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【発明の名称】 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体
【発明者】 【氏名】坂上 努

【要約】 【課題】文字周辺部に発生する縁取りを抑制し、文字の品位を向上させる。

【構成】原稿画像を画素毎に読み取り、読み取った原稿画像の画素毎の特徴を示す属性を判定する。注目画素を含むM×N(M、Nは自然数)の領域内に存在する画素値に重み付けを行い、その重み付けされた画素値に基づいて注目画素の画素値を変更し、領域内の画素に対してフィルタリングを行う。このフィルタリングを行う際に、判定した属性に応じて、フィルタリングの領域サイズを縮小する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取手段で読み取った原稿画像の画素毎の特徴を示す属性を判定する属性判定手段と、
注目画素を含むM×M(Mは自然数)の領域内に存在する画素値に重み付けを行い、該重み付けされた画素値に基づいて前記注目画素の画素値を変更し、前記領域内の画素に対して平滑化処理を行う平滑化処理手段とを有し、
前記平滑化処理手段は、前記属性判定手段で判定した属性に応じて、前記平滑化処理に用いるフィルタリングの領域サイズを、前記注目画素を含むN×N(Nは自然数でM>Nである)の領域に縮小して平滑化処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記平滑化処理手段は、前記注目画素が複数の属性のうち第1の属性で、前記注目画素を除くM×M(Mは自然数)の領域内に第2の属性がある場合、前記平滑化処理に用いるフィルタリングの領域サイズを縮小して平滑化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の属性は下地、前記第2の属性は文字を示すことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原稿画像の下地領域の信号レベルを検出する下地レベル検出手段と、
前記属性判定手段で判定した属性と、前記下地レベル検出手段で検出した信号レベルとに応じて、前記平滑化処理を行うか否かを決定する決定手段とを更に有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記属性が下地を示し、前記下地領域の輝度レベルが予め決められた値よりも大きい場合、前記平滑化処理手段は平滑化処理を行わないことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記平滑化処理を行うと決定した場合、前記属性判定手段で判定した属性に応じて、前記領域サイズを縮小することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記属性は、網点を示すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記属性は、下地を示すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記属性は、文字又は線画を示すことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記平滑化処理手段は、前記属性が下地を示す場合、前記領域サイズを前記M×Mの領域より小さい前記N×Nの領域に縮小して平滑化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項11】
画像読取手段で読み取った原稿画像の画素毎の特徴を示す属性を判定する属性判定工程と、
注目画素を含むM×M(Mは自然数)の領域内に存在する画素値に重み付けを行い、該重み付けされた画素値に基づいて前記注目画素の画素値を変更し、前記領域内の画素に対して平滑化処理を行う平滑化処理工程とを有し、
前記平滑化処理工程は、前記属性判定工程で判定された属性に応じて、前記平滑化処理に用いるフィルタリングの領域サイズを、前記注目画素を含むN×N(Nは自然数でM>Nである)の領域に縮小して平滑化処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項11記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像に含まれる画像の特徴に応じて最適な画像処理を施す画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像の特徴に応じて最適な画像処理を施す画像処理装置として、1次微分や2次微分を用いて文字のエッジを抽出し、画像を文字とそれ以外に分類した上で適応的な処理を施す装置が知られている。
【0003】
また、処理の対象となる画素が網点領域内の画素で、且つ文字などのエッジを構成する画素に隣接する画素の場合、網点領域内に描かれた文字のエッジをより先鋭に見えるように処理する装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−281313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術では、平滑化される領域内の特定部の平滑化処理の重み付け量を小さくするものであるが、特定部の重み付け量を小さくすることで、平滑化の演算が複雑になる。
【0005】
一般的には、平滑化する領域内の画素値と重み付け係数を畳み込み演算し、その結果を重み付け係数の和にて除算するものが平滑化処理である。このとき、特定の重み付け係数を小さくすると除算係数が変更されるため、ハードウェア化の際、その構成が複雑になる。また、除算係数を変更しないような重み付け係数を用いる場合、その値が制約され、同様の効果は期待できない。更に、除算係数の変更を無視すると、所望の効果が期待できないばかりか、画像に不具合を発生させる。加えて、重み付け量が小さくなるように変更した場合、所望の空間周波数特性の利得を得ることができず、平滑化の程度が不十分となる。また、一部の重み付け量を0にすると、フィルタ処理に等方性がなくなり、方向によりフィルタの効き具合が異なってしまう。その結果、ムラなどが発生することがある。
【0006】
更なる課題として、例えば白い下地の原稿で文字部とそれ以外(写真部、網点部、下地部など)において、フィルタを切り替える場合、文字部は強調処理を、それ以外は平滑化処理を実施したい。このとき、文字周辺部に輪郭線が発生することがある。これは、文字部は文字用の強調処理が施されるが、文字周辺部の下地部はそれ以外の領域とみなされ、平滑化処理が行われる。また、平滑化のフィルタサイズが大きいと、下地部に加え、文字部の信号も平滑化の対象となり、文字の周囲に輪郭線が発生する。
【0007】
上記の方法も一つの解決であるが、上述した問題があり、解決には不十分である。
【0008】
本発明は、文字周辺部に発生する縁取りを抑制し、文字の品位を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像読取手段で読み取った原稿画像の画素毎の特徴を示す属性を判定する属性判定手段と、注目画素を含むM×M(Mは自然数)の領域内に存在する画素値に重み付けを行い、該重み付けされた画素値に基づいて前記注目画素の画素値を変更し、前記領域内の画素に対して平滑化処理を行う平滑化処理手段とを有し、前記平滑化処理手段は、前記属性判定手段で判定した属性に応じて、前記平滑化処理に用いるフィルタリングの領域サイズを、前記注目画素を含むN×N(Nは自然数でM>Nである)の領域に縮小して平滑化処理を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、画像読取手段で読み取った原稿画像の画素毎の特徴を示す属性を判定する属性判定工程と、注目画素を含むM×M(Mは自然数)の領域内に存在する画素値に重み付けを行い、該重み付けされた画素値に基づいて前記注目画素の画素値を変更し、前記領域内の画素に対して平滑化処理を行う平滑化処理工程とを有し、前記平滑化処理工程は、前記属性判定工程で判定された属性に応じて、前記平滑化処理に用いるフィルタリングの領域サイズを、前記注目画素を含むN×N(Nは自然数でM>Nである)の領域に縮小して平滑化処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、文字周辺部に発生する縁取りを抑制し、文字の品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、カラー原稿画像をデジタル的に読み取って複写画像を生成するカラー原稿複写装置の構成を示す側断面図である。図1において、101はイメージスキャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分(画像読取手段)である。一方、102はプリンタ部であり、イメージスキャナ部101によって読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。
【0014】
イメージスキャナ部101において、100は鏡面圧板である。原稿台ガラス(以下、プラテン)103上の原稿104がランプ105で照射され、その反射光がミラー106〜108に導かれる。そして、レンズ109を経て3ラインの個体撮像素子センサ(以下、CCD)110上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの画像信号が画像処理部111に送られる。
【0015】
尚、ランプ105、ミラー106は速度vで、ミラー107、108は速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって原稿全面を走査(副走査)する。ここで、原稿104は、主走査及び副走査共に、400dpiの解像度で読み取られる。
【0016】
画像処理部111では、RGBの画像信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各成分に分解し、プリンタ部102に送る。また、イメージスキャナ部101における1回の原稿走査につき、M、C、Y、Bkのうち1つの成分がプリンタ部102に送られ、計4回の原稿走査によって1回のプリントアウトが完成する。
【0017】
イメージスキャナ部101より送られてくるM、C、Y、Bkの各画像信号は、レーザドライバ112に送られる。レーザドライバ112は、送られてきた画像信号に応じて、半導体レーザ113を変調駆動する。レーザ光は、ポリゴンミラー114、f−θレンズ115、ミラー116を介して感光ドラム117上を走査する。ここで、読み取りと同様に、主走査及び副走査共に、400dpiの解像度で書き込まれる。
【0018】
回転現像器118は、マゼンタ現像部119、シアン現像部120、イエロー現像部121、ブラック現像部122より構成される。そして、4つの現像部が交互に感光ドラム117に接し、感光ドラム117上に形成された静電潜像がトナーで現像される。
【0019】
転写ドラム123は、用紙カセット124又は125より供給される用紙を転写ドラム123に巻き付け、感光ドラム117上に現像された像を用紙に転写する。
【0020】
このようにして、M、C、Y、Bkの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット126を通過し、トナーが用紙に定着された後に排紙される。
【0021】
また、イメージスキャナ部101とプリンタ部102とが独立で動作する装置の場合、画像データを一時的に保持する記憶部を有する構成が一般的である。イメージスキャナ部101から入力された画像データは、画像処理部111でスキャナ用画像処理が施された後、記憶部に一時的に保持される。そして、プリントする際は、記憶部に保持された画像データを画像処理部111に送り、プリント用画像処理を施した後、プリンタ部102に送り、プリントする。
【0022】
図2は、イメージスキャナ部101とプリンタ部102とが独立で動作する装置の構成を示す図である。イメージスキャナ部101で読み取られた画像データは、入力画像処理部201で処理された後、像域分離処理部202で画像の属性データが検出される。ここで検出された属性データは、文字フラグや色フラグとしてフラグメモリ205に保持される。また、画像データは入力画像処理部203で属性データに応じて適応的な処理が施され、画像メモリ204に保持される。
【0023】
一旦、保持された画像データは、属性データに基づき出力画像処理部215で適応処理が施され、プリンタ部102から出力される。
【0024】
[入力画像処理]
複写すべき原稿は、イメージスキャナ部101のプラテン103上に置かれ、読み取られる。そして、カラーの3ラインのCCD110により原稿画像は画素毎にデジタル的に読み取られ、入力画像処理部201にカラー画像信号として転送される。入力画像処理部201では、イメージスキャナ部101から送られてきたRGBのカラー画像信号に対してシェーディング補正、CCDライン間補正、色補正など、周知の画像処理を行う。
【0025】
像域分離処理部202は、入力画像処理部201から出力された入力画像処理済みのカラー画像信号に対して像域分離処理を行うブロックである。具体的には、入力画像の画素毎に写真領域、文字領域、網点領域、といった画像の特徴を検出し、像域毎の属性を表す信号を生成する。
【0026】
[像域分離処理]
ここで、像域分離処理部202における像域分離処理を詳細に説明する。像域分離処理とは、原稿画像に含まれる画像の特徴に応じて、最適な画像処理を施すために原稿画像の特徴を抽出し、像域属性を示す信号(以後、「フラグデータ」という)を生成する処理である。例えば、原稿中には、普通、連続階調のフルカラーの写真領域や黒一色の文字領域、或いは新聞印刷のような網点印刷領域など、様々な画像領域が混在している。これらを一律に同一の画像処理手順で処理して出力すると、その出力画像は一般に好ましい画質が得られない場合が多い。
【0027】
そこで、本実施形態では、入力画像処理部201から入力されるカラー画像信号を用いて原稿画像中に含まれる画像データの属性を検出し、属性を識別するためのフラグデータを生成する。具体的な手順を図3に示す。
【0028】
図3は、原稿画像の一例を示す図である。図3に示す例では、1つのページ301内に銀塩写真領域302、黒文字領域303、網点印刷領域304、カラーグラフィック領域305が混在している。
【0029】
ここで、イメージスキャナ部101は、この原稿画像をカラーのCCD110によって走査し、画素毎のカラーデジタル信号(R、G、B)として読み取る。そして、読み取られたRGB信号は画像の領域毎の属性によって決まる特徴を持っている。各領域においてCCD110が読み取る信号値(R、G、B)のうちのG信号をCCDの並び方向にプロットしてみると、例えば図4に示す401のようになる。
【0030】
図4において、402〜405はそれぞれ図3に示す302〜305までの領域を読み取った場合に特徴的に現れる信号値のプロット(特性)の一例である。横軸はCCD並び方向の画素位置を表し、縦軸は読み取り信号値であり、上に行くほど白に近い(明るい)画素であることを表している。
【0031】
領域毎の特徴を説明すると、まず銀塩写真領域302は、読み取られる画像信号の特性402は比較的ゆるやかであり、近距離の画素値の差分412は小さな値となる。次に、黒文字領域303は、白地に黒文字が書かれているので、白地部413から文字部423にかけて急激に読み取り信号値が変化するような特性403となる。
【0032】
次に、網点印刷領域304は、網点領域というのは白地414と、その上に印刷された網点424との繰り返しとなるので、白と黒が高い頻度で繰り返される特性404となる。次に、カラーグラフィック領域305は、グラフィックのエッジ部415では信号値は急激に小さくなり、また内部の色塗り部分425では一定の中間レベルが続くような特性405となる。
【0033】
これらの属性を判定するためには、上述したような領域毎の特徴を読み取り信号値から検出して判定するようにすれば良い。即ち、注目画素近傍での画像データの変化量或いは変化量の一定区間内の積算値、周辺画素の輝度値(白地か色のついた背景か)、一定区間内の画像データの白から黒への変化の回数、などに基づいた周知の属性判定手法を用いることができる。
【0034】
図5は、図3に示す原稿画像301に対して属性判定を行い、生成されたフラグデータの一例を示す図である。ここでは、フラグデータとして、文字フラグ、図形フラグ、網点フラグの3種類の属性フラグを生成しているが、もちろんこれだけに限定されるわけではない。図5に示す(A)は文字フラグであり、図中の黒で表す画素が文字属性を持つ画素であり、文字フラグ=1が生成され、それ以外は文字フラグ=0(図5では白い部分)となっている。また、図5に示す(B)は図形フラグであり、カラーグラフィック領域で1となり、それ以外で0となる領域を表している。また、図5に示す(C)は網点フラグであり、網点領域で1となり、それ以外で0となるような領域を表している。
【0035】
尚、写真領域はこれらの何れにも当てはまらないので、全てのフラグが0となり、図5には表れない。
【0036】
[色判定]
次に、図6を用いて、色フラグの生成方法の一例を説明する。画像データのある画素が色か否かは、画素の色度を色空間上にマッピングすることにより容易に判定できる。一例として、Lab色空間を例に挙げて説明する。Lab色空間とは、均等知覚色空間として1976年にCIE(Commission International de l'Eclairage)より提案された色空間である。Lは明度(明るさ)、aは赤から緑への色度、bは青から黄色への色度を表わしている。Lab色空間では、3次元色空間における変化量とその変化によって受ける視覚の色変化の印象とが比例するよう補正されているため、精度の高い色判別が可能になる。
【0037】
ここで、RGB信号601からLab信号603に変換する色空間変換回路602の例を示す。通常は、RGB信号から一旦XYZ三刺激値を算出し、その後、XZY三刺激値からLab信号値を導出する。以下に、色空間変換回路602で行われる変換を示すが、変換の係数はデバイスに依存するため、この限りではない。但し、X0、Y0、Z0は、標準光における三刺激値である。
【0038】
X = 0.412391×R + 0.357584×G + 0.180481×B
Y = 0.212639×R + 0.715169×G + 0.072192×B
Z = 0.019331×R + 0.119195×G + 0.950532×B
L = 116(Y/Y0)(1/3) − 16
a = 500( (X/X0)(1/3) − (Y/Y0)(1/3) )
b = 200( (Y/Y0)(1/3) − (Z/Z0)(1/3) )
上記式から算出される各画素のab値を直交座標系にマッピングし、その画素が有彩色か無彩色かを判定する。この判定は、色判定回路604で行われ、判定結果が色判定信号605として出力される。
【0039】
図7は、直交座標系において画素が有彩色か無彩色かの判定を説明するための図である。図7に示すa*軸、b*軸は、直交座標系のそれぞれの軸を表す。有彩色か無彩色かの判定において、例えば彩度を基準とした場合、この座標系では、a軸とb軸の交点、即ち原点が色成分ゼロの点になる。原点から離れる、つまりaとbの値が大きくなるに連れ、彩度は大きくなる。この彩度が変化する過程において、ある大きさを閾値として、有彩色か無彩色かを判定する。
【0040】
例えば、斜線部701を無彩色の領域と仮定すると、ある画素のab値が斜線部701の内側の702である場合には、その画素を無彩色と判定する。また、ある画素のab値が斜線部701の外側の703である場合には、その画素を有彩色と判定する。
【0041】
以上のような手法をとることで、画素が有彩色か無彩色かを判定する。また、色度への変換はLabを用いて説明したが、これに限るものではない。更に、計算量を減らすために、簡易的な変換式に置き換えてもかまわない。
【0042】
上述した像域分離処理により、画像の属性を画素毎に検出すると、次に入力画像処理部203で画像属性に応じた画像処理を実施する。ここでは、例えば文字領域に対して画像の高周波成分を強調して文字の鮮鋭度を強調し、また網点領域に対しては、いわゆるローパスフィルタを用いてデジタル画像に特有のモアレ成分を除去する、という処理を行う。そして、これらの処理の切り替えを像域分離部202で生成されたフラグデータに応じて画素単位で行う。
【0043】
[画像データの蓄積]
イメージスキャナ部101で読み取られ、種々の入力画像処理を施された画像データと上述の手順で生成されたフラグデータは、それぞれ画像メモリ204とフラグメモリ205に一時的に記憶される。ここで、画像データとフラグデータは原稿1ページ分全体もしくは1ページのうちの予め決められたサイズ分の部分画像として記憶される。
【0044】
一時記憶された画像データとフラグデータは、データ圧縮部208で圧縮されて記憶装置209に記憶される。記憶装置209は半導体記憶装置のような高速の記憶手段であることが望ましい。
【0045】
また、データ圧縮部208では、画像データとフラグデータに対してそれぞれ異なるデータ圧縮処理を行う。即ち、画像データに対してはJPEG圧縮のような非可逆であるが、人間の視覚特性を考慮して画像の劣化が目立たなくするような高能率の圧縮処理を施すのが望ましい。また、フラグデータに対しては属性フラグ情報の欠落や変化が発生しないためにJBIG圧縮のような可逆圧縮方式を用いるのが望ましい。
【0046】
このように、記憶装置209には、異なる圧縮処理を施された画像データと属性フラグが原稿1ページ単位で記憶される。ここで記憶された画像データは補助記憶装置210に書き出される場合もある。補助記憶装置210は、望ましくはハードディスクのような記録スピードは若干遅いが大容量のデータを記憶可能な媒体を用いる。こうすることにより、多数ページの原稿画像を効率的に記憶することができる。
【0047】
[画像データの読み出し]
記憶装置209、補助記憶装置210に記憶された画像データと属性フラグはプリント部102から出力するために読み出される。そして、それぞれデータ伸長部211で圧縮データの解凍が行われ、それぞれ画像メモリ213とフラグメモリ214に書き出される。
【0048】
このとき、画素密度変換部212では、記憶された画像データの画素密度の変換を行う場合がある。これは、例えば蓄積された画像データを拡大又は縮小してプリント出力したい場合や、蓄積された複数ページを1枚のプリント出力用紙上に合成して出力したい、といった場合に使用される。
【0049】
複数ページの合成出力は、例えば図8に示すような場合である。即ち、2つの原稿画像801、802が予め記憶装置に記憶されているものとする。これを原稿と同一サイズの出力用紙に2枚を合成して803のようなプリント出力を得ようとする場合である。
【0050】
まず、記憶されている画像データ801を記憶装置から読み出し、圧縮データの解凍を行う。そして、画素密度変換部212で所定の倍率で縮小し、かつ図示しない回転処理部で左90度回転させて画像メモリ213の所定の領域(図8に示す804に相当する領域)に書き込む。
【0051】
次に、画像データ802を読み出し、同様に解凍、解像度変換、回転処理を行い、画像メモリ213の805に相当する領域に書き込む。このとき、画像データ801、802に対応するフラグデータも同様に解凍、解像度変換、回転処理され、フラグメモリ214の対応する領域に書き込まれる。
【0052】
ここで、画像データの解像度変換とフラグデータの解像度変換はそれぞれ異なる手法を適用することが望ましい。例えば、画像データに対しては線形補間法や双3次スプライン補間法などの周知の手法を適用することができる。また、フラグデータの解像度変換には最近傍処理法などの2値データに適した解像度変換方法を用いることが望ましい。
【0053】
[画像データの出力]
次に、画像メモリ213及びフラグメモリ214に一時的に記憶された画像データ及びフラグデータは、所定のサイズに達すると出力画像処理部215に転送される。出力画像処理部215では、RGBの画像データをプリント出力するための周知の画像処理、即ち輝度濃度変換、RGB→CMYK変換、ガンマ補正、2値化処理などを行い、プリンタ部102へ転送する。
【0054】
プリンタ部102は、転送されたCMYKの画像信号によってレーザドライバ112が半導体レーザ113を駆動し、上述した画像形成プロセスに従って転写紙上に可視画像を形成して出力する。
【0055】
ここで、フラグメモリ214に記憶されたフラグデータは出力画像処理部215の処理の切り替えに用いられる。即ち、写真領域と文字領域とでRGB→CMYK変換の係数を異ならせることにより、出力画像の画質を向上させることができる。例えば、文字領域、即ち文字フラグ=1である画素に対しては黒文字が黒トナーのみで再現できるような変換係数(即ち、画像データが無彩色の場合はC、M、Y=0となるような係数)を適用する。また、それ以外では無彩色であってもC、M、Yが0とならず、深みのある黒を再現できるような係数を適用する。
【0056】
また、2値化処理においては、C、M、Y、K信号を周知の誤差拡散処理やディザ処理を用いて0又は1の2値信号に変換する。しかし、文字領域やグラフ領域では出力画像の鮮鋭度が優先されるので誤差拡散処理を適用し、写真や網点領域では階調性が重視されるのでディザ処理を適用する。このように、2値化処理の内容を、フラグデータにより切り替えることで出力画像の画質向上を図ることができる。
【0057】
図9は、画像メモリ213に記憶された画像データをプリンタ部102へ転送する際の処理を示すブロック図である。尚、図2と同じものには同一の符号を付している。
【0058】
画像メモリ213から読み出されたRGBのカラー画像データは、下地レベル検出部により検出された読み取り原稿の下地レベルに応じて、原稿の下地を飛ばす下地除去901が施される。これは、例えば再生紙のように、少し地がかぶった紙でも、その地色は再現しない方が好ましい場合があるからである。尚、下地除去901の実施の有無や、除去量の程度は自動又は手動で制御可能である。
【0059】
次に、下地除去された画像データは、並列に2つのRGB→CMYK変換回路902、903に入力され、それぞれ独立にCMYK画像データに変換される。そして、CMYK画像データはフラグメモリ214のフラグデータに従ってセレクタ904で何れか一方が選択される。RGB→CMYK変換回路902は文字領域用の変換係数が設定されており、RGB→CMYK変換回路903はそれ以外の場合の係数が設定されている。
【0060】
ここで、セレクタ904は、文字フラグ=1のときにRGB→CMYK変換回路902の出力を選択し、文字フラグ=0のときはRGB→CMYK変換回路903の出力を選択する。
【0061】
セレクタ904の出力は、並列に2系統に分離され、一方はガンマ補正回路905から誤差拡散処理部907を通って2値のCMYK信号としてセレクタ909に入力される。もう一方はガンマ補正回路906からディザ処理部908を通って2値のCMYK信号としてセレクタ909に入力される。
【0062】
セレクタ909では、誤差拡散処理部907、ディザ処理部908の何れか一方の出力を選択してプリンタ部102へ転送する。ここでは、文字領域及びグラフ領域で誤差拡散処理を選択するので、文字フラグ=1又は図形フラグ=1の場合、セレクタ909は誤差拡散処理部907の出力を選択し、それ以外の場合、ディザ処理部908の出力を選択する。
【0063】
[プリント画像]
図2に戻り、外部通信路217から通信I/F216を介して入力される画像データとして代表的なものは、所謂、PDL(ページ記述言語)データである。通信I/F216から入力されたPDLデータは、インタープリタ207でディスプレーリストと呼ばれる中間言語形式に変換される。このディスプレーリストをRIP(Raster Image Processor)206に送り、ビットマップデータに展開する。展開された画像データは、画像メモリ105に記憶されるが、このときRIP206は同時に展開した画像データの属性情報をフラグデータとして生成し、フラグメモリ205に記憶させる。
【0064】
尚、フラグデータは、RIP206に入力されるPDLデータがその部品毎に保持している属性情報(写真であるとか文字やグラフィックであるなど)を参照して、展開画像の対応する画素毎に生成される。即ち、文字部品を生成するPDLコマンドがRIP206に入力されると、RIP206はこの文字データのビットマップ画像を生成すると同時に、文字が生成された領域に対応するフラグデータとして文字フラグ=1を生成する。
【0065】
[偽造判定処理]
偽造判定処理部218で行われる紙幣などの偽造判定処理には幾つかの方法があるが、代表的な方法はパターンマッチングである。これは、紙幣の形状、色などの特徴、或いは意図的に埋め込まれた特徴を抽出し、予め記憶されたものとの一致度を見て判定する。
【0066】
図10は、偽造判定処理部218の構成の一例を示す図である。偽造判定処理部218に判定用のRGB画像信号が入力される。RGB画像信号は、二値化部1001で二値化される。二値化の閾値は可変であり、メモリに1002に記憶されている。
【0067】
次に、二値化された信号は特徴点抽出部1003に入力され、メモリ1004に記憶されている特徴に該当する場合は、その部位を切り出す。尚、メモリ1004に記憶される特徴は、紙幣の特徴を表す形状、色、特定マークなどである。また、意図的に埋め込まれた特徴も含まれる。
【0068】
次に、切り出された信号はパターンマッチング部1005に入力され、メモリ1006に該当するパターンに合致した場合、制御用CPU1007に判定結果を送信する。これにより、偽造との結果を受けた制御用CPU1007は、プリンタ部102で出力されるべき画像を塗りつぶし、偽造を阻止する。
【0069】
以上が複写機で行われる偽造判定処理の一例であるが、これに限るものではない。
【0070】
このような画像処理システムでは、像域分離処理を用いて、原稿画像の特徴を抽出することで、原稿画像に含まれる画像の特徴に応じて最適な画像処理を施している。例えば、原稿画像中の写真部と文字部を切り分け、写真部には色調や階調性を重視した写真用処理を、文字部には鮮鋭度を重視した文字用処理を施すことで複写画像の画像品位を向上させている。また、画像の色成分を検出し、無彩色の文字などは黒単色で印字したりすることで画像品位の向上を図っている。
【0071】
しかし、像域分離処理の精度や処理構成により、文字の近傍でスムージング処理を施すと、その結果、文字の周辺部に縁取りのようなノイズが発生し、文字の品位を低下させることもある。
【0072】
図11は、文字の周辺部に縁取りのようなノイズが発生する一例を示す図である。画像信号1101は、白い下地1102と黒い文字エッジ1103の一部を切り出したものである。ここで、読み取り信号値はRGB共に8ビット表示であり、下地1102は255レベル(白)、文字エッジ1103は0レベル(黒)である。1106は同じ位置の属性フラグである。この属性フラグ1106には、文字属性(属性フラグ=1)と判定された文字部1108と、文字属性でない(属性フラグ=0)と判定された非文字部1107とが図示されている。この属性フラグ1106に基づき、文字部1108はエッジ強調用のフィルタを用い、非文字部1107はスムージング用のフィルタを用いる。
【0073】
図12は、フィルタリングに用いられるフィルタ係数の一例を示す図である。図12において、(A)はスムージング係数であり、スムージングフィルタ用の係数の例である。一方、(B)はエッジ強調係数であり、エッジ強調フィルタ用の係数の例である。
【0074】
ここで、フィルタリングとは、畳み込み演算であり、図13に示す処理で実現される。図13に示す(A)の画像データと(B)のフィルタパラメータを畳み込み演算する場合、(C)の演算処理を行う。
【0075】
式13aに示すDivは、フィルタパラメータ(B)の各要素の和である。式13bに示すComは、画像データ(A)とフィルタパラメータ(B)を畳み込み演算した結果である。式13cに示すValは、畳み込み演算の結果Comを正規化するために、フィルタパラメータ(B)の要素の和であるDivで除算した結果である。この値を、注目画素1301の位置に返すことでフィルタリングが行われる。
【0076】
図11に戻り、1110は画像信号1101に対して上述のフィルタリングを施した後の画像信号である。即ち、画像信号1101に対して属性フラグ1106で図12に示すスムージングフィルタ(A)とエッジ強調フィルタ(B)を適応的に処理した結果である。フィルタリング前の文字エッジ1103はフィルタリング後で信号値が変わらず、文字部1113を得る。
【0077】
一方、フィルタリング前の下地1102には、フィルタリング後に、下地1112内に縁取り(グレー)1111が発生する。これは文字を縁取るように発生するため、文字の品位を著しく低下させる。
【0078】
この現象を、図13に示すフィルタリングの説明に従い、図14を用いて具体的に説明する。画像信号1400に対してフィルタパラメータ1420でフィルタリングを行う。ここで、フィルタリングの領域サイズをM×M(Mは自然数の5)とすると、注目画素が1401のとき、フィルタリングの対象となる画素のうち、文字エッジ1403上の1列1402がエッジ上の画素データとなる。この1列に対してもフィルタパラメータ1420で与えられる重み付けによって畳み込み演算されるため、文字エッジ上の画像データ1402は、演算結果に強く影響を与える。
【0079】
図13に示す式に基づき、フィルタリングを行うと、以下のようになる。
【0080】
Div=64
Com=15045
Val=235
Valの画素値は、フィルタリング後の画像信号1430の注目画素1431に与えられる。そして、画像全体に対して同様の演算を実施すると、1432に示すように、文字エッジ1403の外側に縁取りのような信号値が発生し、結果として文字の品位が著しく低下する。
【0081】
そこで、本発明に係る実施形態では、文字品位を低下させずに、好適な適応的フィルタリングを実施し、文字と写真(下地)の画像品位の向上を図ることを目的とする。具体的には、画質劣化の原因である文字の周辺に発生する縁取りを抑制するものである。
【0082】
[第1の実施形態]
ここで文字の周辺に発生する縁取りを抑制するための第1の実施形態におけるフィルタリング制御を、図15、図16を用いて詳細に説明する。尚、第1の実施形態では、画素毎の特徴を示す属性に応じて、フィルタリングのフィルタサイズを変更するものである。ここで、属性は、例えば像域分離処理により判定されたフラグデータに基づいて文字又は線画、網点、或いは下地などを示すものである。
【0083】
図15は、第1の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。まず、入力データである画像信号の注目画素が下地領域にあるか否かを判定する(S1501)。ここでは、画像信号から上述した像域分離処理を用いて文字フラグ、網点フラグを示す属性フラグを生成し、属性フラグに基づいて判定する。尚、下地領域は、文字領域でなく、かつ網点領域でない領域とする。
【0084】
S1501で判定した結果、注目画素が下地領域でない場合は、通常のフィルタリングを行う(S1502)。尚、通常のフィルタリングとは、属性フラグを参照し、文字領域については文字用のフィルタを用い、網点領域については網点用のフィルタを用いる処理である。
【0085】
一方、S1501で判定した結果、注目画素が下地領域である場合は、フィルタサイズを縮小してフィルタリングを行う(S1503)。このフィルタサイズを縮小するフィルタリングについて、図16を用いて、具体的に説明する。
【0086】
図16は、第1の実施形態におけるフィルタリングを説明するための図である。図16に示すように、画像信号1600は注目画素を1601とし、フィルタリング対象画像の一部が文字エッジ1603に含まれる画像である。この場合、注目画素が下地領域であるので、画像信号1600に対して属性フラグ1610を参照し、フィルタサイズを5×5から3×3へ縮小したフィルタパラメータ1620を用いてフィルタリングを行う。
【0087】
図16に示す属性フラグ1610を、図17を用いて説明する。上述した像域分離処理202で文字領域と網点領域とが検出された場合、その属性フラグの意味合いは図17に示すようになる。即ち、網点と判定されず、文字とのみ判定された場合は、文字フラグ(属性:1)となる。逆に、文字と判定されず、網点とのみ判定された場合は、網点フラグ(属性:2)となる。
【0088】
尚、1画素単位に判定するため、両者が同時に判定されることはないとすると、何れも判定されない場合は文字でもなく、網点でもない領域とされる。つまり、下地などの濃度差のない平坦な領域とみなされる(属性:0)。
【0089】
このように、図17に示す属性は、注目画素が下地(第1の属性)、文字(第2の属性)、網点(第3の属性)などのどの領域に存在するかを示すものである。
【0090】
図16の属性フラグ1610を参照すると、0と表記される画素1612が下地フラグ(属性:0)を示す画素である。また、1と表記される画素1613が文字フラグ(属性:1)を示す画素である。これらを参照し、図15に示す処理に従ってフィルタリングを行う。
【0091】
尚、文字部については、従来と同様のため説明を省くが、エッジ強調用のフィルタ係数を用いる。それ以外の領域は、従来なら非文字のため、スムージング用のフィルタ係数を用いるが、下地フラグに従い、フィルタサイズを縮小したフィルタ係数を用いる。例えば、フィルタ係数1620がそれである。
【0092】
ここで、上述した図13に示す式13a〜13cに基づき、フィルタリングを行うと、以下のようになる。
【0093】
Div=64
Com=16320
Val=16320/64=255
Valの画素値は、フィルタリング後の画像信号1630の注目画素1631に与えられる。従って、画像全体に対して同様な処理を行っても、文字近傍の下地部分では、下地フラグを参照し、フィルタサイズを縮小することで、1632に示すように文字の周辺に縁取りが発生しない。
【0094】
以上のように、フィルタリングを行う際に、像域分離処理により判定された画像の画素毎の特徴を示す属性に応じて、適応的にフィルタサイズを縮小する。これにより、平滑化処理により発生する文字又は線画などのエッジ近傍で発生する縁取りを抑制でき、文字の品位を向上させることができる。特に、網点部と下地部とを区別するため、網点部に適切なスムージング処理を施すことができ、印刷時のモアレなどを抑制することができる。
【0095】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第2の実施形態を詳細に説明する。第1の実施形態では、フィルタリングを行う際に、像域分離処理により判定された画像の画素毎の特徴を示す属性に応じて適応的にフィルタサイズを縮小する方法を説明した。しかし、第1の実施形態の場合、文字エッジなどがない下地部でも同様の処理を実施しているが、その必要性は必ずしもない。
【0096】
そこで、第2の実施形態では、下地部でのスムージングの効果を最大限発揮させるため、文字エッジを参照してフィルタサイズを制御する方法を、図18を用いて説明する。
【0097】
図18は、第2の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。尚、S1801、S1802は、第1の実施形態の図15に示すS1501、S1502と同じ処理であり、その説明は省略する。
【0098】
S1801の結果が、注目画素が下地領域である場合は、注目画素を除くフィルタ対象領域の属性フラグを参照し、フィルタ対象領域に文字フラグ(文字エッジ)があるか否かを判定する(S1803)。その結果、フィルタ対象領域内に文字フラグがない場合は、通常のフィルタリングを行う(S1802)。また、フィルタ対象領域内に文字フラグがある場合には、フィルタサイズを縮小してフィルタリングを行う(S1804)。
【0099】
尚、このフィルタサイズを縮小するフィルタリングは、図16、図17を用いて説明した第1の実施形態と同様であり、説明は省略する。
【0100】
以上のように、下地部と判定される領域においても、文字エッジ近傍か否かを判定し、文字エッジ近傍ではフィルタサイズを縮小することで、縁取りを抑制することができる。また、下地であっても、文字エッジ近傍でない場合は、網点部と同レベルのスムージング処理を施し、下地部のノイズ成分を除去し、滑らかな再現を行うことができる。
【0101】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第3の実施形態を詳細に説明する。第2の実施形態では、下地部でのスムージングの効果を最大限発揮させるため、文字エッジを参照してフィルタサイズを制御する方法を説明した。しかし、このような画像処理システムには、原稿の複写画像の再現性を高めるために、紙の地色を除去して再現する下地除去機能がある。そのため、下地部のスムージングを必ずしもかけなくても良い場合がある。
【0102】
そこで、第3の実施形態では、下地除去機能を考慮したフィルタリング制御を、図19を用いて説明する。
【0103】
図19は、第3の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。尚、S1901、S1902は、第1の実施形態の図15に示すS1501、S1502と同じ処理であり、その説明は省略する。
【0104】
S1901の結果が、注目画素が下地領域である場合は、注目画素の信号値(輝度値)が閾値より大きいか小さいかを判断する(S1903)。その結果、注目画素の信号値(輝度値)が閾値より小さい場合は、通常のフィルタリングを行う(S1902)。一方、注目画素の信号値が閾値より大きい場合は、フィルタリングしない(S1904)。尚、注目画素の信号値と閾値が同じ場合には、何れかの処理を任意で割り当てる。
【0105】
第3の実施形態では、図2に示す出力画像処理部215に下地除去処理901を有する。この機能は、読み取った原稿の下地を除去する機能で、出力物の画質向上のために用いられる。例えば、白い紙ではあるが、再生紙のような真っ白とは言えない原稿をスキャンすると、その下地部分の読み取り値は、RGB、8ビット信号の場合、255にはならない。例えば、R、G、B共に240などの輝度値となる。この画像信号をそのまま出力画像処理すると、印刷時には、ある濃度にて下地が印字される。これは、見た目においても好ましくない上、不要な場所に印字するため、トナーなど余分に消費することになる。
【0106】
そこで、この問題を回避するため、予め決めた値や原稿のヒストグラムをとるなどして算出される値に応じて下地を除去する機能が搭載されている。
【0107】
この機能を用いると、読み取りレベルのある信号値以上を下地除去機能により除去することができる。この下地除去処理を考慮し、下地と判断された領域については、下地除去で除去される信号レベルを考慮した値を閾値とし、閾値より大きい(=明るい)輝度信号についてはフィルタ処理を実施しない。以下、具体的に説明する。
【0108】
エッジ近傍で平滑化処理を実施すると、エッジ部の信号を平滑化処理の対象としてしまうため、縁取りが発生する。下地除去処理にて除去される輝度レベルより縁取りの輝度レベルが大きければ、縁取りは除去される。しかし、縁取りの輝度レベルが除去される輝度レベルより小さいときは、下地は除去されるが、縁取りが除去されないことがある。本来ならば、下地除去で除去されるべき下地(縁取り部)が、エッジ部の信号を含んだ平滑化処理により下地レベルが下がり(=濃くなり)、除去されない。そこで、本来なら除去されるべき下地レベルである下地部については、平滑化処理を実施しない。これにより、縁取り(グレー)を発生させない、或いは低減することが可能となり、下地除去処理で下地は完全に除去される。
【0109】
尚、上述したフィルタはRGBにて処理する説明であるが、CMYKなど別の色空間であってもかまわない。但し、そのときの閾値に対する大小関係は色空間応じて適宜与える必要がある。
【0110】
また、第3の実施形態では、下地領域の読み取りレベルに応じてフィルタリングを実施しないように決定したが、図20に示すように、注目画素が下地領域である場合は、フィルタリングを実施しない(S2003)ように制御しても良い。
【0111】
以上のように、下地領域の場合、下地除去処理で除去される信号レベルを考慮した閾値に基づきフィルタリングを実施するかを決定することで、文字再現性を低下させる縁取りなどを抑制できる。
【0112】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照しながら本発明に係る第4の実施形態を詳細に説明する。第3の実施形態では、下地除去処理で除去される信号レベル(輝度レベル)を考慮し、下地領域の場合、任意の信号レベル(輝度レベル)以上はフィルタリングを実施しないように制御した。しかし、下地をあまり除去しない場合には、文字や線画の周りに縁取りが発生する可能性がある。
【0113】
そこで、第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に下地除去機能を考慮し、かつ、第1の実施形態と同様に文字エッジを参照してフィルタサイズを縮小するフィルタリング制御を、図21を用いて説明する。
【0114】
図21は、第4の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。尚、S2101、S2102、S2103でNOの場合のS2105は、第3の実施形態の図19に示すS1901、S1902、S1903でNOの場合のS1904での処理に相当し、その説明は省略する。
【0115】
第3の実施形態では、S1903でYES、即ち、注目画素の信号値が閾値より小さい場合は、通常のフィルタリングを行っていたが、第4の実施形態では、フィルタサイズを縮小してフィルタリングを実施する(S2104)。尚、注目画素の信号値と閾値が同じ場合には、第3の実施形態と同様に、何れかの処理を任意で割り当てる。
【0116】
第4の実施形態では、下地除去機能で除去される信号レベルが高く(RGBの8ビット信号で255に近い)、除去される下地レベル量が少ない場合には、縁取りの原因となる文字周りの下地の信号を完全には除去できない可能性がある。そこで、下地領域であって、かつ、閾値より大きい信号値の画素はフィルタリングを実施せず、下地領域であって、かつ、閾値より小さい信号値の画素はフィルタサイズを縮小してフィルタリングを実施する。つまり、下地除去の対象となる領域はフィルタを実施せず、平滑化フィルタを実施することで発生する縁取り発生を回避する。また、下地除去の対象とならない領域については、フィルタサイズを縮小することで、縁取り発生を抑制する。二重の処理を行うことで、下地除去量が少ない場合でも、縁取りを除去することができる。
【0117】
第3の実施形態と同様に、CMYKなど別の色空間であってもかまわない。但し、そのときの閾値に対する大小関係は色空間応じて適宜与える必要がある。
【0118】
以上のように、下地領域において、下地除去処理より除去される信号レベルを考慮した閾値に基づき、フィルタリングの実施を決定し、フィルタリングを実施する際にフィルタサイズを縮小することで、文字再現性を低下させる縁取りなどを抑制できる。
【0119】
以上説明した実施形態によれば、文字周辺部で平滑化処理を行う際に、フィルタリングでエッジ部の重み付け量を小さくするのではなく、フィルタサイズを小さくする。これにより、回路構成を複雑にすることなく、文字の縁に発生するノイズを除去することが可能となる。
【0120】
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0121】
また、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行する。これによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0122】
この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0123】
このプログラムコードを供給するための記録媒体として、例えばフレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0124】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、次の場合も含まれることは言うまでもない。即ち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合である。
【0125】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードがコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】カラー原稿画像をデジタル的に読み取って複写画像を生成するカラー原稿複写装置の構成を示す側断面図である。
【図2】イメージスキャナ部101とプリンタ部102とが独立で動作する装置の構成を示す図である。
【図3】原稿画像の一例を示す図である。
【図4】図3に示す領域を読み取った場合に特徴的に現れる信号値のプロット(特性)の一例を示す図である。
【図5】図3に示す原稿画像301に対して属性判別を行い、生成されたフラグデータの一例を示す図である。
【図6】色フラグの生成方法の一例を説明するための図である。
【図7】直交座標系において画素が有彩色か無彩色かの判定を説明するための図である。
【図8】複数ページを合成して出力する場合の一例を示す図である。
【図9】画像メモリ213に記憶された画像データをプリンタ部102へ転送する際の処理を示すブロック図である。
【図10】偽造判定処理部218の構成の一例を示す図である。
【図11】文字の周辺部に縁取りのようなノイズが発生する一例を示す図である。
【図12】フィルタリングに用いられるフィルタ係数の一例を示す図である。
【図13】フィルタリングとしての畳み込み演算の一例を示す図である。
【図14】下地領域に発生する文字の縁取りを説明するための図である。
【図15】第1の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。
【図16】第1の実施形態におけるフィルタリングを説明するための図である。
【図17】注目画素が文字、網点、下地などのどの領域に存在するかを示す属性を説明するための図である。
【図18】第2の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。
【図20】第3の実施形態の変形例におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。
【図21】第4の実施形態におけるフィルタリング制御を示すフローチャートである。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成19年6月22日(2007.6.22)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二

【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治

【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光


【公開番号】 特開2008−35499(P2008−35499A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−165314(P2007−165314)