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【発明の名称】 圧電型撓み振動エキサイタ
【発明者】 【氏名】太田 良純

【要約】 【課題】従来の圧電型撓み振動型エキサイタは、外部からの衝撃力がある範囲を越えると圧電素子と駆動電極にクラックが発生する。この電極の切断による電蝕現象が発生し、電極の腐蝕による容量低下と駆動力低下が生じてエキサイタとしての性能を維持出来なくなるという問題がある。

【構成】駆動電極を圧電層の両面に設けた圧電素子と、該圧電素子を固着したシムと、前記圧電素子に給電を行うための給電端子とを有する振動体と、該振動体の一部を保持する固定部を有するケース体を備え、前記給電端子から給電を行うことで、前記シムの振動部を励振させる撓み振動型エキサイタにおいて、前記圧電素子の振動部に対応する位置に駆動電極を設けない不活性部を設けたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電極を圧電層の両面に設けた圧電素子と、該圧電素子を固着したシムと、前記圧電素子に給電を行うための給電端子とを有する振動体と、該振動体の一部を保持する固定部を有するケース体を備え、前記給電端子から給電を行うことで、前記シムの振動部を励振させる撓み振動型エキサイタにおいて、前記圧電素子の振動部に対応する位置に駆動電極を設けない不活性部を設けたことを特徴とする撓み振動型エキサイタ。
【請求項2】
前記不活性部を前記撓み振動型エキサイタに外部より強い衝撃力が加わった時に、前記圧電素子のクラックが入り易い位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項3】
前記不活性部を前記ケース体が振動体の一部を保持する固定部の近傍に設けたことを特徴とする請求項2記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項4】
前記不活性部を前記振動体の先端部の近傍に設けたことを特徴とする請求項2記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項5】
前記シムの表面に配線パターンを設け、該配線パターンによって前記圧電素子の不活性部によって分割された少なくとも2つの駆動電極と前記給電端子とを電気的に接続することを特徴とする請求項1記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項6】
前記シムは表面に配線パターンを有する樹脂基板であることを特徴とする請求項5記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項7】
前記シムは金属板の表面に絶縁層と配線パターンを有する金属基板であることを特徴とする請求項5記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項8】
前記シムは両面に配線パターンを有する両面樹脂基板であり、前記シムの両面に第1及び第2の圧電素子を対応して固着したバイモルフ型振動体を形成することを特徴とする請求項6記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項9】
前記第1及び第2の圧電素子は同一形状の駆動電極を有する共通の圧電素子であり、前記シムは両面に同一の配線パターンを有するとともに、両面の給電端子同士がスルーホールにて電気的に接続されていることを特徴とする請求項8記載の撓み振動型エキサイタ。
【請求項10】
前記給電端子を前記ケース体から突出させ、他の部材を前記ケース体内に収容することで、前記振動体の一端を固定して、前記振動体の他端を自由端とする構成としたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の撓み振動型エキサイタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はパソコン、PDA、携帯電話機等の小型端末機器用平面スピーカー装置の振動板あるいは小型端末機器の筐体を機械的に励振する圧電型撓み振動エキサイタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の小型端末機器等に適した音響変換器としては振動板あるいは小型端末機器の筐体を直接圧電型エキサイタで励振するスピーカ装置がある。
このような携帯電話機などの小型端末機器については、利用者がこれを誤って落とす事がよくあり、このような場合にも破壊されないような十分な強度を持たせておく必要がある。例えばこの圧電型撓み振動エキサイタをスピーカとして携帯電話機に組み込む場合には、この携帯電話機を1.5メートルほどの高さからコンクリートの床面上に自由落下させた場合でも破壊されない程度の強度を持たせておく必要がある。
【0003】
すなわち、落下の衝撃によって過大な振幅の撓み振動が振動体に発生することになるが、特に圧電型撓み振動エキサイタの場合は圧電体層が脆いセラミックにて構成されていることに加えて振動体が細長い形状となっているため破壊が生じやすいという問題がる。
上記問題に対応するために耐衝撃構成を有する圧電型撓み振動エキサイタが提案されており(例えば特許文献1)以下図面により説明する。
【0004】
図8は特許文献1の従来例を、簡素化して概念的に示した圧電型撓み振動エキサイタを示すもので、図8(a)はエキサイタの断面図、図8(b)は振動体の平面図である。
図8において50は圧電型撓み振動エキサイタ、52は振動体、53は金属板等より成るシム、54,55は各々両面に駆動電極を有する2枚の圧電素子、56は樹脂製の固定部材である。
前記シム53の振動部分にはその両面に2枚の圧電素子54、55が貼り付けられ、また前記シム53の固定部分には前記固定部材56が一体化されており、さらに前記固定部材56の表面部には前記圧電素子54、55の上面側駆動電極57、58より導出された引出電極70,80が設けられている。そして前記シム53、圧電素子54,55、固定部材56によって短冊形状をなすバイモルフ型の振動体52が構成されている。
【0005】
60は前記振動体52を収納するケース体であり、該ケース体60は樹脂成形による箱型形状に構成され、振動体収納室60a、振動体52を保持部する固定部60b、固定部材保持部60c、電極取出孔60dが設けられている。
そして、前記ケース体60は固定部60bと固定部材保持部60cとにより、前記振動体52の圧電素子54,55の一端と固定部材56を挟持することによって前記振動体52を振動体収納室60a内に片持ち梁型の振動体として収納する。
また、前記振動子52における2個の圧電素子54,55への駆動電圧の供給は、前記シム53の露出した一端部を2個の圧電素子54,55に対する共通の給電端子T1とし、前記引出し電極70,80の前記ケース体60に設けられた電極取出孔60dに露出している部分を各々の給電端子T2,T3として駆動電圧の供給を行なう。
【0006】
前記ケース体60における振動体収納室60aの形状は振動体52を保持している固定部60bから先端部(振動体の自由端)に向って少しずつ間隙が広くなる開放空間を形成しており、さらに前記振動体収納室60aの内壁面には複数の突起60eが形成されている。
【0007】
前記圧電型撓み振動エキサイタ50は上記構成により、外部から加えられる過大な衝撃力によって振動体52に過大な振幅の撓み振動が発生した場合に、振動体52の表裏面と長手方向の複数の箇所で前記突起60eと接触することによって、前記振動体52に加わる応力を分散させて耐衝撃性を改善している。
【0008】
【特許文献1】特開2005−160028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような耐衝撃性の対策を行なうことによって、外部から加えられる一定の衝撃力には耐えることが可能になるが、しかし製品の使用条件の範囲においてはさらに過大な衝撃力が加えられる場合がある。
この状態を図9により説明する。図9は図8と同じエキサイタの断面図と振動体の平面図を示すものであり、図8と同一要素には同一番号を付し重複する説明を省略する。図9の断面図において点線で示す振動体52aは前記エキサイタ50に外部から加えられる過大な衝撃力によって振動体52に過大な振幅の撓み振動が発生することにより、振動体52が突起60eと接触した状態を示している。
【0010】
上記振動体52が突起60eと衝突する衝撃力がある範囲内であれば、振動体52は保護されて問題ないが、この衝撃力がある範囲を越えた場合には振動体52を構成している圧電素子と駆動電極にクラックが発生する。このクラックの発生は、振動体52の構成上発生し易い場所が決まっており、特に発生し易い場所は振動体52がケース体60によって拘束されている場所、すなわち固定部60bの近傍であるHの範囲にクラックK1が発生する。また振動体52がケース体60の突起60eと最も激しく衝突する振動体52の先端部近傍にもクラックK2が発生し易い。
【0011】
次に振動体52にクラックが発生した場合の問題に付いて説明する。例えば図9の圧電素子54と上面側駆動電極57にクラックK1が発生して場合を考えると、圧電素子54はシム53に固着されているため振動子52として機能しなくなるわけではないが、上面側駆動電極57がクラックK1によって切断されるため、前記上面側駆動電極57と引出し電極70との接続を切断された電極の一方側からしか行なっていなかった場合には、引出し電極70と接続されていない他方の上面側駆動電極57は駆動電極としての機能を失うため、駆動電極の面積が小さくなって実質的に振動子50は駆動力が著しく低下する結果となる。
【0012】
しかし、引出し電極70との接続を圧電素子54の両側、すなわち上面側電極57の両端で行なっている場合には、切断された両方の電極とも引出し電極70と接続されているため駆動電極の面積自体はあまり変化しないが、電極の切断によって電極間の容量が減少して振動子50の駆動力を低下させる結果となる。また切断された電極部分に水分等の浸入によって電蝕現象(マイグレーション)が発生し、電極の腐蝕が進んでさらに容量低下と駆動力低下の現象を強める結果なり、エキサイタとしての性能を維持出来なくなるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は上記課題を解決し、圧電素子に過大な衝撃力が加えられてクラックが発生した場合でも、振動子としての性能を維持することが可能な圧電型撓み振動型エキサイタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の撓み振動型エキサイタは、基本的には下記記載の構成要件を採用するものである。
本発明の撓み振動型エキサイタは駆動電極を圧電層の両面に設けた圧電素子と、該圧電素子を固着したシムと、前記圧電素子に給電を行うための給電端子とを有する振動体と、該振動体の一部を保持する固定部を有するケース体を備え、前記給電端子から給電を行うことで、前記シムの振動部を励振させる撓み振動型エキサイタにおいて、前記圧電素子の振動部に対応する位置に駆動電極を設けない不活性部を設けたことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、圧電素子の予めクラックの入り易い部分に、駆動電極を設けない不活性部を設けたことで、クラックが発生した場合に電極の切断が行なわれないので容量の変化や電蝕現象が発生せず、初期の性能を維持することができ、信頼性の高い撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【0016】
前記不活性部を前記撓み振動型エキサイタに外部より強い衝撃力が加わった時に、前記圧電素子のクラックが入り易い位置に設けたことを特徴とする。
【0017】
前記不活性部を前記ケース体が振動体の一部を保持する固定部の近傍に設けたことを特徴とする。
【0018】
前記不活性部を前記振動体の先端部の近傍に設けたことを特徴とする。
【0019】
前記シムの表面に配線パターンを設け、該配線パターンによって前記圧電素子の不活性部によって分割された少なくとも2つの駆動電極と前記給電端子とを電気的に接続することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、シムの表面に設けた配線パターンにより、不活性部によって分割された少なくとも2つの駆動電極と前記給電端子とを確実に電気的に接続するこが可能となる。
【0021】
前記シムは表面に配線パターンを有する樹脂基板であることを特徴とする。
【0022】
前記シムは金属板の表面に絶縁層と配線パターンを有する金属基板であることを特徴とする。
【0023】
前記シムは両面に配線パターンを有する両面樹脂基板であり、前記シムの両面に第1及び第2の圧電素子を対応して固着したバイモルフ型振動体を形成することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、通常回路基板としているガラエポ基板等の両面電極基板をシムとして使用することが出来るため、特別の部材を用意することなく、製造価格の廉価な撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【0025】
前記第1及び第2の圧電素子は同一形状の駆動電極を有する共通の圧電素子であり、前記シムは両面に同一の配線パターンを有するとともに、両面の給電端子同士がスルーホールにて電気的に接続されていることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、電極構成及び分極方向等の条件を同一にした共通の圧電素子を2個用いてバイモルフ型振動体を構成する事ができ、製造価格の廉価な撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【0027】
前記給電端子を前記ケース体から突出させ、他の部材を前記ケース体内に収容することで、前記振動体の一端を固定して、前記振動体の他端を自由端とする構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の撓み振動型エキサイタの構成を採用することにより、圧電素子の予めクラックの入り易い部分に、駆動電極を設けない不活性部を設けたことで、クラックが発生した場合に電極の切断が行なわれないので容量の変化や電蝕現象が発生せず、初期の性能を維持することができ、信頼性の高い撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【0029】
また、本発明の撓み振動型エキサイタのシムは、通常回路基板としているガラエポ基板等の両面電極基板を使用することが出来るため、特別の部材を用意することなく、製造価格の廉価な撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の撓み振動型エキサイタは、駆動電極を圧電層の両面に設けた圧電素子と、該圧電素子を固着したシムと、前記圧電素子に給電を行うための給電端子とを有する振動体と、該振動体の一部を保持する固定部を有するケース体を備え、前記給電端子から給電を行うことで、前記シムの振動部を励振させる撓み振動型エキサイタにおいて、前記圧電素子の振動部に対応する位置に駆動電極を設けない不活性部を設けた構成とすることを特徴とするものである。以下に、この本発明の撓み振動型エキサイタの構成について、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
まず、本発明における撓み振動型エキサイタの基本的構成例について説明する。図1は、本発明の撓み振動型エキサイタ1の構成を示す図面であり、図1(a)は、この撓み振動型エキサイタ1の振動子裁置形態を示す断面図である。図1(b)(c)は、同図(a)に示した圧電素子4の上部平面図及び下部平面図であり、図1(d)は、シム3の平面図である。また図2は撓み振動型エキサイタ1の外観を示す平面図である。ここに示す撓み振動型エキサイタは、バイモルフ型で片持ち梁タイプの撓み振動型エキサイタを示している。
【0032】
図1(a)に示す様に、本発明の撓み振動型エキサイタの基本的構成は従来の構成と同様に、電気絶縁特性を有する樹脂製のケース体20内に、圧電型の撓み振動型エキサイタの振動体2が収納され、ケース体20の固定部20bでシム3の端部を保持固定する構成となっている。そして図1(d)に示す如く、シム3の両主面には第1配線パターン7と第2配線パターン8よりなる、同一の配線パターンが形成され、その端部は2個のスルーホール17,18によって両主面の配線パターンどうしが接続されている。
本実施形態においてはシム3の材料として、一般的に回路基板として使用されている両面銅貼樹脂基板を用いており、特に両面銅貼ガラエポ基板を用いてシム3の両主面に第1配線パターン7と第2配線パターン8よりなる、同一の配線パターンが形成している。
【0033】
また、図1(a)に示す如く、シム3の両主面には電極構成及び分極方向等の条件を同じにした同一構成の圧電素子4,5が接着等により強固に固着されてバイモルフ型の振動体2を構成している。また図1(b)(c)は圧電素子4の上下両面の駆動電極のパターン形状を示しており、この駆動電極のパターン形状が本発明の特徴である。すなわち、図1(b)に示す圧電素子4の上面側4aに設けられた上面側駆動電極10は2個の上面側駆動電極10a,10bに分割されており、この分割された2個の上面側駆動電極10a,10bの間に駆動電極を設けない不活性部Nが設けられている。そして、この不活性部Nは図1(a)に示す如く前記ケース体20が振動体2の一部を保持する固定部20bの近傍Hの範囲に設けられている。すなわち、不活性部Nは撓み振動型エキサイタ1に外部より強い衝撃力が加わった時に、前記圧電素子4のクラックが入り易い位置に設けられている。
【0034】
図1(c)に示す圧電素子4の下面側4bに設けられた下面側駆動電極11も2個の下面側駆動電極11a,11bに分割されており、この分割された2個の下面側駆動電極11a,11bの間にも駆動電極を設けない不活性部Nが設けられている。そして、この不活性部Nは図1(b)に示す上面側駆動電極10と同様にケース体20が振動体2の一部を保持する固定部20bの近傍Hの範囲に設けられている。そして圧電素子4の下面側には後述する如く上面側駆動電極10a,10bの接続電極10cが設けられており、この接続電極10cは上面側駆動電極10a,10bと圧電素子4の側面に形成された側面電極10dを介して接続されている。
【0035】
もう一方の圧電素子5についても圧電素子4と同じ構成であり、図1(b)(c)に示す電極構成を有し、またシム3の裏面側3bにも表面側3aと同じ配線パターン7,8が形成されている。そして、各圧電素子4,5は図1(c)に示す下面側4b,5bを導電性の接着層によってシム3の表裏両面3a、3bにそれぞれ固着されることにより、各駆動電極がシム3の各配線パターンに電気的に接続される。なお、各駆動電極とシム3の各配線パターンとの電気的接続に付いては後述する。
【0036】
図2は図1に示す本発明のエキサイタ1の外観平面図であり、ケース体20の端部よりシム3の端部が外部に突出して各圧電素子に給電を行うための給電端子27,28を構成している。
【0037】
次に本発明の圧電素子4における積層セルの構成を説明する。図3は圧電素子4の斜視図、図4は圧電素子4の断面図である。図3(a)は前記図1(b)に対応する圧電素子4の上面側4aを示すものであり、上面側駆動電極10は2個の上面側駆動電極10a,10bに分割されており、この分割された2個の上面側駆動電極10a,10bの間に駆動電極を設けない不活性部Nが設けられている。また図3(b)は前記図1(c)に対応する圧電素子4の下面側4bを示すものであり、下面側駆動電極11も2個の下面側駆動電極11a,11bに分割されており、この分割された2個の下面側駆動電極11a,11bの間にも駆動電極を設けない不活性部Nが設けられている。なお、積層セルの構成においては各層を構成する圧電素子4A,4B,4Cの各上下両面には同一の電極10a,10b、11a,11b及び不活性部Nが形成されている。
【0038】
そして上記各層を構成する圧電素子4A,4B,4Cの上面側駆動電極10a,10bは各々側面電極10dによって共通接続されると共に、圧電素子4の下面側4bに設けられた接続電極10cに接続されている。同様に上記各層を構成する圧電素子4A,4B,4Cの下面側駆動電極11a,11bは各々側面電極10eによって共通接続されている。
【0039】
図4は図3に示す積層構成の圧電素子4及び5をシム3に固着した状態を示す断面図であり、各層を構成する圧電素子4A,4B,4Cの実線で示す上面側駆動電極10a,10bと点線で示す下面側駆動電極11a,11bとは、各々側面において共通接続されると共にシム3の配線パターン7,8に接続され、スルーホール17,18で一体化された給電端子27,28に導かれている。なお、圧電素子5に付いても圧電素子4と同様の構成を有するものであり、重複する説明を省略する。また、本実施形態においては圧電素子4,5の積層構成として3層の例を示したがこれに限定されるものではなく、実際には2〜10層の構成がその必要性に従って選択される。
【0040】
次に本発明の撓み振動型エキサイタにおけ圧電素子4,5の電極構成とシム3の配線パターンとの電気的な接続構成に付いて説明する。
図5はシム3の表裏両面の配線パターンと圧電素子4,5の下面側4b,5bを示す平面図であり、図5(a)はシム3の表面側3aを示し、前記図1(d)に対応しており、図5(b)はシム3の裏面側3bを示している。また図5(c)は圧電素子4の下面側4bを示し、前記図1(c)に対応しており、図5(d)は圧電素子5の下面側5bを示している。
【0041】
上記図5(a)(b)において、シム3の表裏両面3a,3bの配線パターンは第1配線パターン7と第2配線パターン8よりなる同一の配線パターンが形成されており、この配線パターンは圧電素子4,5の不活性部Nによって分割された2つの駆動電極10a,10b及び11a,11bを供給端子27,28に電気的に接続する構成となっている。そして第1配線パターン7と第2配線パターン8との端部は2個のスルーホール17,18によって両主面の配線パターンどうしが接続されている。しかしシム3の表裏両面3a,3bに同一の配線パターンを形成してスルーホールで接続した場合、表裏両面3a,3bではスルーホールの位置が入れ替わることになる。すなわち図5(a)に示すシム3の表面側3aにおいて第1配線パターン7に設けられたスルーホール17は、図5(b)に示すシム3の裏面側3bでは第2配線パターン8に設けられる。また図5(a)に示すシム3の表面側3aにおいて第2配線パターン8に設けられたスルーホール18は、図5(b)に示すシム3の裏面側3bでは第1配線パターン7に設けられることになる。
【0042】
すなわち、シム3の端部に形成される給電端子は、図5(a)に示すシム3の表面側3aにおいて第1配線パターン7側を−給電端子27、第2配線パターン8側を+給電端子28とすると、図5(b)に示すシム3の裏面側3bでは第1配線パターン7側が+給電端子28、第2配線パターン8側が−給電端子27となる。
【0043】
そして、図5(a)に示すシム3の表面側3aに、図5(c)に示す圧電素子4の下面側4bを接着し、図5(b)に示すシム3の裏面側3bに、図5(d)に示す圧電素子5の下面側5bを接着すると、図5に+、−の記号で示すごとく、圧電素子4は接続電極10cを介して上面側駆動電極10a,10bには+給電端子28からの+電圧が供給され、下面側駆動電極11a,11bには−給電端子27からの−電圧が供給される。また、図5(b)に示すシム3の裏面側3bに、図5(d)に示す圧電素子5の下面側5bを接着すると、圧電素子5は接続電極10cを介して上面側駆動電極10a,10bには−給電端子27からの−電圧が供給され、下面側駆動電極11a,11bには+給電端子28からの+電圧が供給される。
【0044】
上記の如く、シム3の表裏両面3a,3bの配線パターンを同一パターンとし、シム3の両主面には電極構成及び分極方向等の条件を同じにした同一構成の圧電素子4,5が接着すると、圧電素子4と圧電素子5は逆極性の電圧が印加されることになり、この結果圧電素子4と圧電素子5とは伸びと縮む動作が相補的に行なわれて、シム3に対してバイモルフ振動子を構成することができる。
【0045】
そして上記構成においては、エキサイタ1に外部から加えられる過大な衝撃力によって振動体2に過大な振幅の撓み振動が発生することにより、圧電素子4,5の不活性部NにクラックKが発生した場合にも上面側駆動電極10a,10b及び下面側駆動電極11a,11bに対する電極の切断が生じないので電極間の容量の減少や、電蝕現象(マイグレーション)による電極の腐蝕が発生しないため、エキサイタとしての性能を維持することができる。
【実施例2】
【0046】
次に、本発明の他の実施形態である、撓み振動型エキサイタのシムと圧電素子の駆動電極パターンを図面に基づいて説明する。図6(a)〜図6(d)は、本発明の 他の実施形態における撓み振動型エキサイタの構成をしめすものであり、図6(a)は、撓み振動型エキサイタ1の断面図、図6(b)(c)は、同図(a)に示した圧電素子4の上部平面図及び下部平面図であり、図6(d)は、シム3の平面図である。なお、図6に示す撓み振動型エキサイタの各エレメントは、図1に示す撓み振動型エキサイタ1の各エレメントと対応しており、同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
すなわち図6に示す撓み振動型エキサイタ1は、圧電素子4の駆動電極に設けた不活性部をケース体20が振動体2の一部を保持する固定部20bの近傍Hの範囲に設けられた第1の不活性部N1に加えて、振動体2がケース体20の内壁と最も激しく衝突する振動体2の先端部近傍にも第2の不活性部N2を設けたことである。 従って図1(b)(c)に示す圧電素子4の駆動電極のパターン形状が上面側駆動電極を10a,10bに2分割し、また下面側駆動電極も11a,11bに2分割してその間に1つの不活性部Nを設けていたのに対し、図6(b)(c)に示す圧電素子4の駆動電極のパターン形状は、上面側駆動電極を10a,10bの間に10fを加えた3分割に、また下面側駆動電極を11a,11bの間に11f加えた3分割とし、各電極間に2つの不活性部N1,N2を設けている。
【0048】
そして、新たに加えた上面側駆動電極10fと下面側駆動電極11fとは圧電素子4の長辺側に設けた側面電極により、シム3の第1配線パターン7及び第2配線パターン8に接続している。上記構成によれば、振動体2のクラックの入り易い2箇所に不活性部N1,N2をもうけたので、圧電素子4に過大な衝撃力が加えられて2ケ所にクラックが発生した場合でも、振動体としての性能を維持することが可能となり、更に信頼性の高い圧電型撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【実施例3】
【0049】
次に、本発明の他の実施形態である、撓み振動型エキサイタのシムの構成を図面に基づいて説明する。図7は本発明の他の実施形態における撓み振動型エキサイタのシムの構成を示すものであり、図7(a)は、シムの平面図、図7(b)は図7(a)のA−A断面図である。すなわち本実施形態におけるシム30は、端部にスルーホール用の孔を形成した金属板31の表面に絶縁層35を形成し、該絶縁層35の上に印刷等によって第1配線パターン7と第2配線パターン8とを形成し、さらに端部に設けたスルーホール用の孔の部分に2個のスルーホール17,18形成したものである。これも図1(d)に示すシム3と同様に、シム30の表裏面に同一パターンで形成された第1配線パターン7と第2配線パターン8とを2個のスルーホール17,18で接続している。
【0050】
上記のごとく本発明においては、振動体のクッラクの発生し易い部分に電極を設けない不活性部を形成したので、撓み振動型エキサイタに外部より予測以上の強い衝撃力が加わって圧電素子にクッラクが発生した場合でも、基本的に振動子としての性能を維持することができる。また構成的にも従来の振動体に対して、電極構造を変更するのみであり、何等構成要素の追加や形状の大型化等の変更を必要としないため、品質およびコストに優れた極めて薄型の撓み振動型エキサイタを提供することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、振動体におけるクラックの発生し易い場所として、固定部の近傍と振動体の先端部近傍を例示したが、こらに限定されるものではなく、撓み振動型エキサイタの構造によって、それぞれ発生し易い場所が異なるものであり、不活性部を設ける位置はその形状に合せて最適に設定する事ができる。
さらに、圧電素子の電極パターンやシムの配線パターンも本実施形態の例示に限定されること無く、その撓み振動型エキサイタの構造によって適宜設定できることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の撓み振動型エキサイタの構成を示す断面図、圧電素子の上部平面図及び下部平面図、シムの平面図である。
【図2】本発明の撓み振動型エキサイタの外観を示す上部平面図である。
【図3】図1(b)(c)に示す圧電素子の斜視図である。
【図4】図3に示す圧電素子の断面図である。
【図5】図1に示す圧電素子とシムの平面図である。
【図6】本発明の他の実施例における、撓み振動型エキサイタの構成を示す断面図、圧電素子の上部平面図及び下部平面図、シムの平面図である。
【図7】本発明の他の実施例における、シムの平面図と断面図である。
【図8】従来の撓み振動型エキサイタの断面図と振動子の平面図である。
【図9】従来の撓み振動型エキサイタの断面図と振動子の平面図である。
【符号の説明】
【0053】
1,50 エキサイタ
2,52 振動体
3,30,53 シム
4,5,54,55 圧電素子
7 第1配線パターン
8 第2配線パターン
10a,10b,10f 上面側駆動電極
11a,11b,11c 下面側駆動電極
17、18 スルーホール
20、60 ケース体
N、N1,N2 不活性部
K、K1,K2 クラック
【出願人】 【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100085280
【弁理士】
【氏名又は名称】高宗 寛暁


【公開番号】 特開2008−5056(P2008−5056A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170533(P2006−170533)