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【発明の名称】 電子黒板装置および電子黒板装置における画像処理方法並びにそのプログラム
【発明者】 【氏名】大橋 史和

【要約】 【課題】電子黒板装置において、描画の線のジャギーを滑らかにするスムージング処理が煩雑になり、大容量の画像用メモリが必要となるため費用がかかるという問題を解決する。

【構成】原寸大の背景画像層及び対応する大きさの描画層を格納する画像記憶部4と、表示画面への入力手段200による入力動作を検知する入力検知部1と、表示された背景画像層の表示箇所およびその拡大率により、入力動作が行われた表示画面上の座標位置に対応する描画層の座標位置を算出する入力位置算出部2と、算出された描画層の座標位置に対して、入力動作による軌跡を描画する軌跡描画部3と、背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する描画層の画像データを合成する画像合成部6と、生成した合成画像に所定の画像処理を行う画像処理部7と、画像処理部7により処理されて表示画面と同じ大きさに拡大されて表示される表示部8と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原寸大の背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置であって、
前記原寸大の背景画像層及び前記原寸大の背景画像層に対応する大きさの描画層を格納する画像記憶部と、
前記表示画面への前記入力手段による入力動作を検知する入力検知部と、
前記表示画面に表示された背景画像層の表示箇所およびその拡大率により、前記入力検知部によって検知された入力動作が行われた表示画面上の座標位置に対応する前記描画層の座標位置を算出する入力位置算出部と、
前記入力位置算出部により算出された前記描画層の座標位置に対して、前記入力動作による軌跡を描画する軌跡描画部と、
前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成した前記合成画像に所定の画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部により処理されて表示画面と同じ大きさに拡大されて表示される表示部と、を有することを特徴とする電子黒板装置。
【請求項2】
前記入力検知部は、前記入力手段が入力を継続していることを検知して、前記画像合成部に逐次、更新命令を送信することを特徴とする請求項1に記載の電子黒板装置。
【請求項3】
前記入力手段が入力継続中である場合、前記画像処理部は処理レベルを下げて処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子黒板装置。
【請求項4】
原寸大の背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置における画像処理方法であって、
前記表示画面に対する前記入力手段による入力動作を検知し、該入力動作が検知された座標位置と、前記表示画面の拡大率及び表示箇所の位置情報とから、前記原寸大の背景画像層と対応する描画層における入力位置を算出する入力位置算出ステップと、
前記入力位置算出ステップにより算出された位置に、前記描画層に対して入力手段の軌跡を描画する描画ステップと、
前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する合成画像生成ステップと、
前記合成画像生成ステップにより生成した前記合成画像に対し、所定の画像処理を行う画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで処理された合成画像を表示画面と同じ大きさに拡大して表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする電子黒板装置における画像処理方法。
【請求項5】
前記入力位置算出ステップは、前記入力手段が入力を継続していることを検知して、前記合成画像生成ステップに逐次、更新命令を送信することを特徴とする請求項4に記載の電子黒板装置における画像処理方法。
【請求項6】
前記入力手段が入力継続中である場合、前記合成画像生成ステップは処理レベルを下げて処理することを特徴とする請求項4又は5に記載の電子黒板装置における画像処理方法。
【請求項7】
原寸大の背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置に含まれるコンピュータに、
前記表示画面に対する前記入力手段による入力動作を検知し、該入力動作が検知された座標位置と、前記表示画面の拡大率及び表示箇所の位置情報とから、前記原寸大の背景画像層と対応する描画層における入力位置を算出する入力位置算出ステップと、
前記入力位置算出ステップにより算出された位置に、前記描画層に対して入力手段の軌跡を描画する描画ステップと、
前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する合成画像生成ステップと、
前記合成画像生成ステップにより生成した前記合成画像に対し、所定の画像処理を行う画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで処理された合成画像を表示画面と同じ大きさに拡大して表示する表示ステップと、
を実行させることを特徴とする電子黒板装置における画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイなどの大型表示装置を備えた電子黒板装置および電子黒板装置における画像処理方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の画像処理に関しては、これまで各種の画像処理技術が開示されている。例えば、その一つに画像を拡大表示する際に生じる輪郭のギザギザ(ジャギー)を滑らかにするスムージング処理がある(例えば、特許文献1参照)。スムージング処理装置やスムージング処理を行うソフトウェアによれば、画像を拡大しても輪郭の滑らかな画像が表示される。従って、特に、大画面の表示装置を備え、画像の拡大表示などを頻繁に行う電子黒板装置においては、上記のようなスムージング処理は好ましい画像処理技術といえる。
【0003】
図1は、電子黒板装置にも搭載可能な従来のスムージング処理装置の概略構成を示す図である。スムージング処理装置は、主に、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置100、入力手段200、表示装置300で構成される。図では入力手段のデバイスとしてライトペンを用いた例について示しており、情報処理装置100は、更に、デバイス制御部110、ペン描画部120、画像表示処理部130で構成される。
【0004】
電子黒板装置の一般的な用途として、画面上に表示された画像の上にライトペンやマウス等を用いて描画を行うという動作があり、情報処理装置100のデバイス制御部110は、入力手段200であるライトペンからの入力を検知し、ペン描画部120は、ペンの動きを反映した描画を行う。画像表示処理部130は、上記のスムージング処理などの表示処理を行い、表示装置300で処理後の画像を表示する。
【0005】
ところで、デスクトップ画面などの背景画像の上に描画を行う場合、通常は、画像と描画は別のレイヤ(層)で構成されており、そのため、背景画像の上に線などを描いても描画部分だけを修正したり消去したりすることができる。
【0006】
図2は、従来の画像処理方法における背景画像と描画の関係を模式的に示す図である。なお、図では、デスクトップ画面を背景画像としたレイヤを背景画像層50、描画を行うための透明ウィンドウを描画層60として表している。図2(a)に示すように、デスクトップ画像が原寸大、即ち、電子黒板装置の表示画面と同じ大きさで画面上に表示されているとき、ライトペン200を画面上にタッチさせて描画を行うと、背景画像層50と同じ大きさの描画層60に直接描画が行われる。画面上で見える領域である表示画面80は、背景画像層50や描画層60の大きさと同じであるため、デスクトップ画面に線が描画されたように表示される。
【0007】
一方、デスクトップ画像の一部を拡大して表示させたいときは、図2(b)に示すように、まずは背景画像層50全体を所望の倍率に拡大し、所望の位置を画面上(画面上で見える領域である表示画面80)に表示させてから描画を行うことになる。その際、背景画像層50全体を拡大するのと同時に、描画を行う描画層60も同率で拡大される。従って、拡大されたデスクトップ画面の一部分が表示されている画面上をライトペンで描画すると、同率で拡大された線幅で描画層60上に直接描画が行われる。
【特許文献1】特開2000−163602号公報(第2頁−第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しなしながら、従来の画像処理方法を電子黒板装置に用いた場合、背景画像層50と描画層60が独立しているため、例えば、背景画像層50を拡大したあとにスムージング処理などの画像処理を行うことはできても、その後の描画に対して適宜同様の画像処理を行うことができないという問題があった。これは、従来の画像表示が、任意に行われる描画動作に対して随時同じ画像処理を行うような構成となっていなかったからであり、従って、拡大された描画層60には、同率で拡大された線幅の太い線が描かれ、特に、斜め線を描画する際にはジャギーが発生して表示品質が劣るという課題があった。
【0009】
図3は、従来の画像処理方法における背景画像上に描画される線の様子を模式的に示す図である。背景画像が原寸大である場合、任意の線幅で引いた線は図3(a)に示すように表示されるが、背景画像が所定の倍率で拡大されると、同じ線幅で引いた線も図3(b)に示すように表示される。たとえ背景画像がスムージング処理されていても(図示省略)、描画の線にジャギーが発生すると、表示品質が劣り、好ましくない。しかし、画面上の表示を全て滑らかにしようとすると、背景画像層50と描画層60の両方についてそれぞれ別途スムージング処理を行わねばならず、処理が煩雑になるという問題が生じる。
【0010】
また、図2(b)に示したように、従来の画像処理方法を電子黒板装置に用いた場合、拡大表示を行う際、画面上には一部しか表示されないものの、背景画像層と描画層の両方を予め拡大していた。そのため、全画像の拡大処理、そして拡大処理された画像を記憶する画像用メモリが必要となり、且つメモリの大きな領域が消費されてしまうという問題もあった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題としては、電子黒板装置及びその画像処理方法において、描画の線のジャギーを滑らかにするスムージング処理が煩雑になるという問題や、画像用メモリの使用量が大きくなり、大容量の画像用メモリが必要となるため費用がかかるという問題がそれぞれ一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の電子黒板装置は、原寸大の背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置であって、前記原寸大の背景画像層及び前記原寸大の背景画像層に対応する大きさの描画層を格納する画像記憶部と、前記表示画面への前記入力手段による入力動作を検知する入力検知部と、前記表示画面に表示された背景画像層の表示箇所およびその拡大率により、前記入力検知部によって検知された入力動作が行われた表示画面上の座標位置に対応する前記描画層の座標位置を算出する入力位置算出部と、前記入力位置算出部により算出された前記描画層の座標位置に対して、前記入力動作による軌跡を描画する軌跡描画部と、前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部により生成した前記合成画像に所定の画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部により処理されて表示画面と同じ大きさに拡大されて表示される表示部と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の電子黒板装置における画像処理方法は、原寸大の背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置における画像処理方法であって、前記表示画面に対する前記入力手段による入力動作を検知し、該入力動作が検知された座標位置と、前記表示画面の拡大率及び表示箇所の位置情報とから、前記原寸大の背景画像層と対応する描画層における入力位置を算出する入力位置算出ステップと、前記入力位置算出ステップにより算出された位置に、前記描画層に対して入力手段の軌跡を描画する描画ステップと、前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する合成画像生成ステップと、前記合成画像生成ステップにより生成した前記合成画像に対し、所定の画像処理を行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップで処理された合成画像を表示画面と同じ大きさに拡大して表示する表示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の電子黒板装置における画像処理プログラムは、原寸大の背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置に含まれるコンピュータに、前記表示画面に対する前記入力手段による入力動作を検知し、該入力動作が検知された座標位置と、前記表示画面の拡大率及び表示箇所の位置情報とから、前記原寸大の背景画像層と対応する描画層における入力位置を算出する入力位置算出ステップと、前記入力位置算出ステップにより算出された位置に、前記描画層に対して入力手段の軌跡を描画する描画ステップと、前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する合成画像生成ステップと、前記合成画像生成ステップにより生成した前記合成画像に対し、所定の画像処理を行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップで処理された合成画像を表示画面と同じ大きさに拡大して表示する表示ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る電子黒板装置は、背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置であって、下記の(1)〜(7)の手段を有することを特徴とすることをその最良の形態とするものである。
(1)前記原寸大の背景画像層及び前記原寸大の背景画像層に対応する大きさの描画層を格納する画像記憶部
(2)表示画面への入力手段による入力動作を検知する入力検知部
(3)表示画面に表示された背景画像層の表示箇所およびその拡大率により、入力検知部によって検知された入力動作が行われた表示画面上の座標位置に対応する描画層の座標位置を算出する入力位置算出部
(4)入力位置算出部により算出された前記描画層の座標位置に対して、前記入力動作による軌跡を描画する軌跡描画部
(5)背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する描画層の画像データを合成した合成画像を生成する画像合成部
(6)画像合成部により生成した前記合成画像に所定の画像処理を行う画像処理部
(7)前記画像処理部により処理されて表示画面と同じ大きさに拡大されて表示される表示部
【0016】
以下に、本発明の実施の形態に係る電子黒板装置の一例である実施例を挙げ、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0017】
図4は、本発明の実施の形態における実施例の電子黒板装置の概略構成を示す図である。電子黒板装置10は、主に、入力検知部1、入力位置算出部2、軌跡描画部3、画像記憶部4、画像取得部5、画像合成部6、画像処理部7、表示部8で構成される。
【0018】
入力検知部1は、ライトペンやマウスなど、電子黒板装置10に接続する入力手段200からの入力を検知する。入力位置算出部2は、入力手段200で指示したディスプレイ上の位置が、表示している背景画像層のどの位置に一致するかなどの位置情報を算出する。軌跡描画部3は、入力位置算出部2の算出結果に基づいて、画像記憶部4に格納された原寸大の背景画像層50に対応する大きさの描画層60に、入力手段200の軌跡を描画する。この画像記憶部4は、電子黒板装置10が備える画像用のメモリ等であり、この画像記憶部4内の所定の領域に描画層60のデータが記憶・保持されている。なお、原寸大の背景画像層50は、描画層60とは別の層(レイヤー)の画像データとして、画像記憶部4内の描画層60とは別の領域に記憶・保持されている。
【0019】
画像取得部5は、画像記憶部4に記憶された画像データを取得して、画像合成部6へ転送したり、画像合成部6から伝送された合成画像データを画像処理部7へ転送したりする。また、入力検知部1の検知状況を判断して、入力位置算出部2に入力位置の算出動作を命令する。画像合成部6は、背景画像層50と、その背景画像層50に対応する描画層60とをマージ(合成)して、1つの層の画像データを生成する。合成された画像データには背景画像と描画が含まれている。画像処理部7は、画像取得部5を介して画像合成部6から転送された画像データに対して、主に、表示に係る画像処理を行う。例えば、画像の拡大処理やスムージング処理などである。表示部8は、画像処理部7で処理された画像データの表示を行う。
【0020】
次に、上記構成の電子黒板装置10の動作について説明する。なお、以下では、描画時、特に、背景画像を拡大表示した際の描画時における画面表示動作について説明することとし、その他の動作については説明を省略する。また、以下の実施例では、入力手段200としてライトペンを用いた例について説明するが、これにとらわれるものではなく、マウスなどのあらゆる入力手段を用いてよいことは言うまでもない。
【0021】
図5は、本発明の実施例における電子黒板装置10の画面表示処理手順を示すフローチャートである。はじめに、背景画像であるデスクトップ画面の一部が拡大表示されている電子黒板装置10の表示画面上にライトペン(入力手段)200を接触させ、移動させると、入力検知部1が入力を検知して(ステップS101)、入力位置算出部2以降の機能部に描画表示処理を実行させる(ステップS102)。描画表示処理後、入力検知部1は入力が継続しているか否か、即ち、ライトペンが移動中であるか否かを判断し(ステップS103)、移動中である場合にはステップS102の描画表示処理を繰り返す。一方、ライトペンの移動が終了した場合には、画面表示処理手順を終了する。
【0022】
次に、描画表示処理の詳細手順について説明する。図6は、本発明の実施例における電子黒板装置10の描画表示処理手順を示すフローチャートである。はじめに、入力位置算出部2は、拡大表示されたデスクトップ画面上の、ペンダウンした位置に対して、表示拡大率・拡大箇所の位置情報から原寸大の背景画像層に対応する位置(座標)を算出する(ステップS201)。
【0023】
そして、画像記憶部4に記憶された描画層60に、算出された位置情報に基づいてペンの軌跡を描画していく(ステップS202)。この描画層60は、原寸大のデスクトップ画面、即ち、拡大されていない背景画像層50に対応する描画層60である。その後、描画が追加された描画層60を画像記憶部4に記憶して、描画層60を更新する(ステップS203)。
【0024】
次に、画像取得部5は、画像記憶部4内に記憶された描画層60及び背景画像層50のうち、最初に画面上に表示されていたのと同じ倍率で拡大表示するのに必要な部分のみを切り出して、画像合成部6へ転送する(ステップS204)。
画像合成部6は、切り出された2つのレイヤデータをマージ(合成)し(ステップS205)、合成後の画像データを画像処理部7へ転送する(ステップS206)。
【0025】
画像処理部7は、取得した合成画像データに、拡大処理を行い、更に、スムージング処理などの画像処理を行う(ステップS207)。画像処理が施された画像データは、表示部8へ転送され(ステップS208)、表示部8は、公知の画面表示処理を実行する(ステップS209)。
【0026】
図7は、本発明の実施例に係る電子黒板装置における描画表示処理の概要を説明するための図であり、(a)は画像を拡大していない表示画面80を示す図、(b)は背景画像層50の一部を拡大してライトペン200で書き込みを行っている表示画面80を示す図、(c)は画像記憶部4上の背景画像層50及び描画層60における処理を説明する説明図である。
本実施例における電子黒板装置では、図7(c)に示すように、電子黒板装置10の画像記憶部4内に背景画像層50及び描画層60が記憶されていて、図7(a)に示す原寸大の表示画面80を拡大表示し、その画面上をライトペン200でタッチして描画を行うと、図7(c)に示す画像記憶部4内の描画層60に描画が記録される。そして、背景画像層50及び描画層60における画面表示に必要な部分のみが切り取られ、この2つの層の画像データが合成(マージ)されて、このマージされた画像データに対し、拡大処理やスムージング処理などの画像処理が行われて、図7(b)に示すような処理後の画像70が表示される。
【0027】
ライトペン200が画面上で移動している間、即ち、描画が継続されている間は、上記の「ライトペン200の位置算出による画像記憶部4内の描画層60への描画」と「背景画像層50および描画層60の合成と画像処理、画面表示」とが絶えず繰り返され、画面表示が所定の周期(例えば、100m秒周期)で逐次、更新される状態となる。
【0028】
上記のように、画像合成部6で合成される背景画像層50と描画層60のデータは、予め必要な領域のみに切り出されているため、合成された合成画像のデータ量は少なくてすみ、また、この少ないデータ量の合成画像に対してのみ、拡大やスムージングなどの画像処理を実行すればよいので、処理時の負荷が少なくてすみ、処理時に使用するバッファメモリなどの消費量を低減することができる。従って、処理速度を向上させることができる。
【0029】
なお、上記の実施の形態で行う画像処理は、スムージング処理以外にも、その他の空間フィルタリングや画像変換、劣化画像復元などの処理であってもかまわない。従って、スムージング処理の詳細については説明を省略する。いずれの画像処理を行っても、背景画像層50と描画層60を合成した画像データに対して処理が行われるので、従来のように、デスクトップ画面(背景画像)と描画の線とで画像の表示品質(ジャギーの発生など)が異なるといったような不具合が生じることはない。
【0030】
なお、本発明の実施の形態において入力手段200において描画されるのは、その軌跡が描画される所謂ペン描画以外でもよく、例えば画像スタンプ(印章やアイコン等のビットマップ画像など)が描画される(画像スタンプを押す)ものでもよい。即ち、表示画面の拡大中に画像スタンプを押しても、その画像スタンプ自体もスムージング処理されて拡大され、同様の効果を得ることができる。
【0031】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電子黒板装置によれば、デスクトップ画面の原寸大のデータが記憶部に記憶されているため、拡大表示を行う場合には、画面上に表示される部分のみを拡大処理すればよく、また、デスクトップ画面全体を拡大した画像データ等も新たに記憶・保持する必要がないため、メモリ領域の大幅な消費が不要となる。
【0032】
更に、本実施の形態に係る電子黒板装置によれば、背景画像層50と描画層60の拡大表示に必要な部分のみを合成するので、合成に係るメモリ消費量も低減され、従って、拡大処理やスムージング処理を同時に実行することができる。つまり、拡大した画面上で描いたライトペンの軌跡も逐次スムージング処理することができる。
【0033】
以上、上記実施例において詳述したように、本発明の実施の形態に係る電子黒板装置は、背景画像層50の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、ライトペン、マウス等の入力手段200により画像を描画可能な電子黒板装置10であって、原寸大の背景画像層50及び原寸大の背景画像層50に対応する大きさの描画層60を格納する画像記憶部4と、表示画面への入力手段200による入力動作を検知する入力検知部1と、表示画面に表示された背景画像層50の表示箇所およびその拡大率により、入力検知部1によって検知された入力動作が行われた表示画面上の座標位置に対応する描画層60の座標位置を算出する入力位置算出部2と、入力位置算出部2により算出された描画層60の座標位置に対して、入力動作による軌跡を描画する軌跡描画部3と、背景画像層50の一部の箇所とその箇所に対応する描画層60の画像データを合成した合成画像を生成する画像合成部6と、画像合成部6により生成した合成画像に所定の画像処理を行う画像処理部7と、画像処理部7により処理されて表示画面と略同じ大きさに拡大されて表示される表示部8と、を有する。
また、本発明の実施の形態に係る電子黒板装置における画像処理方法は、背景画像層の一部の箇所の拡大表示が可能な表示画面に対し、入力手段により画像を描画可能な電子黒板装置における画像処理方法であって、前記表示画面に対する前記入力手段による入力動作を検知し、該入力動作が検知された座標位置と、前記表示画面の拡大率及び表示箇所の位置情報とから、前記背景画像層と対応する描画層における入力位置を算出する入力位置算出ステップと、前記入力位置算出ステップにより算出された位置に、前記描画層に対して入力手段の軌跡を描画する描画ステップと、前記背景画像層の一部の箇所とその箇所に対応する前記描画層の画像データを合成した合成画像を生成する合成画像生成ステップと、前記合成画像生成ステップにより生成した前記合成画像に対し、所定の画像処理を行う画像処理ステップと、前記画像処理ステップで処理された合成画像を表示画面と略同じ大きさに拡大して表示する表示ステップと、を含むものである。
これにより、背景画像層50と描画層60の一部の領域のみを合成(マージ)すればよく、また、この合成(マージ)した画像データに対してのみ拡大やスムージングなどの画像処理を実行すればよいので、描画の線のジャギーを滑らかにするスムージング処理が煩雑になるという問題や、画像用メモリの使用量が大きくなり、大容量の画像用のメモリが必要となるため費用がかかるという問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来のスムージング処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】従来の画像表示における背景画像と描画の関係を模式的に示す図である。
【図3】従来の画像表示における背景画像上に描画される線の様子を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施例における電子黒板装置の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例における電子黒板装置の画面表示処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例における電子黒板装置の描画表示処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例に係る電子黒板装置における描画表示処理の概要を説明するための図であり、(a)は画像を拡大していない表示画面を示す図、(b)は画像の一部を拡大してライトペンで書き込みを行っている表示画面を示す図、(c)は画像記憶部上の背景画像層及び描画層における処理を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 入力検知部
2 入力位置算出部
3 軌跡描画部
4 画像記憶部
5 画像取得部
6 画像合成部
7 画像処理部
8 表示部
10 電子黒板装置
50 背景画像層
60 描画層
70 画像処理後の画像
80 表示画面
200 ライトペン(入力手段)
300 表示装置
【出願人】 【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
【識別番号】505440789
【氏名又は名称】パイオニアソリューションズ株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100116182
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 照雄


【公開番号】 特開2008−17065(P2008−17065A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185013(P2006−185013)