| 【発明の名称】 |
音声通信装置及びその音声出力制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】村田 行雄
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| 【要約】 |
【課題】レシーバとして機能するスピーカを備える音声通信装置において、音漏れにより低音域の音量が小さくなってしまうことを好適に防止する。
【構成】筐体3内に配置され、共通の原信号に基づいて発音動作し、各々レシーバとして機能するスピーカ16,17と、スピーカ16,17の発音動作を原信号に応じて制御する音制御手段13,14を備える。筐体3において各スピーカ16,17と対応する位置には、それぞれ放音孔1,2が形成されている。放音孔1,2は、共にユーザの耳介により覆うことが可能であるように互いに近接して配置されている。音制御手段13,14は、高域の周波数の音を出力させる際には、スピーカ16,17から出力される音の位相を相対的に異ならせて音を打ち消す。低域の周波数の音を出力させる際には、スピーカ16,17から出力される音の位相を互いに等しく設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筐体と、 前記筐体内に配置され、共通の原信号に基づいて発音動作し、各々レシーバとして機能することが可能な複数のスピーカと、 前記複数のスピーカの発音動作を前記原信号に応じて制御する音制御手段と、 を備え、 前記筐体において各スピーカと対応する位置には、それぞれ1つ以上の放音孔が形成され、 前記放音孔は、前記放音孔の全てをユーザの耳介により覆うことが可能であるように、互いに近接して配置され、 前記音制御手段は、 前記原信号に含まれ第1の所定値以下の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、前記原信号に含まれ前記第1の所定値よりも高域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記複数のスピーカのうち残りの1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、前記複数のスピーカから出力される音を打ち消す高域音打消制御が可能であることを特徴とする音声通信装置。 【請求項2】 前記放音孔の全てが直径20mmの円の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の音声通信装置。 【請求項3】 前記複数のスピーカは、前記筐体における前記放音孔が形成された面と略平行な平面内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の音声通信装置。 【請求項4】 前記高域音打消制御は、 前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相との位相差を、音が前記第1の所定値よりも高域になるに従って徐々に拡大する制御であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項5】 前記音制御手段は、前記原信号を周波数帯域毎に分離し、 各周波数帯域毎に、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、の位相差を設定することを特徴とする請求項4に記載の音声通信装置。 【請求項6】 前記音制御手段は、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相を前記原信号に対して変化させることにより、前記高域音打消制御を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項7】 前記音制御手段は、前記複数のスピーカの各々から出力される音の大きさを互いに略等しく設定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項8】 前記複数のスピーカの各々の配置位置よりも、前記放音孔の各々の配置位置の方が、各スピーカの配置位置の中心に近い位置に設定され、 当該音声通信装置は、前記複数のスピーカの各々から出力される音を各スピーカと対応する放音孔に導く音誘導路を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項9】 前記音制御手段は、前記複数のスピーカをレシーバとして機能させる通話中に前記高域音打消制御を行うことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項10】 前記複数のスピーカは、音楽再生用にも用いられるものであり、 音楽再生時には、 前記音制御手段は、 前記原信号に含まれ第2の所定値以上の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、 前記原信号に含まれ第2の所定値よりも低域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記複数のスピーカのうち残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、前記複数のスピーカから出力される音を打ち消す低域音打消制御が可能であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項11】 前記低域音打消制御は、 前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相との位相差を、音が前記第2の所定値よりも低域になるに従って徐々に拡大する制御であることを特徴とする請求項10に記載の音声通信装置。 【請求項12】 前記音制御手段は、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相を前記原信号に対して変化させることにより、前記低域音打消制御を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の音声通信装置。 【請求項13】 当該音声通信装置は、携帯型音声通信装置であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の音声通信装置。 【請求項14】 当該音声通信装置は、携帯電話機であることを特徴とする請求項13に記載の音声通信装置。 【請求項15】 筐体と、前記筐体内に配置され共通の原信号に基づいて発音動作し各々レシーバとして機能することが可能な複数のスピーカと、前記複数のスピーカの発音動作を前記原信号に応じて制御する音制御手段と、を備え、前記筐体において各スピーカと対応する位置にはそれぞれ1つ以上の放音孔が形成され、前記放音孔は前記放音孔の全てをユーザの耳介により覆うことが可能であるように互いに近接して配置された音声通信装置の音声出力を制御する方法であって、 前記原信号に含まれる音の周波数を解析する第1の過程と、 前記原信号に含まれる音の周波数を判定する第2の過程と、 前記第2の過程により前記原信号に第1の所定値以下の周波数の音が含まれていると判定された場合に、該低域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させるに際し、前記複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する第3の過程と、 前記第2の過程により前記原信号に第1の所定値よりも高域の周波数の音が含まれていると判定された場合に、該高域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させるに際し、前記複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記複数のスピーカのうち残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、前記複数のスピーカから出力される音を打ち消す第4の過程と、 を備えることを特徴とする音声通信装置の音声出力制御方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、音声通信装置及びその音声出力制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、携帯電話機においては、レシーバ部(受話部)に対する耳の密着がゆるい状態(耳のあて方がゆるい状態)で受話動作をすると、音漏れにより低音域の音量が小さくなってしまうという問題があった。 【0003】 このような不都合を改善するための従来技術としては、プリリークによるリークトレーラントとよばれる低域補正方法があった。この方法では、レシーバの背面から出力される音をレシーバの前面から出力される音に混ぜることにより、音漏れによる低音域の音量低下を防止する。 【0004】 なお、本発明と関連する先行技術文献としては、特許文献1がある。 【0005】 特許文献1には、第1及び第2のスピーカとこれらを駆動するスピーカ駆動手段とを備え、低周波数帯域においてはスピーカを同相で駆動し、高周波数帯域においては逆相で駆動することにより、低周波数帯域での音圧低下を解決する携帯端末装置が開示されている。 【特許文献1】特開2003−153373号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、上記のような、プリリークによるリークトレーラントとよばれる低域補正方法は、位相キャンセルを利用し耳とレシーバ部との密着が高い状態でも低域の音圧を下げておき、密着がゆるい状態で低域の音圧が下がったときの特性との差異を小さくするものである。 【0007】 このため、位相キャンセルによる低域の音圧低下が発生するため全体音量の低下を招き、それを補正するためレシーバの音響出力を高くとる必要があるので、携帯電話機などの小型の装置では実現が難しい問題がある。 【0008】 そこで、小型の音声通信装置でも同様の効果が出せる解決方法が求められていた。 【0009】 本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、レシーバとして機能するスピーカを備える音声通信装置において、音漏れにより低音域の音量が小さくなってしまうことを好適に防止することを目的とする。 【0010】 なお、特許文献1の技術は、音漏れ対策のものではなく、音楽や着信音を再生する際にスピーカを適切に駆動するための技術であるため、上記の課題を解決できない。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記課題を解決するため、本発明の音声通信装置は、筐体と、前記筐体内に配置され、共通の原信号に基づいて発音動作し、各々レシーバとして機能することが可能な複数のスピーカと、前記複数のスピーカの発音動作を前記原信号に応じて制御する音制御手段と、を備え、前記筐体において各スピーカと対応する位置には、それぞれ1つ以上の放音孔が形成され、前記放音孔は、前記放音孔の全てをユーザの耳介により覆うことが可能であるように、互いに近接して配置され、前記音制御手段は、前記原信号に含まれ第1の所定値以下の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、前記原信号に含まれ前記第1の所定値よりも高域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記複数のスピーカのうち残りの1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、前記複数のスピーカから出力される音を打ち消す高域音打消制御が可能であることを特徴としている。 【0012】 本発明の音声通信装置においては、前記放音孔の全てが直径20mmの円の内側に配置されていることが好ましい。 【0013】 本発明の音声通信装置においては、前記複数のスピーカは、前記筐体における前記放音孔が形成された面と略平行な平面内に配置されていることが好ましい。 【0014】 本発明の音声通信装置においては、前記高域音打消制御は、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相との位相差を、音が前記第1の所定値よりも高域になるに従って徐々に拡大する制御であることが好ましい。 【0015】 本発明の音声通信装置においては、前記音制御手段は、前記原信号を周波数帯域毎に分離し、各周波数帯域毎に、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、の位相差を設定することが好ましい。 【0016】 本発明の音声通信装置においては、前記音制御手段は、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相を前記原信号に対して変化させることにより、前記高域音打消制御を行うことが好ましい。 【0017】 本発明の音声通信装置においては、前記音制御手段は、前記複数のスピーカの各々から出力される音の大きさを互いに略等しく設定することが好ましい。 【0018】 本発明の音声通信装置においては、前記複数のスピーカの各々の配置位置よりも、前記放音孔の各々の配置位置の方が、各スピーカの配置位置の中心に近い位置に設定され、当該音声通信装置は、前記複数のスピーカの各々から出力される音を各スピーカと対応する放音孔に導く音誘導路を更に備えることが好ましい。 【0019】 本発明の音声通信装置においては、前記音制御手段は、前記複数のスピーカをレシーバとして機能させる通話中に前記高域音打消制御を行うことが好ましい。 【0020】 本発明の音声通信装置においては、前記複数のスピーカは、音楽再生用にも用いられるものであり、音楽再生時には、前記音制御手段は、前記原信号に含まれ第2の所定値以上の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、前記原信号に含まれ第2の所定値よりも低域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、前記複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記複数のスピーカのうち残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、前記複数のスピーカから出力される音を打ち消す低域音打消制御が可能であることが好ましい。 【0021】 本発明の音声通信装置においては、前記低域音打消制御は、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相との位相差を、音が前記第2の所定値よりも低域になるに従って徐々に拡大する制御であることが好ましい。 【0022】 本発明の音声通信装置においては、前記音制御手段は、前記何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相を変化させることにより、前記低域音打消制御を行うことが好ましい。 【0023】 本発明の音声通信装置は、携帯電話機或いはその他の携帯型音声通信装置であることが好ましい。 【0024】 また、本発明の音声通信装置の音声出力制御方法は、筐体と、前記筐体内に配置され共通の原信号に基づいて発音動作し各々レシーバとして機能することが可能な複数のスピーカと、前記複数のスピーカの発音動作を前記原信号に応じて制御する音制御手段と、を備え、前記筐体において各スピーカと対応する位置にはそれぞれ1つ以上の放音孔が形成され、前記放音孔は前記放音孔の全てをユーザの耳介により覆うことが可能であるように互いに近接して配置された音声通信装置の音声出力を制御する方法であって、前記原信号に含まれる音の周波数を解析する第1の過程と、前記原信号に含まれる音の周波数を判定する第2の過程と、前記第2の過程により前記原信号に第1の所定値以下の周波数の音が含まれていると判定された場合に、該低域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させるに際し、前記複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する第3の過程と、前記第2の過程により前記原信号に第1の所定値よりも高域の周波数の音が含まれていると判定された場合に、該高域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させるに際し、前記複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、前記複数のスピーカのうち残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、前記複数のスピーカから出力される音を打ち消す第4の過程と、を備えることを特徴としている。 【発明の効果】 【0025】 本発明によれば、複数のスピーカの放音孔は、放音孔の全てをユーザの耳介により覆うことが可能であるように互いに近接して配置されているので、複数のスピーカをレシーバとして好適に機能させることができる。 【0026】 そして、原信号に含まれ第1の所定値以下の周波数の音を複数のスピーカから出力させる際には、複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、原信号に含まれ第1の所定値よりも高域の周波数の音を複数のスピーカから出力させる際には、複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、複数のスピーカのうち残りの1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、複数のスピーカから出力される音を打ち消す高域音打消制御が可能であるので、低域の音量を相対的に増大させる一方で、高域の音量は相対的に抑制することができる。よって、音声通信装置の受話部の形状が、耳のあて方がゆるくなりがちで音漏れが発生し易いデザインであっても、低域の音量を確保でき音質の向上を図ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0027】 以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。 【0028】 〔第1の実施形態〕 図1は第1の実施形態に係る携帯電話機100を示す斜視図、図2は図1のA−A線に沿った模式的な切断端面図、図3は第1の実施形態に係る携帯電話機100の回路ブロック図である。 【0029】 図1に示すように携帯電話機100は、例えば、ヒンジ機構21を介して相互に開閉可能に連結された第1及び第2の筐体3、4を備える折り畳み型の携帯電話機である。なお、携帯電話機100の筐体の形状は任意であり、1つの筐体のみ備えるストレート型であっても良いし、或いは、折り畳み型以外のヒンジ機構を備えるタイプの携帯電話機であっても良い。 【0030】 第1の筐体3は、通話時に音声を発音する受話部22と、各種の表示動作を行う表示部7と、を備えている。 【0031】 受話部22には、放音孔1,2が形成されている。 【0032】 図2に示すように、第1の筐体3の内部において、放音孔1と対応する位置にはスピーカ16が、放音孔2と対応する位置にはスピーカ17が、それぞれ配置されている。 【0033】 スピーカ16,17は、例えば、シール部材24を介して第1の筐体3の内面に固定され、第1の筐体3における放音孔1,2が形成された面と略平行な平面内に配置されている。 【0034】 なお、スピーカ16に対応する位置に複数の放音孔が形成されていても良いし、同様に、スピーカ17に対応する位置に複数の放音孔が形成されていても良い。 【0035】 スピーカ16から出力される音声は主に放音孔1を介して第1の筐体3の外部に放音され、スピーカ17から出力される音声は主に放音孔2を介して第1の筐体3の外部に放音される。 【0036】 これらスピーカ16,17は、レシーバとしての機能を兼ねる。 【0037】 携帯電話機100のユーザは、通話時に受話部22に耳介をあてがうことにより、放音孔1,2を介して放音される音声を聞くことができる。 【0038】 ここで、放音孔1,2は、受話部22にあてがったユーザの耳介により、放音孔1,2を共に覆うことが可能であるように互いに近接して配置されている。 【0039】 具体的には、放音孔1と放音孔2との距離(一番遠い部分どうしの位置)は、例えば、20mm以下に設定されていることが好ましく、15mm以下に設定されていることがより好ましく、10mm以下に設定されていることがより好ましい。 【0040】 第2の筐体4は、送話部23と、各種の操作キーにより構成された操作部6と、を備えている。 【0041】 第2の筐体4の送話部23には、入音孔5が形成されている。 【0042】 第2の筐体4の内部において、入音孔5と対応する位置にはマイク18(図3)が配置されている。 【0043】 携帯電話機100のユーザは、通話時に送話部23の近くで声を発することにより、この声を入音孔5を介して第2の筐体4内のマイク18に検出させることができる。 【0044】 次に、図3に示すように、携帯電話機100は、アンテナ8、無線部9、受信部10、制御部11、送信部12、音声信号処理部13,14、送話アンプ15、スピーカ16,17、マイク18を備えている。 【0045】 このうち音声信号処理部13,14により音制御手段が構成されている。 【0046】 アンテナ8は、基地局(図示略)との間で無線信号を送受信するものであり、無線部9に接続されている。 【0047】 すなわち、アンテナ8は、無線部9からの無線信号を基地局に送信したり、基地局から受信した無線信号を無線部9に出力したりする。なお、図1ではアンテナ8を図示していない。 【0048】 無線部9は、アンテナ8により受信された無線信号を復調し可聴信号に変換する機能と、送信部12或いは制御部11から入力された信号を無線信号へ変調する機能と、を備える。 【0049】 受信部10は、無線部9から入力される基地局からの受信信号を可聴音声信号或いは制御信号に変換し、該変換後の可聴音声信号(原信号)は音声信号処理部13、14に、制御信号は制御部11に、それぞれ出力する。 【0050】 音声信号処理部13,14では受信部10から入力される可聴音声信号(原信号)の位相特性を周波数に応じて制御する(詳細後述)。 【0051】 音声信号処理部13は処理後の可聴音声信号をスピーカ16に出力し、音声信号処理部14は処理後の可聴音声信号をスピーカ17に出力する。 【0052】 スピーカ16,17は、それぞれ音声信号処理部13から入力される可聴音声信号に応じた音声を発音する。 【0053】 制御部11は、通信プロトコルに従った制御を行い、基地局との接続のための通信制御やユーザーの操作に応じて表示部7による表示を制御したり、通信制御の監視を行ったりする。 【0054】 送話部23に入力される送話音声は、マイク18により電気信号に変換され、該変換後の電気信号は送話アンプ15により所望の信号レベルに増幅され、送信部12を介して無線部9に送られ、該無線部9において無線信号に変調されてアンテナ8より基地局に送信される。 【0055】 次に、スピーカ16,17をレシーバとして機能させる動作(通話時の動作)を説明する。 【0056】 図4は通話時における音声信号処理部13,14の入出力特性を示す。 【0057】 すなわち、図4は、通話中において受信部10から音声信号処理部13,14へ送られる可聴音声信号(原信号)に含まれる音の周波数に応じて、音声信号処理部13,14が音の位相をどのように変化させるかを示している。 【0058】 音声信号処理部13,14のうち、音声信号処理部13は、音の周波数にかかわらず、ゲイン及び位相(図4参照)を入出力で変化させない。 【0059】 他方、音声信号処理部14は、ゲインについては音声信号処理部13と同様に入出力で変化させないが、位相については図3に示すように、例えば、約1KHZ(第1の所定値)以下では入出力で変化させないが、約1KHZよりも高域では通信帯域上限の約4KHZに向かって徐々に拡大する位相変化(位相遅延)をもち、通信帯域上限の4KHZでは180°の位相変化をもたせている。 【0060】 音声信号処理部13によって信号処理された可聴音声信号はスピーカ16へ印加される一方で、音声信号処理部14によって信号処理された可聴音声信号はスピーカ17へ印加され、各スピーカ16,17から可聴音として出力される。 【0061】 各スピーカ16,17から出力される音は、放音孔1,2をそれぞれ介して、ユーザーの耳介へ達する。 【0062】 ユーザの耳介に達する音声は、スピーカ16,17から出力される音声が合成されたものとなる。 【0063】 図5は音声の周波数に応じた受話部23からの音響出力を示す図、図6は従来の携帯電話機の場合の音響出力(音漏れがある場合と無い場合)を示す図である。 【0064】 ここで、従来の携帯電話機では、ユーザーの耳介と携帯電話機の受話部との間に音漏れがある場合、ユーザが受聴する音声は図6に示すように低域において音圧(音響出力)が低下することが知られている(図6の「音漏れのあるときの受聴音特性」)。 【0065】 なお、音漏れがなければ、図6に示すように、低域でも高域でも音圧(音響出力)はほぼ一定である(図6の「音漏れのないときの受聴音特性」)。 【0066】 対して、本実施形態に係る携帯電話機100においては、音漏れの有無にかかわらず、ユーザが受聴する音声は、図6における「音漏れのないときの受聴音特性」と同様となる。 【0067】 また、スピーカ16,17の音響出力は互いに等しい音圧としているため(スピーカ16,17の各々から出力される音の大きさを互いに等しく設定しているため)、受話部23に当てた耳介の位置が何れか一方のスピーカ16,17に近い場合でも、低域の音圧低下はあるものの左右間で音質の相違が出にくいため受聴音質に違和感が発生せず、より広い範囲で受聴できることになる。 【0068】 次に、スピーカ16,17により音楽を再生する動作を説明する。 【0069】 スピーカ16,17により音楽(着信音などを含む)を再生するときは、制御部11の記憶装置(図示略)に記憶されている音楽データ(或いは着信音データなど)が原信号として音声信号処理部13,14に出力される。 【0070】 音声信号処理部13,14は、この音楽データを信号処理し、スピーカ16,17に出力する。 【0071】 図7は音楽再生時における音声信号処理部13,14の入出力特性を示す。 【0072】 図7に示すように、音楽再生時には、音声信号処理部13、14は低域での位相差を大きくとる一方で、中高域では位相差を小さくする。 【0073】 具体的には、音声信号処理部14は、例えば、約750HZ(第2の所定値)以上では位相を入出力で変化させないが、約750HZよりも低域では可聴域の下限(例えば約100HZ)に向かって徐々に拡大する位相変化(位相遅延)をもち、可聴域の下限では約180°(例えば、179°程度)の位相変化を持たせている。 【0074】 音声信号処理部13によって信号処理された音楽データはスピーカ16へ印加される一方で、音声信号処理部14によって信号処理された音楽データはスピーカ17へ印加され、各スピーカ16,17から可聴音として出力される。 【0075】 こうすることにより、スピーカ16、17から出力される音響出力は、放音孔1,2の正面から受聴して広がり感をもった音になる。すなわち、スピーカ16,17をサラウンドスピーカとして機能させ、音響にサラウンド効果を持たせることができる。 【0076】 ここで、詳細には、通話時、並びに、音楽再生時において、一のタイミングでスピーカ16,17から出力される音声には、様々な周波数帯域の音声が含まれている。 【0077】 このため、音声信号処理部13,14は、具体的には、原信号を周波数帯域毎に分離し、各周波数帯域毎に、図4に示す入出力特性に従って、音声の位相を変化させる。 【0078】 すなわち、音声信号処理部13,14からなる音制御手段は、原信号を周波数帯域毎に分離し、各周波数帯域毎に、スピーカ16から出力される音の位相と、スピーカ17から出力される音の位相と、の位相差を設定する。 【0079】 これにより、音声の周波数に応じて、適宜にスピーカ17から出力される音の位相を変化させ、音響出力の大きさを調節することができる。 【0080】 以上のような第1の実施形態によれば、2つのスピーカ16,17の放音孔1,2は、共にユーザの耳介により覆うことが可能であるように互いに近接して配置されているので、2つのスピーカ16,17をレシーバとして好適に機能させることができる。 【0081】 そして、通話中においては、原信号に含まれ、例えば約1KHZ以下の周波数の音を、2つのスピーカ16,17から出力させる際には、2つのスピーカ16,17から出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、原信号に含まれ、例えば約1KHZよりも高域の周波数の音を2つのスピーカ16,17から出力させる際には、スピーカ16から出力される音の位相と、スピーカ17から出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、2つのスピーカ16,17から出力される音を打ち消すので、低域の音量を相対的に増大させる一方で、高域の音量は相対的に抑制することができる。よって、携帯電話機100の受話部22の形状が、耳のあて方がゆるくなりがちで音漏れが発生し易いデザインであっても、低域の音量を確保でき音質の向上を図り、自然な受聴音質を確保することができる。 【0082】 また、2つのスピーカ16,17の音量は同じとすることにより、耳の位置がどのスピーカ16,17の放音孔1,2の近くに位置しても、同じ音量で音を聞くことができ、より広い使用範囲で受聴が可能となる。 【0083】 また、2つのスピーカ16,17を音楽再生スピーカとして機能させる際には、上記のようにとサラウンドスピーカとしても使用できる。 【0084】 〔第2の実施形態〕 図8は第2の実施形態に係る携帯電話機の場合の図1のA−A線に沿った模式的な切断端面図である。 【0085】 上記の第1の実施形態では、図2に示すように、スピーカ16の中央前方に放音孔1を、スピーカ17の中央前方に放音孔2を、それぞれ配置している例を説明した。 【0086】 しかし、スピーカ16,17の配置は第1の筐体3の内部における各種構成要素の実装条件によっては、図8に示すように互いに離れた位置となることもある。 【0087】 この場合は、各スピーカ16,17の中央前方に放音孔1,2を配置すると放音孔1,2どうしが離れてしまい、これら放音孔1,2を共に耳介により覆うことが不可能となる。 【0088】 そこで、本実施形態では、図8に示すように、各スピーカ16,17から出力される音を各スピーカ16,17と対応する放音孔1,2に導く音誘導路19,20を設けることにより、放音孔1,2どうしの距離は上記の第1の実施形態と同様の距離にすることができる。 【0089】 すなわち、本実施形態では、図8に示すように、スピーカ16から出力される音を放音孔1に導く音誘導路19を第1の筐体3における放音孔1の配設領域の内壁面に形成している一方で、スピーカ17から出力される音を放音孔2に導く音誘導路20を第1の筐体3における放音孔2の配設領域の内壁面に形成している。 【0090】 各音誘導路19,20は、それぞれ、スピーカ16,17から音を外部に極力漏洩させずに放音孔1,2に導くために、密閉された構造とされている。 【0091】 第2の実施形態に係る携帯電話機は、スピーカ16,17の配置が異なる点と、音誘導路19、20を備える点の他は、上記の第1の実施形態に係る携帯電話機100と同様である。 【0092】 以上のような第2の実施形態によれば、スピーカ16,17は互いに離れて配置されている場合や、スピーカ16,17の寸法が大きい場合にも、放音孔1,2どうしの距離を互いに近接して配置することができ、これら放音孔1,2を耳介により共に覆うことが可能となる。 【0093】 なお、上記の各実施形態では、スピーカ17から出力される音の位相のみを原信号に対して変化させる例を説明したが、スピーカ16,17の双方の出力音を共に原信号に対して変化させても、これらスピーカ16,17から出力される音の位相を相対的に異ならせることにより、上記と同様の効果が得られる。 【0094】 また、上記の各実施形態では、携帯電話機100が備えるスピーカの数が2つである例を説明したが、携帯電話機100が3つ以上のスピーカを備えることとしても良い。そして、筐体において各スピーカと対応する位置には、それぞれ1つ以上の放音孔が形成され、放音孔の全てをユーザの耳介により覆うことが可能であるように各放音孔が互いに近接して配置されていれば良い。具体的には、放音孔の全てが直径20mm(15mmがより好ましく、10mmがより好ましい)の円の内側に配置されていれば良い。そして、通話時には、音声信号処理部13,14は、原信号に含まれ第1の所定値以下の周波数の音を複数のスピーカから出力させる際には、複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、原信号に含まれ第1の所定値よりも高域の周波数の音を複数のスピーカから出力させる際には、複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、複数のスピーカのうち残りの1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、複数のスピーカから出力される音を打ち消すようにすればよい。他方、音楽再生時には、原信号に含まれ第2の所定値以上の周波数の音を複数のスピーカから出力させる際には、複数のスピーカから出力される音の位相を互いに略等しく設定する一方で、原信号に含まれ第2の所定値よりも低域の周波数の音を前記複数のスピーカから出力させる際には、複数のスピーカのうち何れか1つ以上のスピーカから出力される音の位相と、複数のスピーカのうち残りの1つ以上スピーカから出力される音の位相と、を相対的に異ならせることにより、複数のスピーカから出力される音を打ち消すようにすればよい。 【0095】 また、上記の各実施形態では、音声通信装置が携帯電話機である例を説明したが、携帯電話機に限らず、トランシーバ、固定電話の子機、その他の携帯型音声通信装置にも同様に適用可能である。 【0096】 また、本発明は、小型の音声通信装置に適用して好適であるが、固定電話やその他の音声通信装置にも同様に適用可能である。 【図面の簡単な説明】 【0097】 【図1】第1の実施形態に係る携帯電話機を示す斜視図である。 【図2】第1の実施形態に係る携帯電話機の要部拡大の切断端面図である。 【図3】第1の実施形態に係る携帯電話機の構成を示すブロック図である。 【図4】通話時における音声信号処理部による音の位相変化特性(入出力特性)を示す図である。 【図5】音響の出力レベルを示す図である。 【図6】従来の携帯電話機の場合の音漏れがある場合と無い場合の受聴音特性を示す図である。 【図7】サラウンドスピーカとして機能させる場合の音声信号処理部による音の位相変化特性(入出力特性)を示す図である。 【図8】第2の実施形態に係る携帯電話機の要部拡大の切断端面図である。 【符号の説明】 【0098】 1 放音孔 2 放音孔 3 第1の筐体(筐体) 13 音声信号処理部(音制御手段を構成する) 14 音声信号処理部(音制御手段を構成する) 16 スピーカ 17 スピーカ 19 音誘導路 20 音誘導路 100 携帯電話機(音声通信装置、携帯型音声通信装置)
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004237 【氏名又は名称】日本電気株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月30日(2006.8.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096105 【弁理士】 【氏名又は名称】天野 広
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| 【公開番号】 |
特開2008−60803(P2008−60803A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−233902(P2006−233902) |
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