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【発明の名称】 移動体通信システム及び物理回線変更方法
【発明者】 【氏名】鈴木 政晴

【要約】 【課題】基地局装置と交換機間の物理回線の使用に障害が生じた場合に、移動局装置の処理負荷が大きくなってしまうことを防止する。

【構成】複数のBCHを選択的に用いて通信接続されている基地局装置20と交換機10とを含む移動体通信システム1において、基地局装置20は、リンクを示すリンク識別情報と対応付けて記憶部211に記憶されるBCHの使用に障害が生じたことを検出する検出部242と、検出部242の検出結果に応じて、上記リンク識別情報と対応付けて記憶部121及び211に記憶されるBCHを、前記複数のBCHのうち、上記リンク識別情報と対応付けて各記憶部に既に記憶されている物理回線情報により示されるBCH以外のBCHに変更する処理を行う物理回線情報変更部222と、をさらに含む、ことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物理回線を選択的に用いて通信接続されている基地局装置と交換機とを含み、移動局装置が、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行う移動体通信システムであって、
前記基地局装置及び前記交換機は、
前記リンクを示すリンク識別情報と対応付けて、該リンクを構成する前記物理回線を示す物理回線情報を記憶する記憶部と、
前記リンクにて送信されるべき通信データを、該リンクを示すリンク識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線により送信する送信部と、
前記リンクにて受信されるべき通信データを、該リンクを示すリンク識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線により受信する受信部と、
を含み、
前記基地局装置及び前記交換機のうち少なくとも一方は、
前記リンク識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線の使用に障害が生じたことを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記リンク識別情報と対応付けて前記基地局装置及び前記交換機に含まれる前記各記憶部に記憶される物理回線情報を、前記複数の物理回線のうち、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に既に記憶されている物理回線情報により示される物理回線以外の物理回線を示す物理回線情報に変更する処理を行う物理回線情報変更部と、
をさらに含む、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体通信システムにおいて、
前記基地局装置及び前記交換機のうち少なくとも一方は、
前記複数の物理回線のうち、いずれか1つを示す物理回線情報を、前記リンク識別情報と対応付けて、前記各記憶部に記憶させることにより、該リンク識別情報により示されるリンクを設定するリンク設定部と、
前記リンク設定部によるリンクの設定に際し、前記複数の物理回線のうち、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に記憶させた物理回線情報により示される物理回線とは異なる1又は複数の物理回線について、コネクションを確立するコネクション確立部と、
をさらに含む、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の移動体通信システムにおいて、
前記検出部により、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線の使用に障害が生じたことが検出された場合に、前記複数の物理回線のうち、その使用に障害が生じた前記物理回線以外の1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する選択部、
をさらに含み、
前記物理回線情報変更部は、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に記憶する物理回線情報を、前記選択部により選択された物理回線を示す物理回線情報に変更する、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体通信システムにおいて、
複数の移動局装置がそれぞれ、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行い、
前記選択部は、前記複数の物理回線のうち、その使用に障害が生じた前記物理回線以外の1又は複数の物理回線それぞれを含むリンクの数に応じて、該1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の移動体通信システムにおいて、
複数の移動局装置がそれぞれ、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行い、
前記選択部は、前記複数の物理回線のうち、その使用に障害が生じた前記物理回線以外の1又は複数の物理回線それぞれを通過する通信データの量に応じて、該1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項6】
請求項3乃至5に記載の移動体通信システムにおいて、
複数の移動局装置がそれぞれ、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行い、
前記選択部は、前記各移動局装置の無線通信状態に応じて、前記1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項7】
複数の物理回線を選択的に用いて通信接続されている基地局装置と交換機とを含み、移動局装置が、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行う移動体通信システムにおいて、前記リンクを構成する物理回線を変更するための方法であって、
前記基地局装置及び前記交換機は、
前記リンクにて送信されるべき通信データを、リンクごとに前記物理回線を示す物理回線情報を記憶する記憶部において、該リンクについて記憶される物理回線情報により示される物理回線により送信する送信ステップと、
前記リンクにて受信されるべき通信データを、該リンクについて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線により受信する受信ステップと、
を実行し、
前記基地局装置及び前記交換機のうち少なくとも一方は、
前記リンクについて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線の使用に障害が生じたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける検出の結果に応じて、前記リンクについて前記基地局装置及び前記交換機に含まれる前記各記憶部に記憶される物理回線情報を、前記複数の物理回線のうち、前記リンクについて前記各記憶部に既に記憶されている物理回線情報により示される物理回線以外の物理回線を示す物理回線情報に変更する処理を行う物理回線情報変更ステップと、
をさらに実行する、
ことを特徴とする物理回線変更方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は移動体通信システム及び物理回線変更方法に関し、特に、通信の安定性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムには、移動局装置が通信を開始する際にリンクを設定するようにしているものがある。このリンクは、移動局装置と基地局装置間の物理回線(例えば、周波数分割多重の例では、周波数。)のうちのひとつと、基地局装置と交換機間の物理回線(例えば、ISDNの例では、BCH。)のうちのひとつと、を含んで構成される。上記設定は、リンクを構成する物理回線を特定するための処理である。通信データは、リンクを構成する物理回線を順に辿って、送受信される。
【0003】
このようなリンクを用いる場合、切断や輻輳により、基地局装置と交換機間の物理回線の使用に障害が生ずると、リンクの再設定が必要になる。
【0004】
なお、特許文献1には、通信網の切断や輻輳を利用者に通知することに関する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平6−141073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記再設定では、その使用に障害が生じた物理回線が直接収容されている基地局装置及び交換機はもちろん、移動局装置においても再設定処理を行うこととなる。これにより、移動局装置の処理負荷が大きくなってしまう。
【0006】
従って、本発明の課題の一つは、基地局装置と交換機間の物理回線の使用に障害が生じた場合に、移動局装置の処理負荷が大きくなってしまうことを防止する移動体通信システム及び物理回線変更方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明にかかる移動体通信システムは、複数の物理回線を選択的に用いて通信接続されている基地局装置と交換機とを含み、移動局装置が、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行う移動体通信システムであって、前記基地局装置及び前記交換機は、前記リンクを示すリンク識別情報と対応付けて、該リンクを構成する前記物理回線を示す物理回線情報を記憶する記憶部と、前記リンクにて送信されるべき通信データを、該リンクを示すリンク識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線により送信する送信部と、前記リンクにて受信されるべき通信データを、該リンクを示すリンク識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線により受信する受信部と、を含み、前記基地局装置及び前記交換機のうち少なくとも一方は、前記リンク識別情報と対応付けて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線の使用に障害が生じたことを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて、前記リンク識別情報と対応付けて前記基地局装置及び前記交換機に含まれる前記各記憶部に記憶される物理回線情報を、前記複数の物理回線のうち、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に既に記憶されている物理回線情報により示される物理回線以外の物理回線を示す物理回線情報に変更する処理を行う物理回線情報変更部と、をさらに含む、ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、基地局装置と交換機の間に閉じた処理によりリンクを構成する物理回線を変更することができるので、基地局装置と交換機間の物理回線の使用に障害が生じた場合に、移動局装置の処理負荷が大きくなってしまうことが防止される。
【0009】
また、上記移動体通信システムにおいて、前記基地局装置及び前記交換機のうち少なくとも一方は、前記複数の物理回線のうち、いずれか1つを示す物理回線情報を、前記リンク識別情報と対応付けて、前記各記憶部に記憶させることにより、該リンク識別情報により示されるリンクを設定するリンク設定部と、前記リンク設定部によるリンクの設定に際し、前記複数の物理回線のうち、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に記憶させた物理回線情報により示される物理回線とは異なる1又は複数の物理回線について、コネクションを確立するコネクション確立部と、こととしてもよい。
【0010】
コネクション型プロトコルを用いる場合には、物理回線を通信の用に供する前に、通信装置間でコネクションの確立処理が行われる。通信可能であることを互いに確認するためである。この処理には一定の時間がかかるので、物理回線情報変更部により物理回線を変更しようとする際に一定の時間を要することになる。上記通信システムによれば、変更対象となり得る物理回線について予めコネクションを確立しておくので、物理回線情報変更部による物理回線の変更を迅速に行うことができるようになる。
【0011】
また、上記各移動体通信システムにおいて、前記検出部により、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線の使用に障害が生じたことが検出された場合に、前記複数の物理回線のうち、その使用に障害が生じた前記物理回線以外の1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する選択部、をさらに含み、前記物理回線情報変更部は、前記リンク識別情報と対応付けて前記各記憶部に記憶する物理回線情報を、前記選択部により選択された物理回線を示す物理回線情報に変更する、こととしてもよい。
【0012】
これによれば、物理回線情報変更部は、リンクを構成する物理回線を、選択部により選択された物理回線に変更することができる。
【0013】
また、上記移動体通信システムにおいてさらに、複数の移動局装置がそれぞれ、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行い、前記選択部は、前記複数の物理回線のうち、その使用に障害が生じた前記物理回線以外の1又は複数の物理回線それぞれを含むリンクの数に応じて、該1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する、こととしてもよい。
【0014】
これによれば、選択部は、例えば最も通信数が少ない物理回線を選択することができる。
【0015】
また、上記各移動体通信システムにおいて、複数の移動局装置がそれぞれ、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行い、前記選択部は、前記複数の物理回線のうち、その使用に障害が生じた前記物理回線以外の1又は複数の物理回線それぞれを通過する通信データの量に応じて、該1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する、こととしてもよい。
【0016】
これによれば、選択部は、例えば通過する通信データの量が最も少ない物理回線を選択することができる。
【0017】
また、上記各移動体通信システムにおいて、複数の移動局装置がそれぞれ、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行い、前記選択部は、前記各移動局装置の無線通信状態に応じて、前記1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択する、こととしてもよい。
【0018】
これによれば、選択部は、例えば無線通信状態の悪い1又は複数の移動局装置が使用している物理回線を選択することができる。
【0019】
また、本発明にかかる物理回線変更方法は、複数の物理回線を選択的に用いて通信接続されている基地局装置と交換機とを含み、移動局装置が、前記複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行う移動体通信システムにおいて、前記リンクを構成する物理回線を変更するための方法であって、前記基地局装置及び前記交換機は、前記リンクにて送信されるべき通信データを、リンクごとに前記物理回線を示す物理回線情報を記憶する記憶部において、該リンクについて記憶される物理回線情報により示される物理回線により送信する送信ステップと、前記リンクにて受信されるべき通信データを、該リンクについて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線により受信する受信ステップと、を実行し、前記基地局装置及び前記交換機のうち少なくとも一方は、前記リンクについて前記記憶部に記憶される物理回線情報により示される物理回線の使用に障害が生じたことを検出する検出ステップと、前記検出ステップにおける検出の結果に応じて、前記リンクについて前記基地局装置及び前記交換機に含まれる前記各記憶部に記憶される物理回線情報を、前記複数の物理回線のうち、前記リンクについて前記各記憶部に既に記憶されている物理回線情報により示される物理回線以外の物理回線を示す物理回線情報に変更する処理を行う物理回線情報変更ステップと、をさらに実行する、ことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態にかかる移動体通信システム1のシステム構成を示す図である。同図に示すように、移動体通信システム1は交換機10、基地局装置20、移動局装置30を含んで構成される。ここでは、移動体通信システム1がPHSである場合を例にとって説明する。
【0022】
交換機10、基地局装置20、移動局装置30は、いずれもCPU及びメモリを備えるコンピュータである。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行するための処理ユニットであり、各装置の各部を制御する処理を行うとともに、後述する各機能を実現する。メモリは本実施の形態を実施するためのプログラムやデータを記憶している。また、CPUのワークメモリとしても動作する。
【0023】
また、交換機10、基地局装置20、移動局装置30は、いずれも通信装置として機能する。交換機10と基地局装置20とは、2本のISDN回線により通信接続されている。すなわち、4本のBCHと、1本のDCHとで通信接続されている。図1には、4本のBCHのみを表示している。一方、基地局装置20と移動局装置30とは無線接続される。基地局装置20は、周波数分割多重などの多重化により、複数の移動局装置30と同時に通信を行う。
【0024】
移動局装置30は、図示しないネットワークとの間で、パケット通信を行う。基地局装置20及び交換機10は、このパケット通信にて送受信される通信データを中継する。
【0025】
上記パケット通信では、交換機10と移動局装置30との間で、リンクと呼ばれる通信ルートが利用される。リンクは、移動局装置30と基地局装置20間の物理回線(例えば、周波数分割多重の例では、周波数。無線チャネルという。)のうちのひとつと、基地局装置20と交換機10間の物理回線(例えば、ISDNの例では、BCH。)のうちのひとつと、を含んで構成される。
【0026】
なお、通常、1つのBCHには複数のリンクが割り当てられる。すなわち、複数の移動局装置30が、BCHを共同使用する。
【0027】
本実施の形態では、リンクを構成するBCHに障害が生じた場合に、基地局装置20と交換機10の間に閉じた処理により、該リンクを構成する物理回線を変更する。以下、この点について、基地局装置20及び交換機10の機能ブロックを参照しながら、詳細に説明する。
【0028】
図1には、基地局装置20及び交換機10の機能ブロックも示されている。同図に示すように、基地局装置20は機能的に、データ通信制御部21、通信ルート制御部22、タイマ制御部23、及び4つの回線制御部24を含んで構成される。データ通信制御部21は、その内部に、記憶部211、無線通信状態取得部212、送信番号情報付与部213、送信順確認部214を含んで構成される。また、通信ルート制御部22は、その内部に、リンク設定部221、物理回線情報変更部222、選択部223を含んで構成される。さらに、各回線制御部24は、その内部に、コネクション確立部241、検出部242、スループット監視部243、回線品質監視部244を含んで構成される。
【0029】
また、交換機10は、4つの回線制御部11と、データ通信制御部12と、を含んで構成される。各回線制御部11は、その内部に、コネクション確立部111を含んで構成される。また、データ通信制御部12は、その内部に、記憶部121、送信番号情報付与部122、送信順確認部123を含んで構成される。
【0030】
まず、リンクの設定処理にかかる構成について説明する。移動局装置30が通信を開始する際、リンク設定部221は、該移動局装置30についてのリンクを設定する。具体的には、リンク設定部221は、各BCHについて交換機10との間でコネクションを確立するとともに、1つの無線チャネルについて移動局装置30との間でコネクションを確立する。そして、コネクションが確立したBCHのうちのひとつを示す物理回線情報と、設定するリンクを示すリンク識別情報と、を対応付けて記憶部211及び記憶部121に記憶させる。なお、リンク設定部221は、記憶部121には、さらに上記移動局装置30を示す移動局装置識別情報についても、上記リンク識別情報と対応付けて記憶させる。また、リンク設定部221は、コネクションが確立した無線チャネルを示す物理回線情報と、上記リンク識別情報と、を対応付けて記憶部211及び移動局装置30に記憶させる。
【0031】
BCHコネクションの確立について、詳細に説明する。
【0032】
各回線制御部24及び各回線制御部11は、それぞれ特定の物理回線(BCH)と対応付けて設置される。リンク設定部221は、各BCHにそれぞれ対応して設けられる回線制御部24のコネクション確立部241に対し、コネクションを確立するよう、指示する。各コネクション確立部241は、この指示を受けると、対応するBCHを利用して、交換機10に対し、コネクション確立要求を送信する。
【0033】
各回線制御部11は、コネクション確立部241により送信された上記コネクション確立要求を受信する。回線制御部11が対応するBCHでコネクション確立要求を受信すると、コネクション確立部111は、基地局装置20に対し、該BCHを使用してコネクション確立応答を返送する。
【0034】
各回線制御部24は、コネクション確立部111により送信された上記コネクション確立応答を受信する。回線制御部24が対応するBCHでコネクション確立応答を受信すると、コネクション確立部241は、該BCHのコネクションが確立されたことを、リンク設定部221に対して報告する。一方、コネクション確立要求送信後所定時間内に上記コネクション確立応答が受信されない場合、コネクション確立部241は、該BCHのコネクションが確立できないと判断し、その旨を、リンク設定部221に対して報告する。
【0035】
リンク設定部221は、コネクションが確立されたBCHのなかから、所定基準(例えば、既に割り当てられているリンクの数が最も少ないもの、など)により1つを選択する。そして、選択したBCHを示す物理回線情報を、上記リンク識別情報と対応付けて、記憶部211及び記憶部121に記憶させる。また、リンク設定部221は、コネクションが確立されたBCHについて、上記リンクに関するコネクションが確立されている旨を記憶する。
【0036】
次に、通信データの送受信処理にかかる構成について説明する。まず、上り通信では、移動局装置30は、記憶している無線チャネルを使用して、通信データを無線送信する。このとき、移動局装置30は、記憶しているリンク識別情報を通信データに付加する。
【0037】
データ通信制御部21はアンテナを備えており、移動局装置30が無線送信した通信データを受信するとともに、該通信データに付加されたリンク識別情報を取得する。
【0038】
データ通信制御部21は、上記通信データを、取得したリンク識別情報と対応付けて記憶部211に記憶される物理回線情報により示されるBCHにより送信する。具体的には、データ通信制御部21は、該BCHに対応する回線制御部24に、上記通信データを出力する。回線制御部24は、データ通信制御部21から入力された通信データを、対応するBCHにより、交換機10に対して送信する。
【0039】
各回線制御部11は、対応するBCHから入力される通信データを、データ通信制御部12に対して出力する。
【0040】
データ通信制御部12は、各回線制御部11から通信データの入力を受ける。この通信データは、上記リンク識別情報と対応付けて記憶部121に記憶される物理回線情報により示されるBCHと対応する回線制御部11から入力される。データ通信制御部21は、こうして入力された通信データを、図示しないネットワークに送信する。
【0041】
次に、下り通信では、データ通信制御部12は、図示しないネットワークから、特定の移動局装置30宛の通信データを受信する。データ通信制御部12は、受信した通信データの宛先と対応付けて記憶されるリンク識別情報を記憶部121から読み出す。こうして読み出されたリンク識別情報により示されるリンクは、上記通信データが送信されるべきリンクである。
【0042】
データ通信制御部12は、上記通信データを、読み出したリンク識別情報と対応付けて記憶部121に記憶される物理回線情報により示されるBCHにより送信する。具体的には、データ通信制御部12は、該BCHに対応する回線制御部11に、上記通信データを出力する。なお、このとき、データ通信制御部12は、読み出したリンク識別情報を通信データに付加する。回線制御部11は、データ通信制御部12から入力された通信データを、対応するBCHにより、基地局装置20に対して送信する。
【0043】
各回線制御部24は、対応するBCHから入力される通信データを、データ通信制御部21に対して出力する。
【0044】
データ通信制御部21は、各回線制御部11から通信データの入力を受ける。この通信データは、上記リンク識別情報と対応付けて記憶部211に記憶される物理回線情報により示されるBCHと対応する回線制御部24から入力される。データ通信制御部21は、こうして入力された通信データに付加されたリンク識別情報を取得し、該リンク識別情報と対応付けて記憶部211に記憶される物理回線情報により示される無線チャネルにより無線送信する。
【0045】
次に、リンクを構成するBCHに障害が発生した場合の処理にかかる構成について説明する。
【0046】
通信ルート制御部22は、リンクを構成するBCHに障害が発生したことを検出し、検出結果に応じて、リンクを制御する。以下、具体的に説明する。
【0047】
検出部242は、リンク識別情報と対応付けて記憶部211に記憶される物理回線情報により示されるBCHの使用に障害が生じたことを検出する。この障害の具体的な例としては、切断や輻輳が挙げられる。
【0048】
選択部223は、検出部242により、リンク識別情報と対応付けて記憶部211に記憶される物理回線情報により示されるBCHの使用に障害が生じたことが検出された場合に、複数のBCHのうち、その使用に障害が生じた上記BCH以外の1又は複数のBCHの中から、ひとつを選択する。ここでは特に、選択部223は、リンク設定部221において、上記リンク識別情報により示されるリンクに関するコネクションが確立されている旨が記憶されているBCHの中から、ひとつを選択する。
【0049】
物理回線情報変更部223は、検出部242の検出結果に応じて、上記リンク識別情報と対応付けて記憶部211及び記憶部121に記憶される物理回線情報を、複数のBCHのうち、上記リンク識別情報と対応付けて記憶部211及び記憶部121に既に記憶されている物理回線情報により示されるBCH以外のBCHを示す物理回線情報に変更する処理を行う。
【0050】
具体的には、物理回線情報変更部223は、上記リンク識別情報と対応付けて記憶部211及び記憶部121に記憶する物理回線情報を、選択部223により選択されたBCHを示す物理回線情報に変更する。これにより、以降発生する通信データは、新たなBCHにて送受信されることとなる。
【0051】
ここで、選択部223の選択処理について、より具体的な例を挙げて説明する。
【0052】
回線品質監視部244は、対応するBCHについて、タイマ制御部23により指示されるタイミングで、定期的にその回線品質を監視している。ここでの回線品質には、切断の有無及び輻輳の有無が含まれる。選択部223は、この回線品質により切断されていることや輻輳していることが示されるBCHについては、選択しないようにすることが好適である。
【0053】
また、移動体通信システム1では、複数の移動局装置30がそれぞれ、複数のBCHのうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行っている。選択部223は、これら複数のBCHのうち、その使用に障害が生じたBCH以外の1又は複数の物理回線それぞれを含むリンクの数に応じて、該1又は複数の物理回線の中から、ひとつを選択することとしてもよい。例えば、BCH1からBCH4までの4つのBCHがあり、BCH1に障害が生じた場合において、選択部223は、記憶部211から、BCH2乃至BCH4をそれぞれ含んで構成されるリンクの数を取得し、取得されるリンクの数が最も少ないBCHを選択するようにすることが好適である。
【0054】
さらに、スループット監視部243は、対応するBCHについて、タイマ制御部23により指示されるタイミングで、定期的にそのスループット(該BCHを通過する通信データの量)を監視している。選択部223は、複数のBCHのうち、その使用に障害が生じたBCH以外の1又は複数のBCHそれぞれのスループットに応じて、該1又は複数のBCHの中から、ひとつを選択することとしてもよい。例えば、選択部223は、最もスループットの小さいBCHを選択するようにすることが好適である。
【0055】
また、無線通信状態取得部212は、当該基地局装置20と通信中の各移動局装置30について、タイマ制御部23により指示されるタイミングで、定期的にその無線通信状態を取得している。選択部223は、各移動局装置の無線通信状態に応じて、複数のBCHの中から、ひとつを選択することとしてもよい。具体的な例では、選択部223は、無線通信状態を点数化(無線状態が良いものほど点数を高くする。)し、各BCHについて点数の合計を算出する。すなわち、BCHごとに、該BCHを含むリンクにより通信を行っている移動局装置30について、上記点数の合計を算出する。そして、選択部223は、この合計が最も小さいBCHを選択するようにすることが好適である。
【0056】
選択部223はさらに、上記リンク数、上記スループット、上記無線通信状態にそれぞれ所定の重みをつけて点数化し、その合計に基づいて複数のBCHに優先順位をつけ、優先順位の最も高いものを選択することとしてもよい。
【0057】
次に、上述のようにしてリンクを構成する物理回線を変更する際、通信データが失われないようにするための処理にかかる構成について説明する。
【0058】
送信番号情報付与部213は、順次送信する通信データに、リンクごとにシーケンシャルな番号情報である送信番号情報を付与する。送信順確認部123は、順次受信される通信データについて、この送信番号情報を確認することで、送信順に受信されたか否かを確認する。受信されていない通信データがあれば、送信順確認部123は、所定の再送処理を起動する。すなわち、受信できなかった通信データを再度送信するよう、基地局装置20に要求する。基地局装置20は、通信データを所定期間保持しており、再度送信するよう要求された場合、保持している通信データを、再度送信する。
【0059】
同様に、送信番号情報付与部122も、順次送信する通信データに、リンクごとにシーケンシャルな番号情報である送信番号情報を付与する。送信順確認部214は、順次受信される通信データについて、この送信番号情報を確認することで、送信順に受信されたか否かを確認する。受信されていない通信データがあれば、送信順確認部214は、所定の再送処理を起動する。すなわち、受信できなかった通信データを再度送信するよう、交換機10に要求する。交換機10は、通信データを所定期間保持しており、再度送信するよう要求された場合、保持している通信データを、再度送信する。
【0060】
以上説明した各処理について、基地局装置20の処理フローを参照しながら、まとめて説明する。
【0061】
基地局装置20は、移動局装置30が行っている通信を中継している間、物理回線(BCH)に障害が発生しているか否かを監視する。物理回線に障害が発生すると(S1)これを検知し、使用可能な他の物理回線があるか否かを判定する(S2)。具体的には、コネクション確立済みの物理回線があるか否かを判定する。使用可能な他の物理回線(コネクション確立済みの物理回線)がなければ、基地局装置20は、上記通信を切断する(S11)。
【0062】
使用可能な他の物理回線があれば、基地局装置20は、それらの物理回線のそれぞれについて、回線品質、スループット、無線通信状態をそれぞれ取得する(S3,S4,S5)。基地局装置20は、こうして取得した回線品質、スループット、無線通信状態に基づいて、物理回線選択の優先順位を算出する(S6)。そして、算出した優先順位に基づいて、物理回線を変更する(S7)。
【0063】
基地局装置20は、また、変更を開始する際、通信データを送信中であるか否かを判定する(S8)。送信中の通信データがある場合、送信番号情報を付与した上で、該通信データを送信する(S9)。そして、物理回線の変更が終了すると、処理を終了する(S10)。
【0064】
以上説明したように、移動体通信システム1によれば、基地局装置20と交換機10の間に閉じた処理によりリンクを構成する物理回線(BCH)を変更することができるので、基地局装置20と交換機10間の物理回線の使用に障害が生じた場合に、移動局装置30の処理負荷が大きくなってしまうことが防止される。
【0065】
また、変更対象となり得る物理回線について予めコネクションを確立しておくので、物理回線情報変更部222による物理回線の変更を迅速に行うことができるようになる。
【0066】
さらに、物理回線情報変更部222は、リンクを構成する物理回線を、選択部223により選択された物理回線に変更することができ、選択部223は、リンク数、通信データ量、無線通信状態等に基づいて、最適な物理回線を選択することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では基地局装置20に通信ルート制御部22、スループット監視部243、回線品質監視部244を設けたが、これらを交換機10に設けても良い。また、上記実施の形態ではPHSの場合を例にとって説明したが、他の移動体通信システムであっても、複数の物理回線を選択的に用いて通信接続されている基地局装置と交換機とを含み、移動局装置が、これら複数の物理回線のうちのいずれかを含んで構成されるリンクを用いて通信を行う移動体通信システムであれば、本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態にかかる移動体通信システムのシステム構成、及び基地局装置と交換機の機能ブロックを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる基地局装置の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 移動体通信システム、10 交換機、11,24 回線制御部、12,21 データ通信制御部、20 基地局装置、22 通信ルート制御部、23 タイマ制御部、30 移動局装置、111,241 コネクション確立部、121,211 記憶部、122,213 送信番号情報付与部、123,214 送信順確認部、212 無線通信状態取得部、221 リンク設定部、222 物理回線情報変更部、223 選択部、242 検出部、243 スループット監視部、244 回線品質監視部。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−11109(P2008−11109A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178613(P2006−178613)