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【発明の名称】 画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体
【発明者】 【氏名】高橋 勇介

【要約】 【課題】色ずれ量を簡便にかつ精度よく算出する画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。

【構成】画像信号処理装置100に画像信号が入力されると、信号分離部101にて基準信号と測定信号とに分離される。基準信号は信号状態分類部102にて各種の状態に分類される。また差分値算出部103で基準信号と測定信号との差分値を算出する。この差分値と信号状態分類部102にて分類された信号状態の係数とに基づいて、データ補正部104にて色ずれ補正を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像信号を補正して出力する画像信号処理装置であって、
入力された前記画像信号を、基準信号と測定対象信号とに分離する信号分離手段と、
それぞれ信号の位置が前記基準信号と前記測定対象信号とにおける所定の位置での差分値を算出する差分値算出手段と、
前記所定の位置近傍の前記基準信号の変化に基づいて、前記画像信号の状態を分類する信号状態分類手段と、
前記信号状態分類手段にて分類されたそれぞれの前記画像信号の状態を示す係数と、前記差分値算出手段にて算出された前記差分値と乗算して、前記画像信号を補正する補正手段とを有することを特徴とする画像信号処理装置。
【請求項2】
前記信号状態分類手段は前記基準信号の変化に基づいて、信号が連続して増加する第1の状態と、信号が連続して減少する第2の状態と、前記第1の状態および前記第2の状態以外の第3の状態とに分類することを特徴とする請求項1記載の画像信号処理装置。
【請求項3】
前記信号状態分類手段はさらに、前記測定対象信号の変化に基づいて前記画像信号の状態を分類することを特徴とする請求項1または2記載の画像信号処理装置。
【請求項4】
前記差分値算出手段は、前記所定の位置を含む任意の範囲内における複数の前記信号の差分値を算出し、算出された当該複数の差分値を平均化して算出する平均値算出手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像信号処理装置。
【請求項5】
前記任意の範囲内における前記複数の信号ごとに平滑化する平滑化手段をさらに有することを特徴とする請求項4記載の画像信号処理装置。
【請求項6】
前記任意の範囲内における前記複数の信号ごとに当該信号の波形を揃える調整手段をさらに有することを特徴とする請求項4または5記載の画像信号処理装置。
【請求項7】
前記調整手段は、ヒストグラムを用いて前記波形を揃え、当該ヒストグラムのうちのピークを示す値を有する前記波形を揃えることを特徴とする請求項6記載の画像信号処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の画像信号処理装置を有する画像形成装置。
【請求項9】
入力された画像信号を補正して出力する画像信号処理方法であって、
入力された前記画像信号を、基準信号と測定対象信号とに分離する信号分離工程と、
それぞれ信号の位置が前記基準信号と前記測定対象信号とにおける所定の位置での差分値を算出する差分値算出工程と、
前記所定の位置近傍の前記基準信号の変化に基づいて、前記画像信号の状態を分類する信号状態分類工程と、
前記信号状態分類工程にて分類されたそれぞれの前記画像信号の状態を示す係数と、前記差分値算出工程にて算出された前記差分値とを乗算して、前記画像信号を補正する補正工程とを有することを特徴とする画像信号処理方法。
【請求項10】
前記信号状態分類工程は前記基準信号の変化に基づいて、信号が連続して増加する第1の状態と、信号が連続して減少する第2の状態と、前記第1の状態および前記第2の状態以外の第3の状態とに分類することを特徴とする請求項9記載の画像信号処理方法。
【請求項11】
前記信号状態分類工程はさらに、前記測定対象信号の変化に基づいて前記画像信号の状態を分類することを特徴とする請求項9または10記載の画像信号処理方法。
【請求項12】
前記差分値算出工程は、前記所定の位置を含む任意の範囲内における複数の前記信号の差分値を算出し、算出された当該複数の差分値を平均化して算出する平均値算出工程を有することを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載の画像信号処理方法。
【請求項13】
前記差分値算出工程の前工程として、前記任意の範囲内における前記複数の信号ごとに平滑化する平滑化工程をさらに有することを特徴とする請求項12記載の画像信号処理方法。
【請求項14】
前記差分値算出工程の前工程として、前記任意の範囲内における前記複数の信号ごとに当該信号の波形を揃える調整工程をさらに有することを特徴とする請求項12または13記載の画像信号処理方法。
【請求項15】
前記調整工程は、ヒストグラムを用いて前記波形を揃え、当該ヒストグラムのうちのピークを示す値を有する前記波形を揃えることを特徴とする請求項14記載の画像信号処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、入力された画像信号を補正して出力させるプログラムであって、
入力された前記画像信号を、基準信号と測定対象信号とに分離する信号分離処理と、
それぞれ信号の位置が前記基準信号と前記測定対象信号とにおける所定の位置での差分値を算出する差分値算出処理と、
前記所定の位置近傍の前記基準信号の変化に基づいて、前記画像信号の状態を分類する信号状態分類処理と、
前記信号状態分類処理にて分類されたそれぞれの前記画像信号の状態を示す係数と、前記差分値算出処理にて算出された前記差分値とを乗算して、前記画像信号を補正する補正処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
前記信号状態分類処理は前記基準信号の変化に基づいて、信号が連続して増加する第1の状態と、信号が連続して減少する第2の状態と、前記第1の状態および前記第2の状態以外の第3の状態とに分類するようコンピュータに実行させることを特徴とする請求項16記載のプログラム。
【請求項18】
前記信号状態分類処理はさらに、前記測定対象信号の変化に基づいて前記画像信号の状態を分類するようコンピュータに実行させることを特徴とする請求項16または17記載のプログラム。
【請求項19】
前記差分値算出処理は、前記所定の位置を含む任意の範囲内における複数の前記信号の差分値を算出し、算出された当該複数の差分値を平均化して算出する平均値算出処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項16から18のいずれか1項記載のプログラム。
【請求項20】
前記差分値算出処理の前処理として、前記任意の範囲内における前記複数の信号ごとに平滑化する平滑化処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項19記載のプログラム。
【請求項21】
前記差分値算出処理の前処理として、前記任意の範囲内における前記複数の信号ごとに当該信号の波形を揃える調整処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項19または20記載のプログラム。
【請求項22】
前記調整処理は、ヒストグラムを用いて前記波形を揃え、当該ヒストグラムのうちのピークを示す値を有する前記波形を揃えるようコンピュータに実行させることを特徴とする請求項21記載のプログラム。
【請求項23】
請求項16から22のいずれか1項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、色ずれ量を簡便にかつ精度よく算出する画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、スキャナ、FAXなどの画像形成装置の画像読取装置にて読み取られるカラー画像の読み取り時には、光の三原色であるR(赤),G(緑),B(青)の3色の撮像素子(CCD)を用いて行われる。このような機構を有する読取装置でカラー画像を読み取る場合には、光学系の色収差や各光学素子の組み付け位置の変動などによって、各色間の色ずれ(位置ずれ)が発生する。この色ずれの影響によって、読み取った画像データの画質が低下したり、黒線の淵が色付くなどの現象が引き起こされる。
【0003】
このような問題を解決するため、既定の原稿を読み取ることで色ずれ量を算出し、この算出量に応じて適切な補正を行うことで色ずれを補正する画像形成装置が、以下の特許文献1〜3などをはじめとして多数考案されている。
【0004】
特許文献1には、各色の濃度を示す濃度データを生成し、その濃度データに基づいて基準濃度と濃度が同じ位置を色毎に検出する検出手段により、各色間の色ずれ量を算出する画像読取装置が提示されている。
【0005】
特許文献2には、任意の入力画像に対しても色ずれが生じているかどうかを判定し、色ずれを補正するために、各色の最大値と最小値を揃える濃度バランス補正処理を行った後、平均濃度を示す画素位置を比較することで色ずれを求める処理を行っているものもある。
【0006】
特許文献3には、3ラインセンサを用いて画像をスキャンしている最中に、機械振動に起因して光学系の光軸がずれた場合でも、各ラインセンサの読み取り画像の色ずれなどを簡単に補正する画像読取装置が提示されている。
【特許文献1】特開2005−184156号公報
【特許文献2】特開2002−223369号公報
【特許文献3】特開2001−016401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述した従来技術では、色ずれ量算出時に発生する色ずれの量は微細なものであるため、必要な測定精度を満たすことができないものがある。またパターンマッチングなど複雑な処理を行うと、その算出処理に時間が掛かってしまうものもある。
【0008】
特許文献1に開示された発明では、算出された基準濃度と同じ濃度の位置を検出する処理とが色ずれ量算出の基本となっている。しかし、同じ濃度の位置を検出する際に、全く同じ濃度の部分が見つからないもある。また、ある程度の幅を持って同じと判定する処理を行う場合でも、その幅によるバラツキの分だけ検出精度の悪化が考えられる。特許文献2に開示された発明では、平均濃度を示す画素位置を推定する処理が必要となるが、画素濃度は各画素毎の離散データであるため、線形近似等の複雑な処理が必要となる。
【0009】
このような課題に鑑み本発明は、入力された画像信号を基準信号と測定信号とに分離してそれぞれの信号の位置で算出する差分値と、基準信号の所定の位置近傍の変化に基づいて分類された信号の状態を示す係数とを乗算して、画像信号を補正する画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、入力された画像信号を補正して出力する画像信号処理装置であって、入力された画像信号を、基準信号と測定対象信号とに分離する信号分離手段と、それぞれ信号の位置が基準信号と測定対象信号とにおける所定の位置での差分値を算出する差分値算出手段と、所定の位置近傍の基準信号の変化に基づいて、画像信号の状態を分類する信号状態分類手段と、信号状態分類手段にて分類されたそれぞれの画像信号の状態を示す係数と、差分値算出手段にて算出された差分値とを乗算して、画像信号を補正する補正手段とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像信号処理装置において、信号状態分類手段は基準信号の変化に基づいて、信号が連続して増加する第1の状態と、信号が連続して減少する第2の状態と、第1の状態および第2の状態以外の第3の状態とに分類することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の画像信号処理装置において、信号状態分類手段はさらに、測定対象信号の変化に基づいて画像信号の状態を分類することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の画像信号処理装置において、差分値算出手段は、所定の位置を含む任意の範囲内における複数の信号の差分値を算出し、算出された複数の差分値を平均化して算出する平均値算出手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の画像信号処理装置において、任意の範囲内における複数の信号ごとに平滑化する平滑化手段をさらに有することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5記載の画像信号処理装置において、任意の範囲内における複数の信号ごとに信号の波形を揃える調整手段をさらに有することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の画像信号処理装置において、調整手段は、ヒストグラムを用いて波形を揃え、ヒストグラムのうちのピークを示す値を有する波形を揃えることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項記載の画像信号処理装置を有する画像形成装置であることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、入力された画像信号を補正して出力する画像信号処理方法であって、入力された画像信号を、基準信号と測定対象信号とに分離する信号分離工程と、それぞれ信号の位置が基準信号と測定対象信号とにおける所定の位置での差分値を算出する差分値算出工程と、所定の位置近傍の基準信号の変化に基づいて、画像信号の状態を分類する信号状態分類工程と、信号状態分類工程にて分類されたそれぞれの画像信号の状態を示す係数と、差分値算出工程にて算出された差分値とを乗算して、画像信号を補正する補正工程とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9記載の画像信号処理方法において、信号状態分類工程は基準信号の変化に基づいて、信号が連続して増加する第1の状態と、信号が連続して減少する第2の状態と、第1の状態および第2の状態以外の第3の状態とに分類することを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10記載の画像信号処理方法において、信号状態分類工程はさらに、測定対象信号の変化に基づいて画像信号の状態を分類することを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項9から11のいずれか1項記載の画像信号処理方法において、差分値算出工程は、所定の位置を含む任意の範囲内における複数の信号の差分値を算出し、算出された複数の差分値を平均化して算出する平均値算出工程を有することを特徴とする。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項12記載の画像信号処理方法において、差分値算出工程の前工程として、任意の範囲内における複数の信号ごとに平滑化する平滑化工程をさらに有することを特徴とする。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項12または13記載の画像信号処理方法において、差分値算出工程の前工程として、任意の範囲内における複数の信号ごとに信号の波形を揃える調整工程をさらに有することを特徴とする。
【0024】
請求項15に記載の発明は、請求項14記載の画像信号処理方法において、調整工程は、ヒストグラムを用いて波形を揃え、ヒストグラムのうちのピークを示す値を有する波形を揃えることを特徴とする。
【0025】
請求項16に記載の発明は、コンピュータに、入力された画像信号を補正して出力させるプログラムであって、入力された画像信号を、基準信号と測定対象信号とに分離する信号分離処理と、それぞれ信号の位置が基準信号と測定対象信号とにおける所定の位置での差分値を算出する差分値算出処理と、所定の位置近傍の基準信号の変化に基づいて、画像信号の状態を分類する信号状態分類処理と、信号状態分類処理にて分類されたそれぞれの画像信号の状態を示す係数と、差分値算出処理にて算出された差分値とを乗算して、画像信号を補正する補正処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0026】
請求項17に記載の発明は、請求項16記載のプログラムにおいて、信号状態分類処理は基準信号の変化に基づいて、信号が連続して増加する第1の状態と、信号が連続して減少する第2の状態と、第1の状態および第2の状態以外の第3の状態とに分類するようコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0027】
請求項18に記載の発明は、請求項16または17記載のプログラムにおいて、信号状態分類処理はさらに、測定対象信号の変化に基づいて画像信号の状態を分類するようコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0028】
請求項19に記載の発明は、請求項16から18のいずれか1項記載のプログラムにおいて、差分値算出処理は、所定の位置を含む任意の範囲内における複数の信号の差分値を算出し、算出された複数の差分値を平均化して算出する平均値算出処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0029】
請求項20に記載の発明は、請求項19記載のプログラムにおいて、差分値算出処理の前処理として、任意の範囲内における複数の信号ごとに平滑化する平滑化処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
請求項21に記載の発明は、請求項19または20記載のプログラムにおいて、差分値算出処理の前処理として、任意の範囲内における複数の信号ごとに信号の波形を揃える調整処理をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0031】
請求項22に記載の発明は、請求項21記載のプログラムにおいて、調整処理は、ヒストグラムを用いて波形を揃え、ヒストグラムのうちのピークを示す値を有する波形を揃えるようコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0032】
請求項23に記載の発明は、請求項16から22のいずれか1項記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体によれば、入力された画像信号を基準信号と測定信号とに分離してそれぞれの信号の位置で算出する差分値と、基準信号の所定の位置近傍の変化に基づいて分類された信号の状態を示す係数とを組み合わせることで、精度の良い色ずれ量の算出をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本実施形態の画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体について図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
図1は、本実施形態の画像信号処理装置を模式的に示すブロック図である。
【0035】
本実施形態の画像信号処理装置100は、信号分離部101と、信号状態分類部102と、差分値算出部103と、データ補正部104とを備えている。
信号分離部101は、外部より入力される原稿画像の入力画像信号を基準信号と、その他の測定信号とに分離(分割)する。本実施形態では、R,G,Bの3つの信号に分離され、Gを基準信号として、またR,Bを測定信号として以下説明する。
【0036】
信号状態分類部102は、信号分離部101にて分離された基準信号をその状態に応じて分類するもので、連続的に増加する第1の状態105と、連続して減少する第2の状態106と、それ以外(第1・第2の状態以外)の第3の状態107とに分類する。
【0037】
差分値算出部103は、基準信号と測定信号との所定の位置における差分値を求める差分処理を行う。所定の位置は任意に設定が可能である。
【0038】
データ補正部104は、信号状態分類部102にて分類された基準信号の状態(第1の状態105,第2の状態106,第3の状態107)の係数と、差分値算出部103にて算出された差分値とに基づいて、信号の補正処理を行う。
【0039】
図2は、本実施形態の画像信号処理装置において、その処理対象としてカラー画像を用いた場合の基本的な処理の流れを示す図である。この場合、ずれを測定する信号は前述したR(Red),G(Green),B(Blue)の画像信号となる。また、測定対象となるずれ量とは、一般的には色ずれ量として認識されるものとなる。
【0040】
本実施形態の画像形成装置が備える読み取りユニットにて原稿画像が読み取られ、カラー画像情報として入力されると(ステップS101)、前述したR,G,B各色ごとに色画像を分割する色画像分割処理が施される(ステップS102)。そして、各基本色(R,G,B)ごとのデータ波形に応じた差分値の積算処理を行い(ステップS103)、色ずれ量を算出する(ステップS104)。
【0041】
図3は、R,G,B各色の画像信号の一例を示すグラフ図である。
図3では、等しい向きの等しい大きさの強度変化を持ち、かつ2つ以上の信号から構成される多次元データとして、白黒の万線パターンを用いている。
【0042】
図4および図5を用いて、本実施形態における色ずれ量の算出処理について具体的に説明する。なお本実施形態で言う信号の強度変化のパターンとは、画像信号の明暗のパターンを示す。図4では徐々に明るくなる場合を示し、図5では徐々に暗くなる場合を示している。またこの例では、Red、Green、Blueの信号のうち、Greenを基準信号、Red、Blueを被測定対象の信号としており、Red、Blue信号のGreenからのずれ量を求めることになる。
【0043】
図4に示すような徐々に信号が大きくなる(明るくなる)パターンにおいて、基準信号と被測定対象の信号との差分を取ったとき、被測定対象の信号が主走査方向(+方向)にずれている場合には、基準信号との差分値は正の値となる。この信号を波とした場合、位相としては遅れている信号を意味する。また、同様に主走査方向(−方向)にずれている場合には、基準信号との差分値は負の値となる。この信号を波とした場合、位相としては進んでいる信号を意味する。
【0044】
図5に示すような徐々に信号が小さくなる(暗くなる)パターンにおいて、基準信号と被測定対象の信号との差分を取ったとき、被測定対象の信号が主走査方向(+方向)にずれている場合には、基準信号との差分値は負の値となる。この信号を波とした場合、位相としては進んでいる信号であることを意味する。また、同様に主走査方向(−方向)にずれている場合、基準信号との差分値は正の値となる。この信号を波とした場合、位相としては遅れている信号であることを意味する。
【0045】
図示しないが、図4および図5以外のパターンとして、変化が連続的な増加または減少になっていないものも、差分値への判定処理を行う。明確に増加や減少を示さない信号については、信号に色ずれが現れ難く、色ずれ量の算出には不向きなパターン部分である。そのため、このパターンを示す画素位置での差分値は、有効データとして扱わないものとする。
【0046】
測定位置に対応した、基準信号のパターンに応じた差分値を求めることで、色ずれ量の算出を行う。以上の判定処理の内容をまとめたものを以下(1)〜(3)に示す。
(1つ前のデータ)<(計算対象データ)<(1つ先のデータ)の場合(上り)
→−(差分値)・・・(1)
(1つ前のデータ)>(計算対象データ)>(1つ先のデータ)の場合(下り)
→(差分値)・・・(2)
上記(1),(2)以外
→0
【0047】
図4にて説明すると、上記(1)の場合に該当し、基準信号であるGreen信号とRed信号との差分値はプラスとなり、その差分値にマイナスの係数を掛け合わせることになり、Red信号が基準信号(Green信号)からマイナス側にずれていることが確認できる。また同様に、Blue信号の差分値はマイナスとなり、その差分値にマイナスの係数を掛け合わせることで、Blue信号を基準信号(Green信号)からプラス側にずれていることが確認できる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、単純な差分処理に、波形が単純に増加するパターンと、単純に減少するパターンと、それ以外のパターンとの3つに信号を分類した判定処理を組み合わせることで、差の情報(差分値)に向きを持たせることができる。その結果、簡便な算出アルゴリズムだけで、ずれの方向および相対的なずれ量の大小を求めることができる。したがって、短時間でずれ量の評価や、ずれ量補正を行うことが可能となる。
【0049】
図6は、信号の強度変化の周期が短い信号、すなわち画像信号の万線ピッチが狭い場合の一例を示したものである。図6に示すように、Green信号とBlue信号とは徐々に増加または減少しているパターンであると判定される。これに対し、Red信号は徐々に増加または減少となっていないため、その他のパターンとして判別される。したがって、有効データとして扱われることがなくなり、色ずれ量の算出誤差を低減することが可能となっている。
【0050】
このように、本実施形態によれば、波形の状態を判定する処理を、基準信号だけでなく測定対象の信号へも拡大することができる。したがって、ずれ量が大きい場合に起こる、基準信号と測定信号の状態の不一致による誤差の影響を除くことができ、精度の良いずれ量の算出が可能となる。
【0051】
図7は、本実施形態の画像信号処理装置において、特定領域での色ずれ量を検出する場合の具体的な処理動作を示すフローチャートである。
本実施形態の画像形成装置が備える読み取りユニットにて原稿画像が読み取られ、カラー画像情報として入力されると(ステップS201)、R,G,Bの色毎に分割処理を行う前処理として、色ずれ量を測定したい位置の画像データの領域を切り取る切り取り処理を行う(ステップS202)。
【0052】
このデータを切り取る領域は、ある程度、具体的には1つ以上の信号強度の変化があるパターンを含んでいることが望ましい。また、その信号強度の変化のパターンは多く含まれるほど、色ずれ量の測定精度が向上することから、上記パターンを多く含む領域であるほど望ましい。この結果得られるずれ量は、測定対象とする位置を含む広い領域の代表値を意味するものとなる。
【0053】
図8は、前述したステップS202の切り取り処理にて切り取られた画像信号の具体例を示すグラフ図である。
図8では、20番目の画素位置を中心として、±15画素の範囲を切り出している。またここでは、判り易くするために各色の画素データ間を直線で結んで示している。この例の場合、強度変化のパターンが7個含まれていることになる。この切り取られた画像全体に対して、画像を色毎に分割する色画像分割処理が施され(ステップS203)、さらに下記式(i)、(ii)に示す数式を用いて、色ずれ量算出処理を行う。
【0054】
【数1】


【0055】
ステップSの処理終了後は、前述した図1での処理と同様に、各色ごとのデータ波形に応じた差分値の積算処理を行い(ステップS204)、色ずれ量を算出する(ステップS205)。
【0056】
このように本実施形態によれば、信号のずれは局所的ではなくある程度の範囲で一様に発生することが多いので、測定位置付近の範囲での算出結果の平均値を求めることにより、部分的な算出誤差の影響を低減でき、精度の良いずれ量の算出が可能となる。
【0057】
図9は、本実施形態の画像信号処理装置にて読み取った原稿画像の元の画像データを示すグラフ図である。また図10は、図9に示す画像データに平滑化処理を施した場合を示すグラフ図である。図10では、フィルタサイズを3画素とした移動平均処理を1回行った画像データを示している。
【0058】
平滑化処理は、フィルタのサイズを入力される信号に応じて変更してもよい。また、平滑化を行う場合と行わない場合との切り替え判定を行ってもよい。平滑化処理としては、移動平均やメディアンフィルタなどを選択してもよく、これらを複数組み合わせて行ってもよい。
【0059】
このように本実施形態によれば、信号にノイズ成分が含まれる場合、事前に信号に対して平滑化処理を行うことでノイズ成分を取り除くことができ、精度の良いずれ量の算出が可能となる。
【0060】
図11は、読み取った画像データの各色毎にヒストグラムを作成し、その信号のピーク値を一定の値に揃えた場合を示すグラフ図である。図11では、Red、Green、Blue共に、大きい方のピーク値を150、小さい方のピーク値を50に揃える補正処理を行っている。
【0061】
波形の大きさを揃える処理としては、各色毎の最大値、最小値が等しくなるように補正する処理や、平均値が等しくなるよう補正する処理や、ヒストグラムを利用して各色毎の特徴となるピーク位置が等しくなるように補正する処理などが挙げられる。特にヒストグラムを用いる処理は、ノイズに対するロバスト性が非常に高く、安定した最適化処理(補正処理)が行えることから、より好ましい。また補正を行う際に、基準色のデータと同じに揃えてもよいし、任意の固定値を予め設定しその値に各色を合わせてもよい。
【0062】
このように本実施形態によれば、信号の大きさが揃っていない場合、差分処理に信号間の大きさの違いによる誤差が含まれてしまいずれ量に誤差が含まれてしまうが、事前に大きさを揃えることにより信号の大きさの違いによる誤差を低減でき、精度の良いずれ量の算出が可能となる。また、ヒストグラムのピークの特徴を揃える処理を行うことで信号の大きさを揃えることにより、ノイズデータによる誤差が入らない補正処理を行うことができる。したがって、差分処理に入る誤差を低減でき、精度の良いずれ量の算出が可能となる。
【0063】
図12は、本実施形態の画像信号処理装置の動作を示すフローチャートである。
本実施形態の画像信号処理装置にて原稿画像が読み取られ、カラー画像として入力されると(ステップS301)、色ずれ量を測定したい位置の画像データの領域を切り取って抽出する測定位置領域抽出処理が施される(ステップS302)。抽出された領域に対して、画像をR,G,Bの各色毎に分割する色画像分割処理が行われる(ステップS303)。
【0064】
前述のステップS303における色画像分割処理の後、画像信号の平滑化処理を行うか否かの判定処理(切り替え判定)を行う(ステップS304)。平滑化処理を行うよう判定された場合には(ステップS304/Yes)、前述した移動平均やメディアンフィルタなどを用いて平滑化処理を実施する(ステップS305)。
【0065】
平滑化処理が終了した場合、あるいは平滑化処理を行わないことを判定された場合には(ステップS304/No)、前述した図3や図4に示したような、連続して増加・減少する信号やそれ以外の信号の状態、すなわち3つのパターンに分類された各分類毎の変数を取得する(ステップS306)。取得したこの変数を用いて、波形の大きさを揃えるデータ補正処理を施す(ステップS307)。
【0066】
データ補正処理が施された後、R,G,B各基本色のデータ波形に応じた差分値の積算処理を行い(ステップS308)、色ずれ量を算出する(ステップS309)。
【0067】
図13は、本実施形態の画像形成装置を模式的に示す図である。
図13に示すように本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置本体の上部にある自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)10と、読み取りユニット20と、書き込みユニット30と、後処理装置であるフィニッシャ40とで構成される。
【0068】
ADF10は、原稿台1と、給送ローラ2と、給送ベルト3と、排送ローラ4と、原稿セット検知手段5とで構成される。ADF10にある原稿台1に原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、図示しない操作部上のプリントキーが押下されると、一番下の原稿から給送ローラ2および給送ベルト3によってコンタクトガラス6上の所定の位置に給送される。また、一枚の原稿を給送完了するごとに、原稿枚数をカウントアップする。コンタクトガラス6上に給送された原稿は、読み取りユニット20によって原稿の画像データが読み取られる。読み取りが終了した原稿は、給送ベルト3および排送ローラ4によって排出される。さらに、原稿セット検知手段5にて原稿台1に次の原稿があることを検知した場合には、次の原稿が前原稿と同様にコンタクトガラス6上に給送される。なお、給送ローラ2や、給送ベルト3、排送ローラ4は、図示しないモータなどによって駆動される。
【0069】
給紙トレイ7、8、9に積載された転写紙は、給紙装置11、12、13により給紙される。給紙された転写紙は、縦搬送ユニット14により感光体15に当接する位置まで搬送される。ここで、前述したレーザ出力ユニット31から出力されるレーザが、結像レンズ32を介してミラー33に反射する。この書き込みユニット30からのレーザによって、読み取りユニット20で読み込まれた画像データは感光体15に書き込まれ、現像ユニット19を通過する際にトナー像が形成される。そして転写紙は、搬送ベルト16によって感光体15の回転速度と等速で搬送されながら、感光体15上に形成されたトナー像が転写されることになる。その後転写紙は、定着ユニット17にて画像が定着され、排紙ユニット18から後処理装置であるフィニッシャ100へと排出される。
【0070】
後処理装置であるフィニッシャ40は、分岐偏向板41と、排紙搬送ローラ42,43と、通常排紙トレイ44と、ステープラ搬送ローラ45,47と、ステープラ46と、ステープルトレイ48と、ジョガー49と、ステープル完了排紙トレイ50とで構成される。
【0071】
排紙ユニット18から転写紙が搬送されてくると、まず、分岐偏向板41を上下に切り替えて、通常排紙搬送ローラ42の排紙方向とステープル処理部の排紙方向とのいずれか方向へ搬送する。分岐偏向板41を上方へ切り替えると、転写紙は排紙搬送ローラ42,43を経由して通常排紙トレイ44へ排紙される。
【0072】
一方、分岐偏向板41を下方へ切り替えると、排紙搬送ローラ42とステープラ搬送ローラ45,47を経由してステープルトレイ48へ搬送される。ステープルトレイ48に積載された転写紙は、1枚排紙・積載される毎に紙揃え用のジョガー49によって紙端面が揃えられる。また、コピーが1部完了する毎にステープラV6によって綴じられる。ステープラ46によって綴じられた転写紙群は、その自重によりステープル完了排紙トレイ50に収納される。
【0073】
また、通常の排紙トレイ44は前後に移動可能なトレイであり、原稿毎あるいは画像メモリによりソーティングされた転写部毎に前後に移動して、排出されてくる転写紙を簡易的に仕分けるものである。
【0074】
転写紙の両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ7〜9から給紙され作像された転写紙を排紙トレイ44側に導かずに、経路切り替えのための分岐爪52を上側にセットすることで、一旦両面給紙ユニット51にストックする。その後、両面給紙ユニット51にストックされた転写紙は、再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、両面給紙ユニット51から再給紙され、経路切り替えのための分岐爪52を下側にセットし、排紙トレイ44に導く。このように、転写紙の両面に画像を作成する場合に両面給紙ユニット51は使用される。
【0075】
また、感光体15、搬送ベルト16、定着ユニット17、排紙ユニット18、現像ユニット19は図示しないメインモータによって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータの駆動を図示しない各々給紙クラッチによって伝達駆動される。縦搬送ユニット14はメインモータの駆動を図示しない中間クラッチによって伝達駆動される。
【0076】
このように本実施形態の画像形成装置によれば、色ずれを精度良く計測できるので、効果的な色ずれの修正が行える。よって色ずれのない高品質な画像が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本実施形態の画像信号処理装置、画像形成装置、画像信号処理方法、プログラムおよび記録媒体は、レンズを通して画像を取り込むよう様々な分野の装置に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施形態の画像信号処理装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像信号処理装置において、カラー画像を用いた場合の基本的な処理の流れを示す図である。
【図3】R,G,B各色の画像信号の一例を示すグラフ図である。
【図4】本実施形態における色ずれ量のパターンのうち、徐々に明るくなる場合を示す図である。
【図5】本実施形態における色ずれ量のパターンのうち、徐々に暗くなる場合を示す図である。
【図6】信号の強度変化の周期が短い信号の一例を示す図である。
【図7】本実施形態の画像信号処理装置において、特定領域での色ずれ量を検出する場合の具体的な処理動作を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態の画像信号処理装置の領域切り取り処理にて切り取られた画像信号の一例を示すグラフ図である。
【図9】本実施形態の画像信号処理装置にて読み取った原稿画像の元の画像データを示すグラフ図である。
【図10】図9に示す画像データに平滑化処理を施した場合を示すグラフ図である。
【図11】読み取った画像データの各色毎にヒストグラムを作成し、その信号のピーク値を一定の値に揃えた場合を示すグラフ図である。
【図12】本実施形態の画像信号処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態の画像形成装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0079】
100 画像信号処理装置
101 信号分離部
102 信号状態分類部
103 差分値算出部
104 データ補正部
105 第1の状態(増加)
106 第2の状態(減少)
107 第3の状態(第1・第2以外)
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫


【公開番号】 特開2008−60838(P2008−60838A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234351(P2006−234351)