トップ :: H 電気 :: H04 電気通信技術




【発明の名称】 マイクロホン装置
【発明者】 【氏名】山口 卓也

【要約】 【課題】周波数特性を維持しつつ、振動雑音を低減する。

【構成】振動板162と、振動板162に空気振動を伝達するための集音部161とを有し、振動板162の振動に応じた電気信号を出力するマイクロホンユニット151と、振動板172と、振動板172への空気振動の伝達を遮断する密閉構造とを有し、振動板172の振動に応じた電気信号を出力するマイクロホンユニット153とを、振動板162と振動板172とが平行となるように、結合子155は結合する。加算器156は、マイクロホンユニット151から出力される電気信号Vout1から、マイクロホンユニット153から出力される電気信号Vout2をキャンセルするように加算する。本発明は、例えば、マイクロホン装置に適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の振動板と、前記第1の振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、前記第1の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第1のマイクロホンユニットと、
第2の振動板と、前記第2の振動板への空気振動の伝達を遮断する密閉構造とを有し、前記第2の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第2のマイクロホンユニットと、
前記第1のマイクロホンユニットが有する前記第1の振動板と前記第2のマイクロホンユニットが有する前記第2の振動板とが平行となるように、前記第1のマイクロホンユニットと前記第2のマイクロホンユニットとを結合する結合子と、
前記第1のマイクロホンユニットから出力される電気信号から、前記第2のマイクロホンユニットから出力される電気信号をキャンセルするように、加算または減算する電気信号演算手段と
を備えるマイクロホン装置。
【請求項2】
複数の前記第1のマイクロホンユニットを備え、
前記結合子は、さらに、複数の前記第1のマイクロホンユニットの集音部が同一方向を向くように、複数の前記第1のマイクロホンユニットを結合する
請求項1に記載のマイクロホン装置。
【請求項3】
複数の前記第1のマイクロホンユニットを備え、
前記結合子は、さらに、複数の前記第1のマイクロホンユニットのうちの1の第1のマイクロホンユニットと、他の1の第1のマイクロホンユニットとを、前記集音部側とは反対側である背面同士が同一軸上に対向するように結合する
請求項1に記載のマイクロホン装置。
【請求項4】
振動板と、前記振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、前記振動板の振動に応じた電気信号を出力する2つのマイクロホンユニットと、
前記2つのマイクロホンユニットがそれぞれ有する振動板が平行となるように、前記集音部側とは反対側である背面同士が同一軸上に対向するように、前記2つのマイクロホンユニットを結合する結合子と、
前記2つのマイクロホンユニットから出力される電気信号同士を加算する電気信号演算手段と
を備えるマイクロホン装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホン装置に関し、特に、例えば、周波数特性を維持しつつ、振動雑音を低減することができるようにしたマイクロホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、カメラ一体型ビデオレコーダに内蔵されるマイクロホン装置においては、カメラ一体型ビデオレコーダが備えるテープ駆動系やテープ走行系による機械的振動等により発生する振動雑音も集音されていた。
【0003】
図1は、そのようなマイクロホン装置の外観を示す図である。
【0004】
即ち、図1のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット11、出力端子13、および出力端子14により構成されている。
【0005】
マイクロホンユニット11は、振動板と、その振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、集音部の反対側に、出力端子13および出力端子14が接続されている。
【0006】
出力端子13および出力端子14は、マイクロホンユニット11の振動板の振動に応じた電圧を電気信号として出力する。
【0007】
次に、図2を参照して、図1のマイクロホン装置を詳しく説明する。
【0008】
図2(左側)のマイクロホン装置は、図1のマイクロホン装置を模式的に示したものであり、マイクロホンユニット11、出力端子13、および出力端子14により構成される。また、図2(左側)の横線は、右方向を正とするX軸を示し、図2(左側)の縦線は、上方向を正とするY軸を示している。
【0009】
マイクロホンユニット11は、集音部21および振動板22を有し、振動板22の振動に応じた電圧を電気信号として、出力端子13および出力端子14に出力する。
【0010】
出力端子13は、マイクロホンユニット11の振動板22がX軸の正方向に振動した(押された)時に正の電圧を、X軸の負方向に振動した(押された)時に負の電圧をそれぞれ電気信号として出力する。
【0011】
出力端子14は、マイクロホンユニット11の振動板22がX軸の負方向に振動した(押された)時に正の電圧を、X軸の正方向に振動した(押された)時に負の電圧をそれぞれ電気信号として出力する。
【0012】
集音部21は、入射してくる音波による空気振動を振動板22に伝達する。
【0013】
振動板22は、マイクロホンユニット11の集音部21から伝達される空気振動により振動する。また、振動板22は、外部からマイクロホン装置に加えられる力によって生じる振動、およびマイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により振動する。なお、出力端子13および出力端子14からは、振動板22が振動することにより、その振動に応じた電気信号が出力される。
【0014】
ここで、図2(左側)のマイクロホンユニット11が、振動板22と平行なY軸方向に初速度0の状態から速度V(0でない)で振れた場合、振動板22は(殆ど)振動しないが、振動板22と垂直なX軸方向に初速度0の状態から速度Vで振れた場合、振動板22はその影響を受けて振動する。振動板22が振動することでその振動に応じた電気信号が出力端子13および出力端子14から出力され、マイクロホンユニット11は、その電気信号に対応した振動雑音を含めて集音する。
【0015】
また、マイクロホンユニット11は、X軸方向に初速度0の状態から速度Vで振れた場合のみならず、Y軸と水平でない方向に振れた場合にもその力をX軸方向に換算した分力により振動板22が振動することで振動雑音を集音してしまう。
【0016】
具体的には、図2(左側)のマイクロホンユニット11が、例えば、初速度0の状態から、図2(右側)に示す斜め方向の速度Vにより振れた場合、X軸方向と速度Vの方向とのなす角度をθとすれば、X軸方向に換算した速度はVcosθと表すことができ、この場合、X軸の正方向の速度Vcosθの影響を受けて、出力端子13および出力端子14から電気信号が出力され、その電気信号に対応した振動雑音を集音することとなる。
【0017】
そこで、振動雑音を低減する方法として、2つのマイクロホンユニットを同一軸上に対向配置し、2つのマイクロホンユニットからの電気信号を加算することで振動雑音を低減するマイクロホン装置が、特許文献1または2に開示されている。
【0018】
図3は、そのようなマイクロホン装置の外観を示す図である。
【0019】
なお、図中、図1の場合に対応する部分については同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。
【0020】
即ち、図3のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット31、出力端子33、出力端子34、および結合子63が設けられているほかは、図1の場合と同様に構成されている。
【0021】
マイクロホンユニット31は、振動板と、その振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、集音部の反対側に、出力端子33および出力端子34が接続されている。
【0022】
出力端子33および出力端子34は、マイクロホンユニット31の振動板の振動に応じた電圧を電気信号として出力する。
【0023】
結合子63は、マイクロホンユニット11の振動板と、マイクロホンユニット31の振動板とが平行となるように、マイクロホンユニット11の集音部と、マイクロホンユニット31の集音部とが互いに向かい合うように同一軸上に配置した状態で、マイクロホンユニット11とマイクロホンユニット31とを機械的に結合する。結合子63には、孔64が開けられている。
【0024】
孔64は、マイクロホンユニット11の集音部とマイクロホンユニット31の集音部とに、外部から入射してくる音波の通り道となる。
【0025】
次に、図4を参照して、図3のマイクロホン装置を詳しく説明する。
【0026】
図4のマイクロホン装置は、図3のマイクロホン装置を模式的に示したものであり、図中、図2の場合に対応する部分については同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。
【0027】
即ち、図4のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット31、出力端子33、出力端子34、結合子63、孔64、加算器71、出力端子72、加算器73、および出力端子74が新たに設けられているほかは、図2の場合と同様に構成されている。マイクロホンユニット11とマイクロホンユニット31とは、距離dだけ離れた状態で同一軸上に対向配置されている。
【0028】
マイクロホンユニット31は、集音部41および振動板42を有し、振動板42の振動に応じた電圧を電気信号として、出力端子33または出力端子34を介して加算器71または加算器73にそれぞれ出力する。
【0029】
集音部41は、入射してくる音波による空気振動を振動板42に伝達する。
【0030】
振動板42は、マイクロホンユニット31の集音部41から伝達される空気振動により振動する。また、振動板42は、外部からマイクロホン装置に加えられる力によって生じる振動、およびマイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により振動する。なお、振動板42が振動することにより、その振動に応じた電圧が電気信号として、出力端子33または出力端子34を介して、加算器71または加算器73にそれぞれ出力される。
【0031】
結合子63は、マイクロホンユニット11の振動板22と、マイクロホンユニット31の振動板42とが平行となるように、マイクロホンユニット11の集音部21と、マイクロホンユニット31の集音部41とが互いに向かい合うように同一軸上に配置した状態で、マイクロホンユニット11とマイクロホンユニット31とを機械的に結合する。結合子63には、孔63が開けられている。
【0032】
孔64は、マイクロホンユニット11の集音部21、またはマイクロホンユニット31の集音部41に入射される音波が、結合子63により妨げられるのをなるべく防止する役割を有する。
【0033】
加算器71には、出力端子13から電気信号Vout1が、出力端子33から電気信号Vout2がそれぞれ入力される。加算器71は、出力端子13からの電気信号Vout1と出力端子33からの電気信号Vout2とを加算し、その結果得られる加算信号Voutを出力端子72に出力する。
【0034】
ところで、出力端子13からの電気信号Vout1は、入射される音波(入射音波)に起因する電気信号Vs1と機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1とで構成され、出力端子33からの電気信号Vout2は、入射音波に起因する電気信号Vs2と機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn2とで構成される。即ち、出力端子13からの電気信号Vout1と出力端子33からの電気信号Vout2とは、それぞれ下に示す式(1)と(2)とで表すことができる。
【0035】
Vout1 = Vs1 + Vn1 …(1)
【0036】
Vout2 = Vs2 + Vn2 …(2)
【0037】
また、マイクロホンユニット11とマイクロホンユニット31とが同一軸上に対向配置され、それぞれの振動板22と振動板42とが平行となる状態で結合されているため、例えば、機械的振動等により、マイクロホンユニット11の振動板22が、出力端子13および出力端子14の方向(図中、左方向)に振動するとき、理想的には、マイクロホンユニット31の振動板42もまた、出力端子13および出力端子14の方向(図中、左方向)に同じだけ振動する。
【0038】
逆に、マイクロホンユニット11の振動板22が、出力端子33および出力端子34の方向(図中、右方向)に振動するとき、理想的には、マイクロホンユニット31の振動板42もまた、出力端子33および出力端子34の方向(図中、右方向)に同じだけ振動する。
【0039】
従って、出力端子13からの(電気信号Vout1のうちの)機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1と、出力端子33からの(電気信号Vout2のうちの)機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn2との位相は180度(π)ずれることから互いに逆相の関係となり、ある時刻における機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1とVn2との関係は、下に示す式(3)で表すことができる。
【0040】
Vn1 = -Vn2 …(3)
【0041】
さらに、マイクロホンユニット11の集音部21、およびマイクロホンユニット31の集音部41にそれぞれ入射する音波が同相である場合、マイクロホンユニット11の振動板22が、出力端子13および出力端子14の方向(図中、左方向)に振動するとき、理想的には、マイクロホンユニット31の振動板42は、出力端子33および出力端子34の方向(図中、右方向)に同じだけ振動する。
【0042】
逆に、マイクロホンユニット11の振動板22が、出力端子33および出力端子34の方向(図中、右方向)に振動するとき、理想的には、マイクロホンユニット31の振動板42は、出力端子13および出力端子14の方向(図中、左方向)に同じだけ振動する。
【0043】
この場合、出力端子13からの入射音波に起因する電気信号Vs1と、出力端子33からの入射音波に起因する電気信号Vs2とは同相となり、ある時刻における入射音波に起因する電気信号Vs1とVs2との関係は、下に示す式(4)で表すことができる。
【0044】
Vs1 = Vs2 …(4)
【0045】
従って、上述した式(1)乃至(4)から、加算器71が、出力端子72に出力する加算信号Voutとして2Vs1(= 2Vs2)が導かれる。即ち、出力端子13からの機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1と、出力端子33からの機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn2とは互いにキャンセルされることとなり、入射音波に起因する電気信号(Vs1またはVs2)の2倍の電気信号を得られることとなる。このように、図3および図4のマイクロホン装置においては、同一軸上に対向配置された2つのマイクロホンユニットの振動板に、同相の音波が入射される時に最大の効果が得られるようになっている。
【0046】
なお、出力端子14から出力される電気信号をVout1、出力端子34から出力される電気信号をVout2、出力端子74から出力される電気信号をVoutとすれば、加算器73および出力端子74は、加算器71および出力端子72と同様に説明することができるため、以下、その説明は適宜省略する。
【0047】
【特許文献1】特開平01―073898号公報
【特許文献2】特開2001―333486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
ところが、図3および図4のマイクロホン装置では、構造物である結合子63等の影響で、マイクロホンユニット11の集音部21とマイクロホンユニット31の集音部41とに入射される音波の位相が乱され、本来の振動雑音低減効果が充分に得られないばかりではなく、反対に悪影響が生じることがあった。
【0049】
特に、波長の短い高周波数域の音波程、この影響を強く受け、高音域の感度が低下したり、高音域の周波数特性にピーク・ディップ等の乱れが生じて音質に影響することがあった。
【0050】
また、図3および図4のマイクロホン装置には、マイクロホンユニット11の集音部21とマイクロホンユニット31の集音部41とに音波が入射されるように、マイクロホンユニット11の集音部21とマイクロホンユニット31の集音部41との間に、物理的距離dが必要となる。
【0051】
従って、図5に示すように、音源が、マイクロホンユニット11の集音部21およびマイクロホンユニット31の集音部41から充分に離れた位置にある場合、マイクロホンユニット11の振動板22(およびマイクロホンユニット31の振動板42)に対して垂直な方向と、音波が入射してくる方向とがなす角度をθとすると、マイクロホンユニット11の集音部21とマイクロホンユニット31の集音部41とに音波が到達する距離差はdcosθとなる。そして、その距離差dcosθにより、マイクロホンユニット11の集音部21とマイクロホンユニット31の集音部41とに入射される音波に位相差が生じてしまう。
【0052】
この場合、図4の出力端子13から出力される電気信号Vout1のうちの入射音波に起因する電気信号Vs1と、図4の出力端子33から出力される電気信号Vout2のうちの入射音波に起因する電気信号Vs2との位相がずれてしまうため、出力端子72から出力される電気信号Voutである入射音波に起因する電気信号Vs1+Vs2は、入射音波に起因する電気信号Vs1(または入射音波に起因する電気信号Vs2)の位相が乱れた電気信号となっていた。
【0053】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、低域から高域までの広帯域の周波数特性を維持しつつ、振動雑音を低減させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0054】
本発明の第1の側面のマイクロホン装置は、第1の振動板と、前記第1の振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、前記第1の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第1のマイクロホンユニットと、第2の振動板と、前記第2の振動板への空気振動の伝達を遮断する密閉構造とを有し、前記第2の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第2のマイクロホンユニットと、前記第1のマイクロホンユニットが有する前記第1の振動板と前記第2のマイクロホンユニットが有する前記第2の振動板とが平行となるように、前記第1のマイクロホンユニットと前記第2のマイクロホンユニットとを結合する結合子と、前記第1のマイクロホンユニットから出力される電気信号から、前記第2のマイクロホンユニットから出力される電気信号をキャンセルするように、加算または減算する電気信号演算手段とを備える。
【0055】
複数の前記第1のマイクロホンユニットを備え、前記結合子では、さらに、複数の前記第1のマイクロホンユニットの集音部が同一方向を向くように、複数の前記第1のマイクロホンユニットを結合させることができる。
【0056】
複数の前記第1のマイクロホンユニットを備え、前記結合子では、さらに、複数の前記第1のマイクロホンユニットのうちの1の第1のマイクロホンユニットと、他の1の第1のマイクロホンユニットとを、前記集音部側とは反対側である背面同士が同一軸上に対向するように結合させることができる。
【0057】
以上のような第1の側面のマイクロホン装置においては、第1の振動板と、前記第1の振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、前記第1の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第1のマイクロホンユニットと、第2の振動板と、前記第2の振動板への空気振動の伝達を遮断する密閉構造とを有し、前記第2の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第2のマイクロホンユニットと、前記第1のマイクロホンユニットが有する前記第1の振動板と前記第2のマイクロホンユニットが有する前記第2の振動板とが平行となるように、前記第1のマイクロホンユニットと前記第2のマイクロホンユニットとを結合する結合子とを備え、前記第1のマイクロホンユニットから出力される電気信号から、前記第2のマイクロホンユニットから出力される電気信号をキャンセルするように、加算または減算がされる。
【0058】
本発明の第2の側面のマイクロホン装置は、振動板と、前記振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、前記振動板の振動に応じた電気信号を出力する2つのマイクロホンユニットと、前記2つのマイクロホンユニットがそれぞれ有する振動板が平行となるように、前記集音部側とは反対側である背面同士が同一軸上に対向するように、前記2つのマイクロホンユニットを結合する結合子と、前記2つのマイクロホンユニットから出力される電気信号同士を加算する電気信号演算手段とを備える。
【0059】
以上のような本発明の第2の側面のマイクロホン装置においては、振動板と、前記振動板に空気振動を伝達するための集音部とを有し、前記振動板の振動に応じた電気信号を出力する2つのマイクロホンユニットと、前記2つのマイクロホンユニットがそれぞれ有する振動板が平行となるように、前記集音部側とは反対側である背面同士が同一軸上に対向するように、前記2つのマイクロホンユニットを結合する結合子とを備え、前記2つのマイクロホンユニットから出力される電気信号同士が加算される。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、周波数特性を維持しつつ、振動雑音を低減することで音質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0062】
本発明の第1の側面のマイクロホン装置(例えば、図7(上側)のマイクロホン装置)は、第1の振動板(例えば、図7(上側)の振動板162)と、前記第1の振動板に空気振動を伝達するための集音部(例えば、図7(上側)の集音部161)とを有し、前記第1の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第1のマイクロホンユニット(例えば、図7(上側)のマイクロホンユニット151)と、第2の振動板(例えば、図7(上側)の振動板172)と、前記第2の振動板への空気振動の伝達を遮断する密閉構造とを有し、前記第2の振動板の振動に応じた電気信号を出力する第2のマイクロホンユニット(例えば、図7(上側)のマイクロホンユニット153)と、前記第1のマイクロホンユニットが有する前記第1の振動板と前記第2のマイクロホンユニットが有する前記第2の振動板とが平行となるように、前記第1のマイクロホンユニットと前記第2のマイクロホンユニットとを結合する結合子(例えば、図7(上側)の結合子155)と、前記第1のマイクロホンユニットから出力される電気信号から、前記第2のマイクロホンユニットから出力される電気信号をキャンセルするように、加算または減算する電気信号演算手段(例えば、図7(上側)の加算器156)とを備える。
【0063】
本発明の第2の側面のマイクロホン装置(例えば、図6のマイクロホン装置)は、振動板(例えば、図6の振動板112および振動板122)と、前記振動板に空気振動を伝達するための集音部(例えば、図6の集音部111および集音部121)とを有し、前記振動板の振動に応じた電気信号を出力する2つのマイクロホンユニット(例えば、図6のマイクロホンユニット101およびマイクロホンユニット103)と、前記2つのマイクロホンユニットがそれぞれ有する振動板が平行となるように、前記集音部側とは反対側である背面同士が同一軸上に対向するように、前記2つのマイクロホンユニットを結合する結合子(例えば、図6の結合子105)と、前記2つのマイクロホンユニットから出力される電気信号同士を加算する電気信号演算手段(例えば、図6の加算器106)とを備える。
【0064】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0065】
図6は、本発明を適用した第1のマイクロホン装置の構成例を示す図である。
【0066】
図6のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット101、出力端子102、マイクロホンユニット103、出力端子104、結合子105、加算器106、および出力端子107により構成されている。マイクロホンユニット101およびマイクロホンユニット103は、接地(GND(GrouND))されている。なお、出力端子102および出力端子104は正の出力端子であり、それぞれ対応する負の出力端子については、適宜省略している。
【0067】
マイクロホンユニット101は、集音部111および振動板112を有し、振動板112の振動に応じた電気信号Vout1を、出力端子102を介して加算器106に出力する。
【0068】
集音部111は、入射してくる音波による空気振動を振動板112に伝達する。
【0069】
振動板112は、集音部111から伝達される空気振動により振動する。また、振動板112は、外部からマイクロホン装置に加えられる力によって生じる振動、およびマイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により振動する。振動板112が振動すると、その振動に応じた電気信号Vout1が出力端子102を介して加算器106に出力される。
【0070】
具体的には、振動板112が、集音部111の方向(図中、上方向)に振動した時には正の電圧が、集音部111の反対方向(図中、下方向)に振動した時には負の電圧が、電気信号として、出力端子102を介して加算器106に出力される。
【0071】
また、上述したように、振動板112は、集音部111から伝達された空気振動の他、機械的振動等によっても振動するため上述した式(1)が成立する。出力端子102から出力される電気信号Vout1は、集音部111に入射する入射音波に起因する電気信号Vs1と、機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1(振動雑音)により構成される。
【0072】
マイクロホンユニット103は、集音部121および振動板122を有し、振動板122の振動に応じた電気信号Vout2を、出力端子104を介して加算器106に出力する。
【0073】
集音部121は、入射してくる音波による空気振動を振動板122に伝達する。
【0074】
振動板122は、集音部121から伝達される空気振動により振動する。また、振動板122は、外部からマイクロホン装置に加えられる力によって生じる振動、およびマイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により振動する。振動板122が振動すると、その振動に応じた電気信号Vout2が出力端子104を介して加算器106に出力される。
【0075】
具体的には、振動板122が、集音部121の方向(図中、下方向)に振動した時には正の電圧が、集音部121の反対方向(図中、上方向)に振動した時には負の電圧が、電気信号として、出力端子104を介して加算器106に出力される。
【0076】
また、上述したように、振動板122は、集音部121から伝達された空気振動の他、機械的振動等によっても振動するため、上述した式(2)が成立する。出力端子104から出力される電気信号Vout2は、集音部121に入射する入射音波に起因する電気信号Vs2と、機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn2(振動雑音)により構成される。
【0077】
結合子105は、マイクロホンユニット101の振動板112とマイクロホンユニット103の振動板122とが平行となるように、マイクロホンユニット101の集音部111側とは反対側である背面とマイクロホンユニット103の集音部121側とは反対側である背面とが同一軸上に対向するように、マイクロホンユニット101とマイクロホンユニット103とを機械的に結合する。
【0078】
従って、機械的振動等によってマイクロホンユニット101の振動板112が、集音部111の方向(図中、上方向)に振動した時、理想的には、マイクロホンユニット103の振動板122もまた、集音部111の方向(図中、上方向)に同じだけ振動する。
【0079】
逆に、マイクロホンユニット101の振動板112が、マイクロホンユニット101の集音部111の反対方向(マイクロホンユニット103の集音部121の方向)(図中、下方向)に振動した時、理想的には、マイクロホンユニット103の振動板122もまた、集音部111の反対方向(マイクロホンユニット103の集音部121の方向)(図中、下方向)に同じだけ振動する。
【0080】
その結果、出力端子102が出力する電気信号Vout1のうちの機械的振動等による振動に起因する電気信号Vn1と、出力端子104が出力する電気信号Vout2のうちの機械的振動等による振動に起因する電気信号Vn2との位相は180度(π)ずれることから互いに逆相の関係となり、両者のある時刻における関係は、上述した式(3)で表すことができる。
【0081】
加算器106には、出力端子102から電気信号Vout1が、出力端子104から電気信号Vout2が、それぞれ入力される。加算器106は、出力端子102から入力される電気信号Vout1と、出力端子104から入力される電気信号Vout2とを加算し、その結果得られる加算信号Voutを出力端子107に出力する。
【0082】
以上においては、音波がマイクロホンユニット101の集音部111、またはマイクロホンユニット103の集音部121に入射すると、入射した音波による空気振動が、振動板112または振動板122にそれぞれ伝達される。振動板112または振動板122は、集音部111または集音部121から伝達された空気振動に応じて振動する。
【0083】
また、外部からマイクロホン装置に加えられる力により生じる振動や、マイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により、マイクロホンユニット101およびマイクロホンユニット103が振動すると、その影響を受けて、振動板112および振動板122も同様に振動する。
【0084】
即ち、マイクロホンユニット101の振動板112、またはマイクロホンユニット103の振動板122が振動すると、その振動に応じた電気信号Vout1と電気信号Vout2とが、それぞれ出力端子102と出力端子104とを介して加算器106に出力される。
【0085】
また、上述した式(1)乃至(3)により、加算器106へ入力された、出力端子102からの電気信号Vout1(Vs1 + Vn1)と出力端子104からの電気信号Vout2(Vs2 + Vn2)とは、そこで加算され、その結果得られる加算信号Vout(Vs1 + Vs2)が出力端子107に出力される。
【0086】
従って、出力端子102から出力される電気信号Vout1と、出力端子104から出力される電気信号Vout2とが加算されることにより、機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1およびVn2(振動雑音)が互いにキャンセルされ(打ち消され)、入射音波に起因する電気信号Vs1と、入射音波に起因する電気信号Vs2とからなる電気信号(理想的には、入射音波に起因する電気信号Vs1(Vs2)の2倍の電気信号)が加算信号Voutとして出力端子107に出力されるため、S/N(Signal/Noise)比を向上させることができる。
【0087】
また、入射してくる音波の音源とマイクロホンユニット101の集音部111との距離、およびその音源とマイクロホンユニット103の集音部121との距離が等しくなるようにマイクロホン装置を配置し、マイクロホンユニット101の集音部111と、マイクロホンユニット103の集音部121とに入射される音波が同相となるようにすることで、さらにS/N比を向上させることができる。
【0088】
なお、図3および図4のマイクロホン装置の音波の入口部分である孔64と比較して、図6のマイクロホン装置では、音波の入口部分である、集音部111または集音部121の周辺部分を大きくとることができるため、入射してくる音波の位相が乱されたり、高音域の感度の低下や、高音域の周波数特性の乱れが生じる等の音質に対する影響を受けにくくすることができる。
【0089】
図7は、本発明を適用した第2のマイクロホン装置の構成例を示す図である。
【0090】
図7(上側)のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット151、出力端子152、マイクロホンユニット153、出力端子154、結合子155、加算器156、および出力端子157により構成されており、マイクロホンユニット151には集音部161および振動板162が、マイクロホンユニット153には集音部171および振動板172がそれぞれ設けられている。マイクロホンユニット151およびマイクロホンユニット153は、接地(GND)されている。なお、出力端子152および出力端子154は正の出力端子であり、それぞれ対応する負の出力端子については、適宜省略している。
【0091】
図7(上側)のマイクロホンユニット151、出力端子152、集音部161、または振動板162は、図6のマイクロホンユニット101、出力端子102、集音部111、または振動板112それぞれと同様の構成をとるため、以下、その説明は、適宜省略する。出力端子152から出力される電気信号Vout1は図6の式(1)で表すことができる。
【0092】
マイクロホンユニット153は、集音部171、振動板172、および振動板172への空気振動の伝達を遮断する密閉構造を有し、振動板172の振動に応じた電気信号Vout2を出力端子154を介して加算器156に出力する。なお、マイクロホンユニット153では、振動板172への空気振動の伝達を遮断する密閉構造を有するため、本来、集音部171は不必要なものであるが、説明の便宜のため、マイクロホンユニット153が集音部171を有する場合を以下、説明する。
【0093】
集音部171は、入射してくる音波による空気振動を振動板172に伝達するものであるが、入射してくる音波による空気振動の伝達を遮断する密閉構造を有するため、振動板172には空気振動を(殆ど)伝達しない。
【0094】
振動板172は、空気振動により振動することは(殆ど)なく、外部からマイクロホン装置に加えられる力により生じる振動、およびマイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により振動する。
【0095】
ここで、出力端子154から出力される電気信号Vout2は上述した式(2)を満たす。また、振動板172は、空気振動により振動することは(殆ど)ないので下に示す式(5)が成立する。従って、出力端子154から出力される電気信号Vout2は下に示す式(6)と考えることができる。
【0096】
Vs2 ≒ 0 …(5)
【0097】
Vout2 = Vn2 …(6)
【0098】
結合子155は、マイクロホンユニット151の振動板162と、マイクロホンユニット153の振動板172とが平行となるように、マイクロホンユニット151の集音部161側と反対側である背面と、マイクロホンユニット153の集音部171側と反対側である背面とを対向させるように機械的に結合する。
【0099】
このとき、出力端子152からの(電気信号Vout1のうちの)機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1と、出力端子154からの(電気信号Vout2のうちの)機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn2との位相は180度(π)ずれることから互いに逆相の関係となり、ある時刻における機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1とVn2との関係は、図6と同様に上述した式(3)で表すことができる。
【0100】
加算器156には、出力端子152から電気信号Vout1が、出力端子154から電気信号Vout2がそれぞれ入力されるようになっている。加算器156は、出力端子152から入力される電気信号Vout1と、出力端子154から入力される電気信号Vout2とを加算し、その結果得られる加算信号Voutを出力端子157に出力する。
【0101】
ここで、出力端子157から出力される加算信号Voutは、上述した式(1)、式(3)および式(6)から、
Vout = Vout1 + Vout2
= Vs1 + Vn1 - Vn1
= Vs1
と表すことができ、下に示す式(7)が成立する。
【0102】
Vout = Vs1…(7)
【0103】
次に、図7(下側)のマイクロホン装置について説明する。
【0104】
図7(下側)のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット191、出力端子192、マイクロホンユニット193、出力端子194、結合子195、減算器196、および出力端子197により構成されており、マイクロホンユニット191には、集音部201および振動板202が、マイクロホンユニット193には、集音部211および振動板212がそれぞれ設けられている。マイクロホンユニット191およびマイクロホンユニット193は、接地(GND)されている。なお、出力端子192および出力端子194は正の出力端子であり、それぞれ対応する負の出力端子については、適宜省略している。
【0105】
図7(下側)のマイクロホン装置は、図7(上側)のマイクロホン装置において、マイクロホンユニット153の集音部171が、マイクロホンユニット151の集音部161の方向(図中、上方向)に向くようにマイクロホンユニット153を変更し、加算器156に代えて減算器196が設けられているのと同様の構成をとる。
【0106】
即ち、図7(下側)のマイクロホンユニット191、出力端子192、集音部201、または振動板202は、図7(上側)のマイクロホンユニット151、出力端子152、集音部161、または振動板162それぞれと同様の構成をとるため、以下、その説明は、適宜省略する。図7(下側)の出力端子192から出力される電気信号Vout1は式(1)で表すことができる。
【0107】
さらに、マイクロホンユニット193の集音部211が、マイクロホンユニット191の集音部201の方向(図中、上方向)を向くようにマイクロホンユニット193を配置している他は、マイクロホンユニット193、出力端子194、集音部211、または振動板212は、図7(上側)のマイクロホンユニット153、出力端子154、集音部171、または振動板172それぞれと同様の構成をとるため、以下、その説明は、適宜省略する。
【0108】
なお、マイクロホンユニット193の集音部211がマイクロホンユニット191の集音部201の方向(図中、上方向)を向くように、マイクロホンユニット193を配置したことから、出力端子194から出力される電気信号Vout2は、図7(上側)の出力端子154から出力される電気信号Vout2と符号のみが異なる値をとる。
【0109】
また、マイクロホンユニット193は振動板212への空気振動の伝達を遮断する密閉構造を有するため、出力端子194から出力される電気信号Vout2は上述した式(6)を満たす。
【0110】
マイクロホンユニット193の集音部211は、マイクロホンユニット191の集音部201と同一方向(図中、上方向)を向いているため、出力端子192が出力する電気信号Vout1のうちの機械的振動等による振動に起因する電気信号Vn1と、出力端子194が出力する電気信号Vout2のうちの機械的振動等による振動に起因する電気信号Vn2とは同相となり、ある時刻において下に示す式(8)が成立する。
【0111】
Vn1 = Vn2 …(8)
【0112】
減算器196には、出力端子192から電気信号Vout1が、出力端子194から電気信号Vout2がそれぞれ入力されるようになっている。減算器196は、出力端子192から入力される電気信号Vout1から、出力端子194から入力される電気信号Vout2を減算し、その結果得られる減算信号Voutを出力端子197に出力する。
【0113】
ここで、出力端子197に出力される減算信号Voutは、上述した式(1)、式(6)および式(8)から、
Vout = Vout1 - Vout2
= (Vs1 + Vn1) Vn1
= Vs1
と表すことができ、上述した式(7)が成立する。
【0114】
以上の図7(上側)のマイクロホン装置においては、音波がマイクロホンユニット151の集音部161に入射すると、入射した音波による空気振動が振動板162に伝達される。振動板162は、集音部161から伝達された空気振動に応じて振動する。
【0115】
また、外部からマイクロホン装置に加えられる力により生じる振動や、マイクロホン装置が内蔵する機器の動作により生じる振動等の機械的振動により、マイクロホンユニット151およびマイクロホンユニット153が振動すると、その影響を受けて、振動板162および振動板172も同様に振動する。
【0116】
即ち、マイクロホンユニット151の振動板162が振動すると、その振動に応じた電気信号Vout1が出力端子152を介して加算器156に出力される。また、マイクロホンユニット153の振動板172が振動すると、その振動に応じた電気信号Vout2が出力端子154を介して加算器156に出力される。
【0117】
加算器156は、出力端子152から入力された電気信号Vout1(Vs1 + Vn1)と、出力端子154から入力された電気信号Vout2(Vs2 + Vn2)とを加算する。これにより、機械的振動等の振動に起因する電気信号Vn1およびVn2(振動雑音)が互いにキャンセルされ、加算することで得られた加算信号Vout(Vs1)が出力端子157に出力される。
【0118】
その結果、振動雑音が低減され、集音したい目的の入射音波に起因する電気信号Vs1のみを得ることができるため、出力端子157から出力される加算信号VoutのS/N比を向上させることができる。
【0119】
さらに、図7(上側)のマイクロホン装置は、振動板162に対して垂直な、集音部161の方向(図中、上方向)に音源があるように、マイクロホンユニット151の集音部161を音源に対して直接向けることができ、マイクロホンユニット151の集音部161は、図3および図4のマイクロホンユニット11の集音部21のように結合子63のようなもの等で覆われていないため、入射してくる音波の位相が乱されたり、高周波数域の感度が低下したり、高音域の周波数特性の乱れが生じる等の音質に対する影響を受けにくくすることができる。
【0120】
従って、機械的振動等により生じる振動雑音を除去しつつ、高周波特性も良好な音声を集音することができる。なお、図7(下側)のマイクロホン装置についても、図7(上側)のマイクロホン装置と同様なことがいえる。
【0121】
図8は、本発明を適用した第3のマイクロホン装置の構成例を示す図である。
【0122】
図8のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット251、出力端子252、マイクロホンユニット253、出力端子254、マイクロホンユニット255、出力端子256、結合子257、減算器258、加算器259、出力端子260、および出力端子261により構成されている。マイクロホンユニット251には集音部271および振動板272が、マイクロホンユニット253には集音部281および振動板282が、マイクロホンユニット255には集音部291および振動板292がそれぞれ設けられている。
【0123】
また、マイクロホンユニット251、マイクロホンユニット253、およびマイクロホンユニット255は、それぞれ接地(GND)されている。マイクロホンユニット251はCH1(CHannel 1)用の音声を集音し、マイクロホンユニット255はCH2(CHannel 2)用の音声を集音する。出力端子252、出力端子254、および出力端子256は正の出力端子であり、それぞれ対応する負の出力端子については適宜省略している。
【0124】
なお、図8のマイクロホン装置は、図7(上側と下側)の2つのマイクロホン装置を組み合わせたような構成となっていることから、図8のマイクロホン装置と、図7(上側と下側)の2つのマイクロホン装置との対応関係を説明するにとどめる。
【0125】
即ち、マイクロホンユニット251(集音部271および振動板272)、出力端子252、マイクロホンユニット253(集音部281および振動板282)、出力端子254、減算器258、または出力端子260を、図7(下側)のマイクロホンユニット191(集音部201および振動板202)、出力端子192、マイクロホンユニット193(集音部211および振動板212)、出力端子194、減算器196、または出力端子197にそれぞれ対応させて考えると、出力端子252から出力される電気信号Vout1は上述した式(1)で表すことができる。
【0126】
また、出力端子254から出力される電気信号Vout3は下に示す式(9)で表すことができる。ここで、入射音波に起因する電気信号をVs3、機械的振動等による振動に起因する電気信号Vn3とする。
【0127】
Vout3 = Vn3 …(9)
【0128】
また、マイクロホンユニット251の集音部271と、マイクロホンユニット253の集音部281とは、同一方向(図中、上方向)を向いているため、ある時刻においてVout3 = Vn3 = Vn1が成り立つ。従って、出力端子260から出力される電気信号VoutCH1は、
VoutCH1 = Vout1 Vout3
= (Vs1 + Vn1) Vn1
= Vs1
となり、下に示す式(10)で表すことができる。
【0129】
VoutCH1 = Vs1 …(10)
【0130】
さらに、マイクロホンユニット255(集音部291および振動板292)、出力端子256、マイクロホンユニット253(集音部281および振動板282)、出力端子254、加算器259、または出力端子261を、図7(上側)のマイクロホンユニット151(集音部161および振動板162)、出力端子152、マイクロホンユニット153(集音部171および振動板172)、出力端子154、加算器156、または出力端子157にそれぞれ対応させて考えると、出力端子254から出力される電気信号Vout3は上述した式(9)で表すことができ、出力端子256から出力される電気信号Vout2は上述した式(2)で表すことができる。
【0131】
また、マイクロホンユニット255の集音部291が向いている方向(図中、下方向)と、マイクロホンユニット253の集音部281が向いている方向(図中、上方向)とが真逆であるため、ある時刻においてVout3 = Vn3 = -Vn2が成り立つ。従って、出力端子261から出力される電気信号VoutCH2は、
VoutCH2 = Vout2 + Vout3
= (Vs2 + Vn2) - Vn2
= Vs2
となり、下に示す式(11)で表すことができる。
【0132】
VoutCH2 = Vs2 …(11)
【0133】
図9は、本発明を適用した第3のマイクロホン装置の構成例を示す図である。
【0134】
図9(上側)のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット331、出力端子332、マイクロホンユニット333、出力端子334、マイクロホンユニット335、出力端子336、結合子337、加算器338、加算器339、出力端子340、および出力端子341により構成されている。マイクロホンユニット331には集音部351および振動板352が、マイクロホンユニット333には集音部361および振動板362が、マイクロホンユニット335には集音部371および振動板372がそれぞれ設けられている。
【0135】
また、マイクロホンユニット331、マイクロホンユニット333、およびマイクロホンユニット335は、それぞれ接地(GND)されている。マイクロホンユニット331はCH1用の音声を集音し、マイクロホンユニット335はCH2用の音声を集音する。出力端子332、出力端子334、および出力端子336は正の出力端子であり、それぞれ対応する負の出力端子については、適宜省略している。
【0136】
なお、図9(上側)のマイクロホン装置は、図7(上側)の2つのマイクロホン装置を組み合わせたような構成となっていることから、図9(上側)のマイクロホン装置と、図7(上側)のマイクロホン装置との対応関係を説明するにとどめる。
【0137】
即ち、マイクロホンユニット331(集音部351および振動板352)、出力端子332、マイクロホンユニット333(集音部361および振動板362)、出力端子334、加算器338、または出力端子340を、図7(上側)のマイクロホンユニット151(集音部161および振動板162)、出力端子152、マイクロホンユニット153(集音部171および振動板172)、出力端子154、加算器156、または出力端子157にそれぞれ対応させると、出力端子332から出力される電気信号Vout1は上述した式(1)で表すことができ、出力端子334から出力される電気信号Vout3は上述した式(9)で表すことができる。
【0138】
さらに、マイクロホンユニット331の集音部351が向いている方向(図中、上方向)と、マイクロホンユニット333の集音部361が向いている方向(図中、下方向)とが真逆であるため、ある時刻においてVout3 = Vn3 = -Vn1が成り立つ。従って、出力端子340から出力される電気信号VoutCH1は、
VoutCH1 = Vout1 + Vout3
= (Vs1 + Vn1) - Vn1
= Vs1
となり、上述した式(10)で表すことができる。
【0139】
また、マイクロホンユニット335(集音部371および振動板372)、出力端子336、マイクロホンユニット333(集音部361および振動板362)、出力端子334、加算器339、または出力端子341を、図7(上側)のマイクロホンユニット151(集音部161および振動板162)、出力端子152、マイクロホンユニット153(集音部171および振動板172)、出力端子154、加算器156、または出力端子157にそれぞれ対応させて考えると、出力端子334から出力される電気信号Vout3は上述した式(9)で表すことができ、出力端子336から出力される電気信号Vout2は上述した式(2)で表すことができる。
【0140】
ここで、マイクロホンユニット335の集音部371と、マイクロホンユニット333の集音部361とは逆方向を向いているため、ある時刻においてVout3 = Vn3 = -Vn2が成り立つ。従って、出力端子341から出力される電気信号VoutCH2は、
VoutCH2 = Vout2 + Vout3
= (Vs2 + Vn2) - Vs2
= Vs2
となり、上述した式(11)で表すことができる。
【0141】
次に、図9(下側)のマイクロホン装置について説明する。
【0142】
図9(下側)のマイクロホン装置は、マイクロホンユニット411、出力端子412、マイクロホンユニット413、出力端子414、マイクロホンユニット415、出力端子416、結合子417、減算器418、減算器419、出力端子420、および出力端子421により構成されている。マイクロホンユニット411には集音部431および振動板432が、マイクロホンユニット413には集音部441および振動板442が、マイクロホンユニット415には集音部451および振動板452がそれぞれ設けられている。
【0143】
また、マイクロホンユニット411、マイクロホンユニット413、およびマイクロホンユニット415は、それぞれ接地(GND)されている。マイクロホンユニット411はCH1用の音声を集音し、マイクロホンユニット415はCH2用の音声を集音する。出力端子412、出力端子414、および出力端子416は正の出力端子であり、それぞれ対応する負の出力端子については、適宜省略している。
【0144】
なお、図9(下側)のマイクロホン装置は、図7(下側)に示す、2つのマイクロホン装置を組み合わせたような構成となっていることから、図9(下側)のマイクロホン装置と、図7(下側)のマイクロホン装置との対応関係を説明するにとどめる。
【0145】
即ち、マイクロホンユニット411(集音部431および振動板432)、出力端子412、マイクロホンユニット413(集音部441および振動板442)、出力端子414、減算器418、または出力端子420を、図7(下側)のマイクロホンユニット191(集音部201および振動板202)、出力端子192、マイクロホンユニット193(集音部211および振動板212)、出力端子194、減算器196、または出力端子197にそれぞれ対応させて考えると、出力端子412から出力される電気信号Vout1は上述した式(1)で表すことができ、出力端子414から出力される電気信号Vout3は上述した式(9)で表すことができる。
【0146】
また、マイクロホンユニット411の集音部431と、マイクロホンユニット413の集音部441とは同一方向(図中、上方向)を向いているため、ある時刻においてVout3 = Vn3 = Vn1が成り立つ。従って、出力端子420から出力される電気信号VoutCH1は、
VoutCH1 = Vout1 - Vout3
= (Vs1 + Vn1) - Vn1
= Vs1
となり、上述した式(10)で表すことができる。
【0147】
また、マイクロホンユニット415(集音部451および振動板452)、出力端子416、マイクロホンユニット413(集音部441および振動板442)、出力端子414、減算器419、または出力端子421を、図7(下側)のマイクロホンユニット191(集音部201および振動板202)、出力端子192、マイクロホンユニット193(集音部211および振動板212)、出力端子194、減算器196、または出力端子197にそれぞれ対応させて考えると、出力端子416から出力される電気信号Vout2は上述した式(2)で表すことができ、出力端子414から出力される電気信号Vout3は上述した式(9)で表すことができる。
【0148】
マイクロホンユニット415の集音部451と、マイクロホンユニット413の集音部441とは同一方向(図中、上方向)を向いているため、ある時刻においてVout3 = Vn3 = Vn2が成り立つ。従って、出力端子421から出力される電気信号VoutCH2は、
VoutCH2 = Vout2 - Vout3
= (Vs2 + Vn2) - Vn2
= Vs2
となり、上述した式(11)で表すことができる。
【0149】
以上のような図8または図9のマイクロホン装置によれば、図7のマイクロホン装置と同様に、振動雑音が低減され、集音したい目的の入射音波に起因する電気信号のみを得ることができるため、S/N比を向上させることができる。
【0150】
さらに、音波が入射されるマイクロホンユニットの集音部は、図3および図4のマイクロホンユニット11の集音部21のように、結合子63のようなもの等で覆われていないため、入射してくる音波の位相が乱されたり、高周波数域の感度が低下したり、高音域の周波数特性の乱れが生じる等の音質に対する影響を受けにくくすることができる。
【0151】
従って、機械的振動等により生じる振動雑音を除去しつつ、高周波特性も良好な音声を集音することができる。
【0152】
ここで、例えば、多チャンネルの音声を集音する場合、図6または図7のマイクロホン装置をチャンネルの数だけ採用することもできるが、それぞれのチャンネル用の音声を集音するマイクロホンユニットを備えた、図8または図9のマイクロホン装置を採用することもできる。
【0153】
このとき、図8または図9のマイクロホン装置は、音波が入射される(振動板への空気振動の伝達がされる)マイクロホンユニットよりも少ない個数で、振動板への空気振動の伝達を遮断する密閉構造を有するマイクロホンユニットを構成することができる。
【0154】
なお、本発明を適用した図6乃至図9のマイクロホン装置については、無指向性のマイクロホンユニットを採用することができる。図7または図9のマイクロホン装置については、音波が入射されるマイクロホンユニットの振動板に対して垂直な、集音部の方向に音源があるように集音部を音源に対して直接向けることができるため、指向性のあるマイクロホンユニットを採用するようにしてもよい。
【0155】
また、図8および図9のマイクロホン装置については、CH1とCH2との2つのチャンネルの音声を集音するための2つのマイクロホンユニットが設けられているが、良好なステレオ特性を得るために、集音した2つの音声の電気信号に対しては、いわゆるステレオ演算をすることが望ましい。
【0156】
さらに、本発明を適用したマイクロホン装置においては、機械的振動等の振動に起因する電気信号をそれぞれ加算または減算することで機械的振動等の振動に起因する電気信号を互いにキャンセルさせるため、マイクロホン装置に内蔵されるそれぞれのマイクロホンユニットから出力される機械的振動等の振動に起因する電気信号の大きさ(絶対値)が同一となることが望ましい。
【0157】
従って、機械的振動等の振動がそれぞれのマイクロホンユニットに(殆ど)同一に伝達するように、結合子は、なるべく強固な材料で構成することが望ましく、ひいては、それぞれのマイクロホンユニットは同一のマイクロホンユニットであること、即ち、電気的特性および機械的特性が同一であることが望ましい。
【0158】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】従来のマイクロホン装置の外観を示す図である。
【図2】図1のマイクロホン装置を模式的に示す図である。
【図3】従来のマイクロホン装置の外観を示す他の図である。
【図4】図3のマイクロホン装置を模式的に示す図である。
【図5】図3のマイクロホン装置のマイクロホンユニット11とマイクロホンユニット31とに、異なる位相の音波が入射する様子を模式的に示す図である。
【図6】本発明を適用した第1のマイクロホン装置を示す図である。
【図7】本発明を適用した第2のマイクロホン装置を示す図である。
【図8】本発明を適用した第3のマイクロホン装置を示す図である。
【図9】本発明を適用した第4のマイクロホン装置を示す図である。
【符号の説明】
【0160】
101 マイクロホンユニット, 102 出力端子, 103 マイクロホンユニット, 104 出力端子, 105 結合子, 106 加算器, 107 出力端子, 111 集音部, 112 振動板, 121 集音部, 122 振動板, 151 マイクロホンユニット, 152 出力端子, 153 マイクロホンユニット, 154 出力端子, 155 結合子, 156 加算器, 157 出力端子, 161 集音部, 162 振動板, 171 集音部, 172 振動板, 191 マイクロホンユニット, 192 出力端子, 193 マイクロホンユニット, 194 出力端子, 195 結合子, 196 減算器, 197 出力端子, 201 集音部, 202 振動板, 211 集音部, 212 振動板, 251 マイクロホンユニット, 252 出力端子, 253 マイクロホンユニット, 254 出力端子, 255 マイクロホンユニット, 256 出力端子, 257 結合子, 258 減算器, 259 加算器, 260 出力端子, 261 出力端子, 271 集音部, 272 振動板, 281 集音部, 282 振動板, 291 集音部, 292 振動板, 331 マイクロホンユニット, 332 出力端子, 333 マイクロホンユニット, 334 出力端子, 335 マイクロホンユニット, 336 出力端子, 337 結合子, 338 加算器, 339 加算器, 340 出力端子, 341 出力端子, 411 マイクロホンユニット, 412 出力端子, 413 マイクロホンユニット, 414 出力端子, 415 マイクロホンユニット, 416 出力端子, 417 結合子, 418 減算器, 419 減算器, 420 出力端子, 421 出力端子, 431 集音部, 432 振動板, 441 集音部, 442 振動板, 451 集音部, 452 振動板
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄


【公開番号】 特開2008−10969(P2008−10969A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176972(P2006−176972)