある。従ってこの場合には、一対のダイヤフラム61、62がともに振動し得る状態になっている。従って開口28からの外来音が一対のダイヤフラム61、62を通してハウジング10内に導かれ、いわゆるオープンエア型の状態で利用される。 【0038】 図10はさらに別の実施の形態を示している。この実施の形態は、開口28を塞ぐように取付けられるダイヤフラム30が同心円状に2つのエッジ65、66を備えている。2つのエッジ65、66はそれぞれこのダイヤフラム30の屈曲部になっている。 【0039】 図10Aに示すようにダイヤフラム30のほぼ中心部に押圧子37が存在する場合には、ダイヤフラム30は制振されず、自由な状態になっている。従ってこの場合には、開口28を通して入ってくる外来音が一旦ダイヤフラム30の振動に変換された後に、ハウジング10内に導入され、いわゆるオープンエア型のヘッドホンとして利用される。 【0040】 これに対してつまみ38を図10Bに示すように移動し、ダイヤフラム30の中心側のエッジ66の近傍に押圧子37を接触させると、このダイヤフラム30はいわゆる制振状態になり、これによって開口28からの外来音がシャッタアウトされ、密閉型のヘッドホンとして利用される。 【0041】 つまみ28を図10Cに示すように移動し、中心側のエッジ66と外周側のエッジ65との中間位置に押圧子37を接触させた場合には、中心側のエッジ66の中心側の部分のみが振動可能になる。この場合には、ダイヤフラム30の共振周波数が図10Aに示すように完全に自由な状態の場合よりも高くなり、とくに高音域の外来音のみを選択的に透過させることになり、セミオープン型のヘッドホンとして利用できるようになる。 【0042】 以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態における、制振部材を構成する摺動板36の摺動構造については、各種の設計変更が可能である。またつまみ38および摺動板36は、必ずしも開口28の部位に配することなく、別の位置に組込むことも可能である。 【産業上の利用可能性】 【0043】 本願発明は、密閉型とオープン型とに切換え可能なヘッドホンに利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0044】 【図1】ヘッドホンの全体の構造を示す正面図である。 【図2】同ヘッドホンの全体の構造を示す側面図である。 【図3】ヘッドホンのハウジングの内部構造を示す拡大断面図である。 【図4】ダイヤフラムの制振の構造を示す分解斜視図である。 【図5】制振部材によるダイヤフラムの制振の動作を示す拡大断面図である。 【図6】外来音の伝達特性を示すグラフである。 【図7】再生音の特性変化を示すグラフである。 【図8】別の実施の形態のダイヤフラムの制振の動作を示す縦断面図である。 【図9】さらに別の実施の形態のダイヤフラムの制振の動作を示す縦断面図である。 【図10】さらに別の実施の形態のダイヤフラムの制振の動作を示す縦断面図である。 【符号の説明】 【0045】 10…ハウジング、11…ハンガ、12…スライドアーム、13…ストッパ、14…ヘッドバンド、15…コード、19…バッフル板、20…ドライブユニット、21…音孔、22…不織布、23…イヤパッド、24…カバー、28…開口、29…リング状リブ、30…ダイヤフラム、31…固定リング、32…段部、36…摺動板、37…押圧子、38…つまみ、39…連結用突部、40…ビス、41…位置決めピン、42…小孔、43…段部、44…摺動凹部、45…弾性変形部、46…突部、47…リブ、48…凹部、53…保持部(アーム)、54…押釦、55…復動用ばね、56…押圧子、61、62…ダイヤフラム、65、66…エッジ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002185 【氏名又は名称】ソニー株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年9月6日(2006.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078145 【弁理士】 【氏名又は名称】松村 修
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| 【公開番号】 |
特開2008−66976(P2008−66976A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−241702(P2006−241702) |
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