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【発明の名称】 オーディオ装置
【発明者】 【氏名】石川 雅一

【氏名】藤田 猛

【氏名】古川 芳宏

【要約】 【課題】本体部の内部に収納された電子回路の温度上昇によるトラブルを防止でき、本体部を容易に小型化できるオーディオ装置を提供する。

【構成】略箱型の本体部1の一部に略板状の放熱フィン3,3,・・・,3が略櫛歯状に配列された放熱フィン部2を設ける。放熱フィン部2には、性質上発熱量の多い出力増幅回路が形成された第三基板部に接触面を設け、接触面が放熱フィン部2に接触した状態に設置する。性質上発熱量の多い出力増幅回路が発した熱は放熱フィンに伝導し空気中に放出されるので、基板部の熱を高い効率で放出できる。出力増幅部の第一アンプ部と第二アンプ部はスピーカ8,8,・・・,8にBTL接続し、出力効率を高めることで出力増幅部の発熱量を低下させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱型の本体部に、入力信号に対して増幅、変調等の電気的処理を施す電子回路部が形成された基板部と、該電子回路部から出力された出力信号に基づいて音波又は超音波を空気中に出力させるスピーカとを備えたオーディオ装置であって、
前記本体部の一部に略板状の放熱フィンが略櫛歯状に配列された放熱フィン部が設けられ、
前記基板部のうち少なくとも一部には面状の接触面が形成され、該接触面は前記放熱フィン部に接触した状態で設置されていることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
前記電子回路部のうち前記接触面近傍には、前記入力信号を増幅する出力増幅手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記出力増幅手段は一対の増幅器を備え、該一対の増幅器が前記スピーカにBTL(Bridged Transless)接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記電子回路部は、前記入力信号が入力された際にのみ前記出力増幅手段に導通する信号導通路を信号導通可能状態とするゲート手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のオーディオ装置。
【請求項5】
前記電子回路部は、入力された前記入力信号を予め定められた時間だけ遅らせて出力する遅延手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載のオーディオ装置。
【請求項6】
前記電子回路部は、超音波帯域の信号を前記入力信号によって変調し該変調により得られた変調信号を前記出力増幅手段に出力する変調手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載のオーディオ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号に電気的処理を施す各種電子回路と空気中に音声等を出力するスピーカとを備えたオーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声を電気信号に変換した音声信号等の各種信号をスピーカに供給し、この各種信号に基づいてスピーカから空気等の媒質中に音声等を出力させるオーディオ装置が知られている。このオーディオ装置においては、音声信号はフィルタリングや増幅等の電気的処理が施されたのちにスピーカに供給されるため、変調用、増幅用の各種電子回路が必要とされる。オーディオ装置の小型化や取扱の利便性を高めるためには、電子回路はスピーカと一体化されていることが望ましい。そのため、従来、オーディオ装置を構成するスピーカと音声信号の変調用・増幅用の電子回路とを一の筐体である本体部の中に収納して一体化した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−308990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、電子回路を構成する電子部品や電源回路等の電気部品類は電流の導通により発熱する一方、トランジスタや集積回路(IC)は主に半導体によって形成されているため熱に弱い。そして、特許文献1においては、電子回路や電気部品に加えてスピーカや各種配線が本体部の内部に多数収納されているため、発熱量が多い上に外部に放熱されにくく、本体部内部の温度が上昇しやすい。そして、この温度上昇によって電子回路が変調し、音声出力の不具合や電子回路の故障がおきやすいという問題がある。この問題は、本体部を小型化し、狭小なスペースに電子回路等を収納した場合に特に顕著にあらわれるため、特許文献1に記載の発明は小型化が困難であるという問題がある。
【0004】
本発明はこのような問題に基づいてなされたものであり、筐体として形成された本体部の内部に収納された電子回路の温度上昇によるトラブルを防止でき、本体部を容易に小型化できるオーディオ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
係る課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、略箱型の本体部に、入力信号に対して増幅、変調等の電気的処理を施す電子回路部が形成された基板部と、該電子回路部から出力された出力信号に基づいて音波又は超音波を空気中に出力させるスピーカとを備えたオーディオ装置であって、前記本体部の一部に略板状の放熱フィンが略櫛歯状に配列された放熱フィン部が設けられ、前記基板部のうち少なくとも一部には面状の接触面が形成され、該接触面は前記放熱フィン部に接触した状態で設置されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記電子回路部のうち前記接触面近傍には、前記入力信号を増幅する出力増幅手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記出力増幅手段は、BTL(Bridged Transless)接続された一対の増幅器を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記電子回路部は、前記入力信号が入力された際にのみ前記出力増幅手段に導通する信号導通路を信号導通可能状態とするゲート手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記電子回路部は、入力された前記入力信号を予め定められた時間だけ遅らせて出力する遅延手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記電子回路部は、超音波帯域の信号を前記入力信号によって変調し該変調により得られた変調信号を前記出力増幅手段に出力する変調手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記、請求項1に記載の発明によれば、略箱型の本体部の一部に略板状の放熱フィンが略櫛歯状に配列された放熱フィン部が設けられていることにより、空気との接触面積が高くなり、高い放熱効果を得ることができる。そして、基板部のうち少なくとも一部には面状の接触面が形成され、接触面は放熱フィン部に接触した状態で設置されていることにより、冷却ファン等の機械的構成を用いなくても、基板部の熱を高い効率で本体部の外に放出できる。これにより、筐体として形成された本体部の内部に収納された電子回路等の発熱によるトラブルが起こりにくく、本体部を容易に小型化できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、電子回路部のうち接触面近傍には、入力信号を増幅する出力増幅手段が設けられていることにより、性質上発熱量が大きくなる出力増幅回路から発せられた熱の多くを放熱フィン部から本体部の外に放出されることになり、より高い放熱効果を得ることができる。これにより、本体部の内部に収納された電子回路等の発熱によるトラブルが一層起こりにくくなり、本体部を一層容易に小型化できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、出力増幅手段は、BTL接続された一対の増幅器を備えたことにより、これらの増幅器からの信号を増幅器に供給すれば、単一の増幅器のみの信号をスピーカに供給した場合に比べてスピーカにおける電力が大きくなる。これにより、増幅率を高くして電力効率を高め、発熱量を抑えることができ、本体部の内部に収納された電子回路等の発熱によるトラブルが一層起こりにくくなり、本体部を一層容易に小型化できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、電子回路部は、入力信号が入力された際にのみ出力増幅手段に導通する信号導通路を信号導通可能状態とするゲート手段を備えたことにより、入力信号がないときに出力増幅手段において増幅作用が行われる事態を抑止でき、出力増幅手段で無駄な電力が消費されることを防止できる。これにより、電子回路部の発熱量を抑えることができ、本体部の内部に収納された電子回路等の発熱によるトラブルが一層起こりにくくなり、本体部を一層容易に小型化できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、電子回路部は、入力された入力信号を予め定められた時間だけ遅らせて出力する遅延手段を設けたことにより、信号は出力増幅手段に導通する信号導通路が信号導通可能状態となるタイミング以後に出力増幅手段に供給されることになり、出力増幅部28で増幅される信号の立ち上がり部分が欠落し音声の立ち上がり部分が欠如する事態を防止できる。これにより、発熱によるトラブルが一層起こりにくくして本体部の小型化を一層容易にしつつ、高品位の音声出力を可能にする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、電子回路部は、超音波帯域の信号を入力信号によって変調し変調により得られた変調信号を出力増幅手段に出力する変調手段を備えたことにより、スピーカに超音波を出力させる変調信号を形成できる。この変調信号は、音声信号の周波数や大きさ等に依存して搬送信号の振幅の大きさや周波数等が変化するものとなっており、かかる変調信号をスピーカから出力させた場合、スピーカからは指向性の強い超音波が出力され、超音波の伝播方向に居る聴取者の鼓膜には、超音波の振幅の変化や周波数の変化等に基づいた可聴音が聴取される。これにより、発熱によるトラブルが一層起こりにくくして本体部の小型化を一層容易にしつつ、指向性の高い音声を狙った遠方に向けて発することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための実施の形態について説明する。
【0018】
図1乃至図3は、本実施の形態のオーディオ装置の全体構成を示す外観概略図である。なお、同図及び図4においては説明の簡単のため、本来は本体正面部に嵌め込まれているフロントカバーを除去した状態で示してある。
【0019】
図1に示すとおり、オーディオ装置1Aの本体部1は外形が略立方体に形成されている。本体部1の両側面、上面、底面はアルミニウムの引出し加工により一体成形されており、高い剛性を保つと共に共振(いわゆる箱鳴り)が起こりにくくなっている。
【0020】
図2に示す通り、本体部1の上面側から背面側上部にかけては放熱フィン部2が設けられている。放熱フィン部2は、剛性が高く熱伝導性が良い材質、例えば本体部1の両側面等と同じアルミニウムによって略矩形の板状に形成された複数枚の放熱フィン3,3,・・・3(m>1)を櫛歯状に並べた形状にし、空気との接触面積が大きくなるように形成されている。なお説明の簡単のため、以下区別の必要がある場合を除き放熱フィン3,3,・・・3は放熱フィン3と記載する。
【0021】
本体部1の背面部において、放熱フィン3の下部から下端までは放熱パネル4が嵌め困れている。放熱パネル4は鋼鉄等の剛性の高い板材を網目状に打ち抜き加工することで形成されており、下端部の隅には、電源コード(図示せず)の端子を接続するための電源用ジャック5や音声信号用のリード線(図示せず)の端子を接続するための音声用ジャック6が設置されている。
【0022】
図1に示す通り、本体部1の正面側内周部分はスピーカ収容部7に形成され、スピーカ収容部7には複数のスピーカ8,8,・・・,8(n>1)が密集した状態に配設されている。このスピーカ8,8,・・・,8は20kHzより高い超音波領域における再生特性が良好な拡声装置であり、後述の通り、空気中に超音波を出力する。なお、説明の簡単のため、以下説明の必要がある場合を除きスピーカ8,8,・・・,8はスピーカ8と記載する。
【0023】
図4に示す通り、スピーカ収容部7の背面には遮音板9が設置され、各スピーカ8はこの遮音板9の板面上に固着されている。遮音板9は剛性や絶縁特性や遮音特性が良好で、かつスピーカ8やスピーカ8の配線等を取り付け易い材質、例えばガラスエポキシ樹脂によって形成され、スピーカ収容部7よりも背面側に音声が漏えいすることを防止すると共に絶縁特性を高める。なお、遮音板9の背面側に、アルミニウム製の板材等を板面が遮音板9の板面に対向するように設置し、剛性や遮音特性等を更に高めてもよい。
【0024】
図3に示す通り、遮音板9よりも背面側の空間は電気系収納部10に形成されて、各種電子部品及び電気部品、各種配線が収容されている。詳しくは、電気系収納部10には基板部としての第一基板部11、第二基板部12、第三基板部13、及び、電源部14が収容されている。また、電源部14と電源用ジャック5とはコードによって電気的に接続されており、各基板部11,12,13同士、及び第三基板部13とスピーカ8との間はリード線(図示せず)によって電気的に接続されている。なお、基板部の数は特に制限はなく、3つより多くても少なくてもよい。
【0025】
第一基板部11、第二基板部12はそれぞれ略板状に形成された電子回路(例えば演算増幅器)であり、図3に示す通り、それぞれ遮音板9に近接して遮音板9と平行に設置されている。第一基板部11、第二基板部12は、音声信号の増幅処理、変調処理等の殆どを行う。
【0026】
第三基板部13は、略板状の部材が途中で直角に折曲し側面視略L字型に形成された電子回路(例えば演算増幅器)である。第三基板部13の折曲した一方側の板面は接触面に形成され、この接触面が放熱フィン部2の下面に接触した状態で設置されている。第三基板部13は、後述する出力増幅部を形成し、スピーカ8に供給される信号の増幅処理を行う。
【0027】
なお、第一乃至第三基板部11,12,13は、樹脂製の基板上に抵抗、コイル、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ等の素子を配設したものによって形成してもよいし、半導体集積回路によって形成してもよい。また、基板部の数は3つに限定されず、3つより多くても少なくてもよい。
【0028】
電源部14は、スイッチング電源等であり、家庭用の100ボルト交流を数10ボルト程度の直流に変換し、変換した電流を各基板部等に供給する。
【0029】
図5は、本実施の形態のオーディオ装置1Aの電子回路部の機能ブロック図である。同図に示す回路は、第一乃至第三基板部11,12,13において形成されるものである。
【0030】
図5に示す通り、電子回路部20は、入力増幅部21、遅延手段としてのディレイ部22、フィルタ部23、ゲート手段の一方としてのコントロール信号出力部24、ゲート手段の他方としてのゲート部25、コンプレッサ部26、変調手段としての変調部27、出力増幅手段としての出力増幅部28、スイッチ29を備えている。
【0031】
入力増幅部21は、信号増幅機能を有し、音声を電気信号の電圧等に変換して形成した音声信号の供給を受け、この音声信号の電圧値や電流値を増大させて出力する。入力増幅部21は増幅された音声信号を整形する機能を有してもよい。
【0032】
ディレイ部22は、遅延素子等を備え、入力された音声信号を予め定められた時間(例えば数msec、数μsec程度の微少時間)だけ遅らせて出力する。
【0033】
フィルタ部23は、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、イコライザ等であり、音声信号の周波数特性を調整する。
【0034】
コントロール信号出力部24は、音声信号の入力に合わせてゲート部25をオンするためのコントロール信号を出力する。図5に示す通り、コントロール信号の出力制御方法としては、例えば以下2つのやり方が考えられる。
(方法1)入力増幅部21から出力された信号をコントロール信号入力部24に入力する。コントロール信号出力部24は、入力された信号の大きさが所定値以上になったらコントロール信号を出力する。この方法は制御が簡単であり、マイクロフォンに入力された音声がそのまま入力信号となるような場合に高い効果を奏する。
(方法2)コントロール信号入力部24に特定の外部制御信号を検知する機能を設けておき、コントロール信号入力部24は当該外部制御信号をトリガパルスとしてコントロール信号の出力を開始(又は終了)する。この方法は制御が確実であり、CDに記録された音声やMP3録音された音声を入力信号とするような場合に高い効果を奏する。
【0035】
ゲート部25は、コントロール信号出力部24から供給されたコントロール信号に基づいて、スイッチ29のオンオフ制御を行う。
【0036】
コンプレッサ部26は、入力された電力信号のうち予め定められた値よりも大きな部分を圧縮する。
【0037】
変調部27は、搬送信号を生成し、入力された音声信号と搬送信号とを乗じて変調する。変調部27における変調方式は、振幅変調(Amplitude Modulation)、周波数変調(Frequency Modulation)、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)、パルス密度変調(Pulse Density Modulation)等、どのようなものでもよい。
【0038】
出力増幅部28は、信号増幅機能を有し、入力された信号の電圧値や電流値を増大させて出力する。出力増幅部28から出力された信号は、スピーカ8に供給される。
【0039】
スイッチ29はゲート部25の制御に基づいてオンオフし、変調部27と出力増幅部28との間の信号線の短絡と開放を行う。具体的には、ゲート部25から信号が供給されている間のみオンとなって信号の導通を可能とする。
【0040】
図6は、出力増幅部28の具体的構成の模式を示す機能ブロック図である。同図に示す通り、出力増幅部28は第一アンプ部28a、第二アンプ部28bからなる一対の増幅器を有し、第一アンプ部28a、第二アンプ部28bは各スピーカ8にBTL(Bridged Transless)接続されている。
【0041】
具体的には、例えば第一アンプ部28aは非反転増幅回路によって形成する一方、第二アンプ部28bは反転増幅回路によって形成し、更に、それぞれの増幅率が同一になるように構成する。あるいは、第一アンプ部28aは任意の増幅回路により形成し、第二アンプ部28bは第一アンプ部28aと同様の増幅回路と位相反転回路により形成すると共に、それぞれの増幅率が同一になるように構成してもよい。そして、第一アンプ部28a、第二アンプ部28bは、それぞれスピーカ8の両極に接続される。例えば、第一アンプ部28aはスピーカ8の正極に接続され、第二アンプ部28bはスピーカ8の負極に接続されるようにする。
【0042】
次に、本実施の形態のオーディオ装置の作用について説明する。
【0043】
オーディオ装置1Aに入力された音声信号である入力信号は入力増幅部21に入力されて増幅される。入力増幅部21から出力された信号はディレイ部22、コントロール信号出力部24に供給される。
【0044】
コントロール信号出力部24は入力増幅部21から信号を受けてコントロール信号を出力し、ゲート部25はコントロール信号の供給を受けてスイッチ29をオンさせる。ゲート部25によって、入力信号が入力増幅部に入力された際にのみ出力増幅部28に導通する信号導通路が信号導通可能状態になることにより、入力信号がないときに出力増幅部28において増幅作用が行われる事態を抑止でき、出力増幅部28で無駄な電力が消費されることを防止できる。
【0045】
ディレイ部22は供給された信号を遅延させて出力させる。これにより、信号はスイッチ29がオンとなり出力増幅部28に導通する信号導通路が信号導通可能状態となるタイミング以後に出力増幅部28に供給されることになり、出力増幅部28で増幅される信号の立ち上がり部分が欠落し音声の立ち上がり部分が欠如する事態を防止できる。
【0046】
ディレイ部22から出力された信号はフィルタ部23で周波数特性が調整されたのち、コンプレッサ部26で予め定められた値より大きな部分が圧縮される。圧縮によって、変調部27において信号が過変調されて音声が歪むような事態を防止できる。
【0047】
コンプレッサ部26から出力された信号は変調部27において搬送信号に乗せられる(変調)。搬送信号は超音波帯域の周波数であるため、超音波帯域の搬送信号に可聴帯域の音声信号が乗った信号が生成される。
【0048】
変調部から出力された信号は出力増幅部28において増幅されたのち、スピーカ8に供給される。前述した通り、出力増幅部28の第一アンプ部28aと第二アンプ部28bとはスピーカ8にBTL接続されている。即ち、第一アンプ部28aと第二アンプ部28bとからはそれぞれ逆相で同一出力の信号が出力されてスピーカ8の正極及び負極にそれぞれ供給されるため、第一アンプ部28aのみ、あるいは第二アンプ部28bのみの信号をスピーカ8に供給した場合に比べ、各スピーカ8に引加される電圧は2倍になる。更に、印加される電圧が2倍になると流れる電流の量も2倍になるため、スピーカ8における電力は4倍になる(W=IR、但しW:電力、I:電流、R:抵抗成分)。これにより、増幅率を高くして電力効率を高め、発熱量を抑えることができる。
【0049】
一方、電子回路部20のうちで出力増幅部28は性質上最も発熱量が大きくなるが、出力増幅部28が形成された第三基板部13は接触面が放熱フィン部2の下面に接触し、この接触面近傍に出力増幅部28が設けられるため、出力増幅部28から発せられた熱の多くは放熱フィン部2から本体部1の外に放出される。前述の通り、放熱フィン部2は複数の放熱フィン3により空気との接触面積が大きくなっているので、本実施の形態のオーディオ装置は、冷却ファン等の機械的構成を用いなくても出力増幅部28からの発熱を高い効率で本体部1の外部に放熱できる。
【0050】
さらに、本体部1の背面部には放熱パネル4が嵌め込まれているため、出力増幅部28からの発熱や他の電子回路部20等からの発熱も高い効率で本体部1の外部に放熱できる。
【0051】
出力信号の供給を受けたスピーカ8は、振動板の振動により空気中に超音波を発する。ここで、変調部27にて変調された信号は超音波帯域の搬送信号と可聴帯域の周波数の入力信号とによって形成されているため、超音波の伝播方向(即ちスピーカ8の正面)に居る人間の耳には、出力信号と搬送信号との差分の周波数の音声(例えば振幅変調の場合。即ち元の搬送信号と出力信号との間の振幅変化の周期に基づく周波数。)や、出力信号の信号波形の粗密の変化に基づく音声(例えば周波数変調の場合。)、即ち入力信号に基づく音声が聴取される。これにより、スピーカ8からは指向性の高い音声(サウンドビーム)を出力できる。
【0052】
以上、本実施の形態のオーディオ装置においては、筐体として形成された本体部1内に収納された電子回路部20等の発熱によるトラブルが起こりにくく、本体部1を容易に小型化できる。
【0053】
上記実施の形態においては、本体部1には超音波領域における再生特性が良好なスピーカ8を配設し、変調部27において入力信号を変調してスピーカ8からは超音波を出力するものとしたが、これに限定されず、本体部1に可聴帯域の再生特性が良好な可聴音用スピーカを配設し、入力信号を変調せずに可聴音用スピーカ8に送り可聴音を出力させるものとしてもよい。また、本体部1に超音波用出力用のスピーカ8と可聴音用スピーカとをそれぞれ設け、超音波と可聴音とを一緒に出力できるものとしてもよい。
【0054】
上記実施の形態においては、電子回路部にコントロール信号出力部24を設け、コントロール信号出力部24のコントロール信号によってゲート部25をオンさせたが、これに限定されず、電子回路部20にコントロール信号出力部24を設けず、入力増幅部21から出力された信号を直接ゲート部25に供給し、この信号によりゲート部25をオンさせる構成とすることで、回路構成の単純化とコストダウンを図ってもよい。
【0055】
上記実施の形態においては、第一乃至第三基板部11,12,13のうち第三基板部のみが放熱フィン部2の下面に接触する構成としたが、これに限定されず、第一基板部11や第二基板部12も放熱フィン部2の下面に接触する構成とし、電子回路部20全体の放熱効率を高めてもよい。
【0056】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態のオーディオ装置の正面側斜視図である。
【図2】同上オーディオ装置の背面側斜視図である。
【図3】同上オーディオ装置のB−B−B−B線で切断した背面側斜視図である。
【図4】同上オーディオ装置のA−A−A−A線で切断した断面図である。
【図5】同上オーディオ装置における電子回路部の機能ブロック図である。
【図6】同上オーディオ装置の出力増幅部の具体的構成の模式を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1A・・・オーディオ装置
1・・・本体部
2・・・放熱フィン部
3,3,3,・・・,3・・・放熱フィン
8,8,8,・・・,8・・・スピーカ
11・・・第一基板部(基板部)
12・・・第二基板部(基板部)
13・・・第三基板部(基板部)
20・・・電子回路部
24・・・コントロール信号出力部(ゲート手段)
25・・・ゲート部(ゲート手段)
27・・・変調部(変調手段)
28・・・出力増幅部(出力増幅手段)
28a・・・第一アンプ部(増幅器)
28b・・・第二アンプ部(増幅器)
【出願人】 【識別番号】505195753
【氏名又は名称】株式会社アノディックサプライ
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘


【公開番号】 特開2008−60965(P2008−60965A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236092(P2006−236092)