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【発明の名称】 ノイズキャンセルヘッドフォン
【発明者】 【氏名】和田 存功

【氏名】木村 雅徳

【要約】 【課題】省電力化を図ることにより、小型軽量の電源電池であっても、長時間の連続使用にも耐えることができるノイズキャンセルヘッドフォンを得る。

【構成】騒音レベルが閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段20を有し、騒音レベル検出手段20で検出された騒音レベルが閾値以下の場合、または、騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段21を有し、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、または、楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合にノイズキャンセル機能を停止し、騒音レベルが閾値以上、周波数帯域が指定帯域内、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を停止し、
騒音レベルが閾値以上の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項2】
環境騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を有し、
検出された周波数帯域が指定帯域外の場合にノイズキャンセル機能を停止し、
周波数帯域が指定帯域内の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項3】
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、
信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合にノイズキャンセル機能を停止し、
楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項4】
環境騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、
環境騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下である場合または検出された周波数帯域が指定帯域外の場合はノイズキャンセル機能を停止し、
騒音レベルが閾値以上でありかつ周波数帯域が指定帯域内の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項5】
環境騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下である場合または信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合はノイズキャンセル機能を停止し、
環境騒音レベルが予め設定した閾値以上でありかつ楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項6】
環境騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、
環境騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段と、
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下である場合、検出された周波数帯域が指定帯域外である場合、または、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上である場合はノイズキャンセル機能を停止し、
騒音レベルが閾値以上であり、検出された周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項7】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、
騒音レベルが閾値以上の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうことを特徴とするデジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項8】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を有し、
検出された周波数帯域が指定帯域外の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、
検出された周波数帯域が指定帯域内の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうことを特徴とするデジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項9】
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、
信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、
信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうことを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項10】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、
環境騒音をサンプリングすることによって騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合または検出された周波数帯域が指定帯域外の場合は長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、
騒音レベルが閾値以上の場合でありかつ周波数帯域が指定帯域内の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうことを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項11】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合または信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合は長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、
騒音レベルが予め設定した閾値以上でありかつ楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうことを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【請求項12】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、
環境騒音をサンプリングすることによって騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段と、
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、
騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、または、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上である場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、
騒音レベルが閾値以上であり、検出された周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうことを特徴とするノイズキャンセルヘッドフォン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を軽減することができるノイズキャンセルヘッドフォンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、テーププレーヤ、CDプレーヤ、MDプレーヤなど、携帯型の音楽プレーヤが普及し、最近ではハードディスク型やフラッシュメモリ型など、より小型で、大容量の携帯型音楽プレーヤが急速に普及しつつある。携帯型音楽プレーヤの普及に伴い、それに使用するヘッドフォンもより高性能のものが求められ、さらに、街中や乗り物の中で音楽を聞こうとする場合に、周囲の騒音が聞こえないようにして音楽のみが聞こえるようにしたノイズキャンセルヘッドフォンも望まれるようになってきた。音楽の再生音に混じって周囲の騒音が耳に入ると、ヘッドフォンによる再生音が高音質の再生音であっても、再生音が騒音によってかき消されて高音質で音楽を楽しむことができない。また、騒音の中で音楽を聴こうとすると、ついつい音量を上げて聞きがちになり、音量を上げることによってヘッドフォンから音漏れを生じ、乗り物の中では周囲の人たちにとって不愉快な騒音原になるという問題もある。このような背景があって、ノイズキャンセルヘッドフォンが普及し始めている。
【0003】
現在市販されているノイズキャンセルヘッドフォンの大半はアナログ方式のノイズキャンセルヘッドフォンである。これは、ヘッドフォンに組み込んだマイクロホンで周囲の音(再生音に対しては騒音であるから、以下、「騒音」という)を捉え、捉えた騒音の位相を反転してプレーヤからの再生信号に加算する方式である。外部からヘッドフォン内部に侵入する騒音は、位相が反転された信号で打ち消され、プレーヤからの再生信号のみが使用者の耳に入るという仕組みである。
【0004】
最近では、デジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォンも提案されている。その例を図5に示す。図5において、符号50はデジタル方式ノイズキャンセルヘッドフォンの主体をなすデジタル・シグナル・プロセッサ(以下「DSP」という)を示す。DSP50は、ヘッドフォンに組み込まれたマイクロホンで捉えられる騒音信号Nを周波数分析する高速フーリエ変換器(以下「FFT」という)54と、FFT54で周波数分析することにより周波数特性を検出する周波数特性検出部56と、検出された周波数特性から、キャンセルする周波数帯域を選択する選択部58と、選択された周波数帯域の信号を逆フーリエ変換して周波数選択されたキャンセル音信号−N″を生成する逆フーリエ変換器(以下「IFFT」という)60を備えている。上記キャンセル音信号−N″は、加算器64によってプレーヤによる再生信号Sと加算して出力される。この例における加算器64はアナログ方式で、アナログ信号からなるキャンセル音信号−N″と再生信号Sを加算する。ヘッドフォンに回り込んで侵入する騒音Nは、上記キャンセル音−N″と合成されてN−N″の信号66となり、騒音Nの大半はキャンセルされて、使用者はほぼ再生音Sのみを聞くことができる。
【0005】
従来のノイズキャンセルヘッドフォンは、周囲の騒音の有無にかかわりなく、したがって、周囲が静かでキャンセル動作が不要な場合であっても、常時周囲の騒音を検出して逆位相の信号を生成し、騒音を打ち消すキャンセル動作をしていた。デジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォンでは、常時所定のサンプリング間隔で騒音信号をサンプリングしてこれを打ち消す信号を生成していた。そのため、電力を無駄に消費する難点があった。
【0006】
ノイズキャンセルヘッドフォンは、周囲の騒音を捉え、その逆位相の音声信号を生成する回路を動作させるための電源電池を必要としている。ヘッドフォンは、小型でかつ軽量であることが望ましく、上記電源電池もなるべく小さく、加えて長寿命であることが望ましい。
しかしながら、従来のノイズキャンセルヘッドフォンは、上記のように電力を無駄に消費しているため、所定の連続使用時間を確保しようとすると重くて大きい電池を装填する必要があり、ヘッドフォンが大型化し重量が重くなるという問題があった。
【0007】
ヘッドフォン自体の省電力化ではないが、ヘッドフォンに関連のあるデータ再生装置の省電力化に関する技術が知られている。これは、少なくとも2種類以上の符号化データを復号化可能であり、ヘッドフォン端子にヘッドフォンが接続されているか否かがヘッドフォン検出回路によって検出され、ヘッドフォンが接続されている場合は出力信号がヘッドフォン端子を経てヘッドフォンへ送信されるようになっている。そして、再生される符号化データはCPUで選択され、選択された符号化データの符号化方式がDSPで検出され、検出された符号化方式に基づいて、データ再生装置の動作状態が、通常動作時よりも動作電流の少ない省電力モードへ移行するようにCPUによって制御するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−351469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されているように、データ再生装置の省電力化に関する公知の技術はあるが、ノイズキャンセルヘッドフォン自体の省電力化に関する公知技術の存在は知らない。
本発明は、このようなノイズキャンセルヘッドフォンの実状に鑑みてなされたもので、省電力化を図ることにより、小型軽量の電源電池であっても、長時間の連続使用にも耐えることができるノイズキャンセルヘッドフォンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、騒音レベルが閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段を有し、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合はノイズキャンセル機能を停止し、騒音レベルが閾値以上の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とすることを特徴とする。
【0011】
本発明はまた、騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を有し、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合はノイズキャンセル機能を停止し、周波数帯域が指定帯域内の場合にノイズキャンセル機能を復活させることを特徴とする。
【0012】
楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を備え、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合にノイズキャンセル機能を停止し、楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させるようにしてもよい。
【0013】
上記三つの発明の少なくとも二つを組み合わせてもよい。すなわち、騒音レベルが閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を備え、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合でありかつ検出された周波数帯域が指定帯域外の場合にノイズキャンセル機能を停止し、騒音レベルが閾値以上の場合でありかつ周波数帯域が指定帯域内の場合にノイズキャンセル機能を復活させるようにしてもよい。
【0014】
あるいは、環境騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を備え、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下である場合または信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合はノイズキャンセル機能を停止し、環境騒音レベルが予め設定した閾値以上でありかつ楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させるようにしてもよい。
【0015】
さらには、環境騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、環境騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段と、楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を備え、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下である場合、検出された周波数帯域が指定帯域外である場合、または、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上である場合はノイズキャンセル機能を停止し、騒音レベルが閾値以上であり、検出された周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合にノイズキャンセル機能を復活させるようにしてもよい。
【0016】
デジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォンの場合は、騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段を有し、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが閾値以上の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【0017】
また、騒音をサンプリングすることによって騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を有し、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、検出された周波数帯域が指定帯域内の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【0018】
あるいは、楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【0019】
これらデジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォンを組み合わせて、騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、騒音をサンプリングすることによって騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段を備え、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合または検出された周波数帯域が指定帯域外の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが閾値以上の場合でありかつ周波数帯域が指定帯域内の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【0020】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を備え、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合または信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合は長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが予め設定した閾値以上でありかつ楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【0021】
環境騒音をサンプリングすることによって騒音レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する騒音レベル検出手段と、環境騒音をサンプリングすることによって騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出手段と、楽音信号レベルが予め設定した閾値以上か否かを検出する信号レベル検出手段を有し、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、または、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上である場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが閾値以上であり、検出された周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
騒音レベルが、予め設定した閾値以下の場合は、騒音による悪影響がないかまたはあったとしても軽微であるからノイズキャンセル動作は不要であり、ノイズキャンセル動作を停止することによって電力の消費を停止または軽減することができる。
騒音の周波数帯域が、例えば人間が耳で聞き取ることができない低い周波数帯域あるいは高い周波数帯域のように指定帯域外の場合、ノイズキャンセル動作は不要であるから、ノイズキャンセル動作を停止することによって電力の消費を停止または軽減することができる。
楽音信号レベルがある程度以上に大きい場合は、周囲の騒音が楽音を鑑賞するのに支障を来たすことはほとんどないから、ノイズキャンセル動作を停止し、電力の消費を停止または軽減することができる。
【0023】
デジタル方式ノイズキャンセルヘッドフォンの場合は、騒音をサンプリングすることによって得られる騒音レベルが予め設定した閾値以下の場合、あるいは、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、長い時間間隔で騒音のサンプリングを行う。ノイズキャンセルのためのサンプリング動作にかかる負荷が軽減され、電力の消費を軽減することができる。
楽音信号レベルがある程度以上に大きい場合は、周囲の騒音が楽音を鑑賞するのに支障を来たすことはほとんどないから、長い時間間隔で騒音のサンプリングを行う。ノイズキャンセルのためのサンプリング動作にかかる負荷が軽減され、電力の消費を軽減することができる。
電力消費の軽減により、小型の電池を装填しても所定時間連続してノイズキャンセル動作を行なわせることができ、小型で軽量なノイズキャンセルヘッドフォンを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明にかかるノイズキャンセルヘッドフォンの実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、デジタル方式ノイズキャンセルヘッドフォンの実施例を示す。図1において、符号16はデジタル方式ノイズキャンセルヘッドフォンの主体をなすDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を示す。DSP16には、ヘッドフォンに組み込まれていて周囲の騒音を電気信号に変換するマイクロホン14から、符号17で示すように騒音信号Nが入力されるようになっている。DSP16は、騒音信号Nを所定のビット数でサンプリングしてデジタルデータに変換するサンプリング回路18を有するとともに、サンプリングされたデジタルデータから騒音の周波数帯域を検出する周波数特性検出部21と、検出された周波数帯域からキャンセルする周波数帯域を選択する選択部22と、選択された周波数帯域の信号とサンプリングされた上記デジタルデータからキャンセルノイズ信号−N″を生成するキャンセルノイズ生成部24を備えている。上記キャンセルノイズ信号−N″は加算器26に入力され、加算器26ではこのキャンセルノイズ信号−N″と、プレーヤ10による再生信号すなわち楽音信号(オーディオ信号)Sが加算されるようになっている。
【0025】
DSP16はまた、サンプリング回路18でサンプリングされたデジタルデータすなわち騒音Nのサンプリングデータのレベルを検出する騒音レベル検出部20を備えている。サンプリング回路18はサンプリング周波数すなわちサンプリングの時間間隔を長い間隔と短い間隔に切り換えることができるようになっている。
さらに、DSP16は、プレーヤ10により再生される楽音信号Sのレベルが予め設定された閾値以上か否かを検出する信号レベル検出器30を備え、この検出信号が上記サンプリング回路18に入力されるように構成されている。サンプリング回路18では、信号レベル検出器30の検出信号によっても、サンプリングの時間間隔を長い間隔と短い間隔に切り換えることができるようになっている。
【0026】
上記のように、サンプリング回路18によるサンプリング時間間隔の切り換えは、騒音レベル検出部20によって検出される騒音レベル、周波数特性検出部21によって検出される騒音の周波数帯域および/または楽音信号Sのレベルによって行なわれるようになっている。例えば、騒音レベルがあらかじめ設定した閾値以下の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが閾値以上の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにDSP16のソフトウエアを構成することができる。または、周波数特性検出部21で検出された周波数帯域が指定帯域外の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、検出された周波数帯域が指定帯域内の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにDSP16のソフトウエアを構成することができる。あるいは、信号レベル検出手段で検出された楽音信号レベルが閾値以上の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、楽音信号レベルが閾値以下の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうようにDSP16のソフトウエアを構成することができる。
【0027】
後で説明する図3に示す動作例では、騒音レベル検出部20で検出された騒音レベルが閾値以下の場合または周波数特性検出部21で検出された周波数帯域が指定帯域外の場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが閾値以上の場合でありかつ周波数帯域が指定帯域内の場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうように構成されている。図4に示す動作例では、騒音レベル検出部20で検出された騒音レベルが閾値以下の場合、周波数特性検出部21で検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、または、信号レベル検出手段30で検出された楽音信号Sのレベルが閾値以上である場合に長い時間間隔で騒音のサンプリングを行い、騒音レベルが閾値以上の場合であり、周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号Sのレベルが閾値以下である場合に短い時間間隔で騒音のサンプリングを行なってノイズキャンセル処理を行なうように構成されている。
【0028】
しかし、騒音レベルが閾値以下の場合にのみ長い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようにしてもよいし、周波数帯域が指定帯域外の場合にのみ長い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようにしてもよく、楽音信号Sのレベルが閾値以上である場合にのみ長い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようにしてもよい。逆に、騒音レベルが閾値以上の場合にのみ短い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようにしてもよいし、周波数帯域が指定帯域内の場合にのみ短い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようにしてもよく、楽音信号Sのレベルが閾値以下である場合にのみ短い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようにしてもよい。
【0029】
上記キャンセルノイズ信号−N″は加算器26に入力され、加算器26では、適宜のプレーヤ10によって再生される楽音信号Sとキャンセルノイズ信号−N″が加算されて出力されるように構成されている。この加算出力S−N″によって増幅器32がヘッドフォン内のスピーカ34を駆動し、S−N″に対応した音声がスピーカ34から発せられる。ヘッドフォンには周囲の騒音が回り込み、使用者の耳に入る。この騒音Nは、位相が反転している上記キャンセルノイズ−N″に対応する音声とヘッドフォン内で合成され、符号28で示すように、N−N″となって騒音Nが打ち消される。言い換えると、使用者の耳に入る音は、S+N−N″である。N−N″の部分は上記のように互いに打ち消されているので、楽音信号Sのみが使用者の耳に入ることになる。上記プレーヤ10は、カセット式テープレコーダのようなアナログ方式であってもよいし、CDプレーヤ、MDプレーヤ、MP3方式プレーヤなどのデジタル信号処理方式であってもよく、これらの中から任意のもの選択して使用することができる。図1に示す例では、加算器26はアナログ方式を想定し、プレーヤ10の出力信号すなわち加算器26に入力される楽音信号Sとキャンセルノイズ信号−N″はアナログ信号を想定している。しかし、楽音信号Sとキャンセルノイズ信号−N″をデジタル信号とすれば、加算器26はデジタル方式でよく、その場合、DSP16の機能の一部として加算器26の機能を持たせることもできる。加算器26の出力がデジタル信号の場合、これをアナログ信号に変換して増幅器32に入力する。
【0030】
以上説明した本発明にかかるノイズキャンセルヘッドフォンの実施例を模式的に表したものが図2である。図2において、符号12はヘッドフォンユニットを示している。ヘッドフォンユニット12は、使用者の耳を覆う筐体と、この筐体に組み込まれて周囲の騒音Nを電気信号に変換するマイクロホン14と、外部のプレーヤ10で再生される楽音信号Sを音響信号に変換する信号音響変換素子としての前記スピーカと、前述のDSP16を備えている。マイクロホン14は、ヘッドフォンユニット12の周辺の環境騒音Nを電気信号に変換し、この騒音信号はDSP16に入力されて前述のように処理される。DSP16からは、騒音信号Nに基づいて生成されたノイズ信号N″を反転させたキャンセルノイズ信号−N″と、上記楽音信号Sとが加算されてS−N″の信号が出力され、このS−N″の信号でヘッドフォン内のスピーカが駆動される。一方、ヘッドフォンユニット12の周囲の騒音Nは、ヘッドフォンユニット12を回り込んで使用者の耳に達する。騒音Nはヘッドフォンユニット12を回り込むことによって周波数帯域ごとに音圧レベルが変化し、N´の騒音として使用者の耳に入る。したがって、使用者の耳に入る音はS−N″+N´となる。キャンセルノイズ−N″は使用者の耳に入る騒音N´に対して逆位相であり、かつ、キャンセルノイズ−N″も騒音N´も騒音Nを源とするものであるから、騒音N´はキャンセルノイズ−N″で略キャンセルされ、使用者の耳にはほぼ楽音信号Sのみが入ることになる。
【0031】
なお、ここまで説明してきた動作例では、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、または、楽音信号レベルが閾値以上の場合は、サンプリング回路18が長い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようになっており、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以上であり、検出された周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下である場合は、サンプリング回路18が短い時間間隔で騒音のサンプリングを行うようになっていたが、ノイズキャンセル機能自体をオン・オフさせるようにしてもよい。すなわち、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以下の場合、検出された周波数帯域が指定帯域外の場合、または、楽音信号レベルが閾値以上の場合はノイズキャンセル機能を停止させ、騒音レベル検出手段で検出された騒音レベルが閾値以上であり、検出された周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合はノイズキャンセル機能を復活させるようにしてもよい。この動作を図1に示す実施例で行うには、上記DSP16内で、騒音レベルが閾値以下の場合、騒音の周波数帯域が指定帯域外の場合、または、楽音信号レベルが閾値以上の場合にキャンセルノイズ信号−N″の生成を停止してノイズキャンセル機能を停止し、騒音レベルが閾値以上であり、騒音の周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが閾値以下の場合にキャンセルノイズ信号−N″を生成して、ノイズキャンセル機能を復活させるようにする。
【0032】
図3は、以上説明した実施例にかかるデジタル方式ノイズキャンセルヘッドフォンの動作例を示す。S1,S2,・・・とあるのは動作ステップを示す。通常は、ステップS1のように、前記サンプリング回路18が、マイクロホン14で変換された騒音信号を、省電力モードで、したがって、長い時間間隔でサンプリングする。次にステップS2で、サンプリングされた騒音信号のレベルが予め定められている閾値以上であるかどうかを判断する。この判断は前記騒音レベル検出部20で行なう。閾値以下であれば、あえてノイズキャンセル動作する必要はないため、ステップS1に戻る。騒音信号のレベルが閾値以上であれば、ノイズキャンセル動作する必要があるので、サンプリング回路18を通常の短い時間間隔でサンプリング動作するモードに移行させる(S3)。したがって、省電力モードでの動作から通常の電力消費モードでの動作に復活させることになる。
【0033】
続いて、ステップS4で、周波数特性を算出し、算出結果から予め設定した指定帯域以内の周波数かどうかを判断する(S5)。判断の結果、指定帯域を越えていれば、ノイズキャンセルの必要性はないものと判断してステップS1に戻る。指定帯域を越えている場合とは、たとえば、人間の耳が聞き取ることができない低音域または高音域の音声信号である場合などである。ノイズキャンセルの必要があるのは、人間の耳が聞き取ることができる音域の騒音であるから、指定帯域以内の周波数かどうかは人間の耳が聞き取ることができる音域であるかどうかであり、ステップS5で、指定帯域内であると判断した場合はノイズキャンセル処理を行なう(ステップ:S6)。ステップS6からステップS2に戻り、以上の動作を繰り返し行なう。
【0034】
図3に示す動作例は、騒音レベルが閾値以上の場合でありかつ周波数帯域が指定帯域内の場合にノイズキャンセル処理を行なう例である。前述のように、騒音レベルが閾値以上の場合にのみノイズキャンセル処理を行ない、または、周波数帯域が指定帯域内の場合にのみノイズキャンセル処理を行なうようにしてもよい。
【0035】
図3に示す動作例と同じ着想をアナログ式ノイズキャンセルヘッドフォンにも適用することができる。アナログ式の場合、図3のステップS1は「ノイズキャンセル処理オフ(省電力モード)」、ステップS2は「騒音レベルは閾値以上?」、ステップS3は「ノイズキャンセル処理(通常電力モード)」、というような動作になる。
【0036】
次に、図4に示す別の動作例について説明する。図4において、ステップS11からステップS15までは、図3に示す動作例のステップS1からステップS5までと実質的に同じであるから、ステップS11からステップS15までの説明は簡略化し、ステップS16以降について重点的に説明する。ステップS15の指定帯域内の周波数か否かの判断において指定帯域内であると判断された場合は、ステップ16において前記プレーヤ10によって再生される楽音信号Sのレベルが、予め設定された閾値以下か否かを判断する。閾値以上であれば、仮に周囲の騒音レベルが高いとしても、あるいは騒音が指定帯域内の周波数であったとしても、スピーカから再生される楽音が環境騒音によって受ける影響は小さいので、ステップS1に戻って、省電力モードで、したがって、長い時間間隔で環境騒音信号のサンプリングを行なう。ステップ16において楽音信号レベルが閾値以下と判断された場合はステップS17に進み、ノイズキャンセル処理、すなわち、短い時間間隔で環境騒音信号のサンプリングを行う。続いてステップS12に戻り、以上の動作を繰り返す。
【0037】
以上の説明からわかるとおり、本発明によれば、ノイズキャンセルを必要としない騒音レベルの低い状態、または騒音の周波数が所定の周波数帯域から外れている場合、または楽音信号レベルが閾値より高い場合は、ノイズキャンセル動作を停止させるため、常時ノイズキャンセル動作を行なう従来のノイズキャンセルヘッドフォンと比較して、消費電力を軽減することができる。これによって、ヘッドフォンに装填する電源電池を小型化しても電池の寿命を長く保つことができ、小型で軽量のノイズキャンセルヘッドフォンを提供することができる。
【0038】
騒音レベルが閾値以上であり、騒音の周波数帯域が指定帯域内であり、かつ、楽音信号レベルが一定のレベル以下の場合にノイズキャンセル処理を行なうように構成すれば、より効果的に省電力化を図ることができる。
【0039】
デジタル方式のノイズキャンセルヘッドフォンの場合は、ノイズキャンセルを必要としない騒音レベルの低い状態、騒音の周波数が所定の周波数帯域から外れているとき、または楽音信号レベルが閾値より高いときのいずれかに該当するときは、マイクロホンから入力される騒音信号のサンプリング間隔を、通常のノイズキャンセル動作時よりも長い時間間隔で行わせるため、サンプリング回路が消費する電力量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明にかかるノイズキャンセルヘッドフォンの実施例を示すブロック図である。
【図2】上記実施例の概要を示すモデル図である。
【図3】上記実施例の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明にかかるノイズキャンセルヘッドフォンの別の動作例を示すフローチャートである。
【図5】従来のデジタル方式ノイズキャンセルヘッドフォンの例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
10 プレーヤ
14 マイクロホン
16 DSP
18 サンプリング回路
20 騒音レベル検出部
21 周波数特性検出部
【出願人】 【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫


【公開番号】 特開2008−5269(P2008−5269A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173429(P2006−173429)