トップ :: H 電気 :: H04 電気通信技術




【発明の名称】 コンデンサマイクロホン及びその製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤 明善

【要約】 【課題】コンデンサマイクロホンの感度を全周波数領域域で向上させフラットな特性に近づける。

【構成】コンデンサマイクロホンは、静止電極と、開口を形成しているストッパプレートと、前記静止電極に対する振動電極を形成しているダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの前記ストッパプレートと反対側の面の前記ダイヤフラムの外周より内側に密着した膜からなり前記ダイヤフラムが架設されている環状の架設部と、を備え、前記ダイヤフラムの内部応力によって、前記ダイヤフラムの前記架設部に密着している領域より外側の外周部が前記ストッパプレートに接近した形状に変形した結果、前記外周部が前記ストッパプレートの前記開口の周囲領域に付着し、前記ストッパプレートの前記開口のある空間と、前記ダイヤフラムによって前記開口のある空間と仕切られているキャビティと、を連絡している音響抵抗通路が前記ダイヤフラムの前記外周部と前記ストッパプレートの前記周囲領域との非付着部分によって形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止電極と、
開口を形成しているストッパプレートと、
前記静止電極に対する振動電極を形成しているダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの前記ストッパプレートと反対側の面の前記ダイヤフラムの外周より内側に密着した膜からなり前記ダイヤフラムが張り渡されている環状の架設部と、
を備え、
前記ダイヤフラムの内部応力によって、前記ダイヤフラムの前記架設部に密着している領域より外側の外周部が前記ストッパプレートに接近した形状に変形した結果、
前記外周部が前記ストッパプレートの前記開口の周囲領域に付着し、
前記ストッパプレートの前記開口のある空間と、前記ダイヤフラムによって前記開口のある空間と仕切られているキャビティと、を連絡している音響抵抗通路が前記ダイヤフラムの前記外周部と前記ストッパプレートの前記周囲領域との非付着部分によって形成されている、
コンデンサマイクロホン。
【請求項2】
静止電極と、
開口を形成しているストッパプレートと、
前記静止電極に対する振動電極を形成しているダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの前記ストッパプレートと反対側の面の前記ダイヤフラムの外周より内側に密着した膜からなり前記ダイヤフラムの周方向に互いに離間して形成されている複数の架設部と、
を備え、
前記ダイヤフラムの内部応力によって、前記ダイヤフラムの前記架設部に密着している領域より外側の外周部が前記ストッパプレートに接近した形状に変形した結果、
前記外周部が前記ストッパプレートの前記開口の周囲領域に付着し、
前記ストッパプレートの前記開口のある空間と、前記ダイヤフラムによって前記開口のある空間と仕切られているキャビティと、を連絡している音響抵抗通路が前記ダイヤフラムの前記外周部と前記ストッパプレートの前記周囲領域との非付着部分によって形成されている、
コンデンサマイクロホン。
【請求項3】
前記ダイヤフラムの前記外周部は、外周端から内側に向かって頂部が延びる起伏を有し、
前記音響抵抗通路は、前記起伏と前記ストッパプレートの周囲領域とによって形成されている、
請求項1又は2に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項4】
前記ストッパプレートの前記周囲領域は、内周から外側に向かう方向に延びる溝を有し、
前記音響抵抗通路は、前記ストッパプレートの前記溝と前記ダイヤフラムの前記外周部とによって前記側壁が形成されている、
請求項1又は2に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項5】
前記ダイヤフラムの前記外周部は、外周端面に凹部を有し、
前記音響抵抗通路は、前記ダイヤフラムの前記凹部と前記ストッパプレートの前記周囲領域とによって開口端が形成されている、
請求項1又は2に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項6】
前記静止電極を形成している膜を前記ストッパプレート上に支持している支持部と、
前記静止電極を形成している前記膜に形成され前記キャビティに音波を進入させる音孔と、
をさらに備え、
前記架設部は、前記静止電極を形成している膜に密着し前記支持部を形成している膜から形成され、
前記ストッパプレートの前記開口はバックキャビティの開口であって、
前記ダイヤフラムは、前記静止電極の前記ストッパプレート側に前記架設部によって架設され前記キャビティと前記バックキャビティとを仕切っている、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンデンサマイクロホン。
【請求項7】
前記音響抵抗通路を形成するための突部を有する犠牲膜を前記ストッパプレートを形成するための基板上に形成し、
前記バックキャビティの開口を囲める外形を有し引っ張り応力が残留する前記ダイヤフラムを前記犠牲膜上の前記突部を含む領域に形成し、
前記ダイヤフラムの上と前記犠牲膜の上とに前記支持部及び前記架設部を形成するための前記膜を形成し、
前記支持部及び前記架設部を形成するための前記膜の上に、前記静止電極を形成するための前記膜を形成し、
前記犠牲膜を露出させる前記バックキャビティを前記基板に形成し、
前記バックキャビティと前記音孔とからエッチャントを供給することにより、前記支持部と前記架設部とを形成するための前記膜と、前記犠牲膜とをエッチングし、
前記ダイヤフラムと前記基板との間から前記犠牲膜が除去され、前記支持部と前記架設部とが残存するようにエッチングの終点を制御する、
ことを含む請求項6に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法。
【請求項8】
前記音響抵抗通路を形成するための溝を前記基板上に形成し、
前記溝を埋め表面が平坦な犠牲膜を前記基板上に形成し、
前記バックキャビティの開口を囲める外形を有し引っ張り応力が残留する前記ダイヤフラムを前記溝上の領域を含む前記犠牲膜上の領域に形成し、
前記ダイヤフラムの上と前記犠牲膜の上とに前記支持部及び前記架設部を形成するための前記膜を形成し、
前記支持部及び前記架設部を形成するための前記膜の上に、前記静止電極を形成するための前記膜を形成し、
前記犠牲膜を露出させる前記バックキャビティを前記基板に形成し、
前記バックキャビティと前記音孔とからエッチャントを供給することにより、前記支持部と前記架設部とを形成するための前記膜と、前記犠牲膜とをエッチングし、
前記ダイヤフラムと前記基板との間から前記犠牲膜が除去され、前記支持部と前記架設部とが残存するようにエッチングの終点を制御する、
ことを含む請求項6に記載のコンデンサマイクロホンの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサマイクロホン及びその製造方法に関し、特にMEMS製造プロセスによって製造されるコンデンサマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MEMS製造プロセスによって製造されるコンデンサマイクロホンが知られている。このようなコンデンサマイクロホンは、微細な輪郭形成が可能な薄膜の積層により構造を形成できるため、小さく構成することができる。
【0003】
コンデンサマイクロホンは、検出対象の音波が伝搬する音響空間と検出される音波が到達しない非音響空間であるバックキャビティとを仕切る膜に形成された振動電極と、それと平行な静止電極とを備え、振動電極と静止電極とによって容量が形成されている。バックキャビティと大気圧の音響空間とに静圧の差が生ずると、ダイヤフラムの振動が妨げられて感度が不安定になったり、ダイヤフラムが破壊されるおそれがあるため、バックキャビティは大気に対して開放される必要がある。ダイヤフラムでバックキャビティと音響空間とを仕切る場合、バックキャビティを大気に対して開放するための通路が必要になる。一方、ダイヤフラムによって仕切られるバックキャビティに音波が進入すると、コンデンサマイクロホンの感度が低下するという問題がある。このため、検出対象の周波数領域の音波に対してはその通路の音響抵抗を高く設定することが望ましい。通路の音響抵抗は細く長いほど低い周波数まで高くなる。しかし、例えば20Hzから20kHzまである可聴域の全域に対して音響抵抗が高くなるような細く長い通路を形成することは従来困難であった。
【0004】
また、堆積によってダイヤフラムを構成する薄膜を形成すると、その薄膜に強い引っ張り応力が生ずることがある。ダイヤフラムに引っ張り応力が残留している場合、ダイヤフラムが振動しにくくなるため、コンデンサマイクロホンの感度が全周波数域で低下するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みて創作されたものであって、コンデンサマイクロホンの感度を全周波数領域で向上させフラットな特性に近づけることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)MEMS製造プロセスによって膜を貫通する孔を形成する場合、孔の径に対して膜厚を大きくすることは困難である。また膜の表面と平行な方向に細長い孔を穿孔することも困難である。また、膜の表面に溝を形成しておき、その溝だけを犠牲膜で埋めた状態でさらに別の膜を堆積させることも困難であるため、密着している膜の間に細長い孔を形成することも困難である。本発明では、ダイヤフラムが形成された後にダイヤフラムの外周部がストッパプレートの表面に付着し、両者が付着した状態で残存する隙間によって、ダイヤフラムの表裏両側の静圧を平衡させる、音響抵抗通路を細く長く形成することを可能にする。
【0007】
すなわち、上記目的を達成するコンデンサマイクロホンは、静止電極と、開口を形成しているストッパプレートと、前記静止電極に対する振動電極を形成しているダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの前記ストッパプレートと反対側の面の前記ダイヤフラムの外周より内側に密着した膜からなり前記ダイヤフラムが架設されている環状の架設部と、を備え、前記ダイヤフラムの内部応力によって、前記ダイヤフラムの前記架設部に密着している領域より外側の外周部が前記ストッパプレートに接近した形状に変形した結果、前記外周部が前記ストッパプレートの前記開口の周囲領域に付着し、前記ストッパプレートの前記開口のある空間と、前記ダイヤフラムによって前記開口のある空間と仕切られているキャビティと、を連絡している音響抵抗通路が前記ダイヤフラムの前記外周部と前記ストッパプレートの前記周囲領域との非付着部分によって形成されている。
【0008】
ストッパプレートに形成されている開口はバックキャビティや音波の取り入れ口として機能し得る。音響抵抗通路はストッパプレートの開口の周囲領域とそこに付着しているダイヤフラムの外周部とによって形成される。すなわち、ストッパプレートの開口の周囲領域とそこに付着しているダイヤフラムの外周部との間には隙間が形成されており、この隙間が音響抵抗通路を構成している。
【0009】
このような隙間は、ダイヤラフラムの成膜時にはストッパプレートとダイヤフラムの間にあってその隙間に対応する微小な突部を有する膜を、ダイヤフラムの成膜後に除去し、その結果ダイヤフラムとストッパプレートとを付着させることによって形成できるため、任意の形状に形成することができる。例えば、ダイヤフラムがストッパプレートに付着する前に、ダイヤフラムの外周端から内側に向かって頂部が延びる微小な起伏を形成しておけば微小な起伏の凹みとストッパプレートの間にのみ隙間が形成される。
【0010】
そしてダイヤフラムの外周部をストッパプレートに付着させるため、本発明では、ダイヤフラムの内部応力を用いている。すなわち、ダイヤフラムの形成後にその内部応力が架設部の変形によって解放されるようにダイヤフラムが架設部に架設され、架設部が変形することによってダイヤフラムの外周部がストッパプレートに接近する構成が採用される。具体的には、ダイヤフラムは環状の架設部によって架設される。ダイヤフラムの内部応力が架設部のダイヤフラムと密着している側の径を縮小させる張力として作用する構成である。したがって、ダイヤフラムを構成する膜が形成された後にダイヤフラムとストッパプレートに密着している膜が除去されると、ダイヤフラムに密着している架設部の端面が内周から外周に向かってストッパプレートの表面高さに接近する傾斜形状に変形する。そのとき、ダイヤフラムは架設部に密着しているため架設部に密着している領域よりも外側の外周部がストッパプレートに接近することになる。
【0011】
したがって、本発明によるコンデンサマイクロホンの構造では、ダイヤフラムの外周部とストッパプレートの開口の周囲領域とがダイヤフラムの応力によって付着するように構成することができる。このため、非付着部分に低い周波数の音波に対しても音響抵抗が高い音響抵抗通路を形成することができる。したがって、この構造を採用することにより、コンデンサマイクロホンの感度をフラットな特性に近づけることができる。
またこのコンデンサマイクロホンでは、ダイヤフラム及び架設部の変形によってダイヤフラムの応力が低減されるため、このマイクロホンの構造を採用することにより、コンデンサマイクロホンの感度を全周波数領域で向上させることができる。
【0012】
(2)上記目的を達成するためのコンデンサマイクロホンは、静止電極と、開口を形成しているストッパプレートと、前記静止電極に対する振動電極を形成しているダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの前記ストッパプレートと反対側の面の前記ダイヤフラムの外周より内側に密着した膜からなり前記ダイヤフラムの周方向に互いに離間して形成されている複数の架設部と、を備え、前記ダイヤフラムの内部応力によって、それぞれの前記架設部が、前記ダイヤフラムに密着している端面の前記ダイヤフラムの外周から遠い側の辺から前記ダイヤフラムに密着している端面の前記ダイヤフラムの外周から近い側の辺に向かって前記ストッパプレートに近づく傾斜状態に変形又は回転するとともに、前記ダイヤフラムの前記架設部に密着している領域より外側の外周部が前記ストッパプレートに接近した形状に変形した結果、前記外周部が前記ストッパプレートの前記開口の周囲領域に付着し、前記ストッパプレートの前記開口のある空間と、前記ダイヤフラムによって前記開口のある空間と仕切られているキャビティと、を連絡している音響抵抗通路が前記ダイヤフラムの前記外周部と前記ストッパプレートの前記周囲領域との非付着部分によって形成されている。
【0013】
このコンデンサマイクロホンでは、ダイヤフラムの周方向に互いに離間している架設部によってダイヤフラムが架設される。このコンデンサマイクロホンではダイヤフラムの内部応力が架設部のダイヤフラムと密着している端面のダイヤフラムの外周から遠い側の辺同士を接近させる張力として作用する。したがって、ダイヤフラムを構成する膜が形成された後にダイヤフラムとストッパプレートに密着している膜が除去されると、複数の架設部は、ダイヤフラムに密着している架設部の端面がダイヤフラムの外周に遠い側の辺からダイヤフラムの外周から近い側の辺に向かってストッパプレートに接近する傾斜形状に変形又は回転する。そのとき、ダイヤフラムは架設部に密着しているため、ダイヤフラムは架設部より外側の外周部がストッパプレートに接近する。
【0014】
したがって、このコンデンサマイクロホンの構造でも、ダイヤフラムの外周部とストッパプレートの開口の周囲領域とがダイヤフラムの応力によって付着するように構成することができる。このため、非付着部分に高い周波数の音波に対しても音響抵抗が高い音響抵抗通路を形成することができる。したがって、この構造を採用しても、コンデンサマイクロホンの感度をフラットな特性に近づけることができる。
またこのコンデンサマイクロホンでは、架設部の変形又は回転によってダイヤフラムの応力が低減されるため、このマイクロホンの構造を採用することにより、コンデンサマイクロホンの感度を全周波数領域で向上させることができる。
【0015】
(3)上記目的を達成するためのコンデンサマイクロホンにおいて、前記ダイヤフラムの前記外周部は、外周端から内側に向かう方向に頂部が延びる起伏を有してもよいし、前記音響抵抗通路は、前記起伏と前記ストッパプレートの周囲領域とによって形成されていてもよい。
【0016】
このコンデンサマイクロホンの構造では、ダイヤフラムとストッパプレートの間に犠牲膜を用いることによってダイヤフラムの外周部に幅の細い線状の起伏を形成することができるため、音響抵抗通路を細く長く形成することができる。
【0017】
(4)上記目的を達成するためのコンデンサマイクロホンにおいて、前記ストッパプレートの前記周囲領域は、内周から外側に向かう方向に延びる溝を有してもよいし、前記音響抵抗通路は、前記ストッパプレートの前記溝と前記ダイヤフラムの前記外周部とによって前記側壁が形成されていてもよい。
【0018】
ストッパプレートの表面には例えばエッチングによって幅の細い溝を形成することができ、この構造ではストッパプレートとダイヤフラムの間に犠牲膜を用いることができるため、このコンデンサマイクロホンの構造を採用することにより、音響抵抗通路を細く長く形成することができる。
【0019】
(5)上記目的を達成するためのコンデンサマイクロホンにおいて、前記ダイヤフラムの前記外周部は、外周端面に凹部を有してもよいし、前記音響抵抗通路は、前記ダイヤフラムの前記凹部と前記ストッパプレートの前記周囲領域とによって開口端が形成されていてもよい。
【0020】
例えばフォトリソグラフィにより形成したマスクを用いてダイヤフラムの輪郭を形成することにより、ダイヤフラムの外周端面には微小な凹部を形成することができる。したがって音響抵抗通路の開口端をダイヤフラムの凹部を用いて形成することにより微小にすることができる。ダイヤフラムの外周端面の凹部からストッパプレートの開口までわずかな隙間が残る程度にダイヤフラムの外周部の外周端近傍のみがストッパプレートの周囲領域に付着するようにダイヤフラムの形成時に生ずる内部応力や架設部の剛性などを設計することにより、高い周波数の音波に対しても音響抵抗通路の音響抵抗を高くすることができる。
【0021】
(6)上記目的を達成するためのコンデンサマイクロホンにおいて、前記静止電極を形成している膜を前記ストッパプレート上に支持している支持部と、前記静止電極を形成している前記膜に形成され前記キャビティに音波を進入させる音孔と、をさらに備えてもよい。この場合、前記架設部は、前記静止電極を形成している膜に密着し前記支持部を形成している膜から形成されても良いし、前記ストッパプレートの前記開口はバックキャビティの開口であっても良いし、前記ダイヤフラムは、前記静止電極の前記ストッパプレート側に前記架設部によって架設され前記キャビティと前記バックキャビティとを仕切っていても良い。
【0022】
このようにコンデンサマイクロホンが構成される場合、静止電極と架設部とが同一の膜で形成されており、架設部は、静止電極を形成している膜に密着し支持部を形成している膜から形成されており、また広いバックキャビティを形成するためには一般に必要とされる例えばSi基板等でストッパプレートを構成できるため、構造が簡素になる。
【0023】
(7)このコンデンサマイクロホンの製造方法は、前記音響抵抗通路を形成するための突部を有する犠牲膜を前記ストッパプレートを形成するための基板上に形成し、前記バックキャビティの開口を囲める外形を有し引っ張り応力が残留する前記ダイヤフラムを前記犠牲膜上の前記突部を含む領域に形成し、前記ダイヤフラムの上と前記犠牲膜の上とに前記支持部及び前記架設部を構成するための前記膜を形成し、前記支持部及び前記架設部を構成するための前記膜の上に、前記静止電極を形成するための前記膜を形成し、前記犠牲膜を露出させる前記バックキャビティを前記基板に形成し、前記バックキャビティと前記音孔とからエッチャントを供給することにより、前記支持部と前記架設部とを形成するための前記膜と、前記犠牲膜とをエッチングし、前記ダイヤフラムと前記基板との間から前記犠牲膜が除去され、前記支持部と前記架設部とが残存するようにエッチングの終点を制御する、ことを含んでも良い。
【0024】
この製造方法によると、ダイヤフラムの外周部とストッパプレートの開口の周囲領域とをダイヤフラムの応力によって付着させることができる。このため、非付着部分に高い周波数の音波に対しても音響抵抗が高い音響抵抗通路を形成することができる。したがって、この製造方法によると、コンデンサマイクロホンの感度をフラットな特性に近づけることができる。
またこの製造方法によると、架設部の変形又は回転によってダイヤフラムの応力が低減されるため、コンデンサマイクロホンの感度を全周波数領域で向上させることができる。
【0025】
(8)このコンデンサマイクロホンの製造方法は、前記音響抵抗通路を形成するための溝を前記基板上に形成し、前記溝を埋め表面が平坦な犠牲膜を前記基板上に形成し、前記バックキャビティの開口を囲める外形を有し引っ張り応力が残留する前記ダイヤフラムを前記溝上の領域を含む前記犠牲膜上の領域に形成し、前記ダイヤフラムの上と前記犠牲膜の上とに前記支持部及び前記架設部を構成するための前記膜を形成し、前記支持部及び前記架設部を構成するための前記膜の上に、前記静止電極を形成するための前記膜を形成し、前記犠牲膜を露出させる前記バックキャビティを前記基板に形成し、前記バックキャビティと前記音孔とからエッチャントを供給することにより、前記支持部と前記架設部とを形成するための前記膜と、前記犠牲膜とをエッチングし、前記ダイヤフラムと前記基板との間から前記犠牲膜が除去され、前記支持部と前記架設部とが残存するようにエッチングの終点を制御する。
【0026】
この製造方法によると、ダイヤフラムの外周部とストッパプレートの開口の周囲領域とをダイヤフラムの応力によって付着させることができる。このため、非付着部分に高い周波数の音波に対しても音響抵抗が高い音響抵抗通路を形成することができる。したがって、この製造方法によると、コンデンサマイクロホンの感度をフラットな特性に近づけることができる。
またこの製造方法によると、架設部の変形又は回転によってダイヤフラムの応力が低減されるため、コンデンサマイクロホンの感度を全周波数領域で向上させることができる。
【0027】
尚、請求項において「〜上に」というときは、技術的な阻害要因がない限りにおいて「上に中間物を介在させずに」と「〜上に中間物を介在させて」の両方を意味する。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。各実施形態において対応している構成要素には共通の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
1.第一実施形態:
・構成
図1A、図2は、それぞれ本発明のコンデンサマイクロホンの第一実施形態を示す断面図、上面図である。図1の切断面は図2に矢印で示されている。各図に示すようにコンデンサマイクロホン1は、静止電極を形成しているプレート14、静止電極に対する振動電極を形成しているダイヤフラム15、ストッパプレートとしての基板23などを備え、実装基板27に接着などによって固定されている。
【0030】
基板23には、円形の通孔が形成されており、その通孔はバックキャビティ22を構成している。プレート14は、エッチストッパ膜101と絶縁膜105とからなる支持部21を間に挟んで基板23の上に固定されている。支持部21には円形の通孔が形成されており、支持部21の内周壁17で囲まれたその通孔はダイヤフラム15によってバックキャビティ22と仕切られた音響キャビティを形成している。プレート14には複数の通孔が形成され、それらの通孔が音孔13を構成している。音孔13は、音波を音響キャビティ11に進入させる。
【0031】
プレート14は導電膜で構成されている。プレート14を構成している導電膜は信号処理回路と静止電極とを接続するためのパッド10に接続しているリード29をも構成している。プレート14の厚さは例えば2ミクロン程度に設定される。尚、プレート14を導電層を含む複層の膜で構成しても良い。
【0032】
ダイヤフラム15もまた導電膜で構成されている。ダイヤフラム15を構成している導電膜は信号処理回路と振動電極を接続するためのパッド18に接続しているリード28をも構成している。ダイヤフラム15の厚さは例えば0.6〜1μmに設定される。尚、ダイヤフラム15を導電層を含む複層の膜で構成しても良い。
【0033】
ダイヤフラム15とプレート14との間には絶縁層が存在するため、ダイヤフラム15とプレート14は静電容量を形成する。ダイヤフラム15とプレート14との間隔は1〜4μm程度に設定されている。ダイヤフラム15はプレート14に比べて十分薄い膜からなるため、音波を受けるとプレート14に対して相対的に振動する。すなわち、導電膜からなるダイヤフラム15によって形成される電極(振動電極)が導電膜からなるプレート14によって形成される電極(静止電極)を基準とする座標系において振動することにより、コンデンサマイクロホン1の静電容量が変化する。
【0034】
図示されているダイヤフラム15の輪郭は円形であるが、円形である必要はなく、バックキャビティ22の開口を囲める外形を有していればよい。ダイヤフラム15の直径は例えば1〜1.5mmに設定される。
【0035】
ダイヤフラム15は、架設部16によって架設されているとともに、外周部が基板23のバックキャビティ22の開口の周囲領域に付着している。ダイヤフラム15の外周部と基板23とはごくわずかな隙間である音響抵抗通路25(図1B参照)を残してほぼ環状に付着している。すなわち、バックキャビティ22はわずかな隙間である音響抵抗通路25によって大気に対して開放されてはいるものの、ダイヤフラム15によってほぼ密封されている状態に近い。
【0036】
ダイヤフラム15が振動すると、バックキャビティ22において圧力振動が生ずる。この圧力振動は検出対象の音波によるダイヤフラム15の振動を妨げる反力として作用するため、バックキャビティ22の容量は十分大きく設定される。
【0037】
バックキャビティ22が完全に密封されると、バックキャビティ22の圧力と大気圧との圧力差によりダイヤフラム15が破壊されたり、大気圧の変化によってコンデンサマイクロホン1の感度が変化するという問題がある。そこで、バックキャビティ22の圧力を大気圧と平衡させるために、バックキャビティ22を大気に対して開放する通路が必要になる。しかし、バックキャビティ22を大気に対して開放すると、ダイヤフラム15のプレート14と反対側の面にも音波が到達するため、コンデンサマイクロホン1の感度が低下する。そこで、音響抵抗通路25は検出対象の波長領域の音波に対しては抵抗が大きく、音波としては実質的に直流成分の圧力変動に対しては抵抗が小さい形状になっている。
【0038】
音響抵抗通路25はダイヤフラム15の外周部に形成されている起伏26(図1B及び図1C参照)と基板23の周囲領域とによってその側壁が形成されている。起伏26はその頂部がダイヤフラム15の外周端から内側に向かって延びている。音響抵抗通路25の断面は矩形でも部分円形でも三角形でも何でも良い。また音響抵抗通路25の断面形状は一定であっても一定でなくても良い。また、音響抵抗通路25の側壁の一部が起伏26によって構成され、残部はダイヤフラム15の平坦面と基板23の平坦面とで構成されても良い。起伏26断面矩形の音響抵抗通路25は、例えば高さ(H)が0.5μm、幅(W)が10μm、長さ(L)が20μmに設定される。このように音響抵抗通路25の寸法が設定される場合、コンデンサマイクロホン1のカットオフ周波数は約10Hzとなる。音響抵抗通路25の高さ(H)と幅(W)を変えず、長さ(L)を変えた場合、コンデンサマイクロホン1のカットオフ周波数はおよそ次のように変化する。尚、これらのカットオフ周波数の算出条件として、ダイヤフラム15の直径は700μm、バックキャビティ22の深さ(基板23の厚さ)は555μmに設定されている。
L=2μm:カットオフ周波数=100Hz
L=5μm:カットオフ周波数=40Hz
L=10μm:カットオフ周波数=20Hz
【0039】
ダイヤフラム15は、その外周より内側に密着している環状の架設部16によって架設されている。架設部16は、ダイヤフラム15とプレート14との間隔を確保するための厚みを有し、ダイヤフラム15とプレート14とを絶縁している絶縁膜からなる。この絶縁膜は支持部21を構成している絶縁膜105と同一の膜である。架設部16は、膜厚に相当する軸長がごく短いテーパ管の形状を呈している。すなわち、架設部16は、プレート14側の直径がダイヤフラム15側の直径より広い管状である。
【0040】
架設部16の反基板側端面である上端面12及び基板型端面である下端面24は、それぞれ外周が内周よりも基板23に近い環状斜面を形成している。このため、架設部16の下端面24に密着しているダイヤフラム15は、架設部16の下端面24にならって架設部16の内周にそって基板23側に曲がっている。そして、ダイヤフラム15の架設部16の外周より外側の外周部は基板23に付着している。
【0041】
架設部16によってダイヤフラム15が架設され、ダイヤフラム15の外周部が基板23に付着している、このような構成は、次のようにプレート14、架設部16、ダイヤフラム15がそれぞれ変形した結果である。すなわち、図1Dに破線で示す領域に存在していた、ダイヤフラム15を構成する膜を堆積させた下地膜と、ダイヤフラム15を構成する膜の上に堆積された被覆膜とが、ダイヤフラム15を構成する膜が形成された後に除去され、その結果、ダイヤフラム15を構成する膜が堆積していく過程などで生じた引張応力が解放されるとき、ダイヤフラム15、架設部16、プレート14がそれぞれ次のように変形する。
【0042】
架設部16はダイヤフラム15と環状に密着し、架設部16はダイヤフラム15に対して垂直な方向の厚みを持つ膜で構成されており、プレート14はダイヤフラム15よりヤング率が高いため、ダイヤフラム15の内部応力によって、ダイヤフラム15は径方向に縮み、架設部16はダイヤフラム15側の径が縮む。架設部16のダイヤフラム15側の径が縮むとき、架設部16の管状の下端面24は内周から外周に向かって基板23に接近する方向に傾斜する。その結果、ダイヤフラム15の架設部16の内周より外側が基板23に近づくように折れ曲がり、ダイヤフラム15の外周部はある幅をもって基板23のバックキャビティ22の開口の周囲領域に付着する。
【0043】
ダイヤフラム15がこのように構成されるため、コンデンサマイクロホン1には次の特徴がある。
第一に、ダイヤフラム15の内部応力が自身の変形によって低減されているため、コンデンサマイクロホン1の感度はダイヤフラムの外周全体が固定されている構成に比べて全波長領域で高くなる。
【0044】
第二に、バックキャビティ22はダイヤフラム15によってほとんど密閉され、バックキャビティ22を大気に対して開放する音響抵抗通路25の断面積を小さく通路長を長く形成できるため、コンデンサマイクロホン1のカットオフ周波数を高くすることができる。すなわち、コンデンサマイクロホン1の感度特性はフラットになる。
【0045】
第三に、ダイヤフラム15によって形成される振動電極と信号処理回路とを接続するためのリード28がダイヤフラム15の撓みに影響を与えるとしても、ダイヤフラム15の外周部が基板23に付着しているため、リード28の存在はダイヤフラム15の最終形状に実質的な影響を与えない。つまり、ダイヤフラム15が円形である場合に基板23の表面に対して等高線を描くとすればダイヤフラム15に描かれる等高線が同心円となるような、歪みのない形状にダイヤフラム15は形成されている。
【0046】
第四に、ダイヤフラム15が基板23と導通するため、絶縁膜であるエッチストッパ膜101を間に挟んでいるダイヤフラム15と基板23によって容量が形成されることがない。
【0047】
このように構成されたダイヤフラム15は、プレート14に形成されている音孔13から音波が進入すると、主に架設部16の内周よりも内側部分がその音波によって振動する。ダイヤフラム15が振動するとコンデンサマイクロホン1の静電容量が変化し、この静電容量の変化が音響信号として出力される。
【0048】
・変形例
図3A、図3Bは、それぞれコンデンサマイクロホン1の変形例を示す断面図、上面図である。図3Aの切断面は図3Bに矢印で示されている。
架設部16は、環状でなくとも良い。すなわち、架設部16はダイヤフラム15の周方向に分断されていても良い。例えば、周方向に互いに離間した複数の架設部16によってダイヤフラム15が架設されていても良い。この場合、それぞれの架設部16がダイヤフラム15の内部応力によってダイヤフラム15の周方向と平行な軸を中心として回転することにより、ダイヤフラム15の外周部が基板23に付着する。
【0049】
また、この場合、プレート14には図3Bに示す切り欠き30が形成されていても良い。切り欠き30によってダイヤフラム15は、片持ち梁状の膜と架設部16とによって架設され、これらは撓み剛性が低い構造体を構成するため、内部応力がさらに低減される。
【0050】
・製造方法
図4及び図5は、上述のコンデンサマイクロホン1の製造工程を示す断面図である。図4及び図5においてはウェハの1チップ領域内が断面図として示されている。
【0051】
はじめに、単結晶Siウェハなどの基板100の上にエッチストッパ膜101を形成する。エッチストッパ膜101は後述するDeep−RIEの終点制御のための例えばSiOからなる絶縁性の犠牲膜である。
【0052】
次に図4Aに示すように、リソグラフィでレジストマスク102をエッチストッパ膜101の上に形成する。
【0053】
次に図4Bに示すように、レジストマスク102のパターンをエッチストッパ膜101にウェットエッチングなどにより転写し、エッチストッパ膜101に突部99を形成する。突部99は、ダイヤフラム15の外周部に微小な起伏26を形成するための微小な突部である。突部99の高さは音響抵抗通路25の高さ(H)に対応し、エッチングの終点制御によって設定される。
【0054】
次に図4C、図4Dに示すように、エッチストッパ膜101の突部99に重なる領域上にダイヤフラム15とリード28とを構成する導電膜103を形成する。ダイヤフラム15の起伏26がダイヤフラム15の外周に至るように、突部99上に導電膜103の輪郭を形成する必要がある。導電膜103は例えばPを高濃度にドープした多結晶Siからなる膜である。導電膜103の成膜条件は、成膜後に引張応力が残存するように設定される。
【0055】
次に図5Aに示すように、導電膜103及びエッチストッパ膜101の上に絶縁膜105を形成する。絶縁膜105は架設部16を構成するための膜であって、例えばSiOからなる膜である。絶縁膜105の厚さによってプレート14とダイヤフラム15との間隔が設定される。
【0056】
次に図5Bに示すように、絶縁膜105の上にプレート14及びリード29を形成するための導電膜106が形成される。具体的にはたとえば、絶縁膜105の表面全体上にPを高濃度にドープした多結晶Siからなる膜を積層し、レジストマスクのパターンをRIEによって転写することにより、プレート14及びリード29の輪郭を有する導電膜106が形成される。
【0057】
次に図5Cに示すように、パッド10及びパッド18が形成される。続いて基板100の下面側にリソグラフィによりレジストマスク108が形成され、Deep−RIEによって基板100に通孔が形成されると、その通孔によってバックキャビティ22が構成され、バックキャビティ22からエッチストッパ膜101が露出する。
【0058】
次に図5Dに示すように、導電膜103に形成されているダイヤフラム15の音孔13から絶縁膜105を露出させるレジストマスク109がリソグラフィにより形成される。続いてエッチストッパ膜101と絶縁膜105とを例えばHFエッチャントによりウェットエッチングする。本工程では、音孔13及びバックキャビティ22からエッチャントがエッチストッパ膜101と絶縁膜105とに供給され、設計通りの架設部16が残存するように終点制御される。このため、音孔13の配置や大きさや絶縁膜105の厚さは架設部16の形状と密接に関連する。エッチングの進行中には上述したようにダイヤフラム15などの変形が起こり、エッチングが終了する時点ではダイヤフラム15の外周部が基板23に付着した状態になり、その結果、設計通りの音響抵抗通路25が形成される。
【0059】
最後に、基板100をダイシングにより分断すると、コンデンサマイクロホン1が完成する。
【0060】
上述したコンデンサマイクロホン1の製造方法によると、犠牲膜としてのエッチストッパ膜101の突部99の形状通りに音響抵抗通路25を形成することができるとともに、ダイヤフラム15の内部応力は低減される。その理由は次の通りである。エッチストッパ膜101は導電膜103のダイヤフラム15に相当する部分全体において導電膜103と基板23との間に犠牲膜として形成されるため、ダイヤフラム15と基板23とが導電膜103の成膜時に密着することはない。そして、エッチストッパ膜101の一部と絶縁膜105の一部とがウェットエッチングによって除去されることにより、ダイヤフラム15が変形してその外周部が基板23に付着し、その結果として音響抵抗通路25が形成されるからである。
【0061】
2.第二実施形態
図6Aは本発明のコンデンサマイクロホンの第二実施形態を示す断面図である。コンデンサマイクロホン2では、基板23に形成される溝30によって音響抵抗通路25が形成される。
【0062】
すなわち図6Bに示すように、基板23のバックキャビティ22の開口の周囲領域には微小な溝30が形成されている。ダイヤフラム15の外周部に起伏はない。図6Cに示すように、ダイヤフラム15の外周は溝30のバックキャビティ22から遠い側の端部よりもバックキャビティ22に近い位置で基板23に付着している。したがって、溝30とダイヤフラム15によって側壁が形成されている音響抵抗通路25はダイヤフラム15より外側において開口している。
【0063】
基板23に溝を形成するとともに起伏のないダイヤフラム15を形成するには、基板23にエッチングにより溝を形成し、エッチストッパ膜101を基板23の上に形成した後、エッチストッパ膜101を平坦化する必要がある。
【0064】
3.第三実施形態
図7Aは本発明のコンデンサマイクロホンの第三実施形態を示す断面図である。コンデンサマイクロホン3では、図7B、図7Cに示すように、ダイヤフラム15の外周端面に形成される凹部33によって音響抵抗通路25の開口が形成される。
【0065】
すなわち、ダイヤフラム15の外周端面には微小な凹部33が形成されている。ダイヤフラム15の外周部に起伏はない。音響抵抗通路25の開口は凹部33によって形成されている。凹部33のダイヤフラム15の外周から最も離れた部分において、ダイヤフラム15は基板23から離れている。
【0066】
4.第四実施形態
図8Aは、本発明のコンデンサマイクロホンの第四実施形態を示す断面図である。コンデンサマイクロホン4は、プレート14がダイヤフラム15より実装基板27側に位置する構造である。
【0067】
プレート14は、エッチストッパ膜201を間に挟んで基板23の上に固定されている。プレート14には複数の通孔42が形成されている。ダイヤフラム15は架設部16によってプレート14の基板23と反対側に架設されているとともにその外周部がストッパプレート41によって押さえつけられている。ストッパプレート41はエッチストッパ膜201と絶縁膜202とで構成される支持部21と支持部21の上に形成されている犠牲膜211とによって基板23の上に支持されている。ストッパプレート41にはダイヤフラム15をコンデンサマイクロホン4の表面に露出させるための開口をバックキャビティ22の真上に形成している内周壁43が形成されている。ダイヤフラム15の外周はストッパプレート41の内周壁43を囲んでおり、ダイヤフラム15の外周部はストッパプレート41を構成している絶縁膜218に付着している。絶縁膜218は例えばSiOなどのダイヤフラム15とエッチング選択性のある材料で構成されている。絶縁膜218の厚さだけでストッパプレート41の撓み剛性と破壊強度を確保できる場合、補強膜217は不要である。
【0068】
ダイヤフラム15の外周部とストッパプレート41との非付着部分には図示しない音響抵抗通路が形成されている。この音響抵抗通路は第一実施形態から第三実施形態に準じて構成できるため、説明を省略する。
【0069】
ダイヤフラム15を架設している架設部16は環状に形成されている。尚、架設部16はダイヤフラム15の周方向に分断されていても良い。架設部16の基板側端面である下端面45及び反基板側端面である上端面44はそれぞれ外周が内周よりストッパプレート41に近い環状斜面を形成している。このため、架設部16に密着しているダイヤフラム15は架設部16の上端面44にならって架設部16の内周に沿ってストッパプレート41側に折れ曲がっている。そして、ダイヤフラム15の架設部16の外周より外側の外周部はストッパプレート41に付着している。
【0070】
架設部16によってダイヤフラム15が架設され、ダイヤフラム15の外周部がストッパプレート41に付着している、このような構成は、次のようにプレート14、架設部16、ダイヤフラム15がそれぞれ変形した結果である。すなわち、図8Bに破線で示すように存在していた、ダイヤフラムを構成する膜を堆積させた下地膜と、ダイヤフラム15を構成する膜の上に堆積された膜とが、ダイヤフラム15を構成する膜が形成された後に除去され、その結果、ダイヤフラム15を構成する膜が堆積していく過程などで生じた引張応力が開放されるとき、第一実施形態と同様にしてダイヤフラム15が変形するのである。
【0071】
図9及び図10は、コンデンサマイクロホン4の製造工程を示す断面図である。図9及び図10においてはウェハの1チップ領域内が断面図として示されている。
【0072】
はじめに図9Aに示すように、単結晶Siウェハなどの基板200の上にエッチストッパ膜201を形成する。次にレジストマスクを用いてプレート14及びリード29を構成する導電膜207をエッチストッパ膜201の上に形成する。次に架設部16を構成するための絶縁膜202を導電膜207の上に形成する。次にレジストマスク208を絶縁膜202の上に形成する。
【0073】
次に図9Bに示すように、レジストマスク208のパターンを犠牲膜としての絶縁膜202にウェットエッチングなどにより転写し、絶縁膜202に凹部209を形成する。凹部209はダイヤフラム15の外周部に微小な起伏を形成するための微小な凹部である。
【0074】
次に図9C及び図9Dに示すように、絶縁膜202の凹部209に重なる領域上にダイヤフラム15とリード28とを構成する導電膜210を形成する。ダイヤフラム15の起伏が外周に至るように、凹部209上に導電膜210の輪郭を形成する必要がある。導電膜210の成膜条件は、成膜後に引っ張り方向の内部応力が残存するように設定される。
【0075】
次に図9Eに示すように、導電膜210の上に犠牲膜211が形成されるとともに、パッド10及びパッド18を形成するための開口部212、開口部214が犠牲膜211に形成され、パッド10を形成するための開口部213が絶縁膜202に形成される。続いて犠牲膜211の表面が平坦化される。この平坦化工程は、次に形成される絶縁膜218に犠牲膜211の凹部209にならって突部が形成されないようにするために実施される。
【0076】
次に図10Aに示すように、平坦化された犠牲膜211の上に絶縁膜218が形成され、絶縁膜218の上に補強膜217が形成される。また、補強膜217の上に形成されるレジストマスク224のパターンをRIEなどで転写することにより、補強膜217及び絶縁膜218に開口部215、開口部216、開口部222、開口部221、開口部217及び開口部218が形成される。開口部217及び開口部218はダイヤフラム15をコンデンサマイクロホンの表面に露出させる開口を構成するものであるとともに、後続工程で犠牲膜211をエッチングするために犠牲膜211を露出させるものである。開口部215、開口部216、開口部222及び開口部221は、パッド10及びパッド18を後続工程で形成するためのものである。
【0077】
次に図10Bに示すように、パッド10及びパッド18が形成される。続いて基板200の下面側にレジストマスク223が形成され、Deep−RIEによって基板200に通孔が形成されると、その通孔によってバックキャビティ22が構成され、バックキャビティ22からエッチストッパ膜201が露出する。
【0078】
次に図10Cに示すように、補強膜217及び絶縁膜218のそれらの端面を含む全体を覆い、犠牲膜211を露出させるレジストマスク224を形成し、犠牲膜211とエッチストッパ膜201と絶縁膜202と犠牲膜211とを例えばHFエッチャントによりウェットエッチングする。本工程では、まずレジストマスク224の開口から露出している犠牲膜211とバックキャビティ22から露出しているエッチストッパ膜201とが侵蝕される。エッチストッパ膜201が侵蝕され、通孔42から絶縁膜202が露出すると、絶縁膜202の侵蝕が始まる。本工程では、設計通りの架設部16が残存するようにエッチングの終点が制御される。エッチングの進行中には、ダイヤフラム15などの変形が起こり、エッチングが終了する時点ではダイヤフラム15の外周部が図8Aに示すようにストッパプレート41に付着した状態になり、その結果、設計通りに図示しない音響抵抗通路25が形成される。
【0079】
最後に、基板200をダイシングにより分断すると、コンデンサマイクロホン4が完成する。
【0080】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、コンデンサマイクロホンを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】分図1A、1B及び1Dは第一実施形態にかかる断面図。分図1Cは第一実施形態にかかる斜視図。
【図2】第一実施形態にかかる上面図。
【図3】分図3Aは第一実施形態にかかる断面図。分図3Bは第一実施形態にかかる上面図。
【図4】第一実施形態にかかる断面図。
【図5】第一実施形態にかかる断面図。
【図6】分図6A及び分図6Bは第二実施形態にかかる断面図。分図6Cは第二実施形態にかかる斜視図。
【図7】分図7A及び分図7Bは第二実施形態にかかる断面図。分図7Cは第三実施形態にかかる斜視図。
【図8】第四実施形態にかかる断面図。
【図9】第四実施形態にかかる断面図。
【図10】第四実施形態にかかる断面図。
【符号の説明】
【0082】
1、2、3、4:コンデンサマイクロホン、13:音孔、14:プレート、15:ダイヤフラム、16:架設部、21:支持部、22:バックキャビティ、23:基板、25:音響抵抗通路、26:起伏、30:溝、33:凹部、41:ストッパプレート、42:通孔、99:突部、100:基板、101:エッチストッパ膜、102:レジストマスク、103:導電膜、105:絶縁膜、106:導電膜、108:レジストマスク、200:基板、201:エッチストッパ膜、202:絶縁膜、206:犠牲膜、207:導電膜、208:レジストマスク、209:凹部、210:導電膜、211:犠牲膜、212:開口部、213:開口部、214:開口部、217:補強膜、217:開口、218:絶縁膜
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100117396
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 大

【識別番号】100117466
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 渉


【公開番号】 特開2008−11139(P2008−11139A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179104(P2006−179104)