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【発明の名称】 動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラム
【発明者】 【氏名】小林 誠司

【氏名】平澤 康孝

【氏名】山崎 寿夫

【要約】 【課題】動画像データの画質低下を防止したデータ変換および復元を行なう装置および方法を提供する。

【構成】動画像データを構成するブロックに含まれるオブジェクトの構成、およびブロックの動きに対応した最適な圧縮処理態様を決定し、決定した態様に従ってブロック領域毎に最適な態様でデータ変換処理を行なう。具体的には、動画像データを構成するブロックに含まれるオブジェクトの構成、およびブロックの動きを解析し、ブロックに複数の異なる移動オブジェクト含まれる場合、ブロックの移動量が短時間に大きく変動する場合などに、間引き処理を行なわない設定とし、画質劣化を抑制したデータ変換、復元処理が実現した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換装置であり、
動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割部と、
前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出部と、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様を示す間引き処理態様情報を生成する間引き処理態様情報生成部と、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を生成する間引き処理制御情報生成部と、
前記ブロック分割部において分割された各ブロック、および、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報と、前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報を入力し、入力情報に基づき、各入力ブロックに対する間引き処理の実行の有無および間引き処理態様を決定し、決定に従った処理を行なう間引き処理実行部と、
を有することを特徴とする動画像変換装置。
【請求項2】
前記間引き処理実行部は、
前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、
前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合は、間引き処理を実行せず、オリジナルのブロックデータを出力する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項3】
前記間引き処理実行部は、
前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、
前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合においても、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、該間引き処理結果と、間引き処理を実行しないオリジナルのブロックデータとを出力する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項4】
前記間引き処理態様情報生成部は、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、
空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を決定する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項5】
前記間引き処理態様情報生成部は、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、空間方向の間引き処理を行なうことを決定する場合、さらに、空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量を決定する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項6】
前記間引き処理制御情報生成部は、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報の生成において、ブロック移動量に関わらず、特定フレームに対応する全てのブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を、間引き処理可、または間引き処理不可として一律の制御情報として生成する処理を行なう構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項7】
前記間引き処理制御情報生成部は、
1つのブロック内に移動速度の異なる複数のオブジェクトが含まれるか否かを検証し、複数のオブジェクトが含まれるブロックについて、間引き処理不可とする制御情報を生成する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項8】
前記間引き処理制御情報生成部は、
制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームの選択ブロックと、該カレントフレームと異なる参照フレームにおける前記選択ブロックの移動先と判定される参照ブロックとの差分の分散を算出し、該差分の分散の算出値と予め定めた閾値との比較結果に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項9】
前記間引き処理制御情報生成部は、
制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームと参照フレームにおける対応位置にあるブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項10】
前記間引き処理制御情報生成部は、
制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームにおける前記ブロックの周囲ブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。
【請求項11】
動画像変換データの復元処理を実行する動画像復元装置であり、
動画像変換データを構成するブロック対応データと、ブロックに対する間引き処理態様を示す間引き処理態様情報と、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報とを入力し、入力情報に基づくブロック対応変換データの拡張処理を実行するブロック拡張部と、
前記ブロック拡張部におけるブロック拡張処理によって復元されたブロックを合成しフレームデータを生成する合成部とを有し、
前記ブロック拡張部は、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なうと判定したブロック対応変換データに対して、前記間引き処理態様情報の示す間引き処理態様に対応する拡張処理を実行する構成であることを特徴とする動画像復元装置。
【請求項12】
前記間引き処理態様情報は、
空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を示す情報であり、
前記ブロック拡張部は、
前記間引き処理態様情報の示す空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれか、または複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理に対応する拡張処理を実行する構成であることを特徴とする請求項11に記載の動画像復元装置。
【請求項13】
前記ブロック拡張部は、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なわないと判定したブロックについては、ブロック対応データとして含まれるブロック対応オリジナルデータを前記合成部に出力する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項11に記載の動画像復元装置。
【請求項14】
前記合成部は、
前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項11に記載の動画像復元装置。
【請求項15】
前記合成部は、
前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行するとともに、ブロック配置により発生する画素隙間または重複画素の画素値を決定する画素値補正処理を実行する構成であることを特徴とする請求項11に記載の動画像復元装置。
【請求項16】
動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換方法であり、
ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割ステップと、
移動量検出部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出ステップと、
間引き処理態様情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様を示す間引き処理態様情報を生成する間引き処理態様情報生成ステップと、
間引き処理制御情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を生成する間引き処理制御情報生成ステップと、
間引き処理実行部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロック、および、前記間引き処理態様情報生成ステップで生成した間引き処理態様情報と、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報を入力し、入力情報に基づき、各入力ブロックに対する間引き処理の実行の有無および間引き処理態様を決定し、決定に従った処理を行なう間引き処理実行ステップと、
を有することを特徴とする動画像変換方法。
【請求項17】
前記間引き処理実行ステップは、
前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、
前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合は、間引き処理を実行せず、オリジナルのブロックデータを出力することを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項18】
前記間引き処理実行ステップは、
前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、
前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合においても、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、該間引き処理結果と、間引き処理を実行しないオリジナルのブロックデータとを出力するステップであることを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項19】
前記間引き処理態様情報生成ステップは、
前記移動量検出ステップで検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、
空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を決定することを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項20】
前記間引き処理態様情報生成ステップは、
前記移動量検出ステップで検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、空間方向の間引き処理を行なうことを決定する場合、さらに、空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量を決定する処理を実行することを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項21】
前記間引き処理制御情報生成ステップは、
前記移動量検出ステップで検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報の生成において、ブロック移動量に関わらず、特定フレームに対応する全てのブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を、間引き処理可、または間引き処理不可として一律の制御情報として生成する処理を行なうことを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項22】
前記間引き処理制御情報生成ステップは、
1つのブロック内に移動速度の異なる複数のオブジェクトが含まれるか否かを検証し、複数のオブジェクトが含まれるブロックについて、間引き処理不可とする制御情報を生成するステップであることを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項23】
前記間引き処理制御情報生成ステップは、
制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームの選択ブロックと、該カレントフレームと異なる参照フレームにおける前記選択ブロックの移動先と判定される参照ブロックとの差分の分散を算出し、該差分の分散の算出値と予め定めた閾値との比較結果に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成するステップであることを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項24】
前記間引き処理制御情報生成ステップは、
制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームと参照フレームにおける対応位置にあるブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成するステップであることを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項25】
前記間引き処理制御情報生成ステップは、
制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームにおける前記ブロックの周囲ブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成するステップであることを特徴とする請求項16に記載の動画像変換方法。
【請求項26】
動画像復元装置において、動画像変換データの復元処理を実行する動画像復元方法であり、
ブロック拡張部において、動画像変換データを構成するブロック対応データと、ブロックに対する間引き処理態様を示す間引き処理態様情報と、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報とを入力し、入力情報に基づくブロック対応変換データの拡張処理を実行するブロック拡張ステップと、
合成部において、前記ブロック拡張部におけるブロック拡張処理によって復元されたブロックを合成しフレームデータを生成する合成ステップとを有し、
前記ブロック拡張ステップは、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なうと判定したブロック対応変換データに対して、前記間引き処理態様情報の示す間引き処理態様に対応する拡張処理を実行するステップであることを特徴とする動画像復元方法。
【請求項27】
前記間引き処理態様情報は、
空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を示す情報であり、
前記ブロック拡張ステップは、
前記間引き処理態様情報の示す空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれか、または複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理に対応する拡張処理を実行するステップであることを特徴とする請求項26に記載の動画像復元方法。
【請求項28】
前記ブロック拡張ステップは、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なわないと判定したブロックについては、ブロック対応データとして含まれるブロック対応オリジナルデータを前記合成部に出力する処理を実行するステップであることを特徴とする請求項26に記載の動画像復元方法。
【請求項29】
前記合成ステップは、
前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行するステップであることを特徴とする請求項26に記載の動画像復元方法。
【請求項30】
前記合成ステップは、
前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行するとともに、ブロック配置により発生する画素隙間または重複画素の画素値を決定する画素値補正処理を実行するステップであることを特徴とする請求項26に記載の動画像復元方法。
【請求項31】
動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行させるブロック分割ステップと、
移動量検出部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出させる移動量検出ステップと、
間引き処理態様情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様を示す間引き処理態様情報を生成させる間引き処理態様情報生成ステップと、
間引き処理制御情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を生成させる間引き処理制御情報生成ステップと、
間引き処理実行部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロック、および、前記間引き処理態様情報生成ステップで生成した間引き処理態様情報と、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報を入力し、入力情報に基づき、各入力ブロックに対する間引き処理の実行の有無および間引き処理態様を決定し、決定に従った処理を行なわせる間引き処理実行ステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
【請求項32】
動画像復元装置において、動画像変換データの復元処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
ブロック拡張部において、動画像変換データを構成するブロック対応データと、ブロックに対する間引き処理態様を示す間引き処理態様情報と、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報とを入力し、入力情報に基づくブロック対応変換データの拡張処理を実行させるブロック拡張ステップと、
合成部において、前記ブロック拡張部におけるブロック拡張処理によって復元されたブロックを合成しフレームデータを生成させる合成ステップとを有し、
前記ブロック拡張ステップは、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なうと判定したブロック対応変換データに対して、前記間引き処理態様情報の示す間引き処理態様に対応する拡張処理を実行させるステップであることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。特に動画像データのデータ圧縮処理として実行されるデータ変換において、画質劣化を抑え高品質なデータ変換を可能とする動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに、具体的には、本発明は、画像の区分領域としてのブロック内に複数の異なる移動オブジェクトが存在する場合や、急激な移動速度の変化するオブジェクトが発生する動画像においても、画質劣化を抑え高品質なデータ変換を可能とする動画像変換装置、および動画像変換方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
動画像データは、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体への保存、あるいはネットワークを介した配信などにおいて、データ量を削減するためのデータ変換、すなわち圧縮処理が行なわれる。特に、近年、動画像データの高品質化、例えばHD(High Difinition)データなど、データ品質の改善が進んでおり、このデータの高品質化に伴ってデータ量が急激に増大している。このような状況において、動画像データの圧縮、復元処理における圧縮効率の改善や、復元データの品質劣化防止に関する技術について多くの検討、研究がなされている。
【0004】
動画像の圧縮処理方法としては、例えば動画像データを構成する画像フレームの構成画素の間引き処理、すなわち空間方向の間引き処理と、フレームレートを間引く処理、すなわち時間方向の間引き処理などが知られている。
【0005】
このようなデータ変換によるデータ量削減により記憶媒体への保存やネットワークを介したデータ転送が効率的に行なわれるという利点がある。しかしながら、圧縮されたデータを復元し再生する場合、画質の劣化が発生してしまうという問題がある。特にオリジナルデータが高精細画像である場合には、その品質劣化がより顕著になってしまう。
【0006】
このような画質劣化をいかに低減するかについては様々な検討がなされている。例えば特許文献1には、被写体の移動速度の大小に応じて空間方向の画素数間引き処理と時間方向の画素数間引き処理を切り替える画像圧縮処理構成を開示している。また、特許文献2には、特許文献1の処理に対し、さらに空間方向の画素数間引きにおいて被写体の移動速度に応じた標本点の位相変化を施す処理を加えた圧縮処理構成を開示している。
【特許文献1】特開2005−198268号公報
【特許文献2】特開2006−5904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、いくつかの従来技術において、被写体の移動速度に応じて画像の領域毎に異なる処理を行なうことで、間引き処理による圧縮処理に伴う画質劣化を抑え、データ品質を高める構成が開示されている。例えば、上記特許文献1,2では、動画像を構成するフレームを所定領域のブロックに分割し、ブロック毎の移動量を検出したのち、各ブロックの移動量に応じて、ブロックに対して一様の間引き処理を行なう構成を開示している。
【0008】
しかしながら、動画像データの多くは、複数のオブジェクトを含み、動きの大きいオブジェクト、小さいオブジェクト、静止しているオブジェクトなど、様々な動きデータを含む。従って、あるブロックに含まれるオブジェクトが一つの移動速度で移動するオブジェクトとは限らず、1つのブロックに複数の異なる移動量を持つオブジェクトが含まれることがある。このようなブロックについては、上記の従来技術の手法を適用した場合、高品質な圧縮データを得られない場合がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の各ブロックの解析を実行してブロックに対して間引きを施すことが適切か否かを示す間引き処理の制御情報を生成し、各ブロックに対して最適なデータ変換処理を行なうとともに、制御情報に従って間引き処理が適切ではない場合には間引き処理を行なわない構成とすることで品質劣化のきわめて少ない圧縮を可能とした動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面は、
動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換装置であり、
動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割部と、
前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出部と、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様を示す間引き処理態様情報を生成する間引き処理態様情報生成部と、
前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を生成する間引き処理制御情報生成部と、
前記ブロック分割部において分割された各ブロック、および、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報と、前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報を入力し、入力情報に基づき、各入力ブロックに対する間引き処理の実行の有無および間引き処理態様を決定し、決定に従った処理を行なう間引き処理実行部と、
を有することを特徴とする動画像変換装置にある。
【0011】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理実行部は、前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合は、間引き処理を実行せず、オリジナルのブロックデータを出力する構成であることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理実行部は、前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、前記間引き処理制御情報生成部の生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合においても、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、該間引き処理結果と、間引き処理を実行しないオリジナルのブロックデータとを出力する構成であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理態様情報生成部は、前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を決定する構成であることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理態様情報生成部は、前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、空間方向の間引き処理を行なうことを決定する場合、さらに、空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量を決定する処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成部は、前記移動量検出部の検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報の生成において、ブロック移動量に関わらず、特定フレームに対応する全てのブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を、間引き処理可、または間引き処理不可として一律の制御情報として生成する処理を行なう構成であることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成部は、1つのブロック内に移動速度の異なる複数のオブジェクトが含まれるか否かを検証し、複数のオブジェクトが含まれるブロックについて、間引き処理不可とする制御情報を生成する構成であることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成部は、制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームの選択ブロックと、該カレントフレームと異なる参照フレームにおける前記選択ブロックの移動先と判定される参照ブロックとの差分の分散を算出し、該差分の分散の算出値と予め定めた閾値との比較結果に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成する構成であることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成部は、制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームと参照フレームにおける対応位置にあるブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成する構成であることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成部は、制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームにおける前記ブロックの周囲ブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成する構成であることを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の第2の側面は、
動画像変換データの復元処理を実行する動画像復元装置であり、
動画像変換データを構成するブロック対応データと、ブロックに対する間引き処理態様を示す間引き処理態様情報と、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報とを入力し、入力情報に基づくブロック対応変換データの拡張処理を実行するブロック拡張部と、
前記ブロック拡張部におけるブロック拡張処理によって復元されたブロックを合成しフレームデータを生成する合成部とを有し、
前記ブロック拡張部は、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なうと判定したブロック対応変換データに対して、前記間引き処理態様情報の示す間引き処理態様に対応する拡張処理を実行する構成であることを特徴とする動画像復元装置にある。
【0021】
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記間引き処理態様情報は、空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を示す情報であり、前記ブロック拡張部は、前記間引き処理態様情報の示す空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれか、または複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理に対応する拡張処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記ブロック拡張部は、前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なわないと判定したブロックについては、ブロック対応データとして含まれるブロック対応オリジナルデータを前記合成部に出力する処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記合成部は、前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の動画像復元装置の一実施態様において、前記合成部は、前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行するとともに、ブロック配置により発生する画素隙間または重複画素の画素値を決定する画素値補正処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明の第3の側面は、
動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換方法であり、
ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割ステップと、
移動量検出部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出する移動量検出ステップと、
間引き処理態様情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様を示す間引き処理態様情報を生成する間引き処理態様情報生成ステップと、
間引き処理制御情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を生成する間引き処理制御情報生成ステップと、
間引き処理実行部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロック、および、前記間引き処理態様情報生成ステップで生成した間引き処理態様情報と、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報を入力し、入力情報に基づき、各入力ブロックに対する間引き処理の実行の有無および間引き処理態様を決定し、決定に従った処理を行なう間引き処理実行ステップと、
を有することを特徴とする動画像変換方法にある。
【0026】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理実行ステップは、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、
前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合は、間引き処理を実行せず、オリジナルのブロックデータを出力することを特徴とする。
【0027】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理実行ステップは、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきであることを示している場合は、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報が、ブロックに対する間引き処理を実行すべきでないことを示している場合においても、前記間引き処理態様情報生成部の生成した間引き処理態様情報に従った間引き処理を実行し、該間引き処理結果と、間引き処理を実行しないオリジナルのブロックデータとを出力するステップであることを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理態様情報生成ステップは、前記移動量検出ステップで検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を決定することを特徴とする。
【0029】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理態様情報生成ステップは、前記移動量検出ステップで検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様として、空間方向の間引き処理を行なうことを決定する場合、さらに、空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量を決定する処理を実行することを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成ステップは、前記移動量検出ステップで検出したブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報の生成において、ブロック移動量に関わらず、特定フレームに対応する全てのブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を、間引き処理可、または間引き処理不可として一律の制御情報として生成する処理を行なうことを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成ステップは、1つのブロック内に移動速度の異なる複数のオブジェクトが含まれるか否かを検証し、複数のオブジェクトが含まれるブロックについて、間引き処理不可とする制御情報を生成するステップであることを特徴とする。
【0032】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成ステップは、制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームの選択ブロックと、該カレントフレームと異なる参照フレームにおける前記選択ブロックの移動先と判定される参照ブロックとの差分の分散を算出し、該差分の分散の算出値と予め定めた閾値との比較結果に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成するステップであることを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成ステップは、制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームと参照フレームにおける対応位置にあるブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成するステップであることを特徴とする。
【0034】
さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理制御情報生成ステップは、制御情報の生成対象として選択されたブロックを含むカレントフレームにおける前記ブロックの周囲ブロックの移動量の差異に基づいて、前記間引き処理制御情報を生成するステップであることを特徴とする。
【0035】
さらに、本発明の第4の側面は、
動画像復元装置において、動画像変換データの復元処理を実行する動画像復元方法であり、
ブロック拡張部において、動画像変換データを構成するブロック対応データと、ブロックに対する間引き処理態様を示す間引き処理態様情報と、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報とを入力し、入力情報に基づくブロック対応変換データの拡張処理を実行するブロック拡張ステップと、
合成部において、前記ブロック拡張部におけるブロック拡張処理によって復元されたブロックを合成しフレームデータを生成する合成ステップとを有し、
前記ブロック拡張ステップは、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なうと判定したブロック対応変換データに対して、前記間引き処理態様情報の示す間引き処理態様に対応する拡張処理を実行するステップであることを特徴とする動画像復元方法にある。
【0036】
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記間引き処理態様情報は、空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれかまたは複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理態様を示す情報であり、前記ブロック拡張ステップは、前記間引き処理態様情報の示す空間方向の間引き処理、または時間方向の間引き処理のいずれか、または複合的な間引き処理の少なくともいずれかの間引き処理に対応する拡張処理を実行するステップであることを特徴とする。
【0037】
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記ブロック拡張ステップは、前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なわないと判定したブロックについては、ブロック対応データとして含まれるブロック対応オリジナルデータを前記合成部に出力する処理を実行するステップであることを特徴とする。
【0038】
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記合成ステップは、前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行するステップであることを特徴とする。
【0039】
さらに、本発明の動画像復元方法の一実施態様において、前記合成ステップは、前記ブロック拡張部において復元されたブロックを、前記間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行するとともに、ブロック配置により発生する画素隙間または重複画素の画素値を決定する画素値補正処理を実行するステップであることを特徴とする。
【0040】
さらに、本発明の第5の側面は、
動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行させるブロック分割ステップと、
移動量検出部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロックに含まれる被写体の移動量をブロック移動量として検出させる移動量検出ステップと、
間引き処理態様情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに施すべき間引き処理態様を示す間引き処理態様情報を生成させる間引き処理態様情報生成ステップと、
間引き処理制御情報生成部において、前記移動量検出ステップで検出されたブロック移動量に基づいて、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報を生成させる間引き処理制御情報生成ステップと、
間引き処理実行部において、前記ブロック分割ステップで分割された各ブロック、および、前記間引き処理態様情報生成ステップで生成した間引き処理態様情報と、前記間引き処理制御情報生成ステップで生成した間引き処理制御情報を入力し、入力情報に基づき、各入力ブロックに対する間引き処理の実行の有無および間引き処理態様を決定し、決定に従った処理を行なわせる間引き処理実行ステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
【0041】
さらに、本発明の第6の側面は、
動画像復元装置において、動画像変換データの復元処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
ブロック拡張部において、動画像変換データを構成するブロック対応データと、ブロックに対する間引き処理態様を示す間引き処理態様情報と、ブロックに対する間引き処理を実行すべきか否かを示す間引き処理制御情報とを入力し、入力情報に基づくブロック対応変換データの拡張処理を実行させるブロック拡張ステップと、
合成部において、前記ブロック拡張部におけるブロック拡張処理によって復元されたブロックを合成しフレームデータを生成させる合成ステップとを有し、
前記ブロック拡張ステップは、
前記間引き処理制御情報に基づいて、ブロックに対する間引き処理データの拡張処理を行なうか否かを判定し、拡張処理行なうと判定したブロック対応変換データに対して、前記間引き処理態様情報の示す間引き処理態様に対応する拡張処理を実行させるステップであることを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
【0042】
なお、本発明のコンピュータ・プログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、CDやFD、MOなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0043】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づく、より詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一実施例の構成によれば、動画像データを構成するブロックに含まれるオブジェクトの構成、およびブロックの動きに対応した最適な圧縮処理態様を決定し、決定した態様に従ってブロック領域毎に最適な態様でデータ変換処理を行なう構成としたので、品質劣化のきわめて少ない圧縮および復元が実現される。
【0045】
また、本発明の一実施例の構成によれば、動画像データを構成するブロックに含まれるオブジェクトの構成、およびブロックの動きを解析し、例えばブロックに複数の異なる移動オブジェクト含まれる場合には間引き処理を行なわない設定としたので、画質劣化を抑制したデータ変換、復元処理が実現される。また、ブロックの移動量が短時間に大きく変動する場合などにも、間引き処理を行なわない設定としたので、画質劣化を抑制したデータ変換、復元処理が実現される。
【0046】
さらに、本発明の一実施例の構成によれば、検証対象としての選択ブロックを含むカレントフレームの選択ブロックと、参照フレームにおける選択ブロックの移動先と判定される参照ブロックとの差分の分散の検証、あるいは、選択ブロックを含むカレントフレームと参照フレームにおける対応位置にあるブロックの移動量の差異の検証、あるいは、選択ブロックを含むカレントフレームにおける周囲ブロックの移動量の差異の検証などに基づいて、間引き処理の実行の有無を決定して決定に従った間引き処理を行なう構成としたので、画質劣化を抑制したデータ変換、復元処理が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら、本発明の動画像変換装置、動画像復元装置、および方法、並びにコンピュータ・プログラムの構成について説明する。なお、説明は、以下の項目に従って行なう。
(1)超解像効果を利用した動画像変換装置の基本構成
(2)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成
(3)動画像復元装置の構成
(4)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成および動画像復元装置の変形例
【0048】
[(1)超解像効果を利用した動画像変換装置の基本構成]
まず、本発明のベースとなる超解像効果を利用した動画像圧縮を実行する動画像変換装置の基本構成について説明する。なお、この基本構成は、本出願人が先に出願した特開2006−5904号に詳細を記載しているものであり、画像を小領域に分割し、各領域の移動速度に応じて画素数の間引きや、フレームレートの間引きを適応的に行うことでデータ量の圧縮を実現した構成である。
【0049】
図1に特開2006−5904号に記載した動画像変換装置10の構成例を示す。この動画像変換装置10は、超解像効果を利用した動画像変換処理を行うことにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量の削減を行うことができる構成としたものである。
【0050】
なお、超解像効果とは、観測者が、ある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果である。人の視覚は刺激を知覚すると、その刺激を、その刺激の呈示が終了した後もある時間記憶するという機能(感覚記憶機能と称する)を有している。この時間については10ms乃至200msであるという報告が多数されている。この機能は、アイコニックメモリー、あるいは視覚的持続などとも呼ばれ、例えば、"視覚情報ハンドブック,日本視覚学界編,pp.229−230"などに記載されている。なお、超解像効果は、人間の視覚機能における時間的積分機能および感覚記憶機能が複雑に関係して引き起こされていると考えられる。
【0051】
図1に特開2006−5904号に記載した動画像変換装置100の構成例を示す。この動画像変換装置100は、超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量の削減を行なうことができる構成としたものである。
【0052】
なお、超解像効果とは、観測者が、ある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果である。人の視覚は、受けた光の刺激の総和がある閾値になったとき光を知覚するという機能(以下、時間的積分機能と称する)を有している。すなわち光の知覚は、呈示時間内の光の刺激の分布状態に関係なく、時間的に積分された光の総和に従う。また光を知覚できる刺激(閾値)は、刺激の呈示時間が長くなるにつれて小さくなり、呈示時間が短くなるにつれて大きくなる。時間的積分機能の詳細については、例えば、"視覚情報ハンドブック、日本視覚学会編、pp.229−230"などに記載されている。
【0053】
図1に示す動画像変換装置100は、時間的積分機能によって引き起こされる超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことにより、画質劣化を観測者が知覚しないようにデータを削減する圧縮を行なう構成としたものである。
【0054】
図1の動画像変換装置100の構成について説明する。ブロック分割部110は、入力された動画像の各フレームをブロックに分解し、移動量検出部120に供給する。移動量検出部120は、ブロック分割部110から供給された各ブロックについての移動量を検出し、ブロックとその移動量を、ブロック処理部130に送信する。ブロック処理部130は、移動量検出部120から供給されたブロックに対して、その移動量に応じた動画像変換処理を施し、データ量を削減する。ブロック処理部130は、その処理の結果得られた、データ量が削減されたブロックについてのデータを、出力部140に供給する。出力部140は、ブロック処理部130から供給された、データ量が削減されたブロックについてのデータを、例えば、ストリームデータなどとしてまとめて出力する。
【0055】
次に、図2を参照して、各部の詳細について説明する。初めにブロック分割部110について説明する。ブロック分割部110の画像蓄積部111には、動画像変換装置100に供給された動画像のフレームが入力される。画像蓄積部111は、入力されたフレームを蓄積する。画像蓄積部111は、蓄積したフレームの数がN枚(Nは正の整数)になる度に、そのN枚のフレームを、ブロック分割部112に供給するとともに、N枚のフレームの中のM番目に記憶したフレーム(以下、M番目のフレームと称する)を、移動量検出部120の移動量検出部121に供給する。なお、例えばN=4とする。
【0056】
ブロック分割部112は、画像蓄積部111から供給されたN枚のフレーム(連続するN枚のフレーム)のそれぞれを、ある大きさ(例えば8×8、16×16)のブロックに分割し、移動量検出部120のブロック分配部122に出力する。ブロック分割部112はまた、N枚のフレームの中の、画像蓄積部111でP番目に記憶されたフレーム(以下、P番目のフレームと称する)の各ブロックを移動量検出部120の移動量検出部121に供給する。P番目のフレームは、M番目のフレームと異なるフレームである。
【0057】
次に、移動量検出部120について説明する。移動量検出部120の移動量検出部121は、ブロック分割部110のブロック分割部112から供給されたP番目のフレームの各ブロックの動きベクトルを、画像蓄積部111から供給されたM番目のフレームを参照して例えばフレーム間のブロックマッチング処理を実行して検出し、検出した動きベクトルをブロック分配部122、ブロック処理部131および132に供給する。動きベクトルは、フレーム間の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の移動量を表している。例えば、参照フレーム:M=2で、供給フレーム:P=3とした場合、動きベクトルは、1フレーム間の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の移動量を表すことになる。なお、動きベクトルの検出はブロックマッチングによる検出のみならず他の方法を適用してもよい。
【0058】
移動量検出部120のブロック分配部122には、ブロック分割部112から、N個単位でブロック(N枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計N個のブロック)が供給され、移動量検出部121から、そのN個のブロックの中のP番目のフレームのブロックの移動量が供給される。ブロック分配部122は、供給されたN個のブロックを、ブロック処理部130の、その移動量に対応する処理を行うブロック処理部131乃至133(以下、個々に区別する必要がない場合、単に、ブロック処理部130と称する)の中のいずかに供給する。
【0059】
具体的にはブロック分配部122は、移動量検出部121から供給された、1フレーム間の水平方向(X軸方向)または垂直方向(Y軸方向)のどちらか大きいほうの移動量が2ピクセル以上である場合、ブロック分割部112から供給されたN個のブロックを、ブロック処理部131に出力する。また、1フレーム間の水平方向と垂直方向のどちらか大きいほうの移動量が2ピクセル未満で、かつ1ピクセル以上の場合、ブロック分配部122は、N個のブロックを、ブロック処理部132に出力する。移動量が、その他の場合には、ブロック分配部122は、N個のブロックをブロック処理部133に供給する。
【0060】
すなわち、
(a)移動量≧2ピクセル/フレーム:ブロック処理部131(空間方向間引き処理)
(b)2ピクセル/フレーム>移動量≧1ピクセル/フレーム:ブロック処理部132(時間・空間方向間引き処理)
(c)1ピクセル/フレーム>移動量:ブロック処理部133(時間方向間引き処理)
上記(a)〜(c)に処理ブロックを出力する。
【0061】
移動量≧2ピクセルの場合は、ブロック処理部131において空間方向間引き処理を実行し、2ピクセル>移動量≧1ピクセルの場合は、ブロック処理部132において時間・空間方向間引き処理を実行し、1ピクセル>移動量の場合は、ブロック処理部133において時間方向間引き処理を実行することになる。
【0062】
このように、ブロック分配部122は、移動量検出部121から供給された移動量に基づき、変換に最適なフレームレートおよび空間解像度を決定し、そのフレームレートおよび空間解像度にしたがって画像データを変換する処理を行うブロック処理部131〜133ブロック画像を分配する処理を実行する。なお、分配先決定のためのこの条件はあくまでも一例であり、他の条件で分配先を決定してもよい。
【0063】
次にブロック処理部130について説明する。ブロック処理部130は、この例の場合、3個のブロック処理部131乃至133で構成されている。
ブロック処理部131は、移動量検出部120のブロック分配部122から供給された、連続するN枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計N個のブロック(水平方向または垂直方向の移動量が2ピクセル/フレーム以上である場合のN個のブロック)に対して、画素数を、移動量検出部131から供給された水平方向または垂直方向どちらか大きいほうの移動量に応じて間引く処理(空間方向間引き処理)を行う。すなわち、移動量≧2ピクセルのN個のブロックに対して空間方向間引き処理を実行する。
【0064】
1フレーム間の水平方向の移動量が2ピクセル以上である場合、ブロック処理部131は、例えばブロックが8×8ピクセルで構成されている場合、図3(a)に示すように、ブロック内の画素を、1×4ピクセル単位の集合に分割する。
【0065】
さらに、ブロック処理部131は、図3(b)、図4、図5のいずれかの態様で、1×4ピクセルの各集合の画素値p1乃至p4を、その中の1つの画素値にする画素数の間引き(4画素間の画素数の間引き)(間引き量4の間引き)を行う。
【0066】
図3(b)に示す間引き処理は、連続するN枚のフレーム(k〜k+3)のすべてのフレームにおいて、同一の画素位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点(図の例では標本点=p1)として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。
【0067】
図4および図5に示す間引き処理は、連続するN枚のフレーム(k〜k+3)において、同一の画素位置を標本点とする設定ではなく、フレーム毎に異なる画素位置の画素を標本点とし、フレーム毎に異なる位置の画素値を各フレームの4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。
【0068】
図4に示す間引き処理は、k〜k+3番目にある4フレームにおいて、それぞれ同一位置にある4つの水平方向の画素の画素値p1〜p4について、
k番目のフレーム:標本点=p1
k+1番目のフレーム:標本点=p2
k+2番目のフレーム:標本点=p3
k+3番目のフレーム:標本点=p4
のように、フレームの進行に応じて、標本点の画素位置を右方向に1画素ずつ変更して設定した間引き処理である。
【0069】
図5に示す間引き処理は、k〜k+3番目にある4フレームにおいて、それぞれ同一位置にある4つの水平方向の画素の画素値p1〜p4について、
k番目のフレーム:標本点=p4
k+1番目のフレーム:標本点=p3
k+2番目のフレーム:標本点=p2
k+3番目のフレーム:標本点=p1
のように、フレームの進行に応じて、標本点の画素位置を左方向に1画素ずつ変更して設定した間引き処理である。
【0070】
このように図4、図5に示す間引き処理は、連続するN枚のフレーム(k〜k+3)において、同一の画素位置ではなく、異なる画素位置の画素値を各フレームの4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。
【0071】
ブロック処理部131は、移動量検出部120の移動量検出部121から供給された移動量情報に応じて、図3〜図5に示す3つの間引き処理のいずれかを選択して実行する。
【0072】
ブロック処理部131の詳細構成を図6に示す。ブロック処理部131は、間引き処理態様決定部151と、間引き処理実行部152を有する。間引き処理態様決定部151は、移動量検出部121から、移動量情報を入力する。なお、前述したように、ブロック処理部131へ入力されるブロックは、移動量≧2ピクセル/フレームのブロックであり、ブロック処理部131の間引き処理態様決定部151へ入力される移動量情報は、2ピクセル/フレーム以上の移動量情報となる。
【0073】
間引き処理態様決定部151は、移動量の値に基づいて、先に説明した図3、図4、図5のいずれの態様での間引き処理を実行するかを決定する。この決定手法の詳細については後述する。間引き処理実行部152は、間引き処理態様決定部151の決定に従って図3、図4、図5のいずれかの態様での間引き処理を実行する。
【0074】
このように、図1に示す動画像変換装置100は、入力された動画像を、そのデータ量が削減された動画像(圧縮データ)に変換する処理を行なうものであるが、その際、所定の視覚特性に基づいて実現される超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことによりデータ量の削減による画質劣化を観測者に知覚させないようにした装置である。
【0075】
なお、超解像効果とは、前述したように観測者が、ある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果であり、人間の視覚機能における時間的積分機能および感覚記憶機能が複雑に関係して引き起こされているものと考えられており、図1に示す動画像変換装置100は、時間的積分機能によって引き起こされる超解像効果を利用した動画像変換処理を行う構成を有する。
【0076】
なお、人間の視覚特性および超解像効果に関する原理や説明等は、特開2005−298268において詳しく解説がなされている。特開2005−298268に説明されている超解像効果の発生条件を以下に説明する。
【0077】
間引き量m(ピクセル)の画素数間引きを行った場合に超解像効果が発生するには、間引きによる1次乃至m−1次の折り返し成分が全て打ち消される必要がある。k(=1、2、・・・、m−1)次の折り返し成分が打ち消される条件は、下記式(式1)、(式2)を満足することである。
【数1】


【0078】
上記式において、φtは画素数の間引きにおけるサンプリング位置のずれ量であり、時間t(=0、1T、2T、・・・)、信号の移動速度v、時間間隔(フレームレートの逆数)T、を用いて、下記式(式3)によって定義される値である。
【数2】


【0079】
なお、上記式において、サンプリング位置が右にずれる場合を正としている(この条件は、特開2005−198268に開示している設定とは異なる)。
【0080】
間引き量m、小領域の移動量vという条件下で上記式(式1)および(式2)が満たされれば超解像効果が発生し、画質の劣化は観測者に知覚されにくい。
【0081】
続いて、図3乃至図5に示す(b1)〜(b3)の3種類の空間間引き処理を用いる理由について説明する。図1乃至図6を参照して説明した動画像変換装置100は、間引き量4の画素数間引きを行う際の小領域の1フレーム間の移動速度の条件を、水平または垂直方向に2ピクセル以上と設定していた。ここで、使用可能な空間間引き処理が図3に示す処理のみの構成を考える。そのような構成では、例えば移動速度が1フレームにつき4ピクセル、すなわち小領域の移動量v=4であった場合に、間引き量m=4とすると、上記式(式3)のサンプリング位置のずれ量:φtが取り得る値は0以上の整数のみとなる。
【0082】
つまり、この場合、上記式(式1)は全てのkの場合において満たされることはなく、超解像効果は発生しない。同様に、間引き量m=2、小領域の移動量v=1の場合、間引き量m=4、小領域の移動量v=2の場合、などの設定においても上記式(式1)は全てのkの場合において満たされることはなく、超解像効果は得られず画質は大幅に劣化する。すなわち、図1乃至図6を参照して説明した動画像変換装置100は、図3乃至図5に示した(b1)〜(b3)の3種類の空間間引き処理を併用することで、被写体の移動速度に依らず、超解像効果を得られる構成としている。
【0083】
図4あるいは図5に示されているように標本点位置を各フレームに応じて変更して間引き処理を行なう効果について説明する。なお、以下、このように標本点位置を各フレームに応じて変更して実行する間引き処理を[標本点移動型の間引き処理]あるいは[間引き位置の変更処理]と呼ぶことがある。なお、[標本点移動型の間引き処理]においても、図4のように標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き位置の変更処理と、図5のように、標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き位置の変更処理の2つの態様の他にも様々な態様が考えられるため、異なる間引き位置の変更処理を、標本点座標のフレーム毎の変化量によって区別する。この変化量を標本点位相変化量と呼ぶ。
【0084】
間引き位置変更処理において、
標本点位相変化量が[0]の場合が図3(b1)の間引き処理であり、
標本点位相変化量が[+1]の間引き処理が図4の処理、
標本点位相変化量が[−1]の場合が図5の処理、
に相当する。標本点位相変化量は、方向を区別するため、+−の符号を付加して区別する。例えば右方向と下方向を[+]、左方向と上方向を[−]とする。
【0085】
間引き位置の変更処理は、動画像変換装置の基本構成において説明した数式(式3)に示されている標本点のずれ量φtをフレーム毎に1/m加算(右にずらす場合(図4))、または1/m減算(左にずらす場合(図5))することに等しい。なお、mは間引き量(mピクセル)である。
【0086】
間引き位置の変更処理を行なった場合の新たな標本点のずれ量φ'tは、下記数式(式4)として示される。
【数3】


【0087】
上記数式(式4)から、被写体の進行方向に標本点の位置をずらすことは被写体の移動速度を減速することと、進行方向と逆に位置をずらすことは移動速度を加速することと信号処理の理論上の意味は等価であることがわかる。これは、もちろん実際の映像上で被写体の移動速度が変化することを意味するわけではない。以下、図7を用いて具体的な処理例について説明する。
【0088】
図7は被写体(k番目のフレームのp1〜p5間の5画素)201が4フレーム(フレームk〜k+3)の間に(A)移動していないという状況、(B)水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで移動しているという状況を示している。
【0089】
図1、図2に示す動画像変換装置100のブロック処理部131には、本来、1フレーム間の水平方向の移動量が2ピクセル以上のブロックが入力されることになるので、図7に示す(A)、(B)のようなフレームデータの入力は行なわれないが、1フレーム間の水平方向の移動量が2ピクセル以上のデータにおいて、移動量に応じて図3、図4、図5に示す間引き処理のいずれかの処理が実行されることになる。すなわち、移動量に応じて[間引き位置の変更処理]を行なう場合と行なわない場合が生じる。
【0090】
図7を参照して、[間引き位置の変更処理]を行なう場合と行なわない場合の処理について説明する。例えば、(A)移動していないという状況において、図3に示す固定標本点の間引き処理を実行し、(B)水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで移動しているという状況において、図4に示す標本点をフレーム毎に移動させる[間引き位置の変更処理]、すなわち標本点移動型の間引き処理を行なったとする。
【0091】
図7(A)に示すように被写体が移動していないという状況において、間引き量=4、すなわち4画素間の画素末間引きを行なったとすると、図3を参照して説明した固定標本点の間引き処理を実行した場合、各4ピクセル毎の出力値は全てのフレームにおいてp1とp5の画素であり、固定位置の画素値となる。一方、図7(B)に示すように、水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで被写体が移動しているという状況において、図4を参照して説明した標本点をフレーム毎に移動させる[間引き位置の変更処理]を行なったとすると、各4ピクセルに対応する各フレームの出力値は、図7(B)に示す通り、
k番目のフレーム:p1、p5
k+1番目のフレーム:p2、p6
k+2番目のフレーム:p3、p7
k+3番目のフレーム:p4、p8
となる。
【0092】
結果として、図7(B)1ピクセル/フレームの移動被写体と、図7(A)移動しない被写体において、各フレームの出力値が一致することになる。すなわち移動量v=1ピクセル/フレームの被写体を含む動画像に対して図4を参照して説明した標本点をフレーム毎に移動させる[間引き位置の変更処理]を施した出力と、移動速度がv−1=0の被写体(A)に図3の処理、すなわち、固定標本点を適用した間引き処理を施した出力とが一致していることがわかる。つまり、移動している被写体に図4の処理を施すことは、その移動速度を1減速した被写体に図3の処理を施すことと等しいことが確認できる。
【0093】
結局、間引き位置の変更処理によって、被写体の移動速度を仮想的に加速または減速することが可能となる。
【0094】
次に、具体的にどのような速度で被写体が移動しているときに超解像効果が起こらないのかを確認する。図8は、様々なフレームあたりの移動量としての移動速度:vを持つ被写体を含む動画像データに対して図3の固定標本点間引き処理(4画素の間引き処理)を行い、その結果得られる変換(圧縮)画像を、再度、復元(伸張)して得られる画像データの画質の良否データを示している。横軸が被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:v(ピクセル/フレーム)であり、縦軸が画質評価値を示している。すなわち、横軸に示した移動量で被写体を右方向に移動させた際の画質の主観評価実験の結果の傾向を示すグラフであり、グラフ中に示す曲線が画質評価曲線205である。画質の良否判定基準として、図8中にTで示す基準評価値を設定し、基準評価値T以上の評価を得た場合を良好な画質とする。
【0095】
フレームあたりの移動量としての移動速度:v=P(ピクセル/フレーム)〜Q(ピクセル/フレーム)を持つ様々な被写体に対して、図3を参照して説明した固定標本点間引き処理(4画素の間引き処理)を行って、基準評価値T以上の評価を得た領域が、図8の領域Aである。領域A以外の領域Bは、基準評価値T未満の評価を得た領域である。
【0096】
基準評価値T以上の評価を得た領域、すなわち図8の領域Aは、被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vが、a〜b、c〜d、e〜の範囲にある場合であり、これらの移動量を持つ場合には、図3を参照して説明した固定標本点間引き処理を適用した場合であっても良好な画質となり、超解像効果が損なわれることのない間引きが実現されたと判断される。一方、図8の領域B、すなわち、被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vが、a〜b、c〜d、e〜以外の範囲にある場合は、基準評価値T未満の画質となり、超解像効果の発生しない、もしくは十分でない領域であると考えられる。
【0097】
この評価結果に基づいて、被写体の移動速度が図8の領域Bの速度に対応する場合に、間引き位置の変更処理によって被写体の移動速度を概念的に加速あるいは減速する。すなわち、例えば図4、図5に示すような間引き位置の変更処理を実行する。この結果として、図7を参照して説明したように、図8の領域Aの速度で移動する場合と同様の出力が得られ、超解像効果を伴う良好な画質が得られることになる。
【0098】
図9に示す領域B1、B2は図8に示した領域Bの一部である。すなわち、基準評価値T未満の画質領域であり、超解像効果の発生しない、もしくは十分でない被写体移動速度:vを持つ領域であると考えられる領域である。領域B1、B2の速度で被写体が移動している場合には、仮想的に被写体を加速(+Δv1、+Δv2)する処理を行なうことで、つまり被写体の進行方向とは逆の方向に間引き位置を変更する処理を行う(例えば、被写体が右に移動していれば図5に示すようにフレームの進行に伴い標本点位置を左に移動させる処理を行う)ことで、図9の領域B1を図9の領域C1に移動させ、図9の領域B2を図9の領域C2に移動させたと同様の効果を得ることができ、結果として、被写体の仮想的なフレームあたりの移動量としての移動速度:vを、基準評価値T以上となる画質領域(図9のC1、C2)に設定することが可能となる。すなわち、図5に示すようにフレームの進行に伴い標本点位置を左に移動させる間引き処理を実行することで、画質劣化の少ない画像変換(圧縮)が実現される。
【0099】
同様に、図10の領域B3の速度で被写体が移動している場合、仮想的に被写体を減速(−Δv3)する処理を行なうことで、つまり進行方向と同じ方向に間引き位置変更を行う(例えば右に移動していれば図4の処理を行なう)ことで図10の領域B3を図10の領域C3に移動させ、結果として、被写体の仮想的なフレームあたりの移動量としての移動速度:vを、基準評価値T以上となる画質領域(図10のC3)に設定することが可能となる。すなわち、図4に示すようにフレームの進行に伴い標本点位置を右に移動させる間引き処理を実行することで、画質劣化の少ない画像変換(圧縮)が実現される。
【0100】
なお、図8〜図10において示した画質評価曲線は、あくまでも主観評価による1実験の結果に基づいて設定した評価曲線を示すものであり、画質評価の方法は様々な方法が適用可能であり、その結果に基づいて間引き処理態様の決定を行なう構成としてもよい。
【0101】
移動量が2ピクセル/フレーム以上のブロックデータの処理を実行する図2に示すブロック処理部131は、図6に示す間引き処理態様決定部151において、移動量検出部からの移動量情報に基づいて、
(a)標本点固定の間引き処理(図3参照)
(b)標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)
(c)標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)
これら(a)〜(c)の間引き処理のいずれを実行するかを決定し、図6に示す間引き処理実行部152において決定した処理態様の間引き処理を実行する。
【0102】
図6に示す間引き処理態様決定部151における間引き処理態様の決定に際しては、例えば図8〜図10に示した画質評価曲線に基づく決定処理を行なう。すなわち、画質評価曲線が基準評価値T以上の画質が維持される移動速度領域である場合は、(a)標本点固定の間引き処理(図3参照)を実行し、画質評価曲線が基準評価値T未満の画質になる移動速度領域においては、(b)標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)、または、(c)標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)のいずれかを行なう構成として、仮想的な移動量が、画質評価曲線が基準評価値T以上の画質が維持される移動量領域に入る設定とする。
【0103】
図6に示す間引き処理態様決定部151において、移動量検出部からの移動量情報に基づいて、決定する間引き処理態様の決定例を図11に示す。図11の決定例は、図8〜図10に示す画質評価曲線に基づいて処理態様を決定した例を示している。
図11(a)、(b)は、
移動速度:2ピクセル/フレーム≦移動量<cピクセル/フレーム、
移動速度:fピクセル/フレーム≦移動量<eピクセル/フレームのいずれかで、
かつ、
移動方向:右、
の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)、すなわち標本点位相変化量=[+n]とした間引き処理を実行する。この処理は仮想的な加速処理であり、図9の領域B1からC1へ移す処理、または領域B2からC2へ移す処理に相当する。
【0104】
図11(c)、(d)は、
移動速度:2ピクセル/フレーム≦移動量<cピクセル/フレーム、
移動速度:fピクセル/フレーム≦移動量<eピクセル/フレームのいずれかで、
かつ、
移動方向:左
の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)、すなわち標本点位相変化量=[−n]とした間引き処理を実行する。この処理も仮想的な加速処理であり、図9の領域B1からC1へ移す処理、または領域B2からC2へ移す処理に相当する。
【0105】
図11(e)は、
移動速度:dピクセル/フレーム≦移動量<fピクセル/フレームで、かつ、
移動方向:右
の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)、すなわち標本点位相変化量=[+n]とした間引き処理を実行する。この処理は仮想的な減速処理であり、図10の領域B3からC3へ移す処理に相当する。
【0106】
図11(f)は、
移動速度:dピクセル/フレーム≦移動量<fピクセル/フレームで、かつ、
移動方向:左
の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)、すなわち標本点位相変化量=[−n]とした間引き処理を実行する。この処理は仮想的な減速処理であり、図10の領域B3からC3へ移す処理に相当する。
【0107】
図11(g)は、
上記以外の移動速度、すなわち、
移動速度:cピクセル/フレーム≦移動量<dピクセル/フレーム、
移動速度:eピクセル/フレーム≦移動量、のいずれかで、
移動方向:左または右
の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従ってずらす間引き処理ではなく固定標本点とした間引き処理(図3参照)、すなわち標本点位相変化量=[0]とした間引き処理を実行する。この処理は、図8の領域Aに対応する移動量を持つ被写体を有するブロックの処理に相当する。
【0108】
上述の処理例は、水平方向の移動量を持つブロックの処理例であるが、垂直方向の移動量を持つブロックの処理においても同様の処理、すなわち、図2に示すブロック処理部131は、図6に示す間引き処理態様決定部151において、移動量検出部からの移動量情報に基づいて、
(1)標本点固定の間引き処理(図12(b1)参照)[標本点位相変化量=[0]]
(2)標本点位置をフレームの進行に従って下方向へずらす間引き処理(図13(b2)参照)[標本点位相変化量=[+n]]
(3)標本点位置をフレームの進行に従って上方向へずらす間引き処理(図14(b3)参照)[標本点位相変化量=[−n]]
のいずれを実行するかを決定し、図6に示す間引き処理実行部152において決定した処理態様の間引き処理を実行する。
【0109】
ブロック処理部131は、このように、処理ブロックに含まれる被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vに応じて異なる間引き処理を実行し、出力部140に出力する。ブロック処理部131は、間引き量4の場合、空間方向間引き処理を、供給された4個のブロックに対してそれぞれ施すので(隣接した4画素毎に1画素選択されるので)、各ブロックのデータ量が1/4に削減され、4個のブロック全体のデータ量が1/4に削減される。ブロック処理部131は、データ量が1/4に削減された4個のブロックについてのデータを、出力部140に供給する。
【0110】
続いて、ブロック処理部132の説明の前に、ブロック処理部133の動作を、具体的に説明する。
【0111】
ブロック処理部133は、移動量検出部120のブロック分配部122から供給された、連続するN枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計Nブロック(水平方向と垂直方向の移動量がともに1ピクセル未満である場合のN個のブロック)に対して、フレーム数を間引く処理(時間方向間引き処理)を行う。
【0112】
具体的にはブロック処理部133は、図15に示すように、連続する4枚のフレームF1乃至F4のそれぞれの同一位置ある4個のブロックBiを、その中の1つのブロック(この例の場合、フレームF1のブロックBi)にするフレーム数の間引き(4フレーム間のフレーム数の間引き)を行う。
【0113】
ブロック処理部133は、このような時間方向間引き処理により、データ量が1/4に削減された4個のブロックについてのデータ(1個のブロック)を、出力部140に供給する。なお、ここでは、N=4の場合を例として説明したが、Nが他の値であっても同様な処理が行われる。
【0114】
次に、ブロック処理部132の動作を具体的に説明する。ブロック処理部132は、移動量検出部120のブロック分配部122から供給された、連続するN枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計N個のブロック(水平方向と垂直方向の移動量が1ピクセル以上2ピクセル未満である場合のN個のブロック)に対して、画素数の間引き処理(空間間引き処理)とフレーム数の間引き処理(時間方向間引き処理)をそれぞれ行なうものである。
【0115】
ブロック処理部132に供給されるブロックのフレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2は、数式(式1)、(式2)満足する。すなわち、超解像効果を得るための条件を満たしている。しかしながら、先に図3を参照して説明したものと同様の標本点固定とした間引き処理を実行してしまうと、画質劣化が知覚される場合があることがわかっている。
【0116】
そこで、ブロック処理部132は、間引き量m=4ではなく、間引き量m=2とした間引き処理を実行し、さらに、ブロック処理部131における間引き処理と同様の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理を、被写体移動速度に応じて適宜選択して実行する。
【0117】
間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を図16〜図21を参照して説明する。図16〜図18は、水平方向のフレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2ピクセル/フレームである場合のブロック処理部132の間引き処理例である。
【0118】
図16は、標本点固定型の間引き処理、すなわち標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0]とした間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、その中のいずれか2個の画素値(この例の場合、p1、p3)にする画素数の間引き(2画素間の画素数の間引き)、すなわち、間引き量m=2の間引き処理例である。
【0119】
図17は、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p1、p3に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p2、p4に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0.5]とした間引き処理に相当する。
【0120】
図18も、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p2、p4に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p1、p3に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[−0.5]とした間引き処理に相当する。
【0121】
図19〜図21は、垂直方向のフレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2ピクセル/フレームである場合のブロック処理部132の間引き処理例である。
【0122】
図19は、標本点固定型の間引き処理、すなわち標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0]とした間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、その中のいずれか2個の画素値(この例の場合、p1、p3)にする画素数の間引き(2画素間の画素数の間引き)、すなわち、間引き量m=2の間引き処理例である。
【0123】
図20は、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p1、p3に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p2、p4に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0.5]とした間引き処理に相当する。
【0124】
図21も、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p2、p4に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p1、p3に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[−0.5]とした間引き処理に相当する。
【0125】
ブロック処理部132も、ブロック処理部131と同様、先に説明した図6の構成を持つ。すなわち、ブロック処理部132は、間引き処理態様決定部151と、間引き処理実行部152を有する。間引き処理態様決定部151は、移動量検出部121から、移動量情報を入力する。なお、前述したように、ブロック処理部132へ入力されるブロックは、フレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2ピクセル/フレームであるブロックであり、ブロック処理部132の間引き処理態様決定部151へ入力される移動量情報は、移動速度v=1〜2ピクセル/フレームの移動量情報となる。
【0126】
間引き処理態様決定部151は、移動量の値に基づいて、図16〜図21のいずれの態様での間引き処理を実行するかを決定し、間引き処理実行部152は、間引き処理態様決定部151の決定に従って図16〜図21のいずれかの態様での間引き処理を実行する。
【0127】
ブロック処理部132は、このように、処理ブロックに含まれる被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vに応じて異なる間引き処理を実行し、出力部140(図1、図2参照)に出力する。ブロック処理部132は、間引き量2の空間方向間引き処理を実行するとともに、図22に示す時間方向間引き(4フレーム→2フレーム)も施すので、各ブロックのデータ量が1/4に削減され、4個のブロック全体のデータ量が1/4に削減される。ブロック処理部131は、データ量が1/4に削減された4個のブロックについてのデータを、出力部140に供給する。
【0128】
次に、出力部140について説明する。出力部140は、ブロック処理部130のブロック処理部131〜133のそれぞれから供給された、データ量が削減されたN個のブロックについてのデータおよび、各ブロックがどのような処理をされたかを示す情報を出力する。処理内容に関する情報は、空間方向間引き、時間方向間引き、空間・時間方向間引きのいずれの方法で間引きされたのかを示す情報、空間間引きされている場合は間引き位置の変更処理は行われたのかを示す情報、行われているのならどのような間引き位置変更処理が施されたのかを示す情報、元の動画のフレームレート、空間解像度に関する情報、などから構成されるが、他の情報が加えられても構わない。
【0129】
以上のように、図1乃至図22を参照して説明した動画像変換装置100は、被写体の移動速度に応じて異なる間引き位相変化量の空間方向間引きを施すことで、画質劣化を抑えた圧縮によりデータ削減を可能とした構成となっている。
【0130】
具体的には、画像中の移動オブジェクトの移動量に応じて異なる間引き位相変化量の空間間引き処理を行なうデータ圧縮(削減)をしている。この間引き処理により、圧縮データを復元して再生を行なった場合に、画像中の移動オブジェクト(被写体)を観測者が追従視することで、各移動オブジェクト(被写体)の速度に対応する間引き処理に基づく超解像現象が発生し、観測者に画素数間引きに伴う画質劣化を知覚させないという効果を発生させるものである。
【0131】
なお、"追従視"または"観測者の視線が被写体を追従する"とは、被写体の移動速度:V(ピクセル/フレーム)と観測者の視線速度:Vo(ピクセル/フレーム)が同値またはほぼ同値となることである。観測者の視線速度は、フレームの進行に伴う、観測者の注目する画像中の座標位置の変化量である。
【0132】
ところで、上述した動画像変換装置100は、Nフレーム間の同一位置のブロックに対して同じ間引き処理を適用するものである。すなわち、Nフレーム間の同一位置のブロック単位で算出した唯一のブロック移動量に基づいて決定される唯一の間引き処理態様で、そのブロックに対する間引き処理が行なわれる。
【0133】
しかしながら、動画像データにおいては、同一位置のブロックの移動量がNフレーム間において大幅に変化することもある。例えば画像上の移動オブジェクトの端部などでは、図23に示すように、Nフレーム間でブロックに対応する移動速度が大きく変化することがある。
【0134】
図23は連続するフレーム0,1において、背景としてのオブジェクト231上を右方向に速度Vで移動するオブジェクト232の様子を示したものである。ブロック233に施される処理について考える。1つの間引き処理態様を適用するフレーム中にフレーム0,1が含まれている場合、図23に示すブロック233の間引き処理態様は、フレーム0,1において同一の設定となる。
【0135】
ブロック対応の移動量検出が、フレーム1を基準にしてなされた場合、例えばフレーム1とフレーム2を適用して行なわれると、検出される移動量は、ブロック233に含まれるのは背景としてのオブジェクト231の領域であるので[0]となる。この場合、ブロック233に時間間引きを施すことになる。同一の間引き処理対象とするNフレームをフレーム(−1〜2)の4フレームとした場合、フレーム1ではブロック233は背景を含むので対応する移動量は0であり、適切な処理となる。しかし、フレーム0では、ブロック233に対応する速度はVであるから、時間間引きは速度に対して適切な処理とはならない。
【0136】
一方、移動量検出をフレーム0を基準として実行した場合、例えばフレーム−1とフレーム0を適用して行なわれると、検出される移動量は、ブロック233に含まれるのは移動オブジェクト232の領域であるので[V]となる。この場合、ブロック233には空間間引きを施すことになる。フレーム0ではブロック233の移動量はVであり、適切な処理となる。しかし、フレーム1では、ブロック233に対応する速度は0であるから、空間間引きは速度に対して適切な処理とはならない。
【0137】
このように、例えば、ブロックに移動するオブジェクトの端部が含まれるような場合、空間間引き・時間間引き何れの処理を適用しても、連続する数フレーム間同じ処理を適用すると、あるフレームのブロックに対しては適切な処理であっても、別のフレームのブロックに対しては適切とはならない。このように、ブロック移動量に対して適切ではない間引き処理を施した場合、画質劣化が知覚されることになる。
【0138】
さらに、画像中には複数のオブジェクトが存在する場合が一般的であり、複数のオブジェクト間で重なりが生じることもよくあることである。例えば、図24に示すように、画像中に複数のオブジェクト241および242が存在し、オブジェクト241は停止しており、オブジェクト242は図中に矢印で示す方向に空間間引きを適用可能な速度Vで移動しているとする。このとき、点線で示したブロック243に施される間引き処理について考える。ブロック243のように、複数のオブジェクトの重なりの部分に位置するブロックに対応する移動速度は、通常は正しく定義できない。しかしながら、ブロックマッチングによる動き検出を行なった場合は、ブロックに含まれるいずれかのオブジェクトの速度がブロックに対応する移動速度となる場合が多いことから、ここではブロック243に対応する移動速度は0(オブジェクト241の速度)、またはV(オブジェクト242の速度)として算出されたとする。
【0139】
ブロック243に対応する移動速度が0と判定された場合、動画像変換装置100によると時間方向のフレーム数間引きが施される。この場合、ブロック243中の、オブジェクト241の一部に相当する部分では、速度に対して適切な処理が施されることになるので、画質上の問題は発生しない。ところが、ブロック2503中の、オブジェクト242の一部に相当する部分では、本来は空間方向の画素数間引きが施される場所に対して時間方向のフレーム数間引きを施すことになり、画質の劣化が発生する。
【0140】
同様に、ブロック243に対応する移動速度がVと判定された場合、動画像変換装置100によると空間方向の画素数間引きが施される。ブロック243中の、オブジェクト242の一部に相当する部分では、速度に対して適切な処理が施されることになるので、画質上の問題は発生しない。ところが、ブロック243中の、オブジェクト241の一部に相当する部分では、本来は時間方向のフレーム数間引きが施される場所に対して空間方向の画素数間引きを施すことになり、画質の劣化が発生する。
【0141】
このように、一つのブロック内に、異なる移動量を持つ複数のオブジェクトが混在している場合は、いずれの移動速度に従った間引き処理を行なっても、画質上の問題点が発生する。
また、上記の様に複数のオブジェクトを含まないブロックであっても、複数のオブジェクトの重なる部分(エッジ、オブジェクトの境界)に近い場合は、間違った移動量が検出されることがある。特に、ブロックマッチングによる動きの検出においては、動き検出の対象となるブロックそのものよりも広い範囲を入力とする評価関数を用いることがあり、オブジェクトの境界を含まないブロックであっても、動き検出にエラーが発生することがある。その様子を図25に示す。
【0142】
図25は、ブロックマッチングにおいて、動きを検出する対象のブロックよりも大きい領域を動きベクトルの評価に用いる例である。図25に示す1つの画像フレームには、動きが0である背景領域251と、右方向に速度Vで移動するオブジェクト252が含まれる。
【0143】
ブロック254に対応する移動量(動きベクトル)をブロックマッチングによって検出する場合に、参照する画素の範囲を示したものが矩形領域253である。すなわち、ブロックマッチングで用いる評価関数としては、カレントフレームと参照フレームのブロックの各画素の差分絶対値の和などがよく用いられるが、図25に示す例ではブロック254ではなく矩形領域253を用いた差分絶対値の和の計算を行なう。
【0144】
この結果、実際の画像のテクスチャの量などにも依存するが、ブロック254の移動量検出の際に使用する矩形領域253に属する画素の多くが背景であることから、ブロック254に対応する動き量は0となることがあり得る。図25の例の場合は、ブロック254が空間方向の画素数間引き処理を施すべき移動量Vで移動しているオブジェクト252を完全に含むにも関わらず、移動量0と検出され、時間方向のフレーム数間引きを施される可能性がある。この場合、ブロック254に対応する適切な空間間引きが行なわれず、著しい画質劣化が発生する可能性が高まる。
【0145】
このように、ブロックに対応する適切な移動量が算出されない場合には、画質劣化につながる画像変換が行われることになる。以下、この問題点を解決した構成について説明する。
【0146】
[(2)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成]
以下、上述の動画像変換装置100の問題点を解決し、改良した間引き処理を実行することにより、不適切な間引き処理を施した領域において発生する画質劣化を抑制したデータ削減(圧縮処理)を実現する動画像変換装置について説明する。
【0147】
本発明の一実施例に係る動画像変換装置300の構成を、図26を参照して説明する。図26に示す動画像変換装置300は、先に図1を参照して説明した動画像変換装置100と同様、人間の視覚特性による超解像効果を利用することにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量を削減することを可能としたものであり、さらに、被写体の移動量に対して適切な間引き処理を行なうことができない場合においての画質劣化を最小限に抑制したデータ削減を可能としたものである。
【0148】
図26に示す動画像変換装置300の構成について説明する。入力された動画像の各フレームは一旦フレームバッファ301に蓄積される。蓄積されたフレームはブロック分割部302および移動量検出部303に出力される。ブロック分割部302は入力されたフレームをブロックに分割し、移動量検出部303および間引き処理実行部306に出力する。移動量検出部303はフレームバッファ301から供給されたフレームとブロック分割部から供給されたブロックを使用して、各ブロックに関する移動量を検出し、間引き処理態様情報生成部304および間引き処理制御情報生成部305に出力する。
【0149】
間引き処理態様情報生成部304は、移動量検出部303から供給される各ブロックに対応する移動速度(ブロック移動量)を参照して、施すべき適切な間引き処理が、空間方向の画素数間引きであるか、時間方向のフレーム数間引きであるかを決定する。さらに、空間方向の画素数間引き処理の場合には、空間間引きにおける最適な標本点位相変化量を決定し、時間方向の間引き処理か空間方向の間引き処理かについての情報とともに、間引き処理実行部306に出力する。
【0150】
間引き処理制御情報生成部305は、移動量検出部303から供給される、各ブロックに対応する移動量情報、およびブロック分割部302から供給されるブロックデータを参照して、フレームを構成する各ブロックについて、間引き処理を施すべきかどうかを判断し、結果を間引き処理制御情報として、間引き処理実行部306に出力する。
【0151】
間引き処理実行部306は、間引き処理態様情報生成部304から供給された間引き処理態様情報に基づき、各ブロックに対して間引き処理を施す。ただし、この際、間引き処理制御情報生成部305から供給された、各ブロックに対応する制御情報に基づき、間引き処理を行なうことが適切では無いブロックに関しては、間引き処理を施さない。間引き処理実行部306は、さらに、処理結果を出力部307に出力する。出力部307は、間引き処理実行部306から供給された、データ量が削減されたブロックについてのデータを、例えばストリームデータなどとしてまとめて出力する。
【0152】
続いて改良した間引き処理を実行する動画像変換装置300の各構成部の処理の詳細について説明する。
【0153】
まず、フレームバッファ301について説明する。フレームバッファ301は入力される動画像データを構成するフレームデータを蓄積する。フレームバッファ301に蓄積するフレーム数は、移動量検出部303における移動量検出処理に適用するフレーム画像に依存する。
【0154】
例えば、移動量検出部303における移動量検出処理において、現フレームFと過去のフレームF−k(kは正の整数)を用いて現フレームFにおける移動量を検出する構成とした場合は、フレームバッファ301は、フレームFが入力された時点で、少なくとも過去のkフレームを蓄積する構成とする。
【0155】
また、移動量検出部303における移動量検出処理において、現フレームFと未来のフレームF+kを用いて現フレームFにおける移動量を検出する構成である場合は、フレームバッファ301は、フレームF+kが入力されるまでフレームFの蓄積状態を維持する構成とする。
【0156】
また、移動量検出部303における移動量検出処理において、フレームFの移動量を検出する際に、過去のフレームF−kおよび未来のフレームF+kを使用する構成である場合には、フレームバッファ301は少なくともフレームF−kからフレームF+kまでのフレームを蓄積する構成とする。
【0157】
以下、1つの実施例として、移動量検出部303が、フレームFの移動量検出の際に過去のフレームF−1を参照する構成である場合の処理例について説明する。すなわち、連続する2つのフレームに基づいて、フレームFの移動量検出を行なう処理例について説明する。フレームバッファ301は移動量検出部303が移動量を検出するのに必要なフレームを蓄積し、現フレームNをブロック分割部302に出力する。また、移動量検出の際に必要となるフレームF−1を移動量検出部303に出力する。なお、移動量検出部303における移動量検出処理に適用するフレームについては、上述したように様々な設定が可能であり、それぞれの設定において本発明は適用可能である。
【0158】
続いて、ブロック分割部302の行なう処理について説明する。ブロック分割部302は、入力された動画像の各フレームを、予め設定した大きさ、例えば8ピクセル×8ピクセル、4ピクセル×4ピクセル等のブロックに分解し、移動量検出部303、間引き処理態様情報生成部304、および間引き処理制御情報生成部305に供給する。
【0159】
移動量検出部303は、ブロック分割部302から供給された、フレームFの各ブロックについての移動量を検出する。すなわち、フレームバッファ301より入力された参照フレーム(例えば過去のフレーム)を参照してブロックマッチングを行いブロック単位の移動量を検出する。移動量検出部303は、検出したブロック毎のブロック移動量を、間引き処理態様情報生成部304、および間引き処理制御情報生成部305に供給する。
【0160】
なお、移動量検出部303は、間引き処理制御情報生成部305が必要とする任意のフレームに対応する移動量情報を供給可能であるとする。つまり、例えば間引き処理制御情報生成部305が、カレントフレームに対応する移動量情報の他に、前後それぞれQフレーム分の移動量情報を必要とする場合、移動量検出部303はそれらの移動量情報を供給することができる。なお、使用する移動量検出手法はブロックマッチング法以外の方法であってもよい。移動量は各ブロックに対応する動きベクトルとして表される。動きベクトルは、フレーム間の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の移動量を表す。
【0161】
次に、間引き処理態様情報生成部304の処理について説明する。間引き処理態様情報生成部304は、移動量検出部303から供給された各ブロックに対応する移動量情報(ブロック移動量)に基づき、各ブロックに施すべきもっとも適切な間引き処理の態様を定める。すなわち、
(a)時間間引き処理と空間間引き処理のいずれの処理を施すか、
(b)空間間引き処理を施す場合は、水平方向と垂直方向のどちらの方向の空間間引き処理を施すか、さらに、空間間引きの際の標本点位相変化量を決定する。
【0162】
時間・空間いずれの間引き処理を施すかの判断には、まず移動量検出部303から供給されたブロック移動量のX方向成分:VxとY方向成分:Vyを比較する。各成分のうち絶対値の大きいほうの成分の値:Vが閾値Vtを超えていた場合は空間方向の画素数間引きを施す。Vが閾値Vtを下回る場合は時間方向のフレーム数間引きを施す。空間方向間引きを施す場合、|Vy|>|Vx|ならば垂直方向の空間間引きを施し、それ以外の場合は、水平方向の空間間引きを施す。さらに、空間間引きの場合は、空間間引き処理を行なう際の標本点位相変化量をも決定する。間引き量M=4の場合の標本点位相変化量の決定方法について、以下で詳細を説明する。
【0163】
標本点位相変化量の決定処理は、図27乃至図30および図31に示す画質評価曲線に基づいて行なわれる。
図27に示すグラフは、横軸を被写体の移動量の値とし、
標本点位相変化量=0
とした空間方向の画素数間引き処理を施して生成した変換画像データを復元・再生し、追従視を行なった場合の画質評価を記録したグラフであり、図8に示したグラフと同様である。横軸に示した移動量で被写体を右方向に移動させた際の主観評価実験の結果の傾向を画質評価曲線401(図8における205と同様)として示している。縦軸が画質評価(高いほど画質が良いという評価)を示している。
【0164】
図27中にTで示す基準評価値402を設定し、基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域403乃至405によって示す。図27から、被写体が403乃至405の領域の速度で移動している場合には、標本点位相変化量=0の間引き処理を施しても、十分な画質を得られることがわかる。
【0165】
図28乃至図30は、図27の曲線401を右方向にシフトすることで作成した画質評価曲線であり、それぞれ、
図28:標本点位相変化量=+1の場合、
図29:標本点位相変化量=+2の場合、
図30:標本点位相変化量=+3の場合、
上記のように対応する。
【0166】
以下に図27の曲線401を右方向にシフトすることで、異なる標本点位相変化量の場合の画質評価曲線が得られる理由を説明する。
【0167】
(式4)ですでに示したように、間引き位置の変更処理(標本点位相変化量≠0の処理)は、(式3)に示されている標本点のずれ量φtをフレーム毎に1/m加算(右にずらす場合)、または1/m減算(左にずらす場合)することに等しい。なお、mは間引き量(mピクセル)である。さらに一般的に、標本点位相変化量=Pの場合の間引き処理は、(式3)に示されている標本点のずれ量φtをフレーム毎にP/m加算することに等しい。標本点位相変化量=Pのもとで画素数の間引き処理を行なった場合の新たな標本点のずれ量φ'tは、下記数式(式5)として示される。
【数4】


【0168】
結局、標本点位相変化量=Pで間引き処理を行なうことは、被写体の移動速度vを概念的に減速することと等しいことが(式5)からわかる。これは、例えばP=1の場合、v=V1における画質評価値はP=0の場合のv=V1−1における画質評価値から得られることを示している。よってP=1の画質評価曲線(図28の曲線411)は図27の曲線401(図28の点線で示した曲線)を右方向に1ピクセル分シフトすることで得られることがわかる。基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域413乃至416によって示す。
【0169】
同様に標本点位相変化量Pの場合のv=Vpにおける画質評価値は、標本点位相変化量=0の場合の速度v=Vp−Pの場合の画質評価値より得られるので、図29のP=2の場合の画質評価曲線421は曲線401(図29の点線で示した曲線)を右に2ピクセル分シフトすることで得られる。基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域423乃至425によって示す。
【0170】
さらに、図30のP=3の場合の画質評価曲線431は曲線401(図30の点線で示した曲線)を右に3ピクセル分シフトすることで得られることがわかる。基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域433乃至436によって示す。
【0171】
なお、以上のように標本点位相変化量P=0の場合以外の画質評価曲線はシミュレーションによって作成したが、全ての標本点位相変化量の場合について実際に実験等によってP=0の場合と同様にグラフを作成しても構わない。
【0172】
図31は図27乃至図30の画質評価曲線401、411、421、431を全て示した図である。図31を参照して理解されるように、あらゆる速度において、画質評価値が閾値Tを上回る(十分な画質を得られる)標本点位相変化量は、複数存在する。
【0173】
例えば、図31において移動量v=3ピクセル/フレームの位置(441の点線上)では、曲線401と421が閾値Tを上回っている。つまり、v=3の場合には、標本点位相変化量P=0またはP=2の間引き処理を施した場合に、観測者が画質劣化を感じない十分な品質の画像が提供できることがわかる。
【0174】
このようにして、間引き処理態様情報決定部304は、各標本点位相変化量に対応する画質評価曲線に基づき、移動量検出部303から供給された各ブロックに対応する移動量において、十分な画質(閾値Tを上回る画質)を得られるような標本点位相変化量を決定する。そのような標本点位相変化量が複数存在する場合は、その中で最も高い評価値を得られるものに決定すればよい。ただし、他の方法で選択しても構わない。
【0175】
上記の例は、変換画像データを右方向に移動させてグラフを作成したが、図27乃至図31に示した画質評価曲線は画像データの移動方向(水平・垂直)によらないので、垂直方向の画素数間引きにおける標本点位相変化量の候補も図27乃至図31を用いて決定することができる。
【0176】
また、上記の例は、間引き量M=4の場合の画質評価特性であったが、間引き量がその他の値でも、同様の手段によって画質評価特性を生成することが可能である。すなわち、まず、標本点位相変化量を0とした場合の変換画像データを作成して、移動速度を変えて表示し、画質を測定し、しかるのちに、得られた画質評価曲線をシフトすることで間引き量Mに対応する全ての標本点位相変化量に対応する評価曲線を得ることができる。ただし、全ての標本点位相変化量に対応する画質評価曲線を実験によって得ても良い。すなわち、0以外の標本点位相変化量に関しても、実際に変換画像データを作成し、速度を変えて表示し、評価曲線を得ることも可能である。
【0177】
以上のようにして、間引き処理態様情報決定部304は、各ブロックに施す間引き処理の態様を決定し、それを間引き処理実行部306に供給する。
【0178】
続いて、間引き処理制御情報生成部305について説明する。間引き処理制御情報生成部305は、移動量検出部303から供給される各ブロックに対応する移動量情報、およびブロック分割部302から供給される各ブロックの画素データに基づいて、間引き処理の実行予定フレームとして選択した1つのカレントフレームを構成する各ブロック各々について、間引き処理を施すことが適当かどうかを判断し、その結果を間引き処理制御情報として間引き処理実行部306に出力する。
【0179】
間引き処理を施すべきではないブロックを判定する方法は多数考えられるが、前述のように、基本的には異なる速度で移動する複数のオブジェクト(背景も1つのオブジェクトとみなしてよい)間の境界部分およびその周辺を間引き処理不可領域とするべきであるので、そのような領域を間引き処理不可と判定できるような方法であればどのような方法であってもよい。すなわち、間引き処理制御情報生成部305は、例えば、1つのブロック内に移動速度の異なる複数のオブジェクトが含まれるか否かを検証し、複数のオブジェクトが含まれるブロックについて、間引き処理不可とする制御情報を生成する構成をもつ。
【0180】
以下、ブロックに対する間引き処理を行なうか否かを判定する異なる3つの判定手法A〜Cについて説明する。間引き処理制御情報生成部305は、以下に説明する判定方法A、B、Cの全ての手法によって間引き処理を行なわない、すなわち間引き処理を不可とするブロックを決定してもよいし、いずれか一つの手法のみによって決定しても構わない。
【0181】
(方法A)ブロック間差分の分散を用いる方法
まず、ブロック間差分の分散を用いて、ブロックに対する間引き処理を行なうか否かを判定する方法について説明する。この方法では、あるブロックBに関する間引き処理制御情報を定めるために、ブロックBの属するカレントフレームF1以外のフレームを参照フレームとして利用する。ここでは、仮にカレントフレームF1の1フレーム過去のフレームF0を参照フレームとして利用するものとする。なお、参照フレームは、カレントフレーム以外のフレームであればいずれのフレームであってもよい。
【0182】
方法A、すなわち、ブロック間差分の分散を用いて、ブロックに対する間引き処理を行なうか否かを判定する場合、間引き処理制御情報生成部305は、カレントフレームF1以外に直前のフレームF0も参照可能な構成であるとする。間引き処理制御情報生成部305は、移動量検出部303より、カレントフレームの各ブロックに対応する移動量情報(動きベクトル)を供給されている。ブロックBに対応する動きベクトルを(Vx、Vy)とする。また、フレームF1の画素(x、y)の画素値をI1(x、y)、フレームF0の画素(x、y)の画素値をI0(x、y)とする。方法AではブロックBが直前のフレームにおいて存在した位置の各画素と、ブロックBを構成する各画素との間の差分の分散を計算する。ブロックBが直前のフレームで存在した位置は、ブロックBに対応する動きベクトル(Vx、Vy)を現在の座標から減算することで得られる。
【0183】
カレントフレームと参照フレームにおける対応ブロックの差分の分散[var]は以下の式によって算出される。すなわち、
【数5】


ここで、Iaveは各画素の差分の平均値であり、
【数6】


である。
また、Mはブロックサイズである。
【0184】
間引き処理制御情報生成部305は、上記式によって算出されるカレントフレームと参照フレームにおける対応ブロックの差分の分散[var]と、予め定められた閾値[Tv]とを比較する。
var>Tv
である場合、すなわち、差分の分散[var]が閾値[Tv]を上回る場合は、該ブロックを間引き処理不可のブロックとする。
一方、
var>Tv
が成立しない場合、すなわち、差分の分散[var]が閾値[Tv]以下である場合は、該ブロックを間引き処理可のブロックとする。
【0185】
これは、例えば図24を用いて示したような、動画像変換装置100の問題点を解決するための方法である。すなわち、図24に示すブロック243に対応する移動量はオブジェクト241またはオブジェクト242のいずれかの移動量となる可能性が高い。ここでは仮にブロック243に対応する移動量がオブジェクト242の移動量Vとなったとする。この場合、ブロック243の各画素と、直前のフレームにおいてブロック243が存在した位置の各画素を比較すると、ブロック243の左側部分の差分値は小さくなるが右側部分の画素値は大きくなる。
【0186】
具体的な例について、図32を参照して説明する。図32は現在フレームと過去フレームにおける、図24に示したオブジェクト242の位置を示している。オブジェクト241は省略している。ブロック243に対応している移動量はVであるので、ブロック243と領域244の画素間の差分を計算することになるが、このとき明らかにブロックの左側、すなわちオブジェクト242を含む部分では画素値は一致している。もしくは非常に近いものになっているため、差分値は小さくなり、それ以外の部分の差分値は大きくなる。つまり、分散varの値が大きくなる。これに対して、ブロックが完全に一つのオブジェクトしか含まない場合には、差分値は総じて小さくなるので分散も小さくなる。従って、分散が、ある閾値Tvを上回るようなブロックはオブジェクトを複数含んでいる可能性が高いので、間引き処理を不可とする。
【0187】
この間引き処理可または不可とした制御情報を、図26の間引き処理実行部306に出力する。間引き処理実行部306では、間引き処理が可とされたブロックについては間引き処理を行うが、間引き処理が不可とされたブロックについては、間引き処理を行わない。
【0188】
この制御により、複数の異なるオブジェクトが含まれるようなブロックについての間引きが防止され、結果として、図24を参照して説明したようなブロック対応の1つの移動量に基づく均一な間引き処理による画質劣化の発生を抑制することができる。なお、閾値Tvを適当に調整することで、間引き処理を不可とするブロックの総数を調整することが可能なので、データの削減量の調整も行なうことができる。
【0189】
(方法B)フレーム間の間引き処理変動を検知する方法
次に、フレーム間の間引き処理変動の検知に基づく間引き可否判定処理手法について説明する。この方法では、あるブロックBに関する間引き処理制御情報を定めるために、ブロックBの属するカレントフレームF1以外のフレームに対応する移動量情報を利用する。すなわち、方法Bを用いる場合、間引き処理制御情報生成部305はカレントフレームに対応する移動量情報以外に、前後Nフレームに対応する移動量情報を利用する。Nの値はどのような値であってもよいが、ここでは仮にN=2とする。すなわち、カレントフレームの前後2フレームのブロックBと同一の位置のブロックの移動量情報を参照する。
【0190】
この方法B、すなわち、フレーム間の間引き処理変動を検知することによる間引き可否判定処理手法では、あるブロックBの間引き処理制御情報を定める際に、カレントフレームのブロックBに対応する移動量情報に加えて、前後2フレームの、ブロックBと同一の位置のブロックの移動量情報を参照し、これら計5種類のブロック移動量情報から定められる最適な間引き処理形態が、全て同一の場合にブロックBに対応する間引き処理制御情報を「間引き処理可」とする。それ以外の場合は間引き処理制御情報を「間引き処理不可」に設定する。
【0191】
具体例について図33を参照して説明する。図33は、水平方向に並んだ8つのブロックの5フレーム間の変動を表したものである。横軸がブロックの位置(x座標)であり、縦軸が、時間(t)であり、上から下方向に時間が進行しており、カレントフレームが中段のフレームであり、上段に先行2フレーム、下段に後続2フレームの計5フレームを示している。
【0192】
図中に示す斜線部分が移動しているオブジェクト(被写体)である。1つのブロックは4×4ピクセルであり、オブジェクト(被写体)は、右方向に4ピクセル/フレームで移動している。白色の部分は背景であり、移動していない。
【0193】
ここで、カレントフレームのブロックB0に着目すると、その前後フレームの同一位置のブロックは全て斜線領域の移動オブジェクトであり、4ピクセル/フレームで移動している。すなわち、カレントフレームを中心とする5フレーム間の全てのブロックに対応する移動量が空間間引きを適切な間引き処理とする移動量であり、この場合ブロックB0は「間引き処理可」のブロックとなる。
【0194】
同様にブロックB2は、その前後フレームのブロックを含めた5つの全てのブロックの移動量が0であり、時間間引きを適切な間引き処理とする移動量であるので、ブロックB2に対応する間引き処理制御情報も「間引き処理可」となる。
【0195】
一方、ブロックB1の前後フレームの移動量を参照すると、過去のフレームのブロック(図中ブロックB1の直上の2つのブロック)は時間間引きを適切な間引き処理とするブロックであり、ブロックB1と未来フレームのブロック(ブロックB1の直下の2つのブロック)は空間間引きを適切な間引き処理とするブロックである。この場合、5つのブロックにおいて最適な間引き形態が同一ではないので、ブロックB1に対応する間引き処理制御情報は「間引き処理不可」とする。
【0196】
この間引き処理可または不可とした制御情報を、図26の間引き処理実行部306に出力する。間引き処理実行部306では、間引き処理が可とされたブロックについては間引き処理を行うが、間引き処理が不可とされたブロックについては、間引き処理を行わない。
【0197】
この制御は、主に図23乃至図25を用いて示したような、動画像変換装置100の問題点を解決するための方法である。すなわち、図23で示したように、空間間引きが施される領域と時間間引きが施される領域の境界部分において、先に説明した動画像変換装置100では、Nフレーム(例えば4フレーム)単位で同じ間引き処理を施すことになるが、この判定手法(B)を適用した場合、このようなブロックでは、間引き処理が実行されないことになり、異なる移動速度で移動するオブジェクトが連続フレームに存在している場合の不適切な間引き処理を防止することができる。
【0198】
また、図25で示したように、異なる移動量のオブジェクトの境界部分では移動量検出のエラーが発生しやすいので、エラーが発生している可能性を予め考慮して、間引き処理を施すことを抑制することができる。なお、方法Aの場合と同様に、参照する前後フレームの数=Nを適当に調整することで、間引き処理を不可とするブロックの総数を調整することが可能なので、データの削減量の調整も行なうことができる。
【0199】
(方法C)周囲ブロックの間引き処理変動を検知する方法
次に、周囲ブロックの間引き処理変動の検知に基づく間引き可否判定処理手法について説明する。この方法では、あるブロックBに関する間引き処理制御情報を定めるために、ブロックBの属するカレントフレームF1以外のフレームに対応する移動量情報や、カレントフレームのブロックデータを必要としない。つまり、方法Aや方法Bと異なり、カレントフレームと異なる別のフレームの参照を行なう必要がない。
【0200】
方法Cでは、あるブロックBの間引き処理制御情報を定める際に、カレントフレームにおけるブロックBの周囲ブロックの移動量を参照し、ブロックBおよび周囲のブロックに対応する移動量情報から定められる最適な間引き処理形態が、全て同一の場合にブロックBに対応する間引き処理制御情報を「間引き処理可」とする。それ以外の場合は間引き処理制御情報を「間引き処理不可」に設定する。
【0201】
周囲ブロックは、ブロックBを含みブロックBより大きい領域に含まれるブロックであり、例えばブロックBの上下左右の隣接ブロックを周囲ブロックとする。具体的な処理例について図34を参照して説明する。図34は、カレントフレームにおけるある位置のブロックごとの移動量の様子を示したものである。
【0202】
図中の矩形の一つ一つがブロックであり、斜線のブロックは対応する移動量が空間間引き処理を最適な間引き処理とする移動量が対応しているブロックであり、白色のブロックは対応する移動量が時間間引き処理を最適な間引き処理とする移動量が対応しているブロックである。
【0203】
図中のブロックB3に着目するとその上および左のブロックは時間間引きを最適とする移動量であるのに対して、ブロックB3およびその右と下のブロックは空間間引きを最適とする移動量である。よって全てのブロックの移動量に対応する間引き処理が共通ではないので、ブロックB3に対応する間引き処理制御情報は「間引き処理不可」とする。
【0204】
これに対して、ブロックB4は、ブロックB4とその上下左右のブロック全てに空間間引きを最適とする移動量が対応しているので、ブロックB4に対応する間引き処理制御情報は「間引き処理可」とする。
【0205】
この間引き処理可または不可とした制御情報を、図26の間引き処理実行部306に出力する。間引き処理実行部306では、間引き処理が可とされたブロックについては間引き処理を行うが、間引き処理が不可とされたブロックについては、間引き処理を行わない。
【0206】
以上の処理は、主に図23乃至図25を用いて示したような、動画像変換装置100の問題点を解決するための方法である。すなわち、図23で示したように、空間間引きが施される領域と時間間引きが施される領域の境界部分において、動画像変換装置10とは異なるが、動画像変換装置100のようにNフレーム(例えば4フレーム)単位で同じ間引き処理を施すような構成となっている場合に、移動量に対して適切で無い間引き処理を施すことを防ぐことができる。また、図25で示したように、異なる移動量のオブジェクトの境界部分では移動量検出のエラーが発生しやすいので、エラーが発生している可能性を予め考慮して、間引き処理を施すことを抑制することができる。なお、方法Aの場合と同様に、参照する周囲ブロックの範囲を適当に調整することで、間引き処理を不可とするブロックの総数を調整することが可能なので、データの削減量の調整も行なうことができる。
【0207】
間引き処理制御情報生成部305は、以上のようにして、カレントフレームを構成する全てのブロックに対して、「間引き処理可」か「間引き処理不可」のいずれかの制御情報を定め、これを間引き処理実行部306に出力する。間引き処理制御情報生成部305は、上述した判定方法A、B、Cの全ての手法を適用して、いずれかの判定手法において、間引き処理不可の判定がなされたブロックを間引き処理不可とする処理を行なってもよいし、あるいは、上述した判定方法A、B、Cのいずれか一つの手法のみによってブロックの間引き可否を決定する構成としてもよい。
【0208】
なお、間引き処理制御情報生成部305は、特定フレームに対応する全てのブロックに対応する制御情報を、ブロック分割部302の分割したブロックデータ、および移動量検出部303の検出した移動量情報に依らずに、一律に「間引き処理可」、または「間引き処理不可」と設定して、間引き処理実行部306に出力する設定を可能とした構成としてもよい。
【0209】
例えば、出力先である記憶手段に十分な記憶容量がある場合や、出力先としてのネットワークを介した受信部において、オリジナルデータが必要であるといった場合には、特定フレームに対応する全てのブロックに対する制御情報を「間引き処理不可」と設定してオリジナルデータを出力するという設定としたり、あるいはその逆のパターンとして、出力先である記憶手段に十分な記憶容量がない場合や、出力先としてのネットワークが混雑しており、十分な帯域確保が困難である場合には、特定フレームに対応する全てのブロックに対する制御情報を「間引き処理可」と設定して全てのブロックに対する間引き処理を実行してデータ量の削減を行なうといった処理を行なう構成としてもよい。
【0210】
続いて、間引き処理実行部306の処理について説明する。間引き処理実行部306は、間引き処理態様情報生成部304から供給される間引き処理態様情報、および間引き処理制御情報生成部305から供給される間引き処理制御情報に基づいて、ブロック分割部302から供給される各ブロックに対して、間引きによるデータの削減処理を行なう。
【0211】
間引き処理実行部306の実行する間引きの種類としては前述の「(1)超解像効果を利用した動画像変換装置の基本構成」において説明したと同様、空間方向の画素数間引き処理(空間間引き処理)、時間方向のフレーム数間引き処理(時間間引き処理)、空間間引き処理と時間間引き処理の組み合わせを選択適用する構成が考えられるが、以下に説明する実施例の動画像変換装置300の間引き処理実行部306では、空間方向の画素数間引き処理または時間方向のフレーム数間引き処理のいずれかを行なうものとする。また、(1)で示した動画像変換装置100では、間引き処理は4フレーム単位で行なわれていたが、本実施例の動画像変換装置300では1フレーム単位の間引き処理を行なう例について説明する。ただし、動画像変換装置100のように数フレーム単位の処理であってもよい。また、時間間引きと空間間引きを組み合わせた間引き処理を行なってもよい。まず、各間引き処理の詳細について以下に示す。
【0212】
前述したように、間引き処理態様情報生成部304は、移動量検出部303から供給された各ブロックに対応する移動量情報(ブロック移動量)に基づき、各ブロックに施すべきもっとも適切な間引き処理の態様を定める。すなわち、
(a)時間間引き処理と空間間引き処理のいずれの処理を施すか、
(b)空間間引き処理を施す場合は、水平方向と垂直方向のどちらの方向の空間間引き処理を施すか、さらに、空間間引きの際の標本点位相変化量を決定する。
【0213】
間引き処理実行部306は、間引き処理態様情報生成部304から入力するこれらの間引き処理態様情報によって処理を変更する。
【0214】
さらに、間引き処理実行部306は、間引き処理制御情報生成部305から、間引き処理可または不可としたブロック対応の制御情報を入力し、間引き処理が可とされたブロックについては間引き処理を行うが、間引き処理が不可とされたブロックについては、間引き処理を行わない。
【0215】
すなわち、間引き処理実行部306は、間引き処理制御情報生成部305から入力する制御情報が間引き不可である場合は、間引き処理を中止し、間引き処理制御情報生成部305から入力する制御情報が間引き可である場合は、間引き処理態様情報生成部304から入力する情報に応じた間引き処理を実行する。
【0216】
以下、間引き処理制御情報生成部305から入力する制御情報が間引き可である場合において、間引き処理実行部306が実行する間引き処理の具体例について説明する。
【0217】
(1)間引き処理態様情報生成部304から供給される間引き処理態様情報が時間間引き処理である場合
【0218】
あるブロックに対応する間引き処理態様情報が、時間方向のフレーム数間引き処理であった場合、間引き処理実行部306は現在処理中のフレーム番号F(=0、1、2、・・・)に応じたフレーム数間引き処理を行なう。間引き量がM(整数)であるとすると、フレーム番号FがMの倍数の場合には、そのブロックのデータをそのまま出力する。フレーム番号FがMの倍数で無い場合は、そのブロックのデータを全て削除する。間引き量M=4とした場合の時間間引き処理は図15に示した処理に対応する。
【0219】
(2)間引き処理態様情報生成部304から供給される間引き処理態様情報が空間間引き処理である場合
【0220】
あるブロックに対応する間引き処理態様情報が、空間方向の画素数間引き処理であった場合、間引き処理実行部306は現在処理中のフレーム番号Fに応じた画素数間引き処理を行なう。間引き量はMとする。間引き処理態様情報が示す空間間引きの方向が水平方向の場合、間引き処理実行部306は、まず、図35に示すようにM×Mのブロックを縦1画素×横M画素単位の集合に分割する。
【0221】
間引き処理態様情報生成部304から供給される間引き処理態様情報から得られる標本点位相変化量:Pは0〜M−1までの値を取り得る。このとき、現在処理中のフレーム番号FをM×N+kによって表し、横方向に並んだM画素中の一番左の画素の座標を(X、Y)によって表すと、間引き処理実行部306は、(X+(P×k+1 MOD M)、Y)の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、横方向に並んだM個の画素の画素値として設定する。
【0222】
図36乃至図40はM=4の場合の水平方向の空間間引き処理を示しており、間引き処理実行部306はまず図36に示すように4×4のブロックを横1×縦4画素単位の集合に分割し、間引き態様情報が示す標本点位相変化量Pに従い、図37乃至図40に図示する画素数間引き処理を行なう。Pのとりうる値は、M=4の場合、0、1、2、3のいずれかであり、P=0の場合の処理が図37、P=1の場合の処理が図38、P=2の場合の処理が図39、P=3の場合の処理が図40にそれぞれ対応する。
【0223】
間引き処理態様情報が示す空間間引きの方向が垂直方向の場合、間引き処理実行部306は、まず、図41に示すようにM×Mのブロックを縦M画素×横1画素単位の集合に分割する。
【0224】
間引き処理態様情報生成部304から供給される間引き処理態様情報から得られる標本点位相変化量:Pは0〜M−1までの値を取り得る。このとき、現在処理中のフレーム番号FをM×N+kによって表し、縦方向に並んだM画素中の一番上の画素の座標を(X、Y)によって表すと、間引き処理実行部306は、(X、Y+(P×k+1 MOD M))の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、縦方向に並んだM個の画素の画素値として設定する。
【0225】
図42乃至図46はM=4の場合の垂直方向の空間間引き処理を示しており、間引き処理実行部306はまず図42に示すように4×4のブロックを横4×縦1画素単位の集合に分割し、間引き態様情報が示す標本点位相変化量Pに従い、図43乃至図46に図示する画素数間引き処理を行なう。P=0の場合の処理が図43、P=1の場合の処理が図44、P=2の場合の処理が図45、P=3の場合の処理が図46にそれぞれ対応する。
【0226】
間引き処理実行部306の行なう処理のより詳しい流れについて、図47に示すフローチャートを参照して説明する。図47は、あるブロックに対して間引き処理実行部306が最終的に何らかの処理を適用するまでの流れを示したものである。
【0227】
ステップS101において、ブロックに対応する間引き態様情報:R、ブロックに対応する間引き制御情報:Sを、それぞれ、間引き処理態様情報生成部304、間引き処理制御情報生成部305から入力する。
【0228】
ステップS102において、ブロックに対する制御情報:Sを確認することで、そのブロックに対して間引き処理が可能であるかどうかを調べる。Sが間引き処理を不可であると示している場合には、そのブロックに対してはいずれの間引き処理も行なわず、ブロックデータをそのまま出力し、そのブロックに対する処理を終了する(S108)。
【0229】
ブロックに対する制御情報:Sが間引き処理を可能であると示していれば、S103に進み、ブロックに対する間引き態様情報Rを参照する。Rが、ブロックに施す処理が空間間引きであることを示していれば、そのブロックに対して空間間引きを施し(S104)、空間間引きの結果のブロックデータを出力し、処理を終了する(S107)。Rが、ブロックに施す処理が空間間引きではないと示していれば、S105に進み、ブロックに対して時間間引き処理を施し、時間間引きの結果のブロックデータを出力し、処理を終了する(S106)。
【0230】
間引き処理実行部306は、このような図47に示すフローチャートに従った処理を、フレームを構成する全てのブロックに対して実行し、結果を出力部307に出力する。
【0231】
最後に、出力部307について説明する。出力部307は、間引き処理実行部306から供給されたデータ量が削減されたブロックもしくはオリジナルのブロック(間引き処理制御情報が「間引き処理不可」の場合)についてのデータ、および各ブロックにどのような処理が施されたに関する情報を出力する。処理内容に関する情報は、「間引き処理が施されたのか否かを示す情報(間引き処理制御情報)」、「空間・時間いずれの間引き処理が施されたのかを示す情報、空間方向の間引き処理が施された場合はいずれの方向(水平・垂直)の間引き処理が施されたのかを示す情報、空間方向の間引き処理における標本点位相変化量を示す情報(間引き処理態様情報)」、元の動画像のフレームレート、空間解像度に関する情報などから構成されるが、他の情報が加えられても構わない。
【0232】
なお、出力部307の後段には、例えばハードディスク、DVDなどの記憶媒体、あるいはネットワーク出力手段が接続され、データ変換によって圧縮されたデータの格納、あるいはネットワーク出力が実行される。
【0233】
[(3)動画像復元装置の構成について]
次に、上述の動画像変換装置300によって生成された変換(圧縮)データの復元処理を実行する動画像復元装置について説明する。
【0234】
動画像復元装置500の構成を図48に示す。動画像復元装置500は、図48に示すように、データ拡張部501、合成部502によって構成される。
データ拡張部501には上述の動画像変換装置300によって生成された変換(圧縮)データと、復元に必要となる属性データが入力される。属性データには、各ブロックに関する間引き処理制御情報と各ブロックに施された処理の具体的内容に関する間引き処理態様情報が含まれる。各ブロックに施された処理の具体的内容とは、空間方向間引き処理、時間方向間引き処理のいずれが実行されたか、また空間間引き処理において実行された間引き処理における標本点位相変化量の情報等を含む情報である。
【0235】
データ拡張部501は入力された属性情報に含まれる各ブロックの間引き処理態様情報および間引き処理制御情報に基づいて、空間拡張処理か時間拡張処理のいずれかの処理を、復元処理対象となる変換データに対して施す、もしくは直接ブロックデータを合成部502に送る。
【0236】
具体的には、動画像変換装置300においてブロックが間引き処理実行部306で施された処理が空間間引き処理である場合には、データ拡張部501は、空間間引きされた各ブロックデータに対し、空間間引きの方向や、標本点位相変化量を示す間引き処理態様情報に基づき、空間拡張処理を行ない、合成部502へ出力する。
【0237】
また、動画像変換装置300の間引き処理実行部306で施された処理が時間間引き処理である場合は、時間拡張処理を行ない、合成部502へ出力する。また、ブロックに対応する間引き処理制御情報が「間引き不可」であった場合には、ブロックに対しては間引き処理が施されていないので、直接データを合成部502へ出力する。
【0238】
データ拡張部501が実行する空間拡張処理においては、動画像変換装置300の間引き処理実行部306において空間方向に間引き処理を施されたデータの拡張処理を実行する。入力された間引き処理態様情報に基づいて、図49、図50に示す態様でのデータ拡張処理を実行し、ブロックを再構成する。また、再構成されたブロックと処理の内容を示す情報を合成部502へと出力する。
【0239】
図49および図50の処理について説明する。図49は、動画像変換装置300の間引き処理実行部306において、水平方向の空間間引き処理を施された場合の動画像復元装置500のデータ拡張部501による処理を示している。例えば、元のブロックの大きさが4x4であった場合、データ拡張部501にはその1/4の4画素分のデータが送られている。この各画素のデータに関して、図49(1)のように画素のコピー拡張処理を行うことで、1画素を1x4画素に拡張する。なお、図49(1)に示す処理例は入力された画素の画素値をそのまま4画素分の画素値として配置することで拡張を行なう例であるが、入力された他の画素の値を含む画素値に基づく演算による結果を配置してもかまわない。
【0240】
続いて、水平方向の空間間引きが施された場合には、データ拡張部501は、図49(2)に示した処理を行なう。すなわち、図49(1)の処理によって得られた1x4画素の集合を図49(2)のように配置することで、入力の4画素から4x4のブロックを復元し、結果を合成部502に出力する。また、間引き処理の内容を示す情報も出力する。
【0241】
図50は、動画像変換装置300の間引き処理実行部306において、垂直方向の空間間引き処理を施された場合の空間拡張処理を示している。例えば、元のブロックの大きさが4x4であった場合、データ拡張部501にはその1/4の4画素分のデータが送られている。この各画素のデータに関して、図50(1)の処理を行うことで、1画素を4x1画素に拡張する。なお、図50(1)に示す処理例は入力された画素の画素値をそのまま4画素分の画素値として配置することで拡張を行なう例であるが、入力された他の画素の値を含む画素値に基づく演算による結果を配置してもかまわない。
【0242】
続いて、垂直方向の空間間引きが施された場合には、データ拡張部501は、図50(2)に示す処理を行なう。すなわち、図50(1)の処理によって得られた4x1画素の集合を図50(2)のように配置することで、入力の4画素から4x4のブロックを復元し、結果を合成部502に出力する。また、間引き処理の内容を示す情報も出力する。
【0243】
次に、データ拡張部501が実行する時間拡張処理について説明する、時間拡張処理では、動画像変換装置300の間引き処理実行部306において、時間間引き処理を施されたデータの拡張処理の際に実行する。
【0244】
時間拡張処理では、図51に示すように1つのフレームのブロックデータにもとづいて、複数フレームのブロックデータを生成する。具体的には、データ拡張部501は初期値0のカウンタを持ち、1フレームの復元が終了するたびに1加算され、値が4(=N(ただし間引き量m=4の場合))に達したときに0へとリセットされる。
【0245】
時間拡張対象のデータが入力されたとき、そのブロックをメモリに格納し、間引き量に応じて設定されているカウンタ上限値に至るまで、メモリに格納したブロックデータの複製として複数のフレームデータ対応のブロックデータを生成し、合成部502へ出力する。図に示す例では、間引き量m=4の場合であり、1つのブロックデータから4つのフレーム対応のブロックデータを生成して合成部502へ出力する。
【0246】
データ拡張部501において、ブロックに対応する間引き処理制御情報が「間引き処理不可」であった場合には、そのブロックのブロックデータには間引き処理が施されていないので、そのまま合成部502へ出力する。
【0247】
合成部502はデータ拡張部501から入力されたブロックが1フレーム全体を表現できる量に達したときに、ブロックを、同時に入力される間引き処理の内容を表す情報に従い適切に配置して1フレームを復元し、復元された1フレーム全体を出力する。以下でブロックの配置処理について図52〜図56を参照して説明する。
【0248】
図52〜図56は、複数ブロックによって構成される1フレームのデータ例を示している。図52〜図56の例では、1フレームデータは、3×3の9個のブロックから構成されている。各図において、破線によって分割される正方形の1つ1つがブロックであり、グレーで塗られた正方形、例えば図52では、ブロック601が、合成部502が、データ拡張部501から入力し、配置しようとするブロックである。
【0249】
図52は、合成部502が、データ拡張部501から入力し、配置しようとするブロックが、時間方向の間引き処理を施されたブロックであるか、一切の間引き処理を施されていないブロックである場合のブロック配置位置を示している。この場合、合成部502は、動画像変換装置300におけるブロック分割部302において、最初に分割されたときと同じ位置に復元したブロックを配置する。
【0250】
図53は、データ拡張部501から入力し、配置しようとするブロックが、水平方向の空間間引き処理を施されていた場合の復元ブロック配置処理例を示している。
【0251】
図53(a)は復元ブロックの標本点オフセットが0の場合の水平方向の空間間引き処理を実行した場合の復元データブロックである。標本点オフセットとは、ブロックの左上座標を(X、Y)としたときの標本点座標が(X+w、Y)であるときのwを指す。すなわち、間引き処理実行部306の処理の説明において解説したように、間引き量をM、標本点位相変化量をPとし、カレントフレームの番号をF=M×N+k(N、kは整数)によって表すときに、標本点座標は(X+(P×k+1 MOD M)、Y)で定まるので、wは現在のフレーム番号と標本点位相変化量によって定まる。例えば、標本点位相変化量=0であれば、標本点オフセットはフレーム番号に依らず1となるので、標本点位相変化量=0の場合は図53の(b)の位置にブロックが配置される。また、標本点位相変化量が1であれば、フレーム番号F=M×N+kのkの値が0のときは(b)、1のときは(c)、2のときは(d)、3のときは(a)に示した位置にブロックが配置される。
【0252】
このように、合成部502は、水平方向の間引き処理データの復元を行なう場合は、復元ブロックをフレーム毎に水平方向に移動させて配置する処理を実行する。この処理の理由を図54を参照して説明する。
【0253】
図54(a)〜(d)は、図53(a)〜(d)に対応するフレームデータのブロックを構成する一部の画素データ(4×4)のデータを示している。図54(a)→(d)に示すように、標本点オフセットに応じて、標本点位置が右方向に1ピクセルずつ、ずれて変換データが生成される。間引き量M=4の場合、例えば水平方向の4画素がすべて同一画素の値に設定される。しかし、本来、その画素値を持つ画素の位置は、図54(a)→(d)に示すように、各フレームにおいて1画素ずつずれた位置にある。この本来の画素値を持つ画素の位置を、表示領域のほぼ中心になるように設定すると、元の画像データにより近い画像の再生が可能となる。
【0254】
図55は、データ拡張部501から入力し、配置しようとするブロックが、垂直方向の間引き処理を施されていた場合の復元ブロック配置処理例を示している。
【0255】
図55(a)は復元ブロックの標本点オフセットが0の場合の垂直方向の空間間引き処理を実行した場合の復元データブロックである。垂直方向の処理の場合の標本点オフセットとは、ブロックの左上座標を(X、Y)としたときの標本点座標が(X、Y+w)であるときのwを指す。すなわち、間引き処理実行部306の詳細において解説したように、間引き量をM、標本点位相変化量をPとし、カレントフレームの番号をF=M×N+k(N、kは整数)によって表すときに、標本点座標は(X、Y+(P×k+1 MOD M))で定まるので、wは現在のフレーム番号と標本点位相変化量によって定まる。例えば、標本点位相変化量=0であれば、標本点オフセットはフレーム番号に依らず1となるので、標本点位相変化量=0の場合は図55の(b)の位置にブロックが配置される。また、標本点位相変化量が1であれば、フレーム番号F=M×N+kのkの値が0のときは(b)、1のときは(c)、2のときは(d)、3のときは(a)に示した位置にブロックが配置される。
【0256】
このように、合成部502は、垂直方向の間引き処理データの復元を行なう場合は、復元ブロックをフレーム毎に垂直方向に移動させて配置する処理を実行する。この処理の理由は、図54を参照して説明した水平方向の移動処理と同様であり、元の画像データにより近い画像の再生を実現するためである。
【0257】
ところで、上記のように、元々のブロックの配置からずれた位置にブロックを配置する場合、隣接するブロックが施された処理の内容次第で、例えば図56(a)に示すように隣接するブロック同士が重なってしまったり、あるいは図56(b)に示すように、ブロックとブロックの間に隙間が開いてしまったりすることがある。このような場合は、例えば、重なった場合は両ブロックの重なった部分の平均を重なった部分の画素値としたり、隙間が開いた場合は隙間の両側の画素値を用いて線形補間を行なったりするなどの補正処理を実行する。合成部502は、このような画素値の補正処理をも実行し、ブロックデータから構成されるフレームデータを完成させて出力する。
【0258】
このように、合成部502は、ブロック拡張部501において復元されたブロックに対して、間引き処理態様情報から得られる空間方向間引き処理における標本点の選択位置を示す標本点位相変化量に基づき、フレームの進行に従ってブロック位置をずらせて配置する処理を実行する構成であり、さらに、ブロック配置により発生する画素隙間または重複画素の画素値を決定する画素値補正処理を実行する。
【0259】
最後に、データ拡張部501の処理を、再度、図57のフローチャートを用いて説明する。図57は、あるブロックに対してデータ拡張部501が拡張処理を施し、合成部502に出力するまでの流れを示したものである。
【0260】
ステップS201において、拡張処理対象のブロックに対応する間引き態様情報:R、ブロックに対応する間引き制御情報:Sを入力する。ステップS202において、ブロックに対する制御情報:Sを確認することで、そのブロックに対する間引き処理可否情報の設定を確認する。すなわち、ブロックに対して間引き処理が行なわれたのか否かを調べる。Sが間引き処理を不可であると示している場合には、そのブロックに対してはいずれの間引き処理も行なわれていないので、そのブロックをそのまま合成部502に出力する(S208)。
【0261】
Sが間引き処理可を示していれば、S203に進み、ブロックに対する間引き態様情報Rを参照する。Rが、ブロックに施す処理が空間間引きであったことを示していれば、ステップS204に進み、そのブロックに対して空間拡張処理を施して、ステップS207で、拡張されたブロックを合成部502へ出力する。Rが、ブロックに施された処理が空間間引きではないことを示していれば、ステップS205に進み、ブロックに対して時間拡張処理を施し、ステップS206で、拡張されたブロックを合成部502に出力する。
【0262】
このようにして、データ拡張(伸張)処理を実行する動画像復元装置は、動画像変換装置において各ブロックに対応する属性情報として付与された間引き態様情報:R、ブロックに対応する間引き制御情報:Sに基づいて、拡張処理の実行の有無および拡張処理の態様を決定して、データ拡張を実行する。
【0263】
[(4)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成および動画像復元装置の変形例]
次に、上述した実施例、すなわち、
(2)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成
(3)動画像復元装置の構成
これらの各項目において説明した動画像変換装置300および動画像復元装置500を変形した実施例について説明する。
【0264】
本実施例に係る動画像変換装置700の基本構成を図58に示す。動画像変換装置700の基本構成は、先に図26を参照して説明した動画像変換装置300と同様である。ただし、間引き処理実行部706および出力部707の処理が先に説明した動画像変換装置300とは異なる。その他のコ