| 【発明の名称】 |
通信システム、アドホック通信方法、携帯端末装置および基地局装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 克博
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| 【要約】 |
【課題】セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた無線端末装置において、移動通信網の基地局を活用することにより、アドホックネットワークのスキャンを無駄なく効率良く実施できるようにする。
【構成】携帯端末10、11は、無線基地局20に対してアドホック通信の開始、終了およびネットワーク状況を通知する。無線基地局20は、無線圏内の携帯端末10、11のアドホック通信要求の有無およびスキャンパラメータについての情報を一元管理し、携帯端末の数、他のネットワークからの干渉などさまざまな条件を考慮してスキャン実行の可否およびスキャンパラメータを決定し、携帯端末へ通知する。携帯端末10、11は、無線基地局20からの通知に従ってアドホック通信のスキャンを制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セル方式の移動通信網における基地局装置と、前記移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた複数の携帯端末装置とを含む通信システムにおいて、前記各携帯端末装置は、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの前記基地局装置へ送信すると共に前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信するアドホック通信支援情報処理部と、該アドホック通信支援情報処理部で受信された制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御するアドホック通信制御部とを備え、前記基地局装置は、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を記憶する記憶部と、前記アドホック通信の開始および終了の通知により前記一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している携帯端末装置へ送信するアドホック要求処理部とを備えることを特徴とする通信システム。 【請求項2】 前記携帯端末装置の前記アドホック通信支援情報処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先の前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信し、移動先の前記基地局装置のアドホック要求処理部は、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信することを特徴とする請求項1記載の通信システム。 【請求項3】 前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。 【請求項4】 前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする請求項1記載の通信システム。 【請求項5】 前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信し、前記携帯端末装置の前記アドホック通信制御部は前記スキャンタイミング同期情報に従って間欠的にスキャンを行うことを特徴とする請求項4記載の通信システム。 【請求項6】 前記携帯端末装置の前記アドホック通信制御部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態を検知して前記通信インタフェースを用いて前記基地局装置へ通知し、前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、通知されたネットワーク状態に基づき新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知することを特徴とする請求項4または5記載の通信システム。 【請求項7】 前記識別情報が各携帯端末装置毎の識別情報とアドホック通信を行うアプリケーションプログラムの種類毎の識別情報との両方を含むことを特徴とする請求項1記載の通信システム。 【請求項8】 セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた携帯端末装置が、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を前記移動通信網の最寄りの基地局装置へ送信する第1のステップと、 前記基地局装置が、前記アドホック通信の開始および終了の通知を受信して、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している携帯端末装置へ送信する第2のステップと、 前記携帯端末装置が、前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信し、該受信した制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御する第3のステップとを含むことを特徴とするアドホック通信方法。 【請求項9】 前記携帯端末装置が、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先の前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信する第4のステップと、 前記移動先の前記基地局装置が、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信する第5のステップとを含むことを特徴とする請求項8記載のアドホック通信方法。 【請求項10】 前記第3のステップにおいて、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする請求項8または9記載のアドホック通信方法。 【請求項11】 前記第3のステップにおいて、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする請求項8記載のアドホック通信方法。 【請求項12】 前記第3のステップにおいて、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信することを特徴とする請求項11記載のアドホック通信方法。 【請求項13】 前記携帯端末装置が、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態を検知して前記通信インタフェースを用いて前記基地局装置へ通知する第4のステップと、 前記基地局装置が、通知されたネットワーク状態に基づき新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知する第5のステップとを含むことを特徴とする請求項11または12記載のアドホック通信方法。 【請求項14】 携帯端末装置が、基地局装置に対してアドホック通信の開始、終了およびネットワーク状況を通知し、 前記基地局装置が、無線圏内の携帯端末装置のアドホック通信要求の有無およびスキャンパラメータについての情報を一元管理し、携帯端末装置の数およびネットワーク状況を考慮してスキャン実行の可否およびスキャンパラメータを決定して携帯端末装置へ通知し、 前記携帯端末装置が、前記基地局装置からの通知に従ってアドホック通信のスキャンを制御することを特徴とするアドホック通信方法。 【請求項15】 セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた携帯端末装置であって、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの前記移動通信網の基地局装置へ送信すると共に前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信するアドホック通信支援情報処理部と、該アドホック通信支援情報処理部で受信された制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御するアドホック通信制御部とを備えることを特徴とする携帯端末装置。 【請求項16】 前記アドホック通信支援情報処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先の前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信することを特徴とする請求項15記載の携帯端末装置。 【請求項17】 前記制御情報としてスキャンの停止指示を受信することを特徴とする請求項15または16記載の携帯端末装置。 【請求項18】 前記制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを受信することを特徴とする請求項15記載の携帯端末装置。 【請求項19】 前記制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を受信し、前記アドホック通信制御部は前記スキャンタイミング同期情報に従って間欠的にスキャンを行うことを特徴とする請求項18記載の携帯端末装置。 【請求項20】 前記アドホック通信制御部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態を検知して前記通信インタフェースを用いて前記基地局装置へ通知することを特徴とする請求項18または19記載の携帯端末装置。 【請求項21】 前記識別情報が自携帯端末装置の識別情報とアドホック通信を行うアプリケーションプログラムの種類毎の識別情報との両方を含むことを特徴とする請求項15記載の携帯端末装置。 【請求項22】 セル方式の移動通信網における基地局装置であって、前記移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた複数の携帯端末装置のうち、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を記憶する記憶部と、前記携帯端末装置から前記通信インタフェースを用いて送信された自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知により前記一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している前記携帯端末装置へ送信するアドホック要求処理部とを備えることを特徴とする基地局装置。 【請求項23】 前記アドホック要求処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置から移動してきた前記携帯端末装置から当該携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を受信した場合、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信することを特徴とする請求項22記載の基地局装置。 【請求項24】 前記アドホック要求処理部は、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする請求項22または23記載の基地局装置。 【請求項25】 前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする請求項22記載の基地局装置。 【請求項26】 前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信することを特徴とする請求項25記載の基地局装置。 【請求項27】 前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態が前記携帯端末装置から通知された場合、新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知することを特徴とする請求項25または26記載の基地局装置。 【請求項28】 セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた携帯端末装置を構成するコンピュータを、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの前記移動通信網の基地局装置へ送信すると共に前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信するアドホック通信支援情報処理部と、該アドホック通信支援情報処理部で受信された制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御するアドホック通信制御部として機能させるための携帯端末プログラム。 【請求項29】 前記アドホック通信支援情報処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先の前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信することを特徴とする請求項28記載の携帯端末プログラム。 【請求項30】 セル方式の移動通信網における基地局装置であって、前記移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた複数の携帯端末装置のうち、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を記憶する記憶部を備えた基地局装置を構成するコンピュータを、前記携帯端末装置から前記通信インタフェースを用いて送信された自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知により前記一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している前記携帯端末装置へ送信するアドホック要求処理部として機能させるための基地局プログラム。 【請求項31】 前記アドホック要求処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置から移動してきた前記携帯端末装置から当該携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を受信した場合、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信することを特徴とする請求項30記載の基地局プログラム。 【請求項32】 前記アドホック要求処理部は、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする請求項30または31記載の基地局プログラム。 【請求項33】 前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする請求項30記載の基地局プログラム。 【請求項34】 前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信することを特徴とする請求項33記載の基地局プログラム。 【請求項35】 前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態が前記携帯端末装置から通知された場合、新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知することを特徴とする請求項33または34記載の基地局プログラム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた無線端末装置および前記移動通信網の基地局装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、公衆通信網と無線LAN網のように異なる二つの通信網を利用した通信が可能な無線端末装置が提案ないし実用化されている(例えば特許文献1参照)。 【0003】 公衆通信網の典型的な例は、W−CDMA方式などのセル方式の移動通信網である。セル方式の移動通信網では、サービスエリアを多数のセルと呼ばれる小さなエリアに分割し、それぞれに基地局を設置して、移動局の移動にあわせて追跡接続する。移動局は複数のセルにまたがって移動するため、移動局がどのセルに存在するかを常に把握するための位置登録制御や、セルが変わってもスムーズに通信を継続するためのハンドオーバ制御などの制御が実施される。 【0004】 他方、無線LAN網の典型的な例は、IEEE802.11b方式である。この無線LAN方式は、無線免許なしで自由に使える2.4GHz帯の電波を使い、11Mbpsの速度で通信を行うことができる。IEEE802.11b方式などの免許不要無線は、デバイスの低価格化により、近年では携帯ゲーム機器などに採用されるにいたり、広く普及している。この無線方式においては、アクセスポイントを経由して無線機器同士で通信を行うインフラストラクチャモードとは別に、アクセスポイントを経由することなく無線機器同士で直接通信できるアドホックモードが規格化されている。本発明は、このアドホックモードによる通信(アドホック通信)に関連している。 【0005】 アドホック通信に関する従来技術としては、以下のような技術がある。 【0006】 1)第1の従来技術 送信元端末から通信要求を受けた受信先端末が、隠れ端末から次にビーコン信号を受信するタイミングを推定し、この推定したタイミングを避けて設定した通信可能時刻(受信可能時刻)をパラメータとして送信元端末へ通知することにより、アドホックネットワークで伝送されるデータの衝突を抑える技術(例えば特許文献2参照)。 【0007】 2)第2の従来技術 複数の通信端末からなるアドホックネットワークにおいて、各通信端末は、自端末が前記ネットワークに接続された他の複数の通信端末間で送信または受信されるパケットを転送する必要の有無を判定し、必要がないと判定した場合に自端末の通信機能の一部を停止することにより、自端末を省電力化する技術(例えば特許文献3参照)。 【0008】 3)第3の従来技術 航空機内の各座席に設置した端末装置など使用位置が固定された複数の端末装置どうしでは、どの端末同士がアドホック通信できる距離にいるか事前に判明していることを利用し、通信システムコントローラにおいて、各端末同士のアドホック通信の可否を第1のテーブルに記録し、通信に現在使用されているチャネルやSSID(Extended Service Set Identifier)を第2のテーブルに記録し、或る端末装置から別の端末装置を指定したアドホック通信要求があったとき、通信システムコントローラが、第1のテーブルを参照して前記端末装置間のアドホック通信の可否を判定し、可能ならば、第2のテーブルを参照して現在使われていないチャネルおよびSSIDを決定して端末装置へ通知する技術(例えば特許文献4参照)。 【0009】 【特許文献1】特開2004-88154号公報 【特許文献2】特開2004-320654号公報 【特許文献3】特開2005-184285号公報 【特許文献4】特開2006-5644号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 アドホック通信の応用事例として、携帯無線装置を待ち受け状態にしておいて持ち歩き、見知らぬ人とすれ違いざまにデータ通信を行い、コミュニケーションを楽しむ、といったものがある。この場合、常にアドホックネットワークのスキャン(通信相手の検出処理)を行わなければならないとすると、消費電力が大きくなり、待ち受け時間が短くなる。このため、アドホックネットワークのスキャンを無駄なく効率良く実施できる技術が望まれるが、適用可能な従来技術が存在しないのが現状である。 【0011】 すなわち、第1の従来技術では、隠れ端末から出るビーコン信号と既にアドホックネットワークに参加している送受信端末間で授受されるデータとの衝突を防止する効果はあるが、アドホックネットワークのスキャンを制御する技術ではないため、例えばビーコン信号同士の衝突は防止できない。 【0012】 また第2の従来技術は、アドホックネットワークに参加した後の省電力化を図る技術であり、アドホックネットワークのスキャン時の省電力化技術ではない。 【0013】 さらに第3の従来技術は、携帯端末装置の位置が固定されている特殊なケースを前提としているため、各携帯端末装置が自由に移動する一般的な状況には適用できない。また、通信システムコントローラにおいて、通信に使用されている全てのチャネルやSSIDを把握するためには各携帯端末装置との頻繁な通信が必要になり、通信コストが増加する。 【0014】 他方、特許文献1に見られるように無線LAN網以外に公衆通信網といった他の通信網に接続可能な無線端末装置が提案ないし実用化されているが、無線LANのアドホックネットワークのスキャンに関して他の通信網を活用しようとする考えは、従来にはなかった。 【0015】 本発明はこのような事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた無線端末装置において、移動通信網の基地局装置を活用することにより、アドホックネットワークのスキャンを無駄なく効率良く実施できるようにすることにある。 【課題を解決するための手段】 【0016】 本発明の第1の通信システムは、セル方式の移動通信網における基地局装置と、前記移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた複数の携帯端末装置とを含む通信システムにおいて、前記各携帯端末装置は、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの前記基地局装置へ送信すると共に前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信するアドホック通信支援情報処理部と、該アドホック通信支援情報処理部で受信された制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御するアドホック通信制御部とを備え、前記基地局装置は、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を記憶する記憶部と、前記アドホック通信の開始および終了の通知により前記一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している携帯端末装置へ送信するアドホック要求処理部とを備えることを特徴とする。 【0017】 本発明の第2の通信システムは、第1の通信システムにおいて、前記携帯端末装置の前記アドホック通信支援情報処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先の前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信し、移動先の前記基地局装置のアドホック要求処理部は、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信することを特徴とする。 【0018】 本発明の第3の通信システムは、第1または第2の通信システムにおいて、前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする。 【0019】 本発明の第4の通信システムは、第1の通信システムにおいて、前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする。 【0020】 本発明の第5の通信システムは、第4の通信システムにおいて、前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信し、前記携帯端末装置の前記アドホック通信制御部は前記スキャンタイミング同期情報に従って間欠的にスキャンを行うことを特徴とする。 【0021】 本発明の第6の通信システムは、第4または第5の通信システムにおいて、前記携帯端末装置の前記アドホック通信制御部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態を検知して前記通信インタフェースを用いて前記基地局装置へ通知し、前記基地局装置の前記アドホック要求処理部は、通知されたネットワーク状態に基づき新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知することを特徴とする。 【0022】 本発明の第7の通信システムは、第1の通信システムにおいて、前記識別情報が各携帯端末装置毎の識別情報とアドホック通信を行うアプリケーションプログラムの種類毎の識別情報との両方を含むことを特徴とする。 【0023】 本発明の第1のアドホック通信方法は、セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた携帯端末装置が、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を前記移動通信網の最寄りの基地局装置へ送信する第1のステップと、前記基地局装置が、前記アドホック通信の開始および終了の通知を受信して、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している携帯端末装置へ送信する第2のステップと、前記携帯端末装置が、前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信し、該受信した制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御する第3のステップとを含むことを特徴とする。 【0024】 本発明の第2のアドホック通信方法は、第1のアドホック通信方法において、前記携帯端末装置が、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先のの前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信する第4のステップと、前記移動先の前記基地局装置が、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信する第5のステップとを含むことを特徴とする。 【0025】 本発明の第3のアドホック通信方法は、第1または第2のアドホック通信方法において、前記第3のステップにおいては、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする。 【0026】 本発明の第4のアドホック通信方法は、第1のアドホック通信方法において、前記第3のステップにおいては、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする。 【0027】 本発明の第5のアドホック通信方法は、第4のアドホック通信方法において、前記第3のステップにおいては、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信することを特徴とする。 【0028】 本発明の第6のアドホック通信方法は、第4または第5のアドホック通信方法において、前記携帯端末装置が、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態を検知して前記通信インタフェースを用いて前記基地局装置へ通知する第4のステップと、前記基地局装置が、通知されたネットワーク状態に基づき新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知する第5のステップとを含むことを特徴とする。 【0029】 本発明の第7のアドホック通信方法は、携帯端末装置が、基地局装置に対してアドホック通信の開始、終了およびネットワーク状況を通知し、前記基地局装置が、無線圏内の携帯端末装置のアドホック通信要求の有無およびスキャンパラメータについての情報を一元管理し、携帯端末装置の数およびネットワーク状況を考慮してスキャン実行の可否およびスキャンパラメータを決定して携帯端末装置へ通知し、前記携帯端末装置が、前記基地局装置からの通知に従ってアドホック通信のスキャンを制御することを特徴とする。 【0030】 本発明の第1の携帯端末装置は、セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた携帯端末装置であって、前記通信インタフェースを用いて、自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの前記移動通信網の基地局装置へ送信すると共に前記基地局装置からアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報を受信するアドホック通信支援情報処理部と、該アドホック通信支援情報処理部で受信された制御情報に従って前記無線インタフェースを用いたアドホックネットワークのスキャンを制御するアドホック通信制御部とを備えることを特徴とする。 【0031】 本発明の第2の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、前記アドホック通信支援情報処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置の配下に移動した場合に移動先の前記基地局装置へ自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を送信することを特徴とする。 【0032】 本発明の第3の携帯端末装置は、第1または第2の携帯端末装置において、前記制御情報としてスキャンの停止指示を受信することを特徴とする。 【0033】 本発明の第4の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、前記制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを受信することを特徴とする。 【0034】 本発明の第5の携帯端末装置は、第4の携帯端末装置において、前記制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を受信し、前記アドホック通信制御部は前記スキャンタイミング同期情報に従って間欠的にスキャンを行うことを特徴とする。 【0035】 本発明の第6の携帯端末装置は、第4または第5の携帯端末装置において、前記アドホック通信制御部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態を検知して前記通信インタフェースを用いて前記基地局装置へ通知することを特徴とする。 【0036】 本発明の第7の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置において、前記識別情報が自携帯端末装置の識別情報とアドホック通信を行うアプリケーションプログラムの種類毎の識別情報との両方を含むことを特徴とする。 【0037】 本発明の第1の基地局装置は、セル方式の移動通信網における基地局装置であって、前記移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた複数の携帯端末装置のうち、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を記憶する記憶部と、前記携帯端末装置から前記通信インタフェースを用いて送信された自装置の識別情報を含むアドホック通信の開始および終了の通知により前記一覧を更新し、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報をアドホック通信を要求している前記携帯端末装置へ送信するアドホック要求処理部とを備えることを特徴とする。 【0038】 本発明の第2の基地局装置は、第1の基地局装置において、前記アドホック要求処理部は、アドホック通信の開始後に他の基地局装置から移動してきた前記携帯端末装置から当該携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の開始の通知を受信した場合、自装置の前記一覧を更新すると共に、移動元の基地局装置に対して前記携帯端末装置の識別情報を含むアドホック通信の終了の通知を送信することを特徴とする。 【0039】 本発明の第3の基地局装置は、第1または第2の基地局装置において、前記アドホック要求処理部は、前記一覧に登録されているアドホック通信を要求している携帯端末装置が1台のアドホックネットワークの場合、その携帯端末装置に対してアドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてスキャンの停止指示を送信することを特徴とする。 【0040】 本発明の第4の基地局装置は、第1の基地局装置において、前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報としてチャネルとSSIDとビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信することを特徴とする。 【0041】 本発明の第5の基地局装置は、第4の基地局装置において、前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンに関する制御情報として前記スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信することを特徴とする。 【0042】 本発明の第6の基地局装置は、第4または第5の基地局装置において、前記アドホック要求処理部は、アドホックネットワークのスキャンの障害となるネットワーク状態が前記携帯端末装置から通知された場合、新たなスキャンパラメータを決定して前記携帯端末装置へ通知することを特徴とする。 【0043】 『作用』 セル方式の移動通信網では、サービスエリアを多数のセルと呼ばれる小さなエリアに分割し、それぞれに基地局装置が設置される。本発明では、或るセル内に存在する携帯端末装置が無線インタフェースを用いてアドホック通信を開始する場合、その旨を移動通信網と接続するための通信インタフェースにより最寄りの基地局装置へ通知する。同様にアドホック通信を終了する場合、その旨を通信インタフェースにより最寄りの基地局装置へ通知する。また、携帯端末装置が他の基地局装置へ移動した時には、移動先の基地局装置から移動元の基地局装置に対して当該携帯端末装置のアドホック通信の終了を通知する。これらの通知を受けた基地局装置は、アドホック通信を要求している携帯端末装置の一覧を更新することにより、アドホック通信を要求している携帯端末装置が自セル内に何台存在するかを把握し、アドホックネットワークのスキャンに関する適切な制御情報をアドホック通信を要求している携帯端末装置へ送信する。 【0044】 例えば、アドホック通信を要求している携帯端末装置が自セル内に1台しか存在しない場合、他装置とのアドホック通信は不可能と考えられるため、基地局装置から携帯端末装置に対してスキャンの停止を指示する制御情報を送信する。これにより、アドホックネットワークに対する無駄なスキャンが防止され、携帯端末装置の消費電力が抑えられる。 【0045】 また、アドホック通信を要求している携帯端末装置が自セル内に複数台存在する場合、それら複数の携帯端末装置のアドホック通信で共通に使用するチャネル、SSID、ビーコン間隔を含むスキャンパラメータを送信する。それら複数の携帯端末装置がこの同じスキャンパラメータに基づいてアドホックネットワークに対するスキャンを開始することにより、アドホック通信可能な距離内に複数の携帯端末装置が存在すれば、アドホック通信相手を高い確率で速やかに発見することができる。さらに、スキャンパラメータに加えてスキャンタイミング同期情報を送信し、携帯端末装置がスキャンタイミング同期情報に従って間欠的にスキャンを行うことにより、アドホックネットワークに対するスキャンの消費電力を軽減することができる。 【0046】 また携帯端末装置は、アドホックネットワークのスキャンの障害(ビーコンの衝突によるエラーの発生など)となるネットワーク状態を検知した場合、通信インタフェースを用いて最寄りの基地局装置へ通知する。基地局装置は、この通知されたネットワーク状態に基づき、新たなスキャンパラメータを決定して携帯端末装置へ通知する。これにより、アドホックネットワークのスキャン時における他のネットワークからの干渉の軽減が図られる。 【発明の効果】 【0047】 本発明によれば、セル方式の移動通信網に接続可能な通信インタフェースとアドホック通信が可能な無線インタフェースとを備えた携帯端末装置において、アドホックネットワークのスキャンを無駄なく効率良く実施できる。 【0048】 その理由は、各携帯端末装置がアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの基地局装置へ送信することにより、各基地局装置において自装置のセル内にアドホック通信を要求している携帯端末装置が何台存在するかを把握でき、アドホックネットワークのスキャンに関する適切な制御情報をアドホック通信を要求している携帯端末装置へ送信することができるためである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0049】 図1を参照すると、本発明を適用した通信システムの一例は、公衆無線ネットワークサービス(携帯電話サービスなどを含む)を提供する通信網における無線基地局20と、前記通信網に接続可能な公衆無線インタフェース102とアドホック通信が可能な免許不要無線インタフェース101とを有する複数の携帯端末10、11とを含んで構成される。 【0050】 図2を参照すると、無線基地局20の一例は、収容している携帯端末10、11と無線通信を行うための公衆無線インタフェース201と、アドホック通信を要求している携帯端末の情報を記憶するアドホック端末ID記憶領域203と、自基地局20の無線圏内で使用するスキャンパラメータを記憶しておくスキャンパラメータ記憶領域204と、携帯端末10、11からアドホック通信の開始および終了の通知を公衆無線インタフェース201により受信してアドホック端末ID記憶領域203を更新し、アドホック支援情報をアドホック通信を要求している携帯端末へ送信するアドホック要求処理部202とを備えている。スキャンパラメータは、アドホック通信に関するパラメータであり、例えばチャネル(通信周波数)、SSID、ビーコン間隔を含んで構成される。 【0051】 無線基地局20がコンピュータで構成される場合、アドホック端末ID記憶領域203およびスキャンパラメータ記憶領域204は、コンピュータの主記憶や補助記憶で構成され、アドホック要求処理部202はCPUとプログラムとで実現され、公衆無線インタフェース201はネットワークインタフェースカード(NIC)等で実現される。 【0052】 図3を参照すると、携帯端末10は、アドホック通信のための免許不要無線インタフェース101と、無線基地局20に接続するための公衆無線インタフェース102と、アドホック通信を行うプログラムであるアプリケーション107を記憶するメモリ106と、公衆無線インタフェース102を用いて、アプリケーション107によるアドホック通信の開始および終了の通知を最寄りの無線基地局20へ送信し、基地局装置20からアドホック支援情報を受信するアドホック通信支援情報処理部104と、アドホック支援情報にて基地局装置20から通知されたスキャンパラメータを記憶するスキャンパラメータ記憶部105と、このスキャンパラメータ記憶部105に記憶されたスキャンパラメータに従って免許不要無線インタフェース101を用いたアドホック通信相手のスキャンおよびデータの授受を制御するアドホック通信制御部103とを備えている。 【0053】 アプリケーション107には、初期スキャンパラメータ108が埋め込まれている。初期スキャンパラメータ108は、基地局装置からスキャンパラメータが送信されてこなかった場合、その代わりとしてスキャンパラメータ記憶部105に格納されて、自端末10のアドホック通信に使用される。 【0054】 携帯端末10がコンピュータで構成される場合、スキャンパラメータ記憶部105およびメモリ106は、コンピュータの主記憶や補助記憶で構成され、アドホック通信制御部103およびアドホック通信支援情報処理部104はCPUとプログラムとで実現され、免許不要無線インタフェース101および公衆無線インタフェース102はNIC等で構成される。なお、他の携帯端末11も携帯端末10と同様の構成を備えている。 【0055】 次に本実施の形態にかかる通信システムの動作を説明する。 【0056】 まず、携帯端末側の動作を携帯端末10を例に説明する。 【0057】 携帯端末10のアプリケーション107がユーザからの指示などに従ってアドホック通信を開始する場合、自アプリケーション107に固定的に埋め込まれているアドホック通信用のパラメータである初期スキャンパラメータ108を含むアドホック開始通知を、アドホック通信支援情報処理部104に送信する。初期スキャンパラメータ108には、例えばチャネル、SSID、ビーコン間隔の組が1組以上含まれている。 【0058】 図4を参照すると、アドホック通信支援情報処理部104はアプリケーション107からアドホック開始通知を受信すると(ステップS101)、まず無線基地局20の通信圏内か否かを調べ(ステップS102)、無線基地局20の通信圏外であれば(ステップS102でno)、アドホック開始通知に含まれる初期スキャンパラメータ108をスキャンパラメータ記憶部105に記憶し(ステップS110)、アドホック通信制御部103にアドホック通信開始要求を送信する(ステップS112)。アドホック通信制御部103は、アドホック通信開始要求を受信すると、スキャンパラメータ記憶部105に記憶されたスキャンパラメータに従って、免許不要無線インタフェース101を用いたアドホック通信相手のスキャンおよびデータの授受を制御する。このように携帯端末10は、無線基地局20の圏外にいる場合、予め定められたスキャンパラメータを使ってアドホックネットワークのスキャンおよび接続を行う。 【0059】 他方、携帯端末10が無線基地局20の通信圏内にいた場合(ステップS102でyes)、アドホック通信支援情報処理部104は、無線基地局20に対してアドホック要求端末通知を送信し(ステップS103)、無線基地局20からの応答を待ち受ける。アドホック要求端末通知には、携帯端末10を他の携帯端末と区別するための識別情報(端末ID)、アプリケーション107の種類を特定する識別情報(APID)、前記初期スキャンパラメータ108が含まれる。 【0060】 アドホック要求端末通知を送信したにもかかわらず、何らかの原因で無線基地局20から応答がなかった場合(ステップS104でno)、アドホック通信支援情報処理部104は、無線基地局20の通信圏外であった場合と同様に、アドホック開始通知に含まれる初期スキャンパラメータ108をスキャンパラメータ記憶部105に記憶し(ステップS110)、アドホック通信制御部103にアドホック通信開始要求を送信する(ステップS112)。 【0061】 アドホック要求端末通知に対して無線基地局20から何らかのアドホック支援情報を受信した場合、アドホック通信支援情報処理部104は、その内容を判定する(ステップS105)。そして、受信したアドホック支援情報の内容が、アドホック通信に使用するスキャンパラメータを含むスキャン開始の指示であった場合(ステップS105でno)、このスキャンパラメータをスキャンパラメータ記憶部105に記憶し(ステップS111)、アドホック通信制御部103にアドホック通信開始要求を送信する(ステップS112)。アドホック通信制御部103は、アドホック通信開始要求を受信すると、スキャンパラメータ記憶部105に記憶されたスキャンパラメータに従って、免許不要無線インタフェース101を用いたアドホック通信相手のスキャンおよびデータの授受を制御する。そして、アドホック通信制御部103はアドホックネットワークを検出した場合、アプリケーション107に通知を行い、アプリケーション107はアドホック通信を開始する。 【0062】 このように携帯端末10は、無線基地局20からスキャンパラメータを含むアドホック支援情報を受信した場合には、アプリケーション107に設定された初期スキャンパラメータ108の代わりに無線基地局20から通知されたスキャンパラメータを使用してアドホックネットワークのスキャンおよび接続を行う。 【0063】 またアドホック要求端末通知に対して無線基地局20から受信したアドホック支援情報がスキャン停止の指示であった場合(ステップS105でyes)、アドホック通信支援情報処理部104はアドホック通信制御部103に対してアドホック通信停止要求を送信する(ステップS106)。アドホック通信制御部103は、アドホックネットワークに対するスキャン中あるいは接続中であれば、スキャンの停止および切断を行う。今の場面では、アドホック通信制御部103は未だアドホック通信を開始していないので、実質的には何もしないことになる。このようにアドホック要求端末通知に対して無線基地局20からスキャン停止の指示を受ける場面は、無線基地局20に収容されている携帯端末の中でアドホック通信を要求している端末が自端末だけの場合に出現する。 【0064】 なお、後述するように携帯端末10は、アドホックネットワークに対するスキャン中に無線基地局20からアドホック支援情報を受信する場合があり、その場合には、アドホック通信支援情報処理部104において図4のステップS105以降の処理が実行される。すなわち、受信したアドホック支援情報がスキャン停止の指示であった場合(ステップS105でyes)、アドホック通信制御部103に対してアドホック通信停止要求を送信し(ステップS106)、受信したアドホック支援情報がスキャンパラメータを含むスキャン開始指示であれば(ステップS105でno)、このスキャンパラメータをスキャンパラメータ記憶部105に記憶し(ステップS111)、アドホック通信制御部103にアドホック通信開始要求を送信する(ステップS112)。アドホック通信制御部103は、アドホック通信停止要求により現在のスキャン動作を一旦停止し、あらためてスキャンパラメータ記憶部105からスキャンパラメータを取り出し、この取り出したスキャンパラメータに従ってアドホックネットワークに対するスキャンを開始する。 【0065】 また携帯端末10は、無線基地局間を移動した場合、常に位置登録を行い、自端末10がどの無線基地局と通信しているかを通信網に登録している。アドホック通信要求開始後にこの位置登録の更新(ハンドオーバ)が発生した場合、アドホック通信支援情報処理部104は、移動先の無線基地局に対して前記アドホック要求端末通知を送信する。 【0066】 さらに携帯端末10は、アプリケーション107がユーザからの指示などに従ってアドホック通信を終了する場合、アドホック通信終了通知をアドホック通信支援情報処理部104に送信する。アドホック通信支援情報処理部104は、アドホック通信制御部103に対してアドホック通信の終了を要求すると共に、公衆無線インタフェース102を用いて無線基地局20へ、自端末10の端末IDとアプリケーション107のAPIDを含むアドホック終了端末通知を送信する。 【0067】 また更に携帯端末10のアドホック通信制御部103は、アドホック通信相手のスキャン実行中に、ビーコンの衝突によるエラーの有無やチャネルの混雑度、SSIDの重複などのネットワーク状態をモニタし、スキャンの障害となる何らかのネットワーク状態を検知すると、公衆無線インタフェース102を使用して、無線チャネル状態通知を無線基地局20へ送信する。無線チャネル状態通知には、自端末ID、APIDおよびネットワーク状態などが含まれる。 【0068】 次に無線基地局20の動作を説明する。 【0069】 図5を参照すると、無線基地局20のアドホック要求処理部202は、携帯端末10からアドホック要求端末通知を受信すると(ステップS201)、アドホック端末ID記憶領域203を更新する(ステップS202)。アドホック要求端末通知には、携帯端末10の端末ID、アプリケーション107の種類を示すAPID、初期スキャンパラメータ108が含まれているため、それらをアドホック端末ID記憶領域203に保存する。 【0070】 次にアドホック要求処理部202は、携帯端末10が他の基地局から移動してきた端末かどうかを判定し、他の基地局から移動してきた場合は(ステップS203でyes)、移動元(ハンドオーバ元)の基地局に対して、携帯端末10の端末ID、アプリケーション107の種類を示すAPIDを含むアドホック終了端末通知を送信し(ステップS210)、ステップS204へ進む。他の基地局から移動してきた端末でない場合(ステップS203でno)、ステップS210の処理をスキップしてステップS204へ進む。 【0071】 アドホック要求処理部202は、ステップS204において、アドホック端末ID記憶領域203を参照することにより、アドホック通信を要求している端末が当該携帯端末10の一台のみかどうかを判定する。そして、アドホック通信を要求している端末が携帯端末10の一台のみであれば、携帯端末10に対してスキャン停止を指示するアドホック支援情報を送信する(ステップS211)。 【0072】 また、アドホック通信を要求している端末が一台だけアドホック端末ID記憶領域203に記録されており、今回の携帯端末10が2台目の端末であれば(ステップS205でyes)、スキャンを開始させるべく、スキャンパラメータを含むアドホック支援情報をそれら2台の端末に対して送信する(ステップS212)。アドホック支援情報に含めるスキャンパラメータは、アドホック要求端末通知に含まれる初期スキャンパラメータに基づいて決定され、スキャンパラメータ記憶領域204に保存される。例えば、初期スキャンパラメータに、チャネルとSSIDとビーコン間隔の組が複数含まれている場合、それらの中から一組をスキャンパラメータとして選択する。また、選択した組に対して、ビーコンを送信するタイミングを端末間で同期させるスキャンタイミング同期情報を付加しても良い。 【0073】 また、アドホック通信を要求している端末が2台以上、アドホック端末ID記憶領域203に既に記録されていれば、今回の携帯端末10に対して、スキャンパラメータ記憶領域204に記憶してあるスキャンパラメータを含むアドホック支援情報を送信する(ステップS206)。 【0074】 他方、無線基地局20のアドホック要求処理部202は、何れかの携帯端末からスキャンの障害となるネットワーク状態が発生した旨の無線チャネル状態通知を受信した場合、通知されたネットワーク状態をアドホック端末ID記憶領域203の当該携帯端末の情報に関連付けて記憶する。そして、スキャンパラメータの再割り当ての必要性を判定し、必要と判断した場合、スキャンパラメータ記憶領域204に記憶されている現在のスキャンパラメータとは異なる他のスキャンパラメータを決定し、アドホック端末ID記憶領域203に登録されている端末の全てに通知する。また、この決定したスキャンパラメータをスキャンパラメータ記憶領域204に記憶する。例えば、アドホック端末ID記憶領域203に登録されている自基地局20の無線圏内でアドホック通信を実行している端末の半分以上から、アドホック通信が他のネットワークトラフィックからの干渉を受けていることを示す無線チャネル状態通知を受信した場合、スキャンパラメータ記憶領域204に記憶されているスキャンパラメータにおけるチャネルを変更して、これを通知する。チャネルでなく、ビーコン間隔やタイミング同期信号を変更しても良い。 【0075】 また、無線基地局20のアドホック要求処理部202は、何れかの携帯端末あるいは他の無線基地局から、アドホック終了端末通知を受信した場合、アドホック終了端末通知に含まれる端末IDとAPIDとの組の情報をアドホック端末ID記憶領域203から削除する。 【0076】 このように本実施の形態の通信システムにおいては、アドホック通信を要求する携帯端末10、11が無線基地局20に対してアドホック通信の開始、終了およびネットワーク状況報告の通知を行い、無線基地局20からのアドホック支援情報の通知に従ってアドホック通信のスキャンを制御することにより、無線基地局20は無線圏内の携帯端末10、11のアドホック通信要求の有無およびスキャンパラメータについての情報を一元管理し、端末のスキャン動作を制御できる。これにより、携帯端末の数や地理的な特徴、他のネットワークからの干渉などさまざまな条件を考慮した最適なスキャンパラメータを得ることができる。これは端末単体では得られない情報である。 【0077】 これにより携帯端末はなるべく少ない回数のスキャンで最も高い確率でアドホックネットワークを検出できるようになり、省電力化とアドホックネットワーク通信の成功率の向上の効果がある。 【0078】 具体的には、本実施の形態によれば以下の効果がある。 【0079】 1)無線基地局20の無線圏内でアドホック通信を要求する携帯端末が一台しかない場合、従来ではその携帯端末はその事実を知ることができないため、通信相手を発見する可能性がないにもかかわらずスキャンを行わなければならなかった。本実施の形態によれば、携帯端末上のアプリケーションまたはユーザがアドホック通信を開始しようとする時点で自身の端末IDを無線基地局20に通知し、それに対して無線基地局20は無線圏内にアドホック通信を要求する他の携帯端末が存在しないためスキャンが不要であることを携帯端末に通知する。この通知を受け取った携帯端末はスキャンを停止する。これにより不要なスキャン処理を行わないようにすることができ、消費電力を減らすことができる。 【0080】 2)チャネルとSSIDとビーコン間隔とを含むスキャンパラメータだけではスキャンのタイミングの同期を取ることができないため、携帯端末は常にアドホックネットワークの存在を示すビーコンフレームを待ち受けておく必要がある。これは常に無線受信部の電源をONにする必要があることを意味する。本実施の形態によれば、無線基地局20は携帯端末に対してビーコンを送信するタイミングを同期させるためのタイミング同期情報をスキャンパラメータに付加して通知することで、端末はこれに従ってビーコンを間欠的に送受信することができる。これにより無線受信部を常に受信状態にしておく必要はなくなり、電力消費を抑えつつアドホックネットワークのスキャン処理を行うことができる。 【0081】 3)アドホック通信では免許不要無線を利用するために、SSIDやチャネル(通信周波数)をあらかじめ固定にしてスキャンの負担を軽減しようとすると、周辺の他のネットワークで同じパラメータを使用している場合その干渉を受けてしまい、通信効率が落ちてしまうことがあった。一方それらのパラメータを毎回アドホックネットワークに参加する携帯端末同士でネゴシエーションして決定しようとすると、処理が複雑になってしまい、消費電力やコストが増大するという問題があった。本実施の形態によれば、携帯端末がスキャンに障害となるネットワーク状態を検知した場合はそれを無線チャネル状態通知で基地局に報告し、基地局が最適なSSID、チャネルなどのスキャンパラメータを再割り当てすることでこの問題を解決できる。 【0082】 4)アドホック通信においては、隠れ端末問題により、携帯端末の位置関係によってビーコンが衝突して受信できない場所が出てくる可能性があった。例えば図6を参照すると、携帯端末A、Bはお互いのフレームを受信できないため衝突を検出できず、同時にビーコンを送信しようとする。これに対し、携帯端末Cの位置ではA,Bのビーコンが衝突するため受信できない。本実施の形態では、携帯端末Cがビーコンの衝突を検出した場合、基地局に無線チャネル状態通知で報告する。無線基地局は、無線圏内の同一APIDによるアドホック通信を要求する携帯端末の数とビーコン衝突の発生頻度を考慮して、たとえばビーコンの送信の頻度とタイミングを適切に割り当てる。これにより、隠れ端末問題によりビーコンが衝突する可能性を減らすことができ、結果としてアドホック通信の成功率の向上、省電力化の効果が得られる。 【0083】 一方、本発明を適用することによって発生する、無線基地局との通信に必要な追加的な電力消費については、以下の理由で無視できると考えられる。一つは、無線基地局との通信が行われるのは、ユーザがアドホック通信の開始、終了の切り替えを行うタイミングと、移動により無線基地局が切り替わる場合と、ビーコンの衝突やネットワークの干渉を検出した場合のみであること、一つは、従来より無線基地局と携帯端末は、制御チャネル上を使用して定期的に通信しており、また基地局切り替え時にも位置登録を行うための通信を行っていること、一つは、本発明にかかる携帯端末が無線基地局へ通知するデータ量は極めて少ないため、従来より行っている通信に若干の情報を追加する形で実装でき、オーバヘッドが少ないこと、である。 【実施例】 【0084】 次に本発明の実施の形態の実施例について図面を参照して詳細に説明する。 【0085】 『構成の説明』 図7を参照すると、本実施例にかかる携帯電話システムにおいては、携帯電話事業者によってW−CDMA基地局40、41が設置されており、携帯電話30、31はW−CDMA基地局40の無線圏内に位置し、携帯電話サービスを享受している。 【0086】 携帯電話30、31は、それぞれIEEE802.11方式の無線LANインタフェース301と、W−CDMAインタフェース302の2つの無線ベアラを備えている。 【0087】 W−CDMAインタフェース302は、携帯電話サービス提供者の管理するW−CDMA基地局40に接続でき、無線LANインタフェース301は、無線LANサービス事業者のネットワークなどに接続することができる。 【0088】 前記無線LANインタフェース301はまた、アドホック通信モードを備えており、無線LANアクセスポイントを経由せずに同等の機能を持つ他の携帯電話と直接通信できる。 【0089】 図8を参照すると、携帯電話30は、無線LANインタフェース(WLAN I/F)301と、W−CDMAインタフェース(WCDMA I/F)302と、W−CDMA基地局から受信したアドホック支援情報を処理するアドホック通信支援情報処理部304と、アドホックモードで動作している通信可能な他の端末を検索したり、アドホックモードの接続を確立したりする動作を無線LANインタフェースに対して指示するアドホック通信制御部303と、アドホック通信のための通信パラメータであるスキャンパラメータを記憶するスキャンパラメータ記憶部305と、アドホック通信を要求しているアプリケーションのAPIDとその初期スキャンパラメータを記憶しておくAPIDリスト306と、アプリケーション310やデータなどを格納するメモリ309と、液晶ディスプレイ、キーパッド、スピーカ、マイクなどの部品から構成されるユーザインタフェース313とを備える。すべてのモジュールはバス307で電気的に接続されており、お互いにデータやイベントをやり取りすることができる。携帯電話31も携帯電話30と同様の構成を有している。 【0090】 メモリ309内には、1以上のアプリケーション310がインストールされており、各アプリケーション310にはAPID311と呼ばれる数値が埋め込まれている。APIDはシステム内のすべての端末上で動作するアプリケーション間でユニークとなるように割り振られた値であり、異なるアプリケーションが同じ値を持つことはない。ただし異なる端末上で動作する同じ種類のアプリケーションは同一のAPIDを持つ。すなわち、APID311は、アプリケーションの種類を一意に識別するためのIDである。 【0091】 またアプリケーション310には、インストールされた時点でアドホック通信用の初期スキャンパラメータ312が埋め込まれている。初期スキャンパラメータ312は、APIDごとに割り当てられており、APIDが等しい場合は異なる端末どうしでも同一となる。 【0092】 スキャンパラメータ記憶部305には、図9に示すように、アドホック通信を行う各アプリケーションのAPIDごとに、チャネル、SSIDおよびビーコン間隔から構成されるスキャンパラメータが格納されている。アドホック通信で相互接続するアプリケーションは、異なる端末間で同じスキャンパラメータを共有する。 【0093】 図10を参照すると、W−CDMA基地局40は、W−CDMA方式の無線プロトコルに従って無線データをやり取りするW−CDMAインタフェース401と、アドホック通信関係の情報を処理するアドホック要求処理部402と、アドホック通信を要求している端末の情報を記憶するAPID記憶部404と、W−CDMA通信処理部403とを備える。このうちW−CDMAインタフェース401とW−CDMA通信処理部403は、従来のW−CDMA基地局にも存在するものであり、それらと同等の機能を持つ。W−CDMA基地局41もW−CDMA基地局40と同様の構成を有している。 【0094】 『動作の説明』 今、携帯電話30、31のメモリ309に同じ種類のアプリケーション310がインストールされており、APID311として数値"100"が割り当てられているものとする。また、アプリケーション310には初期スキャンパラメータとして、図11に示すような3組のスキャンパラメータが埋め込まれているものとする。また、2台の携帯電話30、31では、いずれもアドホック通信を要求するアプリケーション310が未だ起動していないものとし、スキャンパラメータ記憶部305およびAPIDリスト306にはまだ情報が何も記憶されていないものとする。また、W−CDMA基地局40、41のそれぞれのAPID記憶部404には、アドホック通信を要求する端末の情報が書き込まれていないものとする。また、W−CDMA基地局40、41の無線圏内には、他にアドホック通信を要求している端末は存在しないものとする。 【0095】 以上のような状況の下で、アドホック通信を希望するユーザが携帯電話30のユーザインタフェース313を操作してアプリケーション310を起動し、アドホック通信の開始を要求したとすると、アプリケーション310は、以下のようにしてアドホック通信のセットアップを開始する。 【0096】 まずアプリケーション310は、自身のAPID311である"100"と、予め固定的に埋め込まれている初期スキャンパラメータ312をアドホック開始APID通知によってアドホック通信支援情報処理部304に通知する。 【0097】 アドホック通信支援情報処理部304は、図12のフローチャートを参照すると、APIDリスト306にアプリケーション310から受け取ったAPIDと初期スキャンパラメータを追加し(ステップS301、S302)、W−CDMA基地局40にアドホック要求端末通知を送信する(ステップS303でyes、S304)。アドホック要求端末通知には、携帯電話30の端末ID、アプリケーション310のAPID310および初期スキャンパラメータが含まれる。なお、APIDリスト306に登録されたAPIDは、端末の移動によりW−CDMA基地局の切り替えが発生した際に後述する図18の処理で参照される。また、APIDリスト306に登録された初期スキャンパラメータは、切り替え後のW−CDMA基地局からスキャンパラメータを受信できなかった場合に利用される(図18のステップS504、図12のステップS305でno、S310)。 【0098】 図13のフローチャートを参照すると、W−CDMA基地局40のアドホック要求処理部402は、携帯電話30からアドホック要求端末通知を受信すると(ステップS401)、基地局の切り替えでないので直ちにAPID記憶部404をチェックする(ステップS402でno、S403)。今の例では、同じAPID"100"についての情報がAPID記憶部404に記憶されていないので、アドホック要求処理部402は、スキャンパラメータを決定し、決定したスキャンパラメータと共に携帯電話30の情報をAPID記憶部404に追加する(ステップS403でno、S404、S405)。 【0099】 ここで、スキャンパラメータの決定は、携帯電話30がアドホック要求端末通知で通知した3組の初期スキャンパラメータのうちの1組をランダムに選択して行う。また、決定したスキャンパラメータに、W−CDMA基地局40が当該APIDに対して割り当てたスキャンタイミング同期情報を付加する。今の場合、携帯電話30が通知してきた図11の3組の初期スキャンパラメータのうち、1組のスキャンパラメータ「SSID="ADHOCNET",チャネル=1,ビーコン間隔=1sec」を選択し、また、スキャンタイミング同期情報として「毎分00秒から05秒までスキャン」を割り当てたものとする。このとき、APID記憶部404の内容は図14のようになる。 【0100】 次にステップS406に進むと、当該携帯電話30が自基地局40に対して最初にAPIDを登録した端末であるので(ステップS406でyes)、携帯電話30にスキャン停止を通知するアドホック支援情報を送信する(ステップS411)。 【0101】 スキャン停止を通知するアドホック支援情報を受信した携帯電話30のアドホック通信支援情報処理部304は、図12のステップS306からステップS307に進み、アドホック通信制御部303に当該APIDのアドホック通信停止要求を送信する。このため、アドホック通信制御部303はアドホックネットワークに対するスキャンを行わない。 【0102】 以上の動作により、携帯電話30は自分が所属しているW−CDMA基地局40の無線圏内に他のアドホック通信可能な端末がいない場合、スキャンを停止して電力を節約できることがわかる。 【0103】 このような状況で、アドホック通信を希望する別のユーザが携帯電話31のユーザインタフェースを操作してアプリケーション310にアドホック通信の開始を要求したとする。携帯電話31上のアプリケーション310は以下のようにしてアドホック通信のセットアップを開始する。 【0104】 アプリケーション310は、まず自身のAPIDである"100"と、あらかじめ固定的に埋め込まれている初期スキャンパラメータ312をアドホック開始APID通知によってアドホック通信支援情報処理部304に通知する。 【0105】 アドホック通信支援情報処理部304は、図12のフローチャートに従うと、APIDリスト306にアプリケーション310から受け取ったAPIDと初期スキャンパラメータを追加し(ステップS301、S302)、W−CDMA基地局40にアドホック要求端末通知を送信する(ステップS303でyes、S304)。このアドホック要求端末通知には、携帯電話31の端末IDとAPIDである"100"と初期スキャンパラメータ312とが含まれる。 【0106】 このアドホック要求端末通知を受信したW−CDMA基地局40は、図13のフローチャートに従うと、APID記憶部404をチェックし(ステップS403)、携帯電話31が通知したAPID"100"の情報がすでに記憶されているので(ステップS403でyes)、携帯端末31の端末IDをAPID記憶部404に追加する(ステップS405)。これにより、APID記憶部404の内容は図15のようになる。 【0107】 次にステップS406に進むと、当該携帯電話31が携帯電話30に続いて2台目にAPIDを登録した端末であるので(ステップS407でyes)、2台の携帯電話30、31にスキャンを開始させるべく、APID記憶部404に記憶してあるスキャンパラメータおよびスキャンタイミング同期情報を含むアドホック支援情報を通知する(ステップS412)。すなわちスキャンパラメータとして「SSID="ADHOCNET",チャネル=1,ビーコン間隔=1sec」を、スキャンタイミング同期情報として「毎分00秒から05秒までスキャン」を含むアドホック支援情報をそれぞれ2台の携帯電話30、31のそれぞれに通知する。 【0108】 上記のアドホック支援情報を受信した携帯電話30、31は、図12のフローチャートに従うと、ステップS305からステップS306に進み、さらにステップS311に進んで、スキャンパラメータ記憶部305にAPIDが"100"のスキャンパラメータとして、基地局40から通知されたスキャンパラメータ「SSID="ADHOCNET",チャネル=1,ビーコン=1sec」を記憶させ、アドホック通信制御部303に基地局40から通知されたタイミング同期情報「毎分00秒から05秒までスキャン」を含む当該APIDのアドホック通信開始要求を送信する(ステップS312)。 【0109】 アドホック通信制御部303は、スキャンパラメータ記憶部305からスキャンパラメータ「SSID="ADHOCNET",チャネル=1,ビーコン=1sec」を読み出し、指定されたスキャンタイミング「毎分00秒から05秒までスキャン」に従ってスキャンを開始する。 【0110】 このように、携帯端末30、31は、同じ無線圏内に自分以外のアドホック通信を要求する同じアプリケーションが存在する場合のみスキャンを開始する。また、スキャンタイミング同期情報をW−CDMA基地局40から通知してもらうことにより、間欠的にスキャンを行うことが可能となり、常に無線LANインタフェース301の電源を入れておく必要がないため、スキャンの省電力化が図られる。 【0111】 ここで、携帯電話30、31のアドホック通信制御部303は、アドホック通信相手のスキャン実行中にビーコンの衝突によるエラーの有無やチャネルの混雑度、SSIDの重複などのネットワーク状態をモニタし、これらの項目に問題があると判断した場合は、W−CDMAインタフェース302を使用して、その旨を無線チャネル状態通知でW−CDMA基地局40に報告する。すなわち、今の例では、携帯電話30、31はスキャンパラメータ「SSID="ADHOCNET",チャネル=1,ビーコン=1sec」を用いてアドホック通信のスキャンを行っているが、他のネットワークからの干渉により通信エラーを検出したとすると、アドホック通信制御部303は無線チャネル状態通知をW−CDMA基地局40に通知する。 【0112】 この通知を受信したW−CDMA基地局40は、当該APIDのスキャンパラメータとして初期スキャンパラメータの中から別のものを選択し、APID記憶部404を更新し、APID記憶部404に登録されている端末ID全てに新たなスキャンパラメータを通知する。ここでは、APID記憶部404が例えば図16のように変更されたとすると、携帯電話30、31には、スキャンパラメータとして「SSID="ADHOCNET",チャネル=3,ビーコン間隔=1sec」、スキャンタイミング同期情報として「毎分30秒から35秒までスキャン」が通知される。携帯電話30、31は、この通知された新たなスキャンパラメータとスキャンタイミング同期情報を用いてスキャンを行う。これにより、携帯電話30、31はアドホックネットワークのスキャン時における他のネットワークからの干渉を軽減することができる。 【0113】 次に、図17に示すように、一方の携帯電話31がW−CDMA基地局40の無線圏外に移動し、W−CDMA基地局41の無線圏内に入ったとする。携帯電話31のアドホック通信支援情報処理部304は、図18のフローチャートに示すように、W−CDMA基地局の切り替えを検出すると(ステップS501)、APIDリスト306をチェックする(ステップS502)。今の場合、APIDリスト306には"100"のAPIDが登録されているので、このAPIDについて図12のステップS304以降の処理を行う(ステップS502でyes、S503〜S505)。すなわち、W−CDMA基地局41に端末IDとAPID"100"と初期スキャンパラメータを含むアドホック要求端末通知を送信する。 【0114】 W−CDMA基地局41は、このアドホック要求端末通知を受け取ると、図13のフローチャートに従い、ハンドオーバ元のW−CDMA基地局40に対して携帯端末31の端末IDとAPID"100"を含むアドホック終了端末通知を通知する(ステップS410)。次いで、APID記憶部404をチェックし(ステップS403)、APIDが"100"に対応する情報が記憶されていないので、スキャンパラメータを決定してAPID記憶部404に携帯電話31の情報を追加し(ステップS404、S405)、当該携帯電話31が最初にAPIDを登録した端末であるので、携帯電話31にスキャン停止を指示するアドホック支援情報を送信する(ステップS406でyes、S411)。 【0115】 スキャン停止を指示するアドホック支援情報を受信した携帯電話31は、図12のフローチャートに従うと、ステップS305からステップS306に進み、さらにステップS307に進んで、アドホック通信制御部303に当該APID"100"のアドホック通信停止要求を送信する。これにより、アドホック通信制御部303はスキャンを停止する。 【0116】 図19のフローチャートを参照すると、W−CDMA基地局41から携帯電話31の端末IDとAPID"100"を含む前記アドホック終了端末通知を受信したW−CDMA基地局40は、APID記憶部404をチェックし(ステップS601、S602)、APID記憶部404から携帯電話30のAPID"100"に関する情報を削除する(ステップS603でyes、S604)。この結果、W−CDMA基地局40のAPID記憶部404は図20のようになる。 【0117】 この時点でW−CDMA基地局40のAPID記憶部404において、APIDが"100"である端末は携帯電話30の1台のみとなったので(ステップS605でyes、S606)、W−CDMA基地局40のアドホック要求処理部402は、携帯電話30に対してスキャン停止を指示するアドホック支援情報を送信する(ステップS606でyes、S612)。 【0118】 以上より、携帯電話31が移動した場合にも無駄なスキャンが極力停止されることがわかる。 【0119】 次に本実施例の効果を説明する。 【0120】 第1の効果は、各携帯電話はアドホックネットワークを発見する際、不要なもしくは無駄なスキャン処理をなるべく省略することができ、待ち受け時の消費電力を減らすことができることである。 【0121】 その理由は、携帯電話のアプリケーションまたはユーザがアドホック通信を開始しようとする時点で、携帯電話が基地局にこれを通知し、それに対して基地局が他の携帯電話の存在の有無を判断し、携帯電話に対してその通知を行うことにより、携帯電話は自身と同じ基地局の無線圏内にアドホック通信が可能な他の携帯電話が存在しない場合はスキャンを停止することができるためである。また、別の理由として、基地局が、アドホック通信が可能な携帯電話に対してビーコン送信タイミングを同期させるための情報を通知することで、携帯電話はこれに従ってビーコンを間欠的に送受信することができるからである。 【0122】 第2の効果は、アドホックネットワークに対するスキャン時に相手端末の検出の成功率を改善することができることである。 【0123】 その理由は、ビーコンの衝突によるエラーを検出した場合、携帯電話が基地局に対しその旨を通知し、基地局はこれに対して原因となっている携帯電話に対してビーコンの間隔、送信タイミングなどの調整を行うため、ビーコンの衝突確率が減り、アドホックネットワークを検出する可能性が改善するからである。また別の理由として、周辺の他のネットワークで同じパラメータを使用していてその干渉を受けて通信効率が落ちている場合、携帯電話はこれを基地局に通知し、基地局はこれに対して干渉を避けるための最適なパラメータを決定して端末に通知することで、干渉を抑えることができるためである。 【0124】 以上本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明は以上の例に限定されず、その他各種の付加変更が可能である。 【0125】 たとえば、本発明の他の実施例として、その基本的構成は上記の通りであるが、新たにスキャンパラメータの設定を管理するデータベースサーバである設定データベースサーバをネットワーク上に設置し、基地局は、端末が通知する初期スキャンパラメータからスキャンパラメータをランダムに選ぶのではなく、前記設定データベースサーバに問い合わせてもよい。 【0126】 また他の実施例として、その基本的構成は上記の通りであるが、端末は基地局に初期スキャンパラメータを通知する際、アプリケーションが持つ複数の初期スキャンパラメータをすべて通知するのではなく、自身で周辺の電波環境を測定し、最も干渉の少なくなるスキャンパラメータのみを選んで通知するようにしてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0127】 【図1】本発明の実施の形態にかかる通信システムのブロック図である。 【図2】本発明の実施の形態にかかる無線基地局のブロック図である。 【図3】本発明の実施の形態にかかる携帯端末のブロック図である。 【図4】本発明の実施の形態にかかる携帯端末が備えるアドホック通信支援情報処理部の処理例を表すフローチャートである。 【図5】本発明の実施の形態にかかる無線基地局が備えるアドホック要求処理部の処理例を表すフローチャートである。 【図6】電波の干渉する状態を示す概要図である。 【図7】本発明の実施例にかかる携帯電話システムのブロック図である。 【図8】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおける携帯電話のブロック図である。 【図9】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおける携帯電話のスキャンパラメータ記憶部の記憶内容の一例を示す図である。 【図10】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおけるW−CDMA基地局のブロック図である。 【図11】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおける携帯電話のアプリケーションに設定されている初期スキャンパラメータの一例を示す図である。 【図12】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおける携帯電話に備わるアドホック通信支援情報処理部の処理例を表すフローチャートである。 【図13】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおけるW−CDMA基地局に備わるアドホック要求処理部の処理例を表すフローチャートである。 【図14】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおけるW−CDMA基地局に備わるAPID記憶部の記憶内容の一例を示す図である。 【図15】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおけるW−CDMA基地局に備わるAPID記憶部の記憶内容の変化例を示す図である。 【図16】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおけるW−CDMA基地局に備わるAPID記憶部の記憶内容の別の変化例を示す図である。 【図17】本発明の実施例における携帯電話の移動を示す模式図である。 【図18】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおける携帯電話に備わるアドホック通信支援情報処理部の他の処理例を表すフローチャートである。 【図19】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおける携帯電話に備わるアドホック通信支援情報処理部の他の処理例を表すフローチャートである。 【図20】本発明の実施例にかかる携帯電話システムにおけるW−CDMA基地局に備わるAPID記憶部の記憶内容の更に別の変化例を示す図である。 【符号の説明】 【0128】 10、11…携帯端末 20…無線基地局 101…免許不要無線インタフェース 102…公衆無線インタフェース 103…アドホック通信制御部 104…アドホック通信支援情報処理部 105…スキャンパラメータ記憶部 106…メモリ 107…アプリケーション 108…初期スキャンパラメータ 201…公衆無線インタフェース 202…アドホック要求処理部 203…アドホック端末ID記憶領域 204…スキャンパラメータ記憶領域 30、31…携帯電話 40、41…W−CDMA基地局 301…無線LANインタフェース 302…W−CDMAインタフェース 303…アドホック通信制御部 304…アドホック通信支援情報処理部 305…スキャンパラメータ記憶部 306…APIDリスト 307…バス 308…CPU 309…メモリ 310…アプリケーション 311…アプリケーションID(APID) 312…初期スキャンパラメータ 313…ユーザインタフェース 401…W−CDMAインタフェース 402…アドホック要求処理部 403…W−CDMA通信処理部 404…APID記憶部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004237 【氏名又は名称】日本電気株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月21日(2006.8.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088959 【弁理士】 【氏名又は名称】境 廣巳
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| 【公開番号】 |
特開2008−48304(P2008−48304A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月28日(2008.2.28) |
| 【出願番号】 |
特願2006−223829(P2006−223829) |
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