| 【発明の名称】 |
無線装置および通信制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】横田 知好
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| 【要約】 |
【課題】空間多重を行う期間の長期化を図ることにより、チャネル利用効率の低下を防止するとともに通信品質の向上を図ることができる無線装置を実現する。
【構成】通信中の端末の無線環境パラメータを取得するパラメータ取得部32と、取得した無線環境パラメータに基づいて複数の端末についての空間多重生成確率パラメータを算出し、算出したパラメータに基づいて複数の端末についての空間分割多重の可否を判定し、該判定結果に基づいて通信チャネルの切替制御を行う制御部60とを備える。制御部60は、空間多重により通信中で空間多重が否であると判定した端末組を検出すると、該端末組のいずれかの端末の通信チャネルを切替えて別の端末組で空間多重を確立する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の通信チャネルを使用し、さらに空間多重により一つの前記通信チャネル当たり最大m台(mは2以上の整数)の端末と無線通信を行う無線装置において、 通信中の端末についての無線環境パラメータを取得するパラメータ取得手段と、 前記取得された無線環境パラメータに基づいて、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に空間多重生成確率パラメータを算出するパラメータ算出手段と、 前記算出された空間多重生成確率パラメータに基づいて、当該端末組についての空間分割多重の可否を判定する判定手段と、 前記判定の結果に基づいて、通信チャネルの切替制御を行う制御手段と、 を備え、 前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出すると、該端末組の内のいずれかの端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させることにより、空間多重を維持させる、ことを特徴とする無線装置。 【請求項2】 前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出すると、該端末組の内のいずれかの端末が空間多重により収容可能な通信チャネルであるかどうかを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出し、該検出した通信チャネルに当該前記端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。 【請求項3】 前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出すると、空間多重を行わずに通信中の端末を空間多重により収容可能な通信チャネルの検出を前記空間多重生成確率パラメータに基づいて行い、該検出した通信チャネルに空間多重を行わずに通信中の当該端末の通信チャネルを切替えて別の端末組で空間多重を確立させ、この切替えにより空いた通信チャネルに前記空間多重が否であると判定された端末組のいずれかの端末の通信チャネルを切替える ことを特徴とする請求項1に記載の無線装置。 【請求項4】 前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組のいずれかの端末を、空間多重により収容可能な通信チャネルを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する迄の期間、一時的に制御チャネルを通信チャネルと兼用にして該制御チャネルに切替えさせることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の無線装置。 【請求項5】 前記制御手段は、制御チャネルを通信チャネルと兼用した後、所定期間が経過しても切替え可能な通信チャネルが無い場合には、制御チャネルに切替えさせた端末にハンドオーバーを指示することを特徴とする請求項4に記載の無線装置。 【請求項6】 前記制御手段は、端末に向けて送信する有意義な制御情報が無い場合には制御情報の送信及び受信処理を中止して通信チャネルの送信及び受信処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の無線装置。 【請求項7】 前記制御手段は、前記空間多重生成確率パラメータに基づいて、前記端末組の中から通信チャネルを切替えさせる端末を選択することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかの項に記載の無線装置。 【請求項8】 前記無線環境パラメータは、少なくとも端末から受信した信号の電界強度を含み、 前記パラメータ算出手段は、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に前記電界強度の比に基づいて前記空間多重生成確率パラメータの算出を行う ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかの項に記載の無線装置。 【請求項9】 前記無線環境パラメータは、端末からの受信応答ベクトルを含み、 前記パラメータ算出手段は、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に前記受信応答ベクトルの相関値を算出し、この相関値に基づいて当該端末組についての前記算出された空間多重生成確率パラメータを補正する ことを特徴とする請求項8に記載の無線装置。 【請求項10】 前記無線環境パラメータは、端末からの受信応答ベクトルの変化速度、又は、前記複数の通信チャネル及び制御チャネルからなる端末からの受信フレームのエラー率、又は、通信チャネルの周波数を含み、 前記パラメータ算出手段は、この無線環境パラメータに基づいて前記算出された空間多重生成確率パラメータを補正する ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の無線装置。 【請求項11】 前記パラメータ算出手段は、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に前記電界強度に基づいて当該端末組についての前記算出された空間多重生成確率パラメータを補正する ことを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかの項に記載の無線装置。 【請求項12】 複数の通信チャネルを使用し、さらに空間多重により一つの前記通信チャネル当たり最大m台(mは2以上の整数)の端末と無線通信を行う無線装置における通信制御方法であって、 通信中の端末についての無線環境パラメータを取得する過程と、 前記取得された無線環境パラメータに基づいて、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に空間多重生成確率パラメータを算出する過程と、 前記算出された空間多重生成確率パラメータに基づいて、当該端末組についての空間分割多重の可否を判定する過程と、 前記判定の結果に基づいて通信チャネルの切替制御を行う制御過程と、 を含み、 前記制御過程は、 空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出する過程と、 前記検出に基づいて、検出した前記端末組の内のいずれかの端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させることにより、空間多重を維持させる過程、 を含むことを特徴とする通信制御方法。 【請求項13】 前記制御過程は、 空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出する過程と、 該端末組の内のいずれかの端末が空間多重により収容可能な通信チャネルであるかどうかを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する過程と、 該検出した通信チャネルに当該前記端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させる過程と、 を含むことを特徴とする請求項12に記載の通信制御方法。 【請求項14】 前記制御過程は、 空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出する過程と、 空間多重を行わずに通信中の端末を空間多重により収容可能な通信チャネルを、前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する過程と、 該検出した通信チャネルに空間多重を行わずに通信中の当該端末の通信チャネルを切替えて別の端末組で空間多重を確立させる過程と、 この切替えにより空いた通信チャネルに前記空間多重が否であると判定された端末組のいずれかの端末の通信チャネルを切替える過程と、 を含むことを特徴とする請求項12に記載の通信制御方法。 【請求項15】 前記制御過程は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組のいずれかの端末を、空間多重により収容可能な通信チャネルを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する迄の期間、一時的に制御チャネルを通信チャネルと兼用にして該制御チャネルに切替えさせる過程を含むことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の通信制御方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、空間多重(SDMA;Spatial Division Multiple Access)方式の無線装置および通信制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来のSDMA無線通信システムは、無線基地局にアダプティブアレーアンテナ(Adaptive Array Antenna)を備え、ユーザ端末(以下、端末という)毎に指向性の異なる放射パターンの送信ビームを形成して同じ時間に複数の端末向けの電波を送信している。無線基地局は、ある端末の放射パターンを形成する際に、アダプティブビームフォーミング(AdaptiveBeam Forming)により送信相手の端末の方向に指向性を持たせ、かつ、アダプティブヌルスティアリング(AdaptiveNull Steering)によりそれ以外の端末の方向にヌルを形成する。これにより、端末のCIR(Carrier to Interference Ratio)を一定値(例えば15dB)以上に保って通信品質を確保しつつ、同じ通信チャネル(TCH)を複数の端末に割当て、チャネルの利用効率を上げている。 【0003】 上記したSDMA無線通信システムとしては、例えばPHS(登録商標)(Personal Handy−phone System)がある。このシステムにおいて無線基地局は、PHS(登録商標)規格で定められた時分割多重方式(TDMA/TDD;Time Division Multiple Access/Time Division Duplex)により端末と無線接続し、該時分割多重に加えて、さらに空間多重を行って端末と通信する。そして、その無線基地局は、自局の物理スロットに空きがなくなった状態で新たな呼の確立要求を受けた場合、所定レベル以上の既存の呼が複数存在するか確認して空間多重による収容を行っている(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2002−58061号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、上述した従来の無線基地局では、空間多重によりTCHを共用して既に複数の端末が通信中の場合に、端末が移動端末であるために固定の端末組で空間多重を良好な通信品質で維持するのが困難であり、それら端末のうち通信品質が劣化した端末からTCH切替要求を受けると、未使用のTCHがあれば該TCHに当該端末を収容変えし、一方、未使用のTCHが無いと当該端末をハンドオーバにより他の無線基地局に移動させる。このため空間多重を長期に渡って続けることが難しく、チャネルの利用効率が低下するという問題がある。さらに、ハンドオーバにより通信切断等の不具合が発生する虞があり、端末の通信品質が劣化するという問題もある。 【0005】 本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、空間多重を行う期間の長期化を図ることにより、チャネル利用効率の低下を防止するとともに通信品質の向上を図ることができる無線装置および通信制御方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記の課題を解決するために、請求項1に記載の無線装置は、複数の通信チャネルを使用し、さらに空間多重により一つの前記通信チャネル当たり最大m台(mは2以上の整数)の端末と無線通信を行う無線装置において、通信中の端末についての無線環境パラメータを取得するパラメータ取得手段と、前記取得された無線環境パラメータに基づいて、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に空間多重生成確率パラメータを算出するパラメータ算出手段と、前記算出された空間多重生成確率パラメータに基づいて、当該端末組についての空間分割多重の可否を判定する判定手段と、前記判定の結果に基づいて、通信チャネルの切替制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出すると、該端末組の内のいずれかの端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させることにより、空間多重を維持させる、ことを特徴としている。 【0007】 請求項2に記載の無線装置においては、前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出すると、該端末組の内のいずれかの端末が空間多重により収容可能な通信チャネルであるかどうかを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出し、該検出した通信チャネルに当該前記端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させることを特徴とする。 【0008】 請求項3に記載の無線装置においては、前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出すると、空間多重を行わずに通信中の端末を空間多重により収容可能な通信チャネルの検出を前記空間多重生成確率パラメータに基づいて行い、該検出した通信チャネルに空間多重を行わずに通信中の当該端末の通信チャネルを切替えて別の端末組で空間多重を確立させ、この切替えにより空いた通信チャネルに前記空間多重が否であると判定された端末組のいずれかの端末の通信チャネルを切替えることを特徴とする。 【0009】 請求項4に記載の無線装置においては、前記制御手段は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組のいずれかの端末を、空間多重により収容可能な通信チャネルを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する迄の期間、一時的に制御チャネルを通信チャネルと兼用にして該制御チャネルに切替えさせることを特徴とする。 【0010】 請求項5に記載の無線装置においては、前記制御手段は、制御チャネルを通信チャネルと兼用した後、所定期間が経過しても切替え可能な通信チャネルが無い場合には、制御チャネルに切替えさせた端末にハンドオーバーを指示することを特徴とする。 【0011】 請求項6に記載の無線装置においては、前記制御手段は、端末に向けて送信する有意義な制御情報が無い場合には制御情報の送信及び受信処理を中止して通信チャネルの送信及び受信処理を行うことを特徴とする。 【0012】 請求項7に記載の無線装置においては、前記制御手段は、前記空間多重生成確率パラメータに基づいて、前記端末組の中から通信チャネルを切替えさせる端末を選択することを特徴とする。 【0013】 請求項8に記載の無線装置においては、前記無線環境パラメータは、少なくとも端末から受信した信号の電界強度を含み、前記パラメータ算出手段は、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に前記電界強度の比に基づいて前記空間多重生成確率パラメータの算出を行うことを特徴とする。 【0014】 請求項9に記載の無線装置においては、前記無線環境パラメータは、端末からの受信応答ベクトルを含み、前記パラメータ算出手段は、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に前記受信応答ベクトルの相関値を算出し、この相関値に基づいて当該端末組についての前記算出された空間多重生成確率パラメータを補正することを特徴とする。 【0015】 請求項10に記載の無線装置においては、前記無線環境パラメータは、端末からの受信応答ベクトルの変化速度、又は、前記複数の通信チャネル及び制御チャネルからなる端末からの受信フレームのエラー率、又は、通信チャネルの周波数を含み、前記パラメータ算出手段は、この無線環境パラメータに基づいて前記算出された空間多重生成確率パラメータを補正することを特徴とする。 【0016】 請求項11に記載の無線装置においては、前記パラメータ算出手段は、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に前記電界強度に基づいて当該端末組についての前記算出された空間多重生成確率パラメータを補正することを特徴とする。 【0017】 請求項12に記載の通信制御方法は、複数の通信チャネルを使用し、さらに空間多重により一つの前記通信チャネル当たり最大m台(mは2以上の整数)の端末と無線通信を行う無線装置における通信制御方法であって、通信中の端末についての無線環境パラメータを取得する過程と、前記取得された無線環境パラメータに基づいて、通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に空間多重生成確率パラメータを算出する過程と、前記算出された空間多重生成確率パラメータに基づいて、当該端末組についての空間分割多重の可否を判定する過程と、前記判定の結果に基づいて通信チャネルの切替制御を行う制御過程と、を含み、前記制御過程は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出する過程と、 前記検出に基づいて、検出した前記端末組の内のいずれかの端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させることにより、空間多重を維持させる過程、を含むことを特徴としている。 【0018】 請求項13に記載の通信制御方法においては、前記制御過程は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出する過程と、該端末組の内のいずれかの端末が空間多重により収容可能な通信チャネルであるかどうかを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する過程と、 該検出した通信チャネルに当該前記端末の通信チャネルを切替えさせて別の端末組で空間多重を確立させる過程と、を含むことを特徴とする。 【0019】 請求項14に記載の通信制御方法においては、前記制御過程は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組を検出する過程と、空間多重を行わずに通信中の端末を空間多重により収容可能な通信チャネルを、前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する過程と、該検出した通信チャネルに空間多重を行わずに通信中の当該端末の通信チャネルを切替えて別の端末組で空間多重を確立させる過程と、この切替えにより空いた通信チャネルに前記空間多重が否であると判定された端末組のいずれかの端末の通信チャネルを切替える過程と、を含むことを特徴とする。 【0020】 請求項15に記載の通信制御方法においては、前記制御過程は、空間多重により通信中であって空間多重が前記空間多重生成確率パラメータに基づいて否であると判定された端末組のいずれかの端末を、空間多重により収容可能な通信チャネルを前記空間多重生成確率パラメータに基づいて検出する迄の期間、一時的に制御チャネルを通信チャネルと兼用にして該制御チャネルに切替えさせる過程を含むことを特徴とする。 【発明の効果】 【0021】 本発明によれば、端末の通信品質が劣化して通信チャネルの切替を要求される前に、通信チャネルの切替を行い、空間多重を行う期間の長期化を図ることができるので、チャネル利用効率の低下を防止するとともに通信品質の向上を図ることができるという優れた効果が得られる。 【0022】 また、端末から通信チャネルの切替要求がなされた場合でも、空間多重を許容できる通信チャネルに切り替えて空間多重の維持を図ることができる。 【0023】 さらに、空間多重することが許容できない端末を切替えさせる通信チャネルが無い場合には、制御チャネルを通信チャネルと兼用にして一時的に当該端末を退避させることにより、切替え可能な通信チャネルが準備できるのを待つことが可能となり、無線基地局から端末にハンドオーバーを指示することを少なくすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による無線基地局1(無線装置)の構成を示すブロック図である。 【0025】 この図1に示す無線基地局1は、PHS(登録商標)規格で定められた時分割多重方式(TDMA/TDD)方式に加え、更に空間多重方式を用いて、同一周波数で複数の信号を空間多重して、複数の端末との間でデジタル無線通信を行うPHS(登録商標)基地局である。無線基地局1は、アンテナ11〜14、無線部21〜24、信号処理部30、モデム部40、ベースバンド部50及び制御部60を備える。 【0026】 無線基地局1は、PHS(登録商標)規格に従って1つのTDMAフレーム内に4つのチャネル(1つの制御チャネル(CCH)と3つの通信チャネル(TCH))を多重し、1チャネルにつき空間多重が可能な最大m本(mは2以上の整数)の通信回線の信号を並列に処理する。1つのTDMAフレームは、5ミリ秒の周期を有し、各周期を8等分して得られる4つの送信タイムスロットと4つの受信タイムスロットとから構成される。1つの送信タイムスロットと1つの受信タイムスロットの組は時分割多重による1つの時分割チャネルを構成する。 【0027】 図1において、無線基地局1は、4つのアンテナ11〜14からなるアダプティブアレーアンテナを備えている。各アンテナ11〜14は、それぞれ無線部21〜24の送受信切り替えスイッチ100に接続されている。送受信切り替えスイッチ100は、これらアンテナ11〜14を時分割で制御して送信と受信との切り替え制御を行っている。各無線部21〜24は送信部101と受信部102を備え、それぞれ送受信切り替えスイッチ100を介してアンテナ11〜14に接続される。また、送信部101と受信部102は、信号処理部30に接続されている。 【0028】 送信部101は、アッパコンバータ、電力増幅器等を備え、信号処理部30から入力された信号を低周波から高周波に変換し、送信出力レベルにまで増幅して対応するアンテナに出力する。受信部102は、ローノイズ増幅器、ダウンコンバータ等を備え、対応するアンテナで受信された信号を高周波から低周波に変換し、増幅して信号処理部30に出力する。 【0029】 信号処理部30は、制御部60の制御下で、指向性パターンの形成に関する制御、即ち、各無線部21〜24から入力される空間多重された各端末からの受信信号を分離抽出してモデム部40に出力する。また、モデム部40から入力された送信信号を所望の端末へ送信できるように空間多重用に重み付けした信号を生成して各無線部21〜24に出力する制御を行う。信号処理部30は、1つの時分割チャネルにおいて空間多重される最大m個の信号を並列処理するために、m個のユーザ別信号処理部31(31−1〜m)を備える。 【0030】 また、通信中の端末についての各種無線環境パラメータを取得するパラメータ取得部32を備える。信号処理部30は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現される。 【0031】 モデム部40は、信号処理部30とベースバンド部50との間で、デジタル化されたベースバンド信号に対して所定の変復調方式により変調及び復調を行う。この変調及び復調は、1つの時分割チャネルにおいて空間多重される最大m個のベースバンド信号に対して並列に行われる。ベースバンド部50は、TDMA/TDD処理機能を有しており、ISDN回線等のデジタル通信回線に接続され、複数の通信回線とモデム部40との間で複数の信号(音声又はデータのベースバンド信号)を授受する。 【0032】 制御部60は、CPU及びメモリ等から構成され、無線基地局1全体の制御を行う。また、制御部60は、信号処理部30から各種無線環境パラメータを受け取り、この無線環境パラメータに基づいて通信中の端末の中から2乃至最大m台の端末からなる端末組毎に空間多重生成確率パラメータを算出し、この空間多重生成確率パラメータに基づいて、当該端末組についての空間分割多重の可否を判定する。そして、該判定結果に基づいて通信チャネルの切替制御を行う。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、2台の端末からなる端末組の場合を例に挙げて説明する。 【0033】 図2は、ユーザ別信号処理部31の構成を示すブロック図である。この図2においては、端末からの信号を受信した場合に動作する機能ブロックのみを図示している。ユーザ別信号処理部31は、判定部311と重みベクトル計算部312と受信応答ベクトル推定部313とを有する。判定部311は、無線部21〜24から入力される各受信信号X1(t)〜X4(t)に対して、各受信信号について重みベクトル計算部312が定めた重みベクトルを掛け合せた値の総和である仮受信信号y(t)が入力されるものであり、入力された仮受信信号の位相値を補正することにより、抽出信号S(t)を得てモデム部60に伝えるものである。また、判定部311は、抽出信号S(t)を重みベクトル計算部312及び受信応答ベクトル推定部313にも伝える。なお、抽出信号S(t)は、ある端末に相当するユーザからの信号として抽出された信号を意味する。 【0034】 重みベクトル計算部312は、端末からの受信時におけるアンテナ指向性パターンを形成するための重みベクトルを算出する。重みベクトル計算部312は、所定の参照信号を参照し、判定部311から伝えられた信号S(t)を用いて、無線部21〜24から入力される各受信信号に対して次の時刻(t+1)において掛け合せるべき重みベクトルを算出する。 【0035】 受信応答ベクトル推定部313は、無線部21〜24から入力される各受信信号X1(t)〜X4(t)と、判定部311から入力される信号S(t)とから、(1)式に基づき各端末からの受信応答ベクトル(Spatial Signature)を求めて出力する。 【0036】 アンテナn本からなるアダプティブアレーアンテナを備えた無線基地局において、2つのユーザと空間多重により通信している時、判定部311に入力される仮受信信号y(t)は、(1)式で表される。 【数1】
【0037】 H1はユーザ1からの受信応答ベクトル、H2はユーザ2からの受信応答ベクトル、WR1はユーザ1に対する受信重みベクトル、WR2はユーザ2に対する受信重みベクトル、SRX1(t)はユーザ1が出力した送信信号、SRX2(t)はユーザ2が出力した送信信号、N(t)は雑音ベクトルである。 【0038】 なお、受信応答ベクトルは、ユーザである端末から無線基地局までの信号の伝播路を表すものである。図3は受信応答ベクトルについて説明するための概念図である。図3において、2つのユーザ1,2の端末2−1、2−2が空間多重により無線基地局1と通信している。ここで、端末2−1が送信する信号は、4つのアンテナ11〜14でそれぞれ受信される。この時の端末2−1の受信応答ベクトルH1は各アンテナ11〜14に対応する4つのベクトル成分H11,H21,H31,H41から構成される。同様に、端末2−2の受信応答ベクトルH2は各アンテナ11〜14に対応する4つのベクトル成分H12,H22,H32,H42から構成される。 【0039】 図4は、パラメータ取得部32の構成を示すブロック図である。パラメータ取得部32は、RSSI計算部321と受信応答ベクトル変化速度計算部322とFER計算部323とTCH周波数取得部324と受信DD比計算部325と相関値計算部326とを有する。RSSI計算部321は、端末毎についての受信電力レベル(RSSI)を、当該端末からのCRCエラー及びUWエラーの無い受信バースト毎に算出して記録する。 【0040】 受信応答ベクトル変化速度計算部322は、端末毎についての受信応答ベクトルの変化速度を、当該端末からのCRCエラー及びUWエラーの無い受信バースト毎に算出して記録する。受信応答ベクトルの変化速度dは(2)式により定義する。 d=(Htn・Htn+1)/(|Htn||Htn+1|) ・・・(2) 但し、Htnは時刻tnにおける受信応答ベクトル、Htn+1は時刻tnから5ミリ秒経過後の受信応答ベクトルである。 【0041】 FER計算部323は、端末毎についての受信のFER(フレームエラー率)を算出して記録する。TCH周波数取得部324は、端末毎についてのTCHの周波数を取得して記録する。 【0042】 受信DD比計算部325は、各端末間毎についての受信DD(Desired to Desired)比を算出して記録する。受信DD比は、ある2つの端末間のRSSIのレベル比として算出される。この算出にはRSSI計算部321で算出された各端末のRSSIが使用される。相関値計算部326は、各端末間毎についての受信応答ベクトルの相関値を算出して記録する。この相関値Coは(3)式により表される。 Co=(H1・H2)/(|H1||H2|) ・・・(3) 但し、H1はユーザ1からの受信応答ベクトル、H2はユーザ2からの受信応答ベクトルである。 【0043】 上記各部321〜326によって取得された各種無線環境パラメータ(RSSI、受信応答ベクトル変化速度、FER、TCH周波数、受信DD比及び相関値)は制御部60に出力される。なお、上記各部321〜326は、通信中の全ての端末について、空間多重の有無に関わらず無線環境パラメータの算出を行う。また、無線環境パラメータの算出開始後、所定期間(数ミリ秒)以上経過するまでの値は無効とし、以降は一定周期で取得する。RSSI、受信応答ベクトル変化速度、FER及びTCH周波数についてはt1ミリ秒周期で取得し、受信DD比及び相関値についてはt2ミリ秒周期で取得する。 【0044】 図5は、制御部60の構成を示すブロック図である。この図5においては、通信チャネルの切替制御についての機能ブロックのみを図示している。制御部60は、受信DD比処理部601とFER処理部602とRSSI処理部603と相関値処理部604とTCH周波数処理部605と受信応答ベクトル変化速度処理部606と空間多重生成確率パラメータ計算部610と空間多重判定部620とチャネル切替制御部630とを有する。 【0045】 受信DD比処理部601は、パラメータ取得部32から受信DD比を受け取り、全ての2つの端末の組について、各端末組についての受信DD比の一定期間(所定のフレーム数分、ここではLフレーム分とする)の平均値を算出する。そして、その平均値に応じて当該端末組の確率推奨値パラメータPDDを求める。確率推奨値パラメータPDDとしては予め受信DD比の各値に対応する値が記憶されている。この例では確率推奨値パラメータPDDは1〜254のいずれかの整数であり、値が大きい程、空間多重できる確率が高いことを表す。即ち、確率推奨値パラメータPDDの値が大きな端末組ほど、空間多重により安定して通信できることを表している。 【0046】 FER処理部602は、パラメータ取得部32からFERを受け取り、全ての端末組について、各端末組についてのLフレーム間での最大のFERを記録し、この最大のFERに応じて当該端末組のパラメータValFERを求める。パラメータValFERとしては予めFERの各値に対応する値が記憶されている。この例ではパラメータValFERは1〜254のいずれかの整数であり、値が大きい程、空間多重を阻害する確率が高いことを表す。即ち、パラメータValFERの値が大きな端末の組ほど、空間多重による通信が不安定になることを表している。 【0047】 RSSI処理部603は、パラメータ取得部32からRSSIを受け取り、全ての端末組について、各端末組についてのLフレーム間でのRSSIのレベルの平均値を端末毎に算出する。そして、端末組の2つの平均値の小さい方の値に応じて当該端末組のパラメータValRSSIを求める。パラメータValRSSIとしては予めRSSIの各レベルに対応する値が記憶されている。この例ではパラメータValRSSIは1〜254のいずれかの整数であり、値が大きい程、空間多重時に受信電力レベルの下がる度合いが大きく、これによりハンドオーバーが起動されて空間多重を阻害する確率が高いことを表す。即ち、パラメータValRSSIの値が大きな端末の組ほど、ハンドオーバーが起動されやすく、空間多重による通信が不安定になることを表している。 【0048】 相関値処理部604は、パラメータ取得部32から相関値を受け取り、全ての端末組について、各端末組についてのLフレーム間での相関値の平均値を算出する。そして、その平均値に応じて当該端末組のパラメータValCOを求める。パラメータValCOとしては予め相関値の各値に対応する値が記憶されている。この例ではパラメータValCOは1〜254のいずれかの整数であり、値が大きい程、空間多重を阻害する確率が高いことを表す。即ち、パラメータValCOの値が大きな端末の組ほど、空間多重による通信が不安定になることを表している。 【0049】 TCH周波数処理部605は、パラメータ取得部32からTCH周波数を受け取り、全ての端末組について、各端末組についてのTCH周波数の差を算出する。そして、その周波数差に応じて当該端末組のパラメータValTCHを求める。パラメータValTCHとしては予めTCH周波数差の各値に対応する値が記憶されている。この例ではパラメータValTCHは1〜254のいずれかの整数であり、値が大きい程、即ち周波数差が大きい程、空間多重時に、空間多重する前に算出した確率推奨値PDDからの誤差が大きくなることを表す。即ち、パラメータValTCHの値が大きな端末の組ほど、空間多重による通信が不安定になることを表している。 【0050】 受信応答ベクトル変化速度処理部606は、パラメータ取得部32から受信応答ベクトル変化速度を受け取り、全ての端末組について、各端末組についての受信応答ベクトル変化速度を算出する。そして、その受信応答ベクトル変化速度に応じて当該端末組のパラメータValSPEEDを求める。パラメータValSPEEDとしては予め受信応答ベクトル変化速度の各値に対応する値が記憶されている。この例ではパラメータValSPEEDは1〜254のいずれかの整数であり、値が大きい程、空間多重を阻害する確率が高いことを表す。 【0051】 即ち、パラメータValSPEEDの値が大きな端末の組ほど、空間多重による通信が不安定になることを表している。 【0052】 上記各処理部601〜606によって算出された各種パラメータ(PDD、ValFER、ValRSSI、ValCO、ValTCH、ValSPEED)は空間多重生成確率パラメータ計算部610に出力される。なお、上記各処理部601〜606は、通信中の全ての端末について、空間多重の有無に関わらずパラメータの算出を行う。 【0053】 空間多重生成確率パラメータ計算部610は、(4)式によりLフレーム間での空間多重生成確率パラメータP(L)を算出する。 P(L)=PDD−ValFER−ValRSSI−ValCO−ValTCH−ValSPEED ・・・(4) この(4)式にて示されるように、受信DD比に基づく確率推奨値パラメータPDDを各種パラメータValFER,ValRSSI,ValCO,ValTCH,ValSPEEDで補正して空間多重生成確率パラメータP(L)を求める。 【0054】 さらに、空間多重生成確率パラメータ計算部610は、N個のLフレームについてのN個の空間多重生成確率パラメータP(L)を算出する。そして、それらN個の空間多重生成確率パラメータP(L)の平均値PMeanを算出する。これをN*Lフレーム毎に繰り返し、平均値PMeanを空間多重生成確率パラメータとして空間多重判定部620に出力する。 【0055】 空間多重判定部620は、N*Lフレーム毎に空間多重生成確率パラメータ計算部610から空間多重生成確率パラメータPMeanを受け取り、各端末組毎に空間分割多重の可否を判定する。空間多重判定部620は、3つの閾値Tb、Tf、Tuを有しており、これら閾値を使用して空間分割多重の可否の判定を行う。閾値Tbは空間多重により通信中の端末組を解消するための閾値である。閾値Tfは空間多重を許可するための閾値である。 【0056】 閾値Tuは空間多重により通信中の端末からTCH切替要求を受信した時に、当該端末が他の別の端末と組になって空間多重することを許可するための閾値である。閾値Tu≦閾値Tfである。閾値Tb、Tf、Tuは、デフォルト値として、いずれも「255(N−1)/N」に設定されている。但し、各閾値Tb、Tf、Tuの値は任意の値に設定変更することができる。 【0057】 チャネル切替制御部630は、空間多重判定部620から空間分割多重の可否の判定結果を受け取り、この判定結果に基づいてチャネル切替処理を行い、制御信号を出力して通信チャネルの切替制御を行う。 【0058】 次に、図6〜図8を参照して、上述した無線基地局1の通信チャネルの切替に係る動作を説明する。図6〜図8は、制御部60が行うチャネル切替処理の流れを示す第1〜3のフローチャートである。初めに、無線基地局1は、空間多重により端末を収容する際に以下の2つの条件を満たすようにする。条件1;3つの通信チャネル(TCH)の全体で最大(3+K)個のユーザ(端末)と同時に通信接続する。条件2;1つのTCHで空間多重するユーザ数はm以下とする。但し、K<3(m−1)であり、mは1チャネルにつき空間多重が可能な最大ユーザ数である。上記条件は、空間多重しているユーザ呼の通信品質を空間多重していないユーザ呼と同程度に保ち、ハンドオーバーの起動を極力少なくするためのものである。通常、空間多重の要求が発生するのはネットワークのトラヒックが混み合っている場合が多いので、ハンドオーバーが起動されても他の無線基地局で拒否される虞がある。このためハンドオーバーが無視できない確率で失敗する。それ故、空間多重を行っている場合には、特に、無線基地局からユーザにハンドオーバーを指示することをできるだけ少なくするようにする。 【0059】 先ず、空間多重を行っていない場合、チャネル切替制御部630は、初めて空間多重の要求が発生すると、「空間多重生成確率パラメータPMean(以下、単にPMeanとする)≧閾値Tf」を満足し、空間多重可と判定された端末組のうち、PMeanが最大の組を空間多重するように通信チャネルの切替を行う。 【0060】 次に、図6において、チャネル切替制御部630は、空間多重を行っている端末組の検出を行い(ステップS1)、これを検出すると(ステップS2でYES)、ステップS3に進み、検出なし(ステップS2でNO)の場合には処理を終了する。ステップS3では、該検出された空間多重中の端末組について、「PMean<閾値Tb」を満足し空間多重否と判定された場合に、当該端末組の2つの端末をチャネル切替候補としてステップS4に進み、一方、空間多重可の場合には図7のステップS11へ進む。 【0061】 ステップS4では、チャネル切替候補のいずれかの端末との間で「PMean≧閾値Tf」を満足し、空間多重可と判定された他の通信チャネルの端末の検出を行う。ここで、検出あり(ステップS5でYES)の場合はステップS6に進み、一方、ステップS5でNOの場合は図8のステップS21に進む。ステップS6では、チャネル切替候補の端末が空間多重可として検出された通信チャネルに、該チャネル切替候補の端末を切替えさせる(チャネル切替処理1)。なお、双方のチャネル切替候補端末について、空間多重可の通信チャネルが検出された場合には、PMeanが大きい方の組を空間多重するように通信チャネルの切替を行う。図9にこのチャネル切替処理1の概念図を示す。図9では、先ずSlot4で(K+1)のユーザ(端末)が空間多重により通信を行っている。次いで、Slot4のある端末組が空間多重否と判定される。次いで、該チャネル切替候補のいずれかの端末とSlot3で通信中の端末が空間多重可と判定され、当該チャネル切替候補の端末がSlot3にチャネル切替され、Slot3で2つのユーザ(端末)が空間多重により通信を行う。 【0062】 次に、図7のステップS11では、空間多重中の端末組であって空間多重可と判定された組のいずれかの端末から、TCH切替要求を受信したか否かを判断する。そして、TCH切替要求を受信した場合にはステップS12に進み、受信していない場合にはその処理を終了する。ステップS12では、該TCH切替要求を送信した端末(チャネル切替候補)との間で「PMean≧閾値Tu」を満足し、空間多重可と判定された他の通信チャネルの端末の検出を行う。ここでは、ユーザの品質が劣化していると考えられるので、閾値Tu(≦閾値Tf)を使用して空間多重の維持を図る。次いで、検出あり(ステップS13でYES)の場合はステップS6に進み、チャネル切替候補の端末が空間多重可として検出された通信チャネルに、該チャネル切替候補の端末を切替えさせる(チャネル切替処理1)。一方、ステップS13でNOの場合は図8のステップS21に進む。 【0063】 次に、図8のステップS21では、空間多重せずに通信中の端末について、「PMean≧閾値Tf」を満足し空間多重可と判定された端末組の検出を行う。ここで、検出あり(ステップS22でYES)の場合はステップS23に進み、検出なし(ステップS22でNO)の場合にはステップS24に進む。 【0064】 ステップS23では、ステップS21で検出された端末組を空間多重するように通信チャネルの切替を行う。そして、このチャネル切替によって空いたチャネルにチャネル切替候補端末のいずれか一方を切替えさせる(チャネル切替処理2)。この切替えさせる端末の選択は、各端末組のPMeanに基づき空間多重の安定度が増すように行う。図10にこのチャネル切替処理2の概念図を示す。図10では、先ずSlot4で(K+1)のユーザ(端末)が空間多重により通信を行っている。そして、Slot4のある端末組が空間多重否と判定されるが、該チャネル切替候補端末のいずれも空間多重可となる他の通信チャネルが検出されない。次いで、Slot3のユーザとSlot2のユーザが空間多重可と判定され、Slot3のユーザをSlot2にチャネル切替させて空間多重により通信させる。次いで、空いたSlot3にチャネル切替候補端末のいずれか適切な方をチャネル切替させる。 【0065】 次に、ステップS24では、空きの通信チャネルを準備できないので、チャネル切替候補端末のいずれか一方を一時的に制御チャネルに切替えさせる(チャネル切替処理3)。図11にこのチャネル切替処理3の概念図を示す。図11では、先ずSlot4で(K+1)のユーザ(端末)が空間多重により通信を行っている。そして、Slot4のある端末組が空間多重否と判定されるが、該チャネル切替候補端末のいずれも空間多重可となる他の通信チャネルが検出されない。さらに、Slot3のユーザとSlot2のユーザが空間多重否と判定される。ここで、Slot4の1ユーザをSlot1の制御チャネルにチャネル切替させて制御チャネルを通信チャネルと兼用にする。 【0066】 なお、制御チャネルを通信チャネルと兼用にした場合には、制御情報の送信方法を変更する。この変更方法は端末との間で予め定められている。例えば、無線基地局は、端末に向けて送信する有意義な制御情報が無い場合には制御情報の送信及び受信処理を中止して通信チャネルの送信及び受信処理を行う。これにより、通信チャネルの処理に割り当てる時間が増えるので、FERを低く抑えることができ、通信品質が向上する。 【0067】 次いで、制御チャネルを通信チャネルと兼用している場合に、ユーザの無線環境の変化により、制御チャネルに切替えさせた端末について空間多重可と判定された通信チャネル(図11のSlot2〜4のいずれか)が検出されたり、あるいは上記チャネル切替処理1、2や通信中の呼の終了により切替え可能な通信チャネルができると、制御チャネルに切替えさせた端末を該切替え可能な通信チャネルに切替えさせる。他方、制御チャネルを通信チャネルと兼用した後、所定期間が経過しても切替え可能な通信チャネルができなかった場合には、復旧不可能と判断して当該端末にハンドオーバーを指示する。 【0068】 上述したように本実施形態によれば、通信中の端末についての無線環境パラメータを取得して端末組毎についての空間多重生成確率パラメータを算出する。そして、その空間多重生成確率パラメータに基づいて当該端末組についての空間分割多重の可否を判定し、この判定結果に基づいて通信チャネルの切替制御を行う。これにより、端末の通信品質が劣化して通信チャネルの切替を要求される前に、通信チャネルの切替を行い、空間多重を行う期間の長期化を図ることが可能となる。この結果、チャネル利用効率の低下を防止するとともに、一定基準以上のGOS(Grade Of Service)を保つことができ、通信品質の向上を図ることができる。 【0069】 また、端末から通信チャネルの切替要求がなされた場合でも、空間多重を許容できる通信チャネルに切り替えて空間多重の維持を図ることができる。さらに、空間多重することが許容できない端末を切替えさせる通信チャネルが無い場合には、制御チャネルを通信チャネルと兼用にして一時的に当該端末を退避させることにより、切替え可能な通信チャネルが準備できるのを待つことが可能となり、無線基地局から端末にハンドオーバーを指示することを少なくすることができる。 【0070】 さらに、各種無線環境パラメータに基づいて空間多重生成確率パラメータを補正するので、空間多重生成確率パラメータが最適化され空間多重の可否判定の精度が向上し、空間多重による通信の安定度が増す。 【0071】 なお、各無線環境パラメータについては、フィールド実験やネットワークでの実際の運用時にチューニングすることが可能である。これにより、更に、空間多重生成確率パラメータを最適なものとすることができ、一定のGOSを保ちながら空間多重している呼の通信時間をさらに長くすることができる。また、ネットワークの環境に応じて適切な種類のパラメータを用いるようにしてもよい。 【0072】 なお、空間多重中の端末が現在の通信チャネルにおいて空間多重することが可能か否かについては、当該端末の受信応答ベクトル変化速度に基づき以下の手順で判定することができる。手順1;T1ミリ秒毎に計算された受信応答ベクトル変化速度dの小さい方からQ1%までの値を抽出してヒストグラムを作成する。手順2;手順1の処理を開始した後、T2秒経過した時点で、作成されたヒストグラムを用いて「d≧閾値A」を満足する割合を計算する。この処理は呼が終了するまで続ける。手順3;「d≧閾値A」を満足する割合がQ2%以上の時、空間多重することを許容できると判定する。 【0073】 なお、上述した実施形態では、パラメータ取得部32がパラメータ取得手段に対応する。また、各無線環境パラメータの処理部601〜606と空間多重生成確率パラメータ計算部610がパラメータ算出手段に対応する。また、空間多重判定部620が判定手段に対応する。また、チャネル切替制御部630が制御手段に対応する。 【0074】 以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。 【図面の簡単な説明】 【0075】 【図1】本発明の一実施形態による無線基地局1(無線装置)の構成を示すブロック図である。 【図2】ユーザ別信号処理部31の構成を示すブロック図である。 【図3】受信応答ベクトルについて説明するための概念図である。 【図4】パラメータ取得部32の構成を示すブロック図である。 【図5】制御部60の構成を示すブロック図である。 【図6】制御部60が行うチャネル切替処理の流れを示す第1のフローチャートである。 【図7】制御部60が行うチャネル切替処理の流れを示す第2のフローチャートである。 【図8】制御部60が行うチャネル切替処理の流れを示す第3のフローチャートである。 【図9】チャネル切替処理1の概念図である。 【図10】チャネル切替処理2の概念図である。 【図11】チャネル切替処理3の概念図である。 【符号の説明】 【0076】 1:無線基地局、11〜14:アンテナ、21〜24:無線部、30:信号処理部、31−1〜m:ユーザ別信号処理部、32:パラメータ取得部、40:モデム部、50:ベースバンド部、60:制御部、100:送受信切り替えスイッチ、101:送信部、102:受信部、311:判定部、312重みベクトル計算部、313:受信応答ベクトル推定部、321:RSSI計算部、322:受信応答ベクトル変化速度計算部、323:FER計算部、324:TCH周波数取得部、325:受信DD比計算部、326:相関値計算部、601:受信DD比処理部、602:FER処理部、603:RSSI処理部、604:相関値処理部、605:TCH周波数処理部、606:受信応答ベクトル変化速度処理部、610:空間多重生成確率パラメータ計算部、620:空間多重判定部、630:チャネル切替制御部。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006633 【氏名又は名称】京セラ株式会社
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| 【出願日】 |
平成19年10月15日(2007.10.15) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−35564(P2008−35564A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月14日(2008.2.14) |
| 【出願番号】 |
特願2007−267823(P2007−267823) |
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