トップ :: H 電気 :: H04 電気通信技術




【発明の名称】 デジタルカメラ、および画像処理プログラム
【発明者】 【氏名】国場 英康

【要約】 【課題】画質を損ねることなく階調補正を行うこと。

【構成】CPU107は、AEセンサー109からの出力値に基づいて撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値(最大出力値)を算出して、最大出力値に基づいて撮影時の露出条件を決定する。また、AEセンサー109からの出力値に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための第2の基準値(白基準値)を算出する。画像処理部115は、CPU107で決定された露出条件でイメージセンサー112によって取得された画像に対して、白基準値に応じた階調変換特性を用いて階調変換処理を施す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を複数の領域に分割して測光する測光手段と、
前記測光手段による測光結果に基づいて撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、および前記測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための前記第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出する基準値算出手段と、
前記第1の基準値に基づいて、前記撮影時の露出条件を決定する露出条件決定手段と、
前記第2の基準値に基づいて、前記階調変換特性を設定する階調変換特性設定手段と、
前記露出条件で前記撮像手段で取得した撮影画像に対して、前記階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行う画像処理手段とを備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記基準値算出手段は、
前記測光手段による測光結果に基づいて、前記複数の領域の中から受光した光量が最大となる領域を特定し、特定した領域の出力値を前記第1の基準値とし、
前記測光手段による測光結果に基づいて、白色とみなすことができる明るさ(白基準値)を算出し、前記白基準値に該当する画素値を前記第2の基準値とすることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のデジタルカメラにおいて、
前記階調変換特性設定手段は、前記撮影画像のうち前記第2の基準値に対応する画素値が白色を表す輝度値となるように前記階調変換特性を設定することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記白色を表す輝度値に対応する画素値が、前記撮影画像の最大画素値より小さい場合には、前記白色を表す輝度値に対応する画素値と前記撮影画像の最大画素値の中間の画素値が飽和しないように、前記階調変換特性の傾きを所定の点で変化させて補正する階調変換特性補正手段をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、
前記階調変換特性補正手段は、前記第1の基準値と前記第2の基準値の比が所定値以上である場合には、前記階調変換特性の傾きを変化させることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のデジタルカメラにおいて、
前記階調変換特性補正手段は、前記測光手段の測光範囲内における明るい領域の割合が多い場合には、前記階調変換特性の傾きを変化させることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のデジタルカメラにおいて、
前記第2の基準値に応じた撮影感度を算出する撮影感度算出手段と、
前記撮影画像に前記撮影感度に関する情報を付加し、画像データとして記録媒体に記録する記録手段とをさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項8】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記撮影画像に発生するノイズレベルを推定するノイズレベル推定手段をさらに備え、
前記露出条件決定手段は、前記第1の基準値と前記第2の基準値との比率とを基に前記ノイズレベル推定手段により推定し、推定されたノイズレベルに応じた所定値以内になるように前記撮影時の露出条件を決定することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項9】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記撮影画像に発生するノイズレベルを推定するノイズレベル推定手段と、
前記画像処理手段によって画像処理が施された後の画像データに対して、前記ノイズレベルに応じたノイズ低減フィルタを適用してノイズを低減するノイズ低減手段をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項10】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記撮像手段による撮像時の実際の露出状態を測定する露出状態測定手段と、
前記露出状態測定手段で測定した前記実際の露出状態と前記露出条件決定手段で決定した露出条件とに差異がある場合には、前記実際の露出状態に基づいて前記第2の基準値を補正する基準値補正手段とをさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項11】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
使用者からの指示に基づいて露出条件を設定する露出条件設定手段と、
前記露出条件設定手段で設定した前記露出条件に基づいて前記第2の基準値を補正する基準値補正手段とをさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項12】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
使用者からの指示に基づいて撮影感度を設定する撮影感度設定手段と、
前記撮影感度設定手段に基づいて得られた前記第1の基準値と前記第2の基準値との比率に基づいて増幅率および前記露出条件決定手段で決定した露出条件を変更する変更手段と、
前記変更手段で変更された増幅率で前記撮像手段で取得した画像信号を増幅する信号増幅手段とをさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項13】
請求項12に記載のデジタルカメラにおいて、
前記変更手段で変更した前記増幅率および前記第2の基準値に応じた撮影感度を算出する撮影感度算出手段と、
前記撮影画像に前記撮影感度に関する情報を付加し、画像データとして記録媒体に記録する記録手段とをさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項14】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記測光手段は、複数の異なる分光感度特性を持ち、
前記測光手段の分光感度と前記撮像手段の分光感度とが異なる場合には、前記測光手段による測光結果を補正する測光結果補正手段をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項15】
請求項2に記載のデジタルカメラにおいて、
前記階調変換特性設定手段は、前記複数の領域ごとに各領域の出力値に応じた階調変換特性を設定し、
前記画像処理手段は、前記階調変換特性設定手段で設定した階調変換特性を用いて、各領域ごとに階調変換処理を施すことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項16】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記撮像手段による撮像に伴って発光する発光手段と、
前記発光手段による発光量を検出する発光量検出手段と、
前記発光量検出手段による検出結果に基づいて前記第2の基準値を補正する基準値補正手段をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項17】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記撮像手段で取得した画像内から人物の顔を含む顔領域を検出する顔検出手段と、
前記測光手段によって測光された前記顔領域内の出力値に基づいて前記第2の基準値を補正する基準値補正手段をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項18】
被写界を複数の領域に分割して測光する測光手段と、
前記測光手段による測光結果に基づいて撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、および前記測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための前記第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出する基準値算出手段と、
前記第1の基準値に基づいて前記撮影時の露出条件を決定する露出条件決定手段と、
前記第1の基準値と前記第2の基準値とを比較して、前記第1の基準値が前記第2の基準値未満である場合には前記第2の基準値に基づいて前記階調変換特性を設定し、前記第1の基準値が前記第2の基準値以上である場合にはあらかじめ設定された前記階調変換特性を設定する階調変換特性設定手段と、
前記露出条件で前記撮像手段で取得した撮影画像に対して、前記階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行う画像処理手段とを備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項19】
被写界を複数の領域に分割して測光する測光手段と、
前記測光手段による測光結果に基づいて撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、および前記測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための前記第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出する基準値算出手段と、
前記第1の基準値に基づいて前記撮影時の露出条件を決定する露出条件決定手段と、
前記露出条件で前記撮像手段で取得した撮影画像に前記第2の基準値を付加し、画像データとして記録媒体に記録する記録手段とを備えることを特徴するデジタルカメラ。
【請求項20】
コンピュータに、
請求項19に記載の画像データを読み込む読込手順と、
前記読み込まれた画像データの撮影画像に対して、前記撮影画像に付加されている第2の基準値に基づいて階調変換特性を設定する階調変換特性設定手順と、
前記撮影画像に対して、前記階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行う画像処理手順とを実行させるための画像処理プログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
被写界を複数の領域に分割して測光した測光結果に基づいて撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、および前記測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための前記第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出する基準値算出手順と、
前記測光結果に基づいて撮影した画像データを読み込む読込手順と、
前記読み込まれた画像データの撮影画像に対して、前記撮影画像に付加されている第2の基準値に基づいて階調変換特性を設定する階調変換特性設定手順と、
前記撮影画像に対して、前記階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行う画像処理手順とを実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮影するデジタルカメラ、および撮影した画像を画像処理するための画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被写界を複数の領域に分割して測光し、それぞれの領域の最大輝度値と、最小輝度値と、各領域の輝度値と最大輝度値との差などに基づいて露光条件を選択するようにしたカメラが知られている(たとえば文献1)。たとえば、平均測光モード、中央重点モード、低輝度重点モード、高輝度重点モードなどが選択される。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,951,082号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法によれば、主要被写体が写っている確率が最も高い明るさを適正な露光条件としているため、輝度差の大きいシーンでは明るい部分が撮像素子の飽和レベルに達してしまい、いわゆる「白とび」となって画質を損ねてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるデジタルカメラは、撮影光学系により得られる被写体像を撮像し、被写界を複数の領域に分割して測光し、測光結果に基づいて、撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、および測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出し、第1の基準値に基づいて撮影条件を決定し、第2の基準値に基づいて階調変換特性を設定し、決定した撮影条件で取得した撮影画像に対して、階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行うことを特徴とする。
このとき、測光手段による測光結果に基づいて、複数の領域の中から受光した光量が最大となる領域を特定し、特定した領域の出力値を第1の基準値とし、測光手段による測光結果に基づいて、白色とみなすことができる明るさ(白基準値)を算出し、白基準値を第2の基準値とするようにしてもよい。撮影画像のうち第2の基準値に対応する画素値が白色を表す輝度値となるように前記階調変換特性を設定するようにしてもよい。
また、白色を表す輝度値に対応する画素値が撮影画像の最大画素値より小さい場合には、白色を表す輝度値に対応する画素値と撮影画像の最大画素値の中間の画素値が飽和しないように階調変換特性の傾きを所定の点で変化させて補正するようにしてもよい。このとき、第1の基準値と第2の基準値の比が所定値以上である場合には、階調変換特性の傾きを変化させるようにしてもよく、測光手段の測光範囲内における明るい領域の割合が多い場合には、階調変換特性の傾きを変化させるようにしてもよい。さらに、第2の基準値に応じた撮影感度を算出し、撮影画像に撮影感度に関する情報を付加し、画像データとして記録媒体に記録するようにしてもよい。
また、撮影画像に発生するノイズレベルを推定し、第1の基準値と第2の基準値との比率とを基にノイズレベル推定手段により推定し、推定されたノイズレベルに応じた所定値以内になるように撮影時の露出条件を決定するようにしてもよく、画像処理手段によって画像処理が施された後の画像データに対して、ノイズレベルに応じたノイズ低減フィルタを適用してノイズを低減するようにしてもよい。
また、撮像手段による撮像時の実際の露出状態を測定し、測定した実際の露出状態と露出条件決定手段で決定した露出条件とに差異がある場合には、実際の露出状態に基づいて第2の基準値を補正するようにしてもよく、使用者からの指示に基づいて露出条件を設定し、設定した露出条件に基づいて第2の基準値を補正するようにしてもよい。さらに、使用者からの指示に基づいて撮影感度を設定し、撮影感度の設定に基づいて第1の基準値および第2の基準値が得られ、その第1の基準値と第2の基準値との比率に基づいて増幅率および露出条件決定手段で決定した露出条件を変更し、変更された増幅率で撮像手段で取得した画像信号を増幅するようにしてもよく、この場合には、変更した増幅率および第2の基準値に応じた撮影感度を算出し、撮影画像に撮影感度に関する情報を付加し、画像データとして記録媒体に記録するようにしてもよい。
また、測光手段は複数の異なる分光感度特性を持ち、測光手段の分光感度と撮像手段の分光感度とが異なる場合には、測光手段による測光結果を補正するようにしてもよい。また、複数の領域ごとに各領域の出力値に応じた階調変換特性を設定し、設定した階調変換特性を用いて各領域ごとに階調変換処理を施すようにしてもよい。また、撮像手段による撮像に伴って発光し、発光量を検出し、検出結果に基づいて第2の基準値を補正するようにしてもよく、取得した画像内から人物の顔を含む顔領域を検出し、測光された顔領域内の出力値に基づいて第2の基準値を補正するようにしてもよい。
本発明によるデジタルカメラはまた、撮影光学系を通過する被写体像を撮像し、被写界を複数の領域に分割して測光し、測光結果に基づいて、撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、およびその測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出し、第1の基準値に基づいて撮影時の露出条件を決定し、第1の基準値と第2の基準値とを比較して、第1の基準値が第2の基準値未満である場合には第2の基準値に基づいて階調変換特性を設定し、第1の基準値が第2の基準値以上である場合にはあらかじめ設定された階調変換特性を設定し、決定した露出条件で取得した撮影画像に対して、その階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行うことを特徴とする。
本発明によるデジタルカメラはまた、撮影光学系を通過する被写体像を撮像し、被写界を複数の領域に分割して測光し、測光結果に基づいて、撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、およびその測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出し、第1の基準値に基づいて撮影時の露出条件を決定し、決定した露出条件で取得した撮影画像に第2の基準値を付加し、画像データとして記録媒体に記録することを特徴する。
本発明による画像処理プログラムは、請求項19に記載の画像データを読み込み、読み込まれた画像データの撮影画像に対して、撮影画像に付加されている第2の基準値に基づいて階調変換特性を設定し、撮影画像に対して、階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行うことを特徴とする。
本発明による画像処理プログラムはまた、被写界を複数の領域に分割して測光した測光結果に基づいて撮影時の露出条件を決定するための第1の基準値、および測光結果に基づいて撮影した画像に階調補正を施すための階調変換特性を設定するための前記第1の基準値とは異なる第2の基準値を算出し、測光結果に基づいて撮影した画像データを読み込み、読み込まれた画像データの撮影画像に対して、撮影画像に付加されている第2の基準値に基づいて階調変換特性を設定し、撮影画像に対して、階調変換特性を用いた階調変換を含む画像処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮像素子の飽和を防いで白とびを回避することができ、画質を損ねる可能性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
―第1の実施の形態―
図1は、第1の実施の形態におけるデジタルカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ100は、レンズ101と、絞り102と、ミラー103と、スクリーン104と、プリズム105と、ファインダー106と、CPU107と、ROM108と、AEセンサー(測光センサー)109と、露出コントローラー110と、シャッター111と、イメージセンサー(撮像素子)112と、増幅器113と、A/D変換器114と、画像処理部115と、メモリ116とを備えている。
【0008】
このデジタルカメラ100においては、レンズ101を通った光は絞り102で入射光量を調節される。そしてミラー103で反射されてスクリーン104に像を結ぶ。その像はプリズム105で反射されてファインダー106より使用者によって観察される。また、プリズム105で反射された像はAEセンサー109へ導かれ、AEセンサー109からの出力値はCPU107へ出力される。CPU107は、後述するようにAEセンサー109からの出力値に基づいて、露出コントローラー110によって制御される撮影時の露出条件、すなわち撮影時の適切な絞り値とシャッター速度を決定する。または、増幅器113を変更するなど露出条件以外の撮影条件も決定することができる。さらに、画像処理部115による画像処理条件を決定する。
【0009】
露出条件が変更される場合、CPU107による決定結果は、露出コントローラー110および画像処理部115へ出力される。そして、画像撮影時は、ミラー103が上方へ移動して撮影光路から退避し、レンズ101を通して入力される光はイメージセンサー112に入射する。そして、露出コントローラー110は、CPU107で決定された露出条件を満たすように絞り102およびシャッター111を制御し、イメージセンサー112は、入射する光の像を撮像する。イメージセンサー112からの出力は増幅器113によりあらかじめ設定された増幅率で増幅された後、A/D変換器114でA/D変換され、例えば12bitのレベルを持つデジタル画像データ(最大値4095)に変換される。このデジタル画像データは、CPU107で決定された画像処理条件に基づいて、画像処理部115で後述する画像処理が施された後、メモリ116に記録される。
【0010】
AEセンサー109は、4×6の領域に分割されており、例えば図2(a)に示すシーンを撮影した場合のAEセンサー109から出力される測光結果は図2(b)のようになる。図2(b)において、各領域内に表示されている数値は、各領域の明るさを示している。なお、AEセンサー109の出力値とイメージセンサー112の出力値(画素値)とは必ずしも一致するものではないが、両者には相関関係があることから、本実施の形態では説明の簡略化のためにAEセンサー109の出力値とイメージセンサー112の出力値とは一致するように正規化されたものとして説明する。以下の説明では、図2(b)に示す各領域の出力値は、イメージセンサー112からの出力値、すなわち各領域の画素値とがそれぞれ同じ明るさであれば同じ値になるように正規化された値として説明する。
【0011】
CPU107は、上述したように、このAEセンサー109からの出力値に基づいて露出条件および画像処理条件を決定する。図3は、本実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、このブロック図では、CPU107によって実行される処理を機能的に分割して表している。すなわちCPU107は、露出条件を決定する最大輝度優先露出算出部107aと、画像処理条件を決定する通常露出算出部107bとを機能的に有しており、AEセンサー109からの出力値は、最大輝度優先露出算出部107aと通常露出算出部107bとにそれぞれ入力される。
【0012】
最大輝度優先露出算出部107aは、図2(b)に示した各領域ごとの出力値のうち、最大値(最大出力値)に基づいて露出条件を決定する。図2(b)に示す例では、領域2aの出力値(2973)が最大であることから、この領域2aの出力値に基づいて露出条件を決定する。本実施の形態では、領域2a内では明るさに分散があることを加味して撮影された画像データの最大輝度値が3000になるように撮影時の絞り値シャッタースピードを決定する。
【0013】
このように、イメージセンサー112の最大出力値4095に対して、AEセンサー109から出力された最大出力値である領域2aの画像データの輝度値(≒画素値)が約3000となるように露出条件を設定することによって、イメージセンサー112が飽和しないような絞り値とシャッタースピードを決定することができる。例えば、本実施の形態では、ISO感度が200のときに、絞り値F5.6およびシャッタースピード1/800が決定される。最大輝度優先露出算出部107aは、このようにして決定した露出条件を露出コントローラー110へ出力し、露出コントローラー110は、入力された露出条件となるように絞り102およびシャッター111を制御する。
【0014】
通常露出算出部107bは、例えば、米国特許第4,951,082号明細書に開示されている公知の手法を使用して露出基準値Bを算出する。まず、通常露出算出部107bは、図2(b)に示したAEセンサー109の出力結果を示す領域全体の平均出力値BMを算出する。その結果、図4(a)に示すようにBM=810となる。また、レンズ101で形成された像がどのシーンのものかを、AEセンサー109の出力を基に解析し、そのシーンを基に露出基準値Bの算出方法を決定する。図2(A)の像では、低輝度優先モードに該当するシーンなので、低輝度優先モードを基に説明する。
【0015】
通常露出算出部107bはさらに、図4(b)に示すように、AEセンサー109の出力結果を示す領域を9つの領域に分割し、各領域ごとに出力値の平均値を算出し、その最小値Bminを抽出する。ここでは、Bminとして領域4aの114が抽出される。そして、算出したBMおよびBminに基づいて、次式(1)により露出基準値Bを算出する。
B=(BM+Bmin)/2=462 ・・・(1)
【0016】
この露出基準値Bは、図2(a)に示す撮影シーンをイメージセンサー112で撮影した場合の画像内における平均的なグレーを表す明るさ(グレー基準値)とみなすこができる。また、グレーの反射率は約18%であることから、グレー基準値を5倍することによって、図2(a)に示す撮影シーンをイメージセンサー112で撮影した場合に画像内で白色とみなすことができる明るさ(白基準値)を算出することができる。なお、本実施の形態では、説明の簡略化のために、式(1)による算出結果からグレー基準値は約400であるものとし、白基準値はその5倍の約2000であるものとする。通常露出算出部107bは、このようにして算出した白基準値を画像処理条件として画像処理回路115へ出力する。
【0017】
画像処理部115は、露出コントローラー110によって設定された露出条件でイメージセンサー112によって撮影され、増幅器113およびA/D変換器114と経て入力されるデジタル画像データ(画像データ)に対して、通常露出算出部107bから入力される白基準値に基づいて画像処理を施す。図5は、画像処理部115によって実行される処理を機能的に分割して表したブロック図である。この図5に示すように、画像処理部115は、補間部115aと、色変換部115bと、階調補正部115cとを機能的に備えており、A/D変換器114から入力される画像データは、補間部部115aに入力される。また、通常露出算出部107bから入力される白基準値は、階調補正部115cへ入力される。
【0018】
補間部115aは、イメージセンサー112から入力される画像データに対して公知の補間処理を施す。すなわち、イメージセンサー112には、各画素にそれぞれR、G、Bのカラーフィルタが配置されており、イメージセンサー112から入力される画像データにおいては、各画素からR、G、Bのいずれか一色のデータを得ることができる。ここで、カラー画像データは、各画素にR、G、Bの全てのデータを持つ必要があるため、周辺の画素から補間を行って、各画素がR、G、Bの全てのデータを持つようにする。
【0019】
補間後の画像データは色変換部115bへ出力される。色変換部115bは、公知の手法を用いて画像データにイメージセンサー112の分光感度特性の補正および好ましい色再現のための色変換などの処理を行った後、処理後の画像データを階調補正部115cへ出力する。
【0020】
階調補正部115cは、色変換部115bから入力された画像データ(入力画像データ)に対して、通常露出算出部107bから入力された白基準値に応じた階調変換を行う。具体的には、上述した入力画像データの最大値(4095)と通常露出算出部107bから入力された白基準値(2000)とに基づいて階調変換に用いる階調変換特性を決定する。すなわち、図6(a)に示すように、通常露出算出部107bから入力された白基準値が白となるように階調変換特性を設定する。ここでは、sRGBの8bitエンコーディングとして、白基準値に該当する画素値の輝度値が255となるように階調変換特性を設定する。
【0021】
しかし、この場合には、入力画素値が2000を超えると情報が失われてしまうことから、図6(b)に示すようにニー特性を持たせてハイライトを残すようにする。すなわち、白基準値に対応する画素値が、最大出力値より小さい場合には、白基準値に対応する画素値と最大出力値との中間値が飽和しないように階調変換特性の傾きを所定の点(ニーポイント)で変化させて補正する。
【0022】
この図6(b)に示す例では、画素値が1000、すなわち白基準値の1/2となる点6aをニーポイントとして階調変換特性を補正している。なお、ニーポイントはこれに限定されず、例えば、図6(c)に示すように画素値が400、すなわち白基準値の1/5となる点6bをニーポイントとしてもよい。ハイライト部の割合が多い場合には、図6(c)に示すように、ニーポイントを入力値および出力値共に低い値のところにしてハイライト部の階調をより残すことができる。
【0023】
また、撮影シーンが、ダイナミックレンジの大きなシーンである場合、すなわち明るい領域の割合が多い場合、または最大輝度優先露出算出部107aで算出した最大出力値と、通常露出算出部107bで算出した白基準値との比が所定値以上である場合にも、ニーポイントを入力値が低い値のところにすることによりハイライト部の階調をより残すことができる。
【0024】
階調補正部115cは、このように設定した階調補正特性を用いて入力画像データを階調変換し、変換後の画像データをメモリ116に記録する。
【0025】
図7(a)に白基準値が4000の場合の階調補正特性を示す。この場合には白基準値は最大出力値と略一致するためニー補正を行う必要はない。また、図8に白基準値が1000の場合の階調補正特性を示す。この場合には白基準値が2000の場合と同様に、入力画素値が白基準値を超えると情報が失われてしまうことから、図8(a)に示すように白基準値の1/2となる画素値500の点8aをニーポイントとして階調変換特性を補正したり、図8(b)に示すように白基準値の1/5となる画素値100の点8bをニーポイントとして階調変換特性を補正する必要がある。
【0026】
また、本実施の形態のデジタルカメラ100では、撮影した撮影画像に撮影時の感度設定データを付加した画像データをメモリ116に記録することができる。階調補正を行っていない画像データと共に記憶しておくことで、PCなどにより的確な階調補正を行うことができる。PCなどで階調補正を行う場合には、増幅器113の増幅率設定値と白基準値に応じた感度設定データとを撮影画像に付加する。例えば、ある増幅率設定値で白基準値が4000のときに、感度設定データが200であったとすると、同じ増幅率設定値で白基準値が2000の場合には、撮影画像に付加する感度設定データは400とする。また、白基準値が1000の場合には、撮影画像に付加する感度設定データは800とする。
【0027】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)最大輝度優先露出算出部107aでは露出条件を決定するための基準値として最大出力値を使用し、通常露出算出部107bでは画像処理条件を決定するための基準値として白基準値を使用するようにした。これによって、従来の方法では、輝度差の大きいシーンでは明るい部分が撮像素子の飽和レベルに達してしまい、いわゆる「白とび」となって画質を損ねてしまう可能性があったが、これを回避して適正な処理を行うことができる。
【0028】
(2)白基準値が画像データの最大値よりも小さい場合には、階調変換特性にニー特性を持たせるようにした。これによって、入力画素値が白基準値を超えても情報が失われないようにすることができる。
【0029】
―第2の実施の形態―
第2の実施の形態では、画像のノイズを考慮して第1の実施の形態で上述した撮影時の露出条件および画像処理条件を決定する。すなわち、最大輝度優先露出算出部107aで算出した最大出力値と、通常露出算出部107bで算出した白基準値との比が所定値以上であり、撮影シーンがダイナミックレンジの大きなシーンである場合には、最大出力値のみによって露出条件を決定して撮影を行うと、暗い部分の階調が拡大されて画像のノイズが目立つようになる。そこで本実施の形態では、画像に発生するノイズレベルを推定し、撮影時の露出条件を最大出力値と白基準値との比率が大きくなりすぎないように制限する。
【0030】
なお、第2の実施の形態において、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0031】
図9は、第2の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。ノイズレベル推定部107cは、デジタルカメラ100に固有のランダムノイズやISO感度の設定値などに基づいて画像に発生するノイズレベルを推定する。本実施の形態では、ノイズレベル推定値はあらかじめ設定されているものとし、ノイズレベル推定部107cは、このノイズレベル推定値を露出制御部107dへ出力する。
【0032】
露出制御部107dは、最大輝度優先露出算出部107aから入力される最大出力値、通常露出算出部107bから入力される白基準値、およびノイズレベル推定部107cから入力されるノイズレベル推定値に基づいて、撮影時の露出条件を最大出力値と白基準値との比率が大きくなりすぎないように制限する。例えば、図10に示すように縦軸に最大出力値と白基準値との比率(highlight/white)を、横軸にノイズレベル推定値(Noise Level)をとって両者の関係をあらかじめ設定しておき、最大出力値と白基準値との比率をノイズレベル推定部107cから入力されるノイズレベル推定値に応じた所定値以内に抑えるようにすればよい。
【0033】
そして、露出制御部107dは、制限した撮影時の露出条件を露出コントローラー110へ出力し、通常露出算出部107bから入力された白基準値を画像処理部115へ出力する。
【0034】
以上説明した第2の実施の形態によれば、画像のノイズレベルに応じて撮影時の露出条件を制限するようにしたため、撮影される画像のノイズを低減することができる。なお、図11に示すように、露出制御部107dがノイズレベル推定部107cから入力されるノイズレベル推定値が高いと判断した場合には、画像処理部115で画像処理を施した後の画像データをノイズ低減フィルタ部116へ出力する。そして、ノイズ低減フィルタ部116は、推定されたノイズレベルに応じたノイズ低減フィルタを適用して、画像のノイズを低減するようにしてもよい。
【0035】
―第3の実施の形態―
第1の実施の形態で上述したように露出コントローラー110は、最大輝度優先露出算出部107aで決定された露出条件を満たすように絞り102およびシャッター111を制御して絞り値やシャッタースピードを設定する。しかしながら、その設定精度は機械的な精度のため実際の設定値が最大輝度優先露出算出部107aで決定された露出条件からずれることがある。特にシャッタースピードが高速である場合にばらつきが生じやすくなる。
【0036】
そこで、本実施の形態では、露出コントローラー110によって設定された露出条件で実際に露出が行われたかを判定する。そして、露出コントローラー110によって設定された露出と実際の露出状態とに差異がある場合には、実際の露出状態に応じて通常露出算出部107bで算出された白基準値を補正することで、画像処理部115は露出条件の設定値のずれを加味した画像処理を行うことができる。
【0037】
なお、第3の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0038】
図12は、第3の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。露出コントローラー110は、絞り102およびシャッター111から画像撮影時の実際に設定された絞り値およびシャッタースピードの情報を取得する。そして、取得した実際の設定値と、最大輝度優先露出算出部107aで決定されていた露出条件とを比較情報として画像処理部115へ出力する。
【0039】
画像処理部115は、露出コントローラー110から入力される比較情報に基づいて、通常露出算出部107bから入力される白基準値を補正する。例えば、比較情報として最大輝度優先露出算出部107aで決定されていた露出条件が「絞り値:F56、シャッタースピード:1/8000」であり、実際の設定値が「絞り値:F56、シャッタースピード:1/6000」であった場合には、実際のシャッタースピードが予定より133%高速になっていることから、白基準値も133%明るくなるように補正する。この補正された白基準値と、最大出力値とに基づき、階調補正特性を決定し、階調補正を行う。
【0040】
以上説明した第3の実施の形態によれば、露出コントローラー110によって設定された露出条件と実際の露出状態とが異なる場合には、実際の露出状態に応じて通常露出算出部107bで算出された白基準値を補正するようにしたため、画像処理部115は、露出条件の設定値のずれを加味して画像データに対して画像処理を施すことができる。
【0041】
―第4の実施の形態―
第4の実施の形態では、使用者が撮影時に露出補正値を設定することができるデジタルカメラ100において、使用者において露出補正値が設定された場合には、通常露出算出部107bは、設定された露出補正値を加味して白基準値を調整する。なお、第4の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0042】
図13は、第4の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。デジタルカメラ100は、使用者が露出補正値を設定することができる入力部材としての露出設定部117をさらに備えている。そして、通常露出算出部107bは、露出設定部117から入力される露出補正値に応じて上述したように算出した白基準値を補正する。
【0043】
例えば、使用者によって露出補正値が1段アンダーに設定された場合には、通常露出算出部107bは、算出した白基準値を2倍する。また、使用者によって露出補正値が1段オーバーに設定された場合には、通常露出算出部107bは、算出した白基準値を1/2倍する。そして、通常露出算出部107bは、補正後の白基準値を画像処理部115へ出力する。この補正された白基準値と、最大出力値とに基づき、階調補正特性を決定し、階調補正を行う。
【0044】
以上説明した第4の実施の形態によれば、使用者によって露出補正値が設定された場合には、補正した白基準値を用いて画像処理を行うことができ、撮影時の撮影条件を変更することなく、設定された露出補正値を満たす画像を得ることができる。
【0045】
―第5の実施の形態―
第5の実施の形態では、デジタルカメラ100はISO感度設定部を有しており、使用者は、このISO感度設定部を介して撮影時のISO感度(撮影感度)を設定することができる。なお、第5の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0046】
図14は、第5の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。デジタルカメラ100は上述したISO感度設定部118を有しており、使用者によって設定されたISO感度は、増幅器113へ入力される。
【0047】
使用者によってISO感度が設定された場合には、増幅器113は、ISO感度の設定値に応じてイメージセンサー112からの出力を増幅する。その後、A/D変換器114でA/D変換された画像データは、画像処理部115へ入力される。この場合、ダイナミックレンジが大きい撮影シーンで最大輝度優先露出算出部107aにより露出条件を決定すると、従来の露出設定方法に比べてイメージセンサー112で受ける光量が少なくなる。このため、画像処理部115が入力された画像データに対して通常露出算出部107bで算出された白基準値に応じた階調補正を行うとノイズが目立ちやすくなる。
【0048】
そこで、露出制御部107dは、最大輝度優先露出算出部107aから出力される最大出力値と通常露出算出部107bから出力される白基準値との比率に基づいて、シーンのダイナミックレンジを判定する。そして、ダイナミックレンジが大きい場合には、露出制御部107dは、増幅器113の増幅率を小さくし、それに応じて露光量を大きくするように露出コントローラー110を制御してノイズレベルを低下させる。
【0049】
例えば、第1の実施の形態において、ISO感度が200で、最大輝度優先露出算出部107aから出力される最大出力値が3000であり、これに対応して絞り値F5.6およびシャッタースピード1/800と露出条件が決定され、通常露出算出部107bによって算出された白基準値が2000であったものとする。この場合、本実施の形態によれば、シャッタースピードを1/400に変更し、増幅器113の増幅率を1/2にする。これによって、より多くの光を利用することで、出力される画素値を変えずにノイズレベルを低下させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に撮影画像に撮影時の感度設定データを付加した画像データをメモリ116に記録することができる。この場合には、増幅器113の増幅率設定値と白基準値に応じた感度設定データとを撮影画像に付加する。例えば、ある増幅率設定値で白基準値が4000のときに、感度設定データが200であったとすると、同じ増幅率設定値で白基準値が2000の場合には、増幅率設定値を1/2にして白基準値が2000、感度設定データは200となる。
【0051】
―第6の実施の形態―
第6の実施の形態では、複数の異なる分光感度を持つAEセンサー109を使用する場合、例えばAEセンサー109としてR、G、Bのそれぞれの色成分の強度を測定できるRGB AEセンサーを用いた場合の処理について説明する。なお、第6の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0052】
図15は、第6の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。デジタルカメラ100は、上述したように、RGB AEセンサー109を備え、その測定値はCPU107が有する色補正部107eへ出力される。
【0053】
このようにRGB AEセンサー109を使用すれば、第1の実施の形態で図2(b)に示した各領域の出力値(強度)は、例えば図16に示すようにR、G、Bの各色ごとに求めることができる。この各色成分ごとの出力値を用いることによって、各色ごとに最大出力値を評価することができる。例えば、図16に示す例では、Bの領域16aの出力値(2960)が最大出力値であるため、最大輝度優先露出算出部107aは、この値を基準に露出条件を決定する。
【0054】
ここで、RGB AEセンサー109の分光感度とイメージセンサー112の分光感度とが異なる場合があり、この場合は両者の出力値を一致させるためにRGB AEセンサー109から出力されるR、G、Bの各値を補正する必要がある。そこで、色補正部107eは、次式(2)に示すように、RGB AEセンサー109から入力されるR、G、Bの各値(R、G、B)に、3×3のマトリックスを掛けて分光感度補正後のR、G、B値(R、G、B)を算出する。なお、次式(2)に示すマトリックスの値は、公知の色補正の手法によって求められる。
【数1】


【0055】
この場合、最大輝度優先露出算出部107aは、この分光感度補正後のR、G、B値(R、G、B)に基づいて最大出力値を抽出し、抽出した最大出力値を基準に露出条件を決定する。
【0056】
このように、RGB AEセンサー109を用いてR、G、Bの各色ごとに最大出力値を調べることにより、特定の色成分が強い撮影シーンでも信号が飽和せずに滑らかな階調再現が可能になる。また、RGB AEセンサー109の分光感度とイメージセンサー112の分光感度とが異なる場合でもRGB AEセンサー109の特性を補正して正確な最大出力値の評価を行うことができる。
【0057】
なお、AEセンサー109を用いず、イメージセンサー112自体で測光する場合も考えられるが、この場合には、あらかじめ本撮影前に信号を読み出して測光を行っておく必要がある。また、この場合、信号の間引き読み出しや画素混合読み出しを行なうことによって読み出しにかかる時間を短縮することができる。このようにしてイメージセンサー112自体で測光する場合には、分光感度の差異を考慮する必要はないため、色補正部107eによる補正処理は不要となる。
【0058】
―第7の実施の形態―
第7の実施の形態では、図2(b)に示した領域ごとの出力値に基づいて、各領域ごとに階調補正を行う場合について説明する。なお、第7の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0059】
図17は、第7の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。本実施の形態においては、AEセンサー109による測定値は、画像処理部115へも出力される。
【0060】
また、図18は、第7の実施の形態における画像処理部115によって実行される処理を機能的に分割して表したブロック図である。なお、図5に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。この図18に示すように、AEセンサー109からの出力値は、階調補正部115cに入力される。
【0061】
階調補正部115cは、AEセンサー109から入力される各領域ごとの出力値に基づいて、暗い領域は明るくなるように変換し、明るい領域は暗くなるように変換するように各領域に適用する階調変換特性を変更する。例えば、入力画像データが12bit画像データで、通常露出算出部107bで算出された白基準値が2000である場合について説明する。
【0062】
この場合、階調補正部115cは、AEセンサー109からの入力値に基づいて、暗い領域であると判定した領域に対しては、図6(a)に示すような通常のsRGBの階調変換特性を用いて階調変換を施す。これに対して、AEセンサー109からの入力値に基づいて、明るい領域であると判定した領域に対しては、図6(b)に示すようなニー特性をもつsRGBの階調変換特性を用いて階調変換を施す。これによって、撮影画像のうち、明るい部分はハイライトを良く再現する階調特性となり、暗い部分は通常の階調特性となることから画像全体でより良い階調再現を行うことができる。
【0063】
また、各領域ごとに複数の階調変換特性を切り替える場合に、その特性が滑らかになるように各領域の領域別明度分布に近似する曲面を求めて、この曲面の値に応じて複数の階調変換特性の加重平均値を使用して階調変換を行ってもよい。例えば、最小二乗法を用いて次式(3)で定まる曲面を求めてもよい。
【数2】


【0064】
―第8の実施の形態―
第8の実施の形態では、デジタルカメラ100がフラッシュを搭載する場合に、フラッシュ撮影時にAEセンサー109からの出力に応じて絞り値、シャッタースピード、およびフラッシュ発光量を決定する処理について説明する。なお、第8の実施の形態においては、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0065】
図19は、第8の実施の形態におけるデジタルカメラ100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。図19においては、第1の実施の形態に示した図1と同じ構成要素には同じ符号を付与し、相違点を中心に説明する。デジタルカメラ100は、フラッシュ120をさらに備えており、このフラッシュ120はフラッシュ制御部120aによって制御される。
【0066】
また、図20は、第8の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。CPU107は、フラッシュモニタ部107fを有している。
【0067】
フラッシュモニタ部107fは、フラッシュ撮影時にフラッシュ120の発光量をモニタし、所定の発光量に達したときにフラッシュ制御部120aにフラッシュ停止信号を送って発光を止める。また、フラッシュモニタ部107fは、フラッシュ撮影時のフラッシュ発光量に関する情報を通常露出算出部107bへ出力する。通常露出算出部107bは、フラッシュモニタ部107fから入力されるフラッシュ発光量を加味して白基準値を補正して画像処理部115へ出力する。この補正された白基準値と、最大出力値とに基づき、階調補正特性を決定し、階調補正を行う。
【0068】
これによって、階調補正部105cは、フラッシュ撮影が行われた場合には、フラッシュ120の発光量を加味して補正された白基準値を用いて階調補正を行うことができ、画像データに対して撮影シーンにより適した階調補正処理を施すことができる。
【0069】
―第9の実施の形態―
第9の実施の形態では、デジタルカメラ100が撮影した画像内から人物の顔に相当する領域を検出する顔検出機能を備えている場合に、人物の顔に相当する領域の明るさに基づいて白基準値を補正する場合の処理について説明する。なお、第9の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0070】
図21は、第9の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。CPU107は、顔検出処理を実行する顔検出部107gを有している。顔検出部107gは、上述したように、画像内から人物の顔に相当する領域を検出して、その領域を示すデータを通常露出算出部107bへ出力する。
【0071】
通常露出算出部107bは、算出した白基準値を人物の顔に相当する領域の明るさを用いて補正する。例えば、人物の顔の領域に相当する領域の明るさを1.5倍した明るさを白基準値とするように、白基準値を補正する。これによって、画像内における人物の顔の色は肌色であり、これを1.5倍程度した色が白となることを加味して、白基準値を画像にあった値に補正することができる。
【0072】
―第10の実施の形態―
第10の実施の形態では、最大輝度優先露出算出部107aによって算出される最大出力値と、常露出算出部107bによって算出される白基準値とを比較し、その比較結果に応じて画像データに施す画像処理を切り替える場合について説明する。なお、第10の実施の形態においては、図1に示したブロック図、図2に示した撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図、図4に示した通常露出算出部107bによる算出結果を示す図、図5に示した画像処理部115のブロック図、および図6〜図8に示した階調変換特性の具体例を示す図については、第1の実施の形態と同じため説明を省略する。
【0073】
図22は、第10の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。なお、図3に示した第1の実施の形態におけるブロック図と同一のものについては同一の符号を付与し、相違点を中心に説明する。露出制御部107dは、最大輝度優先露出算出部107aによって算出される最大出力値と、通常露出算出部107bによって算出される白基準値とを比較し、両者の大小関係を判定する。
【0074】
その結果、最大出力値が白基準値未満であると判定した場合には、露出制御部107dは、通常露出算出部107bで算出された白基準値を画像処理部115へ出力する。そして、階調補正部115cは、第1の実施の形態で上述したように、通常露出算出部107bで算出された白基準値に応じた階調変換特性を用いて画像データに対して階調変換処理を施す。これに対して、最大出力値が白基準値以上であると判定した場合には、露出制御部107dはあらかじめ設定されている白基準値を画像処理部115へ出力する。そして、階調補正部115cは、従来の階調補正処理と同様に、あらかじめ設定されている白基準値に基づいて画像データに対して階調変換処理を施す。
【0075】
これによって、最大輝度優先露出算出部107aによって算出される最大出力値と、通常露出算出部107bによって算出される白基準値との比較結果に応じて画像処理の内容を切り替えることができ、画像データに対して撮影シーンにより適した階調補正処理を施すことができる。
【0076】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のデジタルカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した第1の実施の形態では、通常露出算出部107bは、階調補正部115cに白基準値を出力し、階調補正部115は、入力された白基準値が輝度値255となるようにsRGBの階調変換特性を設定する例について説明した。しかしながら、通常露出算出部107bは、階調補正部115cにグレー基準値を出力し、階調補正部115は、グレー基準に基づいて階調変換特性を決定してもよい。すなわち、グレー基準が輝度値128となるように階調変換特性を決定してもよい。
【0077】
(2)上述した第1の実施の形態では、sRGBの8bitエンコーディングとして、白基準値が輝度値255となるように階調変換特性を設定し、ダイナミックレンジの大きな撮影シーンではニー特性を設定して白レベル以内に輝度の高いハイライト部分を圧縮する例について説明した。しかしながら、scRGBやRIMMは、白基準値よりも輝度の高いデータを記録できる。すなわち、scRGBは白レベルの750%まで、RIMMは白レベルの200%まで記録できる。この場合でも、通常露出算出部107bで得られた白基準値に基づいて階調変換を行って、scRGBやRIMMエンコーディングに変換する。
【0078】
このとき、16bit scRGBでは黒基準値を4096、白基準値を12288とし、階調変換特性はシーン輝度に比例するようにする。従って、白基準値がWのとき、階調補正部105cでは入力画素値vを次式(4)でscRGB値v´に変換する。なお、次式(4)において、v´>65535のときはv´=65535にクリップする。
v´=4096+8192v/W ・・・(4)
【0079】
また、RIMMエンコーディングでは、RIMM RGB値c(0≦c≦2に正規化)を次式(5)に示すように変換し、12bitあるいは16bitに整数化する。なお、次式(5)において、Eclip=2.0、Vclip=1.099Eclip0.45−0.99である。
【数3】


【0080】
(3)上述した実施の形態では、デジタルカメラ100に画像処理部115を搭載し、デジタルカメラ100上で画像データに対して階調補正処理を施す例について説明した。しかしながら、デジタルカメラ100は、画像処理部115を搭載せず、最大輝度優先露出算出部107aで決定した露出条件で撮影した画像データに通常露出算出部107bで生成した白基準値を付加して記録するようにしてもよい。この場合、画像処理部115に相当する機能を有する外部装置、例えばパソコンで、白基準値が付加された画像データを読み込んで、画像データに対して白基準値に応じた階調補正を施すようにする。
【0081】
例えば、図23に示すように、デジタルカメラ100においては、記録データ生成部119は、A/D変換機114から出力される画像データに通常露出算出部107bから出力される白基準値を付加した画像データを生成してメモリ116に記録する。そして、メモリ116に記録した画像データを読み込んだパソコンにおいては、図24に示すように、データ読み出し部115dは、画像データと白基準値とを分離した後、画像データは補間部115aへ出力し、白基準値は階調補正部115cへ出力する。なお、補間部115a〜階調補正部115cにおける処理については、第1の実施の形態と同一のため説明を省略する。
【0082】
これによって、デジタルカメラ100上で階調補正処理を行う必要がなくなるため、デジタルカメラ100の処理負荷を低減することができる。
【0083】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施の形態におけるデジタルカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】撮影シーン、およびAEセンサー109からの出力例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図4】通常露出算出部107bによる算出結果を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における画像処理部115のブロック図である。
【図6】階調変換特性の具体例を示す第1の図である。
【図7】階調変換特性の具体例を示す第2の図である。
【図8】階調変換特性の具体例を示す第3の図である。
【図9】第2の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示す第1のブロック図である。
【図10】第2の実施の形態における最大出力値と白基準値との比率とノイズレベル推定値との関係を表すグラフである。
【図11】第2の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示す第2のブロック図である。
【図12】第3の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図13】第4の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図14】第5の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図15】第6の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図16】第6の実施の形態における各色成分ごとの出力分布を示す図である。
【図17】第7の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図18】第7の実施の形態における画像処理部115のブロック図である。
【図19】第8の実施の形態におけるデジタルカメラ100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図20】第8の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図21】第9の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図22】第10の実施の形態で特徴的な処理を実行する各部を示すブロック図である。
【図23】変形例におけるデジタルカメラ100側の処理を示す図である。
【図24】変形例における外部装置側の処理を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
100 デジタルカメラ、101 レンズ101、102 絞り、103 ミラー、104 スクリーン、105 プリズム、106 ファインダー、107 CPU、107a 最大輝度優先露出算出部、107b 通常露出算出部、107c ノイズレベル推定部、107d 露出制御部、107e 色補正部、107f フラッシュモニタ部、107g 顔検出部、108 ROM、109 AEセンサー、110 露出コントローラー、111 シャッター、112 イメージセンサー、113 増幅器、114 A/D変換器、115 画像処理部、115a 補間部、115b 色変換部、115c 階調補正部、115d データ読み出し部、116 メモリ、117 露出設定部、118 ISO感度設定部、119 記録データ生成部、120 フラッシュ120、120a フラッシュ制御部
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀


【公開番号】 特開2008−48029(P2008−48029A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−219755(P2006−219755)