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【発明の名称】 通信端末装置
【発明者】 【氏名】大木 公裕

【氏名】福光 勝

【氏名】山田 秀昭

【氏名】有木 博信

【氏名】山元 祐樹

【氏名】新藤 晃浩

【要約】 【課題】ハンドオーバーを行う場合でも良好な特性で通信を継続することが可能な通信端末装置を提供する。

【構成】通信端末装置10がハンドオーバーを行う際に、OS/デバイスドライバ部30のイベント情報生成部37がハンドオーバーの状態に関するイベント情報を生成して、生成したイベント情報を通信アプリケーション部20や相手方端末に通知する。通信アプリケーション部20では、取得したイベント情報を利用することで、パケットの送受信における適切な制御を行うことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット網に接続してパケット通信を行う通信端末装置において、
当該通信端末装置が接続先のパケット網を切り替えるハンドオーバーの際に、該ハンドオーバーの状態および/または接続中のパケット網に関するイベント情報を生成するイベント情報生成手段と、
前記イベント情報生成手段から前記生成されたイベント情報を取得して管理するイベント情報管理手段と、
前記イベント情報管理手段からイベント情報を取得し、該取得したイベント情報に基づいてパケットの送受信を制御するパケット送受信制御手段と、
を備えたことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記イベント情報管理手段から取得したイベント情報を含んだパケットを生成するパケット生成手段を備え、
通信相手である通信端末装置へ前記生成されたパケットを送信して、該通信相手である通信端末装置に前記イベント情報を通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記パケット生成手段は、前記イベント情報がヘッダ部分に格納されたパケットを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記パケット生成手段は、前記イベント情報がペイロード部分に格納されたパケットを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記イベント情報は、現在接続しているパケット網を示す情報、ハンドオーバーの候補先のパケット網にハンドオーバーを開始することを示す情報、ハンドオーバー候補先のパケット網にハンドオーバーが完了したことを示す情報、ハンドオーバー元のパケット網のリソースを開放したことを示す情報、およびハンドオーバーの処理を中止したことを示す情報の少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかの項に記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記生成されたイベント情報に基づき、予め設定された判断基準に従ってハンドオーバーの候補先を選択する選択手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の通信端末装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は通信端末装置に係り、特にアクセスメディアシステム間をハンドオーバーする機能を有する通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や無線LAN(Local Area Network)などのアクセスメディアシステムを使う通信において、異なるシステム間ではルータやスイッチ等のネットワーク構成あるいは装置の処理速度の違いによって、パケット伝送における遅延時間の変動量が異なるため、システムを切り替えるハンドオーバーの前後で送信端末から受信端末にパケットが到着するまでに掛かる時間が大きく揺らぐ。このようなパケット通信でのパケット到着時間の揺らぎ(ジッタ)は、通信品質を劣化させる一要因となる。
【0003】
また、同じ通信品質を持つアクセスメディアシステム間のハンドオーバーにおいても、ハンドオーバーの処理時間中にアクセスメディアシステム内でバッファリングされたパケットについては、送信端末から受信端末にパケットが到着するまでに掛かる時間が大きく揺らぐ。このようなジッタによっても、通信品質の劣化が生じる。
【0004】
従来、こうしたジッタへの対策として、受信端末にジッタを吸収させるためのバッファ(以下、ジッタバッファと言う)を設けることが行われている。受信端末は、過去の一定期間に受信したパケットから当該期間におけるジッタ量を算出し、このジッタ量に基づいてジッタバッファからのパケット出力速度を制御することにより、ジッタバッファのパケット蓄積量を調整する。ジッタバッファから一定周期で読み出された受信パケットは、音声アプリケーションなどに渡されて、再生が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−50488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のジッタ対策にかかる技術では、単一のアクセスメディアシステムにおける連続したジッタの変化に基づいて調整が行われるだけである。そのため、現在利用しているアクセスメディアシステムと通信品質が大きく異なるアクセスメディアシステムへハンドオーバーが行われた場合や、同じ通信品質を持つアクセスメディアシステム間でのハンドオーバーであっても、アクセスメディアシステム内でバッファリングが発生する場合には、必ずしもジッタバッファの適切な調整が行われないという問題がある。
【0006】
例えば、ジッタの少ない良好な通信品質のアクセスメディアシステムを利用した通信では、過去の一定期間に受信したパケットから算出したジッタ量は非常に少なく、これに応じてジッタバッファの蓄積量も非常に少なくなっている。この状態で予告無くジッタの多いアクセスメディアシステムへハンドオーバーを行うと、受信端末へのパケットの到達時間が遅くなるため、ジッタバッファ内のパケットが枯渇してしまう場合がある。そしてその結果、音声通信では再生音の途切れが発生することになる。
【0007】
また同様に、ハンドオーバーにおいて予告無くアクセスメディアシステム内でパケットのバッファリングが行われると、受信端末へのパケットの到達時間が遅くなることによって、ジッタバッファ内のパケットが枯渇してしまう場合がある。そしてその結果、音声通信では再生音の途切れが発生することになる。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハンドオーバーを行う場合でも良好な特性で通信を継続することが可能な通信端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、パケット網に接続してパケット通信を行う通信端末装置において、当該通信端末装置が接続先のパケット網を切り替えるハンドオーバーの際に、該ハンドオーバーの状態および/または接続中のパケット網に関するイベント情報を生成するイベント情報生成手段と、前記イベント情報生成手段から前記生成されたイベント情報を取得して管理するイベント情報管理手段と、前記イベント情報管理手段からイベント情報を取得し、該取得したイベント情報に基づいてパケットの送受信を制御するパケット送受信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ハンドオーバーの状態に関するイベント情報に基づいてパケットの送受信を制御することが可能となるので、ハンドオーバー元やハンドオーバー先のアクセスメディアシステムの特性に合った通信を行うことができ、ハンドオーバーの前後においても良好な通信を維持することができる。
【0011】
また、本発明は、前記イベント情報管理手段から取得したイベント情報を含んだパケットを生成するパケット生成手段を備え、通信相手である通信端末装置へ前記生成されたパケットを送信して、該通信相手である通信端末装置に前記イベント情報を通知することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、イベント情報を通信相手に通知することによって、当該通信相手においても通知されたイベント情報を利用して良好な通信を実現することができる。
【0013】
また、本発明は、前記パケット生成手段は、前記イベント情報がヘッダ部分に格納されたパケットを生成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記パケット生成手段は、前記イベント情報がペイロード部分に格納されたパケットを生成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記イベント情報は、現在接続しているパケット網を示す情報、ハンドオーバーの候補先のパケット網にハンドオーバーを開始することを示す情報、ハンドオーバー候補先のパケット網にハンドオーバーが完了したことを示す情報、ハンドオーバー元のパケット網のリソースを開放したことを示す情報、およびハンドオーバーの処理を中止したことを示す情報の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記生成されたイベント情報に基づき、予め設定された判断基準に従ってハンドオーバーの候補先を選択する選択手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハンドオーバーの状態に関するイベント情報に基づいてパケットの送受信を制御することができる。これにより、ハンドオーバーの前後でアクセスメディアシステムの特性に合った良好な通信を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による通信端末装置が利用される通信システムのネットワーク構成を概略的に示したものである。同図において、通信端末装置10は、例えば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)などの端末であり、通信アプリケーション部20とOS/デバイスドライバ部30とを有している。OS/デバイスドライバ部30は、パケット通信の通信制御を担うものであり、携帯電話と無線LANそれぞれのアクセスメディアシステム(NW#1およびNW#2)に接続できる2つの通信インタフェースを備えている(図2参照)。
【0019】
携帯電話ネットワーク50(NW#1)は、通信端末装置10が携帯電話のアクセスメディアシステムによって接続するネットワークであり、基地局(BTS)51−1、51−2とゲートウェイ(GW)52を有している。基地局51−1、51−2は通信端末装置10からの接続を受け付け、ゲートウェイ52は携帯電話ネットワーク50を他のネットワーク(NW#3)と相互に接続している。
【0020】
無線LANネットワーク60(NW#2)は、通信端末装置10が無線LANのアクセスメディアシステムによって接続するネットワークであり、アクセスポイント(AP)61−1、61−2とゲートウェイ62を有している。アクセスポイント61−1、61−2は通信端末装置10からの接続を受け付け、ゲートウェイ62は無線LANネットワーク60を他のネットワーク(NW#3)と相互に接続している。
【0021】
事業者ネットワーク70(NW#3)は、通信端末装置10の通信相手である相手方端末40が接続しているネットワークであり、ユーザ認証サーバ(AAA)71、ゲートウェイ72、バイキャストサーバ73を有している。ユーザ認証サーバ71は、この事業者ネットワーク70に接続する端末(ユーザ)に対して認証処理を実行する機能を持ったサーバである。バイキャストサーバ73は、通信端末装置10と相手方端末40との通信において、携帯電話ネットワーク50と無線LANネットワーク60の2つの経路を経由してデータを送受信する機能を提供している。
【0022】
図2は、通信端末装置10の構成を示す機能ブロック図である。同図において、通信端末装置10のOS/デバイスドライバ部30は、携帯電話ネットワーク50と接続するための無線インタフェース31と、無線LANネットワーク60と接続するための無線LANインタフェース32と、無線インタフェース31を制御するデバイスドライバa・33と、無線LANインタフェース32を制御するデバイスドライバb・34と、ネットワークとの間で送受信するIP(Internet Protocol)パケットを制御するIPスイッチング部35と、TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、ICMP(Internet Control Message Protocol)などのトランスポート層の各プロトコルによる送受信を制御するデータ転送制御部36と、ネットワークとのハンドオーバーの状態に応じてイベント情報(詳細は後述する)を生成するイベント情報生成部37とを有している。
【0023】
また、通信アプリケーション部20は、イベント情報生成部37からイベント情報を取得して管理するイベント情報管理部21と、送信するRTP(Real-time Transport Protocol)パケットを生成するとともに、生成したRTPパケットの拡張ヘッダにイベント情報管理部21から取得したイベント情報を付加するパケット生成部22と、送受信するパケットをOS/デバイスドライバ部30とやり取りするパケット送受信インタフェース23と、イベント情報管理部21から取得したイベント情報に基づいてパケットの送受信やアプリケーションの動作を制御するパケット送受信制御部24とを有している。
【0024】
ここで、上述したイベント情報とは、通信端末装置10のハンドオーバーの状態に関する情報である。通信端末装置10はこのイベント情報を利用することにより、受信したパケットのバッファリングや送信するパケットの制御などを行うことが可能である(後述する図7参照)。
【0025】
イベント情報として具体的には、例えば通信端末装置10が現在利用しているアクセスメディアシステム(NW#1またはNW#2)を示す情報(図3〜図6で説明するメッセージA。以下同じ)や、ハンドオーバーの候補先のアクセスメディアにハンドオーバーを開始することを示す情報(メッセージB)や、ユーザ認証サーバ71における認証等が成功したことを示す情報(メッセージC)や、ハンドオーバーの候補先のアクセスメディアにハンドオーバーが完了したことを示す情報(メッセージD)や、ハンドオーバー元のアクセスメディアシステムの設備リソースを開放したことを示す情報(メッセージE)や、ハンドオーバーの処理が何らかの理由で中止されたことを示す情報(メッセージZ)などがある。
【0026】
イベント情報は、通信端末装置10がハンドオーバーを行う際に、OS/デバイスドライバ部30のイベント情報生成部37により生成されて、通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知される。通信アプリケーション部20では、このイベント情報をパケット送受信制御部24へ転送して、通信端末装置10内において通信アプリケーションの処理の制御に利用する(後述する図7参照)。また、イベント情報はパケット生成部22へも転送されてRTPパケットの拡張ヘッダに付加され、当該RTPパケットがパケット送受信インタフェース部23から相手方端末40へ送信される。相手方端末40(通信端末装置10と同じく図2の機能ブロックの構成を有する)は、このパケットに含まれるイベント情報を通信端末装置10と同様に通信アプリケーション部20にて利用する。
【0027】
図3は、イベント情報生成部37からイベント情報管理部21へのイベント情報の送信において用いられるNETLINKフォーマットを示した図である。Typeフィールド(2バイト)がイベント情報のメッセージ種別に使用され、Interface IDフィールド(2バイト)がメディア種別に使用される。例えば、Typeフィールドの値が「0x0001」、Interface IDフィールドの値が「0x0002」である場合は、メッセージ種別が「メッセージA」でメディア種別が「携帯電話」、すなわち、現在利用しているアクセスメディアシステムが携帯電話ネットワーク50であることを表す。
【0028】
図4は、パケット生成部22により生成されるRTPパケットのヘッダフォーマットを示した図である。イベント情報はRTPパケットの拡張ヘッダに付加され、相手方端末40に通知される。Xフィールド(1ビット)の値が「1」である場合に、拡張ヘッダにイベント情報が付加されていることを表す。拡張ヘッダは上位8ビットがメッセージ種別に使用され、下位8ビットがメディア種別に使用される。例えば、上位ビットが「0x01」、下位ビットが「0x01」である場合は、メッセージ種別が「メッセージB」でメディア種別が「無線LAN」、すなわち、無線LANネットワーク60をハンドオーバーの候補先としてハンドオーバーを開始することを表す。
【0029】
次に、上記の通信システムにおいてハンドオーバーが発生し、イベント情報の通知が行われる処理について説明する。
図5は、通信端末装置10が携帯電話ネットワーク50から無線LANネットワーク60へ(すなわち異なるアクセスメディアシステム間で)ハンドオーバーを行う際のシーケンスを示した図である。より具体的には、通信端末装置10は、初め携帯電話ネットワーク50の基地局51−1に接続されて、ゲートウェイ52、ゲートウェイ72、バイキャストサーバ73を経由して相手方端末40と通信を行っている。その後、通信端末装置10はハンドオーバーにより、無線LANネットワーク60のアクセスポイント61−1に接続先を切り替え、ゲートウェイ62、ゲートウェイ72、バイキャストサーバ73を経由した通信に移行する。なお、ここでは、通信端末装置10にはIPトンネル機能が実装されており、通信インタフェースが無線インタフェース31から無線LANインタフェース32へ切り替えられても、通信アプリケーションのコネクションは維持されることを前提とする。
【0030】
図5において、まず最初に通信端末装置10は、基地局51−1と通信可能なエリアにおいて、通信アプリケーションの起動により基地局51−1との接続を開始する(ステップS0)。この時、OS/デバイスドライバ部30のイベント情報生成部37は、メッセージAのイベント情報を生成する。そして、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0001」、Interface IDフィールドを「0x0002」にセットして通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知を行う(ステップS1)。
【0031】
通知を受けた通信アプリケーション部20は、当該イベント情報によって、「現在利用しているアクセスメディアシステムが携帯電話ネットワーク50である」ことを把握し、パケット送受信制御部24により当該イベント情報に応じた制御を実行する。例えば、パケット送受信インタフェース部23から送信するパケットの送信間隔を、携帯電話ネットワーク50に適したパラメータに設定したり、図2には示していない受信パケットのジッタ吸収用のジッタバッファに、携帯電話ネットワーク50に適したパラメータを設定したりする。
【0032】
また、通信アプリケーション部20は、基地局51−1を経由して相手方端末40との通信を開始する(ステップS2)。そして、パケット生成部22は、イベント情報管理部21から取得したイベント情報をRTPパケットの拡張ヘッダに付加し、相手方端末40に当該イベント情報を通知する(ステップS3)。この時のRTPパケットのヘッダは、Xフィールドが「1」、拡張ヘッダの上位ビットが「0x00」、下位ビットが「0x00」となっている。なお、相手方端末40も、通知されたイベント情報に応じ、パケット送信間隔やジッタバッファの制御を行う。
【0033】
次いで通信端末装置10が移動し、あるいは通信端末装置10と基地局51−1間の接続環境が変化したとする。すると、OS/デバイスドライバ部30は、現在接続しているアクセスメディアシステムと基地局51−1以外に接続可能なアクセスメディアシステムをイベント情報に基づいて特定した上で、予め設定された判断基準に従って、ハンドオーバーの候補先とするアクセスメディアシステムの検索を行う(ステップS4)。判断基準としては、例えば、(1)通信コスト、(2)アクセスメディアの通信帯域、(3)接続時間、(4)カバーエリア、(5)無線電波強度、などの各情報を利用できる。
【0034】
ここでは、検索の結果、無線LANネットワーク60が選択されたとする。OS/デバイスドライバ部30は、アクセスポイント61−1へ接続要求を行い(ステップS5)、アクセスポイント61−1は、接続要求を受けてWPA(Wi-Fi Protected Access)等の必要な認証処理を実行し、通信端末装置10との接続を完了する(ステップS6)。
【0035】
OS/デバイスドライバ部30と無線LANネットワーク60が接続されたことにより、イベント情報生成部37は、メッセージBのイベント情報を生成する。そして、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0002」に、Interface IDフィールドを「0x0004」にそれぞれセットして、通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知を行う(ステップS7)。
【0036】
通知を受けた通信アプリケーション部20は、当該イベント情報によって、「無線LANネットワーク60をハンドオーバーの候補先としてハンドオーバーを開始する」ことを把握する。そして、パケット送受信制御部24により当該イベント情報に応じた制御(上記と同様)を実行し、また、パケット生成部22によりRTPパケットの拡張ヘッダに付加した当該イベント情報(拡張ヘッダの上位ビット「0x01」、下位ビット「0x01」)を相手方端末40に通知する(ステップS8)。
【0037】
次いで、OS/デバイスドライバ部30は、事業者ネットワーク70におけるユーザ認証サーバ71の認証処理、およびバイキャストサーバ73の登録処理のための要求を送信する(ステップS9)。ユーザ認証サーバ71とバイキャストサーバ73はそれぞれの処理を実行して、結果を通信端末装置10に送信する(ステップS10)。バイキャストサーバ73は、登録処理完了後、相手方端末40から通信端末装置10へのデータを携帯電話ネットワーク50(基地局51−1)と無線LANネットワーク60(アクセスポイント61−1)の2経路を経由したバイキャストによって送信する(ステップS13)。
【0038】
一方、事業者ネットワーク70における認証および登録処理が完了したことにより、イベント情報生成部37は、メッセージCのイベント情報を生成する。そして、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0003」に、Interface IDフィールドを「0x0004」にそれぞれセットして、通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知を行う(ステップS11)。通信アプリケーション部20は、当該イベント情報によって「事業者ネットワーク70における認証および登録が完了した」ことを把握し、パケット生成部22によりRTPパケットの拡張ヘッダに当該イベント情報を付加(上位ビット「0x02」、下位ビット「0x01」)して相手方端末40に通知する(ステップS12)。
【0039】
ステップS13でバイキャスト通信を受信すると、OS/デバイスドライバ部30は、相手方端末40へのデータの送信を基地局51−1経由からアクセスポイント61−1経由へ切り替える。そして、携帯電話ネットワーク50を経由した通信に使用していたリソースが不要となるので、当該リソースを解放するための要求を基地局51−1とバイキャストサーバ73へ送信する(ステップS14)。基地局51−1とバイキャストサーバ73は、リソースを解放してOS/デバイスドライバ部30に応答を返す(ステップS15)。その後、バイキャストサーバ73は、相手方端末40から通信端末装置10へのバイキャスト送信を終了する。こうしてハンドオーバーの処理が完了する。
【0040】
ハンドオーバーの完了により、通信アプリケーション部20は、以降アクセスポイント61−1を経由して相手方端末40との通信を行う(ステップS16)。また、イベント情報生成部37は、メッセージDとメッセージEのイベント情報を生成する。そして、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0004」、Interface IDフィールドを「0x0004」にセットしてメッセージDを通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知し、さらにTypeフィールドを「0x0005」、Interface IDフィールドを「0x0002」にセットしてメッセージEを通知する(ステップS17)。さらに、通信アプリケーション部20は、パケット生成部22によりRTPパケットの拡張ヘッダにメッセージDのイベント情報を付加(上位ビット「0x03」、下位ビット「0x01」)して相手方端末40に通知する(ステップS18)。
【0041】
以上のようにして、異なるアクセスメディアシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバーの状態に応じたイベント情報が、OS/デバイスドライバ部30から通信アプリケーション部20および相手方端末40へと通知される。通知されたイベント情報を利用することにより、通信アプリケーション部20は、アクセスメディアシステムに適したパケットの処理(パケット送信間隔やジッタバッファの調整等)を実現することができるようになる。
【0042】
次に、図6を用いて、他の場合のハンドオーバーにおけるイベント情報の通知処理を説明する。
図6は、通信端末装置10が携帯電話ネットワーク50の中で(すなわち同じ通信品質を持つアクセスメディアシステム間で)ハンドオーバーを行う際のシーケンスを示した図である。より具体的には、通信端末装置10は、初め携帯電話ネットワーク50の基地局51−1に接続されて、ゲートウェイ52、ゲートウェイ72、バイキャストサーバ73を経由して相手方端末40と通信を行っている。その後、通信端末装置10はハンドオーバーにより、同じ携帯電話ネットワーク50の基地局51−2に接続先を切り替え、通信を続行する。
【0043】
図6において、まず最初に通信端末装置10は、基地局51−1と通信可能なエリアにおいて、通信アプリケーションの起動により基地局51−1との接続を開始する(ステップS20)。この時、OS/デバイスドライバ部30のイベント情報生成部37は、メッセージAのイベント情報を生成する。そして、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0001」、Interface IDフィールドを「0x0002」にセットして通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知を行う(ステップS21)。
【0044】
通知を受けた通信アプリケーション部20は、当該イベント情報によって、「現在利用しているアクセスメディアシステムが携帯電話ネットワーク50である」ことを把握し、パケット送受信制御部24により当該イベント情報に応じた制御(パケットの送信間隔やジッタバッファの調整等)を実行する。また、通信アプリケーション部20は、基地局51−1を経由して相手方端末40との通信を開始する(ステップS22)。そして、パケット生成部22は、イベント情報管理部21から取得したイベント情報をRTPパケットの拡張ヘッダに付加し、相手方端末40に当該イベント情報を通知する(ステップS23)。この時のRTPパケットのヘッダは、Xフィールドが「1」、拡張ヘッダの上位ビットが「0x00」、下位ビットが「0x00」となっている。
【0045】
次いで通信端末装置10が移動、あるいは通信端末装置10と基地局51−1間の接続環境が変化したとする。そして、携帯電話ネットワーク50で用いられているハンドオーバー先選択アルゴリズムによって、基地局51−2へのハンドオーバーが行われることが判断されたとする(ステップS24)。すると、OS/デバイスドライバ部30のイベント情報生成部37は、メッセージBのイベント情報を生成する。そして、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0002」に、Interface IDフィールドを「0x0002」にそれぞれセットして、通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知を行う(ステップS25)。
【0046】
通知を受けた通信アプリケーション部20は、当該イベント情報によって、「携帯電話ネットワーク50内の基地局をハンドオーバーの候補先としてハンドオーバーを開始する」ことを把握し、パケット生成部22によりRTPパケットの拡張ヘッダに付加した当該イベント情報(拡張ヘッダの上位ビット「0x01」、下位ビット「0x00」)を相手方端末40に通知する(ステップS26)。
【0047】
さらに、携帯電話ネットワーク50のハンドオーバー手順に従って基地局51−2へのハンドオーバーの処理が完了すると(ステップS27)、通信アプリケーション部20は基地局51−2を経由して相手方端末40との通信を行う(ステップS30)。そして、イベント情報生成部37は、メッセージDのイベント情報を生成し、NETLINKフォーマットのTypeフィールドを「0x0004」、Interface IDフィールドを「0x0002」にセットしてメッセージDを通信アプリケーション部20のイベント情報管理部21に通知する(ステップS28)。さらに通信アプリケーション部20は、パケット生成部22によりRTPパケットの拡張ヘッダにメッセージDのイベント情報を付加(上位ビット「0x03」、下位ビット「0x00」)して相手方端末40に通知する(ステップS29)。
【0048】
以上のようにして、同じ通信品質のアクセスメディアシステム間のハンドオーバーにおいて、ハンドオーバーの状態に応じたイベント情報が、OS/デバイスドライバ部30から通信アプリケーション部20および相手方端末40へと通知される。この場合にも、通知されたイベント情報を利用することで、通信アプリケーション部20はアクセスメディアシステムに適したパケットの処理(パケット送信間隔やジッタバッファの調整等)を実現することができるようになる。
【0049】
なお、図5および図6において、ハンドオーバーの処理が何らかの理由で中止された場合には、その旨を示すメッセージZをイベント情報として通信アプリケーション部20および相手方端末40へ通知するものとする。そして、メッセージZが受信されると、通信アプリケーション部20や相手方端末40は、例えばハンドオーバー開始前の状態に戻るというような制御を実行する。
【0050】
次に、OS/デバイスドライバ部30から通知されるイベント情報を利用した、通信アプリケーション部20における制御例について説明する。ここでは一例として、通信端末装置10に受信したパケットの遅延揺らぎ(ジッタ)を吸収するためのジッタバッファが備えられており、このジッタバッファに設定されているパケットの蓄積量の閾値を、イベント情報に基づいて補正(制御)する場合を取り上げる。
【0051】
ジッタバッファは、OS/デバイスドライバ部30に受信されて通信アプリケーション部20に渡されたパケットを一時的に蓄積し、所定の条件に従ってそのパケットを後段の処理(例えばパケットを復号する処理部)へ出力する機能を有している。ここでいう所定の条件とは、ジッタバッファへのパケットの蓄積量とジッタバッファからのパケットの出力速度の関係のことであり、パケットの蓄積量には閾値(ジッタバッファ閾値)が設定されて、閾値の上下でパケット出力速度が変化するようになっている。
【0052】
図7は、パケット蓄積量とパケット出力速度の関係を示したグラフであり、同図(a)はイベント情報による補正前の状態、同図(b)は補正後の状態を表している。横軸はパケット蓄積量、縦軸はパケット出力速度をそれぞれ示している。補正前の状態において、パケット蓄積量がゼロから出力開始閾値までの間である場合は、パケット出力速度はゼロに設定され、パケットは出力されることなく一方的に蓄積が行われる。パケット蓄積量が出力開始閾値を超えて通常出力閾値に達するまでは、パケット出力速度は低い値(R1)に設定され、パケットは低速で出力され始める。同様に、パケット蓄積量が通常出力閾値を超えて高速出力閾値に達するまでは、パケット出力速度はR1より大きい通常の値(R2)に設定され、パケットは通常の速度で出力される。パケット蓄積量がさらに増え、高速出力閾値も超えた場合は、パケット出力速度はさらに大きい値(R3)に設定され、ジッタバッファからパケットが高速で出力されていく。
【0053】
上記のようにジッタバッファにパケット蓄積量の閾値が設定されていることによって、パケットの蓄積量に応じてジッタバッファからパケットの取り出される量(パケット出力速度)が変化する。そして、ジッタバッファが溢れたり枯渇したりといった状況が回避されて、パケットの蓄積量が適切な量に調整されるようになっている。
【0054】
ここで、通信アプリケーション部20によりイベント情報が取得されると、通信アプリケーション部20は上記パケット蓄積量の閾値の補正を行う。例えば、転送速度の遅い携帯電話ネットワーク50から転送速度の速い無線LANネットワーク60へのハンドオーバーを示すイベント情報の場合、補正により上記の各閾値を小さくさせる。この補正の結果、図7(a)のグラフは図7(b)の状態になる。これにより、ジッタバッファへパケットの流入する速度が上昇したとしても、迅速にパケット出力速度の速度R3への切り替えが行われる。こうして、イベント情報を利用することで、アクセスメディアシステム間のハンドオーバーにも対応した通信アプリケーションの制御を実現することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信端末装置10がハンドオーバーを行う際に、OS/デバイスドライバ部30のイベント情報生成部がハンドオーバーの状態に関するイベント情報を生成して、生成したイベント情報を通信アプリケーション部20や相手方端末40に通知している。そして、通信アプリケーション部20では、取得したイベント情報を利用することによって、ジッタバッファの蓄積量の調整などパケットの送受信に関する通信アプリケーションの適切な制御を行うことが可能である。この結果、通信端末装置10は、ハンドオーバーを行う場合でも良好な特性で通信を継続することができる。
【0056】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、イベント情報を通信端末装置10から相手方端末40へ通知する方法は、RTPパケットの拡張ヘッダを利用するものに限定されることはなく、UDPやTCPのペイロードを用いて通知する方法もある。具体的に、図8にUDPパケットのデータフォーマット、図9にTCPパケットのデータフォーマットをそれぞれ示す。ここでは、メッセージ種別とメディア種別にそれぞれ16ビットを使用し、メッセージ種別のデータ「0x00」は「メッセージA」、メディア種別のデータ「0x00」は「携帯電話」などを表す。
【0057】
また、本実施形態で通知されたイベント情報は、上記図7で説明したジッタバッファの制御に利用するだけにとどまらず、その用途は何ら限定されることはない。例えば、送信するパケットの送信間隔や、送信データの符号化処理の符号化レートや、受信したパケットのロス補償のアルゴリズムなどを、イベント情報に基づいて制御するようにしてもよい。
【0058】
また、無線のアクセスメディアシステム間のハンドオーバーだけでなく、有線のアクセスメディアシステムを用いた場合にも、本発明を適用することが可能である。
また、バイキャストサーバ73の動作に関し、図5のステップS13では相手方端末40からのデータは全てバイキャスト送信されていたが、シグナリング等のセッション管理情報のみをバイキャストし、通信端末装置10から相手方端末40への通信と相手方端末40から通信端末装置10への通信を同時にアクセスポイント61−1経由に切り替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態による通信端末装置が利用される通信システムのネットワーク構成を概略的に示した図である。
【図2】図1の通信端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】イベント情報の送信において用いられるNETLINKフォーマットを示した図である。
【図4】イベント情報が付加されるRTPパケットのヘッダフォーマットを示した図である。
【図5】異なるアクセスメディアシステム間におけるハンドオーバーのシーケンス図である。
【図6】同じ通信品質を持つアクセスメディアシステム間におけるハンドオーバーのシーケンス図である。
【図7】イベント情報を利用した制御例を説明するための、パケット蓄積量とパケット出力速度の関係を示したグラフである。
【図8】イベント情報が格納されるUDPパケットのデータフォーマットである。
【図9】イベント情報が格納されるTCPパケットのデータフォーマットである。
【符号の説明】
【0060】
10…通信端末装置 20…通信アプリケーション部 21…イベント情報管理部 22…パケット生成部 23…パケット送受信インタフェース 24…パケット送受信制御部 30…OS/デバイスドライバ部 31…無線インタフェース 32…無線LANインタフェース 33、34…デバイスドライバ 35…IP/スイッチング部 36…データ転送制御部 37…イベント情報生成部 40…相手方端末 50…携帯電話ネットワーク 51…基地局 52…ゲートウェイ 60…無線LANネットワーク 61…アクセスポイント 62…ゲートウェイ 70…事業者ネットワーク 71…ユーザ認証サーバ 72…ゲートウェイ 73…バイキャストサーバ

【出願人】 【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄

【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆


【公開番号】 特開2008−5393(P2008−5393A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175157(P2006−175157)