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【発明の名称】 画像処理装置および方法および記録媒体
【発明者】 【氏名】神野 敬行

【要約】 【課題】実際に印字された印刷媒体の光沢感の評価値を求め、該評価値に基づいて色分解処理を行うことにより所望の光沢感を得る。

【構成】カラー画像処理装置において、使用インクの情報に基づき所定の色信号値のパッチを生成するパッチ生成手段と、前記パッチの光沢特性を測定する光沢特性測定手段と、前記パッチの光沢特性に基づき前記カラー画像処理装置によって出力された印刷媒体の所定の色信号値において前記光沢特性が最適になるように色分解する色分解手段と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像処理装置において、使用インクの情報に基づき所定の色信号値のパッチを生成するパッチ生成手段と、前記パッチの光沢特性を測定する光沢特性測定手段と、前記パッチの光沢特性に基づき前記カラー画像処理装置によって出力された印刷媒体の所定の色信号値において前記光沢特性が光沢目標値になるように色分解する色分解手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記色分解手段は、前記印刷媒体の所定の色信号値における光沢特性と予め規定した目標とする光沢特性との差を最小にするための色分解であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記色分解手段は、前記印刷媒体の複数の色信号値における光沢特性に基づき、前記複数の色信号値間における光沢ムラを最小にするための色分解であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記光沢特性は、前記印刷媒体表面に映り込んだ照明像の明るさを示す指標値と該照明像の鮮明さを示す指標値の2つの尺度で構成されることを特徴する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記照明像の明るさを示す指標値は、鏡面光沢度を含む印刷媒体の正反射光の強度を示す指標値であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記照明像の鮮明さ示す指標値は、ヘイズ測定方法に基づく指標値であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記照明像の鮮明さ示す指標値は、写像性測定方法に基づく指標値であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記照明像の鮮明さ示す指標値は、正反射近傍を変角して測定した反射光の強度分布である変角反射光分布の広がり情報に基づく指標値であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項9】
カラー画像処理装置において、使用インクの情報に基づき所定の色信号値のパッチを生成するパッチ生成工程と、前記パッチの光沢特性を測定する光沢特性測定工程と、前記パッチの光沢特性に基づき前記カラー画像処理装置によって出力された印刷媒体の所定の色信号値において前記光沢特性が光沢目標値になるように色分解する色分解工程と、を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
前記色分解工程は、前記印刷媒体の所定の色信号値における光沢特性と予め規定した目標とする光沢特性との差を最小にするための色分解であることを特徴とする請求項9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記色分解工程は、前記印刷媒体の複数の色信号値における光沢特性に基づき、前記複数の色信号値間における光沢ムラを最小にするための色分解であることを特徴とする請求項9記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記光沢特性は、前記印刷媒体表面に映り込んだ照明像の明るさを示す指標値と該照明像の鮮明さを示す指標値の2つの尺度で構成されることを特徴する請求項9記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記照明像の明るさを示す指標値は、鏡面光沢度を含む印刷媒体の正反射光の強度を示す指標値であることを特徴とする請求項12記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記照明像の鮮明さ示す指標値は、ヘイズ測定方法に基づく指標値であることを特徴とする請求項12記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記照明像の鮮明さ示す指標値は、写像性測定方法に基づく指標値であることを特徴とする請求項12記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記照明像の鮮明さ示す指標値は、正反射近傍を変角して測定した反射光の強度分布である変角反射光分布の広がり情報に基づく指標値であることを特徴とする請求項12記載の画像処理方法。
【請求項17】
情報処理装置を制御することによって、請求項9乃至請求項16記載の画像評価方法を実行することを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は印刷における色分解技術、特に出力画像において所望の光沢感を実現する技術、および、出力画像における光沢ムラを低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行う記録装置には様々な方式のものがあるが、その中で、記録媒体に記録剤を付着することで記録媒体上にテキストや画像を形成する方式が実用化されており、このような方式の代表例として、インクジェット記録装置がある。近年、インクジェット記録装置の性能が向上し、テキストばかりでなく、カラー画像も記録されるようになってきた。
【0003】
上記インクジェット記録装置は、プリンタヘッドから吐出されるインクドットの空間的な配置によって、中間階調を表現しているが、ドット密度が小さい領域、すなわち、ハイライト部においては、印字されたドットが、視覚的に目立ち、粒状性を悪化させてしまう。
【0004】
そこで、近年、特開2002−059571号公報に示されるように、従来の印刷に用いられている基本色材色(CMYK)4色に加えLc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)という淡い色の色材を用いることにより、ハイライト部の粒状性を向上させる技術が用いられている。
【0005】
また、近年のカラーインクジェット記録装置の急速な普及に伴い、より高画質への要求が高まってきた。特に、記録装置が再現することのできる色領域を拡張させて、より鮮やかな出力画像が求められている。これに対し、CMYの3色のうち、各1色で再現できる色領域については、個々の色材の発色特性や色材濃度を改善することによって色再現領域を拡張することが可能であるが、2色以上の記録剤で形成されるR、G、B領域で、特に彩度の高い色領域では、従来のCMYKの4色では再現できる色領域に限りがあり、より鮮やかな色再現が難しくなる。この色再現領域の拡張に際し、特開2001−136401号公報には、CMYKの4色の基本色材に加えて、減法混色の3原色以外の高彩度な色、すなわち特色インクを追加し、画像形成を行う方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−059571号公報
【特許文献2】特開2001−136401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、近年のカラーインクジェット記録装置における色材色の増加に伴い、所望の色を実現するため2色以上の色材色を用いる場合の組み合わせの数が増大している。この色材色の組み合わせによって、出力画像の光沢感が異なる。所望の色を実現するために候補となる複数の色材色の組み合わせの中から最適な組み合わせを選択するために、粒状性の評価値や再現することのできる色領域の大きさの評価値から、色材色の組み合わせを決定する技術は既に用いられている。しかしながら、光沢特性を利用して色材色の組み合わせを決定する技術はなく、色材色の組み合わせ方法によって光沢感を制御することができないという問題点があった。
【0007】
また、印刷においては単純に光沢感が高ければ良いというわけではなく、異なる色の間に光沢感の差異が少ないことが重要視されている。すなわち、光沢ムラの抑制が課題になっている。
【0008】
印刷などのシート状の記録媒体についての光沢測定技術としては、一般的に鏡面光沢度測定方法(JIS Z 8741)が用いられているが、前記鏡面光沢度測定方法に基づく測定値は画像観察者が感じる光沢感とは必ずしも一致しない場合がある。このため、前記鏡面光沢度測定方法に基づく測定値を利用して色分解を行っても、所望の光沢感を実現できないという問題点があった。さらに、前記鏡面光沢度測定方法に基づく測定値が同一でも、光沢感の差異、すなわち光沢ムラが発生してしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、以上のような課題を鑑みてなされたものであり、実際に印字された印刷媒体の光沢感の評価値を求め、該評価値に基づいて色分解処理を行うことにより所望の光沢感を得る方法を提供すること、および、複数の色についての該評価値に基づいて色分解処理を行うことにより、複数の色の間で発生する光沢ムラを抑制する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための一手段として、本発明は以下の構成を備える。
【0011】
本発明の画像処理装置は、カラー画像処理装置において、使用インクの情報に基づき所定の色信号値のパッチを生成するパッチ生成手段と、前記パッチの光沢特性を測定する光沢特性測定手段と、前記パッチの光沢特性に基づき前記カラー画像処理装置によって出力された印刷媒体の所定の色信号値において前記光沢特性が最適になるように色分解する色分解手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、目標とする光沢感を実現する色分解方法を決定することが可能となる。さらに、光沢ムラを抑制するための色分解方法を決定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
[第一の実施形態]
まず、図1から図4を参照して、本発明によって所望の光沢感を実現する方法を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置の概要を表したブロック図である。101は本発明の実施形態である画像処理装置である。102は画像出力に用いるインクの種類および測色値を記憶するインクデータ部である。103はインクの組み合わせによって所望のL*a*b*値になるよう調整されたパッチデータ生成部である。104は、パッチデータ生成部で作られたパッチデータを記憶するパッチデータ記憶部である。105は所望の画像出力装置106によって、104に記憶されているパッチデータに従いパッチを出力するパッチ出力部である。107は105で出力されたパッチの光沢特性を測定する光沢特性測定部である。108は107で測定されたパッチの光沢特性を、パッチの光沢評価値として記憶する光沢評価値記憶部である。109は、パッチの光沢目標値を予め入力するための光沢目標値入力部である。110は109で入力された光沢目標値を記憶する光沢目標値記憶部である。111は108で記憶されている光沢評価値と110で記憶されている光沢目標値との光沢感の定量的な差を演算によって求める光沢差演算部である。112は111で求めたパッチの光沢評価値と目標値との光沢差を記憶する光沢差記憶部である。112は111で記憶されている光沢差に基づき光沢差が最小になるインクの組み合わせを、104に記憶されているパッチデータの中から選択する色分解決定部である。
【0016】
図2は、本実施形態における画像処理装置の概要が示されている図1にて行われる処理の流れを記載したフローチャートである。まず、光沢目標値入力部109で、所望の画像出力装置で出力される所定のL*a*b*値のパッチにおける光沢目標値を設定する(S201)。ステップS201で設定した光沢目標値は光沢目標値記憶部110に格納される(S202)。次に、インクデータ記憶部102に格納されているインクの種類および各インクの測色値に基づき、様々な種類のインクを所定の割合で組み合わせることで所定のL*a*b*値になるように調整された複数のパッチデータをパッチデータ生成部103にて生成し、生成されたパッチデータをパッチデータ記憶部104に格納する。102に格納されたインクデータと対応する画像出力装置106を利用し、104に格納されたパッチデータに基づいてパッチ出力部105にて所定のL*a*b*値のパッチを出力する(S203)。ステップS203で出力されたパッチの光沢特性を光沢特性測定部107にて測定する(S204)。107にて測定された測定値を光沢評価値として所定の形式で光沢評価値記憶部108に格納する(S205)。ステップS203で出力した全てパッチについて、108に評価値が格納されているかを判定し、格納されていないパッチがあればステップS204、S205の処理を繰り返す(S206)。108に出力した全てのパッチの評価値が格納されていれば、光沢差演算部111にて、110に格納されている光沢目標値と108に格納されている全てのパッチの光沢評価値に基づき、後述する所定の演算処理によって各パッチの光沢評価値と光沢目標値との差を求める(S207)。ステップS207で求めた各パッチの光沢目標値との差を光沢差記憶部112に格納する(S208)。112に格納された全てのパッチの光沢目標値との光沢差から値が最小になるものを選択し、該当するパッチについて104に記憶されているパッチデータから所定のL*a*b*値のパッチに対して、所望の光沢感を実現するインクの組み合わせを色分解決定部113にて決定する(S209)。
【0017】
本実施形態においてS204で算出される光沢特性の評価方法について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、本発明における光沢特性を視覚的に把握するための光沢感評価グラフを示す図である。図3のグラフにおける横軸GXは、評価対象の印刷物表面に映り込んだ照明の像の鮮明さを示す指標値である。該指標値は、試料表面の曇り具合を測定するヘイズ測定方法(ISO 13803、ASTM E 430)に基づく測定値や、試料表面に映り込んだ物体の像の鮮明度を測定する写像性測定方法(JIS K 7105、JIS H 8686)に基づく測定値など、評価対象の印刷媒体について照明の像の鮮明さを示す指標値であれば良い。また、前記指標値は正反射近傍の反射光強度を変角して測定した際の反射光分布の空間的な広がりから算出しても良い。図3のグラフにおける縦軸GYは、評価対象の印刷物表面に映り込んだ照明の像の明るさを示す指標値である。該指標値は、鏡面光沢度測定方法(JIS Z 8741)に基づく測定値や、正反射近傍の反射光強度を変角して測定した際のピーク強度など、評価対象の印刷媒体について照明の像の明るさを示す指標値であれば良い。図3の31、32、33は、測定した試料A、試料B、試料Cについての光沢評価値を示している。図3によれば、31と32は印刷物表面に映り込んだ照明や物体の像の明るさは等しいが、32より31の方が像の鮮明さは高いことを示しており、画像観察者には31の方が32より光沢感が高いと感じる。31と32は印刷物表面に映り込んだ照明や物体の像の鮮明さは等しいが、32より31の方が像の明るさは明るいことを示しており、画像観察者には32の方が33より光沢感が高いと感じる。同様に、31と33の比較では、31の方が33に比べ印刷物表面に映り込んだ照明や物体の像はより明るくより鮮明であり、画像観察者には31の方が33より光沢感が高いと感じる。つまり、図3においてGXの数値が小さいほど、また、GYの数値が大きいほど、画像観察者が感じる光沢感が高いことを示している。
【0018】
本実施形態においてS207で算出される光沢目標値と各パッチの光沢評価値との差の演算方法について、図4を用いて説明する。図4は、108に格納されている試料Aの光沢評価値41と107に格納されている光沢目標値42を、図3の光沢感評価グラフにプロットした様子を示す図である。43はGX方向の41と42の差、ΔGXである。44はGY方向の41と42の差、ΔGYである。45は41と42の光沢差ΔGであり、以下の(1)式で算出される。
【0019】
【数1】


108に格納されている全てのパッチの光沢評価値に対して、上記(1)式に示す演算を行い、算出されたΔGの最小値を求めることによって、所望の光沢感を実現するインクの組み合わせを決定する。
【0020】
次に、図5から図9を参照して、本発明によって光沢ムラを抑制する方法を説明する。
【0021】
図5は、本発明の一実施形態である画像処理装置の概要を表したブロック図である。501は本発明の実施形態である画像処理装置である。502は画像出力に用いるインクの種類および測色値を記憶するインクデータ部である。503はインクの組み合わせによって所望のL*a*b*値になるよう調整されたパッチデータ生成部である。503にて予め設定された複数のL*a*b*値に対応するパッチデータを生成する。504は、パッチデータ生成部で作られたパッチデータを記憶するパッチデータ記憶部である。505は所望の画像出力装置506によって、504に記憶されているパッチデータに従いパッチを出力するパッチ出力部である。507は505で出力されたパッチの光沢特性を測定する光沢特性測定部である。508は507で測定されたパッチの光沢特性を、パッチの光沢評価値として記憶する光沢評価値記憶部である。509は、所定のL*a*b*値になるよう調整され出力したパッチ群の光沢評価値に基づき、所定のL*a*b*値における光沢評価値の重心点を演算する評価値重心演算部である。511は、509で算出された予め設定された複数のL*a*b*値における光沢評価値の各重心点に基づき、予め設定された複数のL*a*b*値全てについて重心点を演算する全重心演算部である。512は、511で演算された全重心点を格納する全重心記憶部である。513は、508に格納されている全パッチの光沢評価値と、510に格納されている各L*a*b*値についての光沢評価値の重心点と、512に格納されている全てのL*a*b*値の重心点と504に格納されているパッチデータに基づき、光沢ムラが最小になるようなインクの組み合わせを決定する色分解決定部である。
【0022】
図6は、本実施形態における画像処理装置の概要が示されている図5にて行われる処理の流れを記載したフローチャートである。まず、光沢ムラの評価に利用する代表点のL*a*b*値を設定する(S601)。S601で設定する代表点は、2つ以上であれば幾つ設定しても良い。ステップS601で設定された全ての代表点に対し、インクデータ記憶部502に格納されているインクの種類および各インクの測色値に基づき、様々な種類のインクを所定の割合で組み合わせることで所定のL*a*b*値になるように調整された複数のパッチデータをパッチデータ生成部503にて生成する。ステップS602で生成されたパッチデータをパッチデータ記憶部504に格納する。502に格納されたインクデータと対応する画像出力装置506を利用し、504に格納されたパッチデータに基づいてパッチ出力部505にて、全ての代表点に対応するL*a*b*値のパッチを出力する(S603)。ステップS603で出力されたパッチの光沢特性を光沢特性測定部507にて測定する(S604)。507にて測定された測定値を光沢評価値として所定の形式で光沢評価値記憶部508に格納する(S605)。ステップS603で出力した全てパッチについて、508に光沢評価値が格納されているかを判定し、格納されていないパッチがあればステップS604、S605の処理を繰り返す(S606)。508に出力した全てのパッチの光沢評価値が格納されていれば、該パッチの光沢評価値に基づき、代表点間の光沢ムラが最小になるインクの組み合わせを決定する(S607)。
【0023】
図7は、ステップS607の色分解処理の詳細な流れを記載したフローチャートである。まず、光沢評価値記憶部508に格納されている所定のL*a*b*値についての光沢評価値( GXij ,GYij )を呼び出す(S701)。GX、GYの添え字のiは、第i番目のL*a*b*値であることを表す。GX、GYの添え字のjは、第i番目のL*a*b*値を出力する第j番目のインクの組み合わせであることを表す。次に、インクの組み合わせを変えるため、jのインクリメント処理を行う(S702)。S606で格納されている全てのインクの組み合わせに対して、第i番目のL*a*b*値の光沢評価値が呼び出されたかを判定し、第i番目のL*a*b*値を出力する全てのインクの組み合わせに光沢評価値が呼び出されていなければ、ステップS701、S702の処理を繰り返す(S703)。S703にて、第i番目のL*a*b*値の光沢評価値が呼び出されたことが確認された後、第i番目のL*a*b*値である複数のパッチの光沢評価値に対して、重心を算出する(S704)。図8を参照して重心の演算方法を説明する。図8は、図3に示された光沢感評価グラフに、第i番目のL*a*b*値である複数のパッチの光沢評価値をプロットした図である。81、82、83、84は第i番目のL*a*b*値であるパッチ、試料1、試料2、試料3、試料4の光沢評価値である。説明の便宜上、第i番目のL*a*b*値である4点の評価値を示してあるが、プロットする点の個数は特に限定しなくて良い。85は前記4点の評価値の光沢分布を示す。86は前記4点から算出された重心点である。図8において矢印は、各評価値および重心点のベクトル表示である。重心点は、前記ベクトルを利用し、以下の(2)式に従って算出する(S704)。
【0024】
【数2】


次に、L*a*b*値を示すiをインクリメント処理し(S705)、全ての代表点における重心の演算処理が終了したかを判定する(S706)。ステップS706で、全ての代表点における重心の演算処理が終了したことを確認するまで、S701からS705までの処理を繰り返す。ステップS706で、全ての代表点における重心の演算処理が終了したことを確認した後、各色における重心点から全色における重心点を以下の(3)式に従って算出する(S707)。
【0025】
【数3】


上記(3)式によって演算される全色の重心点に基づき、第i番目のL*a*b*値とその他のL*a*b*値との間の光沢ムラを抑制するように、すなわち、光沢評価値の差が最小になるように色分解を行う(S708)。第i番目のL*a*b*値とその他のL*a*b*値との間の光沢ムラを抑制するような色分解が決定された後、iをインクリメント処理し(S709)、全ての代表点について色分解方法が決定されたかを判定する(S710)。ステップS710にて、全ての代表点について色分解方法が決定されていなければ、次のL*a*b*値についてステップS708と同様の処理を行う。ステップS710にて、全ての代表点について色分解方法が決定されことを確認した後、全体の処理が終了する。
【0026】
ステップS708における処理の方法を、図9を参照して説明する。図9は、図3の光沢感評価グラフに、代表点における複数のパッチの光沢評価値をプロットした図である。901は、第一のL*a*b*値において、様々なインクの組み合わせに対する光沢評価値のばらつきを示す光沢分布である。902、903、904は、第二のL*a*b*値、第三のL*a*b*値、第四のL*a*b*値における光沢分布である。905は、第一のL*a*b*値において、(2)式を用いて求めた第一のL*a*b*値における光沢評価値の重心点である。906、907、908は、第二のL*a*b*値、第三のL*a*b*値、第四のL*a*b*値における光沢評価値の重心点である。909は、905から908の光沢評価値の重心点に基づき、(3)式を用いて求めた全代表点の重心点である。第一のL*a*b*値において、その他のL*a*b*値との光沢ムラを最小に抑える色分解を決定するために、901の中から909に最も近い点を探す。すなわち、901に分布する各光沢評価値と909との距離が最小になる点910を選択する。同様にして、第二のL*a*b*値、第三のL*a*b*値、第四のL*a*b*値において、909と最短距離の点、912、913、914を選択することで、全代表点において光沢ムラを最小にするための色分解を決定することが可能になる。さらに、代表点における色分解が決定された後、近傍の代表点の色分解に基づき所望の補間処理を行うことで、代表点以外のL*a*b*値においても、光沢ムラを抑制する色分解を決定することが可能になる。
【0027】
[第二の実施形態]
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記録媒体)等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0028】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0029】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0030】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0031】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD-ROM,DVD-R)などがある。
【0032】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0033】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD-ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0034】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0035】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第一の実施形態における、目標とする光沢感を実現するための、画像処理装置の概要を表すブロック図である。
【図2】第一の実施形態における、図1記載の画像処理装置の処理の流れを記載したフローチャートである。
【図3】第一の実施形態における光沢感の評価方法である2次元評価グラフの概要、および、該2次元評価グラフの見方を説明する図である。
【図4】図3に記載された2次元評価グラフの利用の一形態であり、光沢目標値と光沢評価値との差の示す図である。
【図5】第一の実施形態における、光沢ムラ抑制のための、画像処理装置の概要を表すブロック図である。
【図6】第一の実施形態における図6記載の画像処理装置における処理の流れを記載したフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートにおけるステップS607の処理の流れを詳細に記載したフローチャートである。
【図8】所定の色信号値である複数パッチの光沢評価値に基づき、所定の色信号値における光沢評価値の重心点を算出する方法を説明する図である。
【図9】代表的な複数の色信号値に対する複数パッチの光沢評価値に基づき、代表的な色信号値における光沢評価値の各重心点を算出する方法、および、代表的な色信号値全ての光沢評価値の各重心点に基づき全重心点を算出する方法、および、全重心点の位置に基づき各色信号値における色分解を決定する方法、を説明する図である。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【代理人】 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三

【識別番号】100096965
【弁理士】
【氏名又は名称】内尾 裕一


【公開番号】 特開2008−72478(P2008−72478A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−249577(P2006−249577)