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【発明の名称】 人工耳を有するロボットヘッド
【発明者】 【氏名】フランク・ジョブリン

【要約】 【課題】人工耳を有するロボットヘッドを提供すること。

【構成】ヘッドは、それぞれ耳介形状の構造体およびマイクロフォンを備える人工両耳を指示する。聴覚の位置測定手掛りを高めるために、ヘッドの少なくとも上側部分は音響的減衰表面をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工両耳(binaural artificial ears)を支持するヘッドであって、それぞれの耳が耳介形状の構造をもち、マイクロフォンを備え、前記ヘッドの少なくとも上側部分が音響的減衰表面をもたらす前記人工両耳を支持するヘッド。
【請求項2】
前記ヘッドを音源の推測される位置に向かって移動させるアクチュエータ手段が装備される、請求項1に記載のヘッド。
【請求項3】
前記人工耳が、例えばITDおよびILDの一方または両方の聴覚の位置測定手掛りに基づいて音源の位置を推測するように設計されるコンピューティング手段と機能的に接続される、請求項2に記載のヘッド。
【請求項4】
前記音響的減衰表面が2kHzより上の周波数に対して効果的である、請求項1から3のいずれかに記載のヘッド。
【請求項5】
前記音響的減衰表面が前記人工両耳の2台のマイクロフォンの距離と等しい、またはそれより小さな波長を有する音響波に対して効果的である、請求項1に記載のヘッド。
【請求項6】
前記音響的減衰表面が前記ヘッドに取付けられる表面層である、請求項1から5のいずれかに記載のヘッド。
【請求項7】
前記音響的減衰表面がシリコンのような材料から作られる、請求項6に記載のヘッド。
【請求項8】
前記音響的減衰表面が前記ヘッドの表面処理によって形成される、請求項1から5のいずれかに記載のヘッド。
【請求項9】
胴体、2本の脚、2本の腕および請求項1から8のいずれかに記載のヘッドを有する人型ロボット。
【請求項10】
ヘッドに取付けられ、またはヘッド内に一体化され支持される人工両耳を介して検知される聴覚の位置測定手掛りを高める方法であって、前記方法が前記人工両耳を支持するヘッドの少なくとも上側部分に音響的減衰表面を設けるステップを含む方法。
【請求項11】
前記音響的減衰表面が2kHzより上の周波数に対して効果的であるように選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記音響的減衰表面が前記人工両耳の2つのマイクロフォンの距離と同じまたはそれより小さい波長を有する音響波に対して効果的であるように選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記音響的減衰表面が前記ヘッドに表面層を取付けることによって形成される、請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記音響的減衰表面がシリコンのような材料から作られる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記音響的減衰表面が前記ヘッドの表面処理によって形成される、請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、以下で「人工耳(artificial ear)」と呼ばれる専用の音響検知システムを装備するロボットのヘッドの分野に関する。人工耳は、本発明の説明および添付の特許請求の範囲の枠組みで人工耳介(artificial auricle)と呼ばれるであろう、少なくとも1個のマイクロフォンおよび音響案内要素を備える。
【背景技術】
【0002】
一例だけ挙げれば、本発明は、胴体、脚、腕、およびヘッドを含む一そろいの人間の身体を全体的に有することを特徴とする人型ロボット用に使用することができる。本発明による人工耳は特に、人型ロボットのヘッドに取付けられるまたは一体化されるように設計される。
【0003】
したがって本発明は、目的が人間の頭および耳の複製品に可能な限り似かよった模造のヘッドおよび両耳ステレオ・マイクロフォンを作ることにある、両耳ステレオ・マイクロフォンを有する模造ヘッドと比較することはできない。そのような模造ヘッドは、実物の人間の頭の音響伝達特性を真似るように作られる、「鼓膜」位置に埋め込まれる2つのマイクロフォン挿入体を有する、人間の頭の人工モデルを使用することによって、例えば模造ヘッド録音用に使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人工両耳(artificial binaural ears)を装備するロボットのヘッドを提案することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の特徴を使用して達成される。
【0006】
従属請求項は、本発明の中心的な着想をさらに展開する。
【0007】
一態様によれば、本発明は検出された音源の推測位置を注視するために、少なくとも1自由度でヘッドを移動させるためのアクチュエータ手段を備えるロボット用のヘッドを提案する。このヘッドは、耳状部形状の構造体およびマイクロフォンをそれぞれ備える両耳の人工耳を装備する。このヘッドの上側部分は音響的に減衰させる表面(acoustically damping surface)をもたらす。
【0008】
この人工耳は、ヘッドの内側または外側のコンピューティング手段と機能的に接続させることができ、このコンピューティング手段は、例えば、ITDおよびILDの一方または両方の聴覚の位置測定手掛り(auditory localization cue)に基づく音源の位置を推測するように設計される。
【0009】
この音響的減衰表面は、2kHzより上の周波数に対して効果的であるようにすることができる。
【0010】
音響的減衰表面は、人工両耳の2つのマイクロフォンの距離と同じまたはそれより短い波長を有する音響波に対して効果的であるようにすることができる。
【0011】
音響的減衰表面は、ヘッドに取付けられる表面層であることができる。
【0012】
音響的減衰表面は、シリコンのような材料から作ることができる。
【0013】
音響的減衰表面は、ヘッドの表面処理によって形成することができる。
【0014】
本発明の別の態様は、任意の前述の説明による、胴体、2本の脚、2本の腕およびヘッドを有する人型ロボットに関する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、ロボットのヘッドに取付けられるまたはその中に一体化される人工両耳を介して検知される聴覚の位置測定手掛りを高めるための方法に関し、この方法は、少なくとも音響的減衰表面を有するヘッドの上側部分を設けるステップを含む。
【0016】
本発明の別の利点、特徴および目的は、添付の図面の図と共に行われる好ましい実施形態の添付の詳細な説明を読むとき、技術者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1で引用符号1は、本発明による人工耳を全体的に示す。
【0018】
図1から既に明らかなように、人間の耳の複製品を作ることは本発明の目的ではなく、ロボットと共にかつ特にロボットヘッドと共に使用するようになされた人工耳を作ることである。
【0019】
本発明による人工耳1は、円形の基礎ベース・プレート2を有することが好ましい。耳介形状の構造体3(auricle-shaped structure)が、ベース・プレート2の外側に延びる。耳介形状の部材3の後端部のところに、例えばプリアンプ手段などの例えば電気回路12を格納することができる延長部4が一体化されている。電気回路12は、前処理された電気信号を例えばロボットのコンピューティング・ユニットに転送するためのインターフェース13が設けられている。次いでコンピューティング・ユニットは、人型ロボットを音源の推測された位置に焦点を定めさせまたは移動させるために、音源の位置測定推測を例えば実行することによって、処理された信号に基づいてロボットの動きの目標を例えば決めることができる。
【0020】
この長手方向延長部4は、図1に示す人工耳1に対して対称的に配置される第2の人工耳に対する弾力性のある曲げ可能な機械的な(電子的または電気的接続にも使用することができる)接続部材を表すために延ばすことができる(5参照)。
【0021】
人工耳1の耳介形状の構造体3は中空の外耳(concha)区域4を規定し、この音響的中心にマイクロフォン6が配置される。中空外耳区域4は、前方から来る音響信号を高める円錐の形状をもたらすことができる。外耳区域は、外側に対して開きかつ外耳区域の底部に配置されるマイクロフォンを外側に接続する耳介形状の構造体に規定される中空体である。
【0022】
マイクロフォン6は、マイクロフォン6によって検出される信号用の処理回路12との機能的な接続部14内にある。
【0023】
図1を見れば分かるように、耳介形状の構造体3の後端部および下側端部の一方または両方は、音響遮蔽/遮断手段7、8を設けることができる。これらの音響遮断手段7、8は、人工耳1の後および下の一方または両方のある位置のところの雑音源から発する雑音を遮断するように設計される。
【0024】
この遮蔽手段7、8は、耳介形状の構造体3の折り重ねられた外側縁部の形状を有することができる。
【0025】
この後側遮蔽手段7は、人工耳1の後ろの典型的な雑音に対して効果的に人工耳1を遮蔽するために少なくとも部分的に重なり合うように外耳区域4を基本的に覆うことが好ましい。
【0026】
他方、下側遮蔽手段8の幅は、ベース・プレート2による下側遮蔽手段8からの重なり合いがベース・プレート2による後遮蔽手段7からの対応する重なり合いよりずっと小さくなるように、後遮蔽手段7の幅よりずっと小さく作ることができる。
【0027】
人工耳の上側区域16および前面区域15の一方または両方は、(音響的に)完全に露出される、すなわち人工耳1の上方および前方の一方または両方の(すなわち、図1で右側の)音源から発するどのような音も中空外耳区域4に、次いでマイクロフォン6に入ることができるのが好ましい。
【0028】
外耳領域4の内側にそれぞれ、人工耳1の上方からくる音響信号と人工耳1の下の位置からくる音響信号の間の対称性を破るように設計される内部耳介(pinnae)要素9を配置することができる。
【0029】
この内部耳介要素9は、3D位置測定手掛りを高め、かつ前方信号を高めるように設計される。
【0030】
内部耳介要素9によって導入される非対称性および前方音源信号の増幅は、それぞれ前方および後方からのILD手掛りのより良好な分離に寄与する。
【0031】
この人工耳1は、音響遮蔽手段7、8の配置に起因して、人工耳1の下側および後ろ側の一方または両方に配置される、例えばファンなどのロボットの一部分である騒音源を有する人型ロボットに特に適している。
【0032】
さらに、音響遮蔽手段7、8の配置および内部耳介要素9に起因して、この耳はこの人工耳1を装備するロボットの前にあり、かつ人工耳1の位置より若干高いところにある音源からの信号を選択的に受信するのに特に適している。
【0033】
したがって図示の人工耳1は、人間より小さな寸法を有し、かつ人型ロボットが人間と交信するように設計される人型ロボットのロボットヘッドに使用するように特になされている。
【0034】
図2は、本発明による人工耳1の側面図を示す。
【0035】
基本的な輪郭は対称的なベース・プレート2によって規定される。
【0036】
図2を見れば分かるように、人工耳1の上側および前面部分は音響的に透過的でかつ任意選択で交換可能なカバー10によって覆うことができる。音響的に透過的なカバー10は、多孔質または格子のような材料から作ることができる。
【0037】
音響的に透過的なカバー10と音響的遮蔽手段7、8の間の分割線は、「S」字型または逆「S」字型の形状を有することが好ましい。
【0038】
これらの2つのカバー部品10および7、8の間の分割線11はそれぞれ、凸および凹のセグメントの組合せである。
【0039】
(耳介形状の構造体3の折り重ねられた外側縁部の延長部である)重なり合った遮蔽手段7、8と音響的に透過的なカバー10の間のこの分離は、人型ロボットのヘッドに特に適合することが分かってきている。それは大人の人間と同じまたはそれより小さな寸法、すなわち160cmまたはそれより小さな寸法を有し、人間と音響的(音声)交信のために設計されるロボットに特に適している。
【0040】
図3は、そのような人型ロボットの一例を示す。この例はより具体的には、2本の腕17、前面に2台のカメラを装備するヘッド18(詳細は図4参照)、胴体19、2本の脚20および蓄電池を収納するバックパック21を有する2足人型ロボットであるホンダのアシモ(ASIMO)ロボットを示す。バックパックはさらに冷却ファンを収容し、これは人型ロボットのヘッド18の2つの横面のところに配置される人工耳1をそれから遮蔽しなければならない騒音源を示す。
【0041】
図3は説明の目的のためだけである。本発明は人工耳用のどのような移動または静止支持体と共にも使用できることに留意されたい。術語「ヘッド」は説明目的のためにのみに使用されてきた。「ヘッド」は単に、人工耳を互いにある距離に支持しなければならないだけである。
【0042】
このヘッドは移動(回転する、歩く、...)支持体または静止支持体に装着することができる。このヘッドは単純に任意の他の支持構造体に装着することができ、その支持体に対して可動にしても非可動にしてもよい。
【0043】
図4は、その前面に2台のカメラ22を有するロボット18のヘッドを示す。人工耳1は弾性要素5によって互いに連結され、イアホンのようなユニットとしてヘッド18から取り外すことができる。
【0044】
別法として、人工耳1の耳介形状の構造体3は、ヘッド18の一体化した部品であることもできる。
【0045】
図4に示すようなロボットヘッド18上の人工耳1の配置は、次いで2つのマイクロフォン6が互いからいくらかの距離で配置されることの結果として寸法差を有しており、そのことがいわゆる乱信号円錐域(cone of confusion)内の音源方向の位置測定(localization)に役立つことができる両耳時間差(interaural time differences)(ITD)の認知を可能にする。
【0046】
マイクロフォン位置の間のヘッド18は、この両耳時間差(ITD)を改善するために音レベルに影効果(shadow effect)を有するように選択される。
【0047】
上記で既に簡単に説明したように、このヘッド18は位置測定された音源の推測位置に向かって移動させることができる。この移動は、音源の推測位置に向かってヘッド18を注視させるために、相対的な移動、特にロボットの胴体19に対する相対的なヘッド18の回転、かつ/またはロボット全体の完全な胴体の動きのどちらによっても行うことができる。
【0048】
従来技術から、聴覚手掛り信号を位置測定、例えば音源の位置の推測を行うために使用できることはよく知られている。
【0049】
そのような手掛りに対する一例として、両耳時間差(ITD)ならびに両耳レベル差(interaural level differences)(ILD)も言及されるべきである。
【0050】
要約すると、人工耳1を介して音響信号が検知され、それが次いで聴覚手掛りを抽出するためにロボットのコンピューティング・ユニットで処理される。例えば、この聴覚手掛りを座標系にマッピングすることによって、音源の位置を推測することができ、ヘッド18の前方顔を音源の推測された位置に向かって注視させるために、対応する作動命令をロボットのヘッド18および他の部分の一方または両方に発することができる。
【0051】
聴覚手掛り信号を高めるために、本発明は、ヘッド18の少なくとも一部分をヘッド18での音響的反射を減少させるために適合される音響的減衰表面(acoustically damping surface)で覆うことを提案する。
【0052】
図4に示すように、この音響的減衰表面は、例えば人工耳1を取り囲む横面23および特にヘッド18の上側部分24とすることができる。
【0053】
音声信号の聴覚的手掛りの検出を促進させるために、この音響的減衰表面が2kHzから始まる周波数に対して特に効果的であることが好ましい。
【0054】
音響的減衰表面は、人工両耳1の2つのマイクロフォン6の間の距離と等しいまたはそれより小さな波長を有する音波に対して特に効果的であるように形成することができる。
【0055】
音響的減衰表面は、ヘッド18の少なくとも一部分に取付けられる、例えばシリコン材料から作られる表面層であることができる。加えるにまたは別法として、例えば、ヘッドの表面に確実に音響的減衰ひだを装備することによって、この音響的減衰表面はヘッド18の表面によって形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による人工耳の斜視図である。
【図2】音響的に透過的なカバーを有する人工耳の側面図である。
【図3】一緒に本発明を使用することができる人型ロボットの図である。
【図4】本発明によるロボットヘッドの図である。
【符号の説明】
【0057】
1 人工耳
3 耳介形状の構造体
6 マイクロフォン
17 腕
18 ヘッド
19 胴体
20 脚
23 横面
24 上側部分
【出願人】 【識別番号】503113186
【氏名又は名称】ホンダ リサーチ インスティテュート ヨーロッパ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Honda Research Institute Europe GmbH
【出願日】 平成19年5月10日(2007.5.10)
【代理人】 【識別番号】110000246
【氏名又は名称】特許業務法人オカダ・フシミ・ヒラノ


【公開番号】 特開2008−5472(P2008−5472A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−125763(P2007−125763)