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【発明の名称】 符号化画像データの撹拌装置および復号装置
【発明者】 【氏名】中島 康之

【氏名】田中 清

【氏名】米山 暁夫

【要約】 【課題】画像の動きやシーンの複雑さに依存せず、撹拌後もビット量を増加させず、かつ撹拌復元処理を持たない復号器でも復元が可能な符号化画像データの撹拌装置を提供する。

【構成】符号化データaは撹拌対象符号データ抽出部1に入力され、撹拌処理対象となる符号化データa1が抽出される。撹拌対象とならない符号化データa3は、符号化データ生成部3に入力される。前記撹拌対象符号データa1はデータ撹拌部2に入力し、撹拌処理を受ける。データ撹拌部2は、あるブロックの符号化情報と別の位置のブロックの符号化情報との間で撹拌(ブロック間撹拌)、またはブロックの符号化情報をブロック内で撹拌(ブロック内撹拌)することができる。撹拌処理後のデータa2は、符号化データ生成部3に入力され、撹拌対象とならなかった符号化データa3と合わされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化画像データを入力する符号化画像データ入力手段と、
該符号化画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出する符号化情報抽出手段と、
該抽出された符号化情報のある位置にあるブロックの符号化情報と、別の位置にあるブロックの符号化情報との間で撹拌する撹拌手段とを具備したことを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項2】
請求項1に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記撹拌手段は、撹拌後の符号化情報量が撹拌前の符号化情報量と同じになるように符号化情報を撹拌することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項3】
請求項1に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記符号化画像データは、MPEGやJPEGなどの国際標準方式により符号化されており、撹拌後の符号化画像データも該国際標準方式の規格内に収まることを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項4】
画像データを入力する画像データ入力手段と、
該画像データを符号化する符号化手段と、
該符号化された画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出する符号化情報抽出手段と、
該抽出された符号化情報のある位置にあるブロックの符号化情報と、別の位置にあるブロックの符号化情報との間で撹拌する撹拌手段と、
該撹拌後の符号化情報を再符号化する再符号化手段と、
を具備したことを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項5】
請求項4に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記撹拌手段は、撹拌後の符号化情報量が撹拌前の符号化情報量と同じになるように符号化情報を撹拌することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項6】
画像データが撹拌された符号化画像データを入力する撹拌符号化画像データ入力手段と、
前記撹拌された符号化画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を撹拌復元する撹拌復元手段と、
該撹拌復元された符号化画像データを復号する復号手段と、
を具備したことを特徴とする符号化画像データの復号装置。
【請求項7】
請求項1に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
請求項6の復号装置で復号された画像データと、撹拌されずに符号化された画像データを復号した場合の画像データが同一になるように撹拌処理されていることを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかまたは請求項7に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記符号化情報は、DC成分情報であることを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項9】
請求項8に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記撹拌手段は、DC成分の輝度ブロック間で撹拌を行うことを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項10】
請求項8に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記撹拌手段は、DC成分の輝度、色差ブロックの全てのブロック間で撹拌をすることを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項11】
請求項8に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記撹拌手段は、DC成分の輝度ブロックと色差ブロックにおいて、それぞれ独立に撹拌することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項12】
請求項8に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記撹拌手段は、予め定められた鍵系列に従って、ブロックの位置は同一のままDC成分に作用する演算を決定し、演算値により撹拌することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項13】
請求項1ないし5のいずれかに記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記符号化情報抽出手段で抽出された符号化ブロックの符号化情報は、該符号化ブロックのAC成分であり、
前記撹拌手段は、該符号化ブロックのAC成分の全てを、予め定められた鍵系列に従って、別の符号化ブロックとの間で撹拌することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項14】
符号化画像データを入力する符号化画像データ入力手段と、
該符号化画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出する符号化情報抽出手段と、
該抽出された符号化情報のある位置にある符号化ブロックのAC係数の位置を、予め定められた鍵系列で、同一ブロック内で撹拌する撹拌手段とを具備したことを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記符号化情報は、MPEG符号化時の符号化ブロックのAC成分を示すランレベルなどの符号語であることを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項16】
前記撹拌手段は、予め定められた鍵系列に従って、ブロックの位置は同一のままAC成分に作用する演算を決定し、演算値により撹拌することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項17】
請求項1ないし5のいずれかに記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記特定符号化階層は、イントラ符号化階層であり、
前記撹拌手段は、イントラ符号化ブロックのみを撹拌処理対象とすることを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項18】
請求項12,13,15または16に記載の符号化画像データの撹拌装置において、
前記鍵系列情報を、前記画像データ中に透かし情報として挿入したり、映像ストリーミング時に別のチャンネルで送付することを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【請求項19】
DCTを用いた符号化画像データを入力する符号化画像データ入力手段と、
該符号化画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出する符号化情報抽出手段と、
該抽出された符号化情報のある位置にあるブロックのDCT情報と、別の位置にあるブロックのDCT符号化情報との間で撹拌する撹拌手段とを具備し、
符号化階層や処理負荷に応じてAC成分とDC成分の撹拌を適応的に組み合わせたことを特徴とする符号化画像データの撹拌装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は符号化画像データの撹拌装置および復号装置に関し、特に画像の動きやシーンの複雑さと無関係に符号化画像データの撹拌ができる符号化画像データの撹拌装置および復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データの撹拌装置、すなわちスクランブル装置の従来の一例として、下記の特許文献1に記されているものがある。この文献には、画像の動きベクトルの最終ビットやDCT係数の符号の最終ビットを反転することにより、該動きベクトルやDCT係数の正負を入れ替えてスクランブルすることが開示されている。
【特許文献1】特開平6−90451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した従来技術では、画像の動きベクトルの最終ビットを反転した場合、動き量が大きい場合は反対方向に大きく変化するが、動きベクトルが0の場合はスクランブルしても変化がないため、動きがないシーンではスクランブル効果が得られないという課題、また動きが緩やかなシーンほどスクランブルされる動き量が少なくなるため、スクランブル効果が小さくなるという課題があった。また、DCT係数の符号の最終ビットを反転した場合には、画像中のエッジなどの空間的な変化が大きな領域ではスクランブル効果は大きいが、平坦部ではDCT係数値が小さくなるため、スクランブル効果は小さくなるという課題があった。
【0004】
本発明の目的は、前記した従来技術の課題を解消し、画像の動きやシーンの複雑さに依存せずに撹拌でき、撹拌後もビット量を増加させず、かつ撹拌復元処理を持たない復号器でも復元が可能な符号化画像データの撹拌装置および復号装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した目的を達成するために、本発明は、符号化画像データを入力する符号化画像データ入力手段と、該符号化画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出する符号化情報抽出手段と、該抽出された符号化情報のある位置にあるブロックの符号化情報と、別の位置にあるブロックの符号化情報との間で撹拌する撹拌手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0006】
また、本発明は、画像データを入力する画像データ入力手段と、該画像データを符号化する符号化手段と、該符号化された画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出する符号化情報抽出手段と、該抽出されたある位置にあるブロックの符号化情報と、別の位置にあるブロックの符号化情報との間で撹拌する撹拌手段と、該撹拌後の符号化情報を再符号化する再符号化手段とを具備した点に第2の特徴がある。
【0007】
また、本発明は、画像データが撹拌された符号化画像データを入力する撹拌符号化画像データ入力手段と、前記撹拌された符号化画像データの特定画像領域、特定符号化階層、および特定の符号化モードのうちの少なくとも1つに該当する符号化ブロックの符号化情報を撹拌復元する撹拌復元手段と、該撹拌復元された符号化画像データを復号する復号手段とを具備した点に第3の特徴がある。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ある位置にあるブロックの符号化情報と、別の位置にあるブロックの符号化情報との間で撹拌するようにしているので、画像データの動きや、シーンの複雑さに影響されない撹拌をすることができる。また、画像の内容を予測できないように撹拌処理することができる。
【0009】
また、撹拌処理後のビット量を撹拌処理前のビット量に比べて同じビット量にすることができる。
【0010】
また、撹拌後の符号化画像データは、撹拌前の規格と同じ規格内に収まるので、撹拌復元処理を持っていない復号器でも、内容が予測できないレベルで、違和感の小さい画像に復元できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、符号化データaは撹拌対象符号データ抽出部1に入力され、撹拌処理対象となる符号化データa1が抽出される。該撹拌対象符号データa1はデータ撹拌部2に入力される。一方、撹拌対象とならない符号化データa3は、符号化データ生成部3に入力される。データ撹拌部2では、撹拌対象符号データa1に対して撹拌処理を行う。撹拌方法としては、疑似乱数を発生させる鍵系列などを用いることができる。さらに、撹拌処理後のデータは、符号化データ生成部3に入力される。符号データ生成部3では、撹拌されたデータa2と、撹拌対象とならなかった符号化データa3とを合わせて、符号化データa4が生成される。
【0013】
前記撹拌対象符号データ抽出部1では、入力符号化画像データaの特定画像領域、特定符号化階層、特定の符号化モード等のいずれかに該当する符号化ブロックの符号化情報を抽出することができる。なお、この詳細は、図3(a)〜(c)を参照して後述する。また、前記データ撹拌部2は、あるブロックの符号化情報と別の位置のブロックの符号化情報との間での撹拌(ブロック間撹拌)、またはブロックの符号化情報をブロック内で撹拌(ブロック内撹拌)をすることができる。詳細は、図7、図8、図10を参照して後述する。
【0014】
次に、本実施形態の構成および機能をより具体例で説明する。図2は、一具体例を示すブロック図である。
【0015】
図において、符号化データaは部分復号部4に入力され、部分的に復号された部分復号画像データbは符号化データ抽出部5に入力する。画像データ以外の部分復号データgは部分符号化部8に送られる。符号化データ抽出部5は、撹拌対象データ情報qに従って、撹拌処理対象となる符号化データcを抽出し、データ撹拌部6に送る。一方、撹拌処理対象とならない符号化データdは、符号化データ生成部7に送られる。前記部分復号部4には、撹拌対象領域情報pを与えて撹拌対象領域のみを部分復号しても、あるいは符号化データaの全領域を部分復号してもよい。
【0016】
データ撹拌部6は、与えられた撹拌方式rに従って、あるいは予め内部にセットされている撹拌方式に従って、前記符号化データcを撹拌(スクランブル)する。符号化データ生成部7では、データ撹拌部6で撹拌処理されたデータeと撹拌処理対象とならなかった符号化データdとが合成され、合成された符号化データfは部分符号化部8に送られる。部分符号化部8は、該合成符号化データfと前記画像データ以外の部分復号データgとを合成した後部分的に符号化して、撹拌後の符号化データhとして出力する。
【0017】
前記符号化データ抽出部5では、たとえば、MPEG-1、2情報の場合には、撹拌処理対象符号化データcとして、量子化DCT係数を示すRunLevel(ランレベル)情報などの符号語を利用することが可能である。この場合、入力されたMPEGデータについて、ブロックレイヤーの情報を抽出することによりRunLevel情報を見つけることができる。RunLevel情報については、図10を参照して後述する。
【0018】
前記データ撹拌部6では、撹拌処理対象符号化データcに対して撹拌処理を行う。攪拌方法としては、擬似乱数を発生させる鍵系列などを用いることができる。
【0019】
前記符号化データ生成部7では、データ撹拌部6で撹拌処理された符号化データeと撹拌処理対象とならなかった符号化データdとを合わせて符号化データfを生成する。例えば、MPEG-1、2データでは各ブロックの量子化DCT係数として符号化されるRunLevelデータは8×8ブロックレイヤーの各々に位置している。このため、RunLevel情報が撹拌された場合は、GOP(Group of Pictures)やマクロブロック情報は攪拌前のまま利用し、ブロック情報のレイヤーについては撹拌されたRunLevel情報を格納することができる。
【0020】
前記撹拌対象領域情報pとしては、特定画像領域や、特定符号化階層や、特定符号化モードに限定することも可能である。前記特定画像領域の場合は、図3(a)のように、画像9中の特定画像領域10に関する符号化データを対象に攪拌する。上の例に適用した場合は、前記特定画像領域10の中の8×8ブロック群について、該ブロックに関する符号化情報が得られるブロックレイヤーの情報に対して攪拌を行うことができる。これにより特定の画像領域10のみを撹拌することができる。
【0021】
また、前記特定符号化階層の場合、例えばGOP層のうち、特定のGOPだけを撹拌対象とすることや、ピクチャー層のうち特定のピクチャー(例えば、図3(b)のようにIピクチャのみなど)を撹拌対象とすることができる。これにより、特定のピクチャーの画像全体を撹拌することができるほか、その画像を参照画像として用いている符号化画像まで自動的に撹拌することができる。
【0022】
さらに、前記特定符号化モードの場合は、例えば図3(c)のように、画像9中のイントラ符号化モードのブロックのみを撹拌対象とすることができる。この場合も撹拌処理対象となった符号化モードを用いたブロックが撹拌されるほか、このブロックを参照するすべてのブロックも自動的に撹拌される。たとえば、イントラ符号化ブロックのみを攪拌対象とすることにより、その後の前方向予測、双方向予測ブロックすべてに攪拌効果が得られるため、少ない攪拌対象ブロックにより、すべてのブロックを攪拌対象としたときと同等の効果を得ることが可能である。また、前方向予測を用いたインター符号化ブロックも攪拌対象とした場合は、より強固な攪拌効果が得られる。
【0023】
また、前記撹拌対象領域情報pとしては、時間的に特定した画像のみを攪拌処理対象にしたり、前記の特定画像領域、特定符号化階層、特定符号化モードなどを組み合わせることも可能である。
【0024】
次に、前記データ撹拌部6では、図4に示すように、データ撹拌処理前の符号化データレートと、データ撹拌処理後の符号化データレートとを、攪拌に用いる符号化情報を適切に選択することにより、同じ値を保つことが可能である。たとえば、ブロックレイヤーのRunLevel情報については、同じブロック内で撹拌した場合は、RunLevel情報のブロック内における順序が変わるだけであるため、全体の符号量を変化させないでおくことができる。
【0025】
また、適切な撹拌方法を利用することにより、撹拌後も符号化情報列を規定している仕様から逸脱しないように制御することが可能である。例えば、MPEG-1方式で上で述べたブロック内でのRunLevel情報の撹拌を用いた場合、撹拌後はRunLevel情報の位置が元の符号化情報と異なるが、MPEG-1で規定された符号化情報列の仕様から逸脱することはないため、図5に示すように、撹拌後もMPEG-1の規定を遵守することが可能である。これにより、撹拌後の符号化情報はMPEG-1規格を復号可能なプレイヤーで再生することが可能である。
【0026】
なお、攪拌方式や攪拌領域については、あらかじめ決定しておく方法が利用できるが、それ以外の方法としては、たとえばMPEGデータのユーザデータ領域に暗号化するなどの手法を用いて格納することが可能である。更に複数の撹拌方式や鍵系列を用い、これらの情報を符号化の階層(例えばGOP層、マクロブロック層など)で変更することも可能である。例えば、MPEG符号化において、IピクチャとPピクチャで鍵系列を変更することなどがこれに当たる。これにより、より撹拌の強度を強化させることができる。また、鍵系列は符号化画像領域に応じて変更することも可能である。例えば、鍵系列を、画面の上半分と下半分で変更するなどの手法が利用できる。
【0027】
さらに、撹拌方式や撹拌領域情報を電子透かしにより秘匿情報として画像データに埋め込むことも可能である。これにより、透かし情報が読み取れない限り、撹拌方式や撹拌領域情報を得ることができないため、非常に強固な撹拌が可能となる。さらに、映像ストリーミングなどの場合において、接続時の認証処理の後にこれらの情報を映像データの伝送プロトコル(RTP)とは別の伝送プロトコル(例えば、TCP)でセキュアな通信手段(SSLなど)を用いて送付するようなことも可能である。
【0028】
次に、本実施形態の具体的な実施例を以下に説明する。
【0029】
(実施例1)DC成分の攪拌
【0030】
図6は、圧縮画像データに対してDC成分を用いて画像を攪拌する実施例を示す。
【0031】
符号化動画像データと撹拌対象領域情報pとは、VLD(可変長復号)などで構成される部分復号部11に入力され、部分復号部11から得られる撹拌対象領域の量子化変換係数iがDC成分抽出部12に入力される。該DC成分抽出部12には撹拌対象領域情報pで指示される撹拌対象領域の中のDC成分のみが抽出され、撹拌対象領域外の情報k、すなわちAC成分は部分符号化部14に入力される。DC成分抽出部12で抽出された攪拌対象のDC成分はDC成分攪拌部13に入力され、撹拌方式qに従って攪拌される。部分符号化部14では攪拌されたDC成分j’と、それ以外の情報k、m(AC成分k、撹拌対象領域外の符号化情報mなど)をあわせて部分符号化し、攪拌後の符号化画像データとして出力する。
【0032】
前記DC成分攪拌部13における撹拌方法qとしては、いくつかの手法が考えられる。第1の方法としては、鍵系列を使って、同一ブロック内でDC成分そのものの値を加算、減算、乗算、除算などの演算、あるいはそれらの組み合わせにより演算値を決定する方法がある。たとえば、ある符号化ブロックnのDC成分DC(n)=Dnとして、変更後のDC成分DC’(n)=Dn+Xとすることができる。ただし、Xは鍵系列により生成される範囲(+C〜−C)の整数である。
【0033】
第2の方法としては、鍵系列を使って、DC成分を画面内で攪拌する方法がある。図7(a)の塗りつぶされたブロックを撹拌処理対象領域とした場合、同図(b)のように、ブロック単位で得られた同図(a)の当初位置のDC成分を、鍵系列により指定されたブロック位置に変更することができる。また、ブロック間の攪拌のほか、マクロブロック間で攪拌することも可能である。たとえば、同図(a)のように、MB2〜MB4が攪拌対象の場合、同図(c)のようにマクロブロックの順序を変更して攪拌することが可能である。
【0034】
第3の方法としては、鍵系列を使って、図8に示すように、輝度成分Y、色差成分Cb、Crを画面内で攪拌する方法がある。図8(a)の塗りつぶされた輝度成分Y、色差成分Cb、Crのブロックを撹拌処理対象領域とした場合、同図(b)のように、輝度Yは輝度ブロック間で、色差成分Cb、Crはそれぞれの色差ブロック間で、各個別に撹拌することも可能である。
【0035】
また、第4の方法としては、同図(c)のように、輝度Yと色差成分Cb、Crを混ぜて攪拌することも可能である。この場合、輝度も色差成分も攪拌されるため、攪拌強度の高い攪拌が可能である。また、輝度成分のみで攪拌しても良い。この場合、色情報は元の画像の位置で表示されるものの、物体の形状については別の位置に表示されるので、攪拌方法として利用できる。
【0036】
前記鍵系列の情報については、事前に決定しておくことも可能であるが、任意の鍵系列を指定するために、外部から前記DC成分攪拌部13に入力することも可能である。
【0037】
また、特定の画像領域のみについて撹拌するようにした場合、例えば、図3(a)のような画像領域10のみを撹拌するようにした場合には、当該領域10だけを部分復号し、それ以外の符号化データについては部分復号せずに部分符号化部14に入力される。部分符号化部14では、攪拌された画像領域の符号化データと攪拌されていない画像領域の符号化データをまとめて一連の符号化データとして出力される。
【0038】
次に、この技術をMPEG符号化データにて適用した場合について述べる。たとえばMPEG-1で符号化した場合、符号化データのDC成分はDCT係数上のDC成分が該当する。また、MPEG-1のマクロブロック層で撹拌した場合、マクロブロック単位で撹拌することができるため、特定の小領域で撹拌することが可能である。また、スライス層で撹拌した場合はスライス単位で撹拌することが可能なため、ブロック単位よりもまとまった単位で撹拌できる。また、MPEG-1などの場合、スライス単位でDC成分の差分符号化を行っているため、スライス内のブロック間で攪拌を行うことにより、攪拌前後で全体の符号量を変化させないようにすることができる。
【0039】
また、上記の方法では、攪拌したDC成分も攪拌前と同じ符号化仕様内に収まるため、MPEG-1などの国際標準規格に準拠した符号化データが入力された場合でも攪拌後についてもMPEG-1規格に準拠することが可能であり、攪拌後の符号化データをMPEG-1規格に準拠した再生手段で再生することが可能である。
【0040】
本実施例の方法により、DC成分のみを攪拌することにより、動きやシーンの複雑さに依存せずに、攪拌することが可能である。また、人間の視覚でもっとも重要なDC成分を攪拌することにより、AC成分をそのまま攪拌しない場合でも、攪拌領域については、内容を予測できない程度に攪拌することが可能である。
【0041】
(実施例2)AC成分の攪拌
【0042】
図9は圧縮画像データに対してAC成分を用いて画像を攪拌する実施例を示す。
【0043】
符号化画像データは部分復号部11に入力され、部分復号部11から得られる量子化変換係数がAC成分抽出部22に入力される。それ以外の情報は部分符号化部14に入力される。AC成分抽出部22では、量子化変換係数のうちAC成分のみが抽出され、攪拌対象のAC成分はAC成分攪拌部23に入力され、AC成分が攪拌される。それ以外の情報は部分符号化部14に入力される。部分符号化部14では攪拌されたAC成分とそれ以外の情報をあわせて攪拌後の符号化データとして出力する。
【0044】
AC成分の攪拌方法としては、(実施例1)で述べたDC成分の攪拌と同様な手法を用いることが可能である。
【0045】
すなわち、ブロック間の攪拌については、DC成分の攪拌と同様に、(1)色成分は攪拌せず輝度成分のみで攪拌する場合、(2)輝度成分と色成分をまとめて1つの鍵系列などで攪拌する場合、(3)輝度成分と色情報をそれぞれ別の鍵系列で攪拌する場合、いずれも利用することが可能である。この場合、鍵系列などで指定されたブロックにすべてのAC成分情報を移動させることにより攪拌を実現することができる。
【0046】
また、マクロブロック間で攪拌することも可能である。この場合、鍵系列などで指定されたマクロブロックの各ブロックにAC成分のみを移動させることにより攪拌を実現することができる。。
【0047】
さらに、AC成分の攪拌については、ブロック内における攪拌も可能である。たとえば、MPEG-1の場合、AC係数の位置と量子化DCT係数値に応じてそれぞれRun(前非零係数との距離)とLevel(量子化された係数値)を設定し、RunとLevelのペアで可変長符号化を行っている。このため、ブロック内のRunLevelペアを攪拌することにより、ブロック内におけるAC係数の攪拌を実現することが可能である。図10はある8×8ブロック25のAC係数を攪拌する場合の例を示す。この例は、ブロック25に6つのAC係数AC1〜AC6が存在する場合であり、当初の順序AC1、AC2、AC3、AC4、AC5、AC6が、鍵系列により、AC3、AC6、AC1、AC5、AC4、AC2に変更された場合を示す。スクランブル後のAC係数の値は右側のブロック26になる。
【0048】
この場合、AC係数の位置が変更になり、RunLevel情報の順番が変更されるものの、RunLevel情報のブロック内の数は変更されないため、攪拌してもブロック内の符号量は変化しない。このため、攪拌前と攪拌後で符号量を同一にすることができる。
【0049】
さらに、DC成分の撹拌の場合と同様に、同一ブロック内でAC係数の値を撹拌することも可能である。この場合、鍵系列を使って、同一ブロック内でAC成分そのものの値を加算、減算、乗算、除算などの演算、あるいはそれらの組み合わせにより演算値を決定する。
【0050】
また、攪拌したAC成分も攪拌前と同じ符号化仕様内に収まるため、MPEG-1などの国際標準規格に準拠した符号化データが入力された場合でも攪拌後についてもMPEG-1規格に準拠することが可能であり、攪拌後の符号化データをMPEG-1規格に準拠した再生手段で再生することが可能である。
【0051】
(実施例3)DCT係数の攪拌
【0052】
図11は圧縮画像データに対してDCT係数を用いて画像を攪拌する実施例を示す。
【0053】
符号化動画像データは部分復号部11に入力され、部分復号部11から得られる量子化変換係数がDCT係数抽出部32に入力される。それ以外の情報は部分符号化部14に入力される。DCT係数抽出部32では、DCT係数においてDC成分とAC成分が抽出され、攪拌対象のDCT係数はDCT係数攪拌部33に入力され、DCT係数が攪拌される。それ以外の情報は部分符号化部14に入力される。部分符号化部14では攪拌されたDCT係数とそれ以外の情報をあわせて攪拌後の符号化データとして出力する。ブロック間の攪拌やブロック内の攪拌については、実施例1や実施例2と同様な手段を用いることが可能である。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は、符号化時に撹拌処理をするようにした点に特徴がある。
【0055】
図12に、入力された画像データを符号化する時に、撹拌処理も合わせて行う方式を示す。画像データはDCTや量子化器やVLCなどで代表される第1の符号化部121に入力される。符号化出力のうち撹拌対象データについてはデータ撹拌部122に入力される。また撹拌対象外データについては第2の符号化部123に入力される。データ撹拌部122では符号化データが撹拌され、第2の符号化部123に入力される。第2の符号化部123では撹拌された符号化データと撹拌されていない符号化データを合わせて再符号化し、符号化データとして出力する。例えば、Iピクチャが撹拌対象で、時間的に後に位置するPピクチャが撹拌対象外の場合、撹拌されたIピクチャデータの後に撹拌されていないPピクチャデータが後に続くように符号化出力を行う。
【0056】
この場合も第1実施形態の図4、図5で説明したのと同様に、適切な撹拌方法を利用することで、撹拌しない場合と撹拌した場合で符号量を同一にすることができるほか、MPEGやJPEGなどの規格を撹拌後も遵守することが可能である。
【0057】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態は、撹拌された符号化データを撹拌時の逆の方法を用いて撹拌前の符号化データに復元するようにしたものである。
【0058】
図13を用いて説明する。撹拌された符号化データはVLDなどで構成される部分復号部131に入力される。部分復号後のデータは、撹拌対象領域に属する符号化情報については撹拌復元部132に入力させる。また、攪拌対象外の符号化情報はそのまま部分符号化部133に入力させる。攪拌復元部132では、例えば鍵系列情報に従って、撹拌された符号化情報を元の符号化情報に復元する。戻された符号化情報は撹拌対象外の符号化情報と共に部分符号化部133により撹拌前の符号化データとして出力される。
【0059】
例えば、Iピクチャが撹拌されており、その後に続くPピクチャが撹拌対象外であった場合、撹拌復元部132には撹拌されたIピクチャが入力されて復元され、撹拌前のIピクチャ情報が出力される。部分符号化部133は、撹拌前のIピクチャの後に撹拌されていないPピクチャ情報を合わせて符号化して出力する。
【0060】
なお、適切な撹拌方法を選択した場合、上記の方法で撹拌復元された符号化データは撹拌される前の符号化データと同一の符号化データに復元することが可能である。例えば、上の例で述べたIピクチャの場合、撹拌前のIピクチャ符号化データに完全に復元することにより、撹拌前の符号化データに戻すことが可能になる。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。この実施形態は、撹拌された符号化データを撹拌時の逆の方法を用いて撹拌される前の画像データに復元するようにしたものである。
【0062】
図14を用いて説明する。撹拌された符号化データは第1の復号部141に入力される。第1の復号部141で復号された符号化データは、撹拌対象領域に属する符号化情報については撹拌復元部142に入力される。また、攪拌対象外の符号化情報はそのまま第2の復号部143に入力される。攪拌復号部142では、例えば鍵系列情報に従って、撹拌された符号化情報を元の符号化情報に復元する。戻された符号化情報は撹拌対象外の符号化情報と共に、逆量子化や逆DCTで構成される第2の復号部143により撹拌前の画像データとして出力される。
【0063】
例えば、Iピクチャが撹拌されており、その後に続くPピクチャが撹拌対象外であった場合、撹拌復元部142には撹拌されたIピクチャが入力されて、撹拌前のIピクチャ符号化データが出力される。第2の復号部143には撹拌前のIピクチャの後に撹拌されていないPピクチャ情報が順に復号されて復元された画像が出力される。
【0064】
なお、DC成分の撹拌とAC成分の撹拌は適応的に組み合わせることによって、撹拌強度を制御することができる。例えば、撹拌強度を高めたい場合は、DC成分とAC成分それぞれを撹拌する。AC成分とDC成分を比べるとDC成分がより重要な情報を有しているため、撹拌強度を少し弱める場合はDC成分のみを用い、さらに弱める場合はAC成分のみを用いて撹拌することができる。また、IピクチャはDC成分とAC成分の両方を撹拌し、その他のピクチャはDC成分のみ撹拌するなど、限られた処理負荷で撹拌効果を最大化するために、符号化階層や画像領域に適応して撹拌方法を変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】撹拌対象領域情報の具体例の説明図である。
【図4】撹拌処理の前後で、符号化データレートが不変であることの説明図である。
【図5】撹拌処理の前後で、MPEGやJPEGなどの国際標準方式が同じであることの説明図である。
【図6】本発明の第1実施例(DC成分撹拌)を示すブロック図である。
【図7】DC成分のブロック間およびマクロブロック間撹拌の具体例の説明図である。
【図8】輝度と色差ブロックの撹拌の具体例の説明図である。
【図9】本発明の第2実施例(AC成分撹拌)を示すブロック図である。
【図10】ブロック内AC成分撹拌の説明図である。
【図11】本発明の第3実施例(DCT成分撹拌)を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・撹拌対象符号データ抽出部、2・・・データ撹拌部、3・・・符号化データ生成部、4・・・部分復号部、5・・・符号化データ抽出部、6・・・データ撹拌部、7・・・符号化データ生成部、8・・・部分符号化部、13・・・DC成分撹拌部、23・・・AC成分撹拌部、33・・・DCT係数撹拌部、122・・・データ撹拌部、132・・・撹拌復元部。
【出願人】 【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100084870
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 香樹

【識別番号】100079289
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 道人

【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二


【公開番号】 特開2008−17281(P2008−17281A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−187924(P2006−187924)