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【発明の名称】 ボイスコイルの取り付け方法並びにスピーカー
【発明者】 【氏名】中村 智則

【氏名】冨沢 友視

【氏名】園田 克久

【要約】 【課題】スピーカーのボイスコイルの取り付けの際にセンターポールとの位置関係の確認を容易に行うことを可能とする。また、ボイスコイルを取り付けた後であってもボイスコイルとセンターポールとの間の位置関係を修正することを可能とする。

【構成】ボイスコイル4とセンターポール5との間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカー1において、センターポール5の一部を収容するヨークケース9が貫通孔9bを有するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカーの前記ボイスコイルの取り付けの際に、前記センターポールの少なくとも一部を収容するヨークケースに設けた貫通孔から前記ヨークケースの内部空間に光を取り入れ、前記ヨークケースの内部空間に取り入れた光によって前記ボイスコイルと前記センターポールとの間のギャップの幅を確認することを特徴とするボイスコイルの取り付け方法。
【請求項2】
前記ボイスコイルを支持するフレームを前記センターポールに対してスライドさせて前記ギャップの幅が一定になるように前記ボイスコイルと前記センターポールとの間の位置関係を調整することを特徴とする請求項1記載のボイスコイルの取り付け方法。
【請求項3】
ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカーにおいて、前記センターポールの少なくとも一部を収容するヨークケースが一つ以上の貫通孔を有することを特徴とするスピーカー。
【請求項4】
前記ボイスコイルの支持部材及び前記センターポールの支持部材のうちのどちらか一方がこれら支持部材を連接するボルトの外径よりも直径が大きいボルト穴を有することを特徴とする請求項3記載のスピーカー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイスコイルの取り付け方法並びにスピーカーに関する。さらに詳述すると、本発明は、ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカー並びにこのスピーカーにおけるボイスコイルの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカーの音質を向上させる技術としてMFB(Mortional Feed Back)回路を搭載したスピーカーが知られている。このMFB回路は、スピーカーに入力された音声情報を示す電気信号(音声信号とも呼ばれる)に基づいて振動する振動板の動作状態を検出し、その検出結果に基づいて振動板をフィードバック制御するものであり、これにより特に低音域で生じ易い音の歪みを解消することができる。したがって、一般的にMFB回路は、低音域での再生が難しいとされる小型のスピーカーで採用されることが効果的であるとされている。
【0003】
MFB回路では、電極間に形成される静電容量の変化を検出することによって振動板の動作状態を検出する。具体的には、振動板またはこの振動板を振動させるためのボイスコイルと呼ばれる電磁コイルに電極(以下、可動電極と呼ぶ)を固定すると共に、この可動電極に対して対向するように電極(以下、固定電極と呼ぶ)を固定し、可動電極が固定電極に対して相対的に可動することによって変化した静電容量を検出器で検出して、それを変換回路で電気信号(検出信号とも呼ばれる)に変換して出力する。そして、検出信号と音声信号とを比較装置(例えば、CPU)で比較し、その比較結果、すなわち、検出信号の出力レベルと音声信号の出力レベルとの差分に基づいて振動板の動作を適宜に制御する。
【0004】
上述のような、ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量の変化を検出して電気信号に変換して出力する従来のスピーカーとしては、例えば、図2に示すように、マグネット105及び円柱状のセンターポール103付きヨーク104によって磁気回路を形成すると共に、センターポール103とヨーク104との間の環状のギャップ107内にコイル102が巻かれた円筒状のボイスコイル101を挿入し、このボイスコイル101と振動板106とを連接すると共に図示されていないフレームに支持させて振動板106を振動させて音響を発生させるものがある(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開昭53−12320号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような従来のスピーカーにおけるボイスコイル101の取り付けでは、通常、まず、治具に嵌められたボイスコイル101がギャップ107から所定の位置まで挿入されてセンターポール103の一部に被せられた状態で固定される。そして、この状態でボイスコイル101が振動板106と連接されて支持された後に治具が取り外されてボイスコイル101が取り付けられる。この際、ボイスコイル101の内周面とセンターポール103の外周面とは接触することなく一定の幅のギャップを形成して取り付けられなければならない。しかしながら、特許文献1のスピーカーでは、ヨーク104の内部空間がヨーク104とマグネット105とによって覆われているので、ボイスコイル101を挿入した側からギャップ107を見た場合にヨーク104の内部空間側からギャップ107を通して漏れる光がまったくない。そのため、ボイスコイル101の内周面の境界とセンターポール103の外周面の境界とを視認することができないので、円筒状のボイスコイル101の周壁が環状のギャップ107の概ね中央に位置し、ボイスコイル101の内周面とセンターポール103の外周面とが接触することなく正常に取り付けられているか否かを容易に確認することができないという問題がある。このため、従来のスピーカーの構造では、適確な品質管理を迅速に行うことができるとは言い難い。
【0007】
また、特許文献1のスピーカーでは、ボイスコイル101とセンターポール103とは、一旦組み立てられると相互の位置関係を修正することができない。すなわち、ボイスコイル101がセンターポール103と接触した状態で取り付けられたとしても、一旦取り付けた後にボイスコイル101の位置を修正することはできず、スピーカー全体が不良品となってしまうという問題がある。このため、従来のスピーカーの構造では、良好な製品を無駄なく効率的に生産することができるとは言い難い。
【0008】
また、良好な静電容量を形成するためにはギャップ107は小さいほど望ましいが、ボイスコイル101を取り付ける際にセンターポール103と接触してしまうという上述の問題を避けるために、ギャップ103を必要以上に大きくする場合もある。このため、従来のスピーカーの構造では、最良の性能を発揮させることができるとは言い難い。
【0009】
そこで、本発明は、ボイスコイルの取り付けの際にセンターポールとの位置関係を容易に確認することができるボイスコイルの取り付け方法並びにスピーカーを提供することを目的とする。また、本発明は、ボイスコイルを取り付けた後であってもボイスコイルとセンターポールとの間の位置関係を修正することができるボイスコイルの取り付け方法並びにスピーカーを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のボイスコイルの取り付け方法は、ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカーの前記ボイスコイルの取り付けの際に、センターポールの少なくとも一部を収容するヨークケースに設けた貫通孔からヨークケースの内部空間に光を取り入れ、ヨークケースの内部空間に取り入れた光によってボイスコイルとセンターポールとの間のギャップの幅を確認するようにしている。
【0011】
したがって、このボイスコイルの取り付け方法によると、ヨークケースの内部空間に取り入れた光によってボイスコイルとセンターポールとの間のギャップの幅を確認するようにしているので、ヨークケースの内部空間に取り入れた光によってボイスコイルの内周面の境界とセンターポールの外周面の境界とを明瞭に視認することができ、ボイスコイルの内周面とセンターポールの外周面との間のギャップの幅を確認して両者が接触することなく正常に取り付けられているか否かを容易に確認することができる。
【0012】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項1記載のボイスコイルの取り付け方法において、ボイスコイルを支持するフレームを前記センターポールに対してスライドさせてギャップの幅が一定になるようにボイスコイルとセンターポールとの間の位置関係を調整するようにしている。この場合には、ボイスコイルの内周面とセンターポールの外周面とが接触した状態でボイスコイルが一旦取り付けられたとしても両者の位置関係を修正して両者が接触することなく正常な状態でボイスコイルを取り付けることができる。
【0013】
また、請求項3記載のスピーカーは、ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカーにおいて、センターポールの少なくとも一部を収容するヨークケースが一つ以上の貫通孔を有するようにしている。
【0014】
したがって、このスピーカーによると、センターポールの少なくとも一部を収容するヨークケースが一つ以上の貫通孔を有するようにしているので、ヨークケースの内部空間に光が取り入れられ、この光によってボイスコイルの内周面の境界とセンターポールの外周面の境界とを明瞭に視認することができ、ボイスコイルの内周面とセンターポールの外周面との間のギャップの幅を確認して両者が接触することなく正常に取り付けられているか否かを容易に確認することができる。
【0015】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項3記載のスピーカーにおいて、ボイスコイルの支持部材及びセンターポールの支持部材のうちのどちらか一方がこれら支持部材を連接するボルトの外径よりも直径が大きいボルト穴を有するようにしている。この場合には、ボイスコイルの支持部材及びセンターポールの支持部材のうちのどちらか一方がこれら支持部材を連接するボルトの外径よりも大きいボルト穴を有するようにしているので、ボイスコイルの内周面とセンターポールの外周面とが接触した状態でボイスコイルが一旦取り付けられたとしても両者の位置関係を修正して両者が接触することなく正常な状態でボイスコイルを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のボイスコイルの取り付け方法並びにスピーカーによれば、ヨークケースの内部空間に取り入れた光によってボイスコイルの内周面の境界とセンターポールの外周面の境界とを明瞭に視認することができ、ボイスコイルの内周面とセンターポールの外周面との間のギャップの幅を確認して両者が接触することなく正常に取り付けられているか否かを容易に確認することができるので、適確な品質管理を迅速に行うことが可能になる。また、ボイスコイルの内周面とセンターポールの外周面とが接触した状態でボイスコイルが一旦取り付けられたとしても両者の位置関係を修正して両者が接触することなく正常な状態でボイスコイルを取り付けることができるので、良好な製品を無駄なく効率的に生産することが可能になる。さらに、ボイスコイルとセンターポールとの間の位置関係を適切に調整することができるので、両者のギャップを必要最小限まで小さくすることが可能であり、最良の性能を発揮させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1に、本発明のスピーカーの実施形態の一例を示す。このスピーカー1は、ボイスコイル4とセンターポール5との間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するものであり、センターポール5の一部を収容するヨークケース9が貫通孔9bを有するようにしている。
【0019】
スピーカー1は、ダンパ2、振動板3、ボイスコイル4、センターポール5、マグネット7、ヨークプレート8、ヨークケース9を備える。
【0020】
ヨークケース9は横断面円形の枡状に形成される。そして、ヨークケース9は、周壁に貫通孔9bを有する。貫通孔9bは少なくとも一つあれば良い。貫通孔9bが一つでもあればヨークケース9の内部空間に光が取り入れられ、この光がボイスコイル4の内周面とセンターポール5の外周面との間から漏れ、両者の周面の境界を明瞭に視認することができるようになる。したがって、貫通孔9bの個数は特に限定されるものではないが、ヨークケース9の内部空間により多くの光を取り入れてボイスコイル4の内周面とセンターポール5の外周面との間の環状のギャップ6の全周に亘って両者の周面の境界をより明瞭に視認することができればボイスコイル4とセンターポール5との間の位置関係の確認をより容易に行うことができることから、好ましくは二つ以上、より好ましくは三つ以上、最も好ましくは四つ以上である。
【0021】
ヨークプレート8は中央部に貫通孔8aを有する円板状に形成される。そして、ヨークプレート8は、貫通孔8aがヨークケース9の開口部のほぼ中央に位置した状態でヨークケース9の開口部側の端面に固定される。
【0022】
マグネット7は厚さ一定の円板状に形成される。そして、この円板状のマグネット7の片面とヨークケース9の内側底面9aとが接着され、マグネット7は内側底面9aのほぼ中央に固定される。
【0023】
センターポール5は鉄製であり、円柱状のセンターポール本体5aと、センターポール本体5aの途中にセンターポール本体5aの外周面を取り巻くように形成された帯状突起部5bと、センターポール本体5aの基端に形成されたフランジ5cとから構成される。そして、センターポール5のフランジ5c側の端面とヨークケース9の内側底面9aに固定されたマグネット7とが接着され、円柱状のセンターポール本体5aの軸心が内側底面9aに対してほぼ垂直且つ内側底面9aのほぼ中央に位置した状態でセンターポール5は固定される。
【0024】
また、センターポール5は、基端側であるフランジ5c側の端面がマグネット7に接着された状態で、帯状突起部5bとヨークプレート8の貫通孔8aとの位置が概ね一致し、さらに、センターポール本体5aの先端部分が貫通孔8aからヨークケース9の外部に突出するように形成され配置される。
【0025】
なお、センターポール5及びヨークケース9は、エンクロージャーと呼ばれる筐体(図示省略)に接続され、接地即ちアースされる。
【0026】
ボイスコイル4は、両端が開口された円筒状のボビン4aと、ボビン4aの外周に帯状に巻き回されたコイル4bとから構成される。
【0027】
ボビン4aは、内径がセンターポール5の帯状突起部5bの外径よりも僅かに大きく、即ちボビン4aの内周面とセンターポール5の帯状突起部5bの外周面との間にエアギャップが形成されるように内径が調整されて形成される。そして、ヨークプレート8の貫通孔8aからヨークケース9の内部に挿入され、少なくとも帯状突起部5bを覆ってセンターポール本体5aに被せられる。
【0028】
コイル4bは、ボビン4aがセンターポール本体5aに被せられた状態でヨークプレート8の貫通孔8aと対向する位置のボビン4aの外周に巻き回される。なお、コイル4bとしては、具体的には例えば、エナメル線や導線などの導電体が用いられる。
【0029】
ヨークプレート8の貫通孔8aは、ボビン4aがセンターポール本体5aに被せられた状態で、ボビン4aの外周に巻き回されたコイル4bの外周面と貫通孔8aの内周面との間にエアギャップが形成されるように直径が調整されて形成される。
【0030】
ボイスコイル4のボビン4aにはダンパ2及び振動板3が取り付けられる。ダンパ2は複数の屈曲部を有すると共に中央にボビン4aを貫通させるための孔を有する円形の薄板であり、中央の孔の縁部がボビン4aの外周面に接着剤で接合され、外周縁部がフレーム12に接着剤で接合される。振動板3は所謂コーン紙として機能するものであり、底部にボビン4aを貫通させるための孔を有するすり鉢状に形成され、底部の孔の縁部がボビン4aの外周面に接着剤で接合され、外周縁部がジョイント13を介してフレーム12に接合される。ダンパ2及び振動板3は可撓性を有する材料で形成され、ボイスコイル4は円筒状ボビン4aの軸心方向に振動自在に支持される。
【0031】
フレーム12は、すり鉢状に形成され、底部12aと、底部12aから外側に傾斜し途中に底部12aと平行な段差面を有する周壁12bと、周壁12bの先端周縁に沿って形成された底部12aと平行な鍔部12cとからなる。底部12aのほぼ中央には、ボイスコイル4のボビン4aを貫通させるため、ヨークプレート8の貫通孔8aの直径よりも直径が大きい貫通孔が設けられる。なお、フレーム12は、鍔部12cが前記エンクロージャーと呼ばれる筐体にビスや接着剤などで接合され、接地される。
【0032】
フレーム12は、底部12aがヨークプレート8に接すると共に底部12aの貫通孔のほぼ中央にヨークプレート8の貫通孔8aが位置する状態で、ボルト10と支持部材11とによってヨークプレート8に取り付けられる。
【0033】
このために、フレーム12は、周壁12bの途中の段差面が部分的に底部12aと平行に更に外側に張り出した張出部12dを有する。この張出部12dにはボルト10の雄ねじの外径よりも直径が大きい貫通孔12eが設けられる。
【0034】
支持部材11は、柱状に形成され、ボルト10の雄ねじ部分を通すための貫通孔11aが柱形状の軸心位置に設けられる。なお、貫通孔11aの内周面は、ボルト10の雄ねじと嵌め合わせるための雌ねじを形成しても良いし、ボルト10の雄ねじ部分を単に通すだけとするために雄ねじの外径に合わせた滑面としても良い。また、支持部材11は、フレーム12をヨークプレート8に設置した状態で張出部12dとヨークプレート8とに挟まれて両端面がそれぞれと接する長さに形成される。
【0035】
ヨークプレート8の周縁部には、ボルト10を嵌めるためのボルト穴8bが設けられる。
【0036】
そして、ボルト穴8bの軸心と貫通孔11aの軸心とが一直線となった状態で支持部材11がヨークプレート8の周縁部に接着して固定される。さらに、張出部12dに設けられた貫通孔12eの中心と支持部材11の貫通孔11aの軸心との位置がほぼ一致する状態でフレーム12がヨークプレート8に設置される。そして、ボルト10が、貫通孔12eから挿入され、支持部材11の貫通孔11aを通過し、ヨークプレート8のボルト穴8bに嵌められる。これにより、フレーム12がヨークプレート8に取り付けられる。
【0037】
なお、フレーム12の張出部12dの設置箇所数並びにこの箇所数に対応する支持部材11の個数及びヨークプレート8の貫通孔8bの箇所数は、フレーム12をヨークプレート8に安定して取り付けることができる箇所数並びに個数であれば特に限定されるものではなく、好ましくは二以上、更に好ましくは三以上、最も好ましくは四以上である。本実施形態では、フレーム12の周壁12bに沿って等間隔に張出部12dが三箇所設けられ、張出部12dに対応して貫通孔8bが三箇所設けられると共に支持部材11が三個用いられる。
【0038】
ボイスコイル4のボビン4aのヨークケース9と反対側の開口部4cはセンターキャップ14によって覆われる。センターキャップ14はアルミ等からなり、ドーム状に形成された本体部14aと、本体部14aの外周縁に沿って形成された鍔部14bとからなる。センターキャップ14は、鍔部14bが接着剤で接合されて振動板3に固定される。
【0039】
以上のように構成されたスピーカー1によれば、音声信号がボイスコイル4に入力され、即ちボイスコイル4のコイル4bに音声信号を示す電流が流れ、この電流と、センターポール5及びマグネット7並びにヨークケース9及びヨークプレート8の間に形成される磁束とによる励磁作用によってボイスコイル4が円筒状ボビン4aの軸心方向に振動する。これに伴ってダンパ2及び振動板3が振動してスピーカー1から音響が発せられる。
【0040】
上述したスピーカー1の組み立ての手順を以下に説明する。
【0041】
まず、ヨークケース9の内側底面9aのほぼ中央にマグネット7が接着されて固定される。さらに、マグネット7にセンターポール5が接着されて固定される。そして、貫通孔8bのほぼ中央にセンターポール本体5aが位置する状態でヨークケース9の開口部側の端面にヨークプレート8が接着されて固定される。
【0042】
また、ダンパ2の外周縁部をフレーム12に接着剤で接合すると共に、振動板3の外周縁部をジョイント13を介してフレーム12に接合する。そして、フレーム12の張出部12dに設けられた貫通孔12eの中心と支持部材11の貫通孔11aの軸心との位置を一致させてボルト10によってフレーム12をヨークプレート8に取り付ける。続いて、治具を用いてボイスコイル4をヨークプレート8の貫通孔8aから所定の位置まで挿入して固定した状態で、ダンパ2及び振動板3の中央の穴の縁部をボビン4aの外周面に接着剤で接合する。
【0043】
そして、本発明のスピーカー1によれば、ヨークケース9の貫通孔9bからヨークケース9の内部空間に取り入れられた光によってギャップ6を形成するボイスコイル4の内周面の境界とセンターポール5の外周面の境界とを明瞭に視認することができ、ギャップ6の幅を容易に確認することができる。これによって、上述までの手順によってダンパ2や振動板3等によって支持されて取り付けられたボイスコイル4とセンターポール本体5aとの間の位置関係を確認することができる。具体的には、ボイスコイル4を支持するフレーム12をヨークプレート8に取り付けた状態で、ボイスコイル4の開口部4c側からギャップ6を見たときに、ボイスコイル4の内周面の境界とセンターポール5の外周面の境界との間隔が概ね一定の場合、即ち途中で極端に狭くなったり途切れたりすることなく概ね一定の幅で環状のギャップ6が形成されている場合には、ボイスコイル4は適切な位置で取り付けられていると判断することができる。これに対し、ギャップ6を見たときに、ギャップ6が部分的に極端に狭くなっていたり途切れたりしている場合にはボイスコイル4の取り付け位置が不良であると判断することができる。
【0044】
また、本発明のスピーカー1によれば、フレーム12の張出部12dに設けられた貫通孔12eの直径がボルト10の雄ねじの外径よりも大きく形成されているので、上記の手順によってフレーム12をヨークプレート8に一旦取り付けても、ボルト10を緩めることによってフレーム12をヨークプレート8に対してスライドさせることができる。したがって、ボイスコイル4を支持するフレーム12をヨークプレート8に取り付けた後にボイスコイル4の取り付け位置が不良であると判断された場合には、ボルト10を緩めると共にフレーム12をヨークプレート8に対してスライドさせてボイルコイル4の位置を調整してからボルト10を再度締めることによって、不良であったボイスコイル4の位置を適切な位置に修正することができる。
【0045】
そして、ボイスコイル4の位置確認若しくは位置調整を行ってフレーム12の取り付け位置が確定し、ボイスコイル4並びにフレーム12の取り付け作業が終了した後に鍔部14bを振動板3に接着剤で接合してセンターキャップ14を取り付ける。
【0046】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、貫通孔9bがヨークケース9の周壁に設けられるようにしているが、ヨークケース9の内部空間に光を取り入れることができれば貫通孔9bの設置位置はこれに限られるものではなく、ヨークケース9の底板に設けられるようにしても良い。
【0047】
また、本実施形態では、フレーム12の張出部12dに設けられた貫通孔12eの直径をボルト10の雄ねじの外径よりも大きくすることによってヨークプレート8に取り付けた状態でもフレーム12をスライドさせることができるようにしているが、ヨークプレート8に対してフレーム12をスライドさせることを可能にするボルト10によるフレーム12の取り付け方法はこれに限られるものではなく、ヨークプレート8の貫通孔8bの直径をボルト10の雄ねじの外径よりも大きくすることによってフレーム12をスライドさせることができるようにしても良い。具体的には、支持部材11をフレーム12の張出部12dに接着して固定すると共に、貫通孔12e並びに貫通孔11aの径はボルト10の雄ねじの外径と合わせる。一方、貫通孔8bの直径はボルト10の雄ねじの外径よりも大きくする。そして、ボルト10を貫通孔12eと貫通孔11aと貫通孔8bとを貫通させると共に貫通孔8bから突出させ、その突出したボルト10の雄ねじにナットを嵌める。これによって、ヨークプレート8にフレーム12を取り付けると共にナットを緩めることによってフレーム12をスライドさせることができるようにしても良い。
【0048】
また、本実施形態のスピーカー1では、ダンパ2とフレーム12とヨークプレート8とヨークケース9とによって囲まれる空間は、ボイルコイル4と振動板3とセンターキャップ14と共に、ボイスコイル4の振動に対してエアダンパの機能を有する。そのため、ヨークケース9の貫通孔9bの個数並びに直径によっては、このエアダンパ効果が不適当な程度まで低減してしまう場合も考えられる。その場合には、ボイスコイル4の位置確認若しくは位置調整を行ってフレーム12の取り付け位置が確定して取り付け作業が終了した後に貫通孔9bを塞ぐようにしても良い。この場合、具体的には例えば、テープを貼って塞いだり、樹脂製のキャップを嵌めて塞いだりする方法が考えられる。
【0049】
さらに、本発明は、ボイスコイルとセンターポールとの間に形成される静電容量を検出して電気信号として出力するスピーカーであればどのような構成のスピーカーに対しても適用可能であり、本発明のスピーカーの構成は本実施形態のスピーカー1の構成に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のスピーカーの実施形態の一例を示す縦断面図である。
【図2】従来のスピーカーを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 スピーカー
4 ボイスコイル
5 センターポール
9 ヨークケース
9b 貫通孔
【出願人】 【識別番号】000220136
【氏名又は名称】日本電産ピジョン株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美


【公開番号】 特開2008−35261(P2008−35261A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−207013(P2006−207013)