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【発明の名称】 電子透かし埋め込み装置及び方法
【発明者】 【氏名】中村 高雄

【氏名】山本 奏

【氏名】北原 亮

【氏名】宮武 隆

【氏名】片山 淳

【氏名】安野 貴之

【要約】 【課題】透かし強度と画質劣化の関係が逆転することなく、適切な電子透かし埋め込み制御を実現する。

【構成】本発明は、原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成し、RGB成分毎の画素値変更量であるRGB基準変更量が格納されている基準変更量記憶手段を参照して、透かしパターンの原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分の誤差が小さくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成し、変更済み透かしパターンを原画像に重畳して透かし入り画像を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段と、
原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成手段と、
前記基準変更量記憶手段の基準変更量を参照して、前記透かしパターンの前記原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分の誤差が小さくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更手段と、
前記変更済み透かしパターンを前記原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳手段と、
を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置。
【請求項2】
カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段と、
原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成手段と、
前記基準変更量記憶手段の基準変更量を参照して、前記透かしパターンの前記原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分以外の色成分の変更量が少なくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更手段と、
前記変更済み透かしパターンを前記原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳手段と、
を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置。
【請求項3】
前記透かしパターン変更手段は、
前記透かしパターンを所与のサイズのブロックに分割して透かしパターンブロック群を生成するパターンブロック分割手段と、
前記各透かしパターンブロック中の埋め込み対象色成分の平均値である平均変更量を算出するブロック内平均変更量算出手段と、
前記平均変更量と、埋め込み対象色成分以外の色成分の値が小さい、前記基準変更量記憶手段に格納された基準変更量の埋め込み対象色成分値との比を算出し、算出された該比の値に基づいて前記各透かしパターンブロックの画素値を、該基準変更量を用いて濃度変調して変更済み透かしパターンブロック群を生成する濃度パターン変調手段と、
前記変更済み透かしパターンブロック群を再構成して前記変更済み透かしパターンを出力するパターン再構成手段と、
を有する請求項1または2記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項4】
前記濃度パターン変調手段は、
前記平均変更量の値に基づいて、前記基準変更量記憶手段を参照して、埋め込み対象色成分以外の色成分の値が小さい所与の複数の基準変更量から一つを選択する手段と、
前記平均変更量と選択された基準変更量の埋め込み対象色成分値との比を算出する手段と、
算出された前記比の値に基づいて、前記各透かしパターンブロックの画素値を前記選択された基準変更量を用いて濃度変調して変更済み透かしパターンブロック群を生成する手段と、
を含む請求項3記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項5】
前記基準変更量記憶手段は、
埋め込み対象色成分の値が同符号でかつ埋め込み対象色成分以外の色成分の値が逆符号である所与の基準変更量Aと基準変更量Bの組を格納し、
前記透かしパターン変更手段は、
前記透かしパターンを所与のサイズのブロックに分割して透かしパターンブロック群を生成する透かしパターンブロック分割手段と、
前記各透かしパターンブロック中の埋め込み対象色成分の平均値である平均変更量を算出するブロック内平均変更量算出手段と、
前記基準変更量記憶手段を参照して、前記基準変更量Aと前記基準変更量Bの各埋め込み対象色成分値の絶対値の比αを算出し、前記透かしパターンブロックと同じサイズの画素領域を面積比α:(1−α)で該基準変更量Aと該基準変更量Bに設定した場合の画素領域中の1画素当たりの埋め込み対象成分値を求め、
前記平均変更量と、前記1画素当たりの埋め込み対象成分値との比を参照し、該比の値に基づいて前記各透かしパターンブロック中の変更対象画素群を選択し、
選択された変更対象画素群を画素数比α:(1−α)でグループA及びグループBの画素グループに分割し、
前記グループAの画素の画素値を前記基準変更量Aに、前記グループBの画素の画素値を前記基準変更量Bに設定し、それ以外の画素値を0に設定して変更済み透かしパターンブロック群を生成する濃度パターン変調手段と、
前記変更済み透かしパターンブロック群を再構成して変更済み透かしパターンを出力するパターン再構成手段と、
を有する請求項1または2記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項6】
前記基準変更量記憶手段は、
埋め込み対象色成分の値が同符号でかつ埋め込み対象色成分以外の色成分の値が逆符号である所与の基準変更量Aと基準変更量Bの組を複数格納し
前記濃度パターン変調手段は、
前記基準変更量記憶手段を参照して、各組における該基準変更量Aと該基準変更量Bの各埋め込み対象色成分値の絶対値の比αを算出し、前記透かしパターンブロックと同じサイズの画素領域を面積比α:(1−α)で該基準変更量Aと該基準変更量Bに設定した場合の画素領域中の1画素あたりの埋め込み対象成分値を各組について求める手段と、
前記平均変更量に各組の該1画素あたりの埋め込み対象成分値の値に基づいて、前記基準変更量記憶手段の基準変更量Aと基準変更量Bの組を一つ選択する手段と、
前記平均変更量と前記選択された該1画素当たりの埋め込み対象成分値との比を算出する手段と、
算出された前記比の値に基づいて前記各透かしパターンブロック中の変更対象画素群を選択する手段と、
変更対象画素群を前記選択された組における比αを用いて画素数比α:(1−α)でグループA及びグループBの画素グループに分割する手段と、
前記グループAの画素の画素値を前記選択された基準変更量Aに、前記グループBの画素の画素値を前記選択された基準変更量Bに設定し、それ以外の画素値を0に設定して変更済み透かしパターンブロック群を生成する手段と、
を含む請求項5記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項7】
前記透かしパターン変更手段は、
前記基準変更量記憶手段を参照して、埋め込み対象色成分以外の色成分の値が小さい所与の一つ以上の基準変更量の埋め込み対象色成分値を用いて、前記透かしパターンを擬似階調を変換して階調変換パレットパターンを生成する手段と、
前記透かしパターンの各画素に対応する前記階調変換されたパレットパターンの要素値であるパレット情報に基づいて、前記基準変更量記憶手段の基準変更量を選択し、選択された基準変更量に基づいて透かしパターンの画素値を設定して変更済み透かしパターンを出力する手段と、
を有する請求項1または2記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項8】
前記基準変更量記憶手段は、
埋め込み対象色成分の値が同符号でかつ埋め込み対象色成分以外の色成分の値が逆符号である所与の基準変更量Aと基準変更量Bの組を複数格納し、
前記透かしパターン変更手段は、
前記基準変更量記憶手段の各組における前記基準変更量Aと前記基準変更量Bの各埋め込み対象色成分値の絶対値の比αを算出し、前記透かしパターンブロックと同じサイズの画素領域を面積比α:(1−α)で該基準変更量Aと該基準変更量Bに設定した場合の画素領域中の1画素あたりの埋め込み対象成分値を各組について求め、
前記各組の1画素あたりの埋め込み対象成分値を用いて、前記透かしパターンを擬似階調変換して、階調変換パレットパターンを生成する透かしパターン階調変換手段と、
前記透かしパターンの各画素に対応する前記階調変換パレットパターンの要素値であるパレット情報に基づいて、前記基準変更量記憶手段の基準変更量の組を選択し、
選択された基準変更量の組のいずれか一方を確率αで、他方を確率1−αで選択し、選択された基準変更量の値に基づいて透かしパターンの画素値を設定して変更済み透かしパターンを出力する画素値マッピング手段と、
を有する請求項1または2記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項9】
カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、
透かしパターン生成手段において、原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成ステップと、
透かしパターン変更手段において、原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段を参照して、前記透かしパターンの前記原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分の誤差が小さくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更ステップと、
透かしパターン重畳手段において、前記変更済み透かしパターンを前記原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳ステップと、
を行うことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項10】
カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、
透かしパターン生成手段において、原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成ステップと、
透かしパターン変更手段において、原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段を参照して、前記透かしパターンの前記原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分以外の色成分の変更量が少なくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更ステップと、
透かしパターン重畳手段において、前記変更済み透かしパターンを前記原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳ステップと、
を行うことを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子透かし埋め込み装置及び方法に係り、特に、画像や映像などのコンテンツに別の副情報を知覚されないように埋め込む電子透かし技術における、電子透かし埋め込み装置及び方法に関する。
【0002】
今日、電子透かし技術は、コンテンツの著作権保護・管理システムや、コンテンツ関連サービス提供システムなどに用いられている。
【背景技術】
【0003】
画像、映像といったコンテンツの流通の際、コンテンツ識別・管理や著作権保護・管理、関連情報提供などの目的のため、コンテンツ内に知覚できないように別の情報を埋め込む電子透かし技術を用いる方法がある。特に、画像・映像コンテンツに対する電子透かし技術において、画素値の微小変更に基づく方法が一般的である。また、電子透かし埋め込みに伴う画質劣化を抑えるために、視覚的に感度が高い輝度成分を避け、色差などの色成分を微小変更する方法も存在する(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】中村、山本、北原、宮武、片山:「リアルタイム検出可能な動画向けモバイル電子透かし」、第13回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集,pp. 161-166, 2005年11月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、デジタル表現された画素値は、例えば、8ビットすなわち256値に量子化された値であり、電子透かし埋め込みは、この画素値の微小変更である。例えば、カラー画像データがR,G,B各々8ビットで表現された24ビットカラーデータについて考える。RGBデータから輝度、色差信号への変換は、例えば、CCIR601などで定義された変換式
【0005】
【数1】


などを用いて相互に変換可能である。今、画質劣化を抑えるために視覚感度の高い輝度Yを避け、例えば、Cb成分を微小量△cbだけ変更して電子透かしを埋め込むことを考える。この場合、例えば、△cb±1であるとすると、埋め込みによって生じるRGBの変化量△r,△g,△bは式(2)からそれぞれ、△r=0,△g=±0.336,△b=±1.732となるが、ここで、量子化による丸め誤差を考えると(四捨五入則を用いるとして)、△R=△G=0,△B±2となる。すなわち、この場合は、Cb成分の微小変更量はB成分にしか反映されない。このとき量子化後の△r△g△bをYCbCr色空間に変換すると、
△y=±0.114×2,
△cb=±0.511×2,
△cr=±0.083×2
となり、本来変更を施さなかったY及びCr成分値が変化していることがわかる。特に、輝度成分Yが変化することにより、電子透かし埋め込みによる視覚劣化が目立ちやすくなるという問題があった。
【0006】
さらに、式(2)の変換式から、│△cb│<0.5/1.732の変更を与えても量子化による丸め誤差のため△r=△g=△b=0となって画像に全く変更を与えられないため、電子透かしが埋め込まれないことが分かる。
【0007】
また、0.5/1.732≦│△cb│<1.5/1.732では、△r=△g=0,△b=±1であるなど、電子透かし埋め込みによる変化量△cbを連続的に指定しても、量子化によって実際の画素値の変更量は離散的になってしまう。
【0008】
さらに、加えて、△cb=±3とした場合、△r=0,△g=±0.336×3,△b=±1.732×3、量子化を行うと、△r=0,△g=±1,△b=±5となり、量子化後の△r△g△bをYCbCr色空間に変換すると、
△y=±(−0.587×1+0.114×5)=±0.017
となり、前述の△cb=±1の時の△y=±0.114×2より変化量が小さくなる。すなわち、Cb成分の変化量を小さくしても、画質劣化の主要因であるY成分の変化量が量子化により大きくなってしまうことがある。以上のことからわかるように、従来技術においては、電子透かし技術の運用上の重要なポイントである、埋め込み強度によって画質劣化と耐性のトレードオフバランスを細かく正確に制御する、ということが困難であるという問題があった。
【0009】
以上要約すると、
(1)画質劣化を抑えるためY成分を避けてCb成分など色成分のみの変更を行っても、最終的な埋め込み後画素値(RGB値)が整数しかとりえないため、量子化誤差によってY成分が変動してしまう;
(2)最終的な埋め込み後画素値(RGB値)が整数しかとりえないため、強度を細かく調整することができない;
(3)強度を下げても画質劣化が増大することがあるため、強度で耐性・画質トレードオフを適切に制御できない;
という問題があった。
【0010】
本発明は、従来の技術では不可能であった、色信号の微小変更に伴う輝度の変化量を少なくし、さらに、埋め込み強度を用いて画質劣化と耐性のトレードオフバランスの細かな制御が可能であり、強度と画質劣化の関係が逆転することなく、適切に制御可能な電子透かし埋め込み装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0012】
本発明(請求項1)は、カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段125と、
原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成手段110と、
基準変更量記憶手段125の基準変更量を参照して、透かしパターンの原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分の誤差が小さくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更手段120と、
変更済み透かしパターンを原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳手段130と、を有する。
【0013】
本発明(請求項2)は、カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段125と、
原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成手段110と、
基準変更量記憶手段125の基準変更量を参照して、透かしパターンの原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分以外の色成分の変更量が少なくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更手段120と、
変更済み透かしパターンを原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳手段130と、を有する。
【0014】
また、本発明(請求項3)は、透かしパターン変更手段120において、
透かしパターンを所与のサイズのブロックに分割して透かしパターンブロック群を生成するパターンブロック分割手段と、
各透かしパターンブロック中の埋め込み対象色成分の平均値である平均変更量を算出するブロック内平均変更量算出手段と、
平均変更量と、埋め込み対象色成分以外の色成分の値が小さい、基準変更量記憶手段の基準変更量の埋め込み対象色成分値との比を算出し、算出された該比の値に基づいて各透かしパターンブロックの画素値を、該基準変更量を用いて濃度変調して変更済み透かしパターンブロック群を生成する濃度パターン変調手段と、
変更済み透かしパターンブロック群を再構成して変更済み透かしパターンを出力するパターン再構成手段と、を有する。
【0015】
また、本発明(請求項4)は、濃度パターン変調手段において、
平均変更量の値に基づいて、基準変更量記憶手段を参照して、埋め込み対象色成分以外の色成分の値が小さい所与の複数の基準変更量から一つを選択する手段と、
平均変更量と選択された基準変更量の埋め込み対象色成分値との比を算出する手段と、
算出された比の値に基づいて、各透かしパターンブロックの画素値を選択された基準変更量を用いて濃度変調して変更済み透かしパターンブロック群を生成する手段と、を含む。
【0016】
また、本発明(請求項5)は、基準変更量記憶手段125において、
埋め込み対象色成分の値が同符号でかつ埋め込み対象色成分以外の色成分の値が逆符号である所与の基準変更量Aと基準変更量Bの組を格納し、
透かしパターン変更手段110において、
透かしパターンを所与のサイズのブロックに分割して透かしパターンブロック群を生成する透かしパターンブロック分割手段と、
各透かしパターンブロック中の埋め込み対象色成分の平均値である平均変更量を算出するブロック内平均変更量算出手段と、
基準変更量記憶手段125を参照して、基準変更量Aと基準変更量Bの各埋め込み対象色成分値の絶対値の比αを算出し、透かしパターンブロックと同じサイズの画素領域を面積比α:(1−α)で該基準変更量Aと該基準変更量Bに設定した場合の画素領域中の1画素当たりの埋め込み対象成分値を求め、
平均変更量と、1画素当たりの埋め込み対象成分値との比を参照し、該比の値に基づいて各透かしパターンブロック中の変更対象画素群を選択し、
選択された変更対象画素群を画素数比α:(1−α)でグループA及びグループBの画素グループに分割し、
グループAの画素の画素値を基準変更量Aに、グループBの画素の画素値を基準変更量Bに設定し、それ以外の画素値を0に設定して変更済み透かしパターンブロック群を生成する濃度パターン変調手段と、
変更済み透かしパターンブロック群を再構成して変更済み透かしパターンを出力するパターン再構成手段と、を有する。
【0017】
また、本発明(請求項6)は、基準変更量記憶手段125において、
埋め込み対象色成分の値が同符号でかつ埋め込み対象色成分以外の色成分の値が逆符号である所与の基準変更量Aと基準変更量Bの組を複数格納し
濃度パターン変調手段は、
基準変更量記憶手段125を参照して、各組における該基準変更量Aと該基準変更量Bの各埋め込み対象色成分値の絶対値の比αを算出し、透かしパターンブロックと同じサイズの画素領域を面積比α:(1−α)で該基準変更量Aと該基準変更量Bに設定した場合の画素領域中の1画素あたりの埋め込み対象成分値を各組について求める手段と、
平均変更量に各組の該1画素あたりの埋め込み対象成分値の値に基づいて、基準変更量記憶手段の基準変更量Aと基準変更量Bの組を一つ選択する手段と、
平均変更量と選択された該1画素当たりの埋め込み対象成分値との比を算出する手段と、
算出された比の値に基づいて各透かしパターンブロック中の変更対象画素群を選択する手段と、
変更対象画素群を選択された組における比αを用いて画素数比α:(1−α)でグループA及びグループBの画素グループに分割する手段と、
グループAの画素の画素値を選択された基準変更量Aに、グループBの画素の画素値を選択された基準変更量Bに設定し、それ以外の画素値を0に設定して変更済み透かしパターンブロック群を生成する手段と、を含む。
【0018】
また、本発明(請求項7)は、透かしパターン変更手段120において、
基準変更量記憶手段を参照して、埋め込み対象色成分以外の色成分の値が小さい所与の一つ以上の基準変更量の埋め込み対象色成分値を用いて、透かしパターンを擬似階調を変換して階調変換パレットパターンを生成する手段と、
透かしパターンの各画素に対応する階調変換されたパレットパターンの要素値であるパレット情報に基づいて、基準変更量記憶手段の基準変更量を選択し、選択された基準変更量に基づいて透かしパターンの画素値を設定して変更済み透かしパターンを出力する手段と、を有する。
【0019】
また、本発明(請求項8)は、基準変更量記憶手段125において、
埋め込み対象色成分の値が同符号でかつ埋め込み対象色成分以外の色成分の値が逆符号である所与の基準変更量Aと基準変更量Bの組を複数格納し、
透かしパターン変更手段120は、
基準変更量記憶手段の各組における基準変更量Aと基準変更量Bの各埋め込み対象色成分値の絶対値の比αを算出し、透かしパターンブロックと同じサイズの画素領域を面積比α:(1−α)で該基準変更量Aと該基準変更量Bに設定した場合の画素領域中の1画素あたりの埋め込み対象成分値を各組について求め、
各組の1画素あたりの埋め込み対象成分値を用いて、透かしパターンを擬似階調変換して、階調変換パレットパターンを生成する透かしパターン階調変換手段と、
透かしパターンの各画素に対応する階調変換パレットパターンの要素値であるパレット情報に基づいて、基準変更量記憶手段125の基準変更量の組を選択し、
選択された基準変更量の組のいずれか一方を確率αで、他方を確率1−αで選択し、選択された基準変更量の値に基づいて透かしパターンの画素値を設定して変更済み透かしパターンを出力する画素値マッピング手段と、を有する。
【0020】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0021】
本発明(請求項9)は、カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、
透かしパターン生成手段において、原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成ステップ(ステップ1)と、
透かしパターン変更手段において、原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段を参照して、透かしパターンの原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分の誤差が小さくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更ステップ(ステップ2)と、
透かしパターン重畳手段において、変更済み透かしパターンを原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳ステップ(ステップ3)と、を行う。
【0022】
本発明(請求項10)は、カラー画像に電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み方法であって、
透かしパターン生成手段において、原画像と透かし情報が入力されると、該透かし情報の該原画像への電子透かし埋め込みによって該原画像に与えられる画素値の変更量を表す透かしパターンを生成する透かしパターン生成ステップと、
透かしパターン変更手段において、原画像のデータフォーマットで用いられる表色系の各色成分に対する基準変更量を格納する基準変更量記憶手段を参照して、透かしパターンの原画像への重畳の際に生じる量子化による透かし埋め込み対象色成分以外の色成分の変更量が少なくなるように該透かしパターンを変更して変更済み透かしパターンを生成する透かしパターン変更ステップと、
透かしパターン重畳手段において、変更済み透かしパターンを原画像に重畳して透かし入り画像を出力する透かしパターン重畳ステップと、を行う。
【発明の効果】
【0023】
上述のように、本発明を用いれば、色成分の微小変更に伴う輝度の変化量を少なくし、さらに埋め込み強度を用いて画質劣化と耐性のトレードオフバランスの細かな制御が可能であり、強度と画質劣化の関係が逆転することなく適切に制御可能な電子透かし埋め込み処理を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
各実施の形態を説明する前に、全実施の形態に対して共通な、電子透かし埋め込み装置の構成及び処理の流れについて説明する。
【0026】
図3は、本発明の実施の形態共通の電子透かし埋め込み装置の構成を示す。同図に示す電子透かし埋め込み装置100は、透かしパターン生成部110、透かしパターン変更部120、透かしパターン重畳部130から構成される。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態共通の電子透かし埋め込み装置の処理の流れを示す。
【0028】
ステップ101) 電子透かし埋め込み装置100は、まず、透かしパターン生成部110において、透かし情報に基づいて透かしパターンを生成し、ブロック内平均変更量算出部122と濃度パターン変調部123に出力する。透かしパターンは、原画像の画素サイズと同じサイズの実行列3つ(△R,△G,△Bとする)から構成され、電子透かし埋め込みによって原画像の各画素に与えられる画素値変更量をRGB成分毎に指定するものである。この透かしパターンの定義によれば、任意の電子透かし方法において透かしパターンが得られることは自明である(埋め込み後の画素と原画像との差分画像が透かしパターンとなるため、一旦電子透かし埋め込み画像を作成して原画像との差分を取ることにより、どのような電子透かし方法でも透かしパターンを求めることができる)。また、例えば、文献A(T. Nakamura, H. Ogawa, A. Tomioka, and Y. Takashima, Improved Digital Watermark Robustness against Translation and/or Cropping of an Image Area, IEICE Trans. Fundamentals, Vol. E83-A, No.1, pp. 68-76, January 2000.)のように、透かし強度パラメタによって透かしパターンの振幅を増幅したり、画像内容に依存して適応的に埋め込み強度を変更するなど、画素値の変更量を左右するファクタも、全て透かしパターン生成部110に包含されているものとする。すなわち、透かしパターン生成部110で生成される透かしパターンは、透かし強度や適応的埋め込みなどのファクタも加味した上で、最終的に原画像に与える画素値変更量であるとする。但し、透かしパターンで表される画素値変更量は、実数、すなわち、量子化による丸めを行わず、画素値変更量をそのまま実数値として取るようにする。これは、例えば、R成分の画素値変更量が+0.8という値の場合は、実際には原画像のR成分に0.8を加えて四捨五入などによって丸められることで+1.0となってしまうが、透かしパターンの△R成分の要素値は+0.8のままとする、という意味である。
【0029】
ステップ102) 次に、透かしパターン変更部120において、実際に原画像の画素値の変更時に行う量子化丸めによって生じる画質劣化が小さくなるように透かしパターンを変更して、変更済み透かしパターンを生成する。変更の具体的な方法については後述する。
【0030】
ステップ103) 最後に、透かしパターン重畳部130において、変更済み透かしパターンを原画像に重畳し、透かし入り画像を得る。
【0031】
また、本発明の実施の形態においては、説明の簡便さのため、次に述べるような具体的な電子透かし方法を用いて説明を行う。
【0032】
図5に示すように、1ビットの透かし情報を擬似乱数列でスペクトラム拡散変調し、拡散された透かし情報の各項の値で原画像の各ブロックのCb成分値を変更することで、電子透かしの埋め込みを行うものである。このため、透かしパターン△R,△G,△Bをブロック分割し、n番目のブロック内の要素については、式(2)を用いてCb成分の変化量をRGB成分に変換した値を(実数のまま)要素値として設定するようにすることになる。
【0033】
また、電子透かしの検出は、図6に示すように、検出対象画像をブロック分割し、各ブロック内の平均Cb成分値から検出対象系列を得て、これを擬似乱数列を用いてスペクトル拡散復調し、相関値の正負によって検出透かし情報のビット値を決定する。
【0034】
本発明は、上記の電子透かし方法例への適用のみに限定されるものではない。例えば、前述の非特許文献1のように動画像の各フレームに対して透かしを埋め込むものであったり、あるいは、文献Aのように透かしのパターンがブロックではなくテクスチャ上のものであったり、あるいは、スペクトラム拡散変調に基づくものでなくてもかまわない。さらに、上記の例では画質劣化を避けるためYCbCr表色系のCb成分に埋め込みを行うようにしているが、これをCr成分としたり、別の表色系のいずれかの成分とするなど任意に選択可能である。
【0035】
[第1の実施の形態]
図7は、本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の構成を示し、図8は、本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートであり、図9は、本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の処理を説明するための図である。
【0036】
透かしパターン変更部120は、透かしパターンブロック分割部121、ブロック内平均変更量算出部122、濃度パターン変調部123、パターン再構成部124及びRGB基準変更量記憶部125から構成される。透かしパターン変更部120は、透かしパターン生成部110からの透かしパターンを入力とし、変更済み透かしパターンを出力する。
【0037】
ステップ201) 透かしパターン変更部120は、まず透かしパターンブロック分割部121において、透かしパターン生成部110から入力された透かしパターンを透かしパターンブロックに分割する。このとき、ブロック分割サイズは、図5及び図6で示した電子透かし方式のブロックサイズと同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
ステップ202) 次に、ブロック内平均変更量算出部122で、1つの透かしパターンブロック中のCb成分の平均変更量を算出する。透かしパターンは、各画素におけるRGB成分の変更量を表すデータであるので、各画素のRGB成分変更量△r,△g,△bに対して式(1)を用いることで、Cb成分の変更量△cbを求めることができる。これをブロック中の全ての画素に対して行うことで平均変更量μ(△cb)を求めることができる。
【0039】
ステップ203) 次に、濃度パターン変調部123において、透かしパターンブロックに対して、RGB基準変更量記憶部125から取得したRGB基準変更量を用いて濃度パターン変調を施し、変更済み透かしパターンブロックを得る。具体的には図9に示すように、RGB基準変更量が(△r,△g,△b)であったとき、RGB基準変更量によるCb成分変更量△cbを前述の式(1)を用いて求めておき、△cbとブロック内平均変更量
μ(△cb)の比β=μ(△cb)/△cb
を求める。ここで、RGB基準変更量は、△cb>0でかつ十分大きく(電子透かし方式で想定される最も強い電子透かし埋め込み強度による画素値変更量と比べて同程度かそれ以上となる、という意味)、さらに、RGB基準変更量による(量子化丸めによって生じる)輝度変更量△yが小さくなるようなものを選ぶようにするとよい。例えば(△r,△g,△b)=(0,0,2)では、△cb=1.022、△y=0.228であるが、(△r,△g,△b)=(0,−1,5)では、△cb=2.894、△y=0.017である。△cb=1.022が小さすぎると判断できる場合や、あるいはどちらの△cb1も十分に大きいと判断できる場合では△yが小さい方を選ぶことになるので、(△r,△g,△b)=(0,−1,5)をRGB基準変更量とするのがよい。
【0040】
次に、ブロック内の画素数がk画素であるとして、ブロック内のβk個の画素を変更対象画素として選択することによって、ブロックの変更量を濃度パターンに変調する。選択方法としてはランダムに選ぶ、あるいはブロック内画素位置に1…kのラベルを貼っておき、このうちβk番目までのラベルの貼られた画素を選択するなど様々な方法があり得る。
【0041】
次に、透かしパターンブロックの△R,△G,△Bの全画素を一旦ゼロクリアし、上記選択された画素位置の△R,△G,△Bプレーンの画素値を、それぞれ△r,△g,△b、すなわち、RGB基準変更量となるようにセットして、変更済み透かしパターンブロックとして出力する。
【0042】
なお、図10に示すように、ブロック内画素数kに対してβk個の画素を変更箇所として各カラープレーン毎に選択し、透かしパターンブロックの各カラープレーン毎に、RGB基準変更量の対応する成分値を用いて、濃度パターンに変調するようにしてもよい。
【0043】
ステップ204) 上記の濃度パターン変調部123の処理を全ての透かしパターンブロックに対して施した場合は、ステップ205に移行し、そうでない場合はステップ202に移行する。
【0044】
ステップ205) 上記の透かしブロック内平均変更量算出部122から濃度パターン変調部123までの処理を、全ての透かしパターンブロックに対して施した後に、透かしパターン再構成部124において、変更済み透かしパターンブロック群の各々を元の透かしパターンブロックと置き換えることによって、変更済み透かしパターンを生成して出力する。
【0045】
<第1の実施の形態の効果>
上記の第1の実施の形態においては、最終的に電子透かし埋め込み装置が出力する画素値は、(0,0,0)、すなわち変更なしか、あるいは、RGB基準変更量(△r,△g,△b)の2通りのどちらかである。上記の通り、RGB基準変更量は輝度成分の変化量が小さいものとして選ばれているので、各画素においては輝度変化が一切ない(変更無しの場合)か、僅かな輝度変化のみ(RGB基準変更量で変化した場合)となり、画像全体として見れば透かし入り画像の原画像に対する輝度変化量が少なくなっている、にも関わらず、各ブロック単位に平均Cb成分をマクロに見れば、ブロック中のRGB基準変更量による変更画素の比率βと、RGB基準変更量によるCb成分変更量△cbの積、すなわち、
μ(△cb)/△cb×△cb=μ(△cb)
となって、透かしパターン変更前と後でCb成分の値は変化していない。これによって電子透かしは確実に埋め込まれ、そして検出できることになる。
【0046】
また、透かしパターンは量子化丸めを行う前の状態で濃度パターンに変調される。これによって、電子透かし埋め込み強度や適応的埋め込みによって元の透かしパターンの振幅が変動していた場合に、従来技術では各画素毎に独立に変更するため、例えば、
0.5/1.732≦│△cb│<1.5/1.732
のようなCb成分変更量では、量子化丸め誤差のため変動が表現されず、全て同じ変更量となってしまう。しかし、本実施の形態によれば、ブロック中のRGB基準変更量による変更画素の比率βによって、ブロック内の平均Cb成分変更量は細かく制御されることになる。
【0047】
さらに、本実施の形態によれば、埋め込み強度の増加は、ブロック中のRGB基準変更量による変更画素数の増加に相当し、これによるブロック中の輝度成分の変更量はβyであるから埋め込み強度に対して輝度成分の変更量は単調増加である。すなわち、従来技術で問題となっていた、量子化誤差のために埋め込み強度を下げても画質劣化が増大するといった逆転現象が起きず、耐性・画質トレードオフを適切に判断できるようになる。
【0048】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、以下に説明する部分を除き、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0049】
図11は、本発明の第2の実施の形態における透かしパターン変更部の構成を示し、図12は、本発明の第2の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【0050】
本実施の形態の透かしパターン変更部120では、RGB基準変更量記憶部225において、予め定められたRGB基準変更量を複数記憶する点において前述の第1の実施の形態の構成と異なる。
【0051】
透かしパターン変更部120の動作は、ブロック内平均変更量算出部122において各透かしパターンブロック中のCb成分の平均変更量を算出する処理(ステップ202)までは、第1の実施の形態と同様である。
【0052】
ステップ301) 次に、濃度パターン変調部123において、上記算出された平均変更量に依存して、RGB基準変更量記憶部225に複数記憶されているRGB基準変更量から一つを選択する処理を伴う部分が、第1の実施の形態と異なる。
【0053】
図13にRGB基準変更量の選択方法の例を示す。今、RGB基準変更量が(1)〜(n)まで、n個用意されているとする。また、各RGB基準変更量(i)に対して、値xが対応付けられているとする。このとき、RGB基準変更量の添え字が大きくなるほど、画素値の変更に伴うCb成分の変更量が大きい。すなわち、透かしが強く埋め込まれるようにし、また、0<x<x<…<xとなるように、xを定めておく。また、各RGB基準変更量(i)については、第1の実施の形態と同様に、輝度成分の変更量が小さいものを選ぶようにするとよい。選択処理は、入力されたCb成分の平均変更量の絶対値yを求め、yがxj−1<y≦xなる区間内の値であるときに、j番目のRGB基準変更量(j)を選択する。図13の例では、入力された平均変更量(図中の黒丸)がx<y≦xであるので、RGB基準変更量(2)が選択される。このようにRGB基準変更量を一つ選択した後の処理(ステップ203〜205)は、第1の実施の形態と同様である。
【0054】
<第2の実施の形態の効果>
本実施の形態においては、RGB基準変更量を透かしブロックパターン中の平均変更量の大きさに応じて段階的に選択している。第1の実施の形態のようにRGB基準変更量が1つしかない場合には、想定される最大の画素値変更量を基準にして比較的大きな変更量が一つ選ばれていた場合に、僅かな変更量を表現するためにはブロックパターン中の少数の画素を変更対象にすることで対応しているが、一画素あたりの変更量が大きいために、視覚劣化が大きくなってしまう恐れがあった。また、透かし強度は、ブロック中の変更画素数の取りうる値程度の段階でしか制御できず、特にブロックが小さい場合にはきめ細かい制御ができなかった。これに対して本実施の形態によれば、透かしブロックパターン中の平均変更量が小さいときには変更量の小さなRGB基準変更量を、平均変更量が大きいときには、変更量の大きなRGB基準変更量を選択するので、画質の向上が期待できる。
【0055】
さらに、複数のRGB基準変更量を切り替えることにより、第1の実施の形態より更にきめ細かな透かし強度の制御が可能となるという効果がある。
【0056】
[第3の実施の形態]
図14は、本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の構成を示し、図15は、本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートを示し、図16は、本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の処理を説明するための図である。
【0057】
透かしパターン変更部120は、透かしパターンブロック分割部121、ブロック内平均変更量算出部122、濃度パターン変調部123、パターン再構成部124、及びRGB基準変更量記憶部325から構成される。本実施の形態におけるRGB基準変更量記憶部325は、予め定められたRGB基準変更量AとRGB基準変更量Bの組を記憶する。
【0058】
透かしパターン変更部120は、透かしパターン生成部110からの透かしパターンを入力とし、変更済み透かしパターンを出力する。
【0059】
ステップ401) 透かしパターン変更部120は、まず、透かしパターンブロック分割部121において、透かしパターン生成部110から入力された透かしパターンを透かしパターンブロックに分割する。このときのブロック分割サイズは、図5、図6で示した電子透かし方式のブロックサイズと同じでもよいし、異なっていてもよい。透かしパターンブロック分割部121は、透かしパターンブロックをブロック内平均変更量算出部122及び濃度パターン変調部123に出力する。
【0060】
ステップ402) 次に、ブロック間平均変更量算出部122で、1つの透かしパターンブロック中のCb成分の平均変更量を算出する。透かしパターンは各画素におけるRGB成分の変更量を表すデータであるので、各画素のRGB成分変更量△r,△g,△bに対して式(1)を用いることでCb成分の変更量△cbを求めることができる。これをブロック中の全ての画素に対して行うことで平均変更量μ(△cb)を求めることができる。
【0061】
次に、濃度パターン変調部123において、透かしパターンブロックに対して、予めRGB基準変更量記憶部325に格納されているRGB基準変更量を用いて濃度パターン変調を施し、変更済み透かしパターンブロックを得る。具体的には、まず、RGB基準変更量Aが(△r,△g,△b)、RGB基準変更量Bが(△r,△g,△b)であったとき、RGB基準変更量AによるY成分変更量△y及びRGB基準変更量BによるY成分変更量△yを式(1)を用いて求めておき、両者の絶対値を用いて比の値αを、
α=│△y│/(│△y│+│△y│)
のようにして求めておく。ここで、△yと△yは符号が正負逆になるように、かつ、RGB基準変更量AによるCb成分変更量△cb及びRGB基準変更量BによるCb成分変更量△cbが同じ符号(本実施の形態では正とする)となるように、RGB基準変更量AとRGB基準変更量Bの組が予めRGB基準変更量記憶部325に格納されているとする。例えば、RGB基準変更量Aが(△r,△g,△b)=(0,0,1),RGB基準変更量Bが(△r,△g,△b)=(−1,0,0)であるとすると、式(1)から
△y=0.114,
△y=−0.299,
△cb=0.511、
△cb=0.172
となるので、これは条件を満たす組である。
【0062】
ステップ403) また、濃度パターン変調部123は、
△cbAB=α・△cb+(1−α)・△cb
を求めておく。△cbABは、ブロック中の画素に対して面積比αでRGB基準変更量記憶部325のRGB基準変更量Aを用いて画素値変更を行い、面積比(1−α)でRGB基準変更量記憶部325のGB基準変更量Bを用いて画素値変更を行った場合の、1画素当たりの平均のCb成分変更量である。第1の実施の形態などと同様に、RGB基準変更量AとBの組は、△cbAB>0でかつ十分大きく(電子透かし方式で想定される最も強い電子透かし埋め込み強度による画素値変更量と比べて同程度かそれ以上となる、という意味)、さらにRGB基準変更量AまたはBによる(量子化丸めによって生じる)輝度変更量△y,△yが小さくなるようなものを選ぶようにするとよい。
【0063】
ステップ404) 次に、濃度パターン変調部123は、△cbABとブロック内平均変更量μ(△cb)の比β=μ(△cb)/△cbABを求める。
【0064】
ステップ405) そして、ブロック内の画素数がk画素であるとして、ブロック内のβk個の画素を変更対象画素として選択する。選択の方法としてはランダムに選ぶ、あるいは、ブロック内画素位置に1…kのラベルを貼っておき、このうちβk番目までのラベルの張られた画素を選択するなど、様々な方法があり得る。
【0065】
ステップ406) 次に、選択されたβk個の変更対象画素を、αβk個の画素のグループAと(1−α)βk個の画素のグループの2つに分割する。この分割の仕方についてもランダムに選ぶ、あるいは、予めブロック内画素位置に1…kのラベルを貼っておき、j番目の画素位置がグループAまたはグループBのどちらに属すかをマップしておき(ブロック内ではグループAの画素がαk個、グループBの画素が(1−α)k個となるようにしておく)、上記選択されたβk個の変更対象画素の各画素位置について、このマップを用いてグループAとグループBに分類するなど、様々な方法がありうる。
【0066】
ステップ407) 次に、濃度パターン変調部123は、透かしパターンブロックの△R,△G,△Bの全画素を一旦ゼロクリアし、上記のステップ406で選択されたβk個の画素位置の△R,△G,△Bプレーンの画素値について、グループAに属するものは(△r,△g,△b)、すなわちRGB基準変更量Aとなるようにセットし、グループBに属するものは(△r,△g,△b)、すなわちRGB基準変更量Bとなるようにセットして、変更済み透かしパターンブロックとしてパターン再構成部124に出力する。
【0067】
ステップ408) 上記の濃度パターン変調部123の処理を全ての透かしパターンブロックに対して施した場合にはステップ409に移行し、そうでない場合は、ステップ404に移行する。
【0068】
ステップ409) パターン再構成部124において、変更済み透かしパターンブロックを対応する元の透かしパターンブロックと置き換えて再構成して、変更済み透かしパターンを生成して出力する。
【0069】
なお、図17に示すように、ブロック内画素数kに対してβk個の画素を変更箇所として各カラープレーン毎に選択し、更にグループAとグループBの分割も各カラープレーン毎に独立に行い、各カラープレーン毎にグループAの画素とグループBの画素を、RGB基準変更量記憶部325に格納されているRGB基準変更量AまたはBの対応する成分値を用いて設定するようにしてもよい。
【0070】
<第3の実施の形態の効果>
本実施の形態においては、最終的に電子透かし埋め込み装置が出力する画素値は(0,0,0)すなわち変更なしか、RGB基準変更量A=(△r,△g,△b)か、あるいはRGB基準変更量B=(△r,△g,△b)の三通りのいずれかである。さらに、上記のとおり、RGB基準変更量Aによる△yとRGB基準変更量Bによる△yは逆符号であるから、ブロック中にRGB基準変更量Aによる変更とRGB基準変更量Bによる変更が混在しているときには、画素毎ではなくブロックというマクロな視点で見れば輝度の増減が相殺される効果が得られる。本実施の形態のように、△yと△yの絶対値を用いた比αによってRGB基準変更量Aによる変更とRGB基準変更量Bによる変更の対象となる画素の面積比率を定めれば、マクロに見た際に輝度の増減は完全に相殺される。すなわち、従来問題であった、画質劣化の主要因である意図しない輝度成分の変更を(マクロに)ゼロにすることができ、電子透かし埋め込みによる画質劣化の低減に大きく寄与する。この点で本実施の形態は第1の実施の形態よりも優れたものとなっている。
【0071】
また、RGB基準変更量Aによる△cbとRGB基準変更量Bに△cbが同じ符号であるから、透かしの埋め込みチャネルであるCb成分については相殺されない。すなわち確実に電子透かしを埋め込むことができる。
【0072】
さらに、第1の実施の形態と同様に、ブロック中の変更対象画素数によって透かしの埋め込みレベルを制御できるため、量子化による丸め誤差の問題を避け、従来技術よりも正確な値を埋め込み可能であり、きめ細かな制御も可能である。
【0073】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、以下に説明する部分を除き第3の実施の形態と同様である。
【0074】
図18は、本発明の第4の実施の形態における透かしパターン変更部の構成を示し、図19は、本発明の第4の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【0075】
本実施の形態における透かしパターン変更部120においては、RGB変更量記憶部425に、RGB基準変更量AとRGB基準変更量Bの組を複数記憶する点において第3の実施の形態と異なる。
【0076】
透かしパターン変更部120は、ブロック内平均変更量算出部122において各透かしパターンブロック中のCb成分の平均変更量を算出する処理(ステップ401〜404)までは第3の実施の形態と同様である。
【0077】
ステップ501) 濃度パターン変調部123において、ブロック内平均変更量算出部122で算出された平均変更量に依存して、RGB変更量記憶部425に複数記憶されているRGB基準変更量A/Bの組の中から一つの組を選択する処理を伴う部分が第3の実施の形態と異なる。図20に、RGB基準変更量の組の選択方法の例を示す。今、RGB基準変更量A/Bの組が(1)〜(n)まで、n個用意されているとする。また、各RGB基準変更量A/B(i)に対して、値xが対応付けられているとする。このとき、RGB基準変更量A/Bの添え字が大きくなるほど、画素値の変更に伴うCb成分の変更量が大きい、すなわち、透かしが強く埋め込まれるようにし、また、0<x<x<…<xとなるようにxを定めておく。また、各RGB基準変更量A/B(i)については、第3の実施の形態と同じように、輝度成分の変更量が逆符号であり、Cb成分の変更量が同符号であるものとする。また、RGB基準変更量A/Bの各々について、輝度変更量が少ないものが望ましい。入力されたCb成分の平均変更量の絶対値yを求め、yがx−1<y≦xなる区間内の値であるときに、j番目のRGB基準変更量の組RGB基準変更量A/B(j)を選択する。図20の例では、入力された平均変更量(図中の黒丸)がx<y≦xであるので、RGB基準変更量A/B(2)が選択される。
【0078】
このようにRGB基準変更量の組を一つ選択した後の処理は、第3の実施の形態と同じである。
【0079】
<第4の実施の形態の効果>
本実施の形態においては、第1の実施の形態に対する第2の実施の形態と同じ効果を、第3の実施の形態の効果に更に加えることができる。すなわち、第3の実施の形態の効果に加え、RGB基準変更量A/Bの組を透かしブロックパターン中の平均変更量の大きさに応じて段階的に選択しているので、視覚的劣化を抑え、かつきめ細かい強度の制御が可能となるといった効果を同時に得ることができる。
【0080】
[第5の実施の形態]
本実施の形態では、前述の第1〜第4の実施の形態とは異なり、ブロック平均画素値に基づく透かしパターンだけではなく、図21に示すような任意の透かしパターンにも対応するものとする。例えば、文献Aのような電子透かし方法に適用可能である。
【0081】
図22は、本発明の第5の実施の形態における透かしパターン変更部の構成を示し、図23は、本発明の第5の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【0082】
本実施の形態における透かしパターン変更部120は、透かしパターン階調変換部510、画素値マッピング部520、及び予め定められた1つ以上のRGB基準変更量を格納したRGB基準変更量記憶部501から構成される。透かしパターン変更部120は、透かしパターン生成部110からの透かしパターンを入力とし、変更済み透かしパターンを出力する。複数のRGB基準変更量は、前述の第1〜第4の実施の形態と同様に、Y成分変更量が少ないものを選ぶようにする。
【0083】
ステップ601) 透かしパターン変更部120は、まず、透かしパターン階調変換部510において、入力された透かしパターンのCb成分変更量を擬似階調変換し、階調変換パレットパターンを得る。透かしパターン階調変換部510における擬似階調レベルについて、図24を用いて説明する。まず、予めRGB基準変更量記憶部501に格納されているn個のRGB基準変更量(i)(i=1…n)の各々について、Cb成分変更量△cbを式(1)を用いて求めておく。次に、透かしパターンの各画素値のCb成分変更量x(△R,△G,△Bに式(1)を適用して得られる、正負の値をとる)を、−△cb,0,△cb(i=i…n)の2n+1個の値を用いて量子化する写像を定義する。具体的には、図24のように、透かしパターンのCb、成分変更量xが正の場合、0≦x<△cb/2の場合は0に量子化し、△cb/2≦x<△cb+△cb/2の場合は、△cbに量子化し、…、
【0084】
【数2】


の場合は、△cbに量子化し、…,
【0085】
【数3】


の場合は、△cbに量子化する、といった手続きを行う。xが負の場合も同様にすればよい。このようにして、もともと実数値であった透かしパターンのCb成分変更量xを、2n+1レベルの離散的な値に写像する。このとき、−△cbを表すパレット番号を[−i],[0]を表すパレット番号を[0]、△cbを表すパレット番号を[i]とすれば、実数値xは[±i](i=0,…,n)の2n+1個のパレット情報に写像されることになる。
【0086】
この写像を用いて、透かしパターンの擬似階調変換を行って階調変換パレットパターンを生成する。具体的には図25に示すように、例えば、Floyd-Steinberg誤差拡散法を用いた擬似階調変換を行う。よく知られている2値化の場合と同様に、各画素のCb成分変更量について上記のような写像で量子化値に置き換え、置き換えによって生じた元のCb成分変更量との誤差を、未処理の近傍画素へ拡散する、という手続きによって、多値化誤差拡散を行うことができる。図25では、RGB基準変更量が1つ、すなわち、n=1の場合であるため、擬似階調表現は3値レベルで行われている。図23(B)の階調変換パレットパターン中の黒画素はパレット番号[−1]、すなわち−△Cbを、灰色画素は[0]、すなわち0を、白画像は[1]、すなわち△Cbを表している。本実施の形態では、Floyd-Steinberg誤差拡散法を用いたが、別の擬似階調表現方法、例えば、組織的ディザ法など任意のものを用いても良い。
【0087】
ステップ602) 次に、画像値マッピング部520において、階調変更パレットパターンの各パレット情報を用いて透かしパターンの各画素値を変更して、変更済み透かしパターンを出力する。図26を用いて画素値マッピング部520における処理を説明する。
【0088】
階調変換パレットパターンの各要素値は、上記のようにRGB基準変化量(i)と対応付けられたパレット情報[i]となっている。そこで、画素値マッピング部520では、階調変換パレットパターンの各パレット情報に対応するRGB基準変更量を、対応する透かしパターンの画素値として設定することで、変更済み透かしパターンを生成する。このとき、パレット情報が負の場合は、上記のパレット情報とRGB基準変更量の対応付けに従って、パレット情報の絶対値│i│に対応するRGB基準変更量(│i│)=(△r,△g,△b)を用いて、透かしパターンの対応する画素値を(−△r,−△g,−△b)に設定するようにする。図26では、RGB基準変更量が一つの場合を示しているが、複数の場合も同様の手順で処理を行う。
【0089】
<第5の実施の形態の効果>
本実施の形態においては、透かしパターンを擬似階調変換し、量子化された値をRGB基準変更量と対応付け、これに基づいて変更済み透かしパターンを得るため、第1〜第4の実施の形態のように、ブロックベースの処理の場合に生じるブロック歪を生じさせず、画質の改善が図れる。特に、図21に示したようなテクスチャ的な透かしパターンに適している。また、各RGB基準変更量はY成分の変更量が少ないものであるため、変更済み透かしパターンのY成分変更量も低く抑えられるため、画質の改善を図ることができる。また、擬似階調表現によって、透かしパターンの振幅レベルを細かく表現でき、画質劣化と耐性のトレードオフバランスの細かな制御が可能となる。
【0090】
[第6の実施の形態]
本実施の形態においては、以下に説明する点を除き、第5の実施の形態と同様である。
【0091】
図27は、本発明の第6の実施の形態における透かしパターン変更部の構成を示し、図28は、本発明の第6の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートを示す。
【0092】
本実施の形態における透かしパターン変更部120は、透かしパターン階調変換部510、画素値マッピング部520、及び、予め定められた1つ以上のRGB基準変更量AとRGB基準変更量Bの組を格納したRGB基準変更量記憶部502から構成される。透かしパターン変更部120は、透かしパターン生成部110からの透かしパターンを入力とし、変更済み透かしパターンを出力する。
【0093】
RGB基準変更量記憶部502は、第4の実施の形態などと同様に、RGB基準変更量A/Bの組が(1)〜(n)まで、n個用意されているとする。また、RGB基準変更量A/Bの添え字が大きくなるほど、画素値の変更に伴うCb成分の変更量が大きい。すなわち、透かしが強く埋め込まれるようにし、各組におけるAとBでは、輝度成分の変更量が逆符号であり、Cb成分の変更量が同符号であるものとする。
【0094】
ステップ701) 透かしパターン変更部120は、まず、透かしパターン階調変更部510において、入力された透かしパターンのCb成分変更量を擬似階調変換し、階調変換パレットパターンを得る。
【0095】
透かしパターン階調変換部510における擬似階調ラベルについて、図24を用いて説明する。まず、RGB基準変更量記憶部502に格納されている予め定められたn個のRGB基準変更量A/B(i)(i=1…n)の各組について、RGB基準変更量A(i)が(△rAi,△gAi,△bAi)、RGB基準変更量B(i)が(△rBi,△g,△bBi)であったとき、RGB基準変更量A(i)によるY成分変更量△yAi及びRGB基準変更量B(i)によるY成分変更量△yBiを式(1)を用いて求めておき、両者の絶対値を用いて比の値αiを、
αi=│△yAi│/(│△yAi│+│△yBi│)
のようにして求めておく。
【0096】
ステップ702) 次に、RGB基準変更量A(i)によるCb成分変更量△cbAiと、RGB基準変更量B(i)によるCb成分変更量△cbBiと、今求めたαを用いて、
△cb=α・△cbAi+(1−α)・△cbBiを求める。
【0097】
ステップ703) これを用いて、第5の実施の形態と同様に階調変換パレットパターンを生成する。
【0098】
ステップ704) 次に、画素値マッピング部520において、階調変換パレットパターンの各パレット情報を用いて透かしパターンの各画素値を変更して、変更済み透かしパターンを出力する。図29を用いて画素値マッピング部における処理を説明する。階調変換パレットパターンの各要素値は、RGB基準変更量A/B(i)と対応付けられたパレット情報[i]となっている。そこで、画素値マッピング部520では、階調変換パレットパターンの各パレット情報に対応するRGB基準変更量A/Bを用いて、変更済み透かしパターンを生成する。具体的には、上記の比αをRGB基準変更量A(i)が選ばれる確率、(1−α)をRGB基準変更量B(i)が選ばれる確率とみなして、パレット情報[i]の画素値を、この確率に従ってRGB基準変更量A(i)または、RGB基準変更量B(i)に設定する。これは、図29に示すように、同一のパレット情報を持つ画素領域を、面積比α:1−αにランダムにグループ分けすることに相当する。パレット情報が負の場合は、第5の実施の形態と同様にして、パレット情報の絶対値│i│に対応するRGB基準変更量A/B(│i│)を用いて、変更画素値を正負逆転させればよい。
【0099】
なお、上記の各実施の形態においては、Cb成分への電子透かし埋め込みについて説明したが、勿論Cr成分でもかまわない。さらに、HSV表示色におけるH成分やS成分などであってもかまわない(この場合はV(明度)成分がYcbCr成分におけるY相当であると考え、Vの変更量を抑えるように本発明を適用すればよい)。その他の表色系であっても同様に適用可能である。
【0100】
また、本実施の形態において、原画像のデータフォーマットがRGB表色系に基づいている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、原画像データフォーマットが、例えばJPEGやMPEGなどのようにYCbCr表色系に基づくものであったり、あるいは、HSV表色系であっても適用可能である。また、本実施の形態においては、原画像のデータフォーマットがRGB表色系、電子透かし埋め込みをYCbCr表色系で行う場合を説明したが、第1,2,5の実施の形態のように濃度変調する場合は、これら2つの表色系が同じでもかまわない。さらに、第3,4,6の実施の形態のように特定色成分の変更量を相殺する場合では、原画像のデータフォーマットの表色系と電子透かし埋め込み対象色成分の表色系が異なっていれば、どのような組み合わせでも本発明が適用可能である。
【0101】
さらに、上記の各実施の形態では、静止画像への電子透かしについて説明したが、非特許文献1のような動画像への電子透かしを考えた場合は、動画像の各フレーム画像またはフィールド画像を静止画像とみなして本発明を適用すればよい。
【0102】
なお、上記の第1〜第6の実施の形態における電子透かし埋め込み装置の各構成要素の動作をプログラムとして構築し、電子透かし埋め込み装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0103】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、電子透かし埋め込み装置として利用されるコンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0104】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、コンテンツの著作権保護・管理システムや、コンテンツ関連サービス提供システム等に用いられる電子透かし技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態共通の電子透かし埋め込み装置の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態共通の電子透かし埋め込み装置の処理のフローチャートである。
【図5】本発明の説明に用いる電子透かし埋め込み方法を説明するための図である。
【図6】本発明の説明に用いる電子透かし検出方法を説明するための図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の構成図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の処理を説明するための図(その1)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における透かしパターン変更部の処理を説明するための図(その2)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における透かしパターン変更部の構成図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態における濃度パターン変調部のRGB基準変更量の選択処理を説明するための図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の構成図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【図16】本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の処理を説明するための図(その1)である。
【図17】本発明の第3の実施の形態における透かしパターン変更部の処理を説明するための図(その2)である。
【図18】本発明の第4の実施の形態における透かしパターン変更部の構成図である。
【図19】本発明の第4の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【図20】本発明の第4の実施の形態における濃度パターン変調部のRGB基準変更量の選択処理を説明するための図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態を適用する透かしパターンの例である。
【図22】本発明の第5の実施の形態における透かしパターン変更部の構成図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【図24】本発明の第5の実施の形態における透かしパターン階調変換部の処理を説明するための図(その1)である。
【図25】本発明の第5の実施の形態における透かしパターン階調変換部の処理を説明するための図(その2)である。
【図26】本発明の第5の実施の形態における画素値マッピング部の処理を説明するための図である。
【図27】本発明の第6の実施の形態における透かしパターン変更部の構成図である。
【図28】本発明の第6の実施の形態における透かしパターン変更部の処理のフローチャートである。
【図29】本発明の第6の実施の形態における画素値マッピング部の処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0107】
100 電子透かし埋め込み装置
110 透かしパターン生成手段、透かしパターン生成部
120 透かしパターン変更手段、透かしパターン変更部
121 透かしパターンブロック分割部
122 ブロック内平均変更量算出部
123 濃度パターン変調部
124 パターン再構成部
125 基準変更量記憶手段、RGB基準変更量記憶部
130 透かしパターン重畳手段、透かしパターン重畳部
225 RGB基準変更量記憶部
325 RGB基準変更量記憶部
425 RGB基準変更量記憶部
501 RGB基準変更量記憶部
502 RGB基準変更量記憶部
510 透かしパターン階調変換部
520 画素値マッピング部
【出願人】 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦

【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治


【公開番号】 特開2008−17289(P2008−17289A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188011(P2006−188011)