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【発明の名称】 ミキシング装置
【発明者】 【氏名】中山 圭

【氏名】相曾 優

【要約】 【課題】1つの入力器に対して複数のミキシング装置を並列に接続したミキシングシステムにおいてミキシング装置毎に独自にゲイン調整を行えるようにする。

【構成】入力器10に接続される複数の編集器20a〜20cにはディジタルヘッドアンプ26a、26b…と、切換部27a、27b・・・が設けられており、入力器10に対して複数の編集器が接続されている場合は、入力器10のヘッドアンプ11に設定されているゲイン調整量をリセットし、編集器20a〜20cの操作部の操作に応じたゲイン調整量を、入力器10のヘッドアンプ11に供給することなく、当該ミキシング装置のディジタルヘッドアンプ26a、26b…に供給し、自身のディジタルヘッドアンプでゲイン調整された音響信号に対してミキシング処理を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムであって、
前記入力装置は、
入力装置側ゲイン調整量を設定し、且つ、当該入力装置に複数のミキシング装置が接続されたときに前記設定した入力装置側ゲイン調整量をリセットする入力装置の設定手段と、
前記入力装置の設定手段で設定した入力装置側ゲイン調整量に基づいて、当該入力装置に入力される音響信号のゲインを調整する入力装置の調整手段と、
前記入力装置の調整手段でゲインが調整された音響信号を当該入力装置に接続されているミキシング装置のすべてへ並列に供給する供給手段と
を備え、
前記ミキシング装置は、
ミキシング装置側ゲイン調整量を設定するミキシング装置の設定手段と、
前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づいて、前記入力装置の供給手段によって供給される音響信号のゲインを調整するミキシング装置の調整手段と、
前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記入力装置に供給することなく、前記ミキシング装置の調整手段に供給し、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記ミキシング装置の調整手段に供給することなく、前記入力装置に供給するゲイン調整量供給手段と、
前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記ミキシング装置の調整手段によってゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行い、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記ミキシング装置の調整手段によるゲインの調整を行うことなく、前記入力装置の供給手段から供給される音響信号に対してミキシング処理を行うミキシング手段と
を備えることを特徴とするミキシングシステム。
【請求項2】
1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムにおける入力装置であって、
入力装置側ゲイン調整量を設定し、且つ、当該入力装置に複数のミキシング装置が接続されたときに前記設定した入力装置側ゲイン調整量をリセットする入力装置の設定手段と、
前記入力装置の設定手段で設定した入力装置側ゲイン調整量に基づいて、当該入力装置に入力される音響信号のゲインを調整する入力装置の調整手段と、
前記入力装置の調整手段でゲインが調整された音響信号を当該入力装置に接続されているミキシング装置のすべてへ並列に供給する供給手段と
を備える入力装置。
【請求項3】
1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムにおけるミキシング装置であって、
ミキシング装置側ゲイン調整量を設定するミキシング装置の設定手段と、
前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づいて、前記入力装置から供給される音響信号のゲインを調整するミキシング装置の調整手段と、
前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記入力装置に供給することなく、前記ミキシング装置の調整手段に供給し、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記ミキシング装置の調整手段に供給することなく、前記入力装置へ供給するゲイン調整量供給手段と、
前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記調整手段によってゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行い、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記調整手段によるゲインの調整を行うことなく、前記入力装置から供給される音響信号に対してミキシング処理を行うミキシング手段と
を備えることを特徴とするミキシング装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、オーディオ信号のミキシングを行うディジタルミキシング装置に関し、また、1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の入力チャンネル毎に入力されるアナログオーディオ信号を、ディジタル信号に変換して、ディジタル処理するディジタルミキサーが知られる。このタイプのディジタルミキサーは、一般に、複数チャンネルのアナログ入力信号を入力して適宜振幅レベル調整すると共にディジタル信号に変換する機能を有する入力器と、変換されたディジタル信号をミキシング処理するディジタル信号処理装置(DSP:ディジタルシグナルプロセッサ)と、該DSPにおけるミキシング処理に関する各種操作を行う操作部(コンソール)と、該DSPでミキシング処理された信号を出力する出力器とで構成され、これらの構成要素は、夫々ユニット化されていて相互に接続及び切り離しが可能である。ここで、DSPと操作部(以下、両者を合わせて編集器と称する)及び出力器からなる系列を複数系列併設し、これに一つの入力器を接続することで、該1つの入力器から供給される入力信号を、該複数の編集器に対して並列的に分配してミキシング処理を行わせる接続形態が可能である。この場合、複数の編集器の各々では、それぞれの用途に応じて異なるミキシング処理を行い、多様なミキシング出力信号を得ることができる。
ところで、入力器では、入力信号(アナログ信号)の入力ゲインの調整を行い、ゲイン調整された後の信号を編集器に供給する。この入力器での入力ゲイン調整量(振幅調整量)は、編集器からのゲイン調整量の指示により設定される。編集器では、入力器から入力される信号が、音量調整操作子の所定の設定基準位置(ノミナルレベル)において適切な振幅値で入力されるよう、入力器のゲイン調整量を決定する。ここで、前述のように1つの入力器に対して複数の編集器が接続される場合は、従来は、前記複数の編集器のうち任意の1台の編集器だけが代表的に入力器でのゲイン調整量を設定することができた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、従来は、1つの入力器に対して複数の編集器が接続される場合であっても、入力器のゲイン調整が行えるのは1つの編集器のみだったので、複数の編集器全てに対して、或る1つの編集器によって設定された一律なゲイン調整量で入力信号が供給されていた。しかしながら、複数の編集器は、各々の出力信号の用途に応じて種々の異なるミキシング処理を行うため、各編集器毎のミキシング処理態様に応じて、入力信号の最適なゲイン調整量が異なり、或る編集器における最適なゲイン調整量が、そのまま他の編集器においても適切なゲイン調整量であるとは限らない。従って、複数の編集器の各々に入力される入力信号のゲイン調整量は、個々の編集器毎に独立して決定できることが望ましい。
【0004】
この発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、1つの入力器に対して複数の編集器(ミキシング装置)を並列的に接続した場合でも、各編集器(ミキシング装置)毎に、入力信号に対するゲイン調整を独立に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係るミキシングシステムは、1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムであって、前記入力装置は、入力装置側ゲイン調整量を設定し、且つ、当該入力装置に複数のミキシング装置が接続されたときに前記設定した入力装置側ゲイン調整量をリセットする入力装置の設定手段と、前記入力装置の設定手段で設定した入力装置側ゲイン調整量に基づいて、当該入力装置に入力される音響信号のゲインを調整する入力装置の調整手段と、前記入力装置の調整手段でゲインが調整された音響信号を当該入力装置に接続されているミキシング装置のすべてへ並列に供給する供給手段とを備え、前記ミキシング装置は、ミキシング装置側ゲイン調整量を設定するミキシング装置の設定手段と、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づいて、前記入力装置の供給手段によって供給される音響信号のゲインを調整するミキシング装置の調整手段と、前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記入力装置に供給することなく、前記ミキシング装置の調整手段に供給し、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記ミキシング装置の調整手段に供給することなく、前記入力装置に供給するゲイン調整量供給手段と、
前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記ミキシング装置の調整手段によってゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行い、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記ミキシング装置の調整手段によるゲインの調整を行うことなく、前記入力装置の供給手段から供給される音響信号に対してミキシング処理を行うミキシング手段と
を備える。
これによれば、入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、入力装置の設定手段に設定された入力装置側ゲイン調整量がリセットされるので、入力装置の調整手段から出力される音響信号はゲインが調整されないオリジナルな状態となる。供給手段は、入力装置の調整手段でゲインが調整された音響信号を、当該入力装置に接続されているミキシング装置のすべてへ並列に供給するものであるから、入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、該複数のミキシング装置の各々に対して、ゲインが調整されないオリジナルな音響信号を並列に供給する。よって、ミキシング装置の調整手段は、入力装置においてゲインが調整されないオリジナルな状態の音響信号に対して、ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づくゲインの調整を施すことができる。従って、ミキシング装置のミキシング手段は、当該ミキシング装置に最適なミキシング装置側ゲイン調整量に基づきゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行うことができる。一方、入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合、すなわち、入力装置に1台のミキシング装置しか接続されていない場合には、入力装置の調整手段が音響信号に対するゲインの調整を行い、ミキシング装置の調整手段はゲインの調整を行わない。このとき、入力装置には、該1台のミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量が供給され、入力装置の設定手段は該供給されたミキシング装置側ゲイン調整量を入力装置側ゲイン調整量として設定する。従って、前記1台のミキシング装置のミキシング手段は、結果的に、当該ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づきゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行うことができる。
【0006】
また、この発明に係る入力装置は、1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムにおける入力装置であって、入力装置側ゲイン調整量を設定し、且つ、当該入力装置に複数のミキシング装置が接続されたときに前記設定した入力装置側ゲイン調整量をリセットする入力装置の設定手段と、前記入力装置の設定手段で設定した入力装置側ゲイン調整量に基づいて、当該入力装置に入力される音響信号のゲインを調整する入力装置の調整手段と、前記入力装置の調整手段でゲインが調整された音響信号を当該入力装置に接続されているミキシング装置のすべてへ並列に供給する供給手段とを備える入力装置。
これによれば、入力装置に複数のミキシング装置が接続されたミキシングシステムにおいては、入力装置の設定手段に設定された入力装置側ゲイン調整量がリセットされるので、入力装置の調整手段から出力される音響信号はゲインが調整されないオリジナルな状態となる。また、供給手段によって、入力装置の調整手段でゲインが調整された音響信号を入力装置に接続されているミキシング装置のすべてへ並列に供給することで、複数のミキシング装置に対して共通の(同一の)音響信号を供給することができる。従って、入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、入力装置はゲインが調整されないオリジナルな音響信号を音響信号を、当該入力装置に接続されている複数のミキシング装置のすべてへ並列に供給することができる。
【0007】
また、この発明に係るミキシング装置は、1つの入力装置に複数のミキシング装置を並列に接続して構成されるミキシングシステムにおけるミキシング装置であって、ミキシング装置側ゲイン調整量を設定するミキシング装置の設定手段と、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づいて、前記入力装置から供給される音響信号のゲインを調整するミキシング装置の調整手段と、前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記入力装置に供給することなく、前記ミキシング装置の調整手段に供給し、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を、前記ミキシング装置の調整手段に供給することなく、前記入力装置へ供給するゲイン調整量供給手段と、前記入力装置に複数のミキシング装置が接続されている場合には、前記調整手段によってゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行い、前記入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合には、前記調整手段によるゲインの調整を行うことなく、前記入力装置から供給される音響信号に対してミキシング処理を行うミキシング手段とを備える。
これによれば、入力装置に複数のミキシング装置が接続されたミキシングシステムにおいては、ミキシング装置の調整手段は、入力装置においてゲインが調整されないオリジナルな状態の音響信号に対して、ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づくゲインの調整を施すことができる。従って、ミキシング装置のミキシング手段は、当該ミキシング装置に最適なミキシング装置側ゲイン調整量に基づきゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行うことができる。一方、入力装置に他のミキシング装置が接続されていない場合、すなわち、入力装置に1台のミキシング装置しか接続されていない場合には、ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量を入力装置に供給し、入力装置において、該供給されたミキシング装置側ゲイン調整量に基づき音響信号に対するゲイン調整が行われる。このとき、ミキシング装置の調整手段はゲインの調整を行わない。従って、ミキシング装置のミキシング手段は、結果的に、ミキシング装置の設定手段で設定したミキシング装置側ゲイン調整量に基づきゲインが調整された音響信号に対してミキシング処理を行うことができる。
【0008】
この発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施してもよく、また、本発明はコンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記録媒体の形態で実施してもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、1つの入力装置に対して複数のミキシング装置が並列的に接続された場合であっても、前記入力装置を介して個々のミキシング装置に供給される入力信号のゲイン調整を、個々のミキシング装置にて独立に行うことができるので、個々のミキシング装置に対して最も適切にゲイン調整された入力信号を供給することができるという優れた効果を奏する。すなわち、入力装置に複数のミキシング装置を接続して構成されるミキシングシステムにおいては、入力装置は音響信号に対するゲインの調整を行わず、各ミキシング装置において独自に音響信号に対するゲイン調整量の設定と該設定したゲイン調整量に基づくゲインの調整を行うことができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。図1は、この発明の一実施例に係るディジタルミキシング装置(編集器)を複数接続してなるミキシングシステムの構成例を示すブロック図であり、図2は、図1に示す1つの編集器のハード構成例を示す。
【0011】
図1において、1つの入力器10に対して、複数(図において3つ)の編集器20a,20b,20cが並列的に接続されており、各編集器20a,20b,20cに対して夫々出力器30a,30b,30cが接続される。ここで「編集器」とは、DSPによるミキシング処理機能とミキシング用編集操作手段による編集操作機能とを含むものであり、要するに「ミキシング装置」に相当する。すなわち、編集器20a〜20cは、ユーザがミキシングに関する各種操作を行い、該各種操作に応じた信号処理を制御することで、入力されたディジタル信号のミキシングを行う装置(ミキシング装置)である。なお、図1における入力器、編集器、出力器等の各ブロックは、それぞれユニット化されており、ユーザは必要に応じて任意の数の編集器ユニットを並列接続してシステム構成することができる。更に、編集器ユニットは、前述したようにDSPユニットと操作部ユニットに分けられていてよい。
入力器10は、所定の複数チャンネルのアナログオーディオ信号をそれぞれ外部から入力するためのものであり、入力された各チャンネル毎のアナログオーディオ信号の入力ゲインの調整をするためのヘッドアンプと、該ヘッドアンプから出力される各チャンネル毎のアナログオーディオ信号(入力信号)をディジタル信号に変換するADコンバータとを具える。入力器10から出力される複数チャンネルの入力信号は、該入力器10に対して並列接続された各編集器20a〜20cに並列的に分配・供給される。各出力器30a〜30cは、それぞれ所定の1乃至複数の出力チャンネルを有し、各々が接続された編集器20a〜20cから該出力チャンネルに分配されたミキシング出力信号(ディジタル信号)をアナログオーディオ信号に変換するDAコンバータを具える。
【0012】
複数の編集器20a〜20cの各々は、1つの入力器10から入力された共通の入力信号(ディジタル信号)に対して、各々のミキシング出力信号の用途に応じて異なる種々のミキシング処理を施すように設定できる。前記各々のミキシング出力信号の用途とは、例えば、コンサート会場等において使用する場合は、演奏音を演奏者側に返すモニタ用の出力信号、演奏音全体をコンサート会場内等に出力する再生用の出力信号、録音するための録音用の出力信号等である。
【0013】
各編集器20a〜20cの一例は、図2に示すように、CPU1に対して、通信バス1Bを介して、ROM2、RAM3、信号処理回路(DSP)4、操作子検出回路5及び表示制御回路6が接続されて成る。操作子検出回路5には、フェーダやスイッチ等の操作子群を含む操作部(コンソール)7が接続される。信号処理回路4(DSP)には、入手出力インターフェース(入出力I/F)8を介して入力器10(図1参照)からディジタル信号が入力される。ここで、信号処理回路4でのミキシング処理の設定(編集操作)は、操作者が操作部7を操作することで行われる。信号処理回路4は、操作部7での操作内容に基づいたミキシング処理を実行し、その結果を、入手出力I/F8を介して対応する出力器30a〜30c(図1参照)に供給する。また、表示制御回路6に接続された表示部9は、CPU1の制御に従って当該編集器の様々な動作状況を表示するのに用いる。
【0014】
なお、CPU1により実行される制御プログラム等は、ROM2に記憶されたもののみならず、ハードディスクやCD−ROM等の外部記憶媒体に記憶されたものを利用すること、あるいは、図示しない通信インターフェースを介して適宜のサーバコンピュータからダウンロードし、図示しないハードディスク装置(HDD)等に保存したものを利用することも可能である。この場合、該制御プログラム等は、該プログラムを実行すべき時にRAM3に転送されてCPU1の制御の下で実行される。これにより、各種プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0015】
次に、この発明に係る入力ゲイン調整のために信号処理回路(DSP)4により実行されるプログラムの第1の実施形態の一例について、図3を参照して説明する。なお、図3に示す機能ブロック図において、ヘッドアンプ11及びAD変換部12を含む部分が、図1に示す入力器10に相当する。また、図3において、一点鎖線で示すブロック20a,20bは、入力器10に対して並列接続された個々の編集器20a,20bで行われる処理動作を機能的に示すものである。DA変換部31a,31bは各編集器20a,20bに接続された出力器30a,30bに含まれるものである。
ここで、DSPにより実行されるミキシング処理の手順について、編集器20aでの処理を一例にして簡単に説明しておくと、外部から所定の複数チャンネル毎に入力されたアナログオーディオ信号は、ヘッドアンプ11を経由して、AD変換部12においてディジタル信号に変換された後、DSP4aに供給される。DSP4aでは、複数チャンネル毎の入力信号に対して、操作部7aで行われる編集操作に基づきミキシング処理が行われる。そして、DA変換部31aでは、DSP4aから供給されたミキシング出力信号(ディジタル信号)をアナログ信号に変換して出力する。
【0016】
入力器10のヘッドアンプ11では、所定の複数チャンネル毎に入力されるアナログオーディオ信号に対して入力ゲインの調整が可能であるが、この発明によれば、以下に詳しく説明するように、個々の編集器20a〜20cにおいて、入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲインの調整を実質的に無効にし、その替わりに、入力ゲインの調整を個々の編集器20a〜20cにて独立して行うことができる。このような編集器20a〜20cであれば、1つの入力器10に対して複数が並列接続された場合であっても、各編集器20a〜20c毎に、入力信号に対するゲイン調整を独立に行えるようになる。
【0017】
図3に示す第1の実施例では、ヘッドアンプ11に接続された複数の編集器20a〜20cのうちの所定の1つ(図示の例では20a)が、従来と同様に入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲイン調整を専ら行う。すなわち、この所定の編集器20aの操作部7aでは、入力器10のヘッドアンプ11に対するゲイン調整の指示操作を行うことができ、入力器10のヘッドアンプ11では、該指示操作に基づき入力信号に対するゲイン調整を実施する。具体的には、指示操作により発生するゲイン調整量をヘッドアンプ11のゲインとして設定する。よって、この所定の編集器20aのDSP4aにおいてミキシング処理を施す信号としては、入力器10のヘッドアンプ11にてゲイン調整が実施された信号を用いてよい。すなわち、これにより該編集器20aで独自の入力ゲイン調整が行えることになる。
なお、入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲイン調整を行いうる所定の1つの編集器20aの決定方法は、例えば、入力器10に接続された複数の編集器の中からユーザが任意に選択する方法や、入力器10に最初に接続されたものが自動的に選択される方法等、どのような方法であってもよい。
【0018】
一方、上記所定の編集器20a以外の編集器20b,20cでは、入力器10を介して供給される入力信号のゲインが既に他の編集器20aによって調整されてしまっているので、以下に述べる手順により必要な修正を行うことにより、独自の入力ゲイン調整を行う。なお、図3では便宜上編集器20bについて図示し、以下編集器20bについて説明するが、図示を省略した編集器20cも20bと同一構成である。編集器20bにおいて、修正部25では、入力器10のヘッドアンプ11により施されたゲイン調整の設定値データを取得する。この設定値データとは、所定の編集器20aにより設定されたゲイン調整量を表すデータである。修正部25において、該取得した設定値データに応じて、当該編集器20bに入力された各チャンネル毎の入力信号に対して、ヘッドアンプ11により施されたゲイン調整をキャンセルするよう、前記各チャンネル毎に入力信号のレベルを補正する。これにより、修正部25から出力される各チャンネル毎の入力信号のゲインは、入力器10のヘッドアンプ11で他の編集器20aによりゲイン調整される以前のオリジナルな状態(所定の編集器20aによりゲインが調整される前の状態)に修正(リセット)される。
修正部25では、入力器10のヘッドアンプ11において入力ゲインの調整が実施される毎に、すなわち、前記所定の編集器20aの操作部7aからのゲイン調整の指示操作が行われる毎に、最新の設定値データを取得するものとする。この取得方法は、ヘッドアンプ11にてゲイン調整が変更される度に、最新の設定内容を取得できる方法でありさえすればよく、例えば、ゲイン調整が変更される度にヘッドアンプ11における最新のゲイン調整設定内容を該ヘッドアンプ11から取得する方法や、或いは、前記所定の編集器20aにおいてゲイン調整操作が行われた時に、その操作量を示すデータをゲイン調整量の設定値データとして該所定の編集器20aから他の編集器20b,20cへ送信し(図3において点線で示すライン)これを各編集器20b,20cで取得する方法等であってよい。
【0019】
編集器20bにおいては、当該編集器20bで独自のゲイン調整を行うためにディジタルヘッドアンプ26が設けられており、また、操作部(コンソール)7bにおける所定の入力ゲイン調整用操作子を操作者が操作することにより、該編集器20bに独自の入力ゲイン調整量の設定を行うことができる。該ディジタルヘッドアンプ26では、前記修正部25から出力される各チャンネル毎の入力信号(他の編集器20aによるゲイン調整をキャンセルした信号)に対して、自己の操作部7bで行われた入力ゲイン調整の設定操作に基づき、当該編集器20bに独自のゲイン調整を実施する。そうして、編集器20bのDSP4bでは、ディジタルヘッドアンプ26にて独自にゲイン調整が実施された入力信号を、操作部7bでの各種編集操作に基づきミキシング処理できる。なお、ディジタルヘッドアンプ26でのゲイン調整は、複数チャンネル毎に入力されたされた各ディジタル信号に対して夫々独立して実施できる。
従って、この実施例によれば、図1に示したように、1つの入力器10に対して複数の編集器20a〜20cを並列的に接続された場合であっても、入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲイン調整を行いうる所定の1つの編集器20a以外の編集器20b,20cにおいても、上述の修正部25での修正処理と、ディジタルィジタルヘッドアンプ26で実施する独自の入力ゲイン調整とにより、各編集器20b,20c毎に、入力信号に対するゲイン調整を独立に行えるようになる。
【0020】
なお、前述の修正部25で行う修正とディジタルヘッドアンプ26で行うゲイン調整のアルゴリズムは、上述の例に限らない。例えば、ヘッドアンプ11または編集器20aから取得したゲイン調整量の設定値データに基づき自己の操作部7bで設定された入力ゲイン調整の設定値データを修正し、修正した自己の設定値データに応じて入力器10からの入力信号のゲインを調整するようにしてもよい。
なお、図3において、編集器20bにおける修正部25の修正処理とディジタルヘッドアンプ26のゲイン調整処理は、具体的には自己のDSP4bを使用して所定のマイクロプログラムを実行することで実施される。しかしこれに限らず、修正部25とディジタルヘッドアンプ26の機能を実現する専用のハードウェア装置によって構成することも可能であり、あるいは、編集器20bのCPU1(図2)によるソフトウェア処理によっても実現可能である。
【0021】
次に、この発明に係る入力ゲイン調整のためのプログラムの第2の実施形態の一例について、図4を参照して説明する。図4において、前述の図3に示したものと同様の処理内容を示す各部については、同じ符号を用いて、且つ、図3における説明を以て、その動作処理の説明を省略する。
前述の図3に示す第1の実施例では、所定の1つの編集器20aだけが入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲイン調整が可能であったが、この第2の実施例では、入力器10に接続された複数の編集器20a〜20cの何れによってもヘッドアンプ11でのゲイン調整を実施させないようにすることで、入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲインの調整は無効にされる。その代わりに各編集器20a〜20c毎に夫々ディジタルヘッドアンプ26a,26bを有しており、夫々独自に入力ゲインの調整が行えるようになっている。
【0022】
図4に示す実施例において、入力器10に接続される複数の編集器20a〜20cの内部の機能ブロック構成は夫々同一であってよいため、一つの編集器20aにつきその特徴的構成を説明する。編集器20aには、当該編集器20aで独自のゲイン調整を行うためにディジタルヘッドアンプ26aが設けられており、入力器10から供給される各チャンネル毎の入力信号を該ディジタルヘッドアンプ26aに入力し、切換部27aを介して自己の操作部(コンソール)7aから与えられる入力ゲイン調整用の設定値データに応じて、該編集器20aに独自の入力ゲイン調整を、該ディジタルヘッドアンプ26aで行うことができるようになっている。
切換部27aは、入力器10に対して複数の編集器20a〜20cが接続されている場合は、操作部7aでの操作に応じて設定された入力ゲイン調整用の設定値データを、自己のディジタルヘッドアンプ26aに供給し、該ディジタルヘッドアンプ26aを使用して独自の入力ゲイン調整が行われるようにする。この場合、操作部7aでの操作に応じて設定された入力ゲイン調整用の設定値データは、入力器10のヘッドアンプ11には供給されない。他の編集器20bの切換部27bも同様に動作する。これにより、入力器10に対して複数の編集器20a〜20cが接続されている場合は、入力器10のヘッドアンプ11にはどの編集器20a〜20cからも入力ゲイン調整用の設定値データが与えられず、入力器10から出力される各チャンネル毎の入力信号は、ヘッドアンプ11でゲイン調整されることなく、オリジナルレベルのまま、各編集器20a〜20cに供給される。こうして、入力器10による入力信号のゲイン調整が無効にされ、各編集器20a〜20c毎に独立した入力ゲイン調整が可能である。
一方、切換部27aは、入力器10に対して自己の編集器20aだけが接続されている場合は、操作部7aでの操作に応じて設定された入力ゲイン調整用の設定値データを、自己のディジタルヘッドアンプ26aに供給することなく、入力器10のヘッドアンプ11に供給する。この場合は、従来同様に入力器10のヘッドアンプ11で各チャンネル毎の信号のゲイン調整が行われる。
【0023】
次に、図4の動作例について説明する。先ず、1台の編集器20aが入力系に接続されたとする。編集器20aでは、所定のクロックタイミング毎に、現在入力器10に接続している編集器の数が、1つであるか複数であるかを検出・走査し、その結果、接続している編集器の数が1つ、すなわち自己のみであった場合、前述の通り、切換部27aにより、操作部7aからのゲイン調整の設定/指示操作によって入力器10のヘッドアンプ11の入力ゲイン調整が行えるよう制御し、従来と同様に、ヘッドアンプ11で入力ゲイン調整を実施する。
この状態で更に新規の編集器20bが入力器10に接続されると、編集器20aでの走査の結果、複数の編集器が接続されているが検出され、切換部27aにより、自己のディジタルヘッドアンプ26aを使用した入力ゲイン調整が行われるようにする。このとき、ヘッドアンプ11において設定されているゲイン調整はリセットされ、入力器10からは、ヘッドアンプ11でのゲイン調整が実施されていないオリジナルなレベルで各チャンネルの入力信号が出力されるようになる。なお、リセットの前に、ヘッドアンプ11での現在のゲイン調整の設定値が、編集器20aのディジタルヘッドアンプ26aでのゲイン調整の設定値として設定されるようにするとよい。ヘッドアンプ11でのゲイン調整量は、編集器20aで設定した値なので、ディジタルヘッドアンプ26aにおいても同じ設定値を適用するのが望ましいからである。
【0024】
他方、編集器20bにおいて、切換部27bでは、入力器に対して既に他の編集器が接続されていることが検知されるので、自己のディジタルヘッドアンプ26bにて入力信号のゲイン調整を実施するよう制御する。ここで、前述の通りヘッドアンプ11でのゲイン調整はリセットされるので、ディジタルヘッドアンプ26bに対して供給される入力信号は、ヘッドアンプ11でのゲイン調整が実施されていない状態で、つまりオリジナルな入力信号のレベルで、供給される。ディジタルヘッドアンプ26bでは、ヘッドアンプ11でのゲイン調整が実施されていない入力信号に対して、操作部7bからのゲイン調整の指示操作に基づき独自の入力ゲイン調整を実施する。
【0025】
なお、図4において、各編集器20a,20bにおける切換部27a,27bの切換処理とディジタルヘッドアンプ26a,26bのゲイン調整処理は、具体的には自己のDSP4a,4bを使用して所定のマイクロプログラムを実行することで実施される。しかしこれに限らず、切換部27a,27bとディジタルヘッドアンプ26a,26bの機能を実現する専用のハードウェア装置によって構成することも可能であり、あるいは、各編集器20a,20bのCPU1(図2)によるソフトウェア処理によっても実現可能である。
【0026】
なお、入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲインの調整を無効にする方法は、上記第1及第2実施例に限らず、ヘッドアンプ11での入力ゲイン調整が実施されていない(無効にされた)オリジナルな状態の入力信号が個々の編集器に供給される方法でありさえすればよい。
【0027】
更に、上述の図3及び図4に示す実施例の変更例として、入力器10のヘッドアンプ11での入力ゲインの調整を無効にするに際して、ヘッドアンプ10による入力信号のゲイン調整を無効にするか或いは有効にするか(つまり個々の編集器での独立したゲイン調整を行わない)についての選択・設定が、複数チャンネルの各チャンネル毎に個別に行えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施例に係るディジタルミキサーを複数接続してなるシステムの構成例を示すブロック図。
【図2】同実施例に係るディジタルミキサー(編集器)のハード構成例を示すブロック図。
【図3】同実施例に係る入力ゲイン調整の動作の一例を説明するためのブロック図。
【図4】同実施例に係る入力ゲイン調整の別の動作の一例を説明するためのブロック図。
【符号の説明】
【0029】
10 入力器(入力装置),20a〜20c 編集器(ミキシング装置),30a〜30c 出力器,1 CPU,2 ROM,3 RAM,4 信号処理回路(DSP),5 操作子検出回路,6 表示制御回路,7 操作部,8 入出力インターフェース(入出力I/F),9 表示部
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成19年10月1日(2007.10.1)
【代理人】 【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁


【公開番号】 特開2008−17538(P2008−17538A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−257923(P2007−257923)