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【発明の名称】 撮像装置
【発明者】 【氏名】岡部 吉正

【要約】 【課題】傾き補正後のフレームを撮影時に正しく想像するのが困難であるため、フレーミングを誤って撮影を失敗する恐れがある。

【構成】本発明の撮像装置は被写体の画像データを生成する撮像装置であって、被写体の画像信号を生成する撮像手段と、自装置の傾き角を検出する傾き角検出手段と、前記画像信号に所定の処理を施した表示データを表示する表示手段と、を備え、前記表示手段に、前記表示データと、前記傾き角検出手段で検出された傾き角に基づいて得られた傾き補正後のフレームと、を表示すること、を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像データを生成する撮像装置であって、
被写体の画像信号を生成する撮像手段と、
自装置の傾き角を検出する傾き角検出手段と、
前記画像信号に所定の処理を施した表示データを表示する表示手段と、
を備え、
前記表示手段に、
前記表示データと、
前記傾き角検出手段で検出された傾き角に基づいて得られた傾き補正後のフレームと、を表示すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記傾き補正後のフレームは、
前記表示手段の表示部と同一形状の矩形領域又は矩形枠であって、
自装置の傾きに応じて前記表示手段の表示部における傾きが変化し、
自装置が水平になると前記表示手段の表示部と同一となることを、
特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記傾き補正後のフレームは、
前記表示手段の表示部に内接し、前記表示手段の表示部と相似をなす矩形領域又は矩形枠であって、
自装置の傾きに応じて前記表示手段の表示部における傾きが変化し、
自装置が水平になると前記表示手段の表示部と同一となることを、
特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記傾き補正後のフレームは、
前記表示データを透過する矩形領域であって、
前記表示手段の表示部の前記矩形領域に含まれない領域は透過しないことを、
特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記傾き補正後のフレームは、
前記表示データを透過する矩形領域であって、
前記表示手段の表示部の前記矩形領域に含まれない領域は半透過することを、
特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記傾き補正後のフレームは、
前記表示データに重畳した矩形枠であって、
前記表示手段の表示部の前記矩形枠に含まれない領域も透過することを、
特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記傾き角検出手段で検出された傾き角が0度であることを報知する報知手段をさらに備えたことを、
特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを生成する撮像装置に関するものであり、特には撮像装置を水平に保持するのが困難な場合でも正しくフレーミング(構図取り)できるよう工夫した撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラは大型の液晶モニタを装備するものが普及し、ファインダーを覗き込む必要が無いため操作がし易くなった。それにより利用者層や利用される場面が増えて更に普及が進んで来ている。旧来の銀塩カメラではフィルムと現像のコストが高かったため、三脚を使ってカメラを水平に保った状態で撮影するのが良しとされたが、プリントするまでコストがほとんど掛からないデジタルスチルカメラでは手持ちで撮影する方が普通である。また、学校の運動会や秋祭りのような野外行事ではカメラを片手持ちで人垣の上に突き出し、下から液晶モニタを見てフレーミングする人も見られる。このような方法で撮影すると、撮影画像に傾いたものが混じることが多い。
【0003】
特許文献1は、このような画像を修正できるよう特に工夫した撮像装置に関するものであり、「重力の方向を検出してその検出信号を出力する重力センサと、そのセンサからの検出信号に基づき、カメラ本体の傾き角を算出してその傾き角信号を出力する傾き角算出手段と、カメラ本体の傾き角を、そのとき撮影された撮影画像と関連させて記憶すると共にその記憶した情報を画像信号として出力可能な画像記憶手段と、出力時、傾き角だけ逆方向に傾けて略水平状態に直した画像に修正する画像処理手段と、を設ける」ことを特徴とする。上記技術によれば、撮影時にカメラの傾きを測定して画像とともに記録し、再生時に傾きを補正して表示することにより、カメラが傾いた状態で撮影した画像も正立した画像として表示されるようになる。
【0004】
上記はカメラの機能によって傾きを補正する手段であるが、画像編集ソフトでも同じ補正が可能である。どちらの場合でも、図2に示すように画像を回転させて像が正立するよう補正する。図2は画像の傾き補正を説明する図であり、図2において31は撮影した画像、32は傾き補正済み画像、33乃至35は写っている人物、36は切り出し枠、37は空白である。撮影した画像31では人物33乃至35は斜めに立っているように見え、非常に不自然である。傾き補正済み画像32は撮影した画像31から切り出し枠36の部分を切り出して回転したものである。傾き補正済み画像32では人物が正立するよう補正されているので、撮影した画像31のような著しい違和感は無い。
【0005】
しかし傾き補正済み画像32の構図を見ると、明らかな欠点が見える。まず人物33の頭と、人物35の足が画像の端で切り取られている。これは「頭切れ」、「足切れ」と呼ばれ、不吉であるとして非常に嫌う人がいる。
【0006】
また、画像の四隅に切り出し枠36が撮影した画像31と重ならない部分があるために生じた空白37があり、これも不自然である。図3は同じく画像の傾き補正を説明する図であり、図中の符号も図2と同じで、31は撮影した画像、32は傾き補正済み画像、33乃至35は写っている人物、36は切り出し枠である。図3では切り出し枠を撮影した画像31の内側に入るよう小さくしてあり、回転を補正するのと同時に拡大して元の画像と同じ大きさに揃えている。図3の傾き補正済み画像32を見ると図2の傾き補正済み画像32のような四隅の空白は無い。しかし写っている人物33乃至35を見ると全員、頭や手足が切り取られており、構図が全くよろしくない。
【0007】
このような不具合は画像の傾き補正に伴って発生するのであり、カメラを水平に構えて撮影していれば傾き補正の必要は無くなる、という考え方もある。特許文献2はカメラを手持ちで撮影する場合でもカメラが水平かどうか確認できるよう、画面に水平線を表示するよう提案している。図4は特許文献2の撮像装置の液晶モニタ上の画像を表した図である。図4において、38は画面の端に平行な直線、39は水平線に平行な直線である。特許文献2に記載の撮像装置も傾きセンサを備えており、測定した傾き量を画面の端に平行な直線38と水平線に平行な直線39の間の角度として表示するので、ユーザーは2本の直線が重なるようカメラの姿勢を直してから撮影すれば正立した像が撮れる。
【0008】
しかし傾いた画像を撮影してしまう理由は、水平線が分からないからではなくカメラを水平に保つ余裕が無いためであることが多い。例えば運動会でトラックを走る自分の子供を人垣の上に突き出した手持ちのカメラで撮影する場合を考えてみよう。自分の子供が他の子供とかぶらずに撮れる時間は限られているので、フレーミングよりもシャッターチャンスを優先して撮影しなければならない。液晶モニタで自分の子供を追って、シャッターチャンスが来たら逃さずに撮影すべきであり、水平線を確かめてカメラの姿勢を直す余裕などない。後で補正できることを考えればカメラが水平かどうかは大きな問題ではなく、傾き補正した後で自分の子供が正しくフレームに納まっていれば、それで十分である。但し、カメラを水平に保てないような困難な状況下で傾き補正後のフレームを正しく想像することは容易ではない。
【特許文献1】特開2006−129391号公報
【特許文献2】特開2004−138737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、傾き補正後のフレームを撮影時に正しく想像するのが困難であるため、フレーミングを誤って撮影を失敗する恐れがあることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の撮像装置は被写体の画像データを生成する撮像装置であって、被写体の画像信号を生成する撮像手段と、自装置の傾き角を検出する傾き角検出手段と、前記画像信号に所定の処理を施した表示データを表示する表示手段と、を備え、前記表示手段に、前記表示データと、前記傾き角検出手段で検出された傾き角に基づいて得られた傾き補正後のフレームと、を表示すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影時に傾き補正後のフレームが表示されるので、フレーミングの誤りによる撮影ミスが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施例におけるカメラの構成を示すブロック図である。図1において、10は撮像回路、11はメインメモリ、12は傾き検出回路、13は制御回路、14は画像処理回路、16は圧縮回路、17は記録回路、18は表示回路、19は操作回路である。
【0013】
撮像手段である撮像回路10は入射光の像をRGB三原色に分解して画像信号であるデジタル化したRAWデータに変換し、メインメモリ11にRAWデータを書き込む。画像処理回路14はメインメモリ11からRAWデータを読み出し、色空間変換を行ってRAWデータを表示データであるYCデータに変換し、生成したYCデータをメインメモリ11に書き出す。圧縮回路16はメインメモリ11からYCデータを読み出してJPEG圧縮変換を行い、画像データである生成したJPEGファイルをメインメモリ11に書き出す。記録回路17はメインメモリ11からJPEGファイルを読み出して記録回路17のスロット内に納められたメモリカードに書き込む。表示回路18はメインメモリ11からYCデータを読み出して表示手段である液晶モニタに表示する。
【0014】
傾き角検出手段である傾き検出回路12は回転するコマ、即ちジャイロを内蔵しており、カメラの向きが変わってもコマにトルクが伝わらないよう支持されている。コマの重心は支持位置より下にしてあるので、ジャイロが静止している時はコマの軸は鉛直になる。ジャイロを回転させると回転モーメントにより軸の方向が鉛直のまま固定されるので、軸に対するカメラの角度を計測することにより、カメラの傾き角を得ることが出来る。
【0015】
制御回路13はマイコンにより構成してあり、カメラ内の全ての回路の監視と制御を行う。操作回路19はシャッター釦を含むスイッチ回路であり、制御回路13は操作回路19の状態に従って撮影動作を制御する。
【0016】
撮像回路10はスチルモードとモニタモードの二つの動作モードがあり、モニタモードではTV相当の低解像度の画像を毎秒30コマの速度で出力し、スチルモードでは0.3秒前後の時間をかけて高画素数の画像を出力する。シャッター釦が押されるまで制御回路13は撮像回路10をモニタモードで動作させる。撮像回路10がモニタモードの時は、制御回路13は圧縮回路16と記録回路17は動作させず、画像処理回路14と表示回路18を動作させる。画像処理回路14はモニタモードのRAWデータをYCデータに変換し、表示回路18はYCデータを液晶モニタに表示する。
【0017】
シャッター釦が押されると制御回路13は撮像回路10をスチルモードで動作させるとともに、画像処理回路14と圧縮回路16と記録回路17を順次動作させ、最終的には撮像回路10が捕らえた画像を記録回路17が保持するメモリカードに記録する。
【0018】
この時、撮像回路10が出力する画素数を調整することにより、撮影直前にモニタモードで表示回路18の液晶モニタ上に表示されたフレームと、スチルモードで記録回路17においてメモリカードに記録されるフレームが同一になるようにしている。このモニタ上で見えるフレームと撮影時に記録されるフレームが同一である状態を「視野率100%」と呼び、フレーミングを正しく行うための最適な条件とされている。
【0019】
制御回路13は傾き検出回路12から傾き角θを取得して表示回路18に傾き補正後のフレームを表示する。図5は傾き補正後のフレームを求める数理を説明する図である。
図5(A)は傾き角θが0度の時のフレームを表す図である。傾き角θが0度であれば傾き補正は必要ないので、傾き補正後のフレームは通常の傾き補正していない表示画像のフレーム、即ち表示回路18の液晶モニタの表示範囲(表示部)全体と同一である。フレームの大きさを対角線の長さDで表現することにし、液晶モニタの垂直画素数をV、対角線の傾きをωとすると、対角線の長さD=V/sinωの関係が成り立つ。
【0020】
図5(B)は検出された傾き角がθの時の傾き補正後のフレームを表す図である。傾き補正後のフレームは液晶モニタの枠に対して角度θだけ傾いた長方形になる。傾き補正後のフレームは液晶モニタの枠と相似であるから角度の関係は変わらない。即ち、傾き補正後のフレームの対角線と傾き補正後のフレームの底辺の成す角は変わらずωである。傾き補正後のフレームは液晶モニタの枠に対して角度θだけ傾いているので、傾き補正後のフレームの対角線の傾き角は(ω+θ)になる。傾き補正後のフレームの対角線は液晶モニタの枠の上辺から下辺まで達するので、傾き補正後のフレームの対角線の長さをD’とすると、傾き補正後のフレームの対角線の長さD’=V/sin(ω+θ)の関係が成り立つ。傾き角θが0度の時と比較すると、大きさは(D’/D)=sinω/sin(ω+θ)倍になる。傾き補正後のフレームの辺と対角線の長さの比は傾き角によらず一定なので、傾き補正後のフレームの幅と高さも対角線の長さと同じ比率で変化する。つまり、検出された傾き角がθの時の傾き補正後のフレームは液晶モニタの枠をsinω/sin(ω+θ)倍に縮小し、角度θだけ傾けた長方形である。
【0021】
本実施例では図3のように補正後の画像に空白ができないよう、傾き補正後のフレームを小さくして、撮影画像のフレームの内側に傾き補正後のフレームを取る方法に沿って説明しているが、図2のように四辺に空白が出来ることを承知の上で傾き補正後もフレームを小さくしない方法を採ることも可能である。その場合、傾き補正後のフレームは液晶モニタの枠を、大きさを変えずに角度θだけ傾けた長方形になる。
【0022】
図6は本実施例の撮像装置の液晶モニタの画像を示した図であり、液晶モニタ上に傾き補正後のフレームを表す方法を複数例示している。図6(A)では液晶モニタ上で傾き補正後のフレーム以外の部分を黒く塗りつぶして傾き補正後のフレーム内の部分だけモニタ画像が見えるようしている。図6(B)は補正で消える部分を半透過で視認できるようにしたもの、図6(C)は単に長方形の枠で傾き補正後のフレームの大きさと傾きを表示したものである。これら表示方法はそれぞれ一長一短があるので用途に応じて使い分ければよいが、カメラを水平に保てないような困難な状況下での撮影を考えると、補正で消える部分を黒塗りで消してあるモニタ画像(図6(A))が最も直観的に傾き補正後のフレームを理解できると考えられる。
【0023】
なお、図6において、被写体と傾き補正後のフレームに加えて、各種撮影情報が表示されていても良い。また、傾き角が0度になると、表示やランプやブザーなどでユーザーに報知するようにすれば、さらに利便性を向上することができる。
【0024】
いずれにしても、上に示した式から分かるように液晶モニタ上の傾き補正後のフレームの大きさはカメラの傾き角が減少すると増加し、傾き角θが0度の時に最大になる。従ってカメラの傾きを知らせて傾きを補正するよう促す効果もある。
【0025】
また、傾き補正後の画像を最終的な出力画像と考えると、本実施例の液晶モニタ上で見える範囲は増減なく100%が最終的な出力画像になるので、傾き補正後の最終出力画像に対して視野率100%である、と言うことが出来る。即ち、液晶モニタ上で見える範囲はカメラが傾いた状態であっても確実に最終的な出力画像に収まるので、傾き補正の後で頭切れや足切れに気づくような失敗を避けられる。
【0026】
このように本発明の撮像装置を用いれば、カメラの傾きは気にせずに、液晶モニタに被写体を写してシャッターを押すだけで誤り無く撮影できるので、カメラの水平維持を気にしてシャッターチャンスを逃すことは無くなり、カメラを水平に保てないような困難な状況下でも被写体に意識を集中して撮影を行うことが出来るようになる。
【0027】
本発明は撮影時の動作を改良するものであり、傾き補正は撮影後に画像編集ソフトで行ってもよいし、撮影時に撮像装置自身が行ってもよい。また、傾きを検出するセンサは実施例で紹介したジャイロを用いるものに限定するものではなく、各種提案の方式と任意に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、デジタルスチルカメラに適用可能であり、同様のデジタルスチルカメラ機能を持つ携帯電話又はデジタルビデオカメラ等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例におけるカメラの構成を示すブロック図
【図2】画像の傾き補正を説明する図
【図3】画像の傾き補正を説明する図
【図4】特許文献2の撮像装置の液晶モニタ上の画像を表した図
【図5】傾き補正後のフレームを求める数理を説明する図
【図6】本実施例のカメラの液晶モニタの画像を示した図
【符号の説明】
【0030】
10 撮像回路
11 メインメモリ
12 傾き検出回路
13 制御回路
14 画像処理回路
16 圧縮回路
17 記録回路
18 表示回路
19 操作回路
31 撮影した画像
32 傾き補正済み画像
33、34、35 写っている人物
36 切り出し枠
37 空白
38 画面の端に平行な直線
39 水平線に平行な直線
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−17095(P2008−17095A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185229(P2006−185229)