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【発明の名称】 無線通信装置
【発明者】 【氏名】武田 倫明

【要約】 【課題】処理コストを押さえ、アプリケーションの要求を周囲の電波環境に加味して通信相手別に最適な周波数チャネルを選択することを可能とし、ネットワーク全体のデータ転送効率を向上させることを可能とする無線通信装置を提供する。

【構成】チャネル通信品質評価部13は、各周波数チャネルの通信品質を、送受信が実施される毎に受信電界強度、誤り検出頻度、誤り訂正頻度又はパケット再送状態などを用いて評価し、通信相手別、使用パケット別又は通信内容別に評価結果のテーブルを保持する。チャネル品質順位付け処理部14は、これら評価の結果を基に周波数チャネルの順位付けを行う。この順位に基づいて、送受信動作管理部2は、最適な周波数チャネルを選択して制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数チャネルを用いて無線通信を行うための通信装置であって、
受信データのエラー検出又は訂正、及び受信データの解析を行うデータ解析部と、
前記データ解析部の解析結果から受信した周波数チャネルの通信品質の評価を行うチャネル通信品質評価部と、
前記チャネル通信品質評価部から出力される評価値から、周波数チャネルの順位付けを行うチャネル品質順位付け処理部と、
前記チャネル品質順位付け処理部のデータを参照して、送受信を行う周波数チャネルを選択する制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記チャネル品質順位付け処理部は、周波数チャネルの順位付けを行う配列のデータを保持し、前記チャネル通信品質評価部から評価値が出力されるたびに該評価値を挿入する箇所を探索し、配列データの更新を行うことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記チャネル品質順位付け処理部は、前記配列データを通信相手別、エラー訂正能力若しくは再送制御の有無等のパケット種類別又は制御情報であるか否か等のデータ種類別に複数保持し、前記制御部は、周波数チャネル選択時に、通信相手、パケットの種類又はデータの種類を判定して前記配列データの1つを選択し、周波数チャネルの制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記チャネル通信品質評価部は、複数の指標に基づいて、評価値を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記チャネル通信品質評価部は、前記指標ごとに評価値に重み付けし、全ての評価値を合算して周波数チャネルの評価値を算出することを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記指標は、受信電界強度、データの誤り訂正若しくは検出の頻度、送受信データ中の固定パターン部におけるビット誤り率又はパケット再送率等であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、周波数チャネルの選択を行い、該周波数チャネルの順位に基づいて、送信するデータを選択することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項8】
同期転送についてのテーブルを備え、前記制御部は、該テーブルを参照して前記順位付けした配列データの1つを選択することを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれか1つに記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、時分割で無線により送受信を行うにあたり、複数の周波数チャネルを切り替えながら通信を行う無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ノイズに強く、耐障害性が高く、通信の秘匿性が優れているスペクトラム拡散の方式の一つである周波数ホッピング方式という無線通信の方法が知られている。
【0003】
周波数ホッピング方式による無線通信では、通信周波数帯域を複数の細かい周波数チャネルに分割し、この各周波数を時分割で通信に用いる事で周波数拡散を実現し誤りへの耐性を高めている。この周波数ホッピングによる通信技術においては、使用する周波数を均一に拡散する事で通信状態が平均化され、全体としては通信状態に極端な差がでにくく、また、通信状態の悪い環境でも接続を保つ事が可能となっている。
【0004】
現在、この周波数ホッピング方式による無線通信を行うBluetooth(登録商標)と呼ばれる通信規格がある。この通信規格が使用する2.45GHzの周波数帯はBluetoothだけでなくIEEE 802.11bで規格されている無線LANなどの他の無線通信方式にも使用されており、場合によっては電波の干渉によりデータ通信速度や品質の劣化が生じることもある。
【0005】
このため各周波数チャネルにおけるパケットの誤り発生率や受信信号の電界強度の評価に基づき、基準に満たない周波数チャネルを必要最低限のチャネル数を下回らない範囲で不使用とし、干渉などによる品質劣化への耐性を持たせる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−244330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあるような周波数チャネル選択手法においては、次に述べるような課題がある。
【0007】
第1に、通信相手が複数である場合に、同じ周波数チャネルを使用していても、接続相手との距離が異なることによる受信電界強度などの評価結果の差が発生するが、従来技術では接続相手別の状態を加味せずにチャネルの品質を評価するため、通信品質が著しく異なる接続相手が一つでも存在すると、周波数チャネルの使用または不使用の判断が適切でなくなる問題がある。
【0008】
第2に、必要チャネル数を確保するために閾値を変更する際、閾値の変化幅を大きく取ると、さほど通信品質の良くない周波数チャネルも使用することになる可能性があり、最適な選択ができないという問題、又は閾値の変化幅を小さくして最適な周波数チャネル選択を行おうとすると、必要な周波数チャネル数の確保までに多くの再選択の実施が必要になるという問題がある。
【0009】
一方で、周波数チャネルの通信品質の順位付けを行えばこの問題はなくなるが、特許文献1によれば、一般的なソーティングアルゴリズムによる順位付けは処理コストが高くつくという問題が指摘されている。
【0010】
本発明の目的は、処理コストを押さえ、アプリケーションの要求を周囲の電波環境に加味して通信相手別に最適な周波数チャネルを選択することを可能とし、ネットワーク全体のデータ転送効率を向上させることを可能とする無線通信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
斯かる実情に鑑み、第1の発明による無線通信装置は、複数の周波数チャネルを用いて無線通信を行うための通信装置であって、受信データのエラー検出又は訂正、及び受信データの解析を行うデータ解析部と、前記データ解析部の解析結果から受信した周波数チャネルの通信品質の評価を行うチャネル通信品質評価部と、前記チャネル通信品質評価部から出力される評価値から、周波数チャネルの順位付けを行うチャネル品質順位付け処理部と、前記チャネル品質順位付け処理部のデータを参照して、送受信を行う周波数チャネルを選択する制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明による無線通信装置は、前記チャネル品質順位付け処理部が、周波数チャネルの順位付けを行う配列のデータを保持し、前記チャネル通信品質評価部から評価値が出力されるたびに該評価値を挿入する箇所を探索し、配列データの更新を行うことを特徴とする。
【0013】
また、第3の発明による無線通信装置は、前記チャネル品質順位付け処理部が、前記配列データを通信相手別、エラー訂正能力若しくは再送制御の有無等のパケット種類別又は制御情報であるか否か等のデータ種類別に複数保持し、前記制御部は、周波数チャネル選択時に、通信相手、パケットの種類又はデータの種類を判定して前記配列データの1つを選択し、周波数チャネルの制御を行うことを特徴とする。
【0014】
また、第4の発明による無線通信装置は、前記チャネル通信品質評価部が、複数の指標に基づいて、評価値を出力することを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明による無線通信装置は、前記チャネル通信品質評価部が、前記指標ごとに評価値に重み付けし、全ての評価値を合算して周波数チャネルの評価値を算出することを特徴とする。
【0016】
また、第6の発明による無線通信装置は、前記指標が、受信電界強度、データの誤り訂正若しくは検出の頻度、送受信データ中の固定パターン部におけるビット誤り率又はパケット再送率等であることを特徴とする。
【0017】
また、第7の発明による無線通信装置は、前記制御部が、周波数チャネルの選択を行い、該周波数チャネルの順位に基づいて、送信するデータを選択することを特徴とする。
【0018】
また、第8の発明による無線通信装置は、同期転送についてのテーブルを備え、前記制御部が、該テーブルを参照して前記順位付けした配列データの1つを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アプリケーションの要求を周囲の電波環境に加味して、通信相手別、使用パケット別、通信内容別に最適な周波数チャネルを選択することが可能となるため、ネットワーク全体のデータ転送効率を向上させることを可能とする。
【0020】
また、随時順位付けの整列が行われている配列を利用するので、更新時には配列における挿入箇所の探索の処理を行えばよく、整列処理が簡易化されており、処理コストも抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の実施形態における無線通信装置1のブロック図である。
【0022】
送受信動作管理部2では、基本的には通信規格に準拠した送受信タイミングの管理、リンク管理およびデータの再送制御管理を行う。
【0023】
データ送信動作として、送信データ生成部3にて送信データが生成されると、送受信動作管理部2からの送信タイミング制御、リンク制御およびデータ再送制御の情報に基づき、送信パケット選択部4で送信パケット選択を行い、送信パケット構築部5において、送信データ生成部3及び送信パケット選択部4からの出力を得て、通信規格に従って送信パケットの構築が行われる。更に、送受信動作管理部2からの制御情報に基づき、チャネル選択部6にて送信チャネルを選択し、送受信周波数制御部7で送信周波数の制御を行い、送信パケット構築部5及び送受信周波数制御部7の出力を得て、送信回路8により変調され、アンテナ9から送信信号が出力される。
【0024】
データ受信動作としては、送受信動作管理部2からの受信タイミング制御、リンク制御およびデータ再送制御の情報に基づき、チャネル選択部6にて受信チャネルを選択し、チャネル選択部6からの情報を基に送受信周波数制御部7で受信周波数制御を行い、送受信周波数制御部7からの制御情報の出力を得て、受信回路10においてデータ復調を行い、受信データ解析部11にて受信データのエラー検出/訂正、受信パケット解析を行い、受信データ処理部12に出力することで受信データを取得する。
【0025】
なお、送信および受信のチャネル選択においては、規格で定められた周波数ホッピングパターンに従った選択が行われるが、このパターンの中でどのチャネルを使用するのかは、リンク管理において規格で定められた手順を用いて、送信側および受信側の双方で決定することとする。
【0026】
本発明においては、上記の処理に加えて、受信動作の際に、受信データ解析部11における結果により、チャネル通信品質評価部13において受信動作を行っているチャネルの通信品質の評価を行い、チャネル品質順位付け処理部14にて受信動作を完了する度にチャネル品質の順位付けも同時に行う。この順位の情報は、送受信動作管理部2に出力され、チャネル選択部6にてチャネルを選択する制御情報に利用されることとなる。
【0027】
ところで、特許文献1で指摘のあるように、順位付けに関して一般的なソーティングアルゴリズムを実装すると処理コストが高くつく。この理由は、一般的なアルゴリズムはもとの順位付けが基本的に整列されていない事を前提としていて、完全なソーティングを実施する事を目的としているからである。しかし、本発明においては、受信動作を完了する度に順位付けを行うことにより、整列処理の簡易化を行うため、処理コストの問題を解消することができる。
【0028】
まず、通信品質の評価は、評価手法によらず最終的には数値で表すものとし、数値の表現形式は特に制約は設けない。例えば0から255の整数による256段階や、0.0から1.0の小数、もしくは0か1の2段階など、システムのコストや実装の容易さなどを考慮して任意に設定を行う。また、順位付けは、評価結果がまったく同じ場合でも同じ順位とはせず、必ず順位差をつける事とする。この場合、どのチャンネルを上位とするかの選択方法に特に制約はない。このルールに基づき、チャネル品質順位付け処理部14は、順位、チャネル番号、通信品質評価値の関係を示すテーブルを持つ。
【0029】
[通信品質の順位付け]
次に、受信する際の通信品質の順位付けの手順について説明する。
【0030】
本発明による通信システムを起動するにあたって、チャネル品質順位付け処理部14は、前記テーブルを初期化しておく。この初期化においては、各チャネルの品質評価値と順位付けの関係は整列された状態として矛盾がないようにする。例えば、任意の順位付けであっても、評価値を全て同じ値としていれば上記ルールに矛盾がなく、整列されているとみなすことができるので問題ない。
【0031】
上記初期化を行い、受信動作のための各種処理を開始する。そして、受信を完了するごとに1つのチャネルの通信品質を評価する。評価の結果、そのチャネルについて、新たに順位付けしなおすが、もともと他のチャネルの順位は、配列に格納されて整列されている状態であるので、並べ替える必要はなく、どの順位に挿入すべきであるのかを上位もしくは下位から順に比較する処理を行えばよい。又は上位と下位に配列を2分割して、どちらに含まれるのかを探索、又は2分木等の木構造を利用しての探索などの作業で容易に判断可能である。
【0032】
このように、チャネルの順位付けの配列が常に整列されている状態を維持しているため、チャネルを減らす際には、単純に上位から必要最低限のチャネル数を考慮してチャネル選択を行うなど、処理が容易となる。
【0033】
なお、この方法で順位付けに利用するテーブルについては、システム全体で一つでもよいが、通信相手別、使用パケット種類別、データ内容別、もしくはこれらの組み合わせで複数のテーブルを持つようにすれば、よりきめ細かなチャネル割当てに利用することが可能となる。
【0034】
ここで、使用パケット種類別とは、例えばBluetooth規格ではパケットの種類はエラー訂正能力および再送制御の有無によって区別されているので、このような区分を利用する。すなわち、この区分を基に、エラー訂正能力の低い又は再送制御の定義されていないパケットを使うリンクでは品質の良いチャネルを割当てるといったことが可能となる。
【0035】
また、データ内容別とは、例えばリンク制御情報なのかそれ以外のデータなのかなどにより区分が行われる。すなわち、この区分を基に、リンク制御情報には品質の良いチャネルを割当てるといったことが可能となる。ただし、データ内容での分け方では、更に上位のリンク識別において高速転送や等時性などが必要なのかなどという条件も考慮に入れ、更に細かくテーブルを用意してもよい。テーブルを細かく用意する場合、例えばBluetooth規格では通信相手別のテーブルについては仕様に定められた手順を用いて互いに知らせる事が可能であるが、データ内容別のテーブルとする場合には、上位プロトコルのリンク識別番号とテーブルを関連付ける必要がある。例えば、同期もしくは等時性データには専用のテーブルを使用するというモードを用意する、又はテーブルを送る際にリンク識別番号も同時に送るなどで対応すればよい。
【0036】
[通信品質の評価]
次に、通信品質を評価する指標の例をあげる。
【0037】
まず、指標としてあげられるのは、受信電界強度である。これは、実際に通信に使用している場合には受信回路の仕様に照らし合わせてある程度の範囲内であることが望まれるが、逆に通信に使用していないチャネルであれば一定以下の強度であることが望まれる。したがって、機器自身のチャネルの使用状態に応じて評価値を決定する必要がある。この指標を通信相手別の順位付けテーブルに利用すると、現状に沿ったものとなり、より効果的である。
【0038】
次に、指標として、受信データ解析部11にて行われる誤り訂正または誤り検出機能において実施された訂正または検出の割合を利用することが考えられる。例えばBluetooth規格においては、1/3FEC(Forward Error Correction、前方誤り訂正制御方式)による誤り訂正が適用される部分では、受信ビット数と訂正が実行されたビット数を一定期間モニターして比率を求める事が可能である。また、パケットヘッダー部のビットエラーチェックでは、受信パケット数とエラー検出数の比率を求める事が可能である。この他にも、2/3FECによる誤り訂正/検出の結果や、CRC(Cyclic Redundancy Check、巡回冗長検査)によるデータ部のエラーチェック結果も同様に利用することが可能である。これらはいずれも使用しているチャネルに対する評価となる。
【0039】
また、同期ワードによる品質評価も可能である。この場合、同期ワードが検出できた時に、同期ワードに含まれていた誤りビット数をカウントする事でエラー率を求めることができる。また、通信規格上必ず相手からの送信があるはずであったにもかかわらず同期ワードが検出できなかった場合にも、誤り許容数以上であったという事でカウントすることが可能である。
【0040】
また、パケット再送率による品質評価も可能である。これは受信と送信の両方が考えられる。まず、受信の場合には、再送を要求する可能性のあるパケットを受信した回数に対して、再送を要求した回数をカウントすることになる。また、送信の場合には、再送する可能性のあるパケットを送信した回数に対して、再送を行った回数をカウントすることになる。ここで、送信においては、再送時点ではどのチャネルで前回送信したのかが不明なため、前回の送信チャネルがわかるよう記録しておく必要がある。
【0041】
これまでに述べた手法を用いることで、一つ以上のテーブルのそれぞれのチャネルに対して一つもしくは複数の評価を得ることになる。
【0042】
一つのみの指標で順位付けをする場合には評価結果の値をそのまま使用してもよいが、複数の指標を考慮に入れる場合には、各指標についての重み係数を設定しておく。そして、各指標による結果を、例えば0.0〜1.0や0〜255のように共通の範囲で正規化した後に、これら評価結果の数値それぞれに重み付け係数を掛け、これらの数値を足し合わせ又は掛け合わせると、指標の重要度を考慮に入れた順位付けとして使用することができる。
【0043】
図2の(a)〜(c)は、チャネル通信品質評価部13に格納されているテーブルの一例である。図2(a)は、重み付け係数のテーブルである。図2(b)は、それぞれの指標についてのチャネルごとの評価結果についてのテーブルである。図2(c)は、重み付け係数を掛け、足し合わせた評価値のテーブルを示したものである。チャネルBは、指標D、EについてチャネルAより高い数値の評価結果を示していたが、重み付けを行うと、チャネルAは、重み係数の高い指標Fについて高い数値であったので、最終的な評価値は、チャネルAの方が高く、図2(d)はチャネル品質順位付け処理部14に格納されている順位付けテーブルの一例であるが、チャネルAの順位がチャネルBの順位よりも上位となる。このようにして、複数の指標について、指標の重要度を考慮した評価値が算出される。
【0044】
例えば、受信電界強度による評価の結果、電界強度が弱くなかった場合でも、接近しすぎていて強すぎる場合や、他の信号との干渉がある場合にはエラー訂正/検出などによる評価では品質が良いとの結果は出ない。このような場合には、受信電界強度による結果とエラー訂正/検出による結果に重み付けを行い、これらの数値を掛け合わせ又は足し合わせると、実際の転送レートの向上に効果的な順位付けが可能となる。
【0045】
なお、別の手法として、指標ごとに正規化の範囲を変えることにより重み付けを行い、これらの数値を足し合わせる又は掛け合わせるという手順にしても計算の順序が変わるだけで結果は等価である。
【0046】
また、例えば、パケットの部分ごとに1/3FECや2/3FECというようにビットエラーに対するエラー訂正/検出能力が異なる場合があり、受信動作全体としては両方の情報を利用する事が考えられる場合もある。このような場合、ビットエラー耐性という意味では同じ種類の評価軸であるため、重み付けを決めて足し合わせ又は掛け合わせるという手法を用いてもよい。
【0047】
以上に述べた手法で、一つ以上のテーブルに対して各チャネルの通信品質が評価され、順位付けされた状態となる。
【0048】
実際に送受信に使用するチャネルの選択は、複数のテーブルを利用する場合には、まずどのテーブルを使用するのかを選択する事から始まる。
例えば、通信開始の時点では互いに使用するチャネルに制限を加えることはできないため、全チャネルを使用することになる。全チャネルを使用可能とし、リンクが確立できた後に、通信相手別のテーブルを持っている場合、各通信相手に対してどのチャネルを使用するかの割り当てを行い、通信相手を切り替えるごとにテーブルを切り替える事となる。
【0049】
また、Bluetooth規格などにおける同期転送では、同期データを転送する時刻を決めた状態で通信が行われる。このような場合に、例えば同期転送用のテーブルを記憶部(不図示)に保持し、同期転送用のテーブルに基づき、同期転送の時刻かどうかを判断しテーブルを切り替えるとしてもよい。
【0050】
また、テーブルを一つしか持たない場合でも、チャネルの選択を行った後に、そのチャネルの通信品質によって送信するパケットもしくはデータを変更するとしてもよい。
【0051】
例えば、選択したチャネルが順位付けとして上位にある場合には、エラー訂正能力の低い、もしくは再送能力がない、もしくはデータ長が長い、もしくは等時性が必要など通信品質の影響を受けやすいパケットや内容の重要なパケットを優先的に選択して送るという事が考えられる。また、選択されたチャネルの品質があまり良くなく、順位付けが下位の場合は、通信頻度が低いもしくは通信速度の遅いリンクのパケットを送るといったようにしてもよい。
【0052】
以上のように、本発明は、アプリケーションの要求を周囲の電波環境に加味して、通信相手別、使用パケット別、通信内容別に最適な周波数チャネルを選択することを可能とし、ネットワーク全体のデータ転送効率を向上させることを可能とする。
【0053】
また、随時順位付けの整列が行われている配列を利用するので、更新時には配列における挿入箇所の探索の処理を行えばよく、処理コストも抑えることができる。
【0054】
尚、本発明の無線通信装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態における無線通信装置のブロック図である。
【図2】(a)は、重み付け係数のテーブル、(b)は、各チャネルの評価結果、(c)は、各チャネルの評価結果に重み付けを行った評価値のテーブル、(d)は、順位付けテーブルを示した図である。
【符号の説明】
【0056】
1 無線通信装置
2 送受信動作管理部
3 送信データ生成部
4 送信パケット選択部
5 送信パケット構築部
6 チャネル選択部
7 送受信周波数制御部
8 送信回路
9 アンテナ
10 受信回路
11 受信データ解析部
12 受信データ処理部
13 チャネル通信品質評価部
14 チャネル品質順位付け処理部
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介

【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義

【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂


【公開番号】 特開2008−35174(P2008−35174A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205952(P2006−205952)