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【発明の名称】 補聴器のためのブルートゥース伝送装置及び伝送方法
【発明者】 【氏名】トーマス ロッター

【氏名】ユルゲン ライティンガー

【要約】 【課題】補聴器へ無線式にオーディオデータを伝送する装置において、簡単な手段で信号遅延を僅かにする。

【構成】例えばテレビ受像機から補聴器への無線式のオーディオ伝送を行うため、ブルートゥース信号のオーディオデータ1を送信するための送信装置13、送信装置13に組み込まれ送信前にオーディオデータを圧縮するための補聴器固有の符号器14、及び送信装置13のブルートゥース信号を補聴器2への誘導的伝送のための信号に変換するための中継ステーション16を備え、中継ステーション16においては変換の際コード変換は行われず、送信装置13はブルートゥースのA2DPプロトコルに相応して送信を行い、補聴器固有の符号器14は標準ブルートゥース符号器SBCより低いサンプリングレートを有する。このシステムによって、符号化遅延及び中継ステーション(16)における処理遅延は簡単な手段で最小化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ブルートゥース信号のオーディオデータを送信するための送信装置(13)、
・送信装置(13)内に組み込まれ、送信の前にオーディオデータを圧縮するための符号器(14)、
・送信装置(13)のブルートゥース信号を補聴器(2)への誘導式伝送のための信号に変換するための中継ステーション(16)
を有し、補聴器(2)へオーディオデータを伝送するための伝送装置において、
・中継ステーション(16)において変換の際コードの変換が行われず、
・送信装置(13)はブルートゥースのA2DPプロトコルに相応して送信し、
・符号器(14)は標準A2DP符号器より低いサンプリングレートで動作する
ことを特徴とする補聴器へオーディオデータを伝送するための伝送装置。
【請求項2】
データの伝送は双方向に実行可能であることを特徴とする請求項1記載の伝送装置。
【請求項3】
中継ステーション(16)は遠隔操作部中に組み込まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の伝送装置。
【請求項4】
符号器(14)による圧縮後のオーディオ帯域は15kHzより小さいことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の伝送装置。
【請求項5】
オーディオ帯域が8〜12kHzの間にあることを特徴とする請求項4記載の伝送装置。
【請求項6】
ブルートゥース信号のデータレートが150kBit/sより下にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の伝送装置。
【請求項7】
・オーディオデータの符号化
・ブルートゥース信号のオーディオデータの中継ステーションへの送信
・ブルートゥース信号の補聴器(2)へ誘導的伝送のための信号への変換
による補聴器(2)へのオーディオデータの伝送方法において、
・変換時にコードの変換が行われず、
・送信はブルートゥースのA2DPプロトコルに相応して行われ、
・符号化は標準A2DP符号器におけるより低いサンプリングレートで行われる
ことを特徴とする補聴器へのオーディオデータ伝送方法。
【請求項8】
データの伝送が双方向に実行可能であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
符号化後のオーディオ帯域幅が15kHzより小さいことを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
ブルートゥース信号のデータレートが150kBit/sより下にあることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルートゥース(Bluetooth)信号中のオーディオデータを送信するための送信装置、送信装置中に組み込まれ送信前にオーディオデータを圧縮するための符号器、及び送信装置のブルートゥース信号を補聴器へ誘導式に伝送するための信号に変換するための中継ステーションを有し、補聴器へオーディオデータを伝送するための伝送装置に関する。さらに本発明は、補聴器へオーディオデータを伝送するための相応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機やハイファイ装置の言語又は音楽についてのオーディオデータを、無線式に広帯域で補聴器に伝送する必要性がますます存在している。特に、両耳装用のために2つの補聴器を有する補聴器システムへの伝送も可能でなければならない。
【0003】
補聴器にケーブルなしでオーディオ伝送するために、主にFM機器又は赤外線機器が使用される。その際、補聴器の代わりに装着される機器、補聴器に対する差込モジュールとして提供される機器、又は補聴器内に著しく所要面積をとって組み入れられる機器が問題になる。
【0004】
オーディオ伝送のためには、原則的に複数の電磁式伝送手段が問題になる。即ち例えば、高周波・遠距離電磁界伝送システム及び誘導式の近距離電磁界伝送システムを使用することができる。ディジタル式、誘導式の伝送システムを用いて、場所及び電流を節減しながら補聴器までの短い距離(1〜2mより短い)に対処することができる。しかしながらテレビ受像機やハイファイ装置のオーディオ伝送に対しては、満足できる作動のためにはより大きい距離(到達距離約10m)に対する遠距離電磁界伝送システムが必要とされる。
【0005】
補聴器へ無線式にデータ伝送するためのデータ伝送装置は知られている(例えば特許文献1参照)。このデータ伝送装置は、外部送信ユニットの高周波の変調された信号を受信するための高周波受信装置を含んでいる。その高周波の変調された信号を同じように高周波の参照信号と混合するため混合装置が用いられ、その結果変調された出力信号を発生させることができ、この出力信号の搬送周波数は少なくとも1等級小さく、誘導式の伝送に適している。最終的に出力信号は送信装置によって補聴器へ誘導式に伝送される。この変換器方法は、復調及び復号並びに新たな変調及び符号化を全くしなくてよいので、結果として全無線路にわたって最小の遅延時間が得られる。ただこの伝送方法は、高周波伝送区間のデータレートを誘導式伝送による区間におけるデータレートと合わせなければならないので、全無線路が個々に組織されなければならないという点で不利がある。
【特許文献1】独国特許出願公開第102005005603 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、僅かな開発費を伴う伝送装置及び対応する伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、ブルートゥース信号のオーディオデータを送信するための送信装置、送信装置中に組み込まれ送信前のオーディオデータを圧縮するための符号器、及び送信装置のブルートゥース信号を補聴器へ誘導式に伝送するための信号に変換するための中継ステーションを有し、補聴器へオーディオデータを伝送するための伝送装置において、中継ステーションにおいて変換の際コードの変換は行われず、送信装置はブルートゥースのA2DPプロトコル(ブルートゥースの非同期接続用プロファイル)に相応して送信し、符合器は標準A2DP符号器より低いサンプリングレートで作動することによって解決される。
【0008】
それに応じて、本発明によれば、オーディオデータの符号化、ブルートゥース信号で中継ステーションへのオーディオデータの送信、及びブルートゥース信号の補聴器への誘導式伝送のための信号への変換により、オーディオデータを補聴器へ伝送するための方法において、変換の際コード変換は行われず、送信はブルートゥースのA2DPプロトコルに相応して行われ、符号化は補聴器クロックレートの故に標準A2DP符号器におけるより低いサンプリングレートで行われる。
【0009】
従って有利な仕方で、ブルートゥース送信器及びブルートゥース受信器のような標準化された構成要素並びに相応のブルートゥース伝送プロトコルを必要に応じて使用することができる。ブルートゥース伝送システムの標準化された構成要素はオーディオ用に組まれている(例えば漏洩保護)。
【0010】
本発明に従うデータ伝送は、場合によっては双方向に行うことができる。従って補聴器からのデータも部分的に標準化された伝送路を介して外部機器へ伝達することができる。
【0011】
中継ステーションは、補聴器の遠隔操作部内に、又は例えばテレビ受像機遠隔操作部内にも組み入れられるのが有利である。従って利用者は無線式のデータ伝達のための機器を付け加えて使用する必要がない。
【0012】
符号器による圧縮後のオーディオ帯域幅は15kHzより小さいのが有利である。とりわけオーディオ帯域幅は8〜12kHzの間にあるのが好ましい。それによって送信側で既にオーディオデータストリームは圧縮され、補聴器に処理不可能な情報が到来することはない。
【0013】
さらに、ブルートゥース信号におけるデータレートが150kBit/sより下にあると有利である。これによって、ベースバンドにおける誘導式伝送のための特殊な圧縮を行う必要はない。
(発明を実施するための最良の形態)
【実施例】
【0014】
以下本発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
【0015】
以下詳細に説明する実施例は本発明の有利な実施形態を示す。しかしながら本発明の理解をよりよくするため先ず図1に示されている従来技術により伝送システムについて説明する。
【0016】
図1のシステムに従って、ステレオオーディオ信号1がテレビ受像機又はハイファイ装置から補聴器ないし両耳装用のための補聴器システムへ伝送されるものとする。オーディオ信号1はブルートゥース送信器3においてサンプリングされ符号化される。この符号化の際データは圧縮され、ブロック的にまとめられる。ブルートゥース送信器3は複数の標準符号器を支援し、その内の1つの符号器4を伝送のため選択的に使用することができる。ブルートゥースA2DP特有のやり方で、オーディオ信号は44.1又は48kHzでサンプリングされ、その結果送られた信号に対し20〜24kHzのオーディオ帯域幅が生じる。データレートr btは典型的には230〜350kBit/sの値を持つ。標準ブルートゥース伝送路5は約10mまでの到達距離の無線式通信を可能にする。
【0017】
遠隔操作部6には、ブルートゥース伝送路5上で符号化されたオーディオデータを復号するため、適合したブルートゥース復号器7が配置されている。続く補聴器システム2への誘導式伝送のために、データレートは値r hgへ下げられなければならない。それ故遠隔操作部6には補聴器符号器8が設けられており、この符号器はデータレートを相応に引き下げ、8〜10kHzのオーディオ帯域幅を提供する。このようにして符号化されてデータは誘導式伝送路9を介して補聴器システム2に送られる。補聴器システム2の各補聴器は相応の補聴器復号器10、11を有する。
【0018】
従って、テレビ受像機又はハイファイ装置から補聴器への比較的大きい距離は、補聴器遠隔操作部に標準伝送方法を用いることによって最小の労力と最小のコストでもって橋渡しすることができる。標準伝送方法としてはブルートゥース法が用いられ、この方法は建物内でケーブルなしのステレオオーディオ伝送に対して最も広く普及した標準である。テレビ受像機から補聴器への「最後のメートル」は最後に誘導式に橋渡しされる。
【0019】
具体的には、オーディオ信号はブルートゥース送信ステーション3においてディジタル化され、標準化されたオーディオ伝送プロトコルA2DPを用いて中継ステーション、即ち遠隔操作部6に伝送される。この標準プロトコルは、ライセンスなしのコーデック(符号器と復号器)の支援、即ちSBCを指示する。それに加えて他の限定されたコーデック、例えばMP3を使用することもできるが、このコーデックはテレビ作動に対して適していない(高いアルゴリズム遅延に基づく)。さらに、標準はメーカ依存のコーデックを限定したり使用する可能性を提供する。
【0020】
既に上述のように、ブルートゥース路5上で標準的には比較的高いデータ量が伝送される。SBCの場合、データレートはr bt=230〜350kBit/sの値となる。しかし補聴器への伝送は、できるだけ小さい構成要素で、できるだけ電流を節約して行われるべきである。それ故この場合誘導式の伝送路9が選択されるが、この伝送路においては、効率を高め相応の電流節減を可能にするためデータ伝送レートは下げられなければならない。データの引き下げは中継ステーションないし遠隔操作部6においてブルートゥースA2DPデータストリームの補聴器データストリームへのコード変換によって行われる。
【0021】
しかしながら、図1に示される無線式伝送路に対する解決法はいくつかの欠点を持っている。一つは、高い帯域幅による標準的なブルートゥースデータ伝送は、補聴器との作動に対して効率が悪い。その理由は、補聴器は種々の品質要求に基づいて、聴覚正常者に対するオーディオ用途の帯域幅(20kHzより高い)より通常低いオーディオ帯域幅(約8〜10kHz)で作動されることにある。さらに中継ステーションにおけるコード変換はオーディオ品質を下げることになりしかも電流消費を高め、それによって中継ステーションの耐用時間が低下する。別の欠点は、二重の符号化遅延(ブルートゥース路上の長いオーディオブロック)及び遠隔操作部の処理遅延に基づきテレビ受像機から補聴器への言語及び音楽の遅延時間が増大することにある。このことは、テレビ受像機から補聴器へのオーディオ伝送に対し画像への同期性が保証されるべきであり、またテレビ受像機の直接音響と伝送されたオーディオ信号との重畳によって、音楽信号又は言語信号の望ましくない傾向ないし不鮮明性が生じる限りにおいて批判的に評価されるべきことである。
【0022】
それ故本発明に従えば、図2に原理的に示されるシステムが用いられる。送信ステーション13においてテレビ信号又はハイファイ信号1は補聴器符号器14を用いて所望の補聴器フォーマットに転換される。このことは8〜10kHzのオーディオ帯域が特徴である。さらに信号は補聴器符号器14によって符号化され、それに続く誘導式の伝送路に適したデータレートr hgが生じる。このことはデータブロックの対応するブロック長によって実現される。
【0023】
補聴器符号器14によってステレオ信号はディジタル化後補聴器サンプリングレートで圧縮されるが、この符号器14は、ブルートゥースのA2DP利用におけるSBC符号器に対する標準に一致した代替として機能する。SBCは送信器において同様に支援されることが可能であるが、補聴器用には使用されない。ブルートゥースのA2DPプロトコルによる物理的伝送の残りの部分は、変えられることなくブルートゥース伝送路15に対して使用することができる。
【0024】
遠隔操作部16において、補聴器フォーマットのブルートゥース・データストリームはで標準ブルートゥース受信器によって受信され、そしてコード変換又はディジタルなサンプリングレート変換なしに遠隔操作部16の誘導式送信器へ転送することができる。ブルートゥース受信器及び誘導式送信器はそれ故図2ではバイパス17として表されている。残りのデータ伝送路、即ち誘導式伝送路9並びに補聴器符号器10及び11を有する補聴器システム2は図1のそれに対応している。図2に従う全伝送においては、従ってブルートゥース伝送路15上の有用データレート及びクロックレートは、誘導式伝送路9のそれに相当する、即ちr bt=r hgである。
【0025】
ブルートゥース標準を使用することに基づき、補聴器に対する伝送路の大部分は、簡単にかつ開発をほとんど必要とすることなく、またコストを安く実現することができる。補聴器への「最後のメートル」は、誘導式伝送路9によって特に省エネルギーに行われる。補聴器符号器の移動及びブルートゥース送信ステーション13における補聴器クロックの間のサンプリングは以下の利点をもたらす。
a)送信ステーション及び遠隔操作部における効率を上昇させることができる。即ちA2DPによるブルートゥース伝送は、SBCによる標準用途におけるより明らかに低いデータレートで実施することができる。それによって、送信ステーション及び中継ステーションにおける電流消費は低下する。さらに、遠隔操作部における費用のかかるコード変換が行われなくなり、そのことはさらなる電流節減に導く。それ故特に中継ステーションにおいて蓄電池の耐用年数がより長くなる、ないしは電池の交換がより稀になる、ということが達成される。
b)ブルートゥース・コーデック(符号器/復号器)並びに補聴器コーデックは損失を伴う変換を形成するから、全信号のオーディオ品質が上昇する。何故なら図2に従う本発明によるシステムにおいてはただの1回だけ符号化/復号が行われればよいからである。
c)全システムの重要な品質指標は、伝送によるオーディオ信号の遅延である。一方でテレビ用途においてテレビ受像機の直接音響は、無線により伝送される信号と補聴器装用者の耳で重畳され、擾乱性の傾向ないし鮮明さに導く。他方、画像の音との同期性が保証されなければならない。本発明に従う方法によれば、符号化遅延及び遠隔操作部における処理遅延の除去によって、遅延時間は最小化される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】復号化及び新たな符号化のための中継ステーションを有する従来技術による伝送システムの説明図である。
【図2】新たな符号化を持たない中継ステーションを有する本発明に従う伝送システムの説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ステレオオーディオ信号
2 補聴器システム
3 ブルートゥース送信器
4 符合器
5 標準ブルートゥース伝送路
6 遠隔操作部
7 ブルートゥース復号器
8 補聴器符合器
9 誘導式伝送路
10 補聴器復号器
11 補聴器復号器
13 送信ステーション
14 補聴器符合器
15 ブルートゥース伝送路
16 遠隔操作部
17 バイパス
【出願人】 【識別番号】500524671
【氏名又は名称】シーメンス アウディオローギッシェ テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【出願日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【代理人】 【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖


【公開番号】 特開2008−11527(P2008−11527A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−163876(P2007−163876)