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【発明の名称】 色処理方法、色処理装置、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体
【発明者】 【氏名】白沢 寿夫

【要約】 【課題】出力装置の色再現域外にある、例えば飽和色などの色調整を行う場合に、本来調整が不要な色信号に影響を及ぼさない。

【構成】入力RGB信号は入力色変換部201により色信号(JCH)に変換される。中間色信号変換部202は、調整テーブル記憶手段205を参照して、色信号の明度、彩度、色相などを変更した色信号(J’C’H’)に変換した後、J’Ca’Cb’信号に変換する。ガマットマッピング部203はJ’Ca’Cb’信号を、画像出力装置の色再現域内の色信号に変換し、出力色変換部204は、画像出力装置に依存した信号R’G’B’信号に変換し、色分解変換部208はCMYK信号に変換する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力色信号を中間色信号に変換し、中間色信号を画像出力装置の色域内信号に変換する色処理方法であって、代表色の色調整値を設定し、前記中間色信号を画像出力装置の色域内信号に変換するマッピングテーブルに基づいて、前記代表色及び制御点の基準調整量を求め、前記基準調整量及び前記色調整値に基づいて、前記制御点の色調整値を求め、前記制御点に対する色調整値を用いて、前記入力色信号を中間色信号に変換するための色調整テーブルを作成することを特徴とする色処理方法。
【請求項2】
前記代表色は、画像出力装置の色再現範囲外の色信号であることを特徴とする請求項1記載の色処理方法。
【請求項3】
前記マッピングテーブルを用いて代表色または制御点の色域マッピング処理を行い、色域マッピング前の色信号と色域マッピング後の色信号との色差を前記基準調整量とすることを特徴とする請求項1記載の色処理方法。
【請求項4】
前記制御点に隣接する複数の代表色を求め、前記複数の代表色に対する色調整値と、前記制御点及び代表色の基準調整量の比に基づいて前記制御点の色調整値を求めることを特徴とする請求項1記載の色処理方法。
【請求項5】
前記マッピングテーブルは、画像出力装置の色域内の色信号に対する調整量がほぼ0であることを特徴とする請求項1記載の色処理方法。
【請求項6】
入力色信号の色調整を行う色調整テーブルを作成する色処理装置であって、代表色の色調整値を設定する手段と、前記入力色信号を画像出力装置の色域内信号に変換するマッピングテーブルを読み取る手段と、前記マッピングテーブルに基づいて、前記代表色及び制御点の基準調整量を求める手段と、前記基準調整量及び前記色調整値に基づいて、前記制御点の色調整値を求める手段と、前記制御点に対する色調整値を用いて、前記入力色信号を中間色信号に変換するための色調整テーブルを作成する手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の色処理装置を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の色処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の色処理方法をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置の色再現範囲と出力装置の色再現範囲が異なる場合に、入力系のカラー画像情報を出力系の色再現範囲内のカラー画像情報に変換する色処理方法、色処理装置、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体に関し、カラーファクシミリ、カラープリンタ、カラー複写機などのカラー画像出力装置や、画像出力装置で使用する色変換パラメータを生成するソフトウェアなどに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を出力するための機器としてCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置やプリンタ等の印刷装置が普及しているが、これらはそれぞれ出力方式が異なるため、再現可能な色範囲に相違がある。そのため、例えばCRT上で作成した画像をプリンタで印刷する場合のように、異なる出力装置で同じ画像データによる出力を行うと、再現できない色が生じる可能性がある。このことから、複数の機器を通じてカラー画像を取り扱う際には、与えられたカラー画像信号を出力装置が再現可能な色にマッピングする技術、所謂ガマット処理と呼ばれる色変換処理を行うことが必要となる。
【0003】
従来のガマット処理技術としては、無彩色軸上や入力された色信号と同じ色相の彩度軸上に投影目標点を設定し、画像出力装置のガマット外の色について色相を一定にして画像出力装置のガマット内に圧縮写像する技術がある(特許文献1を参照)。
【0004】
一方、ガマット処理を上記のように入力色信号と同一の色相面内で圧縮写像を行うと、Lab空間の色相歪みのために、青色が紫色に再現されてしまう。そこで、特許文献2の手法では、色相ごとに非線形ラインを規定し、かかる非線形ラインを用いてガマット処理を行うようにしている。
【0005】
しかし、特許文献2の手法は、入力色信号を等色相上に圧縮写像するものであり、プリンタのガマット形状を考慮して再現する色相を決めるという処理をしていない。そこで、特許文献3〜5では、入力信号値を出力信号値に変換する際に、プリンタのガマット形状を考慮して特定色に対する色相を決定し、特定色の再現色相にあわせて全体の色相制御を行うガマット処理を提案している。これらの方式では、特に1、2次色の飽和色を同一色相上の色に写像するよりも鮮やかな色に再現することが可能となり、ユーザーの期待した色に近い色再現を行うことができる。
【0006】
このように様々なガマットマッピング処理方法が提案されているにも関わらず、依然として汎用的に利用できる処理方法がなく、高度な色再現性を実現するには、オペレータが処理パラメータを調整する必要があった。例えば、特許文献6では、肌色などの重要色の色相調整を行うために、既存のカラーマッピングテーブルから色相変換量を取得して、色相変更範囲を設定し、色相変換量と色相変更範囲に基づき色相変換関数を作成し、カラーマッピングテーブルを作成するという手法を提案している。
【0007】
【特許文献1】特許第3171081号公報
【特許文献2】特許第3337697号公報
【特許文献3】特開2000−184221号公報
【特許文献4】特開2002−262120号公報
【特許文献5】特開2003−143425号公報
【特許文献6】特開2004−64111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献6の方式は、色相変換関数によってカラーマッピングテーブルの色相を調整しているために、重要色と同じ色相面上の入力色については、全て同じ色相調整が施されてしまう。その結果、画像出力装置の色再現域外の重要色のみを調整する場合でも、重要色と同一色相上にあるプリンタ再現域内の色の色相までも変化してしまうという問題があった。
【0009】
図6を用いて、この問題を説明する。図6は、飽和色Tとそのガマットマッピング後の色Mとの対応関係の一例を説明する図である。対応色Mと代表色Tの関係は3次元的な位置関係にあって1つの図で図示できないため、図6(a)に彩度と色相の関係を示し、図6(b)に明度と彩度の関係を示す。但し、図6(b)では、画像出力装置の色相hiにおけるガマット40と色相hoにおけるガマット41を同じ二次元上に重ねて図示している。また、比較のため代表色Tを色相一定でマッピングしたときのマッピング色Toも図示している。
【0010】
例えば、図6(a)、図6(b)に示す通り、代表色Tの色相hi上でマッピングされているToと、色相ho上の対応色Mとで、明らかに対応色Mの方が代表色Tに近い色となる。この現象は、画像出力装置のガマットの形状が非常に複雑で、色相によって形状が大きく異なることにも起因している。このように、代表色が出力装置の色再現域から離れているような場合、同じ色相上でマッピングするよりも、色相をずらした方がより色変わりの少ない色再現が可能になることが多い。
【0011】
しかし、色相hiの全ての色について色相を変更してしまうと、出力装置が再現可能な色までもが色相変換されてしまい、入力画像と異なった色味で再現されてしまう。
【0012】
例えば、図12の例では、グラフィック画像の重要色である1、2次色の飽和色について色調整を行うと、出力装置が再現可能な色信号(図12の太線部分)の色相が大きく変更されてしまい、入力色と色味が大きく異なってしまう。
【0013】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、出力装置の色再現域外にある例えば飽和色などの色調整を行う場合に、本来調整が不要な色信号に影響を及ぼすことのない色処理方法、色処理装置、画像形成装置、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
即ち、
請求項1の目的は、代表色の色調整を行う場合に、代表色以外の制御点に対して不要な色調整が行われない色調整テーブルを生成する色処理方法を提供することにある。
【0014】
請求項2の目的は、飽和色の色調整を行う場合に、飽和色以外の制御点に対して不要な色調整が行われない色調整テーブルを生成する色処理方法を提供することにある。
【0015】
請求項3の目的は、代表色の色調整を行う場合に、既存のマッピングテーブルのマッピング特性を保持した色調整を行うことのできる色調整テーブルを生成する色処理方法を提供することにある。
【0016】
請求項4の目的は、複数の代表色について色調整を行う場合でも、色空間上で調整値が連続的に変化するような色調整テーブルを生成する色処理方法を提供することにある。
【0017】
請求項5の目的は、代表色の色調整を行う場合に、画像出力装置の色再現域内の制御点に対して色調整が行われない色調整テーブルを生成する色処理方法を提供することにある。
【0018】
請求項6の目的は、代表色の色調整を行う場合に、代表色以外の制御点に対して不要な色調整が行われない色調整テーブルを生成できる色処理装置を提供することにある。
【0019】
請求項7の目的は、代表色の色調整を行う場合に、代表色以外の制御点に対して不要な色調整が行われない色調整テーブルを生成できる画像形成装置を提供することにある。
【0020】
請求項8、9の目的は、代表色の色調整を行う場合に、代表色以外の制御点に対して不要な色調整が行われない色調整テーブルを生成する色処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、入力色信号を中間色信号に変換し、中間色信号を画像出力装置の色域内信号に変換する色処理方法であって、代表色の色調整値を設定し、前記中間色信号を画像出力装置の色域内信号に変換するマッピングテーブルに基づいて、前記代表色及び制御点の基準調整量を求め、前記基準調整量及び前記色調整値に基づいて、前記制御点の色調整値を求め、前記制御点に対する色調整値を用いて、前記入力色信号を中間色信号に変換するための色調整テーブルを作成することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明(請求項1、6〜9)によると、代表色以外の制御点に対して不要な色調整が行われない色調整テーブルを生成できる。
【0023】
本発明(請求項2)よると、グラフィックス画像の重要色である飽和色に対して色調整を行うことができる。
【0024】
本発明(請求項3)によると、既存のマッピングテーブルの特性に応じた色調整を行うことができる。
【0025】
本発明(請求項4)によると、特に、複数の代表色をそれぞれ色調整した場合でも、連続性を損なうことのない調整を行うことができる
本発明(請求項5)によると、画像出力装置色域内の色に対しては、代表色の色調整の影響を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
【0027】
実施例1:
1.画像処理システム
図1は、本発明が適用される一般的な画像処理装置の構成例を示す。図において、100は画像処理装置、101はディスプレイ、102は画像入力装置、103は画像出力装置である。画像入力装置102から読み込まれた画像データは、画像入力部104へ入力され、画像処理部105により色変換処理が施され、画像出力部106を介して、画像出力装置103へ出力される。また、画像処理装置100にはディスプレイ101が接続されており、ユーザーが代表色に対する調整値を設定するための設定画面を表示する。
【0028】
画像入力装置102は、画像データを入力するための装置であって、例えば、デジタルスチルカメラやスキャナなどの画像入力デバイスを用いることができる。また、一旦ハードディスクなどに保存された画像データを入力するようにしても構わない。また、画像出力装置103は、画像データをプリントアウトするための出力装置であって、例えば、カラープリンタやカラーファクシミリといった画像形成装置を用いることができる。
2.画像処理部
図2は、本発明の画像処理部の構成例を示す。画像処理部105は、入力色変換部201、中間色信号変換部202、ガマットマッピング部203、出力色変換部204、調整テーブル記憶部205、調整テーブル生成部206、マッピングテーブル207、色分解変換部208、調整値設定部209からなる。
【0029】
次に、画像処理部の動作について説明する。画像データを構成する入力RGB信号は、入力色変換部201により、明度、彩度、色相成分からなる色信号に変換される。明度、彩度、色相成分からなる色信号としては、例えば、CIEで標準化されているLabや、CIECAM02空間などのデバイスに依存しない色空間でもよいし、HSL空間のようにRGB空間を変形した色空間でもよい。
【0030】
本実施例では、CIECAM02の明度J、彩度C、色相Hに準ずる色信号Pi(j,c,h)へ変換する場合について説明する。次いで、中間色信号変換部202は、調整テーブル記憶手段205に記憶されている調整テーブルを参照して、入力色変換部201で変換された色信号の明度、彩度、色相などを変更した色信号に変換する。調整テーブルとしては、三次元ルックアップテーブルを用いる。
【0031】
中間色信号は画像出力装置103が再現できないような色信号が含まれているため、ガマットマッピング部203において、ガマットマッピングテーブル207を用いて画像出力装置103の色再現域内の色信号に変換する。そして、出力色変換部204は、画像出力装置103に依存した信号R’G’B’信号に変換し、色分解変換部208では出力可能なCMYK信号に変換する。以上の処理によって変換されたCMYK信号を画像出力装置103に送信することによりプリント出力が行われる。
【0032】
また、調整テーブル生成部206では、後述する方法によりガマットマッピングテーブル207を参照して、中間色信号変換部202で使用する調整テーブルを作成する。
【0033】
なお、図2に示す構成例では、画像処理装置100の機能を、画像出力装置103とは別個の装置で行うために設けられているが、画像出力装置103内に含めても良い。また、同様の機能をソフトウェアで実現することも可能であり、例えば、コンピュータのプログラムとして存在するプリンタドライバなどで機能を実現できる。
3.画像処理部の詳細
3.1 入力色変換部
入力色変換部201では、入力RGB信号をCIECAM02空間上の明度J、彩度C、色相Hに変換する。RGB信号からJCH信号の変換は、IEC 61966−2−1で標準化されている変換式に従ってRGB→XYZ変換を行った後、XYZ→JCH変換式を用いることにより実行できる。また、XYZ→JCH変換は、CIE159−2004のテクニカルレポートに詳述されているので説明を省略する。また、入力デバイスのRGB信号特性がsRGB信号以外の場合には、RGB信号の色特性に合わせて、典型的には指数関数を利用するγ変換、3×3マトリックスによる一次変換によってRGB→XYZ変換を行う。
【0034】
3.2 中間色信号変換部
中間色信号変換部202は、調整テーブル記憶部205より調整テーブルを読み取って、入力色変換部201で求めたJCH信号をJ’C’H’信号に変換した後、ガマットマッピング部の入力信号であるJ’Ca’Cb’信号(CIECAM空間上の色を直交座標で表した色信号)に変換する。図3は、中間色信号を説明する図である。入力デバイスの代表色Tは、一旦中間色信号Tpに変換されてから、画像出力装置の色再現範囲内の信号Toに変換される。このように、色調整機能をガマットマッピングと切り分け、代表色Tから中間色信号を生成する色変換処理で行うことにより、オペレータは比較的容易に色調整を行うことができる。また、調整テーブルは、図4に示すようにJCH信号の明度軸、彩度軸、色相軸の各々を分割した制御点に対する調整後のJ’C’H’信号値を保持した三次元ルックアップテーブルであって、後述の調整テーブル生成部206によって予め作成されている。また、明度軸、彩度軸、色相軸の各々を分割した三次元ルックアップテーブルの代わりに、典型的な直交座標系(J、Ca、Cb)での三次元ルックアップテーブルを用いてもよい。
【0035】
3.3 ガマットマッピング
ガマットマッピング部203は、予め作成しているマッピングテーブル207に基づき、J’Ca’Cb’信号を画像出力装置103の色再現領域の色信号J’’Ca’’Cb’’信号へ変換する。図5は、入力色信号が示す色の範囲(色域)と、画像出力装置103の色再現領域(色域)とを示し、横軸が彩度C、縦軸が明度Jの等色相面を示している。入力色信号が示す色の中で、P0の色は、画像出力装置103によって再現されない。従って、そのような色は、画像出力装置103の色再現領域内の色P1に変換(マッピング)する必要がある。
【0036】
実際の処理としては、上記のマッピング前のJ’Ca’Cb’とマッピング後のJ’’Ca’’Cb’’信号との関係を予め定めた三次元ルックアップテーブルを作成しておき、ガマットマッピング部203は、公知の補間演算を用いてガマットマッピング後のJ’’Ca’’Cb’’を計算する。
【0037】
マッピングテーブル207の作成方法については、例えば、ガマットマッピング方式として色相を一定に保って、プリンタガマット外の色信号をプリンタのガマット境界にマッピングする、所謂境界マッピング方式や、C,M,Y,R,G,Bの入力飽和色を画像出力装置の飽和色にマッピングするHueマッピングなどの手法があるが、どのような方式でも構わない。更に、所定の方式で作成したマッピングテーブルを、手調整により修正したものでも構わない。
【0038】
但し、画像出力装置の再現域内の制御点データに関しては入力J’Ca’Cb’と出力J’’Ca’’Cb’’がほぼ一致するのが望ましい。このようなマッピングテーブルを用いることにより、色調整に伴って画像出力装置の再現域内の色変わりを生じる現象を抑制することができる。
【0039】
3.4 出力色変換部
出力色変換部204は、画像出力装置103の色再現特性をモデル化した色予測モデルに基づき、J’’Ca’’Cb’’信号を画像出力装置103に依存するR’G’B’色信号に変換する。色予測モデルは、離散的なR’G’B’色信号に対応するJ’’Ca’’Cb’’信号を計算するためのモデルであって、典型的には、ニューラルネット、多次多項式、三次元ルックアップテーブルなどが用いられる。
【0040】
また、色予測モデルは、R’G’B’色信号をJ’’Ca’’Cb’’信号に変換するモデルであるため、J’’Ca’’Cb’’信号に対応するR’G’B’色信号を求める際には、ニュートンラプソン法などを用いて逆変換を行って、出力するR’G’B’信号値を演算する。色分解変換部208は、BG/UCRなどの公知の方法により、入力される信号R’G’B’を出力する信号CMYKに変換する。
【0041】
4.調整テーブルの生成方法
次に、本発明の特徴である調整テーブル生成部206で行われる処理方法について説明する。図7は、予め作成されたマッピングテーブル207から調整テーブルを作成する手順の一例を示すフローチャートである。色調整処理は、オペレータが設定した代表色の調整設定値を参照して、JCH信号の明度軸、彩度軸、色相軸の各々を分割した制御点に対する調整後のJ’C’H’信号値を保持した三次元ルックアップテーブルを作成する。
【0042】
・代表色の調整値設定
まず、代表色の調整値を設定する(ステップS1)。代表色とは、特に調整を要する色で、例えばR,G,B,C,M、Yなどの飽和色などである。図8は代表色の調整画面の一例である。色調整の設定画面は、代表色(R,G,B,C,M,Y)のそれぞれについて、色相、彩度、明度を調整できるようになっており、図8の例では、Cの明度を+5、色相を−4と設定している。オペレータは画面を見ながら、各代表色の明度、彩度、色相の修正を行う。
【0043】
また、図8の例では調整値を数値で入力しているが、グラフィカルなカラー表示を行って色を確認しながら設定するようにしても構わない。
【0044】
・代表色の基準調整量の計算
次に、ステップS2で代表色の基準調整量を計算する。本実施例では、基準調整量として既存のマッピングテーブル207による色変換前後の色差に相当するデータを用いる。基準調整量の計算方法の詳細を図9のフローチャートで説明する。まずマッピングテーブル207を読み取る(ステップS11)。次に、代表色のRGB値をJCaCb値に変換する(ステップS12)。JCaCb値はCIECAM02空間を直交座標系で表した色信号であり、XYZからJCHの変換式はと同様にCIE159−2004のテクニカルレポートに詳述されている。
【0045】
ステップS13で、読み取ったマッピングテーブルを用いてメモリマップ補間演算を行って、代表色を出力装置の色域内信号に変換した色であるJ’Ca’Cb’値を求める。そして、ステップS14においてJCaCb値とJ’Ca’Cb’値の色差を求め、求めた色差をガマットマッピング処理での代表色の基準調整量とする。そして、全代表色について基準調整量の計算が終了したか否かを判断し(ステップS15)、未了であればステップS12へ戻り、ステップS12からS14を繰り返す。全代表色の基準調整量の計算が終了した場合は、処理を終了する。
【0046】
・色調整テーブルの作成
代表色の基準調整量の計算が終了すると、次に中間色信号変換部202で使用する色調整テーブルを作成する。色調整テーブルは、図4に示す各制御点に対するJ’C’H’信号値を持つテーブルであるため、制御点ごとに順次J’C’H’値を計算する(ステップS3〜S5)。
【0047】
まず、制御点のJCH値を順次生成し、代表色の基準調整量の計算と同様に各制御点の基準調整量を求める(ステップS3)。但し、マッピングテーブルの入力信号はJCaCbであるので、制御点のJCH値をJCaCb値に変換してから、メモリマップ補間演算を行う。JCaCb変換は下式に従う。
【0048】
J=J
Ca=C・cos(H)
Cb=C・sin(H)
例えば、画像出力装置の色再現域内は忠実再現を行うようなマッピングテーブルを用いている場合には、画像出力装置の色再現範囲内に含まれる制御点の基準調整量は結果的に0となる。
【0049】
制御点の基準調整量が求まると、次にステップS4において制御点に対する調整値を計算する。ここで、代表色に対して設定した調整値を全ての制御点に反映してしまうと、画像出力装置の色再現範囲内の制御点に対しても調整が行われてしまう。そこで、上記で求めた、代表色及び制御点の基準調整量に基づいて制御点に対する調整割合をコントロールする。本実施例の場合、上記で求めた基準調整量が小さいほど調整値を小さくするという思想に従い、(制御点の基準調整量)/(代表色の基準調整量)に応じて調整割合を制御する。
【0050】
但し、代表色は複数設定するために制御点の調整に影響を及ぼす代表色を1つに限定することはできない。そこで、本実施例では、制御点の色相に隣接する代表色の基準調整量を参照するようにしている。以下、制御点の調整値計算方法について、図10を参照しながら説明する。
【0051】
まず、制御点の色相に隣接する代表色を探索する(ステップS21)。これには、予め代表色を色相順にソートしたデータを作成しておき、
[代表色(i)の色相hi−制御点Pgの色相hg]×[代表色(i+1)の色相hi+1−制御点Pgの色相hg]
を計算し、負または0であれば代表色(i)と代表色(i+1)が隣接代表色と判定できる。特に0の場合には、代表色(i)と代表色(i+1)のいずれかと制御点の色相とが一致していることになるので、代表色(i)及び代表色(i+1)の色相と制御点の色相を比較し、色相が一致している代表色を用いて補正強度を求めることができる。
【0052】
隣接代表色が決まると、次にステップS22において隣接代表色の重み係数を計算する。重み係数は、以下のように計算できる。制御点PgのJCH値を(Jg,Cg,Hg)、隣接代表色P1,P2のJCH値がそれぞれP1(J1,C1,H1),P2(J2,C2,H2)とすると、
重み係数W1=|H2−Hg|/|H1−H2|
重み係数W2=|H1−Hg|/|H1−H2|
とする。
【0053】
重み係数が求まると、オペレータが設定した代表色の調整値を参照して、制御点Pgに対する調整値を求める(ステップS23)。
【0054】
例えば、代表色Aに対する調整値が(ΔJa,ΔCa,ΔHa),代表色Bに対する調整値が(ΔJb,ΔCb,ΔHb)、代表色P1の基準調整量がS1、代表色P2の基準調整量がS2であったとすると、制御点Pgの調整値(ΔJg,ΔCg,ΔHg)は
ΔJg=(W1×ΔJa/S1+W2×ΔJb/S2)×Sg
ΔCg=(W1×ΔCa/S1+W2×ΔCb/S2)×Sg
ΔHg=(W1×ΔHa/S1+W2×ΔHb/S2)×Sg
として求められる。そして、
Jg’=Jg+ΔJg
Cg’=Cg+ΔCg
Hg’=Hg+ΔHg
として、求めたJg’Cg’Hg’を制御点Pgにおける調整テーブル出力値とする。
【0055】
上式によれば、画像出力装置の色再現域内は忠実再現を行うようなマッピングテーブルを用いている場合には、画像出力装置の色再現範囲内に含まれる制御点の基準調整量Sgは0のため、画像出力装置のガマット内の色調整を抑制することができる。
【0056】
また、色再現域内であっても調整を加えているようなマッピングテーブルに基づいた場合には、その調整度合いに応じた調整値を持った調整テーブルを作成することができる。
【0057】
最後に、全制御点の調整テーブル出力値を設定したか否かを判断し(ステップS5)、未了であればステップS3へ戻り、ステップS3からS4を繰り返す。全制御点の計算が終了した場合は、調整テーブル作成処理を終了し、調整テーブル記憶手段に作成したテーブルを保存する。中間色信号変換部202では、上記の方法で作成した調整テーブルを用いて、色変換を行うことができる。
【0058】
5.調整テーブル生成部の装置構成
図11は、調整テーブル生成部の構成例を示す。ユーザインタフェイス(UI)部304は、ディスプレイ101などの入出力装置を用いてオペレータとインタフェースして、代表色設定画面の表示などを行う。マッピングテーブル保持部302は、データ入出力部310を介して入力される、ガマットマッピングテーブル207を保持する。代表色調整値保持部301は、オペレータによって設定された代表色のRGB値と、その調整値を格納する。なお、代表色は、予め定めておくか、データ入出力部310を介して入力する。
【0059】
基準調整量計算部305は、マッピングテーブル保持部302に格納されたマッピングテーブル、および、代表色調整値保持部301に格納された代表色の色信号から、代表色に対するガマットマッピング前後の色差を取得し、基準調整量保持部309に格納する。同様に、制御点の色信号を計算により発生させて、制御点に対するガマットマッピング前後の色差を取得し、基準調整量保持部309に格納する。
【0060】
色信号生成部308は、3DLUTの制御点を構成する離散的なJCaCb信号を生成する。制御点の色調整値計算部306は、上述した方法で制御点の色調整値を計算し、調整テーブル生成部へ調整値を格納する。代表色探索部307は、制御点の調整値計算に必要な代表色のデータを色調整値計算部306へ送信する。調整テーブル作成部303は、格納されている制御点の色調整値を読み取って、調整テーブル記憶部205に適した形式に変換され、データ入出力部310を介して出力される。
【0061】
以上、説明した色処理装置により、マッピングテーブルの色特性を反映したまま色調整を行うことができる。また、上記した実施例では画像処理装置が画像出力装置と異なる装置としているが、画像出力装置内に上記画像処理装置を含むようにしてもよい。
【0062】
実施例2:
実施例1では、画像データの色変換時に中間信号の生成、ガマットマッピングなどをシーケンシャルに実施していたが、図2の入力色変換部201、中間色信号変換部202、ガマットマッピング部203、出力色変換部204の色変換処理を合成してRGB⇒R’G’B’を一括変換する三次元ルックアップテーブルを作成し、画像データの色変換時には一括変換用の三次元ルックアップテーブルを用いて補間演算を行うことにより、処理を高速化できる。
【0063】
実施例3:
本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明が適用される画像処理システムの構成例を示す。
【図2】本発明の画像処理部の構成を示す。
【図3】中間色信号を説明する図である。
【図4】調整テーブルにおける制御点を示す。
【図5】ガマットマッピングを説明する図である。
【図6】代表色と対応色の関係を説明する図である。
【図7】基準調整テーブルの作成方法のフローチャートを示す。
【図8】代表色の調整値設定画面の例を示す。
【図9】基準調整量の計算処理のフローチャートを示す。
【図10】制御点の調整値計算処理のフローチャートを示す。
【図11】調整テーブル生成部の構成例を示す。
【図12】従来の課題を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
201 入力色変換部
202 中間色信号変換部
203 ガマットマッピング部
204 出力色変換部
205 調整テーブル記憶部
206 調整テーブル生成部
207 マッピングテーブル
208 色分解変換部
209 調整値設定部
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成18年9月15日(2006.9.15)
【代理人】 【識別番号】100073760
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 誠

【識別番号】100097652
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 一仁


【公開番号】 特開2008−72550(P2008−72550A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−250367(P2006−250367)