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【発明の名称】 デジタルカメラの偽色評価方法、デジタルカメラの偽色評価装置及びデジタルカメラの偽色評価プログラム
【発明者】 【氏名】杉山 徹

【要約】 【課題】デジタルカメラによる撮像画像の偽色を定量的に評価する偽色評価方法等を提供する。

【構成】評価画像をRGBカラーフィルタを用いて各撮像素子の画素値を決定する単板式センサーアレイ方式のデジタルカメラにより撮像する撮像工程と、コンピュータによって、前記デジタルカメラにより撮像した画像データを取得する取得工程、及びR、G又はBのうち、少なくとも何れか2つの単色画像データを前記画像データに基づいて生成する単色画像データ生成工程、及び一の前記単色画像データに含まれる複数の画素の画素値と、当該各画素に対応する他の前記単色画像データに含まれる各画素の画素値と、の差分画素値から差分画像データを生成する差分画像データ生成工程、及び前記差分画像データを構成する画素の前記差分画素値の分布に起因して決定される評価指標に基づいて、前記デジタルカメラの偽色評価を行なう評価工程とにより成る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGBカラーフィルタを用いて各撮像素子の画素値を決定する単板式センサーアレイ方式のデジタルカメラの偽色評価方法において、
評価画像を前記デジタルカメラにより撮像する撮像工程と、
コンピュータによって、前記デジタルカメラにより撮像した画像データを取得する取得工程と、
前記コンピュータによって、R、G又はBのうち、少なくとも何れか2つの単色画像データを前記画像データに基づいて生成する単色画像データ生成工程と、
前記コンピュータによって、一の前記単色画像データに含まれる複数の画素の画素値と、当該各画素に対応する他の前記単色画像データに含まれる各画素の画素値と、の差分画素値から差分画像データを生成する差分画像データ生成工程と、
前記コンピュータによって、前記差分画像データを構成する画素の前記差分画素値の分布に起因して決定される評価指標に基づいて、前記デジタルカメラの偽色評価を行なう評価工程と、
を有することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、
前記評価指標は、前記差分画素値の標準偏差であることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、
前記評価指標は、前記差分画素値の最大値と最小値の差であることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、
前記評価指標は、前記差分画素値によるヒストグラムに基づくことを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、
前記評価画像は、複数の空間周波数成分と、複数の方向の直線又は曲線成分を備えたパターン構成を含む白黒のテストチャートであることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、
前記コンピュータによって、前記取得工程にて取得された画像データにて示される評価画像の白色部分のR値、G値、B値が等しくなるようホワイトバランスを調整する調整工程を有することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、
前記単色画像データ生成工程では、R,G、B夫々の単色画像データを生成し、
前記差分画像データ生成工程では、Rの単色画像データとGの単色画像データに基づいてRとGの差分画像データを生成し、Gの単色画像データとBの単色画像データに基づいてGとBの差分画像データを生成し、Bの単色画像データとRの単色画像データに基づいてBとRの差分画像データを生成することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法。
【請求項8】
RGBカラーフィルタを用いて各撮像素子の画素値を決定する単板式センサーアレイ方式のデジタルカメラの偽色評価装置において、
評価画像を前記デジタルカメラにより撮像した画像データを取得する取得手段と、
R、G又はBのうち、少なくとも何れか2つの単色画像データを前記画像データに基づいて生成する単色画像データ生成手段と、
一の前記単色画像データに含まれる複数の画素の画素値と、当該各画素に対応する他の前記単色画像データに含まれる各画素の画素値と、の差分画素値から差分画像データを生成する差分画像データ生成手段と、
前記差分画像データを構成する画素の前記差分画素値の分布に起因して決定される評価指標に基づいて、前記デジタルカメラの偽色評価を行なう評価手段と、
を有することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項9】
請求項8に記載のデジタルカメラの偽色評価装置において、
前記評価指標は、前記差分画素値の標準偏差であることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のデジタルカメラの偽色評価装置において、
前記評価指標は、前記差分画素値の最大値と最小値の差であることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価装置において、
前記評価指標は、前記差分画素値によるヒストグラムに基づくことを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価装置において、
前記評価画像は、複数の空間周波数成分と、複数の方向の直線又は曲線成分を備えたパターン構成を含む白黒のテストチャートであることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価装置において、
前記取得手段にて取得された画像データにて示される評価画像の白色部分のR値、G値、B値が等しくなるようホワイトバランスを調整する調整手段を有することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価装置において、
前記単色画像データ生成手段は、R,G、B夫々の単色画像データを生成し、
前記差分画像データ生成手段は、Rの単色画像データとGの単色画像データに基づいてRとGの差分画像データを生成し、Gの単色画像データとBの単色画像データに基づいてGとBの差分画像データを生成し、Bの単色画像データとRの単色画像データに基づいてBとRの差分画像データを生成することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価装置。
【請求項15】
コンピュータを、請求項8乃至14のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価装置として機能させることを特徴とする偽色評価プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラの偽色評価方法に係るものであり、特にデジタルカメラの撮像画像に発生する偽色を定量的に評価するデジタルカメラの偽色評価方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラが画像撮影デバイスとして普及してきた。このデジタルカメラは、撮像素子の構造により3板式、単板式などに分類される。
【0003】
3板式のデジタルカメラでは、CCDやCMOSなどの撮像素子は、Red(R)、Green(G)、Blueの3色に感度を持つ3枚のセンサーアレイによって構成される。そして、撮像画像の1画素に対応して、Red、Green、Blueの撮像素子が夫々1個ずつ存在するため、正確な色を記録することができるというメリットがある。しかし、3枚のセンサーアレイを必要とするため、機器の構造が複雑になるという問題がある。そのため、家庭用のデジタルカメラなど比較的安価な汎用デジタルカメラでは、1枚のセンサーアレイを使用する単板式が主流となっている。
【0004】
このような単板式のデジタルカメラでは、1画素1色(R、G又はB)の撮像素子に対応する。図14に、単板式センサーアレイの構造の一例を示す。単板式の場合、ある画素で表現しようとする色が、当該画素に対応する色で無い場合には、その存在しない色の値は、近隣素子の画素値を用いて補間演算によって求めるようになっている。補間演算の方式は、例えば、最も近隣の画素の画素値の平均値を取る手法の他、本願特許出願人により、撮像模擬過程と再現模擬過程を定義して補間演算することにより、より尖鋭度の高い高品位な画像を生成する手法などが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004‐153753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した補間演算にも限界があり、鋭いエッジを持つ画像を撮影すると、一般に「偽色」と呼ばれる色にじみが生じる場合がある。例えば、図11に示すセンサーアレイの構造を持つデジタルカメラで、図15(A)のような白黒パターンを撮影すると、図15(B)のように、白黒の境界部分に偽色が発生する。
【0006】
このような偽色の出方は、素子の配列や補間演算の手法に影響されるが、これまで偽色がどの程度発生したかを評価する際には、撮影された画像をモニタ等にて表示して目視にて観察、評価するしかなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、デジタルカメラによる撮像画像の偽色を定量的に評価する偽色評価方法等を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、RGBカラーフィルタを用いて各撮像素子の画素値を決定する単板式センサーアレイ方式のデジタルカメラの偽色評価方法において、評価画像を前記デジタルカメラにより撮像する撮像工程と、コンピュータによって、前記デジタルカメラにより撮像した画像データを取得する取得工程と、前記コンピュータによって、R、G又はBのうち、少なくとも何れか2つの単色画像データ(例えば、RとG)を前記画像データに基づいて生成する単色画像データ生成工程と、前記コンピュータによって、一の前記単色画像データ(例えば、R)に含まれる複数の画素の画素値と、当該各画素に対応する他の前記単色画像データ(例えば、G)に含まれる各画素の画素値と、の差分画素値から差分画像データを生成する差分画像データ生成工程と、前記コンピュータによって、前記差分画像データを構成する画素の前記差分画素値の分布に起因して決定される評価指標に基づいて、前記デジタルカメラの偽色評価を行なう評価工程と、を有することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0009】
これによれば、デジタルカメラの偽色評価を定量的に行なうことができる。
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、前記評価指標は、前記差分画素値の標準偏差であることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0011】
これによれば、平均的な偽色の量を定量的に評価することができる。
【0012】
上記課題を解決すべく、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、前記評価指標は、前記差分画素値の最大値と最小値の差であることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0013】
これによれば、致命的な偽色の有無を確認(評価)することができる。
【0014】
上記課題を解決すべく、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、前記評価指標は、前記差分画素値によるヒストグラムに基づくことを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0015】
これによれば、平均的な偽色の量を定量的に評価することができるとともに、生成した単色画像データにかかる色成分間の偽色の色の偏りを評価することができる。
【0016】
上記課題を解決すべく、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、前記評価画像は、複数の空間周波数成分と、複数の方向の直線又は曲線成分を備えたパターン構成を含む白黒のテストチャートであることを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0017】
これによれば、デジタルカメラの偽色評価をより高精度に行なうことができる。
【0018】
上記課題を解決すべく、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、前記コンピュータによって、前記取得工程にて取得された画像データにて示される評価画像の白色部分のR値、G値、B値が等しくなるようホワイトバランスを調整する調整工程を有することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0019】
これによれば、デジタルカメラの偽色評価をより高精度に行なうことができる。
【0020】
上記課題を解決すべく、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデジタルカメラの偽色評価方法において、前記単色画像データ生成工程では、R,G、B夫々の単色画像データを生成し、前記差分画像データ生成工程では、Rの単色画像データとGの単色画像データに基づいてRとGの差分画像データを生成し、Gの単色画像データとBの単色画像データに基づいてGとBの差分画像データを生成し、Bの単色画像データとRの単色画像データに基づいてBとRの差分画像データを生成することを特徴とするデジタルカメラの偽色評価方法である。
【0021】
これによれば、RGBの色の偏りを含む定量的な偽色評価を行なうことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、デジタルカメラの偽色評価を定量的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の偽色評価方法を、評価対象となるデジタルカメラによって撮像された撮像画像の偽色を評価する偽色評価システムに適用した場合について説明する。
【0024】
[1.デジタルカメラの偽色評価システムの構成及び機能]
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラの偽色評価システムSの構成を示すシステム構成図である。
【0025】
偽色評価システムSは、評価対象のデジタルカメラ1と、本発明の偽色評価装置としてのコンピュータ2にて構成される。
【0026】
デジタルカメラ1は、RGBカラーフィルタと撮像素子により構成される単板式センサーアレイ方式のデジタルカメラを用いる。
【0027】
先ず、デジタルカメラ1にて、本発明の評価画像の一例としてのテストチャートTを撮像する。そして、コンピュータ2は、デジタルカメラ1からテストチャートTを撮像した画像データDiを取得し、当該画像データDiからRed(R)、Green(G)、Bleu(B)の各単色画像データDmを生成し、これら各単色画像データDmに基づいて差分画像データDdを生成する。そして、コンピュータ2は、差分画像データDdを構成する画素の差分画素値のばらつき具合(差分画素値の分布)に起因する評価指標に基づいてデジタルカメラ1の偽色評価を行なう。
【0028】
テストチャートTは、反射率100%の白と反射率0%の黒の2値のパターンにより構成されることが好ましい。また、高精度に偽色を評価するため白色部分と黒色部分の境界部分の反射率勾配は、図2(A)に示すような暖傾斜ではなく、図2(B)に示すように急傾斜であることが好ましい。図3に、テストチャートTのパターン構成例を示す。テストチャートTは、パターン例Aに示すような様々な空間周波数成分を備えたパターン構成であることが好ましく、少なくとも、評価対象とするデジタルカメラ1の最高解像度よりも高い空間周波数成分から、最高解像度よりも低い空間周波数成分をまたぐような空間周波数成分を備えたパターン構成であることが好ましい。更に、様々な方向の直線又は曲線成分を備えたパターン構成であることが好ましく、例えば、パターン例Bに示すような八角形や、パターン例Cに示すような2つの四角形によるパターン構成のように、水平線からの角度が0度、45度、90度、135度の直線成分を有することが好ましい。またパターン例Dに示すようにできるだけ多くの角度成分を持つパターンを用いることがより好ましく、パターン例Eに示すような円のパターンを用いてもよい。以上の要件を満たすパターン構成を含むテストチャートとして、例えば、ISO12233:2000で定義される解像度チャートなどが挙げられる。
【0029】
また、テストチャートTの撮影の際は、テストチャートT全体にむら無く照明が当たるようライティングをセットする。図1に示す如く、テストチャートTの斜め45度方向から2灯の照明(例えば、ストロボ)を照射する手法が一般的である。
【0030】
このとき、テストチャートTを撮像した画像中、テストチャートTの白色部分の画素値がデジタルカメラ1のRGB値の最大値とならないよう、かつ、黒色部分の画素値がRGB値の最小値とならないように、ストロボによるライティングと、デジタルカメラ1の露出設定を行なう。例えば、RGB各色8bitで出力される場合、最小値は「0」最大値は「255」であるため、白色部分の画素値は「245」、黒色部分の画素値は「20」程度となるよう設定する。また、偽色のRGB偏りを精度良く評価するため、白色部分の画素値(R値、G値、B値)が、できるだけ等しくなるよう、ホワイトバランスを調整することが好ましい。
【0031】
このようにデジタルカメラ1にて撮像されたテストチャートTの画像データDiは、コンピュータ2内部に取り込まれ、差分画像データにより偽色の定量的評価が行なわれる。
【0032】
[2.コンピュータの構成及び機能]
図4は、コンピュータ2の構成を示すブロック図である。同図に示す如くコンピュータ2は、演算機能を有するコンピュータとしてのCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラム(本発明のデジタルカメラの偽色評価プログラムを含む)を記憶するROM(Read Only Memory)及び発振回路等から構成された制御部11と、各種画像データ等を記憶するための記憶部12、各種画像データ生成処理を実行する際やデジタルカメラ1に対してオペレータが各種入力指示を行う入力部13、偽色評価結果及び必要に応じて実際に撮像された画像データDiにかかる撮像画像等を表示する表示部14、デジタルカメラ1を接続する外部機器接続部15を備えて構成され、これら制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14及び外部機器接続部15は、バス16を介して相互に接続されている。
【0033】
そして、制御部11は、各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス16を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統轄制御すると共に、ROM等に記憶された後述するデジタルカメラの偽色評価プログラムを実行することにより、他の構成部材と協動して本発明の取得手段、単色画像データ生成手段、差分画像データ生成手段、評価手段及び調整手段として機能するようになっている。
【0034】
[3.偽色評価処理]
以下、コンピュータ2における偽色評価処理の具体的手法の一例について、図を用いて説明する。図5は、偽色評価処理を示すフローチャートであり、この処理は、制御部11の制御に基づいて実行され、オペレータによって入力部13を操作して指示が行なわれることにより処理が開始する。
【0035】
先ず、制御部11は画像データDiを取得する(ステップS1)。外部機器接続部15を介してデジタルカメラ1からテストチャートTの画像データDiを取得してもよく、或いは、過去にデジタルカメラ1にて撮像され、記憶部12に記憶しておいた画像データDiを記憶部12から取得してもよい。そして、取得した画像データDiに対して撮像されたテストチャートTの画像の白色部分の画素値(R値、G値、B値)が等しくなるようホワイトバランス調整を行なう。
【0036】
次に、画像データDiに基づいてRed(R)、Green(G)、Blue(B)夫々の単色画像データDmを生成する(ステップS2)。図6は、デジタルカメラ1にて撮像された画像(画像データDi)から、R成分画像に係る単色画像データDm(R)、G成分画像に係る単色画像データDm(G)、B成分画像に係る単色画像データDm(B)を夫々生成する様子を模式的に表現した説明図である。
【0037】
続いて、ステップS2にて生成した単色画像データDm(R)、Dm(G)、Dm(B)に基づいて、差分画像データDdを生成する(ステップS3)。単色画像データDm(R)と単色画像データDm(G)の夫々に含まれる画素の画素値の差分、単色画像データDm(G)と単色画像データDm(B)の夫々に含まれる画素の画素値の差分、単色画像データDm(B)と単色画像データDm(R)の夫々に含まれる画素の画素値の差分、の夫々に基づいて3種類の差分画像データDd(ΔR−G)、Dd(ΔG−B)、Dd(ΔB−R)が作成可能である。
【0038】
図7に単色画像データDm(R)と単色画像データDm(G)に基づいて、差分画像データDd(ΔR−G)を生成する様子を模式的に表現した説明図を示す。同図に示す如く、単色画像データDm(R)が示すR成分画像を構成する画素の座標値(j、j)における画素値R(i,j)と、単色画像データDm(G)が示すG成分画像を構成する画素の座標値(j、j)における画素値G(i,j)に基づいて、下記(式1)に従って、差分画像(ΔR−G)の座標値(j、j)における画素の差分画素値Δ(R−G)(i,j)を求める。
【0039】
同様にして、単色画像データDm(G)、Dm(B)に基づいて、下記(式2)に従って差分画像(ΔG−B)の座標値(j、j)における画素の差分画素値Δ(G−B)(i,j)求め、単色画像データDm(B)、Dm(R)に基づいて、下記(式3)に従って差分画像(ΔB−R)の座標値(j、j)における画素の差分画素値Δ(B−R)(i,j)求める。
【0040】
差分画素値Δ(R−G)(i,j)=R(i,j)−G(i,j)+offset・・・(式1)
差分画素値Δ(G−B)(i,j)=G(i,j)−B(i,j)+offset・・・(式2)
差分画素値Δ(B−R)(i,j)=B(i,j)−R(i,j)+offset・・・(式3)
式中、「offset」は、差分画素値がマイナスとならないよう任意に設定可能な値である。例えば、RGB各色8bitで出力される場合、「offset」を「128」と指定すれば、差分画素値がマイナスの値となることを避けることができる。
【0041】
最後に、各差分画像データDdを構成する画素の差分画素値の分布に起因して決定される評価指標に基づいて、デジタルカメラ1の偽色評価を行なう(ステップS4)。
【0042】
差分画素値の分布に起因して決定される評価指標とは、例えば、差分画像データDdに含まれる複数の画素の差分画素値の最大値と最小値の差、差分画素値の標準偏差、差分画素値のヒストグラムの形状や幅Wなどである。
【0043】
図8は、評価対象となる複数のデジタルカメラ1(以下、「デジタルカメラ1a」とする)、デジタルカメラ1b、デジタルカメラ1c、デジタルカメラ1dによって、ISO12333:2000のテストチャートTを撮像し、夫々差分画像データDd(ΔR−G)、Dd(ΔG−B)、Dd(ΔB−R)を生成して、評価指標として差分画素値の標準偏差及び差分画素値の最大値と最小値の差を求めた例であり、図8(A)は差分画像データDd(ΔR−G)に基づく差分画素値の標準偏差及び差分画素値の最大値と最小値の差、図8(B)は差分画像データDd(ΔG−B)に基づく差分画素値の標準偏差及び差分画素値の最大値と最小値の差、図8(C)は差分画像データDd(ΔB−R)に基づく差分画素値の標準偏差及び差分画素値の最大値と最小値の差を示す。
【0044】
図9(A)はデジタルカメラ1aの各差分画像データDdに基づく差分画素値のヒストグラムの例であり、図9(B)はデジタルカメラ1bの各差分画像データDdに基づく差分画素値のヒストグラムの例であり、図9(C)はデジタルカメラ1cの各差分画像データDdに基づく差分画素値のヒストグラムの例であり、図9(D)はデジタルカメラ1dの各差分画像データDdに基づく差分画素値のヒストグラムの例である。
【0045】
実際に、ISO12233:2000で定義される解像度チャート(図10参照)をテストチャートTとして4台のデジタルカメラ1a〜1dで撮像し、撮像された画像データDiから生成された差分画像データDdにかかる差分画像を表示部14に表示させ、偽色発生を差分画像上で主観的に観察しながら、本発明における偽色評価方法の精度の検証を行なった。
【0046】
図11は、図10に示したテストチャートTの注目部の拡大図であり、具体的には、図10に示したテストチャートTの黒色ひし形パターンの上部(点線円で示す)の拡大図である。
【0047】
図12は各デジタルカメラ1a〜1dにかかる差分画像の上記注目部の拡大表示図であり、具体的には、(A)はデジタルカメラ1aによって、(B)はデジタルカメラ1bによって、(C)はデジタルカメラ1cによって、(D)はデジタルカメラ1dによって、それぞれ得られた、差分画像データDd(ΔG−B)にかかる差分画像(ΔG−B)の注目部の拡大表示図である。
【0048】
その結果、表示部14に表示された差分画像(ΔG−B)の注目部の拡大表示を観察すると、図12(A)〜(D)の全てについて、境界部分(エッジ)に偽色が発生していることがわかる。各デジタルカメラ1a〜1dによって偽色の量は異なるが、偽色発生量の少ないほうから順に、デジタルカメラ1a、デジタルカメラ1b、デジタルカメラ1c、デジタルカメラ1dであることがわかった。この順序は、図8(B)に示した差分画素値の標準偏差の大きさの順番と一致する。また、図9(A)〜(D)の(ΔG−B)に示したヒストグラムの幅W(例えば、半値全幅)が広いほど偽色発生量が大きく、幅Wが狭いほど偽色発生量が小さいこととも一致する。
【0049】
特に、図12(D)デジタルカメラ1dによって得られた差分画像(ΔG−B)の観察の結果、白が強く出ていることがわかる。これは、Green(G)の偽色が大きく出たためで、この結果は、図9(D)に示したデジタルカメラ1dのヒストグラムのうち、G成分画像に係る単色画像データDm(G)に基づく差分画像データDdΔ(G−B)のヒストグラムの形状がプラス側に偏ることと一致する。
【0050】
この他、表示部14に表示されたデジタルカメラ1aによる撮像画像(図示せず)の観察の結果、その他のデジタルカメラ1b〜1dによる撮像画像とは異なり、画像全域にわたって偽色の発生は少なかったが、白黒2値のテストチャートTを撮像したにもかかわらず、撮像画像中の一部の箇所に黄色や青色がはっきりと確認できた。この結果は、図8(A)に示すようにデジタルカメラ1aの差分画像データDd(ΔR−G)に基づく差分画素値の最大値と最小値の差が、4台のデジタルカメラ中2番目に大きく、図8(B)、(C)に示すようにデジタルカメラ1aの差分画像データDd(ΔG−B)と差分画像データDd(ΔB−R)に基づく差分画素値の最大値と最小値の差が、4台のデジタルカメラ中最も大きいことと一致する。
【0051】
以上検証したように、評価指標として差分画素値の標準偏差やヒストグラムを用いる(確認する)ことにより、撮像画像全体にわたる平均的な偽色の量を評価することができ、評価指標として差分画素値の最大値と最小値の差を用いることにより、撮像画像中にはっきりと確認することができるいわば致命的な偽色の有無を確認(評価)することができる。
【0052】
上述した本実施形態は、テストチャートTを評価対象となるデジタルカメラ1にて撮像し、当該撮像画像を画像データDiとしてコンピュータ2内部に取得して、当該画像データDiに基づいてR、G、Bの単色画像データDmを夫々生成する。そして、一の単色画像データDmに含まれる複数の画素の画素値と、当該各画素に対応する他の一の単色画像データDmに含まれる各画素の画素値と、の差分画素値から差分画像データDdを生成し、当該差分画像データDdを構成する画素の差分画素値の分布に起因して決定される評価指標に基づいてデジタルカメラ1の偽色評価を行なうよう構成した。これによれば、評価指標に基づいてデジタルカメラ1の偽色評価を行なうので、定量的な偽色評価を実現することができる。
【0053】
また、評価対象となるデジタルカメラ1にて撮像される評価画像を、白黒2値のテストチャートTを利用したので、高精度な偽色評価が可能になる。更に、評価画像として図3に示すような様々な空間周波数成分を備えたパターン構成、様々な方向の直線又は曲線成分を備えたパターン構成を含むテストチャートTを利用したので、より高精度な偽色評価が可能になる。
【0054】
更に、テストチャートTの白色部分の画素値がRGBの最大値とならないよう、かつ、黒色部分の画素値がRGB値の最小値とならないように、ライティングと、デジタルカメラ1の露出設定を行なうよう構成したので、偽色評価を失敗なく行なうことができる。
【0055】
更に、白色部分の画素値(R値、G値、B値)が、できるだけ等しくなるよう、ホワイトバランスを調整するよう構成したので、偽色のRGB偏りを精度良く評価することができる。
【0056】
なお、上述した実施形態では、デジタルカメラによる撮像画像データDiの全体を利用したが、例えば、図13(A)に示す如く撮像画像の縁を除く偽色テスト領域Uを定め、当該偽色テスト領域Uについて単色画像データDmを生成して偽色テスト領域Uについてのみ偽色評価を行なうよう構成することもできる。同様にして、図13(B)に示す如く撮像画像の縁部分のみを抽出して偽色テスト領域Uとし、当該偽色テスト領域Uに含まれる画素から単色画像データDmを生成して偽色評価を行なうよう構成することもできる。このように、デジタルカメラの偽色を評価したい撮像領域のみを抽出して偽色を評価することもできる。
【0057】
更に、上述した実施形態では、単色画像データDmを構成する全ての画素に基づいて差分画像データDdを生成した(単色画像データDmと差分画像データDdの画素数が同一)が、本発明はこれに限られるものではなく、単色画像データDmの一部、例えば、単色画像データDmにかかる成分画像の縁を除く領域等を構成する画素に基づいて差分画像データDdを生成しても良い。
【0058】
更に、上述した実施形態では、RGB単色画像データDmを夫々求め、3種類の差分画像データDiを生成したが、本発明はこれに限られるものではなく、少なくとも一つの差分画像データDd(例えば、差分画像データDdΔ(R−G))を生成するために、2つの単色画像データDm(例えば、単色画像データDm(R)、Dm(G))があればよい。一つの差分画像データDdΔ(R−G)からだけでは、他の色成分にかかる差分画像データΔ(G−B)、DdΔ(B−G)と比較することができないので、R、G、B三色において何れの色成分に偏って偽色が発生しやすいかという詳細な偽色の色の偏りまではわからないが、少なくともRとGの2色間の偽色の色の偏り比較はできる。また、予め評価指標に閾値を設定しておき、当該閾値以上であれば、偽色発生を表示部14に表示して警告するなどの構成をとることができる。評価指標の閾値は、例えば、差分画素値の標準偏差、差分画素値のヒストグラムの幅W、差分画素値の最大値と最小値の差の夫々に規定しておくこととする。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】デジタルカメラの偽色評価システムSの構成を示すシステム構成図である。
【図2】好適なテストチャートTの白色部分と黒色部分の説明図である。
【図3】テストチャートTのパターン構成例である。
【図4】コンピュータ2の構成を示すブロック図である。
【図5】制御部11による偽色評価処理を示すフローチャートである。
【図6】単色画像データDmを生成する様子を模式的に表現した説明図である。
【図7】差分画像データDdを生成する様子を模式的に表現した説明図である。
【図8】差分画素値の標準偏差及び差分画素値の最大値と最小値の差を求めた例である。
【図9】各差分画像データDdに基づく差分画素値のヒストグラムの例である。
【図10】ISO12233:2000で定義される解像度チャートである。
【図11】テストチャートTの注目部の拡大図である。
【図12】(A)はデジタルカメラ1aによって得られた差分画像(ΔG−B)の拡大表示図、(B)はデジタルカメラ1bによって得られた差分画像(ΔG−B)の拡大表示図、(C)はデジタルカメラ1cによって得られた差分画像(ΔG−B)の拡大表示図、(D)はデジタルカメラ1dによって得られた差分画像(ΔG−B)の拡大表示図である。
【図13】撮像画像中に偽色テスト領域Uを定めた場合の説明図である。
【図14】単板式センサーアレイの構造の一例である。
【図15】偽色発生の説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1(1a、1b、1c、1d) デジタルカメラ
2 コンピュータ
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 外部機器接続部
16 バス
S デジタルカメラの偽色評価システム
T テストチャート
Di 画像データ
Dm(Dm(R)、Dm(G)、Dm(B)) 単色画像データ
Dd(Dd(ΔR−G)、Dd(ΔG−B)、Dd(ΔB−R)) 差分画像データ
U 偽色テスト領域
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男


【公開番号】 特開2008−35370(P2008−35370A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208485(P2006−208485)