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【発明の名称】 カラー画像処理装置
【発明者】 【氏名】山田 和幸

【要約】 【課題】複数色により表現されたカラー画像データを処理するプリンタ装置100における効果的なトラッピング処理を行うこと。

【構成】不揮発性メモリ2−5は、色ずれ情報を格納し、トラッピング処理部2−6は、揮発性メモリ2−4に格納されている上記複数色の画像データの境界部分を検出し、該境界部分に於ける色変化を検出し、該境界部分に於ける色変化に基づいて、不揮発性メモリ2−5を参照し、色ずれ方向を認識し、画像データの境界部分の色変化を補正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色により表現されたカラー画像データを処理するカラー画像処理装置であって、
前記複数色のそれぞれについて色ずれ情報を格納するずれ情報格納部と、
前記複数色の画像データの境界部分を検出する境界検出部と、
前記境界検出部が検出した前記画像データの境界部分に於ける色変化を検出する色変化検出部と、
前記色変化検出部が検出した前記境界部分に於ける色変化に基づいて、前記ずれ情報格納部を参照し、色ずれ方向を認識する色ずれ方向認識部と、
前記色ずれ方向認識部が認識した前記色ずれ方向に基づいて前記画像データの境界部分の色変化を補正する画像補正部とを備えることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項2】
前記ずれ情報格納部は、
前記複数色のそれぞれについて他の色に対する色ずれの有無及び方向を格納することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像処理装置。
【請求項3】
前記色変化検出部は、
前記画像データの境界部分に於ける隣接画素の濃度差に基づいて境界部分に於ける色変化を検出することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像処理装置。
【請求項4】
前記画像補正部は、
前記色ずれ方向に基づいて白抜け部分、及び、色重なり部分を判定する判定手段と、
該判定手段が判定した前記白抜け部分には色を埋める処理を、前記色重なり部分には色抜き処理を施す色処理手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像処理装置。
【請求項5】
前記色処理手段は、
前記境界部分から徐々に濃度を軽減することを特徴とする請求項4に記載のカラー画像処理装置。
【請求項6】
前記色処理手段は、
前記境界部分から徐々に当該画像データの色彩に近づけることを特徴とする請求項4に記載のカラー画像処理装置。
【請求項7】
前記画像補正部は、
最も濃度の低い色の画像データを補正することを特徴とする請求項4に記載のカラー画像処理装置。
【請求項8】
前記画像補正部は、
隣接する色画像データの内、より広い領域を有する画像データを補正することを特徴とする請求項4に記載のカラー画像処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像処理装置に関し、特に、カラー画像における色ずれ補正に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像処理装置としてのカラープリンタは、異なる色を印字する複数の印刷機構を並べ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーを使用して印刷を行う。このようなカラープリンタでは、4色のトナーによる画像記録を各色毎に記録媒体上に重ねるので、色ずれが発生しやすくなる。通常、プリンタの色ずれは記録媒体に対して上下方向、または左右方向、更には、その上下・左右の両方向に組合せた状態で発生する。この色ずれは、LEDヘッドの取り付け位置の誤差や、画像記録媒体と画像記録媒体搬送速度のムラ、回転体の偏心による回転ムラ等様々な原因によるため、完全に除去することは困難である。そこで、除去しきれない色ずれを、通常トラッピング処理とよばれる画像処理によって補正している。ここでトラッピング処理の概要について図を用いて説明する。
【0003】
図21は、トラッピング処理の説明図である。
(a)は、色ずれにより白抜けが発生している状態を表す図である。(b)は、トラッピング処理により背景領域が拡張された状態を表す図である。(c)は、トラッピング処理により拡張された背景とオブジェクトが重ねられた領域を表す図である。一例として(a)図に示すようにオブジェクト(マゼンタ)の左側に寸法αの色ずれが発生したとする。かかる場合には、この寸法αの色ずれを補正するために、(b)に示すようにオブジェクト(マゼンタ)は、全周に亘って、一義的に領域がα+Δα拡大される。
【特許文献1】特開2000−106628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトラッピング処理では、プリンタの色ずれが左右方向にしか発生していない場合であっても、トラッピング処理を行うことで、本来は補正が必要でない上下方向や、元々色ずれにより色の重なりが既に存在している部分にまでも、重なりの領域が広がってしまうという解決すべき課題が残されていた。本発明は、本来必要ではない補正を抑制し、より高品質な画像記録を取得できる画像処理を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数色により表現されたカラー画像データを処理するカラー画像処理装置であって、上記複数色のそれぞれについて色ずれ情報を格納するずれ情報格納部と、上記複数色の画像データの境界部分を検出する境界検出部と、上記境界検出部が検出した上記画像データの境界部分に於ける色変化を検出する色変化検出部と、上記色変化検出部が検出した上記境界部分に於ける色変化に基づいて、上記ずれ情報格納部を参照し、色ずれ方向を認識する色ずれ方向認識部と、上記色ずれ方向認識部が認識した上記色ずれ方向に基づいて上記画像データの境界部分の色変化を補正する画像補正部とを備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、色ずれ情報を格納するずれ情報格納部を有し、色ずれ方向認識部が、ずれ情報格納部を参照して色ずれ方向を認識するので、色ずれの無い部分については画像補正部は、画像補正しないことになる。従って、従来のトラッピング技術のように不必要な領域(例えば図21の上側部分、及び下側部分)を補正することが無くなるので、より高品質な画像記録を取得できる画像処理を提供することできるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による画像処理装置は以下のように構成される。
【実施例1】
【0008】
(構成)の説明
図1は、実施例1のプリンタ装置の構成を示す機能ブロック図である。
図に示すように実施例1のプリンタ装置100は、データ受信部2−1と、言語解析部2−2と、画像処理部2−3と、揮発性メモリ2−4と、不揮発性メモリ2−5と、トラッピング処理部2−6とを備える。
【0009】
データ受信部2−1は図示しないネットワークや外部装置などから送信されてくるデータを受信する部分である。言語解析部2−2はデータ受信部2−1が受信したデータを解析する部分である。画像処理部2−3は、言語解析部2−2が解析したデータを処理し、ラスタデータを生成する部分である。揮発性メモリ2−4は画像処理部2−3で生成したラスタデータや装置のトナー特性情報2−7を記憶するメモリである。ここでトナー特性情報2−7は、プリンタが搭載しているトナーの濃度特性の情報である。
【0010】
不揮発性メモリ2−5は、色ずれ確認パッチ情報2−8、色ずれテーブル情報2−9、トラップ幅情報2−10とを格納する不揮発性のメモリである。ここで色ずれ確認パッチ情報2−8は、プリンタでの色ずれを確認するための基準ジョブデータである。色ずれテーブル情報2−9は色ずれ確認パッチにより目視で確認された色ずれの有無とその方向を示す情報である。トラップ幅情報2−10はトラップ幅の情報である。トラッピング処理部2−6は、画像処理部2−3が生成したラスタデータに対してトラッピング処理を行う部分である。以上説明したプリンタ装置100は以下のように動作する。
【0011】
(動作)の説明
先ず最初に、トラッピング処理の基準となる、プリンタ装置100の色ずれ性能の取得方法について説明する。
図2は、色ずれ確認パッチの説明図である。
この図は、正方形の外枠の中に同じく正方形の内枠が収納される確認パッチ(yc)、確認パッチ(cm)、確認パッチ(ym)、確認パッチ(ck)、確認パッチ(mk)、確認パッチ(yk)を表している。各外枠と内枠には、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)の各色彩から2色組合わせの色彩が表示されている。ここでは、確認パッチ(yc)は、外枠がイエロー(y)と内枠がシアン(c)の組合わせであり、確認パッチ(cm)は、外枠がシアン(c)と内枠がマゼンタ(m)の組合わせであり、確認パッチ(ym)は、外枠がイエロー(y)と内枠がマゼンタ(m)の組合わせであり、確認パッチ(ck)は、外枠がシアン(c)と内枠がブラック(k)の組合わせであり、確認パッチ(mk)は、外枠がマゼンタ(m)と内枠がブラック(k)の組合わせであり、確認パッチ(yk)は、外枠がイエロー(y)と内枠がブラック(k)の組合わせである。尚、図示しない確認パッチ(cy)、確認パッチ(mc)、確認パッチ(my)、確認パッチ(kc)、確認パッチ(km)、確認パッチ(ky)は、それぞれ上記、確認パッチ(yc)、確認パッチ(cm)、確認パッチ(ym)、確認パッチ(ck)、確認パッチ(mk)、確認パッチ(yk)と同一機能なのでここでは含めないこととする。外枠となる正方形は、内枠の部分が空白となっている。この色ずれ確認パッチを印刷するためのデータは不揮発性メモリ2−5に色ずれ確認パッチ情報2−8として予め格納されている。
【0012】
図3は、実施例1の色ずれ確認パッチをプリンタ装置100で出力した説明図である。
この図は、上記図2に示す色ずれ確認パッチを図示しない上位装置から受信したり、あるいは又、プリンタ装置100に設けられた図示しないオペレーションパネル上のスイッチからユーザが確認パッチ印刷を指定し、プリンタ内に格納されていた色ずれ確認パッチデータを印刷した結果の一例を表している。この例では、例えば(mk)のようにマゼンタに対してブラックが左上に色ずれを起こしていることが分かる。ユーザはこのパッチ印刷の結果より不揮発性メモリ2−5(図1)に保存してある色ずれテーブル情報2−9にパラメータをセットする。ここで色ずれテーブル情報2−9の内容について説明する。
【0013】
図4は、色ずれテーブル(水平方向)の説明図である。
図5は、色ずれテーブル(垂直方向)の説明図である。
両図とも、横並び枠に左から順番に、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)を、縦並び枠に上から順番に、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)を表し、横並びと縦並びとの交わる交叉枠に上記確認パッチの種類を表している。例を上げると、図4に於いて、上から4番目の横並び枠と左から3番目の縦並び枠との交叉枠には、Gh−ymと記載されている。ここでGhは水平方向の色ずれ検出用であることを表し、ymは、確認パッチ(ym)又は図示しない確認パッチ(my)を表している。従って、この枠に確認パッチ(ym)の水平方向のずれの有無と方向の符号(後記)がパラメータとして挿入されることになる。myとは、mが始めにあることにより、マゼンタが背景、イエローがオブジェクトであることを示す。
【0014】
同様に、図5に於いて、上から4番目の横並び枠と左から3番目の縦並び枠との交叉枠には、Gv−ymと記載されている。ここでGvは垂直方向の色ずれ検出用であることを表し、ymは、確認パッチ(ym)又は図示しない確認パッチ(my)を表している。従って、この枠に確認パッチ(ym)の垂直方向のずれの有無と方向の符号(後記)がパラメータとして挿入されることになる。次に水平方向のずれの有無と方向の符号、および垂直方向のずれの有無と方向の符号の取り決め方法について説明する。
【0015】
一例として、上記図3の印刷結果を得た場合に、各パラメータは以下の符号となる。
Gh−yc=0 Gh−cm=正 Gh−ym=正
Gh−ck=0 Gh−mk=負 Gh−yk=0
正は内枠が右方向にずれていることを示し、負は内枠が左方向にずれていることを示し、0はずれがないことを示す(走査方向)。
Gv−yc=0 Gv−cm=正 Gv−ym=正
Gv−ck=0 Gv−mk=負 Gv−yk=0
正は内枠が下方向にずれていることを示し、負は内枠が上方向にずれていることを示し、0はずれがないことを示す(副走査方向)。
このようにして求められたパラメータのセットはオペレータによるプリンタのパネル操作により、又は、2−1受信部を経由してプリンタ制御用コマンドにより色ずれテーブルに図4、及び図5のようにセットされる。
【0016】
次に画素データについて説明する。
図6は、シアンとマゼンタの色ずれ状態の説明図である。
図に示すように、ここでは一例としてマゼンタが右方向、及び下方向に色ずれし、白抜けが発生している。
【0017】
図7は、シアンとマゼンタの画素データの説明図(その1)である。
図8は、シアンとマゼンタの画素データの説明図(その2)である。
図9は、シアンとマゼンタの画素データの説明図(その3)である。
これらの図は、シアンとマゼンタの画素データを、それぞれ表している。ここでは、図に示すようにシアンのオブジェクトとマゼンタのオブジェクトが隣接している場合について説明する。トラッピング処理は、画像処理部2−3(図1)で生成されたラスタデータ(bitmapイメージデータ)に対して実行される。このラスタデータはデータ受信部2−1(図1)で受信されたデータを言語解析部2−2(図1)が解析を行い、その解析に基づいて画像処理部2−3(図1)が生成したものである。以下に図6〜図9を併用しながらトラッピング処理全体を大きなフロー(大枠)に分解して説明し、続けて、各フロー(大枠)の詳細について説明する。
【0018】
図10は、実施例1のトラッピング処理のフローチャートである。
ステップS1−1
まずトラッピング処理部2−6(図1)は、揮発性メモリ2−4(図1)に格納されているラスタデータからエッジの検出を開始する。このフローは、後に再度詳細に説明する。
【0019】
ステップS1−2
エッジが検出された場合には、ステップS1−3へ進み、検出出来なかったときはステップS1−7へ進む。
【0020】
ステップS1−3
トラッピング処理部2−6(図1)は、不揮発性メモリ2−5(図1)に格納されている色ずれテーブル情報2−9(図1)、及びトラップ幅情報2−10(図1)に基づいて、トラッピング処理または画像修正処理が必要であるか否かを判断する。このフローは、後に再度詳細に説明する。
【0021】
ステップS1−4
トラッピング処理または画像修正処理が必要であると判断された場合にはステップS1−5へ進み、必要であるとされない場合には、ステップS1−7へ進む。
【0022】
ステップS1−5
トラッピング処理部2−6(図1)は、画素の色を決定する。このフローは、後に再度詳細に説明する。
【0023】
ステップS1−6
トラッピング処理部2−6(図1)は色を決定すると、画像を補正する。
【0024】
ステップS1−7
注目する画素がまだあるか否かを判断し、存在するならばステップS1−8へ進み、画像の左上から右下まで順番に全ての画素についての処理が終了すると印刷が開始される。
【0025】
ステップS1−8
注目する画素を変更して、ステップS1−1へ戻る。
【0026】
ここで上記ステップS1−1に示すエッジ検出の詳細について説明する。
図11は、エッジ検出処理のフローチャートである。
【0027】
ステップS1−11
トラッピング処理部2−6(図1)は、図6〜図9に示すように注目画素を含んだ1頁分の領域のデータを全色取り出す。
【0028】
ステップS1−12
トラッピング処理部2−6(図1)は、注目画素と右方向と下方向に隣接する画素の濃度を取り出す。この場合、C、M、Y、Kの全濃度を認識する。
【0029】
ステップS1−13
トラッピング処理部2−6(図1)は、濃度差の傾きを算出する。例えば、図7(a)のシアンプレーンでみると注目画素のシアン濃度は80%で、右方向と下方向で隣接する画素の濃度は各々0%、80%となる。注目画素と右方向の画素における濃度差の傾きは[(注目画素の濃度−右隣画素の濃度)/(1−0)]=0.8となる。
【0030】
ステップS1−14
予め設定しておいたエッジを検出するための濃度差の閾値(例えば閾値を0.5とする)と、注目画素と隣接する画素の濃度差を比較し、濃度差の傾きが閾値を超えた場合にはステップS1−15へ進み、閾値を超えない場合にはステップS1−16へ進む。図7(a)の例ではステップS1−15へ進むことになる。
【0031】
ステップS1−15
トラッピング処理部2−6(図1)は、注目画素がエッジであると判断する。
【0032】
ステップS1−16
トラッピング処理部2−6(図1)は、注目画素がエッジでないと判断する。
【0033】
ステップS1−17
注目画素の全ての色について終了するまでステップS1−12〜ステップS1−17を繰り返し、全てについて終了するとフローを終了する。以上のフローを辿ることによって、図7、及び図8の注目画素では、縦方向のエッジを検出する。図9の注目画素では、横方向のエッジを検出することになる。
【0034】
次に上記ステップS1−3に示すトラッピング処理の条件判断の詳細について説明する。
図12は、トラッピング条件判断のフローチャートである。
ステップS1−21
トラッピング処理部2−6(図1)は、図4、図5の色ずれテーブルのパラメータ値を参照する。トラッピング処理部2−6(図1)は、これらのパラメータ値が全て0でなければ色ずれが発生していると判断する。色ずれが発生していればステップS1−22へ進み、発生していなければステップS1−27へ進む。
【0035】
ステップS1−22
トラッピング処理部2−6(図1)は、注目画素と右方向と下方向に隣接する画素の濃度を取り出す。図7の場合は、シアンプレーンでみると注目画素のシアン濃度は80%で、右方向と下方向に隣接する画素の濃度は各々0%、80%、となる。
【0036】
ステップS1−23
トラッピング処理部2−6(図1)は、予め設定しておいたトラッピング処理を適用するための濃度差の閾値と、注目画素と隣接する画素の濃度差を比較し、閾値を超えない場合はステップS1−27へ進み、閾値を超える場合にはステップS1−24へ進む。
【0037】
ステップS1−24
エッジ部分に白抜けが発生する場合にはステップS1−25へ進み、白抜けが発生しない場合にはステップS1−26へ進む。図7の場合は、図4、及び図5との対応から、オブジェクト(マゼンタ)の左側と上側に白抜けが発生し、オブジェクト(マゼンタ)の右側と下側に色の重なり部分が発生する筈である。即ち、図7の場合は、シアン80%でマゼンタ100%なので、シアンが−80、マゼンタが+100、イエロー0、ブラック0とすると、隣接する画素間の濃度差が左から右へアップするので白抜け部分が発生する。また同様にして、図8の場合は、図4、及び図5との対応から、オブジェクト(マゼンタ)の右側と下側に、色の重なり部分が発生する筈である。即ち、シアン+80、マゼンタが−100、イエロー0、ブラック0とすると、隣接する画素間の濃度差が左から右へダウンするので色の重なり部分が発生する。
【0038】
ステップS1−25
トラッピング処理部2−6(図1)は、このエッジ部分には白抜けが発生しているためトラッピング処理が必要であると判断する(図7の場合が該当する)。
【0039】
ステップS1−26
トラッピング処理部2−6(図1)は、このエッジ部分には重なりが発生しているため画像修正処理が必要であると判断する(図8の場合が該当する)。
【0040】
ステップS1−27
トラッピング処理は不必要となりステップS1−28へ進む。従って、例えば図21の上下部分などは、本発明ではトラッピング処理は不必要とされる。
【0041】
ステップS1−28
これを全画素、全色について行った後フローを終了する。
【0042】
次に上記ステップS1−5に示す色の決定の詳細について説明する。
図13は、色の決定処理のフローチャートである。
ステップS1−31
トラッピング処理部2−6(図1)は、注目画素と隣接する画素濃度を取得する。ここでは、トラップにより拡張されるべき色成分がシアンだけのため、取得する濃度はシアンだけでよい。
【0043】
ステップS1−32
図7の場合は、注目画素のシアン濃度は80%、隣接画素で0%である。ここでトナー濃度特性について説明する。
図14は、トナー特性の説明図である。
この図は、注目画素と近隣画素のトラッピング処理、または、画像修正処理における画素の濃度を取得するための図である。図のX軸方向に所定の基準位置から注目画素の位置C0に至る距離を表し、図中C1は、注目画素に隣接する画素の位置を表し、C2は、注目画素から2画素、離れた位置を示している。又、図のY軸方向は、注目画素の位置C0に至る距離に対応する濃度を表している。ここでは、トラップ幅、及び重なり幅を2ドットとし、注目画素濃度80%を(2+1)分割してC1、C2を求めている。そのときのC1の濃度、及びC2の濃度は、予め不揮発性メモリ2−5に50%及び30%と予め格納されている。但し、これは1例であって、トラップ幅、及び重なり幅は、2ドットに限るものではなく、また、トラップ幅と重なり幅も同じであるとは限らない。この場合の各画素の濃度も予め不揮発性メモリ格納されている。この図を用いて、注目画素と近隣画素のトラッピング処理、及び画像修正処理における画素の濃度を取得する。尚、後記実施例2では、この例に限定されない場合について説明する。
【0044】
再度図13へ戻り、
ステップS1−33
トラッピング処理部2−6(図1)は、ここでは一例として隣接する画素(トラップ幅1)のシアン濃度50%、2ドット目の画素(トラップ幅2)のシアン濃度30%を取得し、フローを終了する。これらの値は、予め実験値などによって確定され予めトラップ幅情報2−10(図1)に格納されている。
【0045】
次に上記ステップS1−6に示す画像の補正について説明する。
図15は、画像補正処理のフローチャートである。
ステップS1−41
上記ステップS1−25(図12)でトラッピングが必要であると判断された場合はステップS1−42へ進み、トラッピングが必要なしと判断された場合にはステップS1−43へ進む。
【0046】
ステップS1−42
トラッピング処理部2−6(図1)は、トラップ方向(左と上)にトラップ幅(2ドット)の画素に対してステップS1−33で決定された色値(図14C1、C2)を適用して白抜けを除去し、フローを終了する。
【0047】
ステップS1−43
トラッピング処理部2−6(図1)は、重なり方向(右と下)にトラップ幅(2ドット)の画素に対してステップS1−33で決定された色値(図14C1、C2)を適用して画像修正処理を行ってフローを終了する。
【0048】
以上説明したように注目画素をラスターデータの左上から開始して右方向にライン毎に進め、画像処理を施していくと、次に示すような結果となる。
図16は、画像補正の結果の説明図である。
(a)に於いて、太実線の内部がトラッピング処理された領域であり、更に、斜線部分はシアン50%部分、更に、その内側はシアン30%部分を表している。この(a)に示すシアンプレーンデータと(b)に示すマゼンタプレーンデータとが積層されて出力画像が形成される。
【0049】
尚、上記説明では、確認パッチは、正方形の外枠の中、及び正方形の内枠の中ともに1色で表現された場合について説明したが、本発明は、この例に限定されるものでは無い。即ち、一例として確認パッチ(cm)に於いて、マゼンタmにイエローyを重ねることも可能である。この場合に於いて、シアンcに対して、マゼンタmは右下にずれ、シアンcに対して、イエローyはずれていない場合を想定する。かかる場合にはシアンcと、マゼンタmの間に発生する白抜けをイエローyが埋める形になり、白抜けは、発生しない。従って、補正は行わないこととする。又、例えば、シアンcに対してイエローyがマゼンタmと同一方向にずれる場合は白抜けが発生するので補正を行う。補正を施すデータは、最も薄い色のデータ領域(例えばイエロー領域)だったり、面積の大きい色領域に対して行うと良い。
【0050】
(効果)の説明
以上説明したように、本実施例によれば、色ずれにより発生する隣接オブジェクト同士の間の白抜けを防ぎ、またはオブジェクトの重なりによる色の変化を緩和したりできるという効果を得る。また予め隣接する画素の濃度差に設定値を設けることによって、従来のトラッピング技術のような不必要な領域(例えば図21の上側部分、及び下側部分)の補正の必要もなくなるという効果を得る。又、画像補正部は、色ずれ方向に基づいて白抜け部分、及び、色重なり部分を判定し、白抜け部分には色を埋める処理を、色重なり部分には色抜き処理を施すことになるので、より一層高品質な画像記録を取得できる画像処理を提供することできるという効果を得る。
【実施例2】
【0051】
(構成)の説明
図17は、実施例2のプリンタ装置の構成を示す機能ブロック図である。
図に示すように実施例2のプリンタ装置200は、データ受信部2−1と、言語解析部2−2と、画像処理部2−3と、揮発性メモリ2−4と、不揮発性メモリ2−5と、トラッピング処理部2−6と、自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11を備える。以下に実施例1と相違する部分のみについて説明する。実施例1と同様の部分については、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11は、トラップ幅情報2−10の設定値を変更し、言語解析部2−2に対して色ずれ確認パッチ情報2−8を複数回投入可能な機能を有する部分である。
【0053】
(動作)の説明
実施例1では、プリンタ装置に於けるトラップ幅をユーザの判断により設定していた。即ち、トラップ幅を決定するためには、パッチ印刷を行い目視により大体のトラップ幅を想定し、プリンタに設定を行っていた。当然の事ながらトラップ幅が小さすぎたり、または逆に大きすぎたりすることもある。適切なトラップ幅の設定が決まるまでに何回かこの作業を行わなくてはならなかった。実施例2では、パッチ印刷の際にトラップ幅を自動的に変化させて画像処理を行いユーザがより適切にトラップ幅を決定しやすい方法を提供する。
【0054】
図18は、実施例2の色ずれ確認パッチ印刷のフローチャートである。
このフローチャートを用いて実施例2の動作について説明する。その説明の中で下図を併用する。
図19は、実施例2の色ずれ確認パッチの出力説明図(その1)である。
この図は、トラップ幅=0の状態を印刷したものであり実施例1に於ける図3と全く同様である。
図20は、実施例2の色ずれ確認パッチの出力説明図(その2)である。
この図は、図19の確認パッチ(cm)をトラップ幅を変化させた場合の図である。
【0055】
まずプリンタ装置の色ずれを確認するため、色ずれ確認パッチの印刷を行う。ユーザとしては色ずれ確認パッチを実施例1と同様に印刷するだけでよい。あとは自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)がトラップ幅の設定を変更しながら複数枚のパッチファイルを印刷する。
【0056】
ステップS2−1
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)は、プリンタに設定されている現在のトラップ幅を揮発性メモリにセーブする。
【0057】
ステップS2−2
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)は、プリンタのトラップ幅を0に設定する。
【0058】
ステップS2−3
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)は、不揮発性メモリに格納された色ずれ確認パッチを印刷する。ここでは一切トラッピング処理は行われない。
【0059】
ステップS2−4
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)は、プリンタのトラップ幅設定に+1する。
【0060】
ステップS2−5
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)は、トラップ幅が4ドットより小さいかを判断し、小さければステップS2−3に戻り色ずれ確認用パッチの印刷を行う。説明の便宜上トラップ幅の判定を4ドットとしているがこれよりも大きくても小さくても構わない。
【0061】
ステップS2−6
自動色ずれ確認パッチファイル印刷部2−11(図17)は、トラップ幅を設定する。上記ステップS2−1からステップS2−6までを完了すると計4枚の出力結果が得られる。
【0062】
図20は、実施例2の色ずれ確認パッチの出力説明図(その2)である。
この図は、図19の確認パッチ(cm)のみに注目したものでトラップ幅を変化させた場合の図である。出力結果はそれぞれトラップ幅が0ドット、1ドット、2ドット、3ドットの設定となった結果である。ユーザはこれらの印刷結果から一番適切な又は好みのトラップ幅を判断し、プリンタにトラップ幅を設定する。
尚、ここでは、色の組み合わせ毎にトラップ幅を入力してもよい。具体的な画像処理に関しては実施例1と同様なので説明を省略する。
【0063】
(効果)の説明
実施例2では実施例1の効果に加えて、ユーザが適切なトラップ幅を選択しやすくなるという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上記実施例の説明では、本発明を、カラープリンタ装置に適用した場合に限定して説明したが、本発明はこの例に限定されるものでは無い。即ち、カラー複合装置等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例1のプリンタ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】色ずれ確認パッチの説明図である。
【図3】実施例1の色ずれ確認パッチをプリンタ装置100で出力した説明図である。
【図4】色ずれテーブル(水平方向)の説明図である。
【図5】色ずれテーブル(垂直方向)の説明図である。
【図6】シアンとマゼンタの色ずれ状態の説明図である。
【図7】シアンとマゼンタの画素データの説明図(その1)である。
【図8】シアンとマゼンタの画素データの説明図(その2)である。
【図9】シアンとマゼンタの画素データの説明図(その3)である。
【図10】実施例1のトラッピング処理のフローチャートである。
【図11】エッジ検出処理のフローチャートである。
【図12】トラッピング条件判断のフローチャートである。
【図13】色の決定処理のフローチャートである。
【図14】トナー特性の説明図である。
【図15】画像補正処理のフローチャートである。
【図16】画像補正の結果の説明図である。
【図17】実施例2のプリンタ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図18】実施例2の色ずれ確認パッチ印刷のフローチャートである。
【図19】実施例2の色ずれ確認パッチの出力説明図(その1)である。
【図20】実施例2の色ずれ確認パッチの出力説明図(その2)である。
【図21】トラッピング処理の説明図である。
【符号の説明】
【0066】
2−1 データ受信部
2−2 言語解析部
2−3 画像処理部
2−4 揮発性メモリ
2−5 不揮発性メモリ
2−6 トラッピング処理部
2−7 トナー特性情報
2−8 色ずれ確認パッチ情報
2−9 色ずれテーブル情報
2−10 トラップ幅情報
100 プリンタ装置
【出願人】 【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
【識別番号】594202361
【氏名又は名称】株式会社沖データシステムズ
【出願日】 平成18年9月15日(2006.9.15)
【代理人】 【識別番号】100082050
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 幸男


【公開番号】 特開2008−72670(P2008−72670A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−251858(P2006−251858)