| 【発明の名称】 |
マイクロホンの筐体及びコンデンサマイクロホン |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 元陽
【氏名】米原 賢太郎
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| 【要約】 |
【課題】筐体を構成する基枠及び基板を、相互間の導電を確保した状態で強固に接着して固定することができるようにすること。
【構成】複数の基枠24と基板23,25とよりなる筐体22内に、振動膜29を有するコンデンサ部と、そのコンデンサ部の静電容量の変化を電気的に変換処理する電装部品26,27とを設ける。筐体22の基板23,25及び基枠24上に設けられた導電パターン23b,23c,24b〜24d,25b,25cを介して、コンデンサ部と電装部品とを電気的に接続する。各基板23,25及び基枠24の接合面の一部には電気絶縁体よりなる基板本体23a,25a及び基枠本体24aが露出した露出部38〜41を設け、その露出部38〜41間において対向する基板23,25及び基枠24を接着固定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気音響変換手段を収容するための空間が透設された合成樹脂製の基枠を備え、その空間の開口を閉塞するように前記基枠に合成樹脂製の基板を接合し、基枠及び基板の接合面にそれぞれ導電層を設けて、両導電層を電気接続させたマイクロホンの筐体において、 前記基枠及び基板の接合面にはそれぞれの表面が露出した露出部を設け、その露出部において基枠と基板とを接着固定したことを特徴とするマイクロホンの筐体。 【請求項2】 基枠及び基板を同系の材料により構成するとともに、この基枠と基板とをそれらと同系の接着部材により接着したことを特徴とする請求項1に記載のマイクロホンの筐体。 【請求項3】 接着部材として耐熱接着シートを用いたことを特徴とする請求項2に記載のマイクロホンの筐体。 【請求項4】 接着部材として硬化収縮性接着部材を用いたことを特徴とする請求項2に記載のマイクロホンの筐体。 【請求項5】 基枠の一方の開口を電装部品が搭載された基板により閉塞するとともに、他方の開口を音孔が形成された基板により閉塞したことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のマイクロホンの筐体。 【請求項6】 前記電装部品をフラックスレス固定法により前記基板に固定したことを特徴とする請求項5に記載のマイクロホンの筐体。 【請求項7】 請求項5または6に記載のマイクロホンの筐体の内部に前記音孔と対応してコンデンサユニットを設けたことを特徴とするコンデンサマイクロホン。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ等の各種機器に用いられるマイクロホンの筐体及びコンデンサマイクロホンに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、コンデンサマイクロホンの一例が、例えば、特許文献1に開示されている。すなわち、この従来構成のコンデンサマイクロホンは、下から順に、電装部品を実装した回路基板、下部側のスペーサ、背面電極を有する背面電極基板、上部側のスペーサ、振動膜が張架された振動膜支持枠を積層固定してユニットが構成され、そのユニットが金属ケース内に収容されている。 【特許文献1】特開2002−345092号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 ところで、この種のコンデンサマイクロホンにおいては、前述の回路基板や背面電極基板等の積層固定において、それら部材の接合面間に接着剤を介在させている。この場合、各部材の接合面間では、例えばアース接続を確保するために、各部材上に設けられた導電パターン間を電気接続させる必要がある。このため、導電パターン間の接着剤層を導電を阻害しないように極めて薄く形成したり、導電バインダが含まれた導電性接着剤を用いたりしていた。 【0004】 ところが、接着剤層をきわめて薄くした必要には、高い接着強度を確保することができず、マイクロホンの強度が低下するという問題があった。また、導電バインダが含まれた導電性接着剤を用いた場合には、その接着剤が高価であって製造コストが上昇するばかりでなく、リフロー時の熱によりバインダからガスが発生して、このガスが原因となって背面電極基板等のエレクトレット層の電荷抜けが発生し、コンデンサマイクロホンの性能が著しく低下される要因となった。 【0005】 この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、コンデンサマイクロホンの筐体として高強度を得ることができるとともに、低コストで製造でき、しかもコンデンサマイクロホンとして高性能を達成できるようにすることにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記の目的を達成するために、マイクロホンの筐体に係る請求項1の発明は、電気音響変換手段を収容するための空間が透設された合成樹脂製の基枠を備え、その空間の開口を閉塞するように前記基枠に合成樹脂製の基板を接合し、基枠及び基板の接合面にそれぞれ導電層を設けて、両導電層を電気接続させたマイクロホンの筐体において、前記基枠及び基板の接合面にはそれぞれの表面が露出した露出部を設け、その露出部において基枠と基板とを接着固定したことを特徴としている。 【0007】 従って、基枠と基板とが導電パターンのない露出部において互いに接着固定されるとともに、導電パターン同士の接合により電気的に接続される。よって、筐体を構成する複数の基板を、相互間の導電を確保した状態で強固に接着して積層固定することができる。また、導電バインダの入った導電性接着剤を使用する必要がなく、通常の接着剤を用いて接着を行うことができるので、製造コストを低減することができる。また、導電性接着剤を用いる必要がないため、導電性バインダからガスが発生することを未然に防止でき、ガスによる電荷抜けを回避できて、高性能マイクロホンを実現できる。 【0008】 請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、基枠及び基板を同系の材料により構成するとともに、この基枠と基板とをそれらと同系の接着部材により接着したことを特徴とする。 【0009】 従って、基枠と基板とを強固に接着固定できるとともに、膨張率に差が生じることを防止できて、接着剥離等を回避できる。 請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、接着部材として耐熱接着シートを用いたことを特徴とする。 【0010】 このような耐熱接着シートは、取り扱いが容易で、製造工程の効率化に寄与できるばかりでなく、リフロー時の熱を受けてもガス発生量が少ないため、電荷抜け防止に有効である。 【0011】 請求項4の発明は、請求項2に記載の発明において、接着部材として硬化収縮性接着剤を用いたことを特徴とする。 従って、接着剤の硬化収縮により、基枠と基板とが引き寄せられ、接着強度を向上できるとともに、導電パターン間の良好な電気導通を得ることができる。 【0012】 請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、基枠の一方の開口を電装部品が搭載された基板により閉塞するとともに、他方の開口を音孔が形成された基板により閉塞したことを特徴とする。 【0013】 従って、コンデンサ部を内装したコンデンサマイクロホンとして適するものとなる。 請求項6の発明は、請求項5に記載の発明において、前記電装部品をフラックスレス固定法により前記基板に固定したことを特徴とする。 【0014】 従って、フラックスからガスが発生する事態を未然に回避でき、エレクトレット層の電荷抜けを防止して、高性能マイクロホンを実現できる。 コンデンサマイクロホンに係る請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載のマイクロホンの筐体の内部に前記音孔と対応してコンデンサユニットを設けたことを特徴とする。 【0015】 従って、前述した効果を有するコンデンサマイクロホンを得ることができる。 【発明の効果】 【0016】 以上のように、この発明によれば、複数の基板を、相互間の導電を確保した状態で強固に接着して固定することができるとともに、電荷抜けを回避して、高性能マイクロホンを実現できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 (実施形態) 以下に、この発明の実施形態を、図1〜図3に基づいて説明する。 図1及び図2に示すように、この実施形態のコンデンサマイクロホン21の筐体22は、平板状の回路基板23と、空間が透設されて全体として四角枠状をなす筐体基枠24と、平板状のトップ基板25とを積層して、接着剤により固定した構造となっている。前記回路基板23,筐体基枠24及びトップ基板25はエポキシ樹脂、液晶ポリマー、セラミック等の電気絶縁体により構成されている。この実施形態において、回路基板23,筐体基枠24及びトップ基板25は、エポキシ樹脂にガラス繊維が混入されたガラスエポキシ樹脂により構成されている。 【0018】 回路基板23の上下両面には銅よりなる導電層としての導電パターン23b,23cが印刷されている。そして、回路基板23上には、筐体22内に設けられたインピーダンス変換回路を構成する電界効果トランジスタ26やキャパシタンス27等の電装部品が実装されている。前記筐体基枠24の上下両面及び外側面には銅よりなる互いに連続した導電層としての導電パターン24b,24cが印刷されている。そして、回路基板23上の前記電界効果トランジスタ26やキャパシタンス27等の電装部品が、この筐体基枠24の空間内に収容配置されている。回路基板23の上下両面の所要位置には絶縁膜23eが印刷されている。前記トップ基板25の上下両面及び外側面には銅箔等よりなる導電層としての導電パターン25b,25cが印刷されている。トップ基板25には、外部から音を取り込むための音孔28が形成されている。さらに、回路基板23及びトップ基板25の内部には銅箔よりなる導電層23d,25dが埋設されている。この導電層23d,25dは、回路基板23及びトップ基板25を構成する一対の樹脂シート間に導電層23d,25dがラミネートされたものである。 【0019】 図1〜図3及び図6に示すように、前記筐体基枠24内において、トップ基板25の下側導電パターン25cの下面にはPPS(ポリフェニレンスルフィド)の薄膜シート材よりなる振動膜29が張架状態で接着され、その振動膜29の上面には金蒸着により図示しない導電層が形成されている。振動膜29の下面周側の4箇所には、振動膜29の材料と同系のPPS等の合成樹脂からなる小片状のスペーサ30が接着固定されている。筐体基枠24内において、振動膜29の下面にはスペーサ30を介在させてバックプレート31が対向配置されている。このバックプレート31は、ステンレス鋼板からなる基板31aの上面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフィルム31bが貼着されて構成されている。そのフィルム31bはコロナ放電等による分極処理が施されており、この分極処理によりフィルム31bはエレクトレット層を構成している。従って、前記バックプレート31は背極を構成するため、この実施形態のコンデンサマイクロホンはバックエレクトレットタイプである。さらに、前記バックプレート31は、筐体基枠24の内周形状よりも小さな外周形状となる平面形ほぼ長円状をなすように形成されていて、それらの内外周面間には隙間が形成されている。バックプレート31の中央部には前記振動膜29の振動による空気移動を許容するための貫通孔32が形成されている。 【0020】 図1〜図3に示すように、前記筐体基枠24内において、バックプレート31と回路基板23との間には板バネ材よりなる保持部材33が圧縮状態で介装され、この保持部材33の弾性力によりバックプレート31が振動膜29の反対側からスペーサ30の下面と当接する方向に加圧されている。これにより、振動膜29とバックプレート31との間にスペーサ30の厚み分の所定の間隔が保持されて、それらの間に所定の容量を確保したコンデンサ部が形成されている。前記保持部材33は、ステンレス鋼板の表裏両面に金メッキを施して形成され、この保持部材33を介して、前記バックプレート31が回路基板23上のインピーダンス変換回路の端子44に電気接続されている。 【0021】 図1に示すように、前記回路基板23及びトップ基板25にはそれぞれ複数のスルーホール34,35が形成され、それらのスルーホール34,35の内周面には前記導電パターン23b,23c及び25b,25cとそれぞれ連続する導電パターン34a,35aが設けられている。また、スルーホール34,35内には導電材36,37がそれぞれ充填され、この導電材36,37と前記導電パターン34a,35aとにより導電部57,58が形成されている。そして、トップ基板25の導電パターン25b,25c及びスルーホール35を含む導電部58から筐体基枠24上の導電パターン24b〜24dを介して回路基板23上の導電パターン23b,23c及びスルーホール34を含む導電部57を介して図示しないアース端子に至る導電路が形成されている。 【0022】 次に、前記筐体22を構成する回路基板23,筐体基枠24及びトップ基板25と、それらの積層固定構造とについて詳細に説明する。 図1〜図5に示すように、筐体基枠24の下面及び上面の内周縁には、導電パターン24c,24bの存在しない基枠本体24aの露出部38,39が全体として環状をなすように形成されている。筐体基枠24の下側露出部38と対応するように、回路基板23の上面には、導電パターン23bの存在しない基板本体23aの露出部40が環状域に沿って複数配列されるように形成されている。筐体基枠24の上側露出部39と対応するように、トップ基板25の下面には、導電パターン25cの存在しない基板本体25aの露出部41が環状域に沿って複数配列されるように形成されている。 【0023】 前記回路基板23の各露出部40と筐体基枠24の下側露出部38との間には接着部材としてのエポキシ樹脂よりなる接着剤42が介在され、この接着剤42により回路基板23と筐体基枠24とが、電気絶縁体よりなる基板本体23a,基枠本体24aの露出部40,38において互いに接着固定されている。また、この露出部40,38以外の部分においては、回路基板23の上面の導電パターン23bと筐体基枠24の下面の導電パターン24cとが直接に接合して、回路基板23と筐体基枠24とが電気接続されている。 【0024】 同様に、前記トップ基板25の各露出部41と筐体基枠24の上側露出部39との間には接着部材としてのエポキシ樹脂よりなる接着剤43が介在され、この接着剤43によりトップ基板25と筐体基枠24とが、電気絶縁体よりなる基板本体25a,基枠本体24aの露出部41,39において互いに接着固定されている。また、この露出部41,39以外の部分においては、トップ基板25の下面の導電パターン25cと筐体基枠24の上面の導電パターン24bとが直接に接合して、トップ基板25と筐体基枠24とが電気接続されている。 【0025】 前記接着部材、すなわち接着剤としては、例えばエポキシと熱可塑性樹脂とを主体とした接着シートや、高耐熱性アクリル系粘着剤よりなるシートや、ポリオレフィン系樹脂よりなる接着シート等の耐熱接着シートが採用される。 【0026】 以上のように構成されたこの実施形態のコンデンサマイクロホン21において、音源からの音波がトップ基板25の音孔28を介して振動膜29に至ると、その振動膜29は音の周波数、振幅及び波形に応じて振動される。そして、振動膜29の振動に伴って、振動膜29とバックプレート31との間隔が設定値から変化し、コンデンサのインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化が、インピーダンス変換回路により電圧信号に変換されて出力される。 【0027】 次に、前記のような構成のコンデンサマイクロホン21の製造方法について説明する。 さて、このコンデンサマイクロホン21の製造時には、まず、図7に示すように、複数枚の振動膜29を分離形成するための振動膜形成シート46と、4個を1組とする複数組のスペーサ30を分離形成するためのスペーサ形成シート47とを接着剤により接着固定して、振動膜組立体48を作成する。前記スペーサ形成シート47には複数の透孔47aが配列形成され、それらの透孔47aの内周には各4個のスペーサ30を分離形成するための凸部47bが設けられている。そして、両シート46,47の接着状態で、スペーサ形成シート47の各透孔47a内には振動膜形成シート46が適度の張り具合で張設される。 【0028】 次に、図8に示すように、複数枚のトップ基板25を分離形成するためのトップ基板形成部材49の下面側に、前記振動膜組立体48を接着剤により接着固定する。この場合、トップ基板形成部材49には複数のトップ基板25のための導電パターン25b,25c及び音孔28が所定間隔おきで形成されている。なお、図8には下面側の導電パターン25cのみが示されている。また、各導電パターン25cの四隅に対応するように、トップ基板形成部材49には各トップ基板25の四隅を確定するための円形状の貫通孔49aが形成されている。そして、図8の下部側の2点鎖線で示すように、トップ基板形成部材49の各導電パターン25c上の露出部41の内側における同導電パターン25c上の所定の接着領域50のみに接着剤を塗布して、それらの接着領域50のみで振動膜形成シート46と導電パターン25cとが接着される。 【0029】 続いて、図8の上部側の2点鎖線で示すように、振動膜組立体48をスペーサ形成シート47の各透孔47a内に設定されるとともに、前記接着領域50と一致する仮想切断ライン51に沿ってレーザ光により打ち抜き切断して、筐体基枠24内に収納可能な大きさの複数の振動膜29及びそれらの振動膜29に貼着した各4個の小片状のスペーサ30を形成する。この場合、仮想切断ライン51がトップ基板形成部材49上の金属材料よりなる各導電パターン25cと対応して位置するように設定されているため、レーザ光を用いて振動膜組立体48を打ち抜き切断しても、トップ基板形成部材49を傷付けるおそれはない。 【0030】 次いで、図9に示すように、複数の筐体基枠24を分離形成するための筐体基枠形成部材52に対して、前記振動膜29が接着された状態のトップ基板形成部材49を積層して、後述するように接着剤により接着固定する。この場合、筐体基枠形成部材52には、筐体基枠24の内側面となる複数の透孔52aが所定間隔おきに形成されている。また、筐体基枠形成部材52には、各筐体基枠24の四隅を確定するための円形状の貫通孔52b、及び各筐体基枠24の外側面を確定するための長孔状の貫通溝52c,52dが前記貫通孔52bとわずかに隔てて形成されている。さらに、筐体基枠形成部材52の表裏両面、各貫通孔52bの内周面及び各貫通溝52c、52dの内周面には、筐体基枠24の導電パターン24b〜24dが形成されている。 【0031】 そして、トップ基板形成部材49における各導電パターン25c内の露出部41、及び筐体基枠形成部材52における各透孔52aの上部周縁の露出部39の少なくとも一方にトップ基板形成部材49及び筐体基枠形成部材52と同系のエポキシ系接着剤を塗布することにより、トップ基板形成部材49と筐体基枠形成部材52とが基板本体25a,基枠本体24aの露出部41,39において一体化されて強固に接着固定される。この場合、トップ基板形成部材49と筐体基枠形成部材52との導電パターン25c,24b間には接着剤が介在されないため、それらの導電パターン25c,24b同士が直接に接合して電気的に導通される。 【0032】 さらに、図10に示すように、前記筐体基枠形成部材52の各透孔52a内にバックプレート31及び保持部材33をそれぞれ落とし込みにより挿入組付けする。続いて、図11に示すように、筐体基枠形成部材52に複数の回路基板23を形成するための回路基板形成部材53を積層して後述のように接着固定し、マイクロホン組立体54を形成する。この場合、回路基板形成部材53には回路基板23のための導電パターン23b,23cや絶縁膜23eが形成されるとともに、導電パターン23b上には電界効果トランジスタ26やキャパシタンス27等の電装部品があらかじめレーザ溶接を用いて搭載されている。このレーザ溶接は、電装部品と導電パターン23b,23cとの間の境界に対してレーザ光を照射することによって行われる。なお、図11には下面側の導電パターン23cの一部のみが示されている。また、各導電パターン23cの四隅に対応するように、回路基板形成部材53には各回路基板23の四隅を確定するための円形状の貫通孔53aが形成されている。また、前記レーザ溶接に代えて、アーク溶接を用いたり、フラックスレスハンダやフラックスレス洗浄ハンダを用いたりすることも可能である。 【0033】 そして、筐体基枠形成部材52における各透孔52aの下部周縁の露出部38、及び回路基板形成部材53における各導電パターン23b上の露出部40の少なくとも一方に筐体基枠形成部材52及び回路基板形成部材53と同系のエポキシ系接着剤を塗布することにより、筐体基枠形成部材52と回路基板形成部材53とが基枠本体24a,23aの露出部38,40において一体化されて強固に接着固定される。この場合、筐体基枠形成部材52と回路基板形成部材53との導電パターン24c,23b間には接着剤が介在されないため、それらの導電パターン24c,23b同士が直接に接合して良好な電気導通を得ることができる。 【0034】 その後、図12に示すように、前記マイクロホン組立体54をダイシングソー等により、前記貫通孔49a,52b,53a、貫通溝52c,52d等を通過する縦横の仮想切断ライン55,56に沿って切断分離して、複数のコンデンサマイクロホン21を同時形成する。ここで、各切断ライン55,56がトップ基板形成部材49の貫通孔49a、筐体基枠形成部材52の貫通孔52bと貫通溝52c,52d、及び回路基板形成部材53の貫通孔53aの中心を結ぶ直線上に位置するように設定されている。このため、切断抵抗を低減することができて、切断作業を低負荷で行うことができる。また、このマイクロホン組立体54から複数のコンデンサマイクロホン21を切断分離に際して、コンデンサマイクロホン21の四隅にバリが発生しても、そのバリは各コンデンサマイクロホン21の四隅の前記貫通孔49a,52b,53a内に位置するため、そのバリがコンデンサマイクロホン21の各辺の外側面から突出することを抑制することができる。また、接着剤42,43がはみ出した際も、その接着剤42,43を貫通孔49a,52b,53aにあふれ出すことができるため、筐体22の厚み精度を一定に保つことができる。 【0035】 そして、以上のように構成されたこの実施形態のコンデンサマイクロホン21においては、以下に示す効果を有する。 (1) 筐体22を積層構成する複数の基板23,25及び基枠24の接合面の一部に、導電パターン23b,24b,24c,25cの存在しない樹脂面を露出させた露出部38〜41が設けられ、この露出部38〜41において対向する基板23,25及び基枠24が接着固定される。このため、導電パターン等の平滑な金属平面間に薄い接着剤層を設けて、基枠や基板等の部材を接着固定していた従来構成に比較して、強い接着強度を得ることができる。 【0036】 (2) 各基板23,25及び基枠24の接合面において露出部38〜41以外の部分では、導電パターン23b,24b,24c,25c同士が直接に接合されるため、基板23,25及び基枠24相互間の良好な電気導通を確保することができる。さらに、導電バインダの入った高価な導電性接着剤を使用する必要がなく、通常の接着剤を用いて接着を行うことができるので、製造コストを低減することもできる。 【0037】 (3) 導電バインダが含まれていない接着剤を用いるとともに、電装部品がフラックスレス固定法であるレーザ溶接やアーク溶接またはフラックスレスハンダやフラックス洗浄ハンダ等によって固定されるため、リフロー時において導電バインダやハンダのフラックスからガス発生が発生するようなことを防止できる。このため、エレクトレット層の電荷抜けを未然に防止でき、高性能のコンデンサマイクロホンを得ることができる。 【0038】 (4) 基板23,25及び基枠24同士を接着するための接着剤として、それらの基板23,25及び基枠24と同系のエポキシ樹脂が用いられるため、基板23,25及び基枠24間の接着強度を高くできるばかりでなく、基板23,25及び基枠24と接着剤との膨張率もほぼ等しくなって、膨張率の違いによる接着部の剥離等を防止できる。 【0039】 (5) 接着材として、硬化収縮性接着剤であって、かつ硬化収縮率の高いエポキシ樹脂が用いられるため、同接着剤は硬化にともなって、大きく収縮する。このため、接着剤を介して基板23,25及び基枠24が互いに引き寄せられて、コンデンサマイクロホン21としての強度が向上するばかりでなく、導電パターン23b,24b,24c,25c間の接触圧が高くなって、より確実に電気導通を確保できるとともに、筐体22の密閉性を向上できる。 【0040】 (6) 筐体22が全体が3層で構成され、従来構成とは異なりそれの間にスペーサが介在されていないため、マイクロホンの小型化に寄与できるとともに、しかもスペーサが4つの小片に分離されているため、熱変形にはほとんど無関係である。従って、スペーサの変形よって、振動膜が過度に緊張したり、弛んだりすることを防止でき、マイク感度を良好なものとすることができる。 【0041】 (7) 回路基板23及びトップ基板25の基板本体23a,25aがエポキシ樹脂等の電気絶縁体により形成されるとともに、その厚さ方向のほぼ中央部に銅箔等よりなる導電層23d,25dを埋設して多層構造となるように構成されている。このため、回路基板23及びトップ基板25の剛性を向上して、筐体22全体の機械的強度を向上できるとともに、筐体22の電磁シールド性を向上させて、マイクロホンの信頼性を向上させることができる。 【0042】 (8) コンデンサマイクロホン21の製造方法においては、接合面間から食み出した接着剤を貫通孔49a,52b,53aや貫通溝52c,52d側に逃がすことができる。このため、接着剤が筐体22の内部側に流れることを防止できて、その接着剤による静電容量変動等の不都合を防止できる。 【0043】 (9) コンデンサマイクロホン21を切断分離する際に生じるバリが各コンデンサマイクロホン21の四隅の貫通孔49a,52b,53a位置して、各辺の外側面に突出することを防止できるため、コンデンサマイクロホン21を携帯電話の基板に実装する場合等において、コンデンサマイクロホン21のハンドリング等の取り扱いに支障が生じることを未然に回避できる。 【0044】 (10) 回路基板23の各露出部40と筐体基枠24の下側露出部38との間,トップ基板25の各露出部41と筐体基枠24の上側露出部39との間をそれぞれ接着するための接着部材として、エポキシと熱可塑性樹脂とを主体とした接着シート等よりなる耐熱接着シートが採用されている。このような耐熱接着シートは、取り扱いが容易であるばかりでなく、リフロー時の熱によるガスの発生量が少ないため、電荷抜けを有効に防止できる。 【0045】 (第2実施形態) 次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。 さて、この第2実施形態においては、図13及び図14に示すように、回路基板23の基板本体23aにおける上面の4隅部を含む外周部には露出部40が形成され、筐体基枠24の基枠本体24aにおける上下両面の4隅部を含む外周部には露出部39が形成され、トップ基板25の基板本体25aにおける下面の4隅部を含む外周部には露出部41が形成されている。そして、回路基板23と筐体基枠24,筐体基枠24とトップ基板25とは、それぞれ露出部40,39間及び露出部39,41間において同系の接着剤42,43を介して接着されている。 【0046】 一方、ステンレス鋼よりなるスペーサ30が枠状に形成されて、そのスペーサ30の上面に振動膜29が接着固定されている。また、この振動膜29とスペーサ30との組立体がトップ基板25と筐体基枠24との間に積層して接着固定されている。前記スペーサ30はその4隅部に斜辺部30aが形成されており、そして、この斜辺部30aと対応する位置において、前述のように筐体基枠24の露出部39と、トップ基板25の露出部41とが同系の接着剤42,43により接着されている。 【0047】 従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。 なお、この第2実施形態においては、振動膜29の下面に金蒸着面が形成されるとともに、振動膜29には上側に向かって折り返し部30bが形成されている。このため、折り返し部30bの部分において振動膜29の金蒸着面がトップ基板25の導電パターン25cとの間の電気導通を確保するとともに、スペーサ30と筐体基枠24の導電パターン24bとの間の電気導通を確保している。 【0048】 (変更例) なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。 ・ この発明を、バックプレート31に代えて振動膜29にエレクトレットの機能が付与されたホイルエレクトレット型のエレクトレット型コンデンサマイクロホンに具体化すること。 【0049】 ・ この発明を、バックプレート31及び振動膜29に共にエレクトレットの機能が付与されず、バックプレート31及び振動膜29にチャージポンプ回路によって電圧が印可されるチャージポンプ型のコンデンサマイクロホンに具体化すること。 【0050】 ・ この発明を、半導体プロセスによって作成されたマイクを筐体内に収容したいわゆるMEMS(micro electro mechanical systems)マイクにおいて具体化すること。 【図面の簡単な説明】 【0051】 【図1】第1実施形態のコンデンサマイクロホンを示す断面図。 【図2】図1のコンデンサマイクロホンの分解斜視図。 【図3】図1の一部を拡大して示す部分断面図。 【図4】回路基板に対する筐体基枠の接着構造を示す平面図。 【図5】トップ基板に対する筐体基枠の接着構造を示す底面図。 【図6】トップ基板に対する振動膜及びスペーサの接着構造を示す底面図。 【図7】コンデンサマイクロホンの製造工程を示す部分平面図。 【図8】図7に続く製造工程を示す部分平面図。 【図9】図8に続く製造工程を示す部分平面図。 【図10】図9に続く製造工程を示す部分平面図。 【図11】図10に続く製造工程を示す部分平面図。 【図12】図11に続く製造工程を示す部分平面図。 【図13】第2実施形態のコンデンサマイクロホンを示す断面図。 【図14】図13のコンデンサマイクロホンの分解斜視図。 【符号の説明】 【0052】 21…コンデンサマイクロホン、22…筐体、23…回路基板、23a…基板本体、23b,23c…導電パターン、24…筐体基枠、24a…基枠本体、24b,24c,24d…導電層としての導電パターン、25…トップ基板、25a…基板本体、25b,25c…導電層としての導電パターン、26…電装部品としての電界効果トランジスタ、27…電装部品としてのキャパシタンス、28…音孔、29…振動膜29…スペーサ、31…バックプレート、33…板バネ、38,39,40,41…露出部、42,43…接着剤、46…振動膜形成シート、47…スペーサ形成シート、49…トップ基板形成部材、52…筐体基枠形成部材、53…回路基板形成部材、54…マイクロホン組立体。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000107642 【氏名又は名称】スター精密株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月27日(2006.7.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 誠
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| 【公開番号】 |
特開2008−35109(P2008−35109A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2006−205201(P2006−205201) |
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