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【発明の名称】 固体撮像装置、および固体撮像素子、並びに固体撮像素子の駆動方法
【発明者】 【氏名】草柳 雄次

【要約】 【課題】高画素化・微細化および動作電圧を低電圧化した固体撮像装置においても、固定パターンノイズやシェーディング等の不良の発生を抑えることが可能な固体撮像装置を提供する。

【構成】アレイ状に形成されたフォトダイオード部1の各列それぞれの両側に垂直転送部2を形成するとともに、撮像部の下部および上部に第1および第2の水平転送部3、4を形成して、各フォトダイオード部1で生成された信号電荷それぞれを両側の垂直転送部2へ均等に分割して読み出し、その分割した各信号電荷を互いに逆方向へ転送する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、
前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、
前記各水平転送部の一端に形成された出力部と、
前記各光電変換部で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の前記垂直転送部へ読み出すためのパルス電圧を前記各垂直転送部が有する読み出し電極へ印加し、その分割された各信号電荷を前記撮像部の上側および下側へ垂直転送させるためのパルス電圧を前記各垂直転送部が有する転送電極へ印加する回路と、
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の固体撮像装置であって、
前記各出力部は、前記各水平転送部の互いに反対の端に形成されており、
さらに、前記各水平転送部へ転送された信号電荷を互いに反対の方向へ水平転送させるためのパルス電圧を前記各水平転送部が有する転送電極へ印加する回路を備える
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
隣り合う前記垂直転送部が電気的に分離されていることを特徴とする請求項1もしくは2のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項4】
光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、
前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、
前記各水平転送部の一端に形成された出力部と、
を備えることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項5】
請求項4記載の固体撮像素子であって、前記各出力部は、前記各水平転送部の互いに反対の端に形成されていることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項6】
隣り合う前記垂直転送部が電気的に分離されていることを特徴とする請求項4もしくは5のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項7】
光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、
前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、
前記各水平転送部の一端に形成された出力部と、
を備える固体撮像素子の駆動方法であって、
前記各光電変換部で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の前記垂直転送部へ読み出し、その分割された各信号電荷を前記撮像部の上側および下側へ垂直転送させる、
ことを特徴とする固体撮像素子の駆動方法。
【請求項8】
光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、
前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、
前記各水平転送部の互いに反対の端に形成された出力部と、
を備える固体撮像素子の駆動方法であって、
前記各光電変換部で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の前記垂直転送部へ読み出し、その分割された各信号電荷を前記撮像部の上側および下側へ垂直転送させ、前記2つの水平転送部へ転送された信号電荷を互いに反対の方向へ水平転送させる、
ことを特徴とする固体撮像素子の駆動方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、および固体撮像素子、並びに固体撮像素子の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のCCDタイプの典型的な固体撮像素子の構成を示す平面パターンレイアウトの概略図である。CCD固体撮像素子は、図6に示すように、光電変換により信号電荷を生成するフォトダイオード部(光電変換部)1がアレイ状に形成され、かつフォトダイオード部1から読み出された信号電荷を垂直転送する垂直転送部2が形成された撮像部と、垂直転送部2から転送された信号電荷を水平転送する水平転送部3と、水平転送部3の一端に形成されたアンプ部(出力部)5と、これらで構成されるアレイを囲む周辺部領域に形成されるLOCOS部7と、で構成される。
【0003】
フォトダイオード部1に入射した光は入射強度に対応した信号電荷に変換され、垂直転送部2の読み出しゲート電極(読み出し電極)へのパルス電圧(読み出し電圧)の印加により垂直転送部2に蓄積される。垂直転送部2に蓄積された信号電荷は、垂直転送部2の転送ゲート電極(転送電極)へのパルス電圧の印加により水平転送部3の方向へ垂直転送される。水平転送部3に蓄積された信号電荷は、水平転送部3の転送ゲート電極(転送電極)へのパルス電圧の印加によりアンプ部5へ水平転送され、アンプ部5から出力信号として取り出される。
【0004】
詳しくは、垂直転送部2は、1層目ポリシリコン膜と2層目ポリシリコン膜で形成された独立した4ゲート(転送ゲート電極)V1〜V4を有し、これらの転送ゲート電極へ4相垂直駆動パルスφV1〜φV4が印加されることで、信号電荷を垂直方向へ転送する。より詳しくは、転送ゲート電極V1、V2(読み出しゲート電極)にパルス電圧(読み出し電圧)を加えると、垂直転送部2のポテンシャル(電位)が深くなり、フォトダイオード部1で発生した信号電荷は垂直転送部2へ移動して蓄積混合される(フィールド読み出し)。その後、転送ゲート電極V1〜V4に適切なタイミングでパルス電圧φV1〜φV4が印加されると、垂直転送部2は信号電荷を水平転送部3の方向(垂直方向)に転送する。なお、フィールド読み出しとは、垂直方向に隣接する複数のフォトダイオード部から読み出された信号電荷を垂直転送部内で加算する読み出し方式である。
【0005】
同様に、水平転送部3は、1層目ポリシリコン膜と2層目ポリシリコン膜で形成された独立した2ゲート(転送ゲート電極)H1、H2を有し、これらの転送ゲート電極へ適切なタイミングでパルス電圧(2相水平駆動パルス)φH1、φH2が印加されることで、信号電荷をアンプ部5の方向(水平方向)へ順次転送する。
【0006】
アンプ部5からの出力信号は各フォトダイオード部1に対応しており、出力信号を時系列に復元することで画像として再現できる。以上が通常用いられている固体撮像素子の構造と駆動方式である(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、現在、固体撮像装置では、画質の向上のための画素数の増加・素子パターンの微細化、低消費電力化のための動作電圧の低電圧化が進んでおり、図6に示すような従来の固体撮像素子を使用する場合、高画素数化・微細化により転送段数が増えると、固体撮像素子の製造工程で電荷転送経路に沿う半導体基板中あるいは半導体基板上に発生した各種欠陥が歩留や特性に影響する度合いが高くなるという問題があった。すなわち、例えばパーティクル(微量のごみ)に起因するパターン欠陥、パターン不良、結晶欠陥に起因する電子トラップやイオン注入(不純物物質の注入)のムラによるポテンシャルのポケットの発生などの各種欠陥の発生確率が一定だとすると、転送段数が増えた場合、これら各種欠陥による信号電荷の転送異常が原因とされる固定パターンノイズの発生確率が高くなり、出力信号が劣化する。
【0008】
さらに、従来の固体撮像素子では、シェーディング不良が問題となっていた。すなわち、図7に示すように画素の位置によってフォトダイオード部1から水平転送部3までの信号電荷の転送距離(移動距離)が異なるため、水平転送部3から遠いフォトダイオード部1で発生した信号電荷の転送中に、半導体基板とその表面に形成された絶縁膜との界面に主として存在する界面準位でトラップされて減少していく信号電荷量は、水平転送部3から近いフォトダイオード部1で発生した信号電荷の転送中に減少する信号電荷量と比べて多くなる。このように転送中に界面順位と結合して減る信号電荷量が画素の位置によって異なるため、画像上で明暗のムラが起こりやすくなるという問題があった。高画素化・微細化で特に垂直転送部の転送段数が増えるとこの不良が顕著に現れる。
【0009】
一方、転送中に界面準位で信号電荷がトラップされるのを抑えるため、ポテンシャルを深くして半導体基板の深いところで信号電荷を転送する方法があるが、駆動電圧を高くしなければならず、またそのため転送できる信号電荷の容量が減少するという問題があった。
【0010】
従来の固体撮像素子の構造と駆動方式では、以上に述べたような高画素化・微細化および動作電圧の低電圧化を実現しようとすると、以上のように固定パターンノイズやシェーディング等の各種の特性不良が発生しやすくなるという問題があった。
【特許文献1】特開2003−234466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、フォトダイオード部(光電変換部)の各列それぞれの両側に垂直転送部を形成するとともに、撮像部の下部および上部に水平転送部を形成して、各フォトダイオード部で生成された信号電荷それぞれを両側の垂直転送部へ均等に分割して読み出し、その分割した各信号電荷を互いに逆方向へ転送することにより、高画素化・微細化および動作電圧を低電圧化した固体撮像装置においても、固定パターンノイズやシェーディング等の不良の発生を抑えることが可能な固体撮像装置、および固体撮像素子、並びに固体撮像素子の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1記載の固体撮像装置は、光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、前記各水平転送部の一端に形成された出力部と、前記各光電変換部で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の前記垂直転送部へ読み出すためのパルス電圧を前記各垂直転送部が有する読み出し電極へ印加し、その分割された各信号電荷を前記撮像部の上側および下側へ垂直転送させるためのパルス電圧を前記各垂直転送部が有する転送電極へ印加する回路と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2記載の固体撮像装置は、請求項1記載の固体撮像装置であって、前記各出力部は、前記各水平転送部の互いに反対の端に形成されており、さらに、前記各水平転送部へ転送された信号電荷を互いに反対の方向へ水平転送させるためのパルス電圧を前記各水平転送部が有する転送電極へ印加する回路を備えることを特徴とする。また、本発明の請求項3記載の固体撮像装置は、請求項1もしくは2のいずれかに記載の固体撮像装置であって、隣り合う前記垂直転送部が電気的に分離されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4記載の固体撮像素子は、光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、前記各水平転送部の一端に形成された出力部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5記載の固体撮像素子は、請求項4記載の固体撮像素子であって、前記各出力部は、前記各水平転送部の互いに反対の端に形成されていることを特徴とする。また、本発明の請求項6記載の固体撮像素子は、請求項4もしくは5のいずれかに記載の固体撮像素子であって、隣り合う前記垂直転送部が電気的に分離されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7記載の固体撮像素子の駆動方法は、光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、前記各水平転送部の一端に形成された出力部と、を備える固体撮像素子の駆動方法であって、前記各光電変換部で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の前記垂直転送部へ読み出し、その分割された各信号電荷を前記撮像部の上側および下側へ垂直転送させる、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項8記載の固体撮像素子の駆動方法は、光電変換により信号電荷を生成する光電変換部がアレイ状に形成され、かつ前記光電変換部の各列それぞれの両側に垂直転送部が形成された撮像部と、前記撮像部の上部および下部に形成された2つの水平転送部と、前記各水平転送部の互いに反対の端に形成された出力部と、を備える固体撮像素子の駆動方法であって、前記各光電変換部で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の前記垂直転送部へ読み出し、その分割された各信号電荷を前記撮像部の上側および下側へ垂直転送させ、前記2つの水平転送部へ転送された信号電荷を互いに反対の方向へ水平転送させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高画素化・微細化および動作電圧を低電圧化した固体撮像装置においても、固定パターンノイズやシェーディング等の不良の発生を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態における固体撮像装置(固体撮像素子)の構造、並びに固体撮像素子の駆動方法について説明する。図1は本発明の実施の形態における固体撮像素子の構成を示す平面パターンレイアウトの概略図である。
【0020】
図1に示すように、当該固体撮像素子は、光電変換により信号電荷を生成するフォトダイオード部(光電変換部)1がアレイ状に形成され、かつフォトダイオード部1の各列それぞれの両側に、フォトダイオード部1から読み出された信号電荷を垂直転送する垂直転送部2が形成された撮像部と、撮像部の上部および下部に形成された第1、第2の水平転送部3、4と、第1、第2の水平転送部3、4の互いに反対の端に形成された第1、第2のアンプ部(出力部)5、6と、を備える。
【0021】
詳しくは、垂直転送部2は、1層目ポリシリコン膜と2層目ポリシリコン膜で形成された独立した4つの転送ゲート電極(転送電極)V1〜V4を有する。これら4つのゲートのうちのあるゲートは読み出しゲート電極(読み出し電極)を兼任する。当該固体撮像素子を用いた固体撮像装置は、これら4つの転送ゲート電極それぞれに4相垂直駆動パルスφV1〜φV4をそれぞれ印加して信号電荷を垂直転送するが、本実施の形態では、フォトダイオード部1の各列の両側においてその転送方向は逆である。
【0022】
また、第1、第2の水平転送ゲート3、4は、1層目ポリシリコン膜と2層目ポリシリコン膜で形成された独立した2つの転送ゲート電極(転送電極)H1、H2を有する。当該固体撮像素子を用いた固体撮像装置は、これら2つの転送ゲート電極それぞれに2相水平駆動パルスφH1、φH2をそれぞれ印加して信号電荷を水平転送するが、本実施の形態では、その転送方向は逆である。
【0023】
また、フォトダイオードアレイ領域と第1、第2の水平転送部3、4を囲むように絶縁分離領域であるLOCOS部7が設けられている。また、図示しないが、各画素のフォトダイオード部に蓄積された信号電荷が垂直転送中に水平方向に拡散しないように、LOCOS部は画素列の間にも設けられている。なお、本実施の形態では絶縁分離領域をLOCOSとしているが、例えば溝型絶縁分離(STI)やPN接合分離としてもよい。
【0024】
当該固体撮像素子の構成をさらに詳細に説明する。図2は本発明の実施の形態における固体撮像素子の拡大平面図、図3は図2のA−A’線で切断した部分の断面図、図4は図2のB−B’線で切断した部分の断面図である。
【0025】
当該固体撮像素子は、図3、4に示すように、半導体基板8にフォトダイオード部1の拡散層9と垂直転送部2の拡散層10が形成され、半導体基板8上に、ゲート絶縁膜11を介して転送ゲート電極である1層目ポリシリコン膜12および2層目ポリシリコン膜13が形成されている。このポリシリコン膜12、13は別々の工程で形成される。
【0026】
また、図3に示すように、画素列の間に設けられている絶縁分離領域であるLOCOS部7は、左右の画素に属する垂直転送部の拡散層10を電気的に分離するように、1層目ポリシリコン膜12および2層目ポリシリコン膜13の境界部に形成される。また、当該固体撮像素子は、図4に示すように、2層目ポリシリコン膜13は薄い絶縁膜を介して1層目ポリシリコン膜12に一部重なるように形成されている。
【0027】
図5は図2において転送ゲート電極の一部をなす2層目ポリシリコン膜13を除いた平面図であり、1層目ポリシリコン膜12のパターンを示している。図5から明らかなように、本実施の形態では、1層目ポリシリコン膜12により、垂直駆動パルスφV2とφV4を印加する転送ゲート電極V2とV4が形成される。同様に、垂直駆動パルスφV1とφV3を印加する転送ゲート電極V1とV3は、2層目ポリシリコン膜13により形成される。
【0028】
なお、図5では、異なる垂直駆動パルスφV2、φV4が印加される転送ゲート電極V2、V4が模式的に接触しているように見えるが、実際は離間しており、その間隔は現実のフォトリソ工程で十分分離形成できる距離だけ離れている。同様に、垂直駆動パルスφV1とφV3が印加される転送ゲート電極V1とV3も離間している。但し、各転送ゲート電極はそれぞれ画素アレイの両端部まで連続的に水平に繋がっている。
【0029】
続いて、当該固体撮像素子の動作について説明する。フォトダイオード部1に入射した光は入射強度に応じた信号電荷に変換され、フォトダイオード部1に蓄積される。そして、その信号電荷は半分に分割されて、左右両側の垂直転送部2へ読み出される。この垂直転送部2への読み出しは、垂直転送部の転送ゲート電極(読み出し電極)V1、V3に同時に同じ電位のパルス電圧(読み出し電圧)を印加するという駆動方法によって実現できる。分割された信号電荷は、フォトダイオード部1の垂直方向の中心軸で左右に分けられて隣り合っている垂直転送部の転送ゲート電極直下の半導体基板表面部に一時的に蓄積混合される(フィールド読み出し)。その後、転送ゲート電極V1〜V4に適切なタイミングでパルス電圧φV1〜φV4が印加されると、この分割された信号電荷は互いに逆方向に転送される。その後、この分割された信号電荷は、第1、第2の水平転送部3、4に蓄積され、それぞれ逆方向に水平転送されて、第1、第2のアンプ部5からそれぞれ分割された出力信号として取り出される。
【0030】
詳しくは、垂直転送部2の転送ゲート電極V1およびV3に同時に適切な電位のパルス電圧(読み出し電圧)を印加すると、すなわち同時にパルス電圧が立ち上がると垂直転送部2の拡散層10のポテンシャルが深くなる。すでに述べたように、転送ゲート電極直下の半導体基板には転送方向、すなわち垂直方向に伸びる拡散層10が分離形成されているため、任意のフォトダイオード部1で発生した信号電荷は左右両側の拡散層10内部に均等に振り分けられる。このようにして両側の拡散層10に分割され一時蓄積混合された信号電荷は、4相垂直駆動パルスφV1〜φV4により、互いに逆方向に転送される。
【0031】
垂直転送された信号電荷は、第1および第2水平転送部3、4に達する。第1、第2の水平転送部3、4も一部が重なり合った1層目ポリシリコン膜と2層目ポリシリコン膜で形成された転送ゲート電極を有する。この2つのゲートに適切なタイミングでパルス電圧(2相水平駆動パルス)φH1、φH2を加えることで、第1、第2の水平転送部3、4に蓄積された信号電荷は互いに逆方向に順次転送されて、第1、第2のアンプ部5、6から出力信号として取り出される。
【0032】
ここで、各々のアンプからの出力信号は半分の信号となっているが、出力信号は特定のフォトダイオード部1に対応しており、メモリ等を用いた信号処理等により合成させることで元の画像信号として再現が可能である。例えば、それぞれの出力信号は、各フォトダイオード部から互いに反対方向に転送されてきたものであるから、第1および第2のアンプ部5、6から出力される画像信号は時系列的に互いに逆になるので、各画像信号を2つのメモリにそれぞれ保存し、一方のメモリからの出力を逆にして合成させることで、画像を再現させることができる。
【0033】
また、当該固体撮像素子を用いた固体撮像装置は、図示しないが、図1に示す固体撮像素子に加えて、各フォトダイオード部1で生成された信号電荷をそれぞれ分割して両側の垂直転送部2へ読み出すためのパルス電圧(読み出し電圧)を垂直転送部2の転送ゲート電極(読み出しゲート電極)V1、V3へ印加し、その分割された各信号電荷を撮像部の上側および下側へ垂直転送させるための4相垂直駆動パルスφV1〜φV4を垂直転送部2の転送ゲート電極V1〜V4へ印加する回路と、2つの水平転送部3、4へ転送された各信号電荷を互いに反対の方向へ水平転送させるための2相水平駆動パルスφH1、φH2を水平転送部3、4の転送ゲート電極H1、H2へ印加する回路と、を備えることで、各フォトダイオード部1から信号電荷を分割して読み出して互いに逆方向へ転送する。
【0034】
以上のように、本実施の形態では、各フォトダイオード部1で生成された信号電荷をそれぞれ均等に分割して両側の垂直転送部2へ読み出し、その分割された各信号電荷を撮像部の上側および下側へ垂直転送させ、2つの水平転送部3、4へ転送された各信号電荷を互いに反対の方向へ水平転送させる。
【0035】
本実施の形態によれば、同一のフォトダイオード部で生成された信号電荷を半分に分けて転送するので、パターン欠陥や、パターン不良、ポテンシャルのポケットの発生などの各種欠陥による信号電荷の転送異常が原因とされる固定パターンノイズの発生確率を低くすることができる。
【0036】
すなわち、パターン欠陥や、パターン不良、ポテンシャルのポケットの発生などの各種欠陥がある割合で発生すると仮定したとき、従来の固体撮像素子では、垂直転送部の1箇所に欠陥が存在した場合、強い固定パターンノイズが発生する。しかし、本実施の形態によれば、信号電荷を2つに分割しているため、垂直転送部の1箇所に欠陥が存在したとしても、残りの半分の電荷は欠陥のない経路を経て出力されるので、半分の強度の固定パターンノイズでおさまる。
【0037】
また、信号電荷を半分にした電荷量で転送しているので、垂直転送部の4相垂直駆動パルスのパルス電圧を小さくしても、全ての電荷を転送できるだけの半導体基板表面のポテンシャル深さを確保できるので、低電圧化が可能となる。
【0038】
また、シェーディングは垂直転送部での電荷の移動距離(転送距離)と相関がある。すなわち移動距離が長い程シェーディングによる信号電荷のロスが大きくなる。本実施の形態では、同一のフォトダイオード部に発生した信号電荷を半分にして互いに逆方向に垂直転送するため、すべてのフォトダイオード部において信号電荷の移動距離の合計が等しくなり、画像上で明暗のムラが起きにくくなる。なお、水平転送については、転送周波数が垂直転送に比べ極めて高く、信号電荷が界面準位でトラップされる前に転送されるので、影響は少ない。
【0039】
なお、本実施の形態では、アンプ部5、6が2つの水平転送部3、4の互いに反対の端に形成されている固体撮像素子並びに固体撮像装置について説明したが、2つのアンプ部が2つの水平転送部の一方側の端にのみ形成された構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明にかかる固体撮像装置、および固体撮像素子、並びに固体撮像素子の駆動方法
は高画素化・微細化・低電圧化が可能となり、また固体撮像装置特有の固定パターンノイズおよびシェーディング不良の低減が可能となり、固体撮像装置を搭載した電子機器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態における固体撮像素子の構成を示す平面パターンレイアウトの概略図
【図2】本発明の実施の形態における固体撮像素子の概略拡大平面図
【図3】図2のA−A’線で切断した部分の概略断面図
【図4】図2のB−B’線で切断した部分の概略断面図
【図5】本発明の実施の形態における固体撮像素子の1層目ポリシリコン膜のパターンを示す概略拡大平面図
【図6】従来のCCDタイプの典型的な固体撮像素子の構成を示す平面パターンレイアウトの概略図
【図7】従来の固体撮像装置のシェーディング不良の原因を説明するための図
【符号の説明】
【0042】
1 フォトダイオード部
2 垂直転送部
3、4 水平転送部
5、6 アンプ部
7 LOCOS部
8 半導体基板
9 フォトダイオード部の拡散層
10 垂直転送部の拡散層
11 ゲート絶縁膜
12 1層目ポリシリコン膜
13 2層目ポリシリコン膜
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫

【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘

【識別番号】100096437
【弁理士】
【氏名又は名称】笹原 敏司

【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平


【公開番号】 特開2008−17066(P2008−17066A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185020(P2006−185020)