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【発明の名称】 コンデンサマイクロホン及びその製造方法
【発明者】 【氏名】伊藤 元陽

【氏名】米原 賢太郎

【要約】 【課題】筐体の積層強度を高めることができるコンデンサマイクロホンを提供する。

【構成】コンデンサマイクロホン21の筐体22を、回路基板23と、筐体基枠24と、音孔28を有するトップ基板25とを積層固定することにより構成する。筐体22の内部には、音孔28と対応して振動膜29を設けるとともに、その振動膜29との間にスペーサ30を介してバックプレート31を設ける。スペーサ30及び振動膜29は筐体基枠24の内部空間の形状よりも小さくなるように形成し、筐体基枠24内に収納されるようにトップ基板25の内面に貼着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に同筐体の音孔と対応して振動膜を設けるとともに、その振動膜との間にスペーサを介してバックプレートを設けたコンデンサマイクロホンにおいて、
前記筐体を、筐体基枠と、その筐体基枠の内部空間の両端開口をそれぞれ閉塞する基板とにより構成するとともに、一方の基板に前記音孔を形成し、前記振動膜を筐体基枠の内部空間よりも小形にして、その内部空間内に収納したことを特徴とするコンデンサマイクロホン。
【請求項2】
前記音孔を有する基板の内側面に金属面を設け、前記振動膜をその金属面に接着したことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項3】
前記スペーサを筐体基枠の内部空間よりも小さく形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項4】
前記振動膜とスペーサとを同系の合成樹脂により構成するとともに、スペーサを振動膜に接着したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法において、
音孔を有する基板の内面に振動膜とスペーサとを接着した状態で、それらを筐体基枠の内周形状より小形となるように切断分離し、その後、筐体基枠内部に前記振動膜とスペーサとが収納されるように基板と筐体基枠とを固定することを特徴とするコンデンサマイクロホンの製造方法。
【請求項6】
前記基板の金属面に、合成樹脂材料により構成された振動膜とスペーサと接着して、それらをレーザ光により切断分離することを特徴とする請求項5に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の機器に用いられるコンデンサマイクロホンと、そのコンデンサマイクロホンを製造するための製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンデンサマイクロホンの一例が、例えば、特許文献1に開示されている。すなわち、この従来構成のコンデンサマイクロホンは、下から順に、電装部品を実装した回路基板、背面電極を有する背面電極基板、スペーサ、振動膜が張架された振動膜支持枠を積層固定して構成されている。
【0003】
また、このコンデンサマイクロホンを製造する場合には、複数の回路基板を形成するための回路基板集合体と、複数の背面基板を形成するための背面基板集合体と、複数のスペーサを形成するためのスペーサ集合体と、下面に振動膜を張架した複数の振動膜支持枠を形成するための振動膜支持枠集合体とを積層して、接着剤により接着固定している。そして、この積層組立体を複数に切断分離することにより、複数のコンデンサマイクロホンを形成している。
【特許文献1】特開2002−345092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来構成のコンデンサマイクロホンにおいては、薄いフィルム材よりなる振動膜がスペーサと振動膜支持枠との間に介在されることになるため、筐体の積層強度を十分に確保することができないという問題があった。つまり、振動膜は非常に薄い高分子材の膜により構成されているため、他の部材に対する接着強度が低く、従って、このように接着強度の低い振動膜が介在されて構成された筐体はこの振動膜の部分において分離しやすい。また、従来のコンデンサマイクロホンの製造に際して、積層組立体を複数に切断分離する場合、各基板集合体とともに振動膜支持枠集合体及びスペーサ集合体を切断する必要がある。このため、カッタにかかる負荷が高くなって、同カッタが磨耗しやすいばかりでなく、切断に時間がかかるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その主たる目的は、筐体の積層強度を高めることにある。この発明のその上の目的は、積層組立体の切断分離においてカッタに高い負荷がかかることなく、切断分離を短時間に行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、コンデンサマイクロホンにかかる請求項1の発明は、筐体の内部に同筐体の音孔と対応して振動膜を設けるとともに、その振動膜との間にスペーサを介してバックプレートを設けたコンデンサマイクロホンにおいて、前記筐体を、筐体基枠と、その筐体基枠の内部空間の両端開口をそれぞれ閉塞する基板とにより構成するとともに、一方の基板に前記音孔を形成し、前記振動膜を筐体基枠の内部空間よりも小形にして、その内部空間内に収納したことを特徴としている。
【0007】
従って、このコンデンサマイクロホンにおいては、スペーサ及び振動膜が筐体を構成する筐体基枠及び基板と一体に積層されることなく、筐体基枠の内部空間内に独立した状態で収納配置される。よって、薄いフィルム材よりなる振動膜が積層されることはなく、筐体の積層強度が低下するおそれを防止することができて、筐体の強度を向上できる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記音孔を有する基板の内側面に金属面を設け、前記振動膜をその金属面に接着したことを特徴とする。
従って、振動膜をレーザ光によって切り抜いても、基板が損傷することを防止できる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記スペーサを筐体基枠の内部空間よりも小さく形成したことを特徴とする。
従って、スペーサも筐体基枠や基板間に積層されることなく、振動膜とともに筐体基枠の内部空間内に収納される。よって、筐体の積層数を少なくして、筐体の強度をさらに向上できる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記振動膜とスペーサとを同系の合成樹脂により構成するとともに、スペーサを振動膜に接着したことを特徴とする。ここで、同系の材料とは、同一の材料を含むものとする。
【0011】
従って、振動膜とスペーサとの接着強度を高めることができるとともに、振動膜とスペーサとの熱膨張係数が等しくなり、膨張率の差によって振動膜に緊張や弛みが生じるのを抑制することができ、マイクロホンの耐環境性を高めることができる。また、振動膜の切り抜きにおいて、スペーサを振動膜と一体に扱うことができて、取り扱いが容易になる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法において、音孔を有する基板の内面に振動膜とスペーサとを接着した状態で、それらを筐体基枠の内周形状より小形となるように切断分離し、その後、筐体基枠内部に前記振動膜とスペーサとが収納されるように基板と筐体基枠とを固定することを特徴とする。
【0013】
従って、この製造方法においては、積層組立体を切断分離して複数のコンデンサマイクロホンを形成する際に、振動膜及びスペーサを切断する必要がない。よって、積層組立体をカッタに高い負荷がかかることなく、短時間に切断分離することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明においては、請求項5に記載の発明において、前記基板の金属面に、合成樹脂材料により構成された振動膜とスペーサと接着して、それらをレーザ光により切断分離することを特徴とする。
【0015】
従って、このようにした場合には、レーザ光により振動膜及びスペーサを所定の大きさに正確に切断することができるとともに、基板にレーザ光の焼き付きダメージ等が生じるおそれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明によれば、筐体の積層強度を高めることができ、しかも、積層組立体の切断分離においてカッタに高い負荷がかかることなく、切断分離を短時間に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、この発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、この実施形態のコンデンサマイクロホン21の筐体22は、平板状の回路基板23と、内部空間が透設されて全体として四角枠状をなす筐体基枠24と、平板状のトップ基板25とを積層して、接着剤により固定した構造となっている。前記回路基板23,筐体基枠24及びトップ基板25はエポキシ樹脂、液晶ポリマー、セラミック等の電気絶縁体により構成されている。
【0018】
回路基板23の上下両面には銅やニッケル等よりなる導電パターン23b,23cが印刷されている。そして、回路基板23上には、筐体22内に設けられたインピーダンス変換回路を構成する電界効果トランジスタ26やキャパシタンス27等の電装部品が実装されている。前記筐体基枠24の上下両面及び外側面には銅やニッケル等よりなる互いに連続した導電パターン24b,24cが印刷されている。そして、回路基板23上の前記電界効果トランジスタ26やキャパシタンス27等の電装部品が、この筐体基枠24の内部空間内に収容配置されている。回路基板23の上下両面の所要位置には絶縁膜23eが印刷されている。前記トップ基板25の上下両面及び外側面には銅やニッケル等よりなる導電パターン25b,25cが印刷されている。従って、この導電パターン25cによりトップ基板25の内面には金属面が形成されている。トップ基板25には、外部から音を取り込むための音孔28が形成されている。さらに、回路基板23及びトップ基板25の内部には銅よりなる導電層23d,25dが埋設されている。
【0019】
図1〜図3及び図6に示すように、前記筐体基枠24内において、トップ基板25の環状をなす下側導電パターン25cの下面にはPPS(ポリフェニレンスルフィド)の合成樹脂薄膜シート材よりなる振動膜29が張架状態で接着され、その振動膜29の上面には金蒸着により図示しない導電層が形成されている。振動膜29の下面周側の4箇所には、振動膜29の材料と同系材料(同一材料を含む)のPPS等の合成樹脂からなり、かつ4枚の小片からなるスペーサ30が接着固定されている。筐体基枠24内において、振動膜29の下面にはスペーサ30を介在させてバックプレート31が対向配置されている。このバックプレート31は、ステンレス鋼板からなる基板31aの上面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフィルム31bが貼着されて構成されている。そのフィルム31bはコロナ放電等による分極処理が施されており、この分極処理によりフィルム31bはエレクトレット層を構成している。そして、前記バックプレート31は背極を構成し、このため、この実施形態のコンデンサマイクロホンはバックエレクトレットタイプである。さらに、バックプレート31の中央部には前記振動膜29の振動による空気移動を許容するための貫通孔32が形成されている。前記振動膜29,スペーサ30及びバックプレート31は、筐体基枠24の内部空間よりも小形であって、その内部空間内に収納されている。
【0020】
図1〜図3に示すように、前記筐体基枠24内において、バックプレート31と回路基板23との間には板バネ材よりなる保持部材33が圧縮状態で介装され、この保持部材33の弾性力によりバックプレート31が振動膜29の反対側からスペーサ30の下面と当接する方向に加圧されている。これにより、振動膜29とバックプレート31との間にスペーサ30の厚み分の所定の間隔が保持されて、それらの間に所定の容量を確保したコンデンサ部が形成されている。前記保持部材33は、リン青銅板の表裏両面に金メッキを施して形成され、この保持部材33を介して、前記バックプレート31が回路基板23上のインピーダンス変換回路の端子44に電気接続されている。
【0021】
図1に示すように、前記回路基板23及びトップ基板25にはそれぞれ複数のスルーホール34,35が形成され、それらのスルーホール34,35の内周面には前記導電パターン23b,23c及び25b,25cとそれぞれ連続する導電パターン34a,35aが設けられている。また、スルーホール34,35内には導電材36,37がそれぞれ充填され、この導電材36,37と前記導電パターン34a,35aとにより導電部57,58が形成されている。そして、トップ基板25の導電パターン25b,25c及びスルーホール35を含む導電部58から筐体基枠24上の導電パターン24b〜24dを介して回路基板23上の導電パターン23b,23c及びスルーホール34を含む導電部57を介して図示しないアース端子に至る導電路が形成されている。
【0022】
図1〜図5に示すように、筐体基枠24の下面及び上面の内周縁には、導電パターン24c,24bの存在しない基板本体24aの露出部38,39が全体として環状をなすように形成されている。回路基板23の上面には、導電パターン23bの存在しない基板本体23aの露出部40が環状域に沿って複数配列されるように形成されている。トップ基板25の下面には、導電パターン25cの存在しない基板本体25aの露出部41が環状域に沿って複数配列されるように形成されている。そして、前記回路基板23の各露出部40と筐体基枠24の下側露出部38との間、及び、前記トップ基板25の各露出部41と筐体基枠24の上側露出部39との間にはそれぞれ接着剤42,43が充填され、この接着剤42,43により筐体基枠24と回路基板23及びトップ基板25が接着固定されている。この露出部41,39以外の部分においては、回路基板23の上面の導電パターン23b及びトップ基板25の下面の導電パターン25cと筐体基枠24の下面の導電パターン24c及び上面の導電パターン24bとがそれぞれ直接に接合して、トップ基板25と筐体基枠24とが電気接続されている。
【0023】
以上のように構成されたこの実施形態のコンデンサマイクロホン21において、音源からの音波がトップ基板25の音孔28を介して振動膜29に至ると、その振動膜29は音の周波数、振幅及び波形に応じて振動される。そして、振動膜29の振動に伴って、振動膜29とバックプレート31との間隔が設定値から変化し、コンデンサのインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化が、インピーダンス変換回路により電圧信号に変換されて出力される。
【0024】
次に、前記のような構成のコンデンサマイクロホン21の製造方法について説明する。
さて、このコンデンサマイクロホン21の製造時には、まず、図7に示すように、複数枚の振動膜29を分離形成するためのPPSからなる振動膜形成シート46と、4枚を1組とする複数組のスペーサ30を分離形成するためのPPSからなるスペーサ形成シート47とを接着剤により接着固定して、振動膜組立体48を作成する。前記スペーサ形成シート47には複数の透孔47aが配列形成され、それらの透孔47aの内周には各4枚の小片よりなるスペーサ30を分離形成するための凸部47bが設けられている。そして、両シート46,47の接着状態で、スペーサ形成シート47の各透孔47a内には振動膜形成シート46が適度の張り具合で張設される。
【0025】
次に、図8に示すように、複数枚のトップ基板25を分離形成するためのトップ基板形成部材49の下面側に、前記振動膜組立体48を接着剤により接着固定する。この場合、トップ基板形成部材49には複数のトップ基板25のための導電パターン25b,25c及び音孔28が所定間隔おきで形成されている。なお、図8には下面側の導電パターン25cのみが示されている。また、各導電パターン25cの四隅に対応するように、トップ基板形成部材49には各トップ基板25の四隅を確定するための円形状の貫通孔49aが形成されている。そして、図8の下部側に2点鎖線で示すように、トップ基板形成部材49の各導電パターン25c上の露出部41の内側における同導電パターン25c上の所定の接着領域50のみに接着剤を塗布して、それらの接着領域50のみで振動膜形成シート46と導電パターン25cとが接着される。
【0026】
続いて、図8の上部側に2点鎖線で示すように、振動膜組立体48を、スペーサ形成シート47の各透孔47a内に設定されるとともに、前記接着領域50と一致する仮想切断ライン51に沿ってレーザ光により切断分離して、筐体基枠24の内部空間内に収納可能な大きさの複数の振動膜29及びそれらの振動膜29に貼着した各4枚の小片よりなるスペーサ30を形成する。この場合、仮想切断ライン51がトップ基板形成部材49上の金属面を構成する各導電パターン25cと対応して位置するように設定されているため、レーザ光を用いて振動膜組立体48を切断分離しても、レーザ光は金属面である導電パターン25cにおいて減衰されるため、トップ基板形成部材49を傷付けるおそれはない。このように、振動膜組立体48やスペーサ形成シート47等の樹脂と、金属である導電パターン25cとでは、熱伝導率に大きな差が生じている。金属の熱伝導率は樹脂より大きいため、レーザ光による熱が拡散される。このため、導電パターン25cはスペーサ形成シート47とは同時には切断されず、トップ基板形成部材49を保護することができる。
【0027】
次いで、図9に示すように、複数の筐体基枠24を分離形成するための筐体基枠形成部材52に対して、前記振動膜29が接着された状態のトップ基板形成部材49を積層して、後述するように接着剤により接着固定する。この場合、筐体基枠形成部材52には、筐体基枠24の内部空間となる複数の透孔52aが所定間隔おきに形成されている。また、筐体基枠形成部材52には、各筐体基枠24の四隅を確定するための円形状の貫通孔52b、及び各筐体基枠24の外側面を確定するための長孔状の貫通溝52c,52dが前記貫通孔52bとわずかに隔てて形成されている。さらに、筐体基枠形成部材52の表裏両面、各貫通孔52bの内周面及び各貫通溝52c、52dの内周面には、筐体基枠24の導電パターン24b〜24dが形成されている。
【0028】
そして、トップ基板形成部材49における各導電パターン25c内の露出部41、及び筐体基枠形成部材52における各透孔52aの上部周縁の露出部39の少なくとも一方に接着剤を塗布することにより、トップ基板形成部材49と筐体基枠形成部材52とが接着固定される。
【0029】
さらに、図10に示すように、前記筐体基枠形成部材52の各透孔52a内にバックプレート31及び保持部材33をそれぞれ落とし込みにより挿入組付けする。続いて、図11に示すように、筐体基枠形成部材52に複数の回路基板23を形成するための回路基板形成部材53を積層して後述のように接着固定し、マイクロホン組立体54を形成する。この場合、回路基板形成部材53には回路基板23のための導電パターン23b,23cや絶縁膜23eが形成されるとともに、導電パターン23b上には電界効果トランジスタ26やキャパシタンス27等の電装部品が搭載されている。各導電パターン23cの四隅に対応するように、回路基板形成部材53には各回路基板23の四隅を確定するための円形状の貫通孔53aが形成されている。そして、筐体基枠形成部材52における各透孔52aの下部周縁の露出部38、及び回路基板形成部材53における各導電パターン23b上の露出部40の少なくとも一方に接着剤を塗布することにより、筐体基枠形成部材52と回路基板形成部材53と接着固定される。
【0030】
その後、図12に示すように、前記マイクロホン組立体54をダイシングソー等により、前記貫通孔49a,52b,53a、貫通溝52c,52d等を通過する縦横の仮想切断ライン55,56に沿って切断分離して、複数のコンデンサマイクロホン21を同時形成する。
【0031】
以上のように構成されたこの実施形態のコンデンサマイクロホン21においては以下の効果がある。
(1) 振動膜29及びスペーサ30は筐体22の各基板23,25及び基枠24と一体に積層されることなく、筐体基枠24の内部空間内に独立した状態で収納配置されている。よって、薄いフィルム材よりなる振動膜29を筐体22の各基板23,25及び基枠24と一体的に積層した場合とは異なり、筐体22の積層強度が低下するおそれがなく、コンデンサマイクロホン21の筐体22を強固に形成することができる。
【0032】
(2) 加えて、スペーサ30も筐体基枠24の内部空間よりも小形に形成されて、筐体基枠24の内部空間内に収納されるため、そのスペーサ30が筐体基枠24とトップ基板25との間に積層されることはない。このため、筐体22を構成する部材の積層数を減らすことができて、筐体22のさらなる強度低下を達成できる。
【0033】
(3) 振動膜29とスペーサ30とが同系の合成樹脂により形成されている。このため、振動膜29とスペーサ30との接着強度を高めることができる。しかも、振動膜29とスペーサ30との熱膨張係数が等しくなり、膨張率の差によって振動膜29に緊張や弛みが生じることを抑制することができて、所定の張力を維持でき、感度の良好なコンデンサマイクロホンを実現できる。さらに、振動膜29とスペーサ30とが同系の材料であるため、レーザ光による切断に際して、レーザ光の波長や周波数等のコントロールを行いやすくなる。
【0034】
(4) トップ基板25の内面に振動膜29とスペーサ30とを貼着した状態で、それらを筐体基枠24の内部空間より小形となるようにレーザ光によって切断分離し、その後に振動膜29及びスペーサ30が筐体基枠24の内部に収納されるように、トップ基板25と筐体基枠24とを積層固定している。このため、製造の最終工程におけるマイクロホン組立体54の切断分離に際して、振動膜29及びスペーサ30を切断する必要がない。よって、ダイシングソー等のカッタに高い負荷がかかることはなく、同カッタの早期磨耗を防止できるばかりでなく、マイクロホン組立体54を容易かつ短時間に切断分離することができる。
【0035】
(5) この実施形態の製造方法では、トップ基板25上の金属面に、合成樹脂材料よりなる振動膜29とスペーサ30と貼着している。このため、トップ基板25が損傷することなく、振動膜29とスペーサ30とを同時にレーザ光により所定の大きさ及び形に正確に切断分離できる。このため、コンデンサマイクロホンの小型化に寄与できるとともに、コンデンサマイクロホンの製造工程の簡素化を達成できる。
【0036】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態のコンデンサマイクロホン21において、スペーサ30を環状に形成し、そのスペーサ30に振動膜29を接着張架すること。
【0037】
・ 前記実施形態のコンデンサマイクロホン21において、スペーサ30をステンレス鋼板等の金属材料により形成すること。
・ 振動膜29のみを筐体基枠24の内部空間より小形にするとともに、スペーサ30を筐体基枠24とトップ基板25との間に積層すること。
【0038】
・ 振動膜29及びスペーサ30の切断分離を、レーザ光でなく通常の打ち抜き刃(いわゆるトムソン刃)を用いて行うこと。さらに、レーザ光ではなく、通常のカッタよって行うこと。これらトムソン刃やカッタにより切断分離する際にも、振動膜組立体48やスペーサ形成シート47等の樹脂よりも硬度のある導電パターン25cのような金属面を、トップ基板形成部材49に形成し、この状態で振動膜組立体48やスペーサ形成シート47等を切断することにより、トップ基板形成部材49を保護することが可能である。
【0039】
・ この発明を、バックプレート31に代えて振動膜29にエレクトレット機能が付与されたホイルエレクトレット型のエレクトレット型コンデンサマイクロホンに具体化すること。
【0040】
・ この発明を、バックプレート31及び振動膜29に共にエレクトレットの機能が付与されず、バックプレート31及び振動膜29にチャージポンプ回路によって電圧が印可されるチャージポンプ型のコンデンサマイクロホンに具体化すること。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一実施形態のコンデンサマイクロホンを示す断面図。
【図2】図1のコンデンサマイクロホンの分解斜視図。
【図3】図1の一部を拡大して示す部分断面図。
【図4】回路基板に対する筐体基枠の接着構造を示す平面図。
【図5】トップ基板に対する筐体基枠の接着構造を示す底面図。
【図6】トップ基板に対する振動膜及びスペーサの接着構造を示す底面図。
【図7】コンデンサマイクロホンの製造工程を示す部分平面図。
【図8】図7に続く製造工程を示す部分平面図。
【図9】図8に続く製造工程を示す部分平面図。
【図10】図9に続く製造工程を示す部分平面図。
【図11】図10に続く製造工程を示す部分平面図。
【図12】図11に続く製造工程を示す部分平面図。
【符号の説明】
【0042】
21…コンデンサマイクロホン、22…筐体、23…回路基板、24…筐体基枠、25…トップ基板、28…音孔、29…振動膜、30…スペーサ、31…バックプレート、46…振動膜形成シート、47…スペーサ形成シート、48…振動膜組立体、49…トップ基板形成部材、51…切断線、52…筐体基枠形成部材、53…回路基板形成部材、54…マイクロホン組立体。
【出願人】 【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−35346(P2008−35346A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208000(P2006−208000)