| 【発明の名称】 |
超音波振動子 |
| 【発明者】 |
【氏名】森 瑞樹
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| 【要約】 |
【課題】不要な雑音振動成分の生成や、部材の変形疲労による耐久性の低下を抑えたまま、出力音圧を向上させた超音波振動子を提供すること。
【構成】第一及び第二の圧電振動子を、中間支持部材を介して略同軸上に積層させるよう互いに離間して配置し、下側に配置した第一の圧電振動子の外縁上に略円環形状の中間支持部材を配設し、中間支持部材の上部に第二の圧電振動子を接着固定するとともに、第一の圧電振動子における振動板の略中央部分を支柱で固定する構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧電振動子の撓み振動により超音波を発信する超音波振動子において、 両主面に薄膜電極が形成された第一の圧電板材を、第一の振動板の片面又は両面に貼り合わせて成る第一の圧電振動子と、 当該第一の圧電振動子の一方の主面における外縁上に、下面を当接して固定する円環形状の中間支持部材と、 前記第一の圧電振動子の他方の主面の略中央部を基台に支持固定する支柱と、 前記円環形状の中間支持部材の上面に当接して固定する、両主面に薄膜電極が形成された第二の圧電板材を、第二の振動板の片面又は両面に貼り合わせて成る第二の圧電振動子と、を有する ことを特徴とする超音波振動子。 【請求項2】 前記円環形状の中間支持部材により前記第二の圧電振動子を固定配置する箇所よりも内側領域における前記第二の圧電振動子の総質量と、前記固定配置する箇所よりも外周領域における前記第二の圧電振動子の総質量とが、略等しくなるように前記円環形状の中間支持部材と前記第二の圧電振動子が配設されている ことを特徴とする請求項1に記載の超音波振動子。 【請求項3】 前記円環形状の中間支持部材と前記第二の圧電振動子とを、線接触させた状態で固定する ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波振動子。 【請求項4】 前記第二の圧電振動子の中央部上面に、すり鉢形状の共振子が固定されている ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波振動子。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、厚み方向に分極された圧電板材を振動板に貼り合わせ、圧電振動子の撓み振動により超音波を放射させる構成の超音波振動子に関するものであり、更に詳しくは、出力音圧の向上を目的として、圧電振動子の配置構造を改善した超音波振動子に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年では、超音波技術を利用した産業分野の進展は目覚しく、こうした背景の下、超音波振動子に対する高音圧化の要求は益々高まりつつある。 【0003】 まず従来の超音波振動子の構成について説明する。図3は、従来の超音波振動子の構成を示す断面図である。 図3で示す従来の超音波振動子22は、圧電板材1cと振動板2cを貼り合わせた圧電振動子3cの上面の略中央部分に、超音波を放射する部分となる擂り鉢形状の共振子4をエポキシ系等の接着剤5で固着し、更に、この圧電振動子3cを低弾性接着剤8で円環形状の支持台9へ支持接着する、という構造を有している(例えば特許文献1を参照)。 【0004】 ここで、圧電板材1cの両主面に形成された薄膜電極へ交流の電圧が印加されると、圧電板材1cは長手方向に伸縮振動し、この伸縮運動に伴って、圧電振動子3cは支持台9へ支持接着された部分を節として、図中点線で示すような屈曲振動を起こす。この時、擂り鉢形状の共振子4は、この屈曲運動の腹部分にあたる箇所に固着されているため、その全体が上下方向のピストン運動を起こし、その結果、この共振子4から超音波が放射される事となる。 【0005】 この超音波振動子22のままでは、超音波の出力音圧が、共振子4の上下振幅量、即ち圧電振動子3cの屈曲運動の変形度にのみ依存するため、大きな出力音圧を実現する事が難しいという問題がある。 【0006】 従って、超音波振動子22の圧電板材1cを積層型圧電板材に換えるという手段が考えられる。このような手段を用いれば、積層化によって圧電板材の圧電歪み効果が増大され、圧電板材1cへの印加電圧を同じ大きさに維持したまま、圧電振動子3cの屈曲運動の変形度を大きくさせる事ができるので、共振子4の上下振幅量を増大させ、出力音圧を向上させる事が可能となる。 【0007】 【特許文献1】特開平5−292597号公報(第3頁、図1) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 超音波振動子を上記の構成とすると、圧電板材の積層化及び薄膜化に依存して電気容量が大きくなってしまう影響で、超音波領域のような比較的高い周波数で駆動した際の電気的抵抗値が大幅に低下し、消費電力が著しく増加してしまうという新たな問題が発生してしまう事となる。 【0009】 また、例えその消費電力が許容可能な範囲内であったとしても、圧電振動子3cの屈曲変形度が大きくなることに伴って、圧電振動子3cを構成する圧電板材1cと振動板2cの部材の歪み率が大きくなる。 【0010】 この現象について図面を用いて説明をする。図4は、従来の超音波振動子に用いられる材料の応力―歪み曲線を示した図であり、本図面における縦軸が材料の応力を、横軸が材料の歪み率を示している。 図4の応力−歪み率曲線に示すように、その歪み率が線形弾性領域を超えて非線形領域に入ってしまう事となる。この事は、超音波振動子が、線形弾性領域の歪み率内での駆動を前提としている、所謂弾性振動をしなくなる事を意味し、不要な雑音振動成分の生成や、部材の変形疲労による耐久性の低下という新たな問題を招いてしまう事となる。 【0011】 そこで、本発明は、上述したような問題を解決し、不要な雑音振動成分の生成や、部材の変形疲労による耐久性の低下を抑えたまま、出力音圧を向上させた超音波振動子を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 上記目的を達成するために、本発明の超音波振動子は、下記記載の構成を採用する。 【0013】 本発明の超音波振動子は、両主面に薄膜電極が形成された第一の圧電板材を、第一の振動板の片面又は両面に貼り合わせて成る第一の圧電振動子と、当該第一の圧電振動子の一方の主面における外縁上に、下面を当接して固定する円環形状の中間支持部材と、第一の圧電振動子の他方の主面の略中央部を基台に支持固定する支柱と、円環形状の中間支持部材の上面に当接して固定する、両主面に薄膜電極が形成された第二の圧電板材を、第二の振動板の片面又は両面に貼り合わせて成る第二の圧電振動子と、を有することを特徴とする。 【0014】 また更に、本発明の超音波振動子は、円環形状の中間支持部材により第二の圧電振動子を固定配置する箇所よりも内側領域における第二の圧電振動子の総質量と、固定配置する箇所よりも外周領域における第二の圧電振動子の総質量とが、略等しくなるように円環形状の中間支持部材と第二の圧電振動子が配設されていることを特徴とする。 【0015】 また更に、本発明の超音波振動子は、円環形状の中間支持部材と第二の圧電振動子とを、線接触した状態で固定することを特徴とする。 【0016】 また更に、本発明の超音波振動子は、第二の圧電振動子の中央部上面に、すり鉢形状の共振子が固定されていることを特徴とする。 【発明の効果】 【0017】 本発明による超音波振動子では、上述した様な構成とする事により、圧電振動子の屈曲変形度を、それを構成する振動板及び圧電板材の線形弾性領域内に抑えたままで、共振子の上下振動の大きな振動振幅を実現することができる。その結果、従来の超音波振動子と比較して、不要な雑音振動成分の生成を抑制し、部材の耐久性を維持したまま、大きな出力音圧の超音波を放射することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明の実施例における超音波振動子の構成及び駆動機構について説明する。尚、本発明の構成における同部分については背景技術と同符号を用いて説明する。 【0019】 まず、本発明における超音波振動子の構成例について説明する。図1は、本発明の超音波振動子の構成例を示す断面図である。 図1の断面図に示すように、本発明の実施例における超音波振動子21は、圧電板材1aと振動板2aとを貼り合わせて成る第一の圧電振動子3aと、それと同様に圧電板材1bと振動板2bとを貼り合わせて成る第二の圧電振動子3b、第二の圧電振動子3bの略 中央部上面に接着剤5で接着固定された共振子4、第一の圧電振動子3aを固定するための支柱6、及び第一の圧電振動子3aからの振動を第二の圧電振動子3bへ伝える為の中間支持部材7、により構成されている。そして、第一の圧電振動子3aは、振動板2aの略中央部下面側において支柱6へ強く固定されており、第二の圧電振動子3bは、第一の圧電振動子3aにおける振動板2aの外縁部上面に設けた略円環形状の中間支持部材7の上に、弾性接着剤8で接着固定されている。さらに本図に示す支柱6は、図示しない基台に固定されている。 【0020】 ここで、第二の圧電振動子3bを中間支持部材7により接着固定する箇所は、接着固定した箇所よりも中央部側における第二の圧電振動子3bの総質量と、その接着固定した箇所よりも外周部側における第二の圧電振動子3bの総質量とが、略等しい質量になるような箇所とするのが望ましい。また、中間支持部材7において、第二の圧電振動子3bと接触する部分は、互いの接触面積が最小限の線接触になるよう、その断面形状が鋭く尖った形状になっているのが望ましい。 【0021】 その理由については、以下に説明する。上記のような構成において、圧電板材1a、1bの両面に形成された図示しない薄膜電極に超音波周波数の交流電圧が印加されると、圧電板材1a、1bにおける径方向への圧電効果により、第一、第二の圧電振動子3a、3bは上下方向の撓み振動を引き起こす。この時、圧電板材1a、1bの分極方向、及びこれらに印加される交流電圧の位相は、第一、第二の圧電振動子3a、3bの屈曲変形方向が互いに上下逆向きになるように設定されているため、図2で示すように、下側の第一の圧電振動子3aが下に凸形状の時に上側の第二の圧電振動子3bが上に凸形状に(図2(a)参照)、逆に下側の第一の圧電振動子3aが上に凸形状の時に上側の第二の圧電振動子3bが下に凸形状(図2(b)参照)、というような振動様態を有する事となる。 【0022】 このような振動様態を有する事で、第一の圧電振動子3aは支柱6で固定された部分を支点として、外縁部で最大の振動振幅をする事となり、その外縁部により中間支持部材7を介して、上に接着固定された第二の圧電振動子3bを加振する事となる。ここで、第二の圧電振動子3bを中間支持部材7により支持固定する箇所が、上述したように、当該箇所より内側と外側の第二の圧電振動子3bの総質量が互いに略等しくなる箇所となっている事で、第二の圧電振動子3bは当該箇所を節とした様態で屈曲振動を起こす。即ち、この当該箇所における第二の圧電振動子3b自体の撓み振動の振幅はゼロとなる。 【0023】 そして、この撓み振動の振幅がゼロとなる節の部分で、第一の圧電振動子3aからの加振力が第二の圧電振動子3b全体に伝えられる為、この加振力が第二の圧電振動子3bの撓み振動自体に与える影響は少なくなる。従って、第一の圧電振動子3aの外縁部における上下の振動振幅は、ほぼそのままの振幅を維持したまま第二の圧電振動子3bの全体に対して伝達させる事ができる。 【0024】 上述したような駆動機構により、本発明における超音波振動子21は、図2の振動様態で示すように、第二の圧電振動子3b自身の撓み振動の振幅に加えて、第一の圧電振動子3aによる上下加振の振幅が重なる事で、第二の圧電振動子3bの上面に載置接着された共振子4を、第二の圧電振動子3bを単独で駆動させた時よりも大きい振幅量で上下方向に振動させる事ができるようになる。その結果、圧電振動子の撓み振動のみで駆動していた従来の超音波振動子22(図3を参照)と比較して、より高い出力音圧の超音波を放射する事が可能となる。 【0025】 更に、この超音波振動子21では、中央支持部材7の断面形状が鋭く尖った形状になっている事で、第二の圧電振動子3bと中央支持部材7との接触面積が限り無く少なくなっている。その為、第一、第二の圧電振動子3a、3bという振動体同士の接触による不要 な雑音振動成分を極力抑える事ができるだけでなく、両振動体における振動の相互作用を可能な限り少なくできるので、第一、第二の圧電振動子3a、3bが互いの振動性能を阻害する事無く、それぞれの最大振動振幅を維持したまま駆動させる事ができるようになる。 【0026】 また、本発明における超音波振動子21では、先述した従来の超音波振動子22(図3を参照)のように、圧電板材1cを積層圧電板材に置換する事無く共振子4の上下振幅量を向上させる事ができるため、積層圧電板材を用いた超音波振動子22で問題となっていた、圧電板材の積層化および薄膜化による消費電力の増大を、考慮する必要が無くなる。 【0027】 またそればかりでなく、従来の超音波振動子22(図3を参照)では、圧電板材1cを積層圧電板材に置換することで、圧電振動子3cの屈曲変形度が大きくなることに伴い、圧電振動子3cを構成する圧電板材1cと振動板2cの部材の歪み率が大きくなり、応力−歪み率曲線(図4を参照)に示すように、その歪み率が非線形領域に入る事による不要な雑音振動成分の生成や、部材の変形疲労による耐久性の低下という問題があったが、本発明における本発明における超音波振動子21では、第一、第二の圧電振動子3a、3bを構成する圧電板材1a、1b及び振動板2a、2bの個々の部材における屈曲変形度が、それ程大きくなる事がない。従って、個々の部材の歪み率が上記のように非線形領域に入る事が無くなる為、不要な雑音振動成分の生成を抑制し、部材の耐久性を維持したまま、大きな出力音圧の超音波を放射することが可能となる。 【0028】 なお、本実施例では、第一、第二の圧電振動子3a、3bにおいて、それぞれの振動板2a、2bに一枚の圧電板材1a、1bを配した構成例を示したが、この構成例に限らず、振動板2a、2bそれぞれに二枚の圧電板材を配し、二つの圧電振動子をバイモルフ型とした構成や、又は片方の圧電振動子のみバイモルフ型とした構成であっても構わない。 【図面の簡単な説明】 【0029】 【図1】本発明の超音波振動子の構成例を示した断面図である。 【図2】本発明の超音波振動子の振動形状を示した断面図である。 【図3】従来の超音波振動子を示した断面図である。 【図4】従来の超音波振動子に用いられる材料の応力―歪み曲線を示した図である。 【符号の説明】 【0030】 1a、1b 圧電板材 2a、2b 振動板 3a 第一の圧電振動子 3b 第二の圧電振動子 4 共振子 5 接着剤 6 支柱 7 中間支持部材 8 弾性接着剤 9 支持台
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001960 【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月29日(2006.8.29) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−60648(P2008−60648A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−231794(P2006−231794) |
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