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【発明の名称】 画像処理装置、プログラム、画像形成装置、画像形成方法、ディザマトリクス
【発明者】 【氏名】平野 政徳

【氏名】池 貴広

【要約】 【課題】ディザ処理でモアレの発生を防止するために数個の閾値マトリクスをランダムに選択するようにした場合には、処理速度が遅くなり、構成も複雑になる。

【構成】組織的ディザマトリクス500は、分散特性を持つメインマトリクス501と、ランダム特性を持つサブマトリクス502で構成され、各階調レベル(0〜255)において、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換する中間調処理をする画像処理装置において、前記ディザマトリクスは、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるマトリクスであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、前記分散特性を持つメインマトリクスはベイヤー型マトリクスであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像処理装置において、前記サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置において、入力データが網点画像を含むときには前記ディザマトリクスを用いた中間調処理を行ない、前記入力データが網点画像を含まないときには前記ディザマトリクスと異なるディザマトリクスを用いた中間調処理を行なうことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換する中間調処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となる前記ディザマトリクスを用いた中間調処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムにおいて、前記ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスであることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、前記分散特性を持つメインマトリクスはベイヤー型マトリクスであることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のプログラムにおいて、前記サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられていることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれかに記載のプログラムにおいて、入力データが網点画像を含むときには前記ディザマトリクスを用いた中間調処理を行なわせ、前記入力データが網点画像を含まないときには前記ディザマトリクスと異なるディザマトリクスを用いた中間調処理を行なわせることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換処理する中間調処理を行ない、液滴を吐出する液体吐出ヘッドによって画像を形成する画像形成装置において、前記ディザマトリクスは、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるマトリクスであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置において、前記ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、前記分散特性を持つメインマトリクスはベイヤー型マトリクスであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の画像形成装置において、前記サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項11ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、入力データが網点画像を含むときには前記ディザマトリクスを用いた中間調処理を行ない、前記入力データが網点画像を含まないときには前記ディザマトリクスと異なるディザマトリクスを用いた中間調処理を行なう手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換処理する中間調処理を行ない、液滴を吐出する液体吐出ヘッドによって液滴を吐出させて画像を形成する画像形成方法において、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となる前記ディザマトリクスを用いて中間調処理を行なうことを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データに変換するディザマトリクスにおいて、このディザマトリクスは、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となることを特徴とするディザマトリクス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、プログラム、画像形成装置、画像形成方法、ディザマトリクスに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを含む液体吐出装置を用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体としての記録液(以下、インクともいう。)を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行うものがある。
【0003】
なお、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、液体とは記録液、インクに限るものではなく、画像形成を行うことができる液体であれば特に限定されるものではない。また、液体吐出装置とは、液体吐出ヘッドから液体を吐出する装置を意味し、画像を形成するものに限らない。
【0004】
このような画像形成装置において、記録液滴のサイズとして、例えば、ドットなし、小ドット、中ドット、大ドットの4種類(4階調)程度の打ち分けしかできないことから、記録液滴のドットサイズで多階調を表現することができない。そこで、一般に、オリジナルよりもレベル数の少ない濃度階調(強度変調)と面積階調(面積変調)との組み合わせで中間調を再現するための手法の1つとしてディザ法が知られている。
【0005】
ディザ法(2値ディザ法)は、ディザマトリクスの各行列の値を閾値とし、対応する座標点の画素の濃度と比較して、1(印画又は発光),0(無印画又は無発光)を決定し2値化する方法であり、原画データと閾値とを比較演算するだけで面積階調用の2値化データを得ることができ、高速演算が可能であるという利点がある。
【0006】
また、ディザ法は、2値に限らず3値以上(多値)としたものもあり、例えば、インク滴の大きさを小中大の3段階に制御できるインクジェット記録装置によって画像を出力するときには、3つのディザマトリクスを用意して処理画素ごとに、0(無印画)、1(小滴印画)、2(中滴印画)、3(大滴印画)を決定することも行われている。
【0007】
また、ディザマトリクスの閾値に決定法としてはさまざまな方法が提案されているが、広く知られているものとして、ベイヤー型ディザ、ランダム型ディザ、ブルーノイズ型ディザなどがある、これらは面積変調においてドットを特定の箇所に集中せず、一様に分布するように配置することを特徴とし、分散型に分類される。一方、ドットと一定の単位で固まるように配置させる集中型のものもある。集中型の例としては、ディザマトリクスの中にサブマトリクスを配置してスクリーン角を持たせたものが知られている。
【0008】
ディザ法による中間調処理として、特許文献1には複数個の閾値マトリクス(ディザマトリクス)を用意しておき、中間調画像の複数画像毎又はランダムな時間間隔毎に、閾値マトリクスのうちの1つをランダムに選択することで、網点画像やディザ化した画像を処理したときに出力画像に生じるモアレ(縞模様)を防止することが記載されている。
【特許文献1】特開昭57−119564号公報
【0009】
特許文献2にも複数のディザパターンを発生するディザパターン発生装置と、乱数を発生する乱数発生装置とを備えて、乱数に応じてディザパターンを選択することが記載されている。
【特許文献2】特開平04−250769号公報
【0010】
また、擬似階調表現には誤差拡散法もあるが、誤差拡散法はディザと比べるとかなり複雑な処理となる。例えば、画素毎に閾値処理を行い、その際の誤差を保持しつつ後の計算に所定の比率で反映させることにより、ディザ処理では強制的に切り捨てられてしまう分の情報をも出力画像にフィードバックさせることができ、解像力等の面でディザ画像を上回る品質を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、例えば画像読取装置と画像形成装置とを含む複合装置において、画像読取装置で原稿画像を読み取って画像処理装置で印刷出力するコピーモードにおいては、入力される画像データは、全てイメージデータとして取り込まれるため、高品位な出画像を得るためには、一度、イメージデータを像域分離し、入力原稿の各要素(文字なのか、連続調なのか、網点なのか)に応じた補正処理を施す必要がある。また、入力画像データを出力ドットパターンに変換する中間調処理においても、画像再現性に優れた誤差拡散処理が適用されるのが一般的である。
【0012】
しかしながら、像域分離やそれに応じた補正処理を高速で行うには高い演算能力を有する画像処理装置(画像処理コントローラ)が必要になり、また、中間調処理における誤差拡散処理を行うためには上述したように量子化誤差を保持するために大量のバッファを確保しなければならないなど、高い処理能力を有する画像処理装置(画像処理コントローラ)が必要になる。その結果、装置全体のコストが大幅に増加する。
【0013】
そこで、像域分離を省略し、中間調処理にディザ処理を採用することによって、高い処理能力を有する画像処理能力を有する画像処理コントローラを用いないでも、高速な処理を行うことができる。
【0014】
しかし、その一方で、画像処理を簡略化することによって所謂モアレが発生することになる。このモアレは、原稿の持つ網点成分とディザマスクパターン(ディザマトリクス)との同期/非同期によって、部分的に欠落した画素が、あたかも模様のように出力画像の上に現れ、著しく画質を低下させることになる。また、ドットの欠落によって、画像濃度自体も低下することになるという課題を生じる。
【0015】
そこで、前述した特許文献1、2に記載されているように、数個の閾値マトリクス(ディザマトリクス)を中間調画像の複数画像毎又はランダムな時間間隔毎にランダムに選択することでモアレ(縞模様)を防止する中間調処理を行うようにするのであるが、この構成では、ディザマトリクスを複数種類用意しなければならず、かつ、ディザマトリクスをランダムに選択しなければならないために、処理速度が遅くなり、構成も複雑になるという課題がある。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、処理速度を低下することなくモアレの発生を低減することで出力画像品質を向上できる画像処理装置、プログラム、画像形成装置、画像形成方法、ディザマトリクスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換する中間調処理をする画像処理装置において、ディザマトリクスは、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるマトリクスである構成とした。
【0018】
ここで、ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスである構成とでき、この場合、分散特性を持つメインマトリクスはベイヤー型マトリクスである構成とでき、また、サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられている構成、入力データが網点画像を含むときにはディザマトリクスを用いた中間調処理を行ない、入力データが網点画像を含まないときにはディザマトリクスと異なるディザマトリクスを用いた中間調処理を行なう構成とできる。
【0019】
本発明に係るプログラムは、入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換する中間調処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となる前記ディザマトリクスを用いた中間調処理を実行させる構成とした。
【0020】
ここで、ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスである構成とでき、この場合、分散特性を持つメインマトリクスはベイヤー型マトリクスである構成とでき、また、サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられている構成、入力データが網点画像を含むときにはディザマトリクスを用いた中間調処理を行なわせ、入力データが網点画像を含まないときにはディザマトリクスと異なるディザマトリクスを用いた中間調処理を行なわせる構成とできる。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換処理する中間調処理を行ない、液滴を吐出する液体吐出ヘッドによって画像を形成する画像形成装置において、ディザマトリクスは、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるマトリクスである構成とした。
【0022】
ここで、ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスである構成とでき、この場合、分散特性を持つメインマトリクスはベイヤー型マトリクスである構成とでき、また、サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられている構成、入力データが網点画像を含むときにはディザマトリクスを用いた中間調処理を行ない、入力データが網点画像を含まないときにはディザマトリクスと異なるディザマトリクスを用いた中間調処理を行なう手段を備えている構成とできる。
【0023】
本発明に係る画像形成方法は、入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データにディザマトリクスを用いて変換処理する中間調処理を行ない、液滴を吐出する液体吐出ヘッドによって液滴を吐出させて画像を形成する画像形成方法において、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるディザマトリクスを用いて中間調処理を行なう構成とした。
【0024】
本発明に係るディザマトリクスは、入力される多値(M値)階調の画像データをより少ない少値(N値:M>N>2)の画像データに変換するディザマトリクスにおいて、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となる構成とした。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像処理装置、プログラム、画像形成装置、画像形成方法によれば、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるディザマトリクスを用いて中間調処理を行うので、処理速度を低下することなくモアレの発生を低減することで出力画像品質を向上できる。また、本発明に係るディザマスクによれば、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となるので、処理速度を低下することなくモアレの発生を低減することができる中間調処理が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
本発明に係る画像形成装置の一例について図1ないし図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を示す概略構成図、図2は同装置のエンジンユニット部の平面説明図、図3は同じく拡大正面説明図である。
【0027】
この画像形成装置は、装置本体1の内部(筺体内)に、画像を形成するための画像形成部(手段)2、副走査搬送部(手段)3等を有し、装置本体1の底部に設けた収容手段である給紙部(手段)4から被搬送部材である被記録媒体(以下「用紙」というが、材質を紙に限定するものではない。)5を1枚ずつ分離して給紙し、副走査搬送部3によって用紙5を画像形成部2に対向する位置で間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって用紙5に液滴を吐出して所要の画像を形成(記録)した後、排紙搬送部6を通じて装置本体1の上面に形成した排紙トレイ7上に用紙5を排紙する。なお、画像形成部2及び副走査搬送部3はユニット化してエンジンユニット100とし、装置本体1に対して着脱自在に装着している。
【0028】
また、この画像形成装置は、画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、装置本体1の上部で排紙トレイ7の上方には画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)11を備えている。この画像読取部11は、照明光源13とミラー14とを含む走査光学系15と、ミラー16、17を含む走査光学系18とが移動して、コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像の読み取りを行い、走査された原稿画像がレンズ19の後方に配置した画像読み取り素子20で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理され、画像処理した印刷データを印刷することができる。なお、コンタクトガラス12上には原稿を押えるための圧板10を備えている。
【0029】
ここで、この画像形成装置の画像形成部2は、図2にも示すように、前側板101Fと後側板101Rとの間に横架したキャリッジガイド(ガイドロッド)21と後ステー101Bに設けた図示しないガイドステーで、キャリッジ23を主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28Aと従動プーリ28B間に架け渡したタイミングベルト29を介して主走査方向に移動走査する。
【0030】
そして、このキャリッジ23上には、それぞれブラック(K)インクを吐出する2個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24k1、24k2と、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するそれぞれ1個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24c、24m、24y(色を区別しないとき及び総称するときは「記録ヘッド24」という。)の計5個の液滴吐出ヘッドを搭載し、キャリッジ23を主走査方向に移動させ、副走査搬送部3によって用紙5を用紙搬送方向(副走査方向)に送りながら記録ヘッド24から液滴を吐出させて画像形成を行うシャトル型としている。
【0031】
また、キャリッジ23には各記録ヘッド24に所要の色の記録液を供給するためにサブタンク25を搭載している。一方、図1に示すように、装置本体1の前面からカートリッジ装着部26Aに、ブラック(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した記録液カートリッジである各色のインクカートリッジ26を着脱自在に装着でき、各色のインクカートリッジ26から各色のサブタンク25に図示しないチューブを介してインク(記録液)を補充供給する。なお、ブラックインクは1つのインクカートリッジ26から2つのサブタンク25に供給する構成としている。
【0032】
なお、記録ヘッド24としては、インク流路内(圧力発生室)のインクを加圧する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどを用いることができる。
【0033】
また、図3にも示すように、キャリッジ23の主走査方向に沿って前側板101Fと後側板101Rとの間に、スリットを形成したリニアスケール128を張装し、キャリッジ23にはリニアスケール128のスリットを検知する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ129を設け、これらのリニアスケール128とエンコーダセンサ129によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダを構成している。
【0034】
さらに、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、図2に示すように、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(装置)121を配置している。この維持回復機構121は、5個の記録ヘッド24の各ノズル面24aをキャッピングするキャップ部材である、1個の保湿用を兼ねた吸引用キャップ122aと、4個の保湿用キャップ122b〜122eと、記録ヘッド24のノズル面24aをワイピングするためのワイピング部材であるワイパーブレード124と、空吐出を行うための空吐出受け125とが配置されている。
【0035】
さらに、キャリッジ23の走査方向の他方側の非印字領域には、空吐出を行うための空吐出受け126を配置している。この空吐出受け126には開口127a〜127eを形成している。
【0036】
副走査搬送部3は、下方から給紙された用紙5を略90度搬送方向を転換させて画像形成部2に対向させて搬送するための、駆動ローラである搬送ローラ32とテンションローラである従動ローラ33間に架け渡した無端状の搬送ベルト31と、この搬送ベルト31の表面を帯電させるために交番電圧であるACバイアス電圧が印加される帯電手段である帯電ローラ34と、搬送ベルト31を画像形成部2の対向する領域でガイドするプラテンガイド部材35と、用紙5を搬送ローラ32に対向する位置で搬送ベルト31側に押し付ける第1加圧コロ(入口加圧コロ)36と、搬送ローラ32と画像形成手段である記録ヘッド34との間で、用紙5をプラテンガイド部材35に対向する位置で搬送ベルト31側に押し付ける第2加圧コロ(先端加圧コロ)37と、画像形成部2によって画像が形成された用紙5を押える押えガイド部材38と、画像形成部2によって画像が形成された用紙5を搬送ベルト31から分離するための分離爪39とを備えている。
【0037】
この副走査搬送部3の搬送ベルト31は、副走査モータ131からタイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ32が回転されることで、図2の用紙搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。
【0038】
給紙部4は、装置本体1に抜き差し可能で、多数枚の用紙5を積載して収納する収容手段である給紙カセット41と、給紙カセット41内の用紙5を1枚ずつ分離して送り出すための給紙コロ42及びフリクションパッド43と、給紙される用紙5をレジストするレジストローラ対44とを有している。
【0039】
また、この給紙部4は、多数枚の用紙5を積載して収容するための手差しトレイ46及び手差しトレイ46から1枚ずつ用紙5を給紙するための手差しコロ47と、装置本体1の下側にオプションで装着される給紙カセットや両面ユニットから給紙される用紙5を搬送するための縦搬送コロ48を備えている。給紙コロ42、レジストローラ44、手差しコロ47、縦搬送コロ48などの副走査搬送部3へ用紙5を給送するための部材は図示しない電磁クラッチを介してHB型ステッピングモータからなる給紙モータ(駆動手段)49によって回転駆動される。
【0040】
排紙搬送部6は、画像形成が行われた用紙5を搬送する排紙搬送ローラ対61、62と、用紙5を排紙トレイ7へ送り出すための排紙搬送ローラ対63及び排紙ローラ64とを備えている。
【0041】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4に示すブロック説明図を参照して説明する。
この制御部は、この画像形成装置全体の制御を司る、CPU、ROM、RAM、VRAM、I/Oなどを含むマイクロコンピュータで構成した主制御部301及び印刷制御を司るマイクロコンピュータで構成した印刷制御部302とを備えている。本発明に係るプログラムはこの主制御部301内のROMに格納されて、CPUによって実行される。
【0042】
そして、主制御部301は、通信回路303から入力される印刷処理の情報に基づいて用紙5に画像を形成するために、主走査モータ27や副走査モータ131を主走査モータ駆動回路311及び副走査モータ駆動回路312を介して駆動制御するとともに、印刷制御部302に対して印刷用データを送出するなどの制御を行う。
【0043】
また、主制御部301には、キャリッジ23の位置を検出するキャリッジ位置検出回路313からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいてキャリッジ23の移動位置及び移動速度を制御する。キャリッジ位置検出回路313は、キャリッジ23の走査方向に配置されたリニアスケール(エンコーダシート)128のスリット数を、キャリッジ23に搭載されたフォトセンサ(エンコーダセンサ)129で読み取って計数することで、キャリッジ23の位置を検出する。主走査モータ駆動回路311は、主制御部301から入力されるキャリッジ移動量に応じた出力値、例えばPWM制御を行う場合にはPWM出力値に応じて主走査モータ27を回転駆動させて、キャリッジ23を所定位置に所定の速度で移動させる。
【0044】
また、主制御部301には搬送ベルト31の移動量を検出する搬送量検出回路314からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいて搬送ベルト31の移動量及び移動速度を制御する。搬送量検出回路314は、搬送ローラ32の回転軸に取り付けられたエンコーダホイールのスリット数を、フォトセンサ(エンコーダセンサ)で読み取って計数することで搬送量を検出する。副走査モータ駆動回路312は、主制御部301から入力される搬送量に応じて副走査モータ131を回転駆動させて、搬送ローラ32を回転駆動して搬送ベルト31を所定位置に所定の速度で移動させる。
【0045】
また、主制御部301は、ACバイアス供給部315を介して帯電ローラ34に対してACバイアスを与えることで搬送ベルト31を帯電する制御を行う。主制御部301は、給紙モータ駆動回路316を介して給紙モータ49を回転駆動する。主制御部301は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路317を介して維持回復機構121の図示しないモータを回転駆動することにより、キャップ122の昇降、ワイパーブレード124の昇降、図示しない吸引ポンプの駆動などを行わせる。
【0046】
また、主制御部301は、スキャナ制御部318を介して画像読取装置11を制御する。主制御部301は、操作パネル319との間で所要の表示情報の送出や入力されるキー情報の取り込みなどを行う。
【0047】
印刷制御部302は、主制御部301からの信号とキャリッジ位置検出回路313及び搬送量検出回路314などからのキャリッジ位置や搬送量に基づいて、記録ヘッド24の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成して、上述した画像データをシリアルデータでヘッド駆動回路321に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッド駆動回路321に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッド駆動回路321に対して出力する。
【0048】
ヘッド駆動回路321は、シリアルに入力される記録ヘッド24の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部302から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0049】
このように構成したこの画像形成装置においては、搬送ベルト31を駆動する搬送ローラ32の回転量を検出して、この検出した回転量に応じて副走査モータ131を駆動制御するとともに、ACバイアス供給部315から帯電ローラ34に交番電圧である正負極の矩形波の高電圧を印加し、これによって、搬送ベルト31には正と負の電荷が搬送ベルト31の搬送方向に対して交互に帯状に印加され、搬送ベルト31上に所定の帯電幅で帯電が行われて不平等電界が生成される。
【0050】
そこで、用紙5が給紙部4から給紙されて、搬送ローラ32と押えコロ36との間に送り込まれて、正負極の電荷が形成されることによって不平等電界が発生している搬送ベルト31上へと送り込まれると、用紙5は電界の向きにならって瞬時に分極し、静電吸着力で搬送ベルト31上に吸着され、搬送ベルト31の移動に伴って搬送される。
【0051】
そして、この搬送ベルト31で用紙5を間歇的に搬送しながら、用紙5上に記録ヘッド24から記録液の液滴を吐出して画像を記録(印刷)し、印刷が行われる用紙5の先端側を分離爪37で搬送ベルト31から分離して搬送ローラ38で排紙搬送部6に送り出す。
【0052】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ23は維持回復機構121側に移動されて、キャップ122で記録ヘッド24のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、吸引及び保湿用キャップ122aで記録ヘッド24をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド24のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード124でワイピングを行なう。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを空吐出受け125に向けて吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド24の安定した吐出性能を維持する。
【0053】
次に、この画像形成装置における本発明に係る画像処理装置、本発明に係るプログラム、本発明に係る画像形成方法による中間調処理、本発明に係るディザマトリクスに関して説明する。
先ず、一般的に画像読取装置(スキャナ)で原稿画像を読み取って画像形成装置(プリンタ部)で出力するまでの画像処理の流れは、図5に示すように、スキャナ11で読み取った原稿画像データに対し、入力補正部401において、スキャナγ補正部411、RGB→YUV変換部412、平滑化部413、エッジ強調部414、YUV→RGB変換部415、地肌除去部416、エッジ強調部417によって、入力される原稿画像データに対する補正を行う。
【0054】
つまり、原稿画像を複写してプリント出力するコピーの場合、入力される画像データは、全て「イメージ」データとして取り込まれるが、このとき、スキャナの性能、入力原稿の状態(記録品質、汚れや破損、表面光沢)などにより、原稿よりも劣化した状態でデータが取り込まれることになる。そこで、入力補正処理部401では、この劣化を補正し、オブジェクト毎の特性を強調することでで、出力時の画像品質の改善を図っている。
【0055】
この入力補正処理部401においては、処理能力があれば、像域分離部418によって文字と絵柄を最適なモードで読取るために読取り画像領域を分離する処理を行なって、各像域に対して上述したような補正を行う。つまり、文字と絵柄が混在した原稿を読取る場合に,文字を優先すると網点がつぶれ,逆に絵柄を有線すると文字がかすれる場合があることから、文字と絵柄領域を分けて各々に最適な処理を行えるようにする。
【0056】
この入力補正処理部401から出力される補正後の画像データを入力する出力処理部402においては、色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行なうCMM処理部421、CMYの値から黒生成/下色除去を行なうBG/UCR処理部422、解像度に合わせて拡大処理を行なう変倍処理部423、装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行なうプリンタγ補正部424、画像データを画像形成装置から噴射するドットのパターン配置に置き換えるディザマトリクスを含む中間調処理部425によって、所要の処理を行ない、図示しないが、中間調処理で得られた印刷画像データであるドットパターンデータを各スキャン毎のデータに分割し、更に記録を行なう各ノズル位置に合わせてデータ展開するラスタライジングを行って、印刷制御部302(プリンタ出力)に送出する。
【0057】
この出力補正部402におけるB/UCR処理部422、プリンタγ補正部423、中間調処理部425では像域分離部218の分離結果に応じた処理が行なわれる。
【0058】
ところで、像域分離部218による像域分離の結果は、上述した補正処理部や出力処理部の処理をなす上で重要な情報となり、像域分離結果が間違っていると、そのまま間違った処理が行われて、結果として異常画像の発生に繋がることから、像域分離を行う部分には高い処理能力と性能が要求される。
【0059】
このように像域分離を高速で正確に行うことができるかは画像処理コントローラの性能に左右され、十分な処理能力を備えていない画像処理コントローラを用いた場合には、パターンマッチングや周波数解析等を駆使する像域分離の演算は負荷が大きく、スループットが大きく低下してしまうことになるが、他方、十分な処理能力を備える画像処理コントローラを備えることは画像形成装置や画像処理装置などのコストが高くなるという問題を生じる。
【0060】
そこで、低コスト化を図る画像形成装置では、像域分離を省略し、最低限の補正処理(弱い平滑化や、地肌除去程度)のみを適用する構成が採用され、更に、出力処理側でも中間調処理部425においても、中間調処理として、誤差拡散処理ではなくディザ処理を採用しなければならない。本発明はこの中間調処理部425に係るものである。
【0061】
ディザ処理は、図6に示すように、同図(a)に示す入力された多値画像データを、同図(b)に示すディザマトリクスの閾値と比較し、同図(c)に示すようにドットパターンの配置に置き換える処理である。ディザ処理は、ディザマトリクスと入力データの一対比較でドットのON/OFFを決定することから、非常に処理が軽く、演算に必要なメモリも少量で済む。これに対して、誤差拡散処理では、ドットのON/OFFの判定に周辺の量子化誤差を反映して演算を行う必要があり、判定後も誤差値を保持し続けるためのメモリを確保する必要がある。画像品質的には、誤差拡散処理の方が、解像力、画像再現性等の点で優れるが、演算負荷の大きさとメモリコストの点から採用できない場合もある。
【0062】
しかしながら、コピーモードにおいて、ディザ処理を採用した場合、原稿の網点パターンとの干渉によるモアレが発生する。つまり、図6に示したように、原稿画像上にいくらデータが存在したとしても、ディザマトリクスの閾値を超えない限り、ドットは生成されない。網点原稿のようにデータの分布が規則的な配置で構成されている場合、ディザ処理によるドットの欠損が逆に規則性を持ち、モアレとして現れる可能性がある。例えば図7(a)に示すような網点の原稿データを、万線基調を有するディザマトリクスでディザ処理を行なった場合、同図(b)に示すように、そのまま万線基調との干渉によるモアレが出力画像に現出することになる。
【0063】
ディザ処理は、ドットの発生方法により集中型と分散型に分けることができるが、特に集中型のディザと網点原稿の組合せにて、モアレが発生し易い。これは、集中型ディザが特定の配置に従ってドットを集中させるため、集中ディザの規則性と原稿の網点周期との同期/非同期部分にも規則性が発生し、モアレとして強調されてしまうためである。
【0064】
そこで、本発明におけるディザマトリクスは、モアレの発生を抑制するとともに良好な画像再現性が得られるコピーモードに最適なディザ処理を行えるように、各階調レベル(0〜255、255がベタを示す。)において、出力画像の周波数特性が、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けて強度が相対的に増加する周波数特性となる構成としたものである、
【0065】
図8は本発明に係るディザマトリクスにおける階調レベル40(同図(a))、同80(同図(b))、同120(同図(c)、同160(同図(d))について、画像データ(ドット配置パターン)の周波数特性を示したもので、横軸は周波数、縦軸は周波数成分の強度を示すパワースペクトル(振幅の2乗)をプロットしたものである。この図8から分かるように、本発明に係るディザマトリクスによる中間調処理を行なった出力画像の周波数特性は、相対的に低い周波数成分から中間の周波数成分ないし高い周波数成分に向けてなだらかに強度が相対的に増加する周波数特性となる。なお、すべての階調レベルについてこのような周波数特性とならない場合でも本発明による効果は得られる。
【0066】
このような周波数特性は、従前知られているブルーノイズ特性を有するディザマトリクス、すなわち、図9に示すように、出力画像の周波数特性が、低周波成分の強度が小さく、ある周波数成分を境として高周波成分の強度が急激に増加する周波数特性とは著しく異なっている。
【0067】
つまり、例えば特定の基調パターンが顕著に見える網点原稿(65線)の周波数特性は、図10に示すように、基調の周期に応じた周波数帯でピークが発生する。これに対して、分散性を高めた代表的なディザマトリクスである上述したブルーノイズ特性を有するディザマトリクスを適用する場合、網点原稿の周波数特性以上の高周波数成分(好ましくはn倍の成分:nは1以上の整数)を有していれば、原稿の網点位置に出力ドットが割り振られやすくなるが、あまりに高周波側にディザマトリクスの周波数特性が寄っていると、単位面積にドットを均一に割り振ろうとする特性が強くなり、固まりとして存在する原稿網点を再現するにはドットの密度が低くなり、出力画像の濃度低下につながるという不都合がある。
【0068】
これに対して、本発明に係るディザマトリクスによれば、上述したように、ある程度低い周波数成分を有している(低周波成分から中周波成分までの部分だけで見ると所謂グリーンノイズ特性に相当している。)ことで、網点位置の再現性とドット密度を確保することができる。すなわち、ドットを分散はさせるが、多少の集中性を持たせていることで、網点の面積変調特性をも再現できるようになる。
【0069】
この本発明に係る周波数特性を有するディザマトリクスを用いて網点原稿を再現した場合、例えば、図11(a)に示すような網点の原稿データに対してディザ処理を行なった場合、同図(b)に示すように再現画像上でのモアレはほとんど発生せず、前述した図7(b)に示すような再現画像の品質に比べて著しく画像品質が向上することが分かる。
【0070】
そこで、本発明に係るディザマトリクスの具体的な構成の一例について図12以降を参照して説明する。
前述したように、ディザ処理である以上、ディザマトリクスの閾値の配置によって、原稿画像データとの同期/非同期は必ず発生する。問題となるのは、網点原稿が図12に示すように、常に固定された周期で配置されていることである。なお、図12(a)はK版:スクリーン角45°の原稿網点画像(600dpi入力時)の画素間隔を模式的に示したものであり、同図(b)は線数に対する水平画素ピッチ(600dpi入力時の網点ピッチ)を示している。
【0071】
この図12から分かるように、網点は、線数によってドット間のピッチは異なるものの、常に正方形をベースとした固定間隔でドットが配置され、そのドットが徐々に大きくなっていくことで階調を表現する。網点の発生座標が規則性を持って固定されているため、ディザマトリクスが規則性を持った閾値配置であると、わずかなズレも干渉モアレの発生につながり、最悪の場合、完全に非同期となり、ドットが全く再現できなくなる可能性もある。
【0072】
この問題を回避するためには、必ず網点原稿と同期する部分を持つ閾値配置と、同期/非同期部分が周期性を持たない閾値配置とする必要がある。本発明に係るディザマトリクスでは、ランダム性を付加することで、この問題を解決する。ただし、単にランダムなディザマトリクスでは、ドットが局部に集中しすぎて、非常にノイジーな階調再現パターンとなってしまう。
【0073】
そこで、本発明に係るディザマトリクスでは、大局的には分散特性性を持ち、局所的にランダム性を持つようするため、図13(a)に示す組織的ディザマトリクス500を、同図(b)に示すメインマトリクス501と、このメインマトリクス501の各部を構成する同図(c)に示すサブマトリクス502で構成し、メインマトリクス500は分散型ディザの規則に則り閾値が配置され、サブマトリクス502にはランダムに閾値が配置されたものとしている。
【0074】
このように、ディザマトリクスは分散特性を持つメインマトリクスと、ランダム特性を持つサブマトリクスとで構成される組織的ディザマトリクスである構成とすることで、容易に上述したような周波数特性とすることができるようになる。
【0075】
この場合、メインマトリクス502には、ベイヤー(Bayer)型ディザの規則性を持ち込んでも良いし、その他の分散型ディザの規則性を持ち込んでも良い。ただ、網点原稿が正方形のドット配置をベースとしているため、規則性の参考とする分散型ディザも同様に正方形の閾値配置をベースとしたものの方が、より同期を取りやすくなり、ベイヤー型ディザはこの点で好ましい。また、メインマトリクス501よりもサブマトリクス502のサイズが大きくなると、ランダム特性の方が優位になってしまうことから、あくまでもメインマトリクス501のサイズの方をサブマトリクス502のサイズよりも大きくする必要がある。
【0076】
サブマトリクス502にはランダムに閾値が配置されるが、完全なランダムでは、やはり局所集中の固まりが発生して画質を低下させてしまう可能性がある。これは、一つのサブマトリクス502内だけではなく、隣接するサブマトリクス502同士の間でも、ドットの局所集中が発生する可能性があるためである。前述した従来技術において、ランダムディザを切り替えることでテクスチャの発生を回避することが行われているが、サブマトリクス502同士の組合せで発生する局所集中までは想定されていないし、当然解決されていない。
【0077】
このサブマトリクス502相互間での局所集中、すなわち、サブマトリクス502に跨ってドットが過剰に集中しすぎるのを回避するため、サブマトリクス502は階調濃度に応じて周囲(例えば周囲の8個)に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値を割り当てることが好ましい。ただし、前述したブルーノイズ特性のディザマトリクスとの対比で説明したように、過剰にドットが集中し過ぎるのはもちろんのこと、分散し過ぎるのも逆に好ましくない、固まりとして存在する原稿網点を再現するときのドットの密度が低くなり、出力画像の濃度低下に繋がってしまうことになる。
【0078】
具体的に説明すると、図14(a)に示すベイヤー型のメインマトリクス501の個々のマトリクスについて例えば3×3のサブマトリクス502を配置するとき、3×3のブロックの任意の1点Pxに閾値を配置するとき、同図(b)に示すように、着目マトリクスPx(*を付したマトリクス)の位置でドットを発生させるか否かの閾値は、近接8近傍のマトリクス位置に重み付け(例えば、対角位置のマトリクスは重み「1」、左右上下位置のマトリクスは重み「3」とする。)を行い、閾値が既に配置されている位置(図では左上のマトリクス:○を付して示すマトリクスで発生している例。)の重み付け合計値に基づいて、周囲の発生率が階調に比例する一定の割合以下であれば、OK(発生させる。)ようにする(この例では、重み付け合計値が「1」であるので発生させることになる。)。
【0079】
この場合、周囲の発生率をどの程度にするかは調整可能である。例えば、階調50%のマトリクスを選ぶ場合、上記の例では、周囲のマトリクスの重み付け合計の最大値は「16」(1×4+3×4)となるので、薄い点にONにする閾値を配置するとすれば、平均的には合計値が「8以下」になるマトリクスを選択することになるが、配置できるマトリクスが限られることになるので、ある程度、例えば3割は許容して合計値が「10以下」になるマトリクスに配置するというようなことを行うことができる。
【0080】
このように、サブマトリクスは階調濃度に応じて周囲に割り当てられている閾値による発生率に基づいて閾値が割り当てられている構成とすることによって、つまり、ランダム性を持たせつつ、一定の禁則配置(周囲の閾値による発生率が所定の比率以下であることを条件とする配置)が行われていることで、サブマトリクス相互間でドットが過剰に集中しすぎるのを回避することができ、より、前述した周波数特性を実現し易くなる。
【0081】
以上のように構成される本発明に係るディザマトリクスを用いて中間調処理を行なう場合、ディザマトリクスは、出力するCMYKの各版に共通なマスクを使用することもできるが、ディザ処理後のドットがCMYKで重なりやすくなり、色の濁りや粒状感の低下につながるおそれがあるので、色版毎に異ならせることが好ましい。例えば、図15に示すように、メインマトリクス501の配置順を入れ替える(ここでは、同図(a)のマトリクスを90°回転させて配置することで同図(b)のマトリクスとした例)ことで、ドットの発生順を各色で大きく異ならせることができる。
【0082】
特に、印刷原稿の場合、CMYKの各色毎に固有のスクリーン角を持っていることから、そのスクリーン角に合わせてメインマトリクス501を回転させることによって、より各色のドット再現性を向上させることができる。
【0083】
また、図16に示すように、同図(a)に示す正順マトリクスと、同図(b)に示すように閾値配置を逆順にした逆順マトリクスとを、色毎に組み合わせることで各色のドットの重なりを低減することができる。特に、人の目の感度の高いCとMで逆順とする、あるいは、色の濁りに敏感なYとKとで逆順とすることが好ましい。
【0084】
さらに、本発明に係るディザマトリクスを多値ディザに適用する場合、つまり、図17(a)に示すように、滴サイズ(もしくは使用するインクの濃さ)に応じて再現階調区間を設定し、同図(b)、(c)、(d)に示すように、各階調区間の値を割り当てた小ドット用、中ドット用、大ドット用の多値ディザマトリクスとすることができる。
【0085】
また、液体吐出方式の画像形成装置には、ノズルを高密度で配置し、高画質記録を行うものがあり、この中には、ノズル配置をカラー対称に配置して双方向記録を行う事で、双方向色差を解消しつつ、印字の高速化を図ったものもある。ここでいう対称配置とは、副走査方向に配列した複数のノズルからなるノズル列を主走査方向に複数列配列し、同一色のインクを吐出するノズル列を2列以上有し、該同一色のインクを吐出するノズル列の間に異なる色のインクを吐出するノズル列を1列以上配列し、主走査方向に直交する軸を中心に、同一色のインクを吐出するノズル列を左右対称に配列する構成をいう。
【0086】
例えば、図18に示すように、印写方向に各色のノズル列が1列ずつ配列されたヘッド(例えば、YMCKと配置されたヘッド(ノズルも同じ))を用いて、双方向印字すると、複数の記録液を重ねた部分では双方向色差が生じてしまうことになる。イエローとシアンの記録液を重ね打ちするとき、イエロー→シアンの順番に印刷したときと、シアン→イエローの順番で印刷したときとでは色調が違ってくる。記録ヘッドのノズルが、図18に示すように、各色1列ずつ配列されている記録ヘッドを用いて双方向印刷をすることによって、滴吐出順序が、順方向(往路)ではイエロー→シアン、逆方向(復路)ではシアン→イエローとなり、色調が異なる帯状の色ムラが生じてしまうことになる。
【0087】
これを解決するためには、副走査方向に配列した複数のノズルからなるノズル列を主走査方向に複数列配列し、同一色のインクを吐出するノズル列を2列以上有し、同一色のインクを吐出するノズル列の間に異なる色のインクを吐出するノズル列を1列以上配列する構成をとる。
【0088】
例えば、図19に示すように、Yインクを吐出するノズル列の間にC、Mインクを吐出するノズル列を配列するようにすることによって、往路、復路に関わらずC→Yの順で重ね合わせることもできるし、Y→Cの順で重ね合わせることもできる。また、往路、復路に関わらずM→Yの順で重ね合わせることもできるし、Y→Mの順で重ね合わせることもできる。これによって、色再現域を拡大しながら双方向印字することができ、色再現域が広いカラー印刷物を高速で印刷することが可能となる。
【0089】
また、副走査方向に配列した複数のノズルからなるノズル列を主走査方向に複数列配列し、同一色のインクを吐出するノズル列を2列以上有し、該同一色のインクを吐出するノズル列の間に異なる色のインクを吐出するノズル列を1列以上配列し、主走査方向に直交する軸を中心に、同一色のインクを吐出するノズル列を左右対称に配列する構成をとることもできる。
【0090】
例えば、図20に示すように、主走査方向に直交する軸を中心に、同一色のインクを吐出するノズル列を左右対称に配列する、ここでは、Kを中心にして、左右にC、M、Yの順に配列することによって、より多くの色について往路、復路に関わらず任意の重ね順序で2種以上の色インクを重ね合わせることができる。これによって、さらに広い色再現域を得ながら双方向印字することができ、さらに色再現域が広いカラー印刷物を高速で印刷することが可能となる。
【0091】
さらに、図21に示すように、通常のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の他に、色濃度の低いイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、即ち、フォトイエロー(PY)、フォトマゼンタ(PM)、フォトシアン(PC)を用いることもできる。これに加えて、フォトグレー(PG)を用いることもできる。色濃度の低いインクを用いることで、色再現域を拡大することに加えて、粒状感(ざらつき感)が抑制されたカラー印刷物を印刷することが可能となる。
【0092】
このような高密度ノズル、対称ノズル構成を採用した画像形成装置では、高密度なデータを高速に処理する必要があり、演算負荷が急増することになる。本発明に係るディザマトリクスを用いた中間調処理を行なうことによって、演算負荷を軽減することができ、処理速度の確保並びにより高解像度化が可能になるといった効果を得ることもできる。
【0093】
また、本発明に係るディザマトリクスを用いたディザ処理は、ハードウエアとして搭載するだけでなく、前述したように、プログラムとして、例えばプリンタモード用の中間調処理としてプリンタドライバへ組み込むことができる。これによって演算負荷を軽減することができ、特に、上記実施形態のようなコピーモードを有する画像形成装置における処理だけでなく、ホスト側からの画像データを印刷出力する画像形成装置に適用した場合、より早くホストコンピュータを印刷タスクから開放することができる。さらに、画像形成装置に対して印刷データを送出する情報処理装置側にも適用することができる(この場合の情報処理装置は本発明に係る画像処理装置でもある。)。
【0094】
また、本発明に係るディザマトリクスを用いた中間調処理と本発明に係るディザマトリクス以外のディザマトリクスを用いた中間調処理とを切り替えることもできる。つまり、網点原稿画像に対するモアレの抑制や演算負荷という点では劣るものの、連続調原稿画像に対してはより高品質な出力が可能な中間調処理が存在する。そこで、例えば、図22に示すように、これらの中間調処理をモード別に、例えば、網点原稿の使用頻度が高いコピーモード(及びFAXモード)では本発明に係るディザマトリクスを用いた中間調処理(第1中間調処理)を、連続調原稿が主となるプリンタモードでは他の中間調処理(第2中間調処理)を選択することで、高品質な画像再現が可能である。これらの処理の切替えは、モードの選択に合わせて自動的に切り替えることもできるし、あるいは、ユーザーの指示によって切り替えるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る画像処理装置、本発明に係るプログラム、本発明にディザマトリクスを備え、本発明に係る画像形成方法で画像を形成する本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面説明図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】同装置の要部拡大正面説明図である。
【図4】同装置の制御部の概要を示すブロック図である。
【図5】一般的なコピーモードにおける画像処理の流れの説明に供する説明図である。
【図6】ディザ処理の説明に供する説明図である。
【図7】網点画像とディザマトリクスの基調が一致した場合のモアレの発生の説明に供する説明図である。
【図8】本発明に係るディザマトリクスの周波数特性を異なる階調レベルについて説明する説明図である。
【図9】ブルーノイズ特性を有するディザマトリクスの説明に供する説明図である。
【図10】網点画像の周波数特性の説明に供する説明図である。
【図11】本発明に係るディザマトリクスの用いた中間調処理を行なった場合の網点画像の出力画像結果の説明に供する説明図である。
【図12】一般的な網点画像の特徴の説明に供する説明図である。
【図13】本発明に係るディザマトリクスの構成の一例を説明する説明図である。
【図14】本発明に係るディザマトリクスにおけるサブマトリクスの閾値配置の説明に供する説明図である。
【図15】ディザマトリクスを回転させて使用する場合の例の説明に供する説明図である。
【図16】ディザマトリクスを正順及び逆順の2種類にして使用する場合の例の説明に供する。
【図17】多値ディザマトリクスの説明に供する説明図である。
【図18】ノズル列配置が非対称配置のヘッドの説明に供する説明図である。
【図19】ノズル列配置が対称配置のヘッドの一例の説明に供する説明図である。
【図20】ノズル列配置が対称配置のヘッドの他の例の説明に供する説明図である。
【図21】ノズル列配置が対称配置のヘッドの更に他の例の説明に供する説明図である。
【図22】中間調処理をモードに応じて切替える例の説明に供するフロー図である。
【符号の説明】
【0096】
1…装置本体
2…画像形成部
3…副走査搬送部
4…給紙部
5…用紙(被記録媒体)
7…排紙搬送部
8…排紙トレイ
11…画像読取部
23…キャリッジ
24…記録ヘッド
31…搬送ベルト
32…搬送ローラ
301…主制御部
313…スキャナ制御部
425…中間調処理部
500…ディザマトリクス
501…メインマトリクス
502…サブマトリクス
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成18年9月16日(2006.9.16)
【代理人】 【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保


【公開番号】 特開2008−72676(P2008−72676A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−251949(P2006−251949)