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【発明の名称】 レンズ鏡筒回転型撮像装置
【発明者】 【氏名】肥田 博昭

【氏名】寺田 裕嗣

【要約】 【課題】レンズ回転型撮像装置の回転軸の内面と電気配線の外面との接触によって生じる電気配線の損傷を防止し、電気配線の耐久性を大幅に向上させる。

【構成】レンズ鏡筒を回転させるパンモーター40の中空軸41は、レンズ鏡筒に内蔵されたレンズの光軸と交差する軸を中心軸として回転する。そして、この中空軸41の内側に、摺動性を有する樹脂の中空パイプからなるハーネスホルダー70を挿入し、レンズ鏡筒に内蔵された撮像素子の撮像信号を電送するハーネス60がハーネスホルダー70の内側を通るようにする。すると、ハーネス60と中空軸41との接触が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ及び撮像素子を内蔵するレンズ鏡筒と、
前記レンズの光軸と交差する軸を中心軸として回転する中空軸と、
前記中空軸によって前記レンズ鏡筒を回転自在に支持する台座と、
前記中空軸の内側を通って前記撮像素子の撮像信号を電送する電気配線と
を備えるレンズ鏡筒回転型撮像装置であって、
前記中空軸の内側に、前記電気配線と前記中空軸との接触を防止する保護部材を備える
ことを特徴とするレンズ鏡筒回転型撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒回転型撮像装置において、
前記台座は、ベース台座と、前記レンズ鏡筒を支持する回転台座とからなり、
前記回転台座は、前記ベース台座に対して、前記中空軸の中心軸を中心に回転し、
前記レンズ鏡筒は、前記回転台座に対して、前記中空軸の中心軸と直交する軸を中心に回転する
ことを特徴とするレンズ鏡筒回転型撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレンズ鏡筒回転型撮像装置において、
前記台座は、前記レンズ鏡筒を回転させる回転駆動手段を備え、
前記中空軸は、前記回転駆動手段の一部である
ことを特徴とするレンズ鏡筒回転型撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレンズ鏡筒回転型撮像装置において、
前記台座は、前記レンズ鏡筒の支持位置を調整可能である
ことを特徴とするレンズ鏡筒回転型撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載のレンズ鏡筒回転型撮像装置において、
前記保護部材は、摺動性を有する樹脂の中空パイプからなる
ことを特徴とするレンズ鏡筒回転型撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載のレンズ鏡筒回転型撮像装置において、
前記保護部材は、前記電気配線を保護する配線保護部と、前記電気配線を固定する配線固定部とからなる
ことを特徴とするレンズ鏡筒回転型撮像装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ及び撮像素子を内蔵するレンズ鏡筒が回転自在のレンズ鏡筒回転型撮像装置に係るものである。そして、詳しくは、撮像信号を電送する電気配線を短くし、撮像信号へのノイズの混入による悪影響を軽減するとともに、電気配線の耐久性を大幅に向上させることができる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒が回転するレンズ鏡筒回転型撮像装置として、例えば、テレビ会議用のビデオカメラや監視用のビデオカメラ等がある。そして、これらのビデオカメラは、その用途から、レンズ鏡筒を水平方向(以下、「パン方向」と言う)及び垂直方向(以下、「チルト方向」と言う)に回転できるようになっており、レンズ鏡筒に内蔵されている撮像素子からの撮像信号は、回転部を介した電気配線によって電送される。そのため、レンズ鏡筒の回転部における電気配線の処理が問題となる。
【0003】
ここで、レンズ鏡筒の回転軸を中空とし、回転軸の中空部内に電気配線を通すようにした技術が知られている。すなわち、下記の特許文献1には、レンズ鏡筒をパン方向に回転させるパンモーターの回転軸が中空になっており、この回転軸の中空部内に電気配線を通すことにより、静止側と回転側との間で電力や電気信号の授受を行えるようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−96518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1に記載された技術は、レンズ鏡筒の回転部における電気配線の処理が容易になるものの、電気配線が損傷しやすくなり、耐久性が悪化するという問題がある。すなわち、特許文献1の技術では、レンズ鏡筒を回転させるパンモーターの回転軸の中空部内を電気配線が通るため、回転軸の内面と電気配線の外面とが頻繁に擦られてしまう。そして、電気配線の被覆が摩耗等によって損傷すれば、ショート等の問題を引き起こすことになる。
【0005】
また、撮像装置の高画質化・高精細化は時代の趨勢であり、最近では、テレビ会議用のビデオカメラ等においてもハイビジョン映像であることが求められている。そして、この場合には、HD(High Definition )画質の撮像信号を電送することになるので、電気配線は、電送量が非常に多くなる等の関係から、高価なハーネス(電気配線の束)を用いる必要が生じる。すると、ハーネスが回転軸と接触して損傷したからと言って、高価なハーネスを簡単に取り替えられなくなる。
【0006】
しかも、HD(High Definition )画質の撮像信号の電送に際しては、SD(Standard Definition )画質の場合よりも格段にノイズの影響を受けやすくなるので、価格の問題だけでなく、撮像信号へのノイズの混入による悪影響を回避する点でも、ハーネスをできるだけ短くする必要がある。すると、レンズ鏡筒回転型撮像装置においては、レンズ鏡筒の回転軸を通るルートが最短になるから、回転軸の中空部内におけるハーネスの耐久性を向上させる技術が求められる。なお、回転部にスリップリングを用いることも考えられるが、HD(High Definition )画質の撮像信号を電送する場合は、ノイズの問題が特に大きくなるので、採用できない。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、レンズ鏡筒回転型撮像装置の回転軸を中空とし、回転軸の中空部内にハーネス等の電気配線を通して配線距離をできるだけ短くしつつ、回転軸の内面と電気配線の外面との接触によって生じる電気配線の損傷を防止して、電気配線の耐久性を大幅に向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の解決手段により、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、レンズ及び撮像素子を内蔵するレンズ鏡筒と、前記レンズの光軸と交差する軸を中心軸として回転する中空軸と、前記中空軸によって前記レンズ鏡筒を回転自在に支持する台座と、前記中空軸の内側を通って前記撮像素子の撮像信号を電送する電気配線とを備えるレンズ鏡筒回転型撮像装置であって、前記中空軸の内側に、前記電気配線と前記中空軸との接触を防止する保護部材を備えることを特徴とする。
【0009】
(作用)
上記の請求項1に記載の発明は、レンズ及び撮像素子を内蔵するレンズ鏡筒がレンズの光軸と交差する軸を中心軸とする中空軸によって回転する。そして、撮像素子の撮像信号を電送する電気配線は、中空軸の内側を通る。そのため、レンズ鏡筒が回転しても、その回転中心を電気配線が通るので、回転部における電気配線の処理が容易になる。しかも、電気配線が最短ルートを通るので、レンズ鏡筒回転型撮像装置における電気配線を可能な限り短くできる。
【0010】
また、回転する中空軸の内側には、電気配線と中空軸との接触を防止する保護部材が備えられている。そのため、レンズ鏡筒の回転のために中空軸が回転しても、電気配線と中空軸との間に保護部材が介在することになり、電気配線の外面が中空軸の内面に擦られることがなくなる。したがって、中空軸の内側に電気配線を通しても、電気配線の損傷が防止され、ショート等の問題の発生を回避できる。
【発明の効果】
【0011】
上記の発明によれば、撮像素子の撮像信号を電送する電気配線が回転する中空軸の内側を通るので、レンズ鏡筒の回転部における電気配線の処理が容易になり、電気配線の配線距離も短くなる。その結果、電気配線に要する価格を抑制できるだけでなく、ノイズの混入による撮像信号への悪影響を軽減できる。また、回転する中空軸の内側に電気配線を通しても、保護部材によって電気配線の損傷が防止されるので、電気配線の耐久性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、後述するように、本発明のレンズ鏡筒回転型撮像装置として、テレビ会議用のビデオカメラ10を例に挙げている。そして、本実施形態のビデオカメラ10は、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサー等の撮像素子32により、HD(High Definition )画質の撮像信号を電送できる。
【0013】
図1は、本実施形態のビデオカメラ10を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のビデオカメラ10は、台座20によって会議室等に設置され、テレビ会議等に使用できるものである。すなわち、台座20は、会議室等に設置するためのベース台座21と、ベース台座21に対して回転するとともに、レンズ鏡筒30を支持する回転台座22とからなっている。そして、レンズ鏡筒30には、レンズ31や撮像素子32等が内蔵されている。そのため、回転台座22を回転させてレンズ31の光軸を会議の出席者等に向け、撮像素子の撮像信号を電送すれば、テレビ会議等を行うことができる。
【0014】
ここで、ベース台座21が水平に設置されていれば、回転台座22は、図1に示す垂直軸を中心軸としてパン方向に回転する。そのため、会議卓の前に列席する出席者等のそれぞれにレンズ31を向けることができる。なお、この場合、回転台座22の回転中心である垂直軸がレンズ31の光軸と交差しているので、回転台座22の回転にともなってレンズ鏡筒30(レンズ31及び撮像素子32)が回転しても、レンズ31の光軸は、常に垂直軸を通る。
【0015】
また、レンズ鏡筒30は、回転台座22に対し、図1に示す水平軸を中心軸としてチルト方向にも回転する。そのため、会議の出席者の背丈やプレゼンテーションの画面等の高さに合せてレンズ31を上下させることができる。そして、レンズ鏡筒30の回転中心である水平軸は、レンズ31の光軸と交差し、回転台座22の回転中心である垂直軸と直交するので、回転台座22やレンズ鏡筒30を適宜回転させることにより、光軸と垂直軸と水平軸との交点を一定の位置に維持したまま、レンズ31の向きを3次元的に制御でき、左右上下の自由な方向にレンズ31を向けることができる。
【0016】
図2は、本実施形態のビデオカメラ10を部分的に分解した状態を示す斜視図である。
図2に示すように、台座20には、パンモーター40(本発明における回転駆動手段に相当するもの)が収納されている。このパンモーター40は、回転軸として中空軸41を備えており、中空軸41は、レンズ31(図1参照)の光軸と交差する軸(垂直軸)を中心軸として回転する。そして、中空軸41には、略凹形状のシャーシー23が固定されているので、パンモーター40によって中空軸41を回転させれば、シャーシー23が回転することになる。
【0017】
また、シャーシー23には、レンズ鏡筒30(図1参照)内のレンズマウント33を左右から回転自在に支持するチルトモーター50及びスリーブ34が取り付けられている。そして、レンズマウント33は、レンズ31(図1参照)の光軸と直交する軸(水平軸)を中心軸としている。そのため、チルトモーター50を回転させれば、水平軸を中心軸としてレンズマウント33が回転することになる。なお、台座20は、レンズ鏡筒30の支持位置を調整可能であり、レンズマウント33の下端部には、後述する位置決め穴33aが形成されている。
【0018】
このように、本実施形態のビデオカメラ10は、パンモーター40を備えているので、パンモーター40を回転駆動させることにより、レンズ鏡筒30(図1参照)がパン方向に回転する。すなわち、レンズ鏡筒30は、台座20に対し、シャーシー23を介して、中空軸41によって回転自在に支持されている。そして、中空軸41は、パンモーター40の一部(回転軸)である。そのため、パンモーター40を回転駆動させれば、中空軸41が垂直軸を中心軸として回転し、それによってシャーシー23がパン方向に回転する。すると、レンズ鏡筒30がパン方向に回転するようになる。
【0019】
しかも、本実施形態のビデオカメラ10は、チルトモーター50を備えているので、チルトモーター50を回転駆動させることにより、レンズ鏡筒30(図1参照)がチルト方向に回転する。すなわち、レンズ鏡筒30は、シャーシー23に対し、レンズマウント33を介して、チルトモーター50及びスリーブ34によって回転自在に支持されている。そのため、チルトモーター50を回転駆動させれば、レンズマウント33が水平軸を中心軸として回転する。すると、パン方向に加え、レンズ鏡筒30がチルト方向にも回転するようになる。
【0020】
ところで、図1に示すレンズ鏡筒30がパン方向又はチルト方向に回転すると、その回転部において、レンズ鏡筒30に内蔵された撮像素子32の撮像信号をどのように電送するかが問題になる。すなわち、撮像素子32の撮像信号は、図2に示すレンズマウント33とシャーシー23とのチルト方向回転部、及びシャーシー23と台座20(パンモーター40)とのパン方向回転部を通して台座20まで送る必要がある。そこで、本実施形態のビデオカメラ10では、チルト方向回転部では、スリーブ34の内側を通し、パン方向回転部では、中空軸41の内側を通している。
【0021】
図3は、本実施形態のビデオカメラ10におけるシャーシー23及びパンモーター40を示す斜視図である。
図3に示すシャーシー23は、前述したように、パンモーター40の中空軸41(図2参照)に固定されている。そして、この中空軸41には、図3に示すように、中空パイプからなるハーネスホルダー70(本発明における保護部材に相当するもの)が挿入されている。
【0022】
また、撮像素子32(図1参照)の撮像信号を電送するハーネス60(本発明における電気配線に相当するもの)は、スリーブ34(図2参照)を取り付けるためのスリーブ取付け溝24を通り、ハーネスホルダー70の中空部内に入っている。すなわち、本実施形態のビデオカメラ10は、チルト方向回転部では、ハーネス60がチルト方向の回転中心であるスリーブ34及びスリーブ取付け溝24の内側を通り、パン方向回転部では、ハーネス60がパン方向の回転中心である中空軸41(図2参照)及びハーネスホルダー70の内側を通って台座20(図2参照)に至る。なお、ハーネス60は、撮像信号だけでなく、チルトモーター50(図2参照)の制御信号等を同時に電送したり、電力の授受等を行えるようにしても良い。
【0023】
ここで、パン方向(シャーシー23の回転方向)は、チルト方向と比較して回転角が大きく、回転頻度も多い。そのため、中空軸41(図2参照)の内側にハーネス60を通さないとすれば、シャーシー23の回転を許容するために、ハーネス60を中空軸41の周囲に幾重にも緩く巻き付ける等の対策を施さなければならない。すると、中空軸41への巻付け分だけ余分に長さが必要になり、ハーネス60の配線距離が非常に長くなってしまう。
【0024】
しかしながら、本実施形態のビデオカメラ10では、前述した通り、ハーネス60が中空軸41(図2参照)及びハーネスホルダー70の内側を通る。すなわち、ハーネス60は、撮像素子32(図1参照)からベース台座21(図1参照)までの最短ルートを通って配線される。そのため、中空軸41への巻付け分が不要になり、ハーネス60の配線距離が短くなるので、ハーネス60の価格を抑制できるだけでなく、撮像信号へのノイズの混入による悪影響を軽減できる。
【0025】
また、パン方向(シャーシー23の回転方向)のように、回転角が大きく、回転頻度も多い場合には、パンモーター40によって回転する中空軸41(図2参照)の内側に直接ハーネス60を通すと、ハーネス60の被覆が摩耗等によって損傷してしまう。これは、金属製の中空軸41と、銅線の外周を軟質樹脂で被覆した電気配線の束であるハーネス60とが頻繁に擦られるからである。
【0026】
しかしながら、本実施形態のビデオカメラ10では、前述した通り、中空軸41(図2参照)にハーネスホルダー70が挿入されている。そして、ハーネス60は、ハーネスホルダー70の内側を通っている。そのため、ハーネス60と中空軸41との間にハーネスホルダー70が介在することになり、パンモーター40によって回転する金属製の中空軸41にハーネス60の被覆樹脂が直接接触することがないので、ハーネス60の損傷が防止される。
そこで次に、パンモーター40、パンモーター40の中空軸41とハーネス60との関係、及びハーネスホルダー70について詳細に説明する。
【0027】
図4は、本実施形態のビデオカメラ10に使用するパンモーター40を示す斜視図である。
また、図5は、図4に示すパンモーター40とハーネス60との関係を示す断面図である。
図4及び図5に示すように、パンモーター40は、回転する中空軸41と、中空軸41を囲うリング42と、台座20(図2参照)に固定するための基板43と、基板43の下側にあるローターケース44と、基板43の上側にあるハウジング45とから構成されている。
【0028】
また、図5に示すように、ローターケース44の内部には、積層された鉄心46が配置されており、ハウジング45の内部には、ベアリング47が配置されている。そのため、ローターケース44と鉄心46との間に回転駆動力が発生すると、ローターケース44の回転力がベアリング47によって支持された中空軸41に伝達され、中空軸41が回転する。さらにまた、中空軸41の回転とともに、リング42も回転する。そして、このリング42には、シャーシー23が取り付けられているので、中空軸41が回転すれば、シャーシー23も回転するようになる。
【0029】
このように、中空軸41は、パンモーター40の一部(回転軸)であり、パンモーター40は、ギヤなしでシャーシー23を直接的に回転させることができるダイレクトドライブになっている。そして、金属製の中空軸41の内側には、樹脂製のハーネスホルダー70が挿入されており、ハーネス60は、このハーネスホルダー70の中空部内を通っている。
【0030】
図6は、本実施形態のビデオカメラ10におけるハーネスホルダー70を示す斜視図及び断面図である。
図6に示すように、ハーネスホルダー70は、中空のハーネス保護部71(本発明における配線保護部に相当するもの)の上端に、フランジ状のハーネス固定部72(本発明における配線固定部に相当するもの)が形成された中空パイプである。そして、ハーネス固定部72には、ハーネス60(図5参照)を引っ掛けて固定するためのハーネス固定溝72aが形成されている。
【0031】
ここで、図5に示すように、ハーネスホルダー70は、中空軸41の長さに合わせたものになっている。すなわち、図6に示すハーネスホルダー70(ハーネス保護部71)を中空軸41の上から下に向けて挿入すると、中空軸41の上面にハーネス固定部72が載置される。そして、ハーネス保護部71は、中空軸41の内側を貫通し、ハーネス保護部71の下端が中空軸41の下面から少しだけ突出するようになる。そのため、中空軸41の内面の全長にわたり、ハーネスホルダー70(ハーネス保護部71)が存在するようになる。
【0032】
また、ハーネスホルダー70は、摺動性を有する樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂等)により、ハーネス保護部71及びハーネス固定部72が全体として一体的に成型されたものである。そのため、中空軸41の内側にハーネスホルダー70(ハーネス保護部71)を挿入しても、ハーネスホルダー70が中空軸41の回転の妨げになることはない。そして、ハーネス保護部71の中空部内にハーネス60を通すことにより、ハーネス60の損傷を防止できる。
【0033】
この点に関してさらに詳述すると、図5に示すように、中空軸41の内面には、全長にわたってハーネスホルダー70(図6に示すハーネス保護部71)が存在している。そのため、ハーネス保護部71の中空部内にハーネス60を通せば、ハーネス60の被覆樹脂と、回転する金属製の中空軸41との間には、摺動性の樹脂からなるハーネス保護部71が介在することになる。すると、ハーネス60の被覆樹脂が金属製の中空軸41に擦られることはなく、ハーネス60の被覆樹脂が接触するのは、摺動性の樹脂(ハーネス保護部71)になる。したがって、ハーネス60の被覆樹脂が摩耗等せず、その結果、ハーネス60の損傷が防止され、ハーネス60の耐久性が大幅に向上する。
【0034】
しかも、ハーネス60は、図6に示すハーネス固定部72に固定できるので、ハーネス60の処理が容易になるだけでなく、シャーシー23の回転等の妨げになることもない。すなわち、ハーネス60は、ハーネス保護部71の上端に形成されているハーネス固定部72のハーネス固定溝72aに引っ掛けて固定された後、ハーネス保護部71の中空部内を通る。そのため、スリーブ取付け溝24(図3参照)から略凹形状のシャーシー23に沿って配線されたハーネス60は、ハーネス固定部72によって水平方向に固定されることになる。したがって、ハーネス60がハーネスホルダー70の上端部で浮き上がらず、邪魔にならない。
【0035】
このように、本実施形態のビデオカメラ10は、中空軸41の内側にハーネスホルダー70を挿入し、このハーネスホルダー70の中空部内にハーネス60を通すことにより、シャーシー23の回転部におけるハーネス60の処理が容易になっている。また、ハーネス60の配線距離が短くなるので、ハーネス60に要する価格を抑制できるだけでなく、撮像信号へのノイズの混入による悪影響を軽減できる。さらにまた、テレビ会議等において、ビデオカメラ10を何度もパン方向やチルト方向に回転させても、ハーネス60が摩耗しないので、ハーネス60の損傷に基づくビデオカメラ10の故障を低減させることができる。
【0036】
ところで、ビデオカメラ10をパン方向やチルト方向に回転させる場合、図1に示すレンズ鏡筒30(レンズ31)のパン方向の回転軸(垂直軸)と、レンズ31の光軸とを合わせる必要がある。また、同様に、レンズ鏡筒30(レンズ31)のチルト方向の回転軸(水平軸)と、レンズ31の光軸とを合わせる必要がある。そして、この場合、水平軸と光軸とが交差するように位置決めすることは、レンズ鏡筒30の組立て精度の確保によって容易である。
【0037】
しかしながら、垂直軸と光軸との交差には、図2に示す略凹形状のシャーシー23の寸法精度やレンズマウント33の取付け精度等が関係するので、光軸が垂直軸からずれてしまう場合がある。すなわち、シャーシー23の寸法誤差や、レンズマウント33の取付け誤差等により、レンズマウント33が水平軸の方向にずれる場合がある。この場合、ずれを修正して光軸を垂直軸に交差させなければならないが、このようなレンズマウント33(レンズ鏡筒30)の位置調整は、非常に面倒なものである。
【0038】
そこで、本実施形態のビデオカメラ10は、中空軸41を利用して、シャーシー23の寸法に比較的大きな誤差があったとしても、レンズマウント33の位置調整を容易にし、レンズ鏡筒30に必要な取付け精度が簡単に確保できるようにしている。すなわち、レンズマウント33の位置決めは、レンズマウント33の位置決め穴33aと、後述する位置決め治具80とによって簡単に行える。
【0039】
図7は、本実施形態のビデオカメラ10に使用する位置決め治具80を示す斜視図及び断面図である。
図7に示すように、位置決め治具80は、レンズマウント33(図2参照)の位置を調整するための位置決めピン83と、位置決めピン83をその軸方向に移動させるためのプッシャー84と、位置決めピン83及びプッシャー84を内部に保持するピンホルダー81と、ピンホルダー81に一体化され、中空軸41(図2参照)に挿入可能な基準ピン82とを備える。
【0040】
ここで、基準ピン82は、ピンホルダー81に対して直角方向に伸びており、先端から所定の位置にピンフランジ82aを有している。また、基準ピン82の中心軸は、位置決めピン83の中心軸と直交する。そのため、基準ピン82を中空軸41(図2参照)の上から下に向けて挿入すると、中空軸41の上面にピンフランジ82aが載置される。そして、基準ピン82の中心軸が図2に示す垂直軸と重なるので、位置決めピン83の中心軸は、レンズ鏡筒30(図1参照)をチルト方向に回転させず(回転角=0°)、真正面に向けた場合の光軸と平行になる。
【0041】
また、位置決め治具80の未使用時にピンホルダー81の内部に保持されている位置決めピン83は、プッシャー84を押し込むことにより、位置決めピン83の先端に形成された嵌合部83aがピンホルダー81から突出する。そして、この嵌合部83aは、図2に示すレンズマウント33の位置決め穴33aに嵌め込むことができるように形成されている。そのため、基準ピン82を中空軸41(図2参照)に挿入した後、プッシャー84を押し込んで、位置決めピン83の嵌合部83aがレンズマウント33の位置決め穴33aに嵌め込まれるようにレンズマウント33の位置を調整すれば、レンズマウント33の位置決めができる。
【0042】
図8は、図7に示す位置決め治具80の使用状態を示す斜視図である。
図8に示すように、位置決め治具80の基準ピン82を中空軸41(図2参照)に挿入すると、基準ピン82の中心軸が垂直軸と一致する。また、位置決めピン83(図7参照)の中心軸は、垂直軸と直交し、レンズマウント33を真正面に向けた場合の光軸と平行になる。
【0043】
しかしながら、レンズマウント33は、略凹形状のシャーシー23の寸法精度や、シャーシー23にレンズマウント33を取り付けた際の取付け精度等の関係で、水平軸方向にずれて取り付けられてしまう場合がある。すると、本来交差すべき光軸と垂直軸とが交差しないため、光軸が垂直軸に交差するように、レンズマウント33の左右方向の位置を調整する必要が生じる。
【0044】
そこで、位置決め治具80の基準ピン82を中空軸41(図2参照)に挿入した後、プッシャー84を押し込み、位置決めピン83(図7参照)によってレンズマウント33の位置決めを行う。すなわち、図7に示す位置決めピン83の嵌合部83aがレンズマウント33の位置決め穴33a(図2参照)に嵌め込まれるようにレンズマウント33の左右位置を調整すれば、位置決めピン83の中心軸が垂直軸と直交することから、光軸も垂直軸と直交するように位置決めされる。そして、位置決め治具80によって位置決めされたレンズマウント33により、レンズ鏡筒30(図1参照)の光軸が垂直軸と直交するようになる。
【0045】
このように、本実施形態のビデオカメラ10は、撮像素子32の撮像信号を電送するハーネス60が中空軸41の内側を通るので、シャーシー23の回転部におけるハーネス60の処理が容易になり、ハーネス60の配線距離も短くなる。その結果、ハーネス60に要する価格を抑制できるだけでなく、撮像信号へのノイズの混入による悪影響を軽減できる。そのため、HD(High Definition )画質の撮像信号の電送に、特に効果的なものになる。
【0046】
また、回転する中空軸41の内側にハーネス60を通しても、ハーネスホルダー70によってハーネス60の損傷が防止されるので、ハーネス60の耐久性が大幅に向上する。そのため、レンズ鏡筒30(レンズ31)をパン方向に頻繁に回転させるテレビ会議用のビデオカメラ10に、特に効果的なものになる。
【0047】
さらにまた、レンズ鏡筒30(レンズ31)のパン方向の回転軸(垂直軸)は、レンズ31の光軸と合わせる必要があるが、中空軸41を利用した位置決め治具80により、レンズ鏡筒30の支持位置を簡単に調整できる。そのため、略凹形状のシャーシー23の寸法精度や、レンズマウント33の取付け精度等に問題が生じても、容易に対応することができ、ビデオカメラ10の生産性が向上する。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)本実施形態では、レンズ鏡筒回転型撮像装置として、会議室用のビデオカメラ10を例に挙げたが、レンズ鏡筒30が回転する撮像装置であれば、ビデオカメラ10に限られない。また、本実施形態のビデオカメラ10は、パン方向及びチルト方向の両方に回転可能であるが、パン方向やチルト方向等の各方向の少なくとも一方向に回転可能であれば良く、その回転部にハーネスホルダー70を適用できる。
【0049】
(2)本実施形態では、パン方向に回転する中空軸41の内側にハーネスホルダー70を挿入し、ハーネス60を保護しているが、ハーネスホルダー70は、パン方向の回転部に限らず、チルト方向の回転部に用いることもできる。また、パン方向及びチルト方向の両方に用いることもできる。さらにまた、本実施形態では、ハーネスホルダー70が中空パイプであり、ハーネス保護部71の外径を中空軸41の内径に合わせているが、必ずしもこれに限ることはなく、中空軸41の内側で、ハーネス60と中空軸41との接触が防止できれば良い。
【0050】
(3)本実施形態では、レンズ鏡筒30を回転させるパンモーター40を備え、ハーネスホルダー70を挿入する中空軸41は、パンモーター40の一部(回転軸)であるが、このようなダイレクトドライブに限らず、ギヤ等を介してレンズ鏡筒30を回転させるようにしても良い。また、チルトモーター50の回転軸を中空にし、その中空部内にハーネスホルダー70を挿入しても良い。さらにまた、パンモーター40等を使用せず、手動でレンズ鏡筒30が回転するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態のビデオカメラを示す斜視図である。
【図2】本実施形態のビデオカメラを部分的に分解した状態を示す斜視図である。
【図3】本実施形態のビデオカメラにおけるシャーシー及びパンモーターを示す斜視図である。
【図4】本実施形態のビデオカメラに使用するパンモーターを示す斜視図である。
【図5】図4に示すパンモーターとハーネスとの関係を示す断面図である。
【図6】本実施形態のビデオカメラにおけるハーネスホルダーを示す斜視図及び断面図である。
【図7】本実施形態のビデオカメラに使用する位置決め治具を示す斜視図及び断面図である。
【図8】図7に示す位置決め治具の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10 ビデオカメラ(レンズ鏡筒回転型撮像装置)
20 台座
21 ベース台座
22 回転台座
30 レンズ鏡筒
31 レンズ
32 撮像素子
40 パンモーター(回転駆動手段)
41 中空軸
50 チルトモーター
60 ハーネス(電気配線)
70 ハーネスホルダー(保護部材)
71 ハーネス保護部(配線保護部)
72 ハーネス固定部(配線固定部)
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【代理人】 【識別番号】100113228
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正


【公開番号】 特開2008−72485(P2008−72485A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−249647(P2006−249647)