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【発明の名称】 手ぶれ補正機能付き撮像装置
【発明者】 【氏名】芹川 義雄

【要約】 【課題】レリーズボタンの操作によって生じる手ぶれの生じる方向が予め予測できることに鑑み、レリーズボタンの押し下げ操作から露光開始までの時間を極力短くでき、かつ、手ぶれ補正範囲を有効に活用できる手ぶれ補正機能付き撮像装置を提供する。

【構成】撮影光学系を通して得られる撮影光束を被写体像P’として受像する撮像素子101と、手ぶれにより発生する手ぶれ量を検出する手ぶれ検出センサと、手ぶれ検出センサにより検出された手ぶれ量に基づき被写体像P’の移動量を算出する算出手段と、算出手段の算出結果に基づき撮像素子101を被写体像P’の移動方向に追従させる手ぶれ補正機構とを備え、手ぶれ補正開始時点において撮影光軸上を通る撮影光束が撮像素子101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向Q4と逆方向の位置となるように撮像素子101があらかじめセットされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を通して得られる撮影光束を被写体像として受像する撮像素子と、手ぶれにより発生する手ぶれ量を検出する手ぶれ検出センサと、該手ぶれ検出センサにより検出された手ぶれ量に基づき前記被写体像の移動量を算出する算出手段と、該算出手段の算出結果に基づき前記撮像素子を前記被写体像の移動方向に追従させる手ぶれ補正機構とを備え、手ぶれ補正開始時点において前記撮影光軸上を通る撮影光束が前記撮像素子に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置がレリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるように前記撮像素子があらかじめセットされていることを特徴とする手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項2】
撮影光学系を通して得られる撮影光束を被写体像として受像する撮像素子と、手ぶれにより発生する手ぶれ量を検出する手ぶれ検出センサと、該手ぶれ検出センサにより検出された手ぶれ量に基づき前記被写体像の移動量を算出する算出手段と、該算出手段の算出結果に基づき前記撮像素子を前記被写体像の移動方向に追従させる手ぶれ補正機構と、手ぶれ補正開始時点において前記撮影光軸上を通る撮影光束が前記撮像素子に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置が前記レリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるように前記撮像素子を設定する設定手段とを備えていることを特徴とする手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子の中心位置が前記レリーズボタンの押し下げ操作時に発生する手ぶれ量の中間位置になるように前記撮像素子が設定されることを特徴とする請求項2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項4】
前記設定手段は前記レリーズボタンの第1段の押し下げから第2段の押し下げまでに要した時間によって前記手ぶれ補正開始位置が変更されるように前記撮像素子を制御することを特徴とする請求項2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項5】
前記設定手段は前記レリーズボタンの第2段目の押し下げから露光開始までの間の待ち時間に基づき前記手ぶれ補正開始位置が変更されるように前記撮像素子を制御することを特徴とする請求項2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、手ぶれ補正機能付き撮像装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、手ぶれ補正機能付き撮像装置としてのデジタルカメラには、レリーズボタンの第1段目の押し下げにより測光・測距等を行い、第2段目の押し下げによる露光の開始の際に、撮影時のシャッタースピードによりレリーズボタンの第2段目の押し下げから露光開始までの時間を変更し、レリーズボタンの押し下げによる初期ぶれが収れんした時点で露光を開始するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−232418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の手ぶれ補正機能付き撮像装置では、レリーズボタンの押し下げ操作により発生する手ぶれがもっとも大きいために、レリーズ操作直後の手ぶれ補正量を大きく設定する必要がある一方、レリーズボタンの押し下げタイミングが撮影タイミングでもあるので、レリーズボタンの押し下げ操作から露光開始までの時間をできる限り短くするのが望ましい。
【0004】
ところが、その従来の手ぶれ補正機能付き撮像装置では、レリーズボタンの押し下げ操作による手ぶれがほぼ収れんした時点で露光を開始するので、本質的にレリーズボタンの押し下げ操作から露光開始までの時間をできる限り短くし難いという不都合がある。
【0005】
その一方、手ぶれ補正の範囲はあらかじめ光学設計的に定まっているので、手ぶれ補正範囲を有効に活用できるようにするのが望ましい。
【0006】
本発明は、レリーズボタンの操作によって生じる手ぶれの生じる方向が予め予測できることに鑑み、レリーズボタンの押し下げ操作から露光開始までの時間を極力短くでき、かつ、手ぶれ補正範囲を有効に活用できる手ぶれ補正機能付き撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置は、撮影光学系を通して得られる撮影光束を被写体像として受像する撮像素子と、手ぶれにより発生する手ぶれ量を検出する手ぶれ検出センサと、該手ぶれ検出センサにより検出された手ぶれ量に基づき前記被写体像の移動量を算出する算出手段と、該算出手段の算出結果に基づき前記撮像素子を前記被写体像の移動方向に追従させる手ぶれ補正機構とを備え、手ぶれ補正開始時点において前記撮影光軸上を通る撮影光束が前記撮像素子に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置がレリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるように前記撮像素子があらかじめセットされていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置は、撮影光学系を通して得られる撮影光束を被写体像として受像する撮像素子と、手ぶれにより発生する手ぶれ量を検出する手ぶれ検出センサと、該手ぶれ検出センサにより検出された手ぶれ量に基づき前記被写体像の移動量を算出する算出手段と、該算出手段の算出結果に基づき前記撮像素子を前記被写体像の移動方向に追従させる手ぶれ補正機構と、手ぶれ補正開始時点において前記撮影光軸上を通る撮影光束が前記撮像素子に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置が前記レリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるように前記撮像素子を設定する設定手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置は、前記撮像素子の中心位置が前記レリーズボタンの押し下げ操作時に発生する手ぶれ量の中間位置になるように前記撮像素子が設定されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置は、前記設定手段は前記レリーズボタンの第1段の押し下げから第2段の押し下げまでに要した時間によって前記手ぶれ補正開始位置が変更されるように前記撮像素子を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置は、前記設定手段は前記レリーズボタンの第2段目の押し下げから露光開始までの間の待ち時間に基づき前記手ぶれ補正開始位置が変更されるように前記撮像素子を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、手ぶれ補正開始時点において撮影光軸上を通る撮影光束が前記撮像素子に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置が、レリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるように撮像素子があらかじめ設定されているので、レリーズボタンの押し下げ操作から露光開始までの時間を極力短くでき、かつ、手ぶれ補正範囲を有効に活用できる。
【0013】
請求項2、請求項3に記載の発明によれば、手ぶれ補正開始時点において撮影光軸上を通る撮影光束が撮像素子に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置がレリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるように撮像素子を設定する設定手段を備えているので、レリーズボタンの押し下げ操作から露光開始までの時間を極力短くでき、かつ、手ぶれ補正範囲を有効に活用できる。
【0014】
また、手ぶれ補正開始位置がレリーズボタンの押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置であるので、手ぶれ補正範囲を従来と同等に設定するとしたときは、撮影光学系のレンズの有効径を小さくできる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、手ぶれ量の大きさに応じて手ぶれ補正開始位置を変更できるという効果を奏する。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、露光開始までの待ち時間に基づき手ぶれ補正開始位置を変更するので、無用な手ぶれ補正開始位置への撮像素子の移動を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係わる撮像装置としてのデジタルカメラの実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0018】
(デジタルカメラの一般的構成)
図1は本発明に係わる撮像装置としてのデジタルカメラの一例を示す正面図、図2はその背面図、図3はその上面図、図4はそのデジタルカメラの内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【0019】
図1において、カメラ本体の上面には、レリーズボタンSW1、モードダイアルSW2、図3に示すサブ液晶ディスプレイ1が配設されている。
【0020】
カメラ本体の正面には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモートコントロール受光部6が設けられている。
【0021】
カメラの背面には、図2に示すように電源スイッチSW13、LCDモニタ10、AFLED8、ストロボLED9、光学ファインダ4、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定・削除スイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動・ストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動・マクロスイッチSW10、左移動・画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、手ぶれ補正スイッチSW14が設けられている。カメラ本体の側面にはメモリカード/電池装填室の蓋2が設けられている。
【0022】
これらの各部材の機能及び作用は公知であるので、その説明は省略することにし、次にカメラの内部のシステム構成を説明する。
【0023】
その図4において、104はデジタルスチルカメラプロセッサ(プロセッサともいう)である。
【0024】
プロセッサ104は、A/D変換器10411、CCD1信号処理ブロック1041、CCD2信号処理ブロック1042、CPUブロック1043、ローカルSRAM1044、USBブロック1045、シリアルブロック1046、JPEG・CODECブロック(JPEG圧縮・伸長を行うブロック)1047、RESIZEブロック(画像データのサイズを補間処理により拡大・縮小するブロック)1048、TV信号表示ブロック(画像データを液晶モニタ・TVなどの外部表示機器に表示させるためのビデオ信号に変換するブロック)1049、メモリカードコントローラブロック(撮影画像データを記録するメモリカードの制御を行うブロック)10410を有している。これらの各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
【0025】
プロセッサ104の外部にはRAW−RGB画像データ(ホワイトバランス設定、γ設定が行われた状態の画像データ)、YUV画像データ(輝度データ、色差データ変換が行われた状態の画像データ)、JPEG画像データ(JPEG圧縮された状態の画像データ)を保存するSDRAM103が配置され、このSDRAM103はプロセッサ104にメモリコントローラ(図示を略す)、バスラインを介して接続されている。
【0026】
プロセッサ104の外部には、更に、RAM107、内蔵メモリ(メモリカードスロットルにメモリカードが装着されていない場合でも撮影画像データを記憶するためのメモリ)120、制御プログラム、パラメータなどが格納されたROM108が設けられ、これらもバスラインによってプロセッサ104に接続されている。
【0027】
その制御プログラムは、カメラの電源スイッチSW13をオンすると、プロセッサ104のメインメモリ(図示を略す)にロードされ、プロセッサ104はその制御プログラムに従って各部の動作制御を行うと共に、制御データ、パラメータ等をRAM107等に一時的に保存させる。
【0028】
鏡胴ユニット7は、ズームレンズ71aを有するズーム光学系71、フォーカスレンズ72aを有するフォーカス光学系72、絞り73aを有する絞りユニット73、メカニカルシャッター74aを有するメカニカルシャッターユニット74からなるレンズ鏡筒を備えている。
【0029】
ズーム光学系71、フォーカス光学系72、絞りユニット73、メカニカルシャッターユニット74は、ズームモータ71b、フォーカスモータ72b、絞りモータ73b、メカニカルシャッターモータ74bによってそれぞれ駆動されるようになっている。
【0030】
これらの各モータはモータドライバ75によって駆動され、このモータドライバ75はプロセッサ104のCPUブロック1043によって制御される。
【0031】
鏡胴ユニット7の各レンズ系により撮像素子としてのCCD101に被写体像が結像され、CCD101は被写体像を画像信号に変換してF/E−IC102に画像信号を出力する。F/E−IC102は画像ノイズ除去用のため相関二重サンプリングを行うCDS1021、利得調整用のAGC1022、アナログデジタル変換を行うA/D変換部1023から構成されている。すなわち、F/E−IC102はその画像信号に所定の処理を施し、アナログ画像信号をデジタル信号に変換してプロセッサ104のCCD1信号処理ブロック1041に向けてこのデジタル信号を出力する。
【0032】
これらの信号制御処理は、プロセッサ104のCCD1信号処理ブロック1041から出力される垂直同期信号VD・水平同期信号HDによりTG1024を介して行われる。
【0033】
そのTG1024はその垂直同期信号VD・水平同期信号HDに基づき駆動タイミング信号を生成する。
【0034】
プロセッサ104のCPUブロック1043は、音声記録回路1151による音声記録動作を制御するようになっている。音声記録回路1151はマイクロフォンで1153で変換された音声記録信号のマイクロフォンアンプリファイア1152による増幅信号を指令に応じて記録する。CPUブロック1043は、音声再生回路1161の動作も制御する。音声再生回路1161は、指令により適宜メモリに記憶されている音声信号を再生してオーディオアンプリファイア1162に出力し、スピーカ1163から音声を出力させるように構成されている。
【0035】
CPUブロック1043は、更に、ストロボ回路114を制御することによってストロボ発光部3から照明光を発光させる。これに加えて、CPUブロック1043は、測距ユニット5も制御する。
【0036】
CPUブロック1043は、プロセッサ104のサブCPU109に接続され、サブCPU109はLCDドライバ111を介してサブLCD1による表示制御を行う。サブCPU109は、更に、AFLED8、ストロボLED9、リモートコントロール受光部6、操作スイッチSW1〜SW14からなる操作キーユニット、ブザー113に接続されている。
【0037】
USBブロック1045はUSBコネクタ122に接続され、シリアルブロック1046はシリアルドライバ回路1231を介してRS−232Cコネクタ1232に接続されている。TV信号表示ブロック1049は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ10に接続されると共に、ビデオアンプリファイア(TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号を75Ωインピーダンスに変換するためのアンプリファイア)118を介してビデオジャック(カメラをTVなどの外部表示機器に接続するためのジャック)119に接続されている。メモリカードコントローラブロック10410はメモリカードスロットル121のカード接点との接点に接続されている。
【0038】
LCDドライバ117はLCDモニタ10を駆動すると共に、TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号をLCDモニタ10に表示させる信号に変換する役割を果たす。LCDモニタ10は撮影前の被写体の状態監視、撮影画像の確認、およびメモリカード又は内蔵メモリ120に記録された画像データを表示するために用いられる。
【0039】
デジタルカメラの本体には、鏡胴ユニット7の一部を構成する固定筒(図示を略す)が設けられている。この固定筒にはCCDステージ1251がX−Y方向(撮影光軸をZ方向としてこの方向と直交するXY平面内での移動方向)に移動可能に設けられている。
【0040】
CCD101は手ぶれ補正機構の一部を構成するCCDステージ1251に搭載されている。そのCCDステージ1251はアクチュエータ1255によって駆動され、アクチュエータ1255はドライバー1254によって駆動制御される。そのドライバー1254はコイルドライブMD1とコイルドライブMD2とから構成されている。そのドライバー1254はアナログデジタル変換器IC1に接続され、そのアナログデジタル変換器IC1はROM108に接続され、このアナログデジタル変換器IC1にはROM108から制御データが入力される。
【0041】
固定筒には手ぶれ補正スイッチSW14がオフ、電源スイッチSW13がオフのときにCCDステージ1251を中央位置に保持する原点位置強制保持機構1263が設けられている。この原点位置強制保持機構1263はアクチュエータとしてのステッピングモータSTM1により制御され、そのステッピングモータSTM1はドライバー1261によって駆動される。このドライバー1261にはROM108から制御データが入力される。
【0042】
CCDステージ1251には位置検出素子1252が取り付けられている。この位置検出素子1252の検出出力はアンプリファイア1253に入力され、増幅されてA/D変換器10411に入力される。カメラ本体にはジャイロセンサ1241がX方向とY方向との回転を検出可能に設けられ、ジャイロセンサ1241の検出出力はローパスフィルタ兼用のアンプリファイア1242を介してA/D変換器10411に入力される。
【0043】
その固定筒、CCDステージ1251の詳細なメカニカルな構造、原点位置保持強制機構1263、CCDステージ1251の詳細構造、ジャイロセンサ1241は、本発明に直接的に関係するものではなく、本発明の理解の便宜のために説明したものであり、これらの一例については、例えば、特願2005−294511号を参照されたい。
【0044】
そのジャイロセンサ1241は手ぶれにより発生するカメラ本体の手ぶれ量を検出する検出センサとして機能し、プロセッサ104は手ぶれ検出センサにより検出された手ぶれ量に基づき被写体像の移動量を算出する算出手段として機能する。手ぶれ補正機構の算出手段の算出結果に基づきCCD101を被写体像の移動方向に追従させる。
【0045】
ズーム光学系71、フォーカス光学系72、絞りユニット73、メカニカルシャッターユニット74は撮影光学系を構成し、そのCCD101は撮影光学系の撮影光軸に対して直交する平面と撮影光軸との交点である原点に中心位置が存在するようにして待機されかつ撮影光学系を通して得られた撮影光束を被写体像として受像する。
【0046】
以下、従来の手ぶれ補正の原理について説明し、その後に本発明に係わる手ぶれ補正について説明する。
(従来の手ぶれ補正の原理)
図5はレリーズボタンSW1の押し下げ操作に基づくカメラ本体の手ぶれの方向を説明するための模式図であって、被写体Pとその撮影光学系を構成するレンズLとCCD101との関係を示す概念図であり、(a)はCCD101が撮影光学系の撮影光軸O1に対して直交する平面と撮影光軸O1との交点にCCD101の中心位置O3が存在するようにして待機されかつ撮影光学系を通して得られた撮影光束に基づく被写体画像を受像しているときの結像位置を示す図、(b)はその撮影光学系の有効範囲とCCD101との関係を示す概念図であって、被写体Pと撮影光学系とCCD101とが(a)に示す関係にあるときに撮影光学系を通して得られた撮影光束に基づく被写体像P’を受像しているときの結像状態を示している。なお、符号FLはレンズLによる有効撮影範囲、符号O2は撮影光軸O1と中心位置O3とによって定義される原点である。
【0047】
被写体PとレンズLとCCD101とが図5(a)に示す位置関係にあるときに、レリーズボタンSW1を押し下げると、図6に示すように、レリーズボタンSW1を押し下げ操作に基づく手ぶれに起因して、カメラ本体が下方に傾き、撮影光学系を通して得られた撮影光束が原点O2に待機するCCD101の中心位置O3からずれた位置に結像しようとする。
【0048】
ジャイロセンサ1241はレリーズボタンSW1の押し下げ操作による手ぶれ量を検出し、プロセッサ104は、ジャイロセンサ1241により得られた手ぶれ量に基づき、被写体像の移動量を算出してその算出結果に基づき原点O2からCCD101を被写体像P’の移動方向に追従するようにCCD101を移動させる。
【0049】
図7は撮影光学系の撮影光軸O1と追従後のCCD101との相対位置関係を示し、図8はレリーズボタンSW1の押し下げ操作のタイミングと手ぶれ補正開始時点Q0において撮影光軸O1を通る撮影光束が撮像面上に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1との関係を示す説明図である。
【0050】
従来の手ぶれ補正では、手ぶれ補正スイッチSW14をオンし、レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げ操作(RL1)により、手ぶれ検出が開始され、ついで、レリーズボタンSW1の第2段目の押し下げ操作(RL2)により、CCD101の中心位置O3から手ぶれ補正が開始され、所定時間経過後(レリーズタイムラグ)に露光が開始されて、例えば約8分の1秒(1/8sec)の露光時間経過後、カメラ本体の下方に傾きに伴う被写体像の移動に追従しつつかつ細かな高周波の手ぶれに伴う被写体像の移動に追従しつつ手ぶれ補正が行われる。
【0051】
この従来の手ぶれ補正では、手ぶれ補正開始位置Q1は、CCD101を基準にして、CCD101の中心位置(撮影光軸O1の中心)O3に存在し、手ぶれ補正開始位置Q1からカメラ本体の下方に傾きに伴って、被写体像P’が下方(例えば、Q4方向)に移動する。
【0052】
ここで、そのCCD101の中心位置O3を基準にしてその補正範囲Q2が画素個数に換算してプラス・マイナス50画素であるとして、被写体像P’の最大ぶれ位置が図8に符号P’で示すように補正範囲Q2の下限Q3に位置することがある。
【0053】
被写体像P’が補正範囲Q2の下限Q3に位置すると、撮影光軸O1(中心位置O3)から像が大きく外れるので、画質の劣化が起こる。
(本発明の手ぶれ補正の原理)
(本発明に係わる手ぶれ補正撮影の一例)
本発明に係わる手ぶれ補正では、図9、図10に示すように、手ぶれ補正開始時点Q0において撮影光軸O1上を通る撮影光束がCCD101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101があらかじめセットされている。
【0054】
通常のデジタルカメラでは、図5(a)に示すようにCCD101の中心O3は原点O2に保持されているが、ここでは、CCD101の中心O3は図5(a)示す原点O2からはじめからオフセットされている。
【0055】
本発明に係わる手ぶれ補正では、図10に示すように、手ぶれ補正スイッチSW14をオンし、レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げ操作(RL1)により、手ぶれ検出が開始され、ついで、レリーズボタンSW1の第2段目の押し下げ操作(RL2)により、CCD101の中心位置O3よりも上方から手ぶれ補正が開始され、所定時間経過後(レリーズタイムラグ)露光が開始されて、例えば約8分の1秒(1/8sec)の露光時間経過後、カメラ本体の下方に傾きに伴う被写体像P’の移動に追従しつつかつ細かな高周波の手ぶれ振動に伴う被写体像P’の移動に追従しつつ手ぶれ補正が行われる。
【0056】
すなわち、このものでは、手ぶれ補正開始時点Q0において撮影光軸O1上を通る撮影光束がCCD101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向Q4と逆方向の位置とされ、手ぶれ補正開始位置Q1からカメラ本体の下方に傾きに伴って、被写体像P’がCCD101の中心位置O3に向かう方向に移動する。
【0057】
このように、本発明に係わる手ぶれ補正によれば、レリーズボタンSW1の操作に伴う手ぶれ補正開始位置Q1が中心位置O3から像の移動方向と逆方向にあらかじめオフセットされているので、図10に示すように、レリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向最大ぶれ位置を下限Q3に対して底上げすることができ、被写体像P’が手ぶれ補正開始位置Q1からカメラ本体の下方に傾きに伴って、CCD101の中心位置O3に向かう方向に移動するので、CCD101の補正範囲Q2内に余裕をもって入ることになり、レリーズボタンSW1の操作に伴う手ぶれ補正に起因する画質の劣化を回避できる。
【0058】
この場合に、CCD101の中心位置O3が、図10に示すようにレリーズボタンSW1の押し下げ操作時に発生する手ぶれ量QWの中間位置となるように手ぶれ補正開始位置Q1を設定するのが望ましい。
【0059】
この実施例では、手ぶれ補正開始時点Q0において撮影光軸O1上を通る撮影光束がCCD101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1をレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101をあらかじめセットする構成としたが、図5(a)に示すように、CCD101の中心位置O3を原点O2に待機させておき、手ぶれ補正開始時点Q0において手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101を設定する設定手段としての機能をプロセッサ104に設ける構成としても良い。
(手ぶれ補正撮影の一例を示すフローチャート)
図11は手ぶれ補正による撮影の一例を説明するためのフローチャートであって、手ぶれ補正スイッチSW14をオンにすると、デジタルカメラは手ぶれ補正モードとなり、プロセッサ104は、手ぶれ補正開始時点Q0において撮影光軸O1上を通る撮影光束がCCD101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101を原点O2から移動させて設定する(S.1)。
【0060】
なお、このフローチャートでは、CCD101の中心位置O3を原点O2にあらかじめ待機させているものとして説明している。
【0061】
ついで、プロセッサ104はLCDモニタ10に被写体像が映し出されるようにLCDモニタ10を制御する(S.2)。
【0062】
次に、プロセッサ104はレリーズボタンSW1の第1段目の押し下げ操作があったか否か(RL1=ON?)を判断する(S.3)。プロセッサ104は、S.3において、イエス(Y)の場合、レリーズボタンSW1の第2段目の押し下げ操作があったか否か(RL2=ON?)を判断する(S.4)。
【0063】
プロセッサ104は、S.4において、イエス(Y)の場合、手ぶれ補正及び露光を開始する(S.5)。そして、プロセッサ104は、所定の露光時間が経過したか否かを判断する(S.6)。この所定の露光時間中に、手ぶれ補正が実行され、CCD101は像の移動に追従される。
【0064】
プロセッサ104は露光時間が経過すると(イエス(Y)の場合)、手ぶれ補正及び露光を終了させ(S.7)、通常のデジタルカメラの記録動作等に移行する。
(本発明に係わる手ぶれ補正撮影の他の例)
図12はレリーズボタンSW1の第1段目の押し下げから第2段目の押し下げ操作の時間Tによって、手ぶれ補正開始位置Q1を制御する構成とした模式図を示している。
【0065】
レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げから第2段目の押し下げまでの時間Tが長い場合には、レリーズボタンSW1をゆっくり押していると想定され、従って、レリーズボタンSW1の押し下げ操作による手ぶれ量QWが小さいと考えられる。
【0066】
反対に、レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げから第2段目の押し下げまでの時間が短い場合には、レリーズボタンSW1を早く押していると想定され、従って、レリーズボタンSW1の押し下げ操作による手ぶれ量QWが大きいと考えられる。
【0067】
ROM108には、レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げから第2段目の押し下げまでの時間Tと手ぶれ量QWとの関係が予めテーブルとして記憶されている。プロセッサ104は、レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げから第2段目の押し下げまでの時間Tを計測し、手ぶれ補正開始時点Q0における撮影光軸O1上を通る撮影光束がCCD101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101を原点位置O2から移動させて設定する。
(本発明に係わる手ぶれ補正撮影の他の例を示すフローチャート)
図13は手ぶれ補正撮影の他の例を説明するためのフローチャートであって、手ぶれ補正スイッチSW14をオンにすると、デジタルカメラは手ぶれ補正モードとなり、プロセッサ104はレリーズボタンSW1の第1段目の押し下げ操作があったか否か(RL1=ON?)を判断する(S.1)。
【0068】
ついで、プロセッサ104は、時間計測を開始する(S.2)。続いて、プロセッサ104は、レリーズボタンSW1の第2段目の押し下げ操作があったか否か(RL2=ON?)を判断する(S.3)。S.3において、ノーの場合、S.2に戻り、レリーズボタンSW1の第2段目の押し下げ操作があるまで、S.2、S.3のステップを繰り返す。
【0069】
これによって、レリーズボタンSW1の第1段目の押し下げから第2段目の押し下げまでの時間Tが計測される。
【0070】
プロセッサ104は、S.3において、イエス(Y)の場合、時間Tの値に基づき手ぶれ量QWを検出し、プロセッサ104は、手ぶれ補正開始時点Q0における撮影光軸O1上を通る撮影光束がCCD101に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像P’の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101を原点O2から移動させて設定する(S.4)。
【0071】
従って、CCD101の中心位置O3はレリーズボタンSW1の第2段目の押し下げがあるまで原点O2に保持され、手ぶれ補正機構はレリーズボタンSW1の第2段目の押し下げがあると、手ぶれ補正開始位置Q1がレリーズボタンSW1の押し下げにより発生する被写体像の移動方向と逆方向の位置となるようにCCD101を原点O2から移動させて設定する。
【0072】
ついで、プロセッサ104は、手ぶれ補正及び露光を開始する(S.5)。そして、プロセッサ104は、所定の露光時間が経過したか否かを判断する(S.6)。この所定の露光時間中に、手ぶれ補正が実行され、CCD101は像の移動に追従される。そして、プロセッサ104は露光時間が経過すると、手ぶれ補正及び露光を終了させ(S.7)、通常のデジタルカメラの記録動作等に移行する。
【0073】
以上、実施例について説明したが、本発明は、これに限るものではなく、プロセッサ104はレリーズボタンSW1の第2段目の押し下げから露光開始までの間に予備発光、赤目発光、セルフタイマー等の待ち時間があるときには、この待ち時間に基づき手ぶれ補正開始位置を制御するようにしても良い。
【0074】
このように待ち時間によって手ぶれ補正開始時点Q0を設定すると、無用な手ぶれ補正開始位置Q1へのCCD101の移動を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係わる撮像装置としてのデジタルカメラの正面図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの背面図である。
【図3】図1に示すデジタルカメラの上面図である。
【図4】図1に示すデジタルカメラのシステム構成を示す概要図である。
【図5】従来の手ぶれ補正の原理を説明するための模式図であって、(a)はCCDが撮影光学系の撮影光軸に対して直交する平面と撮影光軸との交点である原点にCCDの中心位置が存在するように待機されかつ撮影光学系を通して得られた撮影光束に基づく被写体像を受像している状態を示す図であり、(b)はその撮影光学系の有効撮影範囲とCCDとの関係を示す概念図であって被写体と撮影光学系とCCDとが(a)に示す位置関係にあるときに撮影光学系を通して得られた撮影光束に基づく被写体像の受像状態を示す図である。
【図6】レリーズボタンの操作によるカメラ本体の傾いた状態での被写体と撮影光学系とCCDとの位置関係を示す模式図である。
【図7】被写体と撮影光学系と被写体像への追従後のCCDとの相対位置関係を示す図である。
【図8】従来の手ぶれ補正の説明図であって、レリーズボタンの押し下げ操作のタイミングと手ぶれ補正開始時点において撮影光軸を通る撮影光束が撮像面上に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置との関係を示す説明図である。
【図9】本発明の手ぶれ補正の原理を説明するための模式図であって、CCDの中心位置が原点からオフセットした位置にあらかじめ待機されかつ撮影光学系を通して得られた撮影光束に基づく被写体像を受像している状態を示す図である。
【図10】本発明の手ぶれ補正の一例の説明図であって、レリーズボタンの押し下げ操作のタイミングと手ぶれ補正開始時点において撮影光軸を通る撮影光束が撮像面上に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置との関係を示す説明図である。
【図11】本発明の手ぶれ補正による撮影の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の手ぶれ補正の他の例の説明図であって、レリーズボタンの押し下げ操作のタイミングと手ぶれ補正開始時点において撮影光軸を通る撮影光束が撮像面上に到達する点として定義される手ぶれ補正開始位置との関係を示す説明図である。
【図13】本発明の手ぶれ補正による撮影の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
101…CCD(撮像素子)
P’…被写体像
Q1…手ぶれ補正開始位置
Q4…移動方向
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄


【公開番号】 特開2008−17077(P2008−17077A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185092(P2006−185092)