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【発明の名称】 画像データ修復装置、撮像装置、画像データ修復方法、及び画像データ修復プログラム
【発明者】 【氏名】岩淵 浩志

【要約】 【課題】ぶれの発生している画像データからぶれの発生していない画像データを復元する処理をメモリ効率良く行うことが可能な方法を提供する。

【構成】被写体を撮像素子1bによって撮像して得られた静止画像データSを、前記撮像時における撮像素子1bのY方向へのぶれに関するぶれ情報に基づいて修復する方法であって、前記ぶれ情報に基づくぶれがない状態で前記被写体を撮像したときに得られる理想的な画像データOのY方向への広がりをz領域で表したぶれ伝達関数H(z)の逆特性である逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、複数の伝達関数の掛け算の形に分解するステップ(S2,S3)と、静止画像データSを前記複数の伝達関数の各々で順次演算処理して、理想的な画像データOを復元するステップ(S4〜S7)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像素子によって撮像して得られた静止画像データを、前記撮像時における前記撮像素子の一次元方向へのぶれに関するぶれ情報に基づいて修復する画像データ修復装置であって、
前記ぶれ情報に基づくぶれがない状態で前記被写体を撮像したときに得られる理想的な画像データの前記一次元方向への広がりをz領域で表したぶれ伝達関数H(z)の逆特性である逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、複数の伝達関数の掛け算の形に分解する分解手段と、
前記静止画像データを前記複数の伝達関数の各々で順次演算処理して、前記理想的な画像データを復元する復元手段とを備える画像データ修復装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像データ修復装置であって、
前記分解手段が、前記逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ等速的に広がっている場合に対応する伝達関数と、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数との積の形に分解する等速・非等速ぶれ伝達関数分解手段と、前記非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数を因数分解する因数分解手段とを含む画像データ修復装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像データ修復装置と、
前記撮像素子と、
前記撮像素子の出力信号から前記静止画像データを生成する静止画像データ生成手段と、
前記撮像時における前記撮像素子の前記一次元方向へのぶれを検出して前記ぶれ情報を生成するぶれ情報生成手段とを備える撮像装置。
【請求項4】
被写体を撮像素子によって撮像して得られた静止画像データを、前記撮像時における前記撮像素子の一次元方向へのぶれに関するぶれ情報に基づいて修復する画像データ修復方法であって、
前記ぶれ情報に基づくぶれがない状態で前記被写体を撮像したときに得られる理想的な画像データの前記一次元方向への広がりをz領域で表したぶれ伝達関数H(z)の逆特性である逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、複数の伝達関数の掛け算の形に分解する分解ステップと、
前記静止画像データを前記複数の伝達関数の各々で順次演算処理して、前記理想的な画像データを復元する復元ステップとを備える画像データ修復方法。
【請求項5】
請求項4記載の画像データ修復方法であって、
前記分解ステップが、前記逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ等速的に広がっている場合に対応する伝達関数と、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数との積の形に分解する等速・非等速ぶれ伝達関数分解手段と、前記非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数を因数分解する因数分解ステップとを含む画像データ修復方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の画像データ修復方法の各ステップをコンピュータに実行させるための画像データ修復プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像素子によって撮像して得られた静止画像データを修復する画像データ修復装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被写体像を光電変換し、コンピュータ等の演算装置を用いて画像処理を行なう装置がある。この画像処理装置を用いて、撮影時の手ぶれ等により生じた画像の劣化を修復する技術・装置に関して提案されている。このような画像修復処理では、画像の劣化につながる像のある1点のその周辺の像への滲みや広がりを広がり関数として数学的に扱い、演算処理を可能にしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮影画像データをフーリエ変換した画像データに対し、時間領域で表される広がり関数をz変換した広がり関数を用いて演算処理し、演算処理して得られる画像データを逆フーリエ変換することで、ぶれのない画像データを復元する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−127976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された方法では、ぶれが非常に大きかった場合、z領域で表される広がり関数が複雑となるため、この広がり関数を用いた演算処理も複雑となり、演算処理に使用するメモリも多くなってしまい、メモリ効率が悪い。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ぶれの発生している画像データからぶれの発生していない画像データを復元する処理をメモリ効率良く行うことが可能な画像データ修復装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像データ修復装置は、被写体を撮像素子によって撮像して得られた静止画像データを、前記撮像時における前記撮像素子の一次元方向へのぶれに関するぶれ情報に基づいて修復する画像データ修復装置であって、前記ぶれ情報に基づくぶれがない状態で前記被写体を撮像したときに得られる理想的な画像データの前記一次元方向への広がりをz領域で表したぶれ伝達関数H(z)の逆特性である逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、複数の伝達関数の掛け算の形に分解する分解手段と、前記静止画像データを前記複数の伝達関数の各々で順次演算処理して、前記理想的な画像データを復元する復元手段とを備える。
【0008】
本発明の画像データ修復装置は、前記分解手段が、前記逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ等速的に広がっている場合に対応する伝達関数と、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数との積の形に分解する等速・非等速ぶれ伝達関数分解手段と、前記非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数を因数分解する因数分解手段とを含む。
【0009】
本発明の撮像装置は、前記画像データ修復装置と、前記撮像素子と、前記撮像素子の出力信号から前記静止画像データを生成する静止画像データ生成手段と、前記撮像時における前記撮像素子の前記一次元方向へのぶれを検出して前記ぶれ情報を生成するぶれ情報生成手段とを備える。
【0010】
本発明の画像データ修復方法は、被写体を撮像素子によって撮像して得られた静止画像データを、前記撮像時における前記撮像素子の一次元方向へのぶれに関するぶれ情報に基づいて修復する画像データ修復方法であって、前記ぶれ情報に基づくぶれがない状態で前記被写体を撮像したときに得られる理想的な画像データの前記一次元方向への広がりをz領域で表したぶれ伝達関数H(z)の逆特性である逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、複数の伝達関数の掛け算の形に分解する分解ステップと、前記静止画像データを前記複数の伝達関数の各々で順次演算処理して、前記理想的な画像データを復元する復元ステップとを備える。
【0011】
本発明の画像データ修復方法は、前記分解ステップが、前記逆ぶれ伝達関数{1/H(z)}を、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ等速的に広がっている場合に対応する伝達関数と、前記理想的な画像データが前記一次元方向へ非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数との積の形に分解する等速・非等速ぶれ伝達関数分解手段と、前記非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数を因数分解する因数分解ステップとを含む。
【0012】
本発明の画像データ修復プログラムは、前記画像データ修復方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ぶれの発生している画像データからぶれの発生していない画像データを復元する処理をメモリ効率良く行うことが可能な画像データ修復装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための撮像装置の一例である手ぶれ補正機能を有するデジタルカメラの概略構成を示す図である。
図1に示すデジタルカメラ100は、撮像部1、アナログ信号処理部2、A/D変換部3、駆動部4、ぶれ検出部5、デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、システム制御部9、内部メモリ10、メディアインタフェース(I/F)11、記録メディア12、操作部13、画像データ修復部60、及びシステムバス14を有する。
【0016】
システムバス14には、画像データ修復部60、デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、システム制御部9、内部メモリ10およびメディアインタフェース11が接続されている。
【0017】
撮像部1は、撮影レンズ1aを含む光学系と、この光学系を通して被写体からの光を受光するCCD型やCMOS型のイメージ(エリア)センサ等の撮像素子1bとを含み、被写体を撮影し、その撮像信号(アナログ信号)を出力する。
【0018】
アナログ信号処理部2は、撮像部1からの撮像信号に対し、所定のアナログ信号処理を施す。A/D変換部3は、アナログ信号処理部2で信号処理されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0019】
駆動部4は、デジタルカメラ100が撮影モードに設定されると、システム制御部9から供給される駆動パルスに従って、撮像素子1b、アナログ信号処理部2、A/D変換部3を駆動する。ここで、撮影モードとは、被写体を撮影し、撮影して得られた撮像信号から生成した画像データを記録可能なモードである。
【0020】
デジタル信号処理部6は、A/D変換部3からのデジタル信号に対し、操作部13で設定された動作モードに応じたデジタル信号処理を行い、撮影画像データを生成する。デジタル信号処理部6におけるデジタル信号処理には、黒レベル補正処理(OB処理)、リニアマトリクス補正処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理、同時化処理等が含まれる。このデジタル信号処理部6は、例えばDSPで構成される。デジタル信号処理部6で生成された撮影画像データは、内部メモリ10に一時記憶される。
【0021】
圧縮/伸張処理部7は、デジタル信号処理部6で生成された撮影画像データに対して圧縮処理を施すとともに、記録メディア12から得られた圧縮画像データに対して伸張処理を施す。
【0022】
内部メモリ10は、例えばDRAMからなり、デジタル信号処理部6やシステム制御部9や画像データ修復部60のワークメモリとして利用される他、記録メディア12に記録される撮影画像データを一時的に記憶するバッファメモリとして利用される。
【0023】
メディアインタフェース11は、メモリカード等の記録メディア12との間でデータの入出力を行う。操作部13は、デジタルカメラに対して各種操作を行うものであり、撮影を指示するためのレリーズボタン(図示せず)を含む。
【0024】
ぶれ検出部5は、システム制御部9からの指示に従って、撮像素子1bの撮像(露光)中におけるデジタルカメラ100のぶれ(撮像素子1bのぶれと同義)を検出し、検出したぶれに関するぶれ情報を生成し、ぶれ情報をシステム制御部9に出力する。このぶれ情報は、このぶれ情報を生成した撮像時に得られた撮影画像データと共に、システム制御部9により内部メモリ10に記録される。ぶれを検出する方法としては、ジャイロスコープや圧電素子等のセンサによってぶれを検出する方法や、露光によって得られた画像データから画像処理によって導出する方法がある。画像処理により導出する方法としては、輪郭のぶれ方向から導出する方法や、ある特定のマークを被写体の一部に入れて撮影してそのマークのぶれから導出する方法等がある。これら、ぶれを検出する方法についてはいずれも公知であるため、説明を省略する。
【0025】
ぶれ検出部5で生成されるぶれ情報は、例えば、ぶれの方向と、画素数(撮像素子1bの光電変換素子の個数と対応)で表されるぶれの大きさと、ぶれの速度とを含む。
【0026】
システム制御部9は、撮影動作を含むデジタルカメラ100全体の統括制御を行う。
【0027】
画像データ修復部60は、デジタル信号処理部6で生成された静止画撮影時に得られた撮影画像データ(以下、静止画像データという)と、その静止画像データを得るための撮像時にぶれ検出部5で検出して生成されたぶれ情報とに基づいて、当該静止画像データを修復して、ぶれのない状態で撮像して得られた静止画像データを復元する。
【0028】
ここで、ぶれの発生している静止画像データを修復する方法について説明する。
撮像素子1bが全くぶれない状態で被写体を撮像したときにデジタル信号処理部6で生成されるぶれのない理想的な静止画像データOの模式図を図2(a)に示す。静止画像データOは、垂直方向Yに順番に配列された画素データO1〜O10の10個の画素データからなる画素データ列が、垂直方向Yに直交する水平方向Xに多数配列されたもの、又は、水平方向Xに配列された多数の画素データからなる画素データ行が、垂直方向Yに10個配列されたものとなっている。
【0029】
又、図2(a)には、撮像中に撮像素子1bがY方向に向かって2つの光電変換素子分ぶれたときに、撮像素子1bの撮影範囲内に新たに入る被写体から得られる2画素データ行分の画素データを画素データO11,O12として図示してある。画素データO11,O12は、撮像素子1bのぶれによって理想的な静止画像データOの端部(画素データO10)よりもY方向外側に広がった画素データを示す。図2(a)に示した各画素データ列とそれのY方向外側に続く画素データO11と画素データO12と併せた行列表現は、以下の数1に示すような列ベクトル[O]として表現することができる。
【0030】
【数1】


【0031】
一方、撮像素子1bがぶれた状態で被写体を撮像したときにデジタル信号処理部6で生成された静止画像データSの模式図を図2(b)に示す。静止画像データSは、垂直方向Yに順番に配列された画素データS1〜S10の10個の画素データからなる画素データ列が、垂直方向Yに直交する水平方向Xに多数配列されたもの、又は、水平方向Xに配列された多数の画素データからなる画素データ行が、垂直方向Yに10個配列されたものとなっている。静止画像データSの各画素データ列は、以下の数2に示すような列ベクトル[S]として表現することができる。
【0032】
【数2】


【0033】
ここで、静止画像データSを得るための撮像時において、撮像素子1bが、Y方向に向かって2つの光電変換素子分ぶれたものとする。このぶれによる静止画像データOのY方向の広がりをz領域で表した点広がり関数H(z)(以下、ぶれ伝達関数という)の行列表現であるぶれ行列をHとすると、以下の数3の関係が成立する。
【0034】
【数3】


【0035】
最終的に求めたいのは、ぶれのない理想的な静止画像データOであるため、この静止画像データOを復元するには、以下の数4で示される演算が必要となる。数4において、Wはぶれ行列Hの逆行列(伝達関数の表現では、{1/H(z)})である。
【0036】
【数4】


【0037】
数3を見て分かるように、[S]のデータ数と[O]のデータ数は異なるため、ぶれ行列Hは、10行×12列の行列となり、正則になっていない。このため、ぶれ行列Hの逆行列を求めることはできない。そこで、ぶれ行列Hの擬似逆行列を求め、これをWとすることで、[O]の値を求めることができる。このような処理を行って、静止画像データOの各画素データ列のデータを復元することで、ぶれのない静止画像データを得ることができる。
【0038】
上述した方法では、ぶれ伝達関数H(z)をぶれ行列として表現した上で、静止画像データSとぶれ行列との積により、理想的な静止画像データOを復元するものとしたが、これ以外に、ぶれ伝達関数H(z)の逆特性{1/H(z)}を求め、静止画像データSを{1/H(z)}で演算処理して、理想的な静止画像データOを復元することも可能である。以下では、ぶれ伝達関数H(z)の逆特性{1/H(z)}を逆ぶれ伝達関数といい、W(z)で表す。
【0039】
静止画像データSをW(z)で演算処理する方法としては、演算処理プログラムにより、フーリエ変換した静止画像データSに伝達関数がW(z)であるフィルタ処理を施し、それにより得られる画像データを逆フーリエ変換する方法と、伝達関数がW(z)であるフィルタをハードウェアで設計し、このフィルタに静止画像データSを入力してフィルタ処理する方法とがある。本発明では、これらのいずれの処理も適用可能である。
【0040】
図1に示す画像データ修復部60は、逆ぶれ伝達関数W(z)を複数の伝達関数W(z)(j=0,1,2,・・・,L)の積の形に分解し、静止画像データSを、該分解して得られた複数の伝達関数W(z)〜W(z)の各々で順次演算処理していくことで、静止画像データOを復元する。
【0041】
以下では、デジタル信号処理部6で生成される静止画像データを、図2(b)に示したものとし、画像データ修復部60で復元される静止画像データを、図2(a)に示したものとして説明する。
【0042】
図3は、図1に示す画像データ修復部60の内部構成を示すブロック図である。
画像データ修復部60は、内部メモリ10に記録されているぶれ情報に対応するぶれ伝達関数H(z)の逆特性である逆ぶれ伝達関数W(z)を設定する逆ぶれ伝達関数設定部63aと、逆ぶれ伝達関数W(z)を、理想的な静止画像データOがY方向へ等速的に広がっている場合に対応する伝達関数(以下、等速ぶれに対応する伝達関数という)と、理想的な静止画像データOがY方向へ非等速的に広がっている場合に対応する伝達関数(以下、非等速ぶれに対応する伝達関数という)との積の形に分解する等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bと、等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bで得られた非等速ぶれに対応する伝達関数を因数分解する因数分解部63cと、等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bで得られた等速ぶれに対応する伝達関数及び因数分解部63cで得られた伝達関数を合わせた伝達関数W(z)の各々で、静止画像データSを順次演算処理して、理想的な静止画像データOを復元する復元演算処理部63dとを備える。
【0043】
逆ぶれ伝達関数設定部63aは、内部メモリ10に記録されているぶれ情報に対応する逆ぶれ伝達関数W(z)を、該ぶれ情報から生成したり、ぶれ情報毎の逆ぶれ伝達関数W(z)が記録されている記録媒体から読み出したりして、設定する。ぶれ情報に対応するぶれ伝達関数H(z)は一般的に以下の数5で表すことができ、その逆特性である逆ぶれ伝達関数W(z)は一般的に以下の数6で表すことができる。
【0044】
【数5】


【0045】
【数6】


【0046】
例えば、ぶれの方向がY方向であり、大きさが2光電変換素子分であり、速度が等速であった場合、逆ぶれ伝達関数W(z)は3/{(1+Z−1+Z−2)}で表される。尚、本実施形態では、ぶれの方向がY方向の場合についてのみ説明する。
【0047】
等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bと因数分解部63cは、特許請求の範囲の分解手段として機能するものであり、逆ぶれ伝達関数W(z)を複数の伝達関数の積の形に分解する。
【0048】
等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bは、例えば以下の手順(1)〜(7)により、逆ぶれ伝達関数W(z)を、デジタルカメラ100が等速でぶれた場合に対応する伝達関数と非等速でぶれた場合に対応する伝達関数との積の形に分解する。
【0049】
(1)式1に示す演算を行い、割り切れた場合には、式1の商を関数B(z)とし、割り切れなかった場合には、H(z)を関数B(z)とする(式2)。又、式1が割り切れた場合には、式1の分母を関数H(z)とし、割り切れなかった場合には、関数H(z)を1とする(式3)。
(2)式4に示す演算を行い、割り切れた場合には、式4の商を関数Bn−1(z)とし、割り切れなかった場合には、関数B(z)を関数Bn−1(z)とする(式5)。又、式4が割り切れた場合には、式4の分母を関数Hn−1(z)とし、割り切れなかった場合には、関数Hn−1(z)を1とする(式6)。
(3)式7に示す演算を行い、割り切れた場合には、式7の商を関数Bn−2(z)とし、割り切れなかった場合には、関数Bn−1(z)を関数Bn−2(z)とする(式8)。又、式7が割り切れた場合には、式7の分母を関数Hn−2(z)とし、割り切れなかった場合には、関数Hn−2(z)を1とする(式9)。
(4)以降、同様の処理を行って、関数H(z)〜関数H(z)まで求める。
(5)関数H(z)〜関数H(z)は、それぞれ等速ぶれに対応する伝達関数となるため、これらの掛け算した関数でH(z)を割ることで、非等速ぶれに対応した伝達関数Y(z)を得る。
(6)ぶれ伝達関数H(z)を式10に示す形に分解する。
(7)最後に、式10の逆数をとって式11の形に変形することで、逆ぶれ伝達関数W(z)を等速ぶれに対応した伝達関数と非等速ぶれに対応した伝達関数との積の形に分解する。
【0050】
【数7】


【0051】
このように、等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bは、逆ぶれ伝達関数W(z)を、等速ぶれに対応する伝達関数と、非等速ぶれに対応する伝達関数との積の形に分解することができる。式10のような分解を行うことで、H〜H及びY(z)の各々の項数を、数5に示すぶれ伝達関数H(z)の項数よりも少なくすることができる。このため、後述する復元演算処理を簡素化することが可能となる。
【0052】
因数分解部63cは、等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bで得られた非等速ぶれに対応する伝達関数{1/Y(z)}をfactors関数等によって因数分解して、複数の伝達関数の積の形に分解する。
【0053】
この結果、逆ぶれ伝達関数W(z)は、等速・非等速ぶれ伝達関数分解部63bで得られた等速ぶれに対応する伝達関数と、因数分解部63cで得られた伝達関数との積の形に分解される。このように、逆ぶれ伝達関数W(z)は、複数の伝達関数の積で表すことができるため、以下の数8の式が成り立つ。W(z)は分解によって得られた伝達関数である。
【0054】
【数8】


【0055】
復元演算処理部63dは、復元処理を行う際に、まず、内部メモリ10から静止画像データSの各画素データ列[S]を読み出し、読み出した画素データ列[S]の一端の画素データから他端の画素データまで順番に伝達関数W(z)で演算処理するといった処理を行って静止画像データSを生成する。静止画像データSを生成した後は、静止画像データSの各画素データ列[S]を読み出し、読み出した画素データ列[S]の一端の画素データから他端の画素データまで順番に伝達関数W(z)で演算処理するといった処理を行って静止画像データSを生成し、次に、静止画像データSの各画素データ列[S]を読み出し、読み出した画素データ列[S]の一端の画素データから他端の画素データまで順番に伝達関数W(z)で演算処理するといった処理を行って静止画像データSを生成し、・・・、といった具合に、j=1,2,3,・・・Lとして、伝達関数Wj−1(z)で演算処理後に得られた静止画像データSj−1を伝達関数W(z)で演算処理することを繰り返して、最終的に静止画像データOを復元する。
【0056】
次に、画像データ修復部60の動作について説明する。
図4は、画像データ修復部60の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、撮像素子1bにより撮像が行われると、その撮像中の撮像素子1bのぶれに関するぶれ情報が生成され、このぶれ情報が、その撮像により得られる静止画像データSと対応付けて内部メモリ10に記録される。
【0057】
内部メモリ10に静止画像データSとぶれ情報が記録された後、画像データ修復部60は、内部メモリ10に記録されたぶれ情報にしたがって逆ぶれ伝達関数W(z)を設定する(ステップS1)。
【0058】
次に、画像データ修復部60は、逆ぶれ伝達関数W(z)を等速ぶれに対応する伝達関数と非等速ぶれに対応する伝達関数との積の形に分解し(ステップS2)、分解して得られた非等速ぶれに対応する伝達関数を因数分解して、数6で示した式の右辺を導出する(ステップS3)。
【0059】
次に、画像データ修復部60は、j=0とし、内部メモリ10に記録された静止画像データSの各画素データ列[S]を読み出し、読み出した画素データ列[S]を伝達関数W(z)で演算処理して、静止画像データS(z)を生成する(ステップS4)。
【0060】
次に、画像データ修復部60は、jを(j+1)に変更し(ステップS5)、伝達関数Wj−1(z)で演算処理後に得られた静止画像データSj−1を伝達関数W(z)で演算処理する(ステップS6)。
【0061】
次に、画像データ修復部60は、j=Lとなっているか判定し(ステップS7)、j≠Lであった場合(ステップS7:NO)は、処理をステップS5に移行する。一方、j=Lであった場合(ステップS7:YES)は、静止画像データOの全画素データ列の復元が完了されていると判断し、画像データ修復処理を終了する。内部メモリ10に記録された静止画像データOは、圧縮/伸張処理部7で圧縮された後、記録メディア12に記録される。
【0062】
以上のように、本実施形態の画像データ修復部60によれば、ぶれ情報に対応した逆ぶれ伝達関数を、複数の伝達関数の積の形に分解し、修復対象となる静止画像データSを、この複数の伝達関数で順次演算処理することで静止画像データOを復元することができる。この複数の伝達関数は、これらを掛け合わせた逆ぶれ伝達関数に比べてシンプルなものとなっているため、個々の演算処理をメモリを多量に使用することなく、容易に実現することができる。又、個々の伝達関数がシンプルであるため、演算処理をハードウェアのフィルタによって実現する場合でも、そのフィルタ設計が容易となる。
【0063】
尚、以上の説明では、逆ぶれ伝達関数W(z)を複数の伝達関数の積の形に分解するために、逆ぶれ伝達関数W(z)を等速ぶれ伝達関数と非等速ぶれ伝達関数との積の形に分解し、非等速ぶれ伝達関数を更に因数分解する手順を踏んでいるが、逆ぶれ伝達関数W(z)を直接因数分解して、複数の伝達関数の積の形に分解する方法を採用することも可能である。
【0064】
又、上述した実施形態の画像データ修復部60は、コンピュータを画像データ修復部60内の各部として機能させるための画像データ修復プログラム、又は、図4に示した画像データ修復部60の各処理ステップをコンピュータに実行させるための画像データ修復プログラムを、デジタルカメラに搭載されている演算処理装置等のコンピュータ(例えば、デジタル信号処理部6やシステム制御部9)が実行することでも実現できる。又、デジタルカメラ等から得られた静止画像データSとそれに対応するぶれ情報を、そのままパーソナルコンピュータの内部メモリに取り込み、上記の画像データ修復プログラムをこのコンピュータが実行することで、このコンピュータを画像データ修復部60として機能させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態を説明するための手ぶれ補正機能を有するデジタルカメラの概略構成を示す図
【図2】ぶれの発生している静止画像データを修復する方法を説明するための図
【図3】図1に示す画像データ修復部の内部構成を示すブロック図
【図4】図1に示す画像データ修復部の動作を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0066】
1 撮像部
2 アナログ信号処理部
3 A/D変換部
4 駆動部
5 ぶれ検出部
6 デジタル信号処理部
7 圧縮/伸張処理部
9 システム制御部
10 内部メモリ
11 メディアインタフェース
12 記録メディア
13 操作部
14 システムバス
60 画像データ修復部
63a 逆ぶれ伝達関数設定部
63b 等速・非等速ぶれ伝達関数分解部
63c 因数分解部
63d 復元演算処理部
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛

【識別番号】100132986
【弁理士】
【氏名又は名称】矢澤 清純


【公開番号】 特開2008−61103(P2008−61103A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−237859(P2006−237859)